JP2015189171A - 記録装置、記録方法およびプログラム - Google Patents

記録装置、記録方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 吸引孔を通した空気の吸引により記録媒体の走査方向の端部に生じる流入気流によるつなぎスジの発生を抑制する。【解決手段】 走査方向の上流側の端部に対するインク吐出量の間引き率が、走査方向の下流側の端部に対するインク吐出量の間引き率よりも大きくなるようにインク吐出量を補正する。【選択図】 図12

Description

本発明は、記録装置、記録方法およびプログラムに関する。
複数の吐出口が配列された吐出口列を有する記録ヘッドを走査方向に走査させながらプラテン上に支持された記録媒体上にインクを吐出し、走査間に記録媒体を搬送方向に搬送することで画像を記録する記録装置が知られている。
このような記録装置において、1度に吐出されるインクの吐出量が多い場合には、次に述べるような吐出したインク滴がよれる現象が見られることが知られている。記録ヘッド500から吐出されたインク滴は記録ヘッドと記録媒体の間の空気を巻き込みながら滴下されるため、インクの吐出直後は記録ヘッドと記録媒体の間が減圧状態となってしまう。この減圧状態を補填するため、吐出口列の端部近傍の空気が中央側に向かって移動することで、吐出口列の端部側から中央側に向かって気流(以下、自己気流とも称する)が発生する。この自己気流により、吐出口列の端部の吐出口から吐出されたインク滴が吐出口列の中央側に引き寄せられる、いわゆる端よれ現象が生じてしまう。なお、1度に吐出されるインクの吐出量が多いほど自己気流は強いものとなり、インク滴の端よれ現象の程度も大きくなる。この端よれ現象により、吐出口列の端部の吐出口が記録するはずであった記録媒体上の領域にはインクが付与されず、記録された画像において白スジが表れる場合がある。
特許文献1には、上述の白スジの発生を抑制するため、記録媒体の搬送量を基準の量よりも短くし、且つ、吐出口列の端部の吐出口からのインクの吐出量を減少させることが開示されている。同文献によれば、吐出口列の一方の端部の吐出口と他方の端部の吐出口が異なる走査にて記録媒体上の同じ領域に記録することができるように記録媒体を搬送するため、上述のインクの吐出量が相対的に多い場合に発生する白スジの発生を抑制することができる。また、インクの吐出量が相対的に少ない場合は自己気流が発生しないため、このような基準の量より短い量の搬送では記録された画像において黒スジが発生してしまう虞がある。これに対し、同文献にはインクの吐出量が相対的に少ない場合、端部の吐出口からのインクの吐出量を減少させる補正を行うことにより上述の黒スジの発生を抑制すると記載されている。
一方、記録の際に記録媒体を支持するプラテンから記録媒体が浮いてしまい、これによりインクの着弾精度が低化してしまう場合があることが従来より知られている。特許文献2には、記録媒体を支持するプラテンに複数の吸引孔を設け、吸引孔を通して空気を吸引することにより記録媒体をプラテン上に吸着することが開示されている。
特開2004−168003号公報 特開2013−014047号公報
しかしながら、特許文献2に記載されたような吸引手段を有する記録装置では、特許文献1に記載された記録方法によっても上述の白スジや黒スジを十分に抑制することができない虞がある。
以下にこの課題について詳細に説明する。
図1は、記録ヘッド500が1回の走査を行った際の記録ヘッド500と記録媒体501の間に流入する気流の強さが記録ヘッド500の位置に応じて変化する様子を説明するための図である。
なお、ここでは、複数の吐出口がY方向(配列方向)に配列された吐出口列を有する記録ヘッド500をX方向(走査方向)に沿って走査させながら鉛直下方にインクを吐出して画像を記録する記録装置を用いる場合について示している。ここで、記録媒体501を支持するプラテン502には複数の吸引孔503が形成されており、該吸引孔503を通して空気を吸引することにより記録媒体501をプラテン502上に吸着している。なお、図1では簡単のため、それぞれ3つの吸引孔503のみが形成されたプラテン2を示しているが、汎用的な装置ではより多くの吸引孔503が形成されている。
図1(a)は、記録ヘッド500のX方向へのある1回の走査の開始直後に記録媒体501のX方向の上流側の端部近傍の領域(以下、領域Aとも称する)に対してインクを吐出する際の様子を示す図である。記録ヘッド500はX方向に走査しているため、記録ヘッド500と記録媒体501の間には記録ヘッド500の走査方向の下流側から上流側へ気流504が流入する。また、吸引孔503を通して空気が吸引されているため、吸引孔503の周囲では吸引孔503に向かって空気の巻き込みが生じている。上述の記録媒体501上のX方向の上流側の端部近傍は吸引孔503の近くに位置するため、この空気の巻き込みの影響を受け、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査方向の下流側から上流側に向かって気流505が流入する。すなわち、記録媒体501に対するある1回の走査が始まった直後では、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査に由来する気流504と吸引に由来する気流505の足し合わせた強さの気流が流入していると考えられる。
次に、図1(b)はX方向へのある1回の走査の途中に記録ヘッド500が記録媒体501のX方向の中央領域(以下、領域Bとも称する)に対してインクを吐出する際の様子を示す図である。図1(a)に示す場合と同様に、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査に由来する気流504が走査方向の下流側から上流側へ流入する。一方、この中央領域は吸引孔503からは離間しているため、吸引孔503を通した吸引による空気の巻き込みの影響は受けない。すなわち、図1(b)に示す場合には記録ヘッド500と記録媒体501との間には走査に由来する気流504のみが流入していると考えられる。
更に、図1(c)はX方向へのある1回の走査の終了直前に記録媒体501のX方向の下流側の端部近傍の領域(以下、領域Cとも称する)に対してインクを吐出する際の様子を示す図である。この場合においても、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査に由来する気流504が流入する。一方、図1(a)に示す状態とは異なり、図1(c)に示す状態においては記録ヘッド500よりもX方向の下流側に吸引孔503が形成されている。そのため、吸引孔503を通した空気の巻き込みの影響を受け、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査方向の上流側から下流側に向かって気流506が流入する。このように、図1(c)に示す状態では走査に由来する気流504と吸引に由来する気流506が逆方向に生じる。すなわち、記録媒体501に対するある1回の走査が終了する直前には、記録ヘッド500と記録媒体501の間には走査に由来する気流504と吸引に由来する気流506の差分に相当する強さの気流が流入していると考えられる。
図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ図1(a)、(b)、(c)に示す記録ヘッド500と記録媒体501との位置関係において発生する端よれ現象と、その程度を示す図である。
なお、図2(a)、(b)、(c)はそれぞれ記録ヘッド500と記録媒体501の間を記録ヘッド500に向かってX方向の下流側からみた様子を示している。また、ここでは簡単のため、図2(a)、(b)、(c)のそれぞれに示す状態におけるインクの吐出量が互いにほぼ同じである場合について記載する。また、図1(a)、(b)、(c)のそれぞれに示す流入気流507、508、509の円の大きさは、それぞれの流入気流の強さを模式的に示している。
上述のように、図2(a)に示す状態においては記録ヘッド500と記録媒体501の間に流入する気流(以下、流入気流と称する)507は走査に由来する気流504と吸引に由来する気流505を合わせたものなるため、相対的に強いものとなる。そのため、インクの吐出により記録ヘッド500と記録媒体501の間が減圧状態となったとしても、流入気流507により減圧状態が補填され、流入気流の強さによっては増圧状態となる。これにより、吐出口列の端部から吐出されるインク滴は吐出口列の外側にずれることになる。
一方、図2(b)に示す状態では、流入気流508の強さは中間程度の強さとなる。したがって、流入気流508による減圧状態の補填は図2(a)に示す状態ほど顕著には発生しない。このため、吐出口の端部から吐出されるインク滴の吐出口列の外側へのずれの量は図2(a)に示す状態に比べて小さくなる。
更に、図2(c)に示す状態では、走査に由来する気流504に対して吸引に由来する気流506が逆方向に流れるため、流入気流509は相対的に弱いものとなる。そのため、流入気流509による減圧状態の補填は図2(a)、(b)にそれぞれ示す状態ほどは生じず、代わりに吐出口列の配列方向の端部近傍の空気が吐出口列の中央側に流れ込むことによる減圧状態の補填が顕著に発生する。これにより、吐出口列の端部から吐出されるインク滴は吐出口列の中央側にずれた位置に着弾する。但し、減圧状態の補填には流入気流405も僅かながら寄与するため、流入気流が全く発生しない場合に比べるとインク滴の吐出口列の中央側へのずれの程度は小さい。
図3は記録ヘッド500の1回の走査によりインクを吐出して記録した画像を示す模式図である。なお、ここでは簡単のため、記録媒体501上の各単位領域に対して1回の走査で記録を行う形態について記載する。また、端よれ現象による白スジの発生を抑制するため、異なる走査間で所定数の吐出口Δnが記録媒体上の同じ領域にインクを吐出することが可能なように記録媒体3の搬送を行う。具体的には、図3における位置511、位置512、位置513、位置514、位置515は、それぞれ記録媒体501に対する1、2、3、4、5回目の走査を行う際の様子を示しており、記録媒体501の搬送はそれぞれの走査で記録ヘッド500と記録媒体501がこのような位置関係となるように行われる。
ここで、上述のように、記録媒体上のX方向の上流側の端部領域(領域A)、中央領域(領域B)、下流側の端部領域(領域C)のいずれの領域に記録を行う場合であっても、流入気流による影響をある程度受ける。そのため、領域A、領域B、領域Cのいずれにおいても流入気流が発生しない場合に比べて吐出口列のY方向の端部側へのずれ量は大きくなる。したがって、特許文献1に記載の方法により吐出口列の配列方向の端部の吐出口からのインクの吐出量を減少させた場合であっても、領域A、領域B、領域Cのいずれにおいても黒スジが発生してしまう。
更に、図2(a)、(b)、(c)に示すように、吐出口列のY方向の端部側へのずれ量は、領域A、領域B、領域Cの順に大きくなる。したがって、領域Bで生じる黒スジ517は領域Cで生じる黒スジ518よりも濃い濃度のものとなる。また、領域Aで生じる黒スジ516は、領域B、領域Cでそれぞれ生じる黒スジ517、518よりも更に濃い濃度のものとなってしまう。
以上記載したように、吸引手段を有する記録装置を使用して記録を行う場合、記録ヘッドの走査方向における位置に応じて流入気流の強さが異なる。そのため、吐出口列の配列方向の端部の吐出口に対応する記録媒体上の領域に生じるつなぎスジも該位置に応じて異なる濃度で生じてしまう。
本発明は上記の課題を鑑みて為されたものであり、流入気流の強さの違いに由来する走査方向に応じて異なる濃度にて生じるつなぎスジの影響を抑制した画像を記録することができる記録装置を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明は、インクを吐出するための複数の吐出口が配列方向に配列された吐出口列を有する記録ヘッドと、記録媒体を吸着するために吸引孔を通して空気を吸引する吸引手段と、前記記録ヘッドを前記記録媒体に対し前記配列方向と交差する走査方向に相対的に複数回走査させる走査手段と、前記記録媒体の前記走査方向における幅よりも長い前記走査方向における幅を有する範囲において前記複数の吸引孔が形成された、前記記録媒体を支持する支持部と、前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの第1の走査における前記吐出口列の前記配列方向における一方の端部に配列された所定数の第1の吐出口と、前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの前記第1の走査よりも後の第2の走査における前記吐出口列の前記配列方向における他方の端部に配列された所定数の第2の吐出口と、が前記記録媒体上の同じ領域または近接する領域にインクを吐出することが可能なように、前記記録媒体を前記記録ヘッドに対し前記走査方向と交差する搬送方向に相対的に搬送する搬送手段と、前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記情報が示す前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量と、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口からのインクの吐出量と、のそれぞれを前記記録ヘッドの前記走査方向における位置に応じた低減率に基づいて低減することにより補正する補正手段と、前記補正手段により補正されたインクの吐出量に基づいてインクを吐出するように制御する制御手段と、を有する記録装置であって、前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が第1の位置である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の下流側である第2の位置である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする。
本発明の記録装置によれば、流入気流の強さの違いに由来する走査方向に応じて異なる濃度にて生じるつなぎスジの影響を抑制した画像を記録することが可能となる。
各記録位置における流入気流を説明するための模式図である。 各記録位置における端よれの程度を説明するための模式図である。 流入気流が生じた場合におけるつなぎスジを説明するための模式図である。 実施形態に係る記録装置の斜視図である。 実施形態に係る記録装置の側面図である。 実施形態に係る記録ヘッドの模式図である。 実施形態における記録制御系の構成を示すブロック図である。 実施形態におけるデータの処理過程を示すブロック図である。 実施形態における記録方式について説明するための図である。 実施形態における記録方式について説明するための図である。 実施形態における間引き率を示す模式図である。 実施形態により記録した画像における記録率を説明するための図である。 比較例における間引き率を示す模式図である。 実施形態における記録方式について説明するための図である。 実施形態で適用するマスクパターンを示す模式図である。 インクの吐出量により変化するインク滴のよれを説明するための図である。 紙間距離により変化するインク滴のよれを説明するための図である。
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
図4は本実施形態に係る記録装置1000の内部の構成を部分的に示す斜視図である。また、図5は本実施形態に係る記録装置1000の内部の構成を部分的に示す側面図である。
記録装置1000の内部には、記録媒体3を支持するためのプラテン(支持部)2が設けられている。プラテン2には、記録媒体3をプラテン2上に吸着させて浮き上がらないようにするための多数の吸引孔26が設けられている。この吸引孔26はダクト4と繋がっており、さらにダクト4の下部には吸引ファン(不図示)が配置され、この吸引ファンにより空気を吸引することでプラテン2に対する記録媒体3の吸着を行っている。
さらに、メインレール5には、X方向(走査方向)に往復移動するキャリッジ6が支持されている。キャリッジ6は、後述するインクジェット方式の記録ヘッド7を搭載している。なお、記録ヘッド7は、発熱体を用いたサーマルジェット方式、圧電素子を用いたピエゾ方式等、さまざまなインクジェット記録方式を適用することが可能である。
記録媒体3は、給紙ローラ23に巻きつけられた状態から給紙される。そして、給紙された記録媒体3は、一定間隔を隔てて配置される第1搬送ローラ及び第2搬送ローラにより、記録ヘッド7の走査に応じたタイミングでX方向と交差するY方向(搬送方向)に所定量ずつ搬送される。なお、第1搬送ローラは、ステッピングモータ(不図示)によって駆動される駆動ローラ11と駆動ローラ11の回転にともなって回転する補助ローラ16の1対のローラからなる。同様に、第2搬送ローラも駆動ローラ12と補助ローラ13の1対のローラからなる。さらに、ターンローラ33を介して記録媒体3は巻取りローラ24に巻きつけられている。なお、記録装置1000では、ロール状の記録媒体3以外に、カセットに積層された所定の大きさにカットされた記録媒体3に記録することも可能である。
以上の構成において、X方向に走査しながら後述する記録データに応じて記録ヘッド7の各吐出口からインクを吐出することで、記録媒体3上にインクのドットを形成して記録を行うことができる。記録ヘッド7は、必要に応じてホームポジションに移動し、ホームポジション位置に設けられた吐出回復装置(不図示)による回復動作を行うことにより、吐出口の目詰まり等による吐出不良の状態から回復する。なお、記録ヘッド7の走査を行う前に記録ヘッド7の吐出口付近に滞留しているインクの濃度変動を解消するために行う、濃度が変動したインクの吸引や予備吐出によるインク濃度リセット動作もホームポジションで行われる。
図6は本実施形態に係る記録ヘッド7を示す図である。
記録ヘッド7は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つの吐出口列22K、22C、22M、22YがX方向に並列されることにより構成される。これらの吐出口列22K、22C、22M、22Yのそれぞれは、インクを吐出する1440個(N個、所定数)の吐出口30が1200dpiの密度でY方向(配列方向)に配列されることで構成されている。なお、本実施形態における一つの吐出口30から一度に吐出されるインクの吐出量は約4.5ngである。
これらの吐出口列22K、22C、22M、22Yは、それぞれ対応するインクを貯蔵する不図示のインクタンクに接続され、インクの供給が行われる。なお、本実施形態にて用いる記録ヘッド7とインクタンクは一体的に構成されるものでも良いし、それぞれが分離可能な構成のものでも良い。
図7は本実施形態における記録制御系の概略構成を示すブロック図である。
画像入力部であるホストコンピュータ401は、ハードディスク等の各種の記憶媒体に保存されているRGB形式の多値画像データを、記録装置1000内の画像処理部に送信する。
画像処理部は、後述するMPU402、ASIC403等から構成されている。また、多値画像データは、ホストコンピュータ401に接続されたスキャナやデジタルカメラ等の外部の画像入力機器からも受け取ることができる。画像処理部は、入力された多値画像データに後述する画像処理を施して2値画像データに変換する。これにより、複数種類のインクを記録ヘッド7から吐出するための記録データである2値画像データが生成される。
画像出力部である記録装置1000は、画像処理部で生成されたインクの2値画像データに基づいて、インクを記録媒体3に付与することで画像を記録する。記録装置1000は、ROM404に記録されたプログラムに従ってMPU(Micro Processeor Unit)402により制御される。RAM405は、MPU402の作業領域や一時データ保存領域として機能する。MPU402は、ASIC403を介して、キャリッジ6の駆動系408、記録媒体3の搬送駆動系409、記録ヘッド7の回復駆動系410、および記録ヘッド7の駆動系411の制御を行う。
プリントバッファ406は、記録ヘッド7へ転送できる形式に変換された記録データを一時保管する。
マスクバッファ407には、記録データを記録ヘッド7に転送する際に適用するマスクパターンが一時的に保管されている。なお、マルチパス記録に用いる複数のマスクパターンはROM404内に用意され、実際の記録時に該当するマスクパターンがROM404から読み出されてマスクバッファ407に格納される。
なお、本実施形態では画像処理部は記録装置1000に存在する形態について記載したが、ホストコンピュータ401に画像処理部が存在していても良い。
図8は本実施形態における画像処理の過程を説明するためのフローチャートである。
本実施形態の画像処理では、RGB形式の各色8ビット(それぞれ256階調)の多値画像データ(輝度データ)が取得される。そして、最終的に各走査においてシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクを吐出するための1ビットの2値データ(記録データ)として出力する処理を行う。なお、色の種類や、色の階調はこの値に限るものではない。
まず、色空間変換前処理部412では、ホストコンピュータ401において、RGB形式の多値の輝度信号で表現される画像データを多次元LUTを用いることによって記録装置1000に入力するRGB形式の多値の輝度信号で表現される画像データに変換する。この色空間変換前処理(以下、前段色処理とも称する)は、記録対象におけるR、G、Bの画像データが表わす入力画像の色空間と、記録装置1000で再現可能な色空間との間の差を補正するために行なわれる。前段色処理を施されたRGB形式の画像データは、記録装置1000に送信される。
色変換処理部413では、ROM404に格納された多次元LUTを用い、ホストコンピュータ401より入力されたRGB形式の多値の画像データをCMYK形式の多値のデータに変換する。この色変換処理(以下、後段色処理とも称する)は、輝度信号で表現される入力系のRGB形式の画像データを、濃度信号で表現するための出力系のCMYK形式の画像データに色変換するために行なわれる。
次に、出力γ処理部414では、後段色処理が施されたCMYK形式の多値のデータに対し、C、M、Y、Kのそれぞれにおける1次元LUTを用いることにより出力γ補正が行なわれる。通常、記録媒体の単位面積当たりに記録されるドットの数と、記録された画像を測定して得られる反射濃度などの記録特性は、線形関係にならない。そのため、例えばC、M、Y、Kのそれぞれの入力階調レベルと、それによって記録される画像の濃度レベルとが線形関係となるように、C、M、Y、Kのそれぞれの多値の入力階調レベルを補正する出力γ補正が行なわれる。
次に、量子化処理部415では、上記のように得られたC、M、Y、Kのそれぞれの多値のデータは、C、M、Y、K各色1ビットのデータに2値化(量子化)される。本実施形態では、2値化の手法として誤差拡散法を用いる。この誤差拡散法を用いた量子化方法それ自身は公知の技術であるので、ここではその説明は省略する。なお、2値化の手段には誤差拡散法の他にディザ法を用いても構わない。更に、インデックスパターンによるインデックス展開を併用しても構わない。
マスク処理部416では、CMYK形式の2値データに対してマスクパターンを適用することにより、C、M、Y、Kそれぞれのインクを各走査にて吐出するために用いる2値データを生成する。マスクパターンは複数の記録許容画素および非記録許容画素が配置することにより構成される。ここで、記録許容画素とは、記録媒体上の画素領域に対するインクの吐出を示す2値データが入力された場合にインクの吐出を許容する画素である。また、非記録許容画素とは、記録媒体上の画素領域に対するインクの吐出を示す2値データが入力された場合であってもインクの吐出を許容しない画素である。なお、本実施形態では非つなぎ部に対して1回の走査で記録を行うため、全ての位置に記録許容画素が配置されたマスクパターンを適用してマスク処理を行う。
補正処理部417では、マスク処理部416にて各走査に分配された2値データに対して、後述する2値データの間引きや付加などの補正処理を行う。
本実施形態で適用する記録方式について以下に詳細に説明する。
図9は本実施形態で行う記録方式について説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、1つの吐出口列のみ配置されたものを記録ヘッド7として図示している。
本実施形態では、記録ヘッド7を構成する1280個の吐出口を第1の吐出口群31a、第2の吐出口群32、第1の吐出口群31bの3つの吐出口群に分割する。ここで、第1の吐出口群31aは吐出口列のY方向上流側の端部に配置された40個の吐出口から構成される。また、第1の吐出口群31bは吐出口列のY方向下流側の端部に配置された40個の吐出口から構成される。一方、第2の吐出口群32は第1の吐出口群31a、31bの吐出口以外の1200個の吐出口から構成される。
まず、1回目の走査を行う際、記録媒体3は記録ヘッド7に対し(83)に示すような位置関係となるように搬送される。この位置関係において記録ヘッド7はX方向に走査され、記録媒体上のつなぎ部(第1の領域)81aに対し第1の吐出口群31aからインクの吐出が行われる。
次に、記録媒体3は先の走査で第1の吐出口群31aに対応したつなぎ部81aが第1の吐出口群31bに対応する(84)に示す位置関係となるように、Y方向に距離Δdだけ搬送される。なお、この搬送は1つの第1の吐出口群31aと1つの第2の吐出口群32を合わせた数の吐出口に対応する距離だけ行われるので、Δdは1240(=40+1200)個の吐出口に対応する値となる。すなわち、吐出口列に配列された吐出口の数をN個、1つの第1の吐出口群31aを構成する吐出口の数をM個、つなぎ部以外の領域(以下、非つなぎ部または第2の領域とも称する)に対する走査の回数をK回とした場合、Δdは(N−M)/K個の吐出口に対応する値となる。この搬送の後、記録ヘッド7がX方向に走査され、第1の吐出口群31a、31bおよび第2の吐出口群32からインクが吐出される。ここで、記録媒体上のつなぎ部81bと非つなぎ部82aには、それぞれ第1の吐出口群31a、第2の吐出口群32から1回目の吐出が行われる。一方、つなぎ部82aには、第1の吐出口群31aから2回目の吐出が行われる。この(84)に示す位置関係における走査により、つなぎ部81aおよび非つなぎ部82aに対する画像の形成が完了する。
更に、記録媒体3は、記録媒体3と記録ヘッド7とが(85)に示す位置関係となるように、先の搬送と同様の距離ΔdだけY方向に搬送される。この(85)に示す位置関係において記録ヘッド7がX方向に走査され、先の(84)に示す位置関係における走査と同様にしてつなぎ部81bおよび非つなぎ部82bへの画像の形成が完了する。
以下、記録媒体3の距離ΔdのY方向への搬送と、インクの吐出を伴った記録ヘッド7のX方向への走査とを交互に繰り返し、記録媒体3の全域への記録を行う。以上に示した記録方式によれば、記録媒体3上の非つなぎ部に対しては1回、つなぎ部に対しては2回の走査によって記録を行うことが可能となる。
本実施形態における補正処理について以下に詳細に記載する。
本実施形態では、上記のように、つなぎ部に対しては2回の走査によってインクの吐出を行う。そのため、補正処理部417にて2値データを間引かない場合、2回の走査にて同じ画素領域にインクを重ねて吐出してしまう。そのため、例えば記録媒体上のインクを吐出可能な画素領域のすべてに対して1滴ずつインクを吐出した(記録率が100%である)、所謂ベタ画像を記録媒体上の全域に記録しようとした場合、該ベタ画像に対応する2値データの間引きを行わなければ、つなぎ部には記録率が200%の画像が形成されてしまう。このように、つなぎ部に対応する2値データの間引きを行わない場合、つなぎ部には本来記録されるべき画像の記録率よりも高い記録率の画像が形成されてしまう。
そこで、本実施形態では、補正処理部417にて記録媒体3上のX方向の位置に応じて異なる補正率にて2値データの補正を行う。なお、本実施形態では補正率として間引き率(低減率)を用い、つなぎ部に対応する2値データを間引くことにより2値データの補正を行い、黒スジの発生を効果的に抑制する。
図10は図9に示す記録方式に従って記録を行う場合における記録媒体3に対する画像の記録の過程を説明するための図である。なお、本実施形態では図9に示したように記録媒体の移動によって記録位置が変わるが、図10ではその様子を記録媒体3を固定して記録ヘッド7の位置がY方向に変わるようにして示している。ここで、図10の(83)、(84)、(85)に示す記録ヘッド7と記録媒体3の位置関係は、それぞれ図9の(83)、(84)、(85)に示す記録ヘッド7と記録媒体3の位置関係と対応するものである。なお、以下では簡単のため、(83)に示す位置関係にある場合における第1の吐出口群31aからの吐出および(84)に示す位置関係にある場合における第1の吐出口群31bからの吐出についてのみ記載する。また、本実施形態では記録ヘッド7のX方向への一方向のみの走査にて記録を行う。
本実施形態では、記録媒体3上のつなぎ部をX方向上流側の端部から幅20mmの領域である領域A、X方向下流側の端部から幅20mmの領域である領域C、それ以外の領域である領域Bの3つの領域に分割して考える。
まず、領域A、領域B、領域Cにおいて流入する流入気流の強さについて以下に詳細に説明する。
領域AのX方向上流側に隣接するプラテン上には吸引孔が形成されているため、領域A上にはX方向下流側から上流側に向けて流入気流Qが流入する。同じように、領域C上にはX方向上流側から下流側に向けて流入気流Pが流入している。
一方、記録ヘッド7が走査された場合、X方向下流側から上流側に向けて流入気流Rが流入する。すなわち、流入気流Rは流入気流Qと同じ方向であり、流入気流Pと反対の方向に流入することとなる。なお、記録ヘッド7の位置が領域A、領域B、領域Cのいずれの領域上にある場合であっても同じ強さの流入気流Rが発生する。
そのため、領域A上では流入気流Rと流入気流Qが合わさり合った気流が流入するため、領域B上における流入気流Rよりも強い気流が流入する。一方、領域C上では流入気流Rに対して流入気流Pが相殺する方向に働くため、領域B上における流入気流よりも弱い気流が流入する。これらの点から、つなぎ部81a内では、領域Aで最も流入気流が強く、また、領域Cで最も流入気流が弱くなることがわかる。
また、上述のように、流入気流が相対的に強い場合には自己気流によって記録ヘッド7と記録媒体3の間の空気が減圧傾向となったとしても流入気流により空気が補填されるため、端よれ現象が生じる程度は相対的に小さくなる。そのため、記録媒体上のつなぎ部81aには黒スジが発生し易くなる。
以上から、つなぎ部81a内では領域Aでは端よれ現象の程度が小さくなるため黒スジが発生し易く、一方で領域Cでは端よれ現象の程度が大きくなることにより黒スジが発生しにくくなることが判断できる。
以上のことを鑑み、本実施形態ではつなぎ部81a内の領域A、領域B、領域Cに対してそれぞれ異なる間引き率にて2値データの間引きを行い、インクの吐出量を低減することにより上記のつなぎスジの発生を抑制する。
図11は本実施形態において補正処理部417が行うつなぎ部81aにインクを吐出する際の2値データを間引くための間引き率を示す模式図である。また、図12はベタ画像に対応する2値データを図12に示す間引き率にしたがって間引いた場合に生成される2値データの記録率を領域毎に示す模式図である。
なお、図11(a1)、(b1)、(c1)はそれぞれ記録ヘッド7と記録媒体3が図9の(83)に示す位置関係にある場合に第1の吐出口群31aに対応する2値データに対する間引き率を示している。一方、図11(a2)、(b2)、(c2)はそれぞれ記録ヘッド7と記録媒体3が図9の(84)に示す位置関係にある場合に第1の吐出口群31bに対応する2値データに対する間引き率を示している。
また、図11(a1)、(a2)はつなぎ部81内の領域Aに対応する2値データを補正する際の間引き率を示す。同様に、図12(b1)、(b2)はつなぎ部81内の領域Bに対応する2値データを補正する際の間引き率を示す。同様に、図12(c1)、(c2)はつなぎ部81内の領域Cに対応する2値データを補正する際の間引き率を示す。
更に、図12(a)、(b)、(c)はそれぞれつなぎ部81内の領域A、領域B、領域Cに対応する2値データの記録率を示している。
ここで、図11(a1)〜(c1)のそれぞれに示すように、領域A、領域B、領域Cのそれぞれにおいて、第1の吐出口群31aはY方向上流側の端部の複数の吐出口n2と、Y方向下流側の複数の吐出口n1とに分割され、複数の吐出口n1、n2のそれぞれに対して異なる間引き率が定められる。なお、これらの複数の吐出口n1、n2のそれぞれの中では、間引き率はほぼ一定となるように定められている。また、吐出口列の端部に相当する複数の吐出口n2に定められる間引き率が複数の吐出口n1に定められる吐出口n1より大きくなるように設定されている。
また、図11(a2)〜(c2)のそれぞれに示すように、第1の吐出口群31bも同じようにY方向下流側の端部の複数の吐出口n1とY方向上流側の複数の吐出口n2とに分割される。第1の吐出口群31bにおいては複数の吐出口n1が吐出口列の端部に相当するため、複数の吐出口n1に定められる間引き率が複数の吐出口n2に定められる間引き率よりも大きくなるように設定されている。
以下にそれぞれの吐出口群のそれぞれの領域において定められる間引き率について詳細に説明する。
図11に示す間引き率とは、量子化処理部415にて生成された記録媒体上のある領域に対応する2値データの量に対する、該領域に対応する2値データを間引く量の比率である。すなわち、2値データの記録率がα(%)、間引き率がβ(%)である場合に生成される記録データの記録率γ(%)は式1によって算出できる。
(式1) γ=α(1−β/100)
例えば、ベタ画像に対応する記録率が100%の2値データに対して間引き率が100%の間引き率が設定された場合、100%の間引き率にしたがって該2値データの間引きが行われる。すなわち、記録率が100%であった該2値データは、記録媒体上のいずれの画素領域にもインクを吐出しない画像に対応する、記録率が0%(=100%×(1−100%/100))の記録データに変換される。また、記録率が100%の2値データに対して50%の間引き率が設定された場合には、該2値データに対して50%の間引き率にて2値データの間引きが行われる。これにより、記録率が100%の2値データは、記録率が50%(=100%×(1−50/100))の2値データへと変換される。
なお、本実施形態では後述するように、いずれの領域でも黒スジが発生し易い形態について記載するため、2値データを間引く構成しか記載していないが、他の形態による実施も可能である。すなわち、白スジが発生し易い場合には所定の付加率(増加率)にしたがって2値データを付加し、インクの吐出量を増加させることで白スジの発生を抑制できる。この場合、2値データの記録率がα%、付加率がδ(%)である場合に生成される記録データの記録率γ(%)は式2によって算出できる。
(式2) γ=α(1+δ/100)
図9および図10に示す領域Cでは、上述のように、吸引による流入気流Pにより走査に由来する流入気流Rが相殺されるため、黒スジはそれ程発生しない。そのため、該領域Cでは、図11(C1)、(C2)に示すように、後述する領域A、領域Bに定められる間引き率よりも小さい間引き率701、702を第1の吐出口群31a、31bのそれぞれに設定する。
図9および図10の(83)に示す位置関係における記録ヘッド7の走査では、第1の吐出口群31aに対して図11(c1)に示すように間引き率701が設定される。ここでは、第1の吐出口群31aは、複数の吐出口n1と複数の吐出口n2が同じ数になるように分割される。このうち、吐出口列の端部に対応する複数の吐出口n2の間引き率は100%に、また、複数の吐出口n1の間引き率は25%に定められる。すなわち、この第1の吐出口群31aに定められる間引き率701の平均は62.5%(=(100%+25%)/2)となる。
一方、図9および図10の(84)に示す位置関係における記録ヘッドの走査では、第1の吐出口群31bに対し図11(c2)に示すように間引き率702が設定される。この間引き率702は間引き率701と逆の関係となるように定められている。
ここで、間引き率701が定められた第1の吐出口群31aと間引き率702が定められた第1の吐出口群31bは、いずれも同じつなぎ部81a内の領域Cに対応する。そのため、例えばつなぎ部81aに対応するデータとしてベタ画像に対応する2値データ(記録率が100%)が補正処理部417に入力された場合、該2値データから、図11(c)に示すような記録率が75%である記録データが生成される。
次に、図9および図10に示す領域Bでは、吸引孔26が近接する位置にないため、走査に由来する流入気流Rのみが流入する。そのため、流入気流の発生の程度は中間程度であり、流入気流による黒スジの発生も中程度となる。したがって、領域Bでは、図12(b1)、(b2)に示すように第1の吐出口群31a、31bに領域Cにおける定められる間引き率701、702より大きく、且つ、後述する領域Aおける間引き率よりも小さくなるように間引き率703、704を設定する。なお、図9および図10の(83)に示す位置関係における記録ヘッド7の走査において第1の吐出口群31aからつなぎ部内の領域Bにインクを吐出する際に、第1の吐出口群31aに対応する2値データに対して図11(b1)に示す間引き率703にしたがって間引きを行う。一方、図9および図11の(84)に示す位置関係における記録ヘッド7の走査において第1の吐出口群31bからつなぎ部内の領域Bにインクを吐出する際に、第1の吐出口群31bに対応する2値データに対して図11(b2)に示す間引き率704にしたがって間引きを行う。
図11(c1)では25%の間引き率が定められていた複数の吐出口n1に対し、図11(b1)では50%の間引き率が定められている。したがって、第1の吐出口群31aに定められる間引き率703の平均は75%(=(100%+50%)/2)となる。また、図11(b2)に示す間引き率704は間引き率703と逆の関係になるように定められている。
記録率が100%の2値データが補正処理部417に入力された場合、該2値データから図12(b)に示す記録率が50%に定められた記録データが生成される。
そして、図9および図10に示す領域Aでは、走査による流入気流Rと吸引による流入気流Qが同じ方向に流れるため、黒スジは最も顕著に発生する。そのため、領域Aに記録を行う場合には、図11(a1)、(a2)に示すように、領域Bにおける間引き率703、704、領域Cにおける間引き率701、702よりも大きくなるように間引き率705、706を設定する。なお、図9および図10の(83)に示す位置関係における記録ヘッド7の走査において第1の吐出口群31aからつなぎ部内の領域Aにインクを吐出する際に、第1の吐出口群31aに対応する2値データに対して図11(a1)に示す間引き率705にしたがって間引きを行う。一方、図9および図10の(84)に示す位置関係における記録ヘッド7の走査において第1の吐出口群31bからつなぎ部内の領域Aにインクを吐出する際に、第1の吐出口群31bに対応する2値データに対して図11(a2)に示す間引き率706にしたがって間引きを行う。
領域Aに対応する第1の吐出口群31aは、領域Bまたは領域Cに対応する第1の吐出口群31aと異なり、複数の吐出口n1の数が複数の吐出口n2の数の1/3倍となるように分割される。更に、複数の吐出口n1、複数の吐出口n2の間引き率は、それぞれ50%、100%に定められる。したがって、第1の吐出口群31aに定められる間引き率705の平均は87.5%(=(100%×3/4+50%×1/4))となる。一方、領域Aに対応する第1の吐出口群31bは、領域Aに対応する第1の吐出口群31aと反対に、複数の吐出口n2の数が複数の吐出口n1の数の1/3倍となるように分割される。そして、複数の吐出口n1、複数の吐出口n2の間引き率は、それぞれ100%、50%に定められる。
よって、記録率が100%の2値データに補正処理部417に入力された場合、該2値データから図12(a)に示すようなY方向両端部の記録率が50%、Y方向中央部の記録率が0%である記録データが生成される。
以上記載したように、図12にそれぞれ記載した間引き率によれば、つなぎ部81内に関し、領域Cに対応する記録データの記録率を大きく、また、領域Aに対応する記録データの記録率を小さくすることができる。
これにより、つなぎ部81内において走査方向において異なる程度にて発生する黒スジを効果的に抑制することが可能となる。
以上より、本実施形態の構成によれば、吸引孔を通した空気の吸引により記録媒体の走査方向の両端部における流入気流が増減した場合であっても、つなぎスジの発生をつなぎ部の走査方向の全域において効果的に抑制した記録を行うことが可能となる。
(比較例)
以下に比較例について詳細に説明する。
図13は比較例においてつなぎ部に対応する2値データに対する間引き率を示す模式図である。なお、図13(a)は記録ヘッド7と記録媒体3が図9の(83)に示す位置関係にある場合に第1の吐出口群31aに対応する2値データに対して間引く際に用いる間引き率707を示している。一方、図13(b)は記録ヘッド7と記録媒体3が図9の(84)に示す位置関係にある場合に第1の吐出口群31bに対応する2値データに対して間引く際に用いる間引き率708を示している。
図13に示すように、比較例では記録媒体上のX方向における位置に関わらず同じ間引き率にて間引きを行う。ここで、図13(a)に示すように、比較例では第1の吐出口群31aはY方向上流側の端部の複数の吐出口n2とY方向下流側の複数の吐出口n1に分割される。更に、複数の吐出口n2に対応する2値データは100%の間引き率が定められ、且つ、複数の吐出口n1に対応する2値データは0%の間引き率が定められる。また、図10(b)に示すように、間引き率708は間引き率707と逆の関係になるように定められている。
図13に示す間引き率にしたがって2値データを間引くことにより、例えば補正処理部417にベタ画像に対応する記録率が100%の2値データが入力された場合、(83)に示す位置関係にある場合の第1の吐出口群31aのうち、Y方向中央側の半分の吐出口の記録率が100%であり、Y方向端部側の半分の吐出口の記録率が0%であるような記録データが生成される。一方、(84)に示す位置関係にある場合の第1の吐出口群31bのうち、Y方向中央側の半分の吐出口の記録率が100%であり、Y方向端部側の半分の吐出口の記録率が0%であるような記録データが生成される。
上記のように生成された記録データによれば、記録媒体上のつなぎ部81aのうちのY方向下流側の領域には(83)に示す位置関係における走査により第1の吐出口群31aから100%の記録率でインクが吐出される。更に、つなぎ部81aのうちの残りのY方向上流側の領域には(84)に示す位置関係における走査により第1の吐出口群31bから100%の記録率でインクが吐出される。したがって、理論的には、つなぎ部81aの全域に100%の記録率でインクを吐出することが可能となる。
しかしながら、この記録方式および間引き率により記録した場合、上述のように、インクの吐出に伴う自己気流や記録ヘッド7の走査に伴う流入気流が生じるため、インク滴は理想的な位置には着弾せず、つなぎ部81aに黒スジが発生する。更に、記録媒体上のX方向の両端部(領域A、領域C)ではプラテン2上の吸引孔26を通した空気の吸引に由来する流入気流が更に流入するため、X方向の中央部(領域B)と両端部(領域A、領域C)では異なる濃度の黒スジが発生してしまう。図9に示す記録方式および図13に示す間引き率にしたがって記録した場合に発生するつなぎスジの程度を表1に示す。
表1より、つなぎ部81a内では領域Aでは黒スジが顕著に発生し、また、領域Cでは領域A、Bよりは黒スジの程度が小さくなることが確認できる。これは、上述のように、領域Aでは強い流入気流が発生するために端よれ現象の程度が小さくなり、また、領域Cでは発生する流入気流が弱いため端よれ現象の程度が大きいことに由来すると考えられる。
以上記載したように、比較例に記載した間引き率にしたがって2値データを間引いて記録データを生成した場合、黒スジの発生を効果的に抑制することができず、画像の画質が低下してしまう。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録ヘッドの一方向への走査のみによって記録を行う形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、記録ヘッドの往方向(一方向)および復方向(他方向)への走査によって記録を行う形態について記載する。
なお、前述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図14は本実施形態で適用する記録方式に従って記録を行う場合における記録媒体3に対する画像の記録の過程を説明するための図である。
なお、本実施形態では図9に示したように記録媒体の移動によって記録位置が変わるが、図14ではその様子を記録媒体3を固定して記録ヘッド7の位置がY方向に変わるようにして示している。
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、記録媒体3をX方向上流側の端部から幅20mmの領域である領域A、X方向下流側の端部から幅20mmの領域である領域C、それ以外の領域である領域Bの3つの領域に分割して考える。
本実施形態では、記録ヘッド7をX方向に沿った往方向および復方向への走査を交互に繰り返し、記録媒体3上の非つなぎ部82c、82dに対して2回の走査によって画像を記録する。一方、記録媒体3上のつなぎ部81d、81eに対しては3回の走査によって画像を記録する。例えば、非つなぎ部82cに対しては(91)に示す位置関係における往方向へのn回目の走査と、(92)に示す位置関係における復方向へのn+1回目の走査によって画像を記録する。また、非つなぎ部82dに対しては(92)に示す位置関係における復方向へのn+1回目の走査と、(93)に示す位置関係における往方向へのn+2回目の走査によって画像を記録する。また、つなぎ部81dに対しては(91)に示す位置関係における往方向へのn回目の走査と、(92)に示す位置関係における復方向へのn+1回目の走査と、(93)に示す位置関係における往方向へのn+2回目の走査によって画像を記録する。また、つなぎ部81eに対しては(92)に示す位置関係における復方向へのn+1回目の走査と、(93)に示す位置関係における往方向へのn+2回目の走査と、(94)に示す位置関係における復方向へのn+3回目の走査によって画像を記録する。そして、往方向への走査と復方向への走査の間に記録媒体のY方向に沿った搬送が行われる。
本実施形態では、上述のように非つなぎ部に対して2回の走査で記録を行うため、図8におけるマスク処理部416にて2つのマスクパターンを用いて2値データを2回の走査に分配する。
図15は本実施形態で適用するマスクパターンを示す模式図である。
ここで、図15(a)は、それぞれ図14の(91)、(93)に示す位置関係における往方向への走査において適用するマスクパターン201を示している。また、図15(b)は、図14の(92)、(94)に示す位置関係におけるn+1回目、n+3回目の復方向への走査において適用するマスクパターン202を示している。
マスクパターン201、202はそれぞれ複数の記録許容画素と非記録許容画素が配置されることで構成されている。なお、図15において、黒く塗りつぶされている箇所が記録許容画素を、白抜けとなっている箇所が非記録許容画素を表している。
マスクパターン201には、互いに同じ数の記録許容画素と非記録許容画素が配置されている。そのため、ベタ画像に対応する記録率が100%の2値データがマスク処理部416に入力された場合、往方向への走査には記録率が50%の2値データが生成される。同様に、マスクパターン202にも記録許容画素と非記録許容画素は互いに同じ数だけ配置されているため、復方向への走査にも同様に記録率が50%の2値データが生成される。
更に、マスクパターン202における記録許容画素は、マスクパターン201における記録許容画素と排他的且つ補完的な位置に配置されている。そのため、記録ヘッド7の往方向への走査に分配される2値データと復方向への走査に分配される2値データも互いに排他的且つ補完的な関係を有している。
このようなマスクパターン201、202によれば、記録媒体上の非つなぎ部82c、82dに対しては入力された画像データに対応する濃度の画像を記録することができる。
ここで、つなぎ部に関しては同じ方向への走査にて2回インクを吐出してしまうため、黒スジが生じてしまう。しかしながら、第1の実施形態と同様に図13に示す間引き率にしたがって間引いた場合であっても、インクの吐出に伴う自己気流や記録ヘッド7の走査による流入気流の影響によりつなぎ部には黒スジが生じる。
また、第1の実施形態と同様に、記録媒体上の両端部における空気の吸引による流入気流の影響により、領域A、領域B、領域C間において黒スジの発生の程度が異なってくる。
更に、本実施形態では往復走査により記録を行うため、往方向への走査を2回行うつなぎ部81dと、復方向への走査を2回行うつなぎ部81eとの間においても黒スジの生じる程度が異なる。
表2に図14に示す記録方式および図13に示す間引き率にしたがって2値データを間引いて記録データを生成した場合に発生するつなぎスジの程度を示す。
図14に示すように、往方向への走査では走査に由来する流入気流Rは復方向に流入する。そのため、両端部における空気の吸引による流入気流P、Qを合わせた場合の実際に流入する気流は、領域Aで最も強く、領域Cで最も弱くなる。これにより、表2に示すように、往方向への走査が重畳するつなぎ部81dにおいては、領域Aで最も黒スジが顕著に発生し、領域Cでは黒スジの影響は小さくなる。
一方、復方向への走査では走査による流入気流Rは往方向に流入する。したがって、実際に流入する気流は領域Cで最も強くなり、領域Aで最も弱くなる。そのため、復方向への走査が重畳するつなぎ部81eでは領域Aでは黒スジの影響は小さくなるが、領域Cで顕著な黒スジが発生する。
以上の点を鑑み、本実施形態では表3に示すように各領域に対する記録を行う場合に、それぞれの2値データに図11に示すように間引き率(a1)、(a2)、(b1)、(b2)、(c1)、(c2)をそれぞれ設定する。
以上記載したように、本実施形態によれば往復走査により画像を記録する場合であっても、空気の吸引によって生じる流入気流に由来するつなぎスジの発生を効果的に抑制することが可能となる。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、補正処理部に入力される2値データの記録率(インクの吐出量)や記録ヘッド7の走査の速度、記録ヘッド7とプラテン2間の距離(以下、紙間距離とも称する)等の記録条件が1通りである形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、上記の記録条件が異なる場合に適用する形態について記載する。
なお、前述した第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
つなぎスジの発生の程度は、吸引孔を通した空気の吸引による流入気流の強さの変動以外にも種々の記録条件の変動によって変わり得る。
以下につなぎスジの発生の程度を異ならしめる記録条件について詳細に記載する。
図16はインクの吐出量によって変化するつなぎスジの発生の程度について説明するための図である。なお、図16(a)はインクの吐出量が相対的に低い場合を、図16(b)はインクの吐出量が相対的に高い場合をそれぞれ示している。
インクの吐出量が相対的に高い場合、インクの吐出による空気の巻き込みが顕著に発生するため、相対的に強い自己気流が発生する。そのため、インク滴が記録ヘッド7の中央側へ引き寄せられ易くなる。これにより、図16(b)に示すインクの吐出量が相対的に高い場合には、図16(a)に示すインクの吐出量が相対的に低い場合に比べて白スジが発生し易くなる。
また、記録ヘッド7のX方向への走査速度が相対的に速い場合、走査速度が相対的に低い場合に比べて単位時間当たりに記録ヘッド7と記録媒体3との間に流入する空気の量は多くなる。言い換えれば、走査速度が相対的に高い場合には記録ヘッドの走査に由来する流入気流が強くなる。これにより、自己気流が強くなった際でも流入気流による減圧状態の補填が支配的となり、インク滴の記録ヘッド7の中央側への引き寄せは生じにくく、場合によっては端部側へのよれが生じ得る。したがって、記録ヘッド7の走査速度が相対的に速い場合には、走査速度が相対的に低い場合に比べて黒スジが発生し易くなることとなる。
更に、紙間距離によってもつなぎスジの発生の程度は変化する。
図17は紙間距離の違いによるつなぎスジの程度の違いを説明するための図である。なお、図17(a)は紙間距離が相対的に長い距離d1である場合を、また、図17(b)は紙間距離が相対的に短い距離d2である場合をそれぞれ示している。
紙間距離が相対的に短い場合、紙間距離が相対的に長い場合と同じ程度のインク滴のよれが生じたとしても、インクが吐出されてから記録媒体3に着弾するまでの時間が短くなるため、インク滴のよれの量は相対的に小さくなる。このよれの量の低下はインク滴が記録ヘッドの中央側によれる場合であっても、端部側によれる場合であっても同じように生じる。これにより、紙間距離が相対的に短い場合には、紙間距離が相対的に長い場合に比べて白スジも黒スジも発生しにくくなる。
上記の点を鑑み、インクの吐出量に関する情報である2値データの記録率、記録ヘッドの走査速度および紙間距離を異ならせ、図14に記載の記録方式にしたがって記録を行う。表4に上記の各記録条件を異ならせた場合につなぎ部81eに生じるつなぎスジの程度を記載する。なお、ここでは簡単のため、つなぎ部81dに関しては省略する。
表4からインクの吐出量(記録率)が相対的に高い場合に白スジが発生し易くなる点、走査速度が相対的に速い場合に黒スジが発生し易くなる点、紙間距離が短い場合につなぎスジが発生しにくくなることが実験的に確認できる。
以上の点を鑑み、本実施形態では上記の各記録条件に応じて異なる間引き率にて2値データを間引くことで補正処理を行う。
表5に本実施形態における2値データの間引き率を示す。
表5には複数の吐出口n1の数と複数の吐出口n2の数の比率と、該複数の吐出口n1および複数の吐出口n2に対応する2値データの間引き率のみを示しているが、実際には図11および図13に示すものと同一若しくは類似した間引き率に対応している。例えば、紙間距離が2.0mm、走査速度が40ips、記録率が50%であり、領域Bに記録を行う場合、(92)に示す位置関係における走査では図13(a)に示す間引き率707を適用し、(94)に示す位置関係における走査では図13(b)に示す間引き率708を適用する。また、紙間距離が2.0mm、走査速度が40ips、記録率が50%であり、領域Cに記録を行う場合、(92)に示す位置関係における走査では図11(b1)に示す間引き率703を適用し、(94)に示す位置関係における走査では図11(b2)に示す間引き率704を適用する。更に、紙間距離が2.0mm、走査速度が40ips、記録率が25%であり、領域Cに記録を行う場合、(92)に示す位置関係における走査では図12(b1)に示す間引き率703のうち、複数の吐出口n1に対応する間引き率を50%から60%に変えた間引き率を適用する。また、(94)に示す位置関係における走査では図12(b2)に示す間引き率704のうち、複数の吐出口n2に対応する間引き率を50%から60%に変えた間引き率を適用する。
以上に記載したように、本実施形態では、つなぎ部に記録を行う際に該つなぎ部に対するインクの吐出量や走査速度、紙間距離の記録条件に応じて異なる間引き率を適用する。これにより、各記録条件に応じて発生する程度が異なるつなぎスジを効果的に抑制した記録を行うことが可能となる。
なお、各実施形態では、2値データに対してマスクパターンを用いてマスク処理を行って複数回の走査に2値データを分配した後、間引き率にしたがって更に2値データの間引くことにより補正処理を行う形態を記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、図9および図10に示す記録方式により記録する場合であれば、領域A、領域B、領域Cのそれぞれに対して記録を行う際に異なるマスクパターンを適用するような形態であっても良い。その場合、領域Aに対応するマスクパターン、領域Bに対応するマスクパターン、領域Cに対応するマスクパターンの順に記録許容画素と非記録許容画素の数の和に対する記録許容画素の数の比率が高くなるようなマスクパターンの組を適用すれば良い。
また、各実施形態には記録媒体のX方向における幅よりも長い幅を有する範囲において複数の吸引孔が形成されたプラテンを備えた形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、A4サイズの記録媒体と葉書サイズの記録媒体に記録することが可能であり、A4サイズの記録媒体に記録を行う場合には複数の吸引孔のすべてが該記録媒体により覆われ、葉書サイズの記録媒体に記録を行う場合には一部の吸引孔が露出するような記録装置においても本発明を適用することができる。この場合、A4サイズの記録媒体に記録を行う場合には各実施形態に記載した補正処理を行わず、葉書サイズの記録媒体に記録を行う場合に各実施形態に記載した補正処理を行うことにより本発明の効果を得ることができる。
また、各実施形態には第1の吐出口群が複数の吐出口n1と複数の吐出口n2の2つに分割された形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。すなわち、第1の吐出口群の中で一様に間引き率が定められていても良いし、また、第1の吐出口群が3つ以上に分割されていても良い。
また、各実施形態では2値データを間引く若しくは補正しない形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、つなぎ部のY方向における幅が各実施形態よりも短くなるように記録媒体が搬送される場合や、記録ヘッドの走査速度が著しく遅い場合等には、つなぎ部には黒スジよりも白スジが目立って生じる場合も考えられる。この場合、付加率にしたがって2値データの付加を行うことにより、白スジの発生をある程度抑制することができる。なお、この場合における記録データの記録率は上述の式2により算出することが可能である。
また、各実施形態ではマスクパターンを使用して2値データを複数回の走査に分配しているが、この分配の手段はマスクパターンに限定されるものではない。例えば、記録装置内に設けられた振りまき回路により画素ごとに記録データをそれぞれ複数の走査に対応する複数のバッファにシーケンシャルに振りまいて、各画素の記録をいずれの走査で記録するかを決定しても良い。上記の振りまき回路によれば、各画素に対してインクを何回目の走査にて吐出するかを制御することができる。このように、振りまき回路を用いてドット複数回の走査への2値データの分配を行う形態でも本発明の効果を得ることができる。
また、各実施形態では加熱により生じる発泡のエネルギーによりインクの吐出を行ういわゆるサーマルジェット型のインクジェット記録装置および記録方法について記載した。しかし、無論本発明はサーマルジェット型のインクジェット記録装置に限定されるものではなく、例えば圧電素子を利用してインクの吐出を行ういわゆるピエゾ型のインクジェット記録装置等、様々な記録制御装置に対して有効に適用できる。
また、各実施形態には記録装置を用いた記録方法について記載したが、各実施形態に記載の記録方法を行うためのデータを生成する画像処理装置や画像処理方法であっても良い。更に、本発明はプログラムを記録装置とは別体に用意する形態や記録装置の一部に備える形態等、広く適用することができる。
2 プラテン
3 記録媒体
7 記録ヘッド
22 吐出口列
26 吸引孔
31a 第1の吐出口(第1の吐出口群)
31b 第2の吐出口(第1の吐出口群)
81a つなぎ部
404 ROM
417 補正処理部

Claims (20)

  1. インクを吐出するための複数の吐出口が配列方向に配列された吐出口列を有する記録ヘッドと、
    記録媒体を吸着するために吸引孔を通して空気を吸引する吸引手段と、
    前記記録ヘッドを前記記録媒体に対し前記配列方向と交差する走査方向に相対的に複数回走査させる走査手段と、
    前記記録媒体の前記走査方向における幅よりも長い前記走査方向における幅を有する範囲において前記複数の吸引孔が形成された、前記記録媒体を支持する支持部と、
    前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの第1の走査における前記吐出口列の前記配列方向における一方の端部に配列された所定数の第1の吐出口と、前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの前記第1の走査よりも後の第2の走査における前記吐出口列の前記配列方向における他方の端部に配列された所定数の第2の吐出口と、が前記記録媒体上の同じ領域または近接する領域にインクを吐出することが可能なように、前記記録媒体を前記記録ヘッドに対し前記走査方向と交差する搬送方向に相対的に搬送する搬送手段と、
    前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記情報が示す前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量と、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口からのインクの吐出量と、のそれぞれを前記記録ヘッドの前記走査方向における位置に応じた低減率に基づいて低減することにより補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正されたインクの吐出量に基づいてインクを吐出するように制御する制御手段と、を有する記録装置であって、
    前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が第1の位置である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の下流側である第2の位置である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする記録装置。
  2. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の上流側である第1の領域に含まれる場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第2の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の下流側である第2の領域に含まれる場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記第1の領域は、前記記録媒体上の前記走査方向における一方の端部に相当し、前記第2の領域は、前記記録媒体上の前記走査方向における他方の端部に相当することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置と前記第2の位置の間の位置である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置である場合における前記低減率よりも大きく、且つ、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第2の位置である場合における前記低減率よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が第3の位置である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第3の位置よりも前記第2の走査における前記走査方向の下流側である第4の位置である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記走査手段は、前記記録ヘッドを前記走査方向に沿って往方向および復方向に往復走査させることが可能であって、
    前記第1、第2の走査は、互いに同じ方向への走査であって、
    前記第3の位置は、前記第1の位置と前記走査方向に同じ位置であり、且つ、前記第4の位置は、前記第2の位置と前記走査方向に同じ位置であることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. 前記走査手段は、前記記録ヘッドを前記走査方向に沿って往方向および復方向に往復走査させることが可能であって、
    前記第1の走査は、前記往方向への走査であり、且つ、前記第2の走査は、前記復方向への走査であって、
    前記第3の位置は、前記第2の位置と前記走査方向に同じ位置であり、且つ、前記第4の位置は、前記第1の位置と前記走査方向に同じ位置であることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  8. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記取得手段により取得された前記情報が示す前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量が第1の吐出量である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記取得手段により取得された前記情報が示す前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量が前記第1の吐出量よりも多い第2の吐出量である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置。
  9. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドと前記支持部との間の距離が第1の距離である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドと前記支持部との間の距離が前記第1の距離より長い第2の距離である場合における前記低減率よりも小さいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
  10. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドの前記走査の速度が第1の速度である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドの前記走査の速度が前記第1の速度より遅い第2の速度である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
  11. 前記取得手段は、前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上のインクを吐出する画素領域を定めた記録データに基づいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する前記情報を取得し、
    前記補正手段は、前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口に対応する前記記録データと、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口に対応する前記記録データと、のそれぞれを前記低減率に基づいて補正し、
    前記制御手段は、前記補正手段により補正された前記記録データに基づいてインクを吐出するように制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の記録装置。
  12. 前記補正手段は、前記記録データを間引くことにより前記インクの吐出量を低減させることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
  13. インクを吐出するための複数の吐出口が配列方向に配列された吐出口列を有する記録ヘッドと、
    記録媒体を吸着するために吸引孔を通して空気を吸引する吸引手段と、
    前記記録ヘッドを前記記録媒体に対し前記配列方向と交差する走査方向に相対的に複数回走査させる走査手段と、
    前記記録媒体の前記走査方向における幅よりも長い前記走査方向における幅を有する範囲において前記複数の吸引孔が形成された、前記記録媒体を支持する支持部と、
    前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの第1の走査における前記吐出口列の前記配列方向における一方の端部に配列された所定数の第1の吐出口と、前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの前記第1の走査よりも後の第2の走査における前記吐出口列の前記配列方向における他方の端部に配列された所定数の第2の吐出口と、が前記記録媒体上の同じ領域または近接する領域にインクを吐出することが可能なように、前記記録媒体を前記記録ヘッドに対し前記走査方向と交差する搬送方向に相対的に搬送する搬送手段と、
    前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記情報が示す前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量と、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口からのインクの吐出量と、のそれぞれを前記記録ヘッドの前記走査方向における位置に応じた増加率に基づいて増加することにより補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正されたインクの吐出量に基づいてインクを吐出するように制御する制御手段と、を有する記録装置であって、
    前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が第1の位置である場合における前記増加率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の下流側である第2の位置である場合における前記増加率よりも小さいことを特徴とする記録装置。
  14. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記取得手段により取得された前記情報が示す前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量が第1の吐出量である場合における前記増加率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記取得手段により取得された前記情報が示す前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量が前記第1の吐出量よりも多い第2の吐出量である場合における前記増加率よりも小さいことを特徴とする請求項13に記載の記録装置。
  15. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドと前記支持部との間の距離が第1の距離である場合における前記増加率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドと前記支持部との間の距離が前記第1の距離より長い第2の距離である場合における前記増加率よりも小さいことを特徴とする請求項13または14に記載の記録装置。
  16. 前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドの前記走査の速度が第1の速度である場合における前記増加率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置であり、前記記録ヘッドの前記走査の速度が前記第1の速度より遅い第2の速度である場合における前記増加率よりも小さいことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の記録装置。
  17. 前記取得手段は、前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上のインクを吐出する画素領域を定めた記録データに基づいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する前記情報を取得し、
    前記補正手段は、前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口に対応する前記記録データと、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口に対応する前記記録データと、のそれぞれを前記増加率に基づいて補正し、
    前記制御手段は、前記補正手段により補正された前記記録データに基づいてインクを吐出するように制御することを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の記録装置。
  18. 前記補正手段は、前記記録データを付加することにより前記インクの吐出量を増加させることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の記録装置。
  19. インクを吐出するための複数の吐出口が配列方向に配列された所定の吐出口列を有する記録ヘッドを前記記録媒体に対し前記配列方向と交差する走査方向に相対的に複数回走査させ、
    記録媒体を支持する支持部に対して前記記録媒体を吸着するために、前記支持部に前記記録媒体の前記走査方向における幅よりも長い前記走査方向における幅を有する範囲において形成された複数の吸引孔を通して空気を吸引し、
    前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの第1の走査における前記吐出口列の前記配列方向における一方の端部に配列された所定数の第1の吐出口と、前記記録ヘッドの前記複数回の走査のうちの前記第1の走査よりも後の第2の走査における前記吐出口列の前記配列方向における他方の端部に配列された所定数の第2の吐出口と、が前記記録媒体上の同じ領域または近接する領域にインクを吐出することが可能なように、前記記録媒体を前記記録ヘッドに対し前記走査方向と交差する搬送方向に相対的に搬送し、
    前記複数回の走査のそれぞれにおいて前記記録媒体上に吐出するインクの吐出量に関する情報を取得し、
    取得された前記情報が示す前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量と、前記第2の走査における前記所定数の第2の吐出口からのインクの吐出量と、のそれぞれを前記記録ヘッドの前記走査方向における位置に応じた低減率に基づいて低減することにより補正し、
    補正されたインクの吐出量に基づいてインクを吐出するように制御する記録方法であって、
    前記第1の走査における前記所定数の第1の吐出口からのインクの吐出量に関し、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が第1の位置である場合における前記低減率が、前記記録ヘッドの前記走査方向における位置が前記第1の位置よりも前記第1の走査における前記走査方向の下流側である第2の位置である場合における前記低減率よりも大きいことを特徴とする記録方法。
  20. 請求項19に記載の記録方法を実行するために、記録装置のコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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