以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。図1に示す本実施例の複写装置1は、読取デバイス20と、記録デバイス50とを備える。読取デバイス20は、フラットベッド型又はオートドキュメントフィーダ型のスキャナ装置として構成される。記録デバイス50は、インクジェット型のプリンタ装置として構成される。
この複写装置1は、読取デバイス20により原稿Pの画像を読み取り、その読取画像を表す読取画像データD0に基づき、記録用の画像データD3を生成する。複写装置1は、この記録用の画像データD3に基づく用紙Qへの記録動作を記録デバイス50に実行させることにより、原稿Pのコピー画像を用紙Qに形成する。
この読取動作及び記録動作を実現するために、複写装置1は、CPU11と、ROM13と、RAM15と、読取デバイス20と、読取デバイス20を制御する読取制御回路30と、ユーザインタフェース40と、記録デバイス50と、記録デバイス50を制御する記録制御回路60とを備える。
複写装置1は更に、読取デバイス20により生成される読取画像データD0から記録用の画像データD3を生成するために、読取補正回路70と、第一画像処理回路80と、第二画像処理回路90とを備える。CPU11、ROM13、RAM15、読取制御回路30、ユーザインタフェース40、記録制御回路60、読取補正回路70、第一画像処理回路80、及び第二画像処理回路90は、バスを介して通信可能に接続される。
CPU11は、ROM13に記録されたプログラムに従う処理を実行することにより、複写装置1内各部を統括制御する。RAM15は、ワークメモリとして使用される。読取デバイス20は、ラインセンサ21と、搬送機構25とを備える。ラインセンサ21は、例えばコンタクトイメージセンサ(CIS)として構成される。搬送機構25は、ラインセンサ21及び/又は原稿Pを搬送可能に構成される。図2Aに示す例によれば、読取デバイス20は、フラットベッド型のスキャナ装置として構成され、プラテンガラス上に載置された原稿Pを下方に配置されたラインセンサ21により読取可能に構成される。
図2Aに示す例によれば、ラインセンサ21は、主走査方向に沿って配置される。搬送機構25は、ベルト機構251とモータ253とを備え、ラインセンサ21を複写装置1の主走査方向とは直交する副走査方向に沿って搬送する構成にされる。この例によれば、ラインセンサ21は、ベルト機構251が備える無端ベルトに接続され、モータ253からの動力を受けてベルト機構251(無端ベルト)が回転することにより、副走査方向に搬送される。
読取デバイス20は、読取制御回路30により制御されて、搬送機構25により原稿Pとラインセンサ21との相対位置を副走査方向に変化させながら、ラインセンサ21による主走査方向への読取動作を繰返し実行することにより、原稿Pの読取画像を表す読取画像データD0を生成する。読取デバイス20は、この読取画像データD0を順に、読取補正回路70に入力する。
読取制御回路30は、CPU11からの指令に従って、ラインセンサ21によるライン毎の読取動作を制御し、更には、搬送機構25による搬送動作を制御する。CPU11は、ユーザインタフェース40を介して複写指令が入力されると、読取制御回路30に動作指令を入力する。ユーザインタフェース40は、ユーザからの操作を受付可能に構成され、更には、ユーザに対する各種情報を表示可能な構成にされる。
記録デバイス50は、記録ヘッド51と、インクタンク群53と、搬送機構55とを備える。記録ヘッド51は、インクジェットヘッドとして構成される。インクタンク群53は、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のインクを収容する色毎のインクタンクの一群から構成される。本実施例において、黒インクは、顔料インクであり、その他の各色(シアン、マゼンタ、イエローの夫々)のカラーインクは、染色インクである。これらのインクは、記録ヘッド51に供給されて、記録ヘッド51から吐出される。
搬送機構55は、図2Bに示されるように、記録ヘッド51を主走査方向に沿って往復動させるために、キャリッジ551と、ベルト機構553と、モータ555とを備える。ベルト機構553は、モータ555からの動力を受けて回転し、ベルト機構553の無端ベルトに接続されたキャリッジ551を主走査方向に沿って搬送する。これにより、キャリッジ551に搭載された記録ヘッド51は、主走査方向に沿って往復動される。搬送機構55は、用紙Qを副走査方向に搬送するために、搬送ローラ557と、モータ559とを備える。搬送ローラ557は、モータ559により回転駆動されることにより、記録ヘッド51によるインク液滴吐出位置に向けて用紙Qを搬送する。
記録デバイス50は、記録制御回路60により制御されて、従来装置と同様に、用紙Qに画像を形成する。即ち、記録デバイス50は、記録ヘッド51を主走査方向に沿って片道分搬送し、その搬送過程では、記録ヘッド51に用紙Qに向けてインク液滴を吐出させることにより、記録ヘッド51に記録動作を実行させる。
記録デバイス50は、この記録ヘッド51を片道分搬送して用紙Qに画像を形成する動作、及び、用紙Qを副走査方向に沿って所定量搬送する動作を繰返し実行することにより、用紙Qの全体に画像を形成する。複写機能により用紙Qに形成される画像は、読取デバイス20により読み取られた原稿Pのコピー画像である。
記録制御回路60は、CPU11からの指令に従って、記録ヘッド51及び搬送機構55を制御する。具体的には、記録ヘッド51による記録動作(インク液滴の吐出動作)を制御する。更には、搬送機構55による記録ヘッド51及び用紙Qの搬送動作を制御する。この制御により、記録制御回路60は、記録デバイス50に、第二画像処理回路90により生成された記録用の画像データD3に基づく画像として、原稿Pのコピー画像を用紙Qに形成させる。
続いて、読取画像データD0を記録用の画像データD3に変換するための回路70,80,90の構成を説明する。読取補正回路70は、ラインセンサ21から入力される読取画像データD0を、アナログデータからディジタルデータに変換し、変換後の読取画像データD0に対しシェーディング補正を含む各種読取補正を行うように構成される。読取補正回路70によって補正された読取画像データD1は、RAM15に記憶される。
第一画像処理回路80は、RAM15から読取画像データD1を読み出し、読み出した読取画像データD1をRGB表色系からCMYK表色系の読取画像データD2に変換するように構成される。第一画像処理回路80により生成された読取画像データD2は、RAM15に記憶される。
第二画像処理回路90は、RAM15が記憶する読取画像データD2を順次読み出して、これを記録用の画像データD3に変換するように構成される。第二画像処理回路90は、読取画像データD2を二値化処理して、記録用の画像データD3に変換する。第二画像処理回路90により生成された記録用の画像データD3は、RAM15に記憶される。記録制御回路60は、この第二画像処理回路90により生成された記録用の画像データD3に基づく画像を用紙Qに形成させるように、記録デバイス50を制御する。
続いて、第二画像処理回路90の詳細を説明する。本実施例では顔料インクと染料インクとを用いて用紙Qにカラー画像を形成するため、顔料インク及び染料インクの浸透特性の違いに起因して、黒画素とカラー画素との間で用紙Q上においてインクにじみが生じる可能性がある。
第二画像処理回路90は、このインクにじみを抑制するために、CMYK表色系の読取画像データD2が有する各画素の画素値を補正するように動作する。各画素の画素値は、黒(K)成分値、シアン(C)成分値、マゼンタ(M)成分値、及び、イエロー(Y)成分値の4値によって該当画素の色を表現するものであり、各成分値は、該当画素を用紙Qに記録するときに用いられる各色のインク量に対応する。以下では、黒成分、シアン成分、マゼンタ成分、及び、イエロー成分のことを、夫々順に、K成分、C成分、M成分、及び、Y成分とも表現する。
例えば、図3Aに示すように、黒インク(顔料インク)を用いて用紙Q上に記録される黒画素に、カラーインク(染料インク)を用いて記録されるカラー画素が隣接する場合、カラーインクに接触する黒インクが境界からカラーインク側へ引っ張られて、にじみ現象が発生する可能性がある。図3A−3Dにおいて斜線でハッチングされた領域は、主に黒インクで形成された画像領域に対応し、ドットでハッチングされた領域は、主にカラーインクで形成された画像領域に対応する。
本実施例では、このにじみ現象を抑制するために、黒画素の周辺に所定条件を満足するカラー画素が存在する場合には、この黒画素をにじみ抑制対象画素と判定する。そして、図3Bに示すように、黒画素が有するK成分の一部又は全部を、CMY成分に振り分けるように黒画素の画素値を補正する。図3Bにおいて横線でハッチングされた領域が補正された領域に対応する。図4Aに示す例によれば、K成分の一部を低減し、CMY成分を増加させるように画素値を補正する。これにより、黒画素のK成分の一部又は全部を、コンポジットブラックで表現するように、黒画素の画素値を補正する。このようにして、カラー画素と隣接する黒画素の黒インク量を抑え、インクにじみを抑制する。
一方、カラー画素の周辺に所定条件を満足する黒画素が存在する場合には、このカラー画素をにじみ抑制対象画素と判定する。そして、図3Cに示すように、このカラー画素のCMY成分を低減するように、カラー画素の画素値を補正する。図3Cにおいてハッチングされていない領域が補正された領域に対応する。図4Bに示す例によれば、K成分値を補正せずCMY成分値を低減するように画素値を補正する。このようにして、黒画素と隣接するカラー画素のカラーインク量を抑え、インクにじみを抑制する。
実際には、所定条件を満足する関係で黒画素及びカラー画素が隣接する領域では、図3Dに示すように、黒画素に対する画素値の補正とカラー画素に対する画素値の補正との両者が行われて、インクにじみが適切に抑制される。
本実施例において、注目画素が上記にじみ抑制対象画素であるか否かの判定は、図5に示す周辺画素を参照することにより行われる。即ち、上記判定は、注目画素(CT)と副走査方向上流で隣り合う画素である上画素(UP)、注目画素(CT)と副走査方向下流で隣り合う画素である下画素(DW)、注目画素(CT)と主走査方向上流(左側)で隣り合う画素である第一左画素(L1)、この第一左画素(L1)の左側で隣り合う画素である第二左画素(L2)、注目画素(CT)と主走査方向下流(右側)で隣り合う画素である第一右画素(R1)、及び、この第一右画素(R1)の右側で隣り合う画素である第二右画素(R2)の画素値を参照して行われる。
ここで、図6A−6Eに示す例を用いて、判定及び補正方法を説明する。図6A−6Eでは、黒画素及びカラー画素をハッチングの種類によって区別可能に表現して、複数画素からなる画像を表現する。ドットでハッチングされたブロックは、カラー画素に対応し、斜線でハッチングされたブロックは、黒画素に対応する。図6A−6Eでは、注目画素及び周辺画素を太線で囲んで示す。
本実施例では、図6Aに示すように、注目画素(CT)が黒画素であり第一左画素(L1)がカラー画素であり、注目画素(CT)と第一左画素(L1)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定される。この場合、注目画素(CT)の画素値は、K成分値がゼロ又はゼロ近くまで低減され、CMY成分値が、K成分値の低減に対応して加算されるように補正される。これにより、低減されたK成分は、コンポジットブラックとしてCMY成分値で表現される。以下では、このような画素値の補正を、トリカラー置換とも表現する。
また、図6Bに示すように、注目画素(CT)及び第一左画素(L1)が黒画素であり第二左画素(L2)がカラー画素であり、注目画素(CT)と第二左画素(L2)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)は、にじみ抑制対象画素であると判定される。この場合、注目画素(CT)の画素値は、K成分値が低減され、CMY成分値が、K成分値の低減に対応して加算されるように補正される。これにより、低減されたK成分は、コンポジットブラックとしてCMY成分値で表現される。但し、K成分の低減量は、図6Aに示す例よりも少なく、K成分値は、ゼロにされない。以下では、このような画素値の補正を、テトラカラー置換とも表現する。
この他、図6Cに示すように、注目画素(CT)がカラー画素であり、第一左画素(L1)が黒画素であり、注目画素(CT)と第一左画素(L1)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)は、にじみ抑制対象画素であると判定される。この場合、注目画素(CT)の画素値は、CMY成分値が低減されるように補正される。以下では、このような画素値の補正を、カラー低減とも表現する。
本実施例では、図6Dに示すように、注目画素(CT)及び第一左画素(L1)がカラー画素であり、第二左画素(L2)が黒画素であり、注目画素(CT)と第二左画素(L2)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定される。この場合、注目画素(CT)の画素値は、図6Cのケースと同様に、CMY成分値が低減されるように補正される。
この他、図6Eに示すように、注目画素(CT)が黒画素であり、上画素(UP)又は下画素(DW)がカラー画素であり、注目画素(CT)と、カラー画素である上画素(UP)又は下画素(DW)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)は、にじみ抑制対象画素であると判定される。この場合、注目画素(CT)の画素値は、トリカラー置換される。即ち、注目画素(CT)の画素値は、K成分値が低減され、CMY成分値が、K成分値の低減に対応して加算されるように補正される。
注目画素と第一/第二右画素との間の関係が、図6A−6Dに示す注目画素と第一/第二左画素との間の関係と同じケースでも、注目画素の画素値は、同様に補正される。即ち、図6A−6Dを左右反転した場合の注目画素と周辺画素との関係においても、注目画素の画素値は、同様に補正される。図6Eにおいて黒画素とカラー画素が反転したケースのように、注目画素(CT)がカラー画素であり、上画素(UP)又は下画素(DW)が黒画素であり、注目画素(CT)と上画素(UP)又は下画素(DW)との間のK成分値の差が閾値以上であるとき、注目画素(CT)の画素値は、図6C及び図6Dのケースと同様に、CMY成分値が低減されるように補正される。
図7に示すように、第二画像処理回路90は、データ入力ブロック100と、副走査方向検出ブロック110と、ガンマ変換ブロック120と、ガンマテーブル125と、インク総量制限ブロック130と、主走査方向検出ブロック140と、ブリーディング補正ブロック160と、二値化処理ブロック170とを備える。これらのブロック100,110,120,130,140,160,170は、共通のクロック信号に基づき同期動作する。
データ入力ブロック100は、RAM15に記憶された画像データ(読取画像データD2)を構成する各画素の画素値を、注目画素(CT)の画素値として先頭画素から順に副走査方向検出ブロック110に入力すると共に、注目画素(CT)に対して副走査方向に隣接する上画素(UP)及び下画素(DW)の画素値を、注目画素(CT)の画素値と併せて副走査方向検出ブロック110に入力するように構成される。
具体的に、データ入力ブロック100は、図8に示すように、3ライン(line)×32画素(pix)の画素値を記憶保持可能なバッファを備え、画像データが有する各画素の画素値を上画素(UP)及び下画素(DW)の画素値と共にRAM15から読み出してバッファに記憶し、バッファに記憶した画素値を、3ライン×1画素の単位で順に副走査方向検出ブロック110に入力する。
副走査方向検出ブロック110は、データ入力ブロック100から入力される3ライン×1画素の画素値に基づき、注目画素がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定するように構成される。
図9に示すように、副走査方向検出ブロック110は、入力バッファ111、レジスタ113、黒画素置換判定部115、及び、カラー画素置換判定部117を備える。入力バッファ111は、データ入力ブロック100から入力される3ライン×1画素の画素値を記憶し、下流に伝送する。具体的に、入力バッファ111は、注目画素(CT)の画素値、上画素(UP)の画素値、及び、下画素(DW)の画素値からなる3ライン×1画素の画素値を、黒画素置換判定部115及びカラー画素置換判定部117に入力し、注目画素(CT)の画素値を、ガンマ変換ブロック120に入力するように構成される。
レジスタ113は、CPU11から第一黒判定値として入力される閾値TH_A、CPU11から第一カラー判定値として入力される閾値TH_B、CPU11から第一差分判定値として入力される閾値TH_Cを記憶する。
黒画素置換判定部115は、入力バッファ111からの上記3ライン×1画素の画素値と、レジスタ113からの閾値TH_A,TH_B,TH_Cとに基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象の黒画素であるか否かを判定する。
この黒画素置換判定部115は、注目画素(CT)がにじみ抑制対象の黒画素である場合、値1の判定フラグF_VBをガンマ変換ブロック120に入力し、注目画素(CT)がにじみ抑制対象の黒画素ではない場合には、値0の判定フラグF_VBをガンマ変換プロック120に入力する。
カラー画素置換判定部117は、入力バッファ111からの上記3ライン×1画素の画素値と、レジスタ113からの閾値TH_A,TH_B,TH_Cとに基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象のカラー画素であるか否かを判定する。
このカラー画素置換判定部117は、注目画素(CT)がにじみ抑制対象のカラー画素である場合、値1の判定フラグF_VCをガンマ変換ブロック120に入力し、注目画素(CT)がにじみ抑制対象のカラー画素ではない場合には、値0の判定フラグF_VCをガンマ変換ブロック120に入力する。
図10Aに示すように、黒画素置換判定部115は、注目画素黒判定部1151、上画素カラー判定部1152、上画素差分判定部1153、下画素カラー判定部1154、下画素差分判定部1155、上画素判定部1157、下画素判定部1158、及び、抑制対象判定部1159を備える。
注目画素黒判定部1151は、入力バッファ111からの注目画素(CT)のK成分値K[ct]及びレジスタ113からの閾値TH_Aに基づき、注目画素(CT)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を抑制対象判定部1159に入力する。具体的に、注目画素黒判定部1151は、注目画素の(CT)のK成分値K[ct]が閾値TH_A以上である場合、注目画素(CT)が黒画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)が黒画素ではないと判定する。
上画素カラー判定部1152は、入力バッファ111からの上画素(UP)のCMY成分値CMY[up]及びレジスタ113からの閾値TH_Bに基づき、上画素(UP)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を上画素判定部1157に入力する。値CMY[up]は、上画素(UP)のC成分値C[up]、M成分値M[up]、及び、Y成分値Y[up]の組み合わせに対応する。
上画素カラー判定部1152は、C成分値C[up]、M成分値M[up]、及び、Y成分値Y[up]の合計(C[up]+M[up]+Y[up])が閾値TH_B以上である場合、上画素(UP)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には、上画素(UP)がカラー画素ではないと判定する。
上画素差分判定部1153は、入力バッファ111からの注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び上画素(UP)のK成分値K[up]、並びに、レジスタ113からの閾値TH_Cに基づき、K成分値に関して上画素(UP)が注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を上画素判定部1157に入力する。上画素差分判定部1153は、K成分値の差|K[up]−K[ct]|が閾値TH_C以上ある場合に、上画素(UP)が上記差を有する画素であると判定する。
下画素カラー判定部1154は、上画素カラー判定部1152と同様に、入力バッファ111からの下画素(DW)のCMY成分値CMY[dw]及びレジスタ113からの閾値TH_Bに基づき、下画素(DW)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を下画素判定部1158に入力する。値CMY[dw]は、下画素(DW)のC成分値C[dw]、M成分値M[dw]、及び、Y成分値Y[dw]の組み合わせに対応する。
即ち、下画素カラー判定部1154は、下画素(DW)のCMY成分値の合計(C[dw]+M[dw]+Y[dw])が閾値TH_B以上である場合、下画素(DW)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には下画素(DW)がカラー画素ではないと判定する。
下画素差分判定部1155は、上画素差分判定部1153と同様に、入力バッファ111からの注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び下画素(DW)のK成分値K[dw]、並びに、レジスタ113からの閾値TH_Cに基づき、K成分値に関して下画素(DW)が注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を下画素判定部1158に入力するように構成される。
上画素判定部1157は、上画素カラー判定部1152からの判定結果と、上画素差分判定部1153からの判定結果とに基づき、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、上画素(UP)がカラー画素であると判定され、且つ、上画素(UP)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であると判定されている場合、上画素判定部1157は、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。上画素判定部1157は、この判定結果を、抑制対象判定部1159に入力する。
下画素判定部1158は、下画素カラー判定部1154及び下画素差分判定部1155からの判定結果に基づき、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、下画素(DW)がカラー画素であると判定され、且つ、下画素(DW)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であると判定されている場合、下画素判定部1158は、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。下画素判定部1158は、この判定結果を、抑制対象判定部1159に入力する。
抑制対象判定部1159は、注目画素黒判定部1151、上画素判定部1157、及び下画素判定部1158の判定結果に基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定する。具体的に、抑制対象判定部1159は、注目画素(CT)が黒画素であると判定され、且つ、上画素(UP)及び下画素(DW)の少なくとも一方がにじみ抑制対象周辺画素であると判定されている場合、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素ではないと判定する。抑制対象判定部1159は、この判定結果に従う判定フラグF_VBを出力する。判定フラグF_VBは、注目画素(CT)が黒画素であり、且つ、にじみ抑制対象画素である場合に、値1にセットされ、それ以外の場合には、値0にリセットされる。この判定フラグF_VBは、注目画素(CT)がトリカラー置換する必要のある画素であるか否かを表す。
カラー画素置換判定部117は、図10Bに示すように、注目画素カラー判定部1171、上画素黒判定部1172、上画素差分判定部1173、下画素黒判定部1174、下画素差分判定部1175、上画素判定部1177、下画素判定部1178、及び、抑制対象判定部1179を備える。
注目画素カラー判定部1171は、入力バッファ111からの注目画素(CT)のCMY成分値CMY[ct]及びレジスタ113からの閾値TH_Bに基づき、注目画素(CT)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を抑制対象判定部1179に入力する。具体的に、注目画素カラー判定部1171は、注目画素の(CT)のCMY成分値CMY[ct]の合計(C[ct]+M[ct]+Y[ct])が閾値TH_B以上である場合、注目画素(CT)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には注目画素(CT)がカラー画素ではないと判定する。
上画素黒判定部1172は、入力バッファ111からの上画素(UP)のK成分値K[up]及びレジスタ113からの閾値TH_Aに基づき、上画素(UP)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を上画素判定部1177に入力する。即ち、上画素黒判定部1172は、上画素(UP)の黒成分値K[up]が閾値TH_A以上である場合、上画素(UP)が黒画素であると判定し、それ以外の場合には、上画素(UP)が黒画素ではないと判定する。
上画素差分判定部1173は、上画素差分判定部1153と同様に、入力バッファ111からの注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び上画素(UP)のK成分値K[up]、並びに、レジスタ113からの閾値TH_Cに基づき、上画素(UP)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を上画素判定部1177に入力する。
下画素黒判定部1174は、入力バッファ111からの下画素(DW)のK成分値K[dw]及びレジスタ113からの閾値TH_Aに基づき、上画素黒判定部1172と同様に、下画素(DW)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を下画素判定部1178に入力する。
下画素差分判定部1175は、上画素差分判定部1173と同様に、入力バッファ111からの注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び下画素(DW)のK成分値K[dw]、並びに、レジスタ113からの閾値TH_Cに基づき、下画素(DW)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を下画素判定部1178に入力する。
上画素判定部1177は、上画素黒判定部1172及び上画素差分判定部1173からの判定結果に基づき、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、上画素(UP)が黒画素であると判定され、且つ、上画素(UP)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であると判定されている場合、上画素判定部1177は、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、上画素(UP)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。そして、この判定結果を、抑制対象判定部1179に入力する。
下画素判定部1178は、下画素黒判定部1174及び下画素差分判定部1175からの判定結果に基づき、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、下画素(DW)が黒画素であると判定され、且つ、下画素(DW)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C以上の差を有する画素であると判定されている場合、下画素判定部1178は、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、下画素(DW)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。そして、この判定結果を、抑制対象判定部1179に入力する。
抑制対象判定部1179は、注目画素カラー判定部1171、上画素判定部1177及び下画素判定部1178の判定結果に基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定する。具体的に、抑制対象判定部1179は、注目画素(CT)がカラー画素であると判定され、且つ、上画素(UP)及び下画素(DW)の少なくとも一方がにじみ抑制対象周辺画素であると判定されている場合、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素ではないと判定して、判定結果に従う判定フラグF_VCを出力する。
判定フラグF_VCは、注目画素(CT)がカラー画素であり、且つ、にじみ抑制対象画素である場合、値1にセットされ、それ以外の場合には、値0にリセットされる。この判定フラグF_VCは、注目画素(CT)がカラー低減する必要のある画素であるか否かを表す。
副走査方向検出ブロック110は、データ入力ブロック100からの注目画素(CT)の画素値の入力周期(取得周期)に合わせて、この注目画素(CT)の画素値に基づく上記判定を行い、判定結果としての上記判定フラグF_VB,F_VCを、注目画素(CT)の画素値と共にガンマ変換ブロック120に入力することにより、注目画素(CT)の画素値と関連付けて、この注目画素(CT)の判定フラグF_VB,F_VCをガンマ変換ブロック120に入力する。
副走査方向検出ブロック110の下流に位置するガンマ変換ブロック120は、副走査方向検出ブロック110から注目画素(CT)の画素値として順に入力される各画素の画素値を、ガンマテーブル125に従ってガンマ変換し、ガンマ変換後の画素値を、インク総量制限ブロック130に入力する。ガンマテーブル125は、変換対象の画素値(入力値)と変換後の画素値(出力値)との対応関係を記憶する。画像データを構成する各画素の画素値は、ガンマ変換ブロック120において、ガンマテーブル125に従ってライン毎にガンマ変換(ガンマ補正)される。
ガンマ変換ブロック120は、副走査方向検出ブロック110から入力される注目画素(CT)の上記判定フラグF_VB,F_VCを、この画素のガンマ変換後の画素値と併せて、インク総量制限ブロック130に入力する。
インク総量制限ブロック130は、ガンマ変換ブロック120から入力されるガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値(K[ct],CMY[ct])の内、CMY成分値CMY[ct]を、その合計(C[ct]+M[ct]+Y[ct])が上限値を超えないように補正し、補正後のCMY成分値CMY[ct]を、ガンマ変換ブロック120から入力された注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び判定フラグF_VB,F_VCと共に、主走査方向検出ブロック140に入力する。
主走査方向検出ブロック140は、図11に示すように、入力バッファ141、レジスタ143、黒画素トリカラー置換判定部145、黒画素テトラカラー置換判定部147、及びカラー画素置換判定部149を有する。入力バッファ141は、インク総量制限ブロック130から注目画素(CT)の画素値として順に入力される各画素の画素値を、1ライン×5画素分記憶するように構成される。即ち、入力バッファ141は、図5に示す注目画素(CT)を中心とした同一ライン上の5つの画素である、第二左画素(L2)、第一左画素(L1)、注目画素(CT)、第一右画素(R1)、及び第二右画素(R2)の画素値を記憶する構成にされる。
レジスタ143は、CPU11から第二黒判定値として入力される閾値TH_A*、CPU11から第二カラー判定値として入力される閾値TH_B*、CPU11から第二差分判定値として入力される閾値TH_C*を記憶する。
黒画素トリカラー置換判定部145は、入力バッファ141が記憶する1ライン×5画素の画素値の内の、第一左画素(L1)、注目画素(CT)、及び第一右画素(R1)の画素値と、閾値TH_A*,TH_B*,TH_C*とに基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象の黒画素であるか否かを判定するように構成される。
黒画素トリカラー置換判定部145は、図12Aに示すように、注目画素黒判定部1451、第一左画素カラー判定部1452、第一左画素差分判定部1453、第一右画素カラー判定部1454、第一右画素差分判定部1455、第一左画素判定部1457、第一右画素判定部1458、及び抑制対象判定部1459を備える。
注目画素黒判定部1451は、注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び閾値TH_A*に基づき、注目画素(CT)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を抑制対象判定部1459に入力する。具体的に、注目画素黒判定部1451は、注目画素の(CT)のK成分値K[ct]が閾値TH_A*以上である場合、注目画素(CT)が黒画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)が黒画素ではないと判定する。
第一左画素カラー判定部1452は、第一左画素(L1)のCMY成分値CMY[L1]及び閾値TH_B*に基づき、第一左画素(L1)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一左画素判定部1457に入力する。値CMY[L1]は、第一左画素(L1)のC成分値C[L1]、M成分値M[L1]、及び、Y成分値Y[L1]の組み合わせに対応する。具体的に、第一左画素カラー判定部1452は、CMY成分値の合計(C[L1]+M[L1]+Y[L1])が閾値TH_B*以上である場合、第一左画素(L1)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には、第一左画素(L1)がカラー画素ではないと判定する。
第一左画素差分判定部1453は、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第一左画素(L1)のK成分値K[L1]、及び閾値TH_C*に基づき、K成分値に関して第一左画素(L1)が注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一左画素判定部1457に入力する。即ち、第一左画素差分判定部1453は、K成分値の差|K[L1]−K[ct]|が閾値TH_C*以上ある場合に、第一左画素(L1)が上記差を有する画素であると判定する。
第一右画素カラー判定部1454は、第一左画素カラー判定部1452と同様に、第一右画素(R1)のCMY成分値CMY[R1]及び閾値TH_B*に基づき、第一右画素(R1)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一右画素判定部1458に入力する。値CMY[R1]は、第一右画素(R1)のC成分値C[R1]、M成分値M[R1]、及びY成分値Y[R1]の組み合わせに対応する。第一右画素カラー判定部1454は、第一右画素(R1)のCMY成分値の合計が閾値TH_B*以上である場合、第一右画素(R1)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には第一右画素(R1)がカラー画素ではないと判定する。
第一右画素差分判定部1455は、第一左画素差分判定部1453と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第一右画素(R1)のK成分値K[R1]、及び閾値TH_C*に基づき、K成分値に関して第一右画素(R1)が注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一右画素判定部1458に入力する。
第一左画素判定部1457は、第一左画素カラー判定部1452及び第一左画素差分判定部1453からの判定結果に基づき、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第一左画素(L1)がカラー画素であると判定され、第一左画素(L1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第一左画素判定部1457は、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第一左画素判定部1457は、この判定結果を抑制対象判定部1459に入力する。
第一右画素判定部1458は、第一右画素カラー判定部1454及び第一右画素差分判定部1455からの判定結果に基づき、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第一右画素(R1)がカラー画素であると判定され、第一右画素(R1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第一右画素判定部1458は、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第一右画素判定部1458は、この判定結果を抑制対象判定部1459に入力する。
抑制対象判定部1459は、注目画素黒判定部1451、第一左画素判定部1457、及び第一右画素判定部1458の判定結果に基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定する。具体的に、抑制対象判定部1459は、注目画素(CT)が黒画素であると判定され、且つ、第一左画素(L1)及び第一右画素(R1)の少なくとも一方がにじみ抑制対象周辺画素であると判定されている場合、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素ではないと判定する。抑制対象判定部1459は、この判定結果に従う判定フラグF_HB1をブリーディング補正ブロック160に入力する。判定フラグF_HB1は、注目画素(CT)が黒画素であり、且つ、にじみ抑制対象画素である場合に、値1にセットされ、それ以外の場合には、値0にリセットされる。判定フラグF_HB1は、注目画素(CT)がトリカラー置換する必要のある画素であるか否かを表す。
黒画素テトラカラー置換判定部147は、入力バッファ141が記憶する1ライン×5画素の画素値の内の、第二左画素(L2)、注目画素(CT)、及び第二右画素(R2)の画素値と、レジスタ143からの閾値TH_A*,TH_B*,TH_C*とに基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象の黒画素であるか否かを判定する。
黒画素テトラカラー置換判定部147は、図12Bに示すように、注目画素黒判定部1471、第二左画素カラー判定部1472、第二左画素差分判定部1473、第二右画素カラー判定部1474、第二右画素差分判定部1475、第二左画素判定部1477、第二右画素判定部1478、及び抑制対象判定部1479を備える。
注目画素黒判定部1471は、注目画素黒判定部1451と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]及び閾値TH_A*に基づき、注目画素(CT)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を抑制対象判定部1479に入力する。
第二左画素カラー判定部1472は、第一左画素カラー判定部1452と同様に、第二左画素(L2)のCMY成分値CMY[L2]の合計及び閾値TH_B*に基づき、第二左画素(L2)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二左画素判定部1477に入力する。値CMY[L2]は、第二左画素(L2)のC成分値C[L2]、M成分値M[L2]、及び、Y成分値Y[L2]の組み合わせに対応する。
第二左画素差分判定部1473は、第一左画素差分判定部1453と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第二左画素(L2)のK成分値K[L2]、及び閾値TH_C*に基づき、K成分値に関して第二左画素(L2)が注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二左画素判定部1477に入力する。
第二右画素カラー判定部1474は、第一右画素カラー判定部1454と同様に、第二右画素(R2)のCMY成分値CMY[R2]の合計及び閾値TH_B*に基づき、第二右画素(R2)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二右画素判定部1478に入力する。値CMY[R2]は、第二右画素(R2)のC成分値C[R2]、M成分値M[R2]、及び、Y成分値Y[R2]の組み合わせに対応する。
第二右画素差分判定部1475は、第一右画素差分判定部1455と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第二右画素(R2)のK成分値K[R2]、及び閾値TH_C*に基づき、K成分値に関して第二右画素(R2)が注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二右画素判定部1478に入力する。
第二左画素判定部1477は、第二左画素カラー判定部1472及び第二左画素差分判定部1473からの判定結果に基づき、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第二左画素(L2)がカラー画素であると判定され、第二左画素(L2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第二左画素判定部1477は、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第二左画素判定部1477は、この判定結果を抑制対象判定部1479に入力する。
第二右画素判定部1478は、第二右画素カラー判定部1474及び第二右画素差分判定部1475からの判定結果に基づき、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第二右画素(R2)がカラー画素であると判定され、第二右画素(R2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第二右画素判定部1478は、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第二右画素判定部1478は、この判定結果を抑制対象判定部1479に入力する。
抑制対象判定部1479は、注目画素黒判定部1471、第二左画素判定部1477、及び第二右画素判定部1478の判定結果に基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定する。具体的に、抑制対象判定部1479は、注目画素(CT)が黒画素であると判定され、且つ、第二左画素(L2)及び第二右画素(R2)の少なくとも一方がにじみ抑制対象周辺画素であると判定されている場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素ではないと判定する。抑制対象判定部1479は、この判定結果に従う判定フラグF_HB2を出力する。判定フラグF_HB2は、注目画素(CT)が黒画素であり、且つ、にじみ抑制対象画素である場合に、値1にセットされ、それ以外の場合には、値0にリセットされる。判定フラグF_HB2は、注目画素(CT)がテトラカラー置換する必要のある画素であるかを表す。
カラー画素置換判定部149は、図13に示すように、注目画素カラー判定部1491、第一左画素黒判定部1492、第一左画素差分判定部1493、第二左画素黒判定部1494、第二左画素差分判定部1495、第一右画素黒判定部1496、第一右画素差分判定部1497、第二右画素黒判定部1498、第二右画素差分判定部1499、第一左画素判定部1501、第二左画素判定部1502、第一右画素判定部1503、第二右画素判定部1504、及び抑制対象判定部1505を備える。
注目画素カラー判定部1491は、注目画素(CT)のCMY成分値CMY[ct]及び閾値TH_B*に基づき、注目画素(CT)がカラー画素であるか否かを判定し、その判定結果を抑制対象判定部1505に入力するように構成される。注目画素カラー判定部1491は、注目画素の(CT)のCMY成分値CMY[ct]の合計(C[ct]+M[ct]+Y[ct])が閾値TH_B*以上である場合、注目画素(CT)がカラー画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がカラー画素ではないと判定する。
第一左画素黒判定部1492は、第一左画素(L1)のK成分値K[L1]及び閾値TH_A*に基づき、第一左画素(L1)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一左画素判定部1501に入力する。即ち、第一左画素黒判定部1492は、第一左画素の(L1)の黒成分値K[L1]が閾値TH_A*以上である場合、第一左画素(L1)が黒画素であると判定し、それ以外の場合には、第一左画素(L1)が黒画素ではないと判定する。
第一左画素差分判定部1493は、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第一左画素(L1)のK成分値K[L1]、及び閾値TH_C*に基づき、第一左画素(L1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一左画素判定部1501に入力する。
第二左画素黒判定部1494は、第二左画素(L2)のK成分値K[L2]及び閾値TH_A*に基づき、第一左画素黒判定部1492と同様に、第二左画素(L2)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二左画素判定部1502に入力する。
第二左画素差分判定部1495は、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第二左画素(L2)のK成分値K[L2]、及び閾値TH_C*に基づき、第一左画素差分判定部1493と同様に、第二左画素(L2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二左画素判定部1502に入力する。
第一右画素黒判定部1496は、第一右画素(R1)のK成分値K[R1]及び閾値TH_A*に基づき、第一左画素黒判定部1492と同様に、第一右画素(R1)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一右画素判定部1503に入力する。
第一右画素差分判定部1497は、第一左画素差分判定部1493と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第一右画素(R1)のK成分値K[R1]、及び閾値TH_C*に基づき、第一右画素(R1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第一右画素判定部1503に入力する。
第二右画素黒判定部1498は、第二右画素(R2)のK成分値K[R2]及び閾値TH_A*に基づき、第一右画素黒判定部1496と同様に、第二右画素(R2)が黒画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二右画素判定部1504に入力する。
第二右画素差分判定部1499は、第一右画素差分判定部1497と同様に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]、第二右画素(R2)のK成分値K[R2]、及び閾値TH_C*に基づき、第二右画素(R2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であるか否かを判定し、その判定結果を第二右画素判定部1504に入力する。
第一左画素判定部1501は、第一左画素黒判定部1492及び第一左画素差分判定部1493からの判定結果に基づき、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第一左画素(L1)が黒画素であると判定され、第一左画素(L1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第一左画素判定部1501は、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第一左画素(L1)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第一左画素判定部1501は、この判定結果を抑制対象判定部1505に入力する。
第二左画素判定部1502は、第二左画素黒判定部1494及び第二左画素差分判定部1495からの判定結果に基づき、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第二左画素(L2)が黒画素であると判定され、第二左画素(L2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第二左画素判定部1502は、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第二左画素(L2)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第二左画素判定部1502は、この判定結果を抑制対象判定部1505に入力する。
第一右画素判定部1503は、第一右画素黒判定部1496及び第一右画素差分判定部1497からの判定結果に基づき、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第一右画素(R1)が黒画素であると判定され、第一右画素(R1)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第一右画素判定部1503は、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第一右画素(R1)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第一右画素判定部1503は、この判定結果を抑制対象判定部1505に入力する。
第二右画素判定部1504は、第二右画素黒判定部1498及び第二右画素差分判定部1499からの判定結果に基づき、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素であるか否かを判定する。具体的に、第二右画素(R2)が黒画素であると判定され、第二右画素(R2)がK成分値に関して注目画素(CT)と閾値TH_C*以上の差を有する画素であると判定されている場合、第二右画素判定部1504は、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素であると判定し、それ以外の場合には、第二右画素(R2)がにじみ抑制対象周辺画素ではないと判定する。第二右画素判定部1504は、この判定結果を抑制対象判定部1505に入力する。
抑制対象判定部1505は、注目画素カラー判定部1491、第一左画素判定部1501、第二左画素判定部1502、第一右画素判定部1503、及び第二右画素判定部1504の判定結果に基づき、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定する。具体的に、抑制対象判定部1505は、注目画素(CT)がカラー画素であると判定され、且つ、第一左画素(L1)、第二左画素(L2)、第一右画素(R1)、及び第二右画素(R2)の少なくとも一つがにじみ抑制対象周辺画素であると判定されている場合、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素であると判定し、それ以外の場合には、注目画素(CT)がにじみ抑制対象画素ではないと判定して、判定結果に従う判定フラグF_HCをブリーディング補正ブロック160に入力する。
判定フラグF_HCは、注目画素(CT)がカラー画素であり、且つ、にじみ抑制対象画素である場合、値1にセットされ、それ以外の場合には、値0にリセットされる。この判定フラグF_HCは、注目画素(CT)がカラー低減する必要のある画素であるか否かを表す。
このように主走査方向検出ブロック140は、インク総量制限ブロック130からの各画素の画素値を、注目画素(CT)の画素値としてブリーディング補正ブロック160に転送すると共に、注目画素(CT)の判定フラグF_HB1,F_HB2,F_HC,F_VB,F_VCをブリーディング補正ブロック160に入力する。
ブリーディング補正ブロック160は、主走査方向検出ブロック140から注目画素(CT)の画素値として順に入力される各画素の画素値を、同時に入力される当該画素の判定フラグF_HB1,F_HB2,F_HC,F_VB,F_VCに基づいて補正し、補正後の画素値を二値化処理ブロック170に入力する。
ブリーディング補正ブロック160は、図14に示すように、レジスタ161と、黒補正部163と、カラー補正部165と、出力部167とを備える。レジスタ161は、CPU11から入力される副走査方向黒補正係数Gvb、主走査方向黒トリカラー補正係数Ghb1、主走査方向黒テトラカラー補正係数Ghb2、及び、カラー補正係数Gcを記憶する。
黒補正部163は、これら補正係数Gvb,Ghb1,Ghb2のいずれか一つを、判定フラグF_VB,F_HB1,F_HB2に基づいて選択的に用いて、主走査方向検出ブロック140からの注目画素(CT)の画素値を補正し、補正後の画素値を出力部167に入力するように構成される。
この黒補正部163は、図15Aに示す構成にされる。即ち、黒補正部163は、係数選択部1631と、黒低減部1633と、CMY補正部1635とを備える。係数選択部1631は、補正係数Gvb,Ghb1,Ghb2のいずれか一つを、判定フラグF_VB,F_HB1,F_HB2に基づいて選択し、選択した補正係数(以下、補正係数Gbと表現する。)を、黒低減部1633に入力する。
係数選択部1631は、フラグF_HB1が値1にセットされている場合、補正係数Gbとして、注目画素(CT)の画素値をトリカラー置換するための補正係数Ghb1を選択し、黒低減部1633に入力する。係数選択部1631は、フラグF_HB2が値1にセットされている場合、補正係数Gbとして、注目画素(CT)の画素値をテトラカラー置換するための補正係数Ghb2を選択し、黒低減部1633に入力する。係数選択部1631は、フラグF_VBが値1にセットされている場合、補正係数Gbとして、注目画素(CT)の画素値をトリカラー置換するための補正係数Gvbを選択し、黒低減部1633に入力する。
係数選択部1631は、フラグF_HB1,F_HB2,F_VBがいずれも値ゼロにリセットされている場合、補正係数Gbとして、その旨を表す特定値を黒低減部1633に入力する。係数選択部1631は、フラグF_HB1,F_HB2,F_VBの二つ以上が値1にセットされている場合、フラグF_HB1,F_HB2,F_VBの優先順に従って補正係数を選択する。例えば、フラグF_HB1は、フラグF_HB2より優先順位が高く、フラグF_HB1及びフラグF_HB2の両者が値1であるとき、補正係数Gbとして、補正係数Ghb1が黒低減部1633に入力される。
黒低減部1633は、主走査方向検出ブロック140から入力される注目画素(CT)のK成分値を、補正係数Gbに従って低減し、補正後のK成分値を出力部167に入力すると共に、CMY補正値Dを、CMY補正部1635に入力するように構成される。
具体的に、黒低減部1633は、閾値TH_A*、K成分値の上限値Kmax、及び、CMYK成分値の合計の上限値MaxValに基づく傾きH1=(Kmax−TH_A*)/(MaxVal−TH_A*)と、切片H2=(Kmax−H1×MaxVal)とによって定義される一次関数F(z)=H1×z+H2に、注目画素(CT)のK成分値K[ct]を代入して、K成分値の仮補正値tmpK=F(K[ct])を算出し、仮補正値tmpKに補正係数Gbを乗算して、注目画素(CT)のK成分値K[ct]を、K[ct]=Gb×TmpKに補正する。
また、黒低減部1633は、D1=K[ct]−tmpK、及び、D2=Maxval−max{C[ct],M[ct],Y[ct]}を算出する。max{C[ct],M[ct],Y[ct]}は、注目画素(CT)のC成分値、M成分値及びY成分値の内の最大値を表す。そして、D1≦D2である場合には、CMY補正値Dとして、値D1をCMY補正部1635に入力し、D1>D2である場合には、CMY補正値Dとして、値D2をCMY補正部1635に入力する。
黒低減部1633は、係数選択部1631から上記特定値が入力された場合には、主走査方向検出ブロック140から入力される注目画素(CT)のK成分値を補正せずに出力部167に入力し、CM補正値Dとして値ゼロをCMY補正部1635に入力する。
具体的に、補正係数Ghb1,Gvbは、補正係数Ghb2より小さい値に定めることができ、例えば、値ゼロに定めることができる。但し、補正係数Gvbは、補正係数Ghb1より大きい値に定められてもよい。補正係数Ghb2は、ゼロより大きい1以下の値に定めることができる。補正係数Ghb1,Gvb=ゼロであるとき、トリカラー置換では、注目画素(CT)のK成分値がゼロに補正されて、黒低減部1633から出力部167に入力される。テトラカラー置換では、注目画素(CT)のK成分値は、通常ゼロより大きい値に低減されて出力部167に入力される。以下では、黒補正部163から出力部167に入力される注目画素(CT)の画素値(各成分値)を、黒補正後の画素値(成分値)と表現する。
CMY補正部1635は、黒低減部1633から入力されるCMY補正値Dに従って、主走査方向検出ブロック140から入力される注目画素(CT)のC成分値C[ct]、M成分M[ct]値及び、Y成分値Y[ct]の夫々を、値Dだけ加算した値C[ct]=C[ct]+D,M[ct]=M[ct]+D,Y[ct]=Y[ct]+Dに補正する。そして、補正後のC成分値、M成分値、及びY成分値を出力部167に入力する。
カラー補正部165は、補正係数Gcに基づき、主走査方向検出ブロック140からの注目画素(CT)の画素値を補正し、補正後の画素値を出力部167に入力する。このカラー補正部165は、図15Bに示す構成にされる。即ち、カラー補正部165は、カラー低減部1651を備える。カラー低減部1651は、主走査方向検出ブロック140からの注目画素(CT)のC成分値C[ct]、M成分M[ct]値、及びY成分値Y[ct]の夫々を、その所定割合Rに低減した値C[ct]=R×C[ct],M[ct]=R×M[ct],Y[ct]=R×Y[ct]に補正する。値Rは、ゼロより大きく1より小さい値として設計者により予め定められる。
カラー低減部1651は、この補正後のC成分値、M成分値、及びY成分値を出力部167に入力する。カラー補正部165は、注目画素(CT)のK成分値については補正せずに、出力部167に入力するように構成される。以下では、カラー補正部165から出力部167に入力される注目画素(CT)の画素値(各成分値)を、K成分値も含めてカラー補正後の画素値(成分値)と表現する。
ブリーディング補正ブロック160における出力部167は、黒補正部163による黒補正後の注目画素(CT)の画素値、カラー補正部165によるカラー補正後の注目画素(CT)の画素値、及び、黒補正及びカラー補正のなされていない主走査方向検出ブロック140からの注目画素(CT)の画素値のいずれか一つを、判定フラグF_HB1,F_HB2,F_VB,F_HC,F_VCに基づき選択して、選択した画素値を二値化処理ブロック170に入力するように構成される。
具体的に、出力部167は、判定フラグF_HB1,F_HB1,F_VBの少なくとも一つが値1にセットされている場合、黒補正後の画素値を選択して、二値化処理ブロック170に入力する。出力部167は、判定フラグF_HC,F_VCの少なくとも一つが値1にセットされている場合には、カラー補正後の画素値を選択して、二値化処理ブロック170に入力する。出力部167は、判定フラグF_HB1,F_HB2,F_VB,F_HC,F_VCのいずれも値1にセットされていない場合には、黒補正及びカラー補正のなされていない画素値を選択して、二値化処理ブロック170に入力する。
このようにして、ブリーディング補正ブロック160は、注目画素(CT)が黒画素であり、上画素(UP)、下画素(DW)、第一左画素(L1)、及び第一右画素(R1)のいずれか一つが黒成分値について注目画素(CT)と所定閾値TH_C,TH_C*以上の差を有するカラー画素である場合、ガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値をトリカラー置換して、置換後の画素値を二値化処理ブロック170に入力する。
また、ブリーディング補正ブロック160は、注目画素(CT)が黒画素であり、第二左画素(L2)及び第二右画素(R2)のいずれか一つが黒成分値について注目画素(CT)と所定閾値TH_C,TH_C*以上の差を有するカラー画素である場合、ガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値をテトラカラー置換し、置換後の画素値を二値化処理ブロック170に入力する。
また、ブリーディング補正ブロック160は、注目画素(CT)が黒画素であり、上画素(UP)、下画素(DW)、第一左画素(L1)、第二左画素(L2)、第一右画素(R1)、及び第二右画素(R2)のいずれもが、黒成分値について注目画素(CT)と所定閾値TH_C,TH_C*以上の差を有するカラー画素に該当しない場合、ガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値を、これに対してにじみ抑制のための補正をなんら施すことなく、二値化処理ブロック170に入力する。
この他、ブリーディング補正ブロック160は、注目画素(CT)がカラー画素であり、上画素(UP)、下画素(DW)、第一左画素(L1)、第二左画素(L2)、第一右画素(R1)、及び第二右画素(R2)のいずれか一つが黒成分値について注目画素(CT)と所定閾値TH_C,TH_C*以上の差を有する黒画素である場合、ガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値を、CMY成分値を所定割合Rに低減するように補正し、補正後の画素値を二値化処理ブロック170に入力する。
また、ブリーディング補正ブロック160は、注目画素(CT)がカラー画素であり、上画素(UP)、下画素(DW)、第一左画素(L1)、第二左画素(L2)、第一右画素(R1)、及び第二右画素(R2)のいずれもが、黒成分値について注目画素(CT)と所定閾値TH_C,TH_C*以上の差を有する黒画素に該当しない場合、ガンマ変換後の注目画素(CT)の画素値を、これに対してにじみ抑制のための補正をなんら施すことなく、二値化処理ブロック170に入力する。
二値化処理ブロック170は、ブリーディング補正ブロック160から順次入力される各画素の画素値を二値化処理(ハーフトーン処理)し、二値化処理後の画素値を、RAM15に記録用の画像データD3として書き込む。記録制御回路60は、この画像データD3に基づく各画素に対するインク液滴の吐出動作を記録ヘッド51に実行させるように、記録デバイス50を制御することにより、にじみ抑制対象画素であると判定された各画素に対しては、ブリーディング補正ブロック160による補正後の画素値に基づく吐出動作を記録ヘッド51に実行させるように、記録デバイス50を制御する。
上述しなかったが、黒画素の判定に用いられる閾値TH_A、カラー画素の判定に用いられるTH_B、及び、黒成分値の差の判定に用いられる閾値TH_Cは、夫々、CPU11の動作により、閾値TH_A*,TH_B*,TH_C*を逆ガンマ変換した値に設定される。即ち、閾値TH_A,TH_Bは、閾値TH_A*,TH_B*をガンマ変換後の画素値であるとみなしたときのガンマ変換前の画素値に対応する。閾値TH_Cは、閾値TH_C*をガンマ変換後の画素値の差であるとみなしたときのガンマ変換前の画素値の差に対応する。
副走査方向検出ブロック110では、ガンマ変換前の画素値に基づいて判定を行い、主走査方向検出ブロック140では、ガンマ変換後の画素値に基づいて判定を行う環境下で、閾値TH_A,TH_B,TH_C及び閾値TH_A*,TH_B*,TH_C*を上記関係に定めれば、副走査方向及び主走査方向の夫々に対して、黒画素、カラー画素及び黒成分値の差に関する等価な判定を行うことができ、注目画素がにじみ抑制対象画素であるか否かを適切に判定することができる。
また、本実施例の複写装置1における記録デバイス50及び記録制御回路60は、RAM15に書き込まれた記録用の画像データD3に基づき、インターレース方式で用紙Qに対する画像形成を行うように構成され得る。インターレース方式は、記録ヘッド51の主走査方向への片道分の搬送を伴う記録ヘッド51から用紙Qへのインク液滴の吐出動作である1度の記録動作により、副走査方向に間隔を空けた主走査方向の複数のドット列を用紙Qに形成し、次の記録動作では、上記間隔の空いたドット列の間に、新たなドット列を形成するようにして、用紙Qに画像を形成する方式である。インターレース方式によれば、一度の記録動作では、副走査方向に隣接するようには、主走査方向のドット列(画素列)が複数列形成されないので、副走査方向におけるインクにじみが主走査方向におけるインクにじみと比較して発生し辛い。従って、図5に示す範囲で注目画素に対する周辺画素を参照して、注目画素がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定しても、適切に副走査方向におけるインクにじみを抑制することが可能である。
以上、本実施例の複写装置1について説明した。本実施例によれば、注目画素及び副走査方向の隣接画素における黒画素及びカラー画素の分布に基づき注目画素がにじみ抑制対象であるか否かを判定する処理(副走査方向検出ブロック110による処理)と、注目画素及び主走査方向の隣接画素における黒画素及びカラー画素の分布に基づき注目画素がにじみ抑制対象であるか否かを判定する処理(主走査方向検出ブロック140による処理)とを、ガンマ変換ブロック120の前後に分けて実行する。
仮にガンマ変換後に、副走査方向検出ブロック110による処理を実行する場合には、注目画素についてのガンマ変換後の画素値に加えて上画素(UP)及び下画素(DW)のガンマ変換後の画素値を保持する必要が生じ、非効率である。本実施例の複写装置1によれば、ガンマ変換処理に先駆けて副走査方向検出ブロック110による処理を実行するので、上画素(UP)及び下画素(DW)の画素値を、ガンマ変換実行時及び実行後に保持する必要がない。従って、この複写装置1によれば、画素値を保持するためのハードウェア資源の規模を抑えて、にじみ抑制のための処理を効率的に実行可能である。
本実施例によれば特に、注目画素及び周辺画素における黒画素及びカラー画素の分布だけでなく、注目画素と周辺画素との間の黒成分値の差をも考慮して注目画素がにじみ抑制対象画素であるか否かを判定するので、差を考慮しない場合よりも適切且つ効率的にインクにじみを抑制可能である。
本実施例によれば、にじみ抑制対象画素が黒画素である場合、この画素の黒成分値を低減すると共に、この画素の複数色の成分値を、低減した黒成分値に対応する量加算するように、注目画素の画素値を補正する。また、にじみ抑制対象画素がカラー画素である場合には、この画素の複数色の成分値を低減するように、注目画素の画素値を補正する。従って、一層適切にインクにじみを抑制可能である。
この他、注目画素が第一左画素(L1)及び第一右画素(R1)の少なくとも一方の画素値に基づきにじみ抑制対象画素であると判定された黒画素である場合(判定フラグF_HB1=1の場合)には、この画素が第二左画素(L2)及び第二右画素(R2)の少なくとも一方の画素値に基づきにじみ抑制対象画素であると判定された黒画素である場合(判定フラグF_HB2=1)よりも、注目画素の黒成分値を多く低減する(補正係数Ghb1<Ghb2)。従って、本実施例によれば、にじみ抑制をしない場合に発生するにじみの強さに応じて、適切な量、黒成分値を低減可能である。
以上、本発明の実施例について説明した。但し、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、本発明は、複写装置ではなく、プリンタ装置やファクシミリ装置に適用されてもよい。本発明は、記録媒体に対する浸透特性の異なる複数インクを用いて記録媒体に画像が形成される場合のインクにじみを抑制するための技術であるので、黒インクが顔料インクでありカラーインクが染料インクである記録装置に限らず、同種のインクにじみが発生し得る種々の装置に適用することができる。
用語間の対応関係は次の通りである。記録デバイス50は、記録ユニットの一例に対応し、データ入力ブロック100及び副走査方向検出ブロック110の入力バッファ111は、取得ユニットの一例に対応し、黒画素置換判定部115及びカラー画素置換判定部117は、第一判定ユニットの一例に対応し、判定フラグF_VB,F_VCは、第一判定情報の一例に対応する。ガンマ変換ブロック120及びインク総量制限ブロック130は、記録前処理ユニットの一例に対応する。黒画素トリカラー置換判定部145、黒画素テトラカラー置換判定部147及びカラー画素置換判定部149は、第二判定ユニットの一例に対応し、判定フラグF_HB1,F_HB2,F_HCは、第二判定情報の一例に対応する。ブリーディング補正ブロック160は、抑制ユニットの一例に対応し、記録制御回路60は、制御ユニットの一例に対応する。