JP2015199216A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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由美 柳内
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貴恒 赤石
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Zenichi Ishikawa
善一 石川
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Misae Tazaki
美紗恵 田▲崎▼
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Abstract

【課題】ユーザが指定した時間内で可能な最良の画質で記録を行うことを可能とする画像処理装置を提供する。【解決手段】マルチバス記録において、ユーザが指定した記録時間を取得しS102、指定記録時間内で最良の画質を記録するための記録ヘッドの走査回数、すなわち、指定時間内に可能な最大の走査回数を算出しS104、これに従って走査ごとの記録データを設定しS106、ハーフトーン処理後S108、記録装置に出力する。【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、詳しくは、記録すべき画像について指定された時間内に記録を完了する技術に関するものである。
この種の技術として特許文献1には、ユーザが記録時間を指定し、複数の記録モードの中から指定された記録時間内に記録を完了する記録モードを選択することが記載されている。これにより、記録時間を指定して記録を行う上で、ユーザは簡易な操作で指定した時間内に、記録結果を得ることが可能となる。
特開2004−310177号公報
しかしながら、ユーザが指定した記録時間内に完了する記録モードを選択するだけでは、必ずしも、ユーザが指定する時間内で可能な最良の画質で記録できない場合がある。
一方、記録装置の分野では、記録媒体の単位領域に対して複数回の記録ヘッドの走査を行う構成にあって、この単位領域の記録を完成する走査回数の多少によって記録画質が異なることが知られている。例えば、記録装置において設定される記録モードとして、「きれい」、「普通」、「はやい」が有り、これらのモードは、記録ヘッドの走査回数によって区別することができる。すなわち、「普通」や「速い」のモードに比べ、より高い画質で記録することが可能な「きれい」モードでは走査回数が多い。これは、走査回数が多いほど、色再現範囲を広くすることが可能であり、また、記録ヘッドにおけるノズルごとの吐出特性のばらつきに起因した白スジや濃度ムラ(バンディング)を低減することができるからである。
本発明は、以上の観点からなされたものであり、ユーザが指定した時間内で可能な最良の画質で記録を行うことを可能とする画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
そのために本発明は、記録媒体の単位領域に対して記録ヘッドの複数回の走査を行い当該単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成する画像処理装置であって、指定記録時間を取得する指定時間取得手段と、前記指定記録時間内で、最大の、前記単位領域の記録を完成する前記記録ヘッドの走査回数を求める走査回数決定手段と、前記求めた走査回数に基づいて、前記単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成するデータ生成手段と、を具えたことを特徴とする。
以上の構成によれば、ユーザが指定した時間内で可能な最良の画質で記録を行うことが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置と記録装置を有した記録システムの構成を示すブロック図である。 図1に示した記録システムにおいて実行される画像処理およびそれに基づく記録制御を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る、指定された時間内でマルチパス記録における走査回数を算出する処理を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る、マルチパス記録における走査番号および色分解データ切出し位置を設定する処理を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る記録データ設定用LUTの一例を示す図である。 記録データ設定用LUTにおいて規定されている、ノズルごとの画像データの分割率を示す図である。 本発明の一実施形態に係る記録データ設定部による、ノズルごとの分割率で色分解データを縮小して記録データを生成する処理を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る記録データ格納メモリを模式的に示す図である。 誤差拡散法による2値化処理を示すフローチャートである。 誤差拡散法による2値化処理のための構成を示すブロック図である。 誤差拡散係数の一例を示す図である。 (a)〜(d)は、累積誤差バッファを示す図である。 本発明の一実施形態に係る、ハーフトーン処理後の2値画像データをハーフトーン画像格納メモリに格納した様子を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置と記録装置を有した記録システムの構成を示すブロック図である。 (a)および(b)は、図14に示す記録画質特性テーブルを説明する図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置と記録装置を有した記録システムの構成を示すブロック図である。図1において、画像処理装置1および記録装置2は、ネットワークインタフェースおよびプリンタインタフェースにそれぞれ接続されている。画像データは、画像データ入力端子101を介して、画像バッファ102に入力し格納される。色分解処理部103は、入力された、例えばRGB色成分からなる画像データを、記録装置2で用いるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクの色成分からなる画像データに変換する、色分解処理を行う。この色分解処理は、色分解用ルックアップテーブル104を参照して行われる。
さらに、記録時間設定部105は、ユーザによる記録時間の指定を受付け、設定する。例えば、ユーザが、プリンタドライバによるユーザインターフェースを介して数字などを入力することによって行うことができる。記録動作情報記憶部106は、本実施形態の記録装置で記録動作を行う場合の、記録シートなどの記録媒体の搬送速度や記録ヘッドの走査速度、記録ヘッドにおけるインク色ごとのノズル数などの記録動作に関する情報を記憶している。走査回数算出部107は、図2および図3にて後述されるように、記録時間設定部105によって設定された記録時間、記録動作情報記憶部107に記憶された記録動作情報、および記録すべき画像データに基づいて、走査回数を算出する。さらに、記録データ設定部108は、走査回数算出部107で算出された走査回数に応じて各走査の記録データを設定する。この際、記録データ設定用LUT109を参照する。この記録データは記録データ格納メモリ110に格納される。
ハーフトーン処理部111は、記録データ格納メモリ110に格納される、YMCKそれぞれ8ビットで256階調の画像データを記録装置が処理可能なデータの形式、ここでは2値の記録データ、に変換し、ハーフトーン画像格納メモリ112に格納する。そして、格納された2値の記録データは所定のタイミングで、出力端子113を介して記録装置2へ出力される。
以上の画像処理装置1による図2にて後述する処理は、具体的には、画像処理装置1におけるCPUが対応するプログラムに従って実行することによって実現される。すなわち、プログラムは、画像処理装置を構成するコンピュータに上記プログラムが読取られることにより、そのコンピュータに画像処理装置として機能させるものである。
一方、記録装置2は、記録ヘッド201を記録媒体202に対する主走査方向における走査と、主走査方向に交差する方向である副走査方向における記録媒体2の搬送と、を繰り返すことによって、記録媒体に画像を記録する。記録ヘッド201は、Y、M、C、Kインクそれぞれについて、インクを吐出するための複数のノズルを配列してノズル列を備えている。移動部203は、上記記録ヘッド201の走査のための移動を行うための、キャリッジ、その駆動源などの移動機構を備えている。搬送部205は、上記記録媒体の副走査方向の搬送を行う。インク色および吐出量選択部206は、画像処理装置1から送られ、ハーフトーン画像格納バッファ207に格納された記録データに基づいて、記録ヘッドが吐出可能な、色のインクと吐出量の中から、インク色と吐出量を選択する。制御部204は、以上の記録装置2における各部の制御を行う。
図2は、図1に示した記録システムにおいて実行される画像処理およびそれに基づく記録制御を示すフローチャートである。この処理のうち、画像処理1において実行される処理は、上述したように、画像処理装置1におけるCPUが対応するプログラムに従って実行する。同様に、記録装置2において実行される、処理、動作制御は、記録装置2の制御部204のlCPUが、対応するプログラムに従って実行する。
先ず、R、G、Bそれぞれについて256階調の画像データが入力端子101を介して入力され、入力画像バッファ102に格納される(ステップS101)。次に、ユーザが指定した記録時間を記録時間設定部105から取得する(指定時間取得;ステップS102)。また、色分解処理部103で画像バッファ102に格納された256階調の画像データに対し、色分解用LUTを用いて色分解処理を行う(ステップS103)。本実施形態では、記録ヘッドがC、M、Y、Kの4色のインクを吐出することから、インク色ごとの4プレーンの色分解データが生成される。
次に、走査回数算出部107において、ユーザが指定した記録時間内で最良の画質を記録するための記録ヘッドの走査回数、すなわち、指定記録時間内に可能な最大の走査回数を算出する(走査回数決定;ステップS104)。
この処理では、先ず、入力画像バッファ102に格納されている画像データからそのサイズを得る。また、記録媒体の搬送速度や記録ヘッドの走査速度、記録ヘッドにおけるインク色ごとのノズル数などを、記録動作情報記憶部106から得る。ここで、算出する走査回数は、いわゆるマルチパス記録の走査回数である。すなわち、マルチパス記録は、記録媒体の同じ領域(以下、単位領域ともいう)に対して、単位領域の幅に対応した量の記録媒体搬送を介在させた、記録ヘッドの複数回走査を行ってその単位領域の記録を完成する方式である。そして、前述したように、その記録を完成するための走査の回数が多いほど高い画質を望むことができる。
図3は、指定された時間内で、マルチパス記録における単位領域の記録を完成するための走査回数を算出する処理を説明するための図である。図3は、単位領域202Aの記録を完成するための走査回数が3回の場合を示している。
マルチパス記録において、記録すべき画像データの全領域を記録するための、複数回の走査の間に介在する記録媒体202の搬送の総和である、総搬送時間をTm[Sec]とする。また、記録動作における、記録ヘッドの走査以外、例えば、走査方向を変えるための時間や記録ヘッドの回復処理の時間などの総和をTo[Sec]とする。さらに、記録すべき画像データの全領域を記録するための記録ヘッドの走査に要する時間をT’[Sec]、指定された記録時間をT[sec]、とすると、
T’=T−Tm−To・・・(1)
が成り立つ。
そして、図3に示すように、記録すべき画像データのサイズを(Xsize,Ysize)[画素]、記録ヘッドのノズル数をNzzl(個)とする。また、記録ヘッドの走査速度をS[画素/sec]、単位領域の記録を完成するのに必要な走査回数をP、とする。これにより、単位領域の幅はNzzl/Pと表せる。
このとき、記録すべき画像データの画像の全領域を記録するための総走査回数は、YP/N+(P−1)で表されるから、記録すべき画像データの画像の全領域を記録するための総走査時間は、(X/S)×(YP/N+(P−1))[Sec]となる。この総走査時間が、上記(1)式で求められる時間T’より小さければ、指定された時間Tの時間内に上記画像データの記録を終了することができる。従って、T´>(X/S)×(YP/N+(P−1))が成り立つ。この式を解くと、
P<N(ST´+X)/X(Y+N)・・・(2)
上記(2)式を満たす最大の走査回数Pを、本算出処理で求める走査回数とすることができる。このように、指定された時間内で記録を終了するための、マルチパス記録における最大の走査回数を求めることにより、指定された時間内で可能な最良の画質で記録を行うことが可能となる。
なお、本ステップの走査回数を求める処理は、上例の形態に限られない。例えば、予め複数の指定すべき時間を設定しておき、ユーザがこれらの時間の中から選択するようにしてもよい。この場合、最終的に求められる走査回数は、上記設定してある複数の時間とそれらに対応するそれぞれの走査回数との関係をテーブルとして備え、選択に応じてこのテーブルを参照して求めることができる。
再び図2を参照すると、次に、記録データ設定部108は、ステップS104で算出した走査回数に従って、走査番号kおよび、色分解データ切出し位置の座標であるYcut(k)を設定する(画像データ生成;ステップS105)。ここで、走査番号kの初期値は1であり、Ycut(k)は走査番号kにおける色分解データの切出し位置(ノズル上端座標)である。
図4は、走査番号kおよび色分解データ切出し位置Ycut(k)を設定する処理を説明する図であり、Nzzl=8個のノズル列の記録ヘッドによる4パス(走査回数が4回)のマルチパス記録に対応した設定を示している。すなわち、ステップS104で得られた走査回数がP=4回であり、これに応じて、単位領域の幅、つまり、1回の走査の後の紙送り(記録媒体搬送)量は、Nzzl/P=2画素(ノズル分)に設定される。なお、説明を簡易にするためにノズル数を8個としているが、このノズル数が例えば、256個などより多い数の場合でも同様に説明できることは以下の説明からも明らかである。
図4には、走査番号k=1〜5の走査およびそれぞれの走査の後の紙送りによって、ノズル列301の8ノズル分に対応した幅の最終出力画像のうち、記録領域1および記録領域2の画像がそれぞれ4回の走査で完成することが示されている。詳しくは、走査番号k=1の走査で、ノズル301の下端1/4(ノズル番号n7、n8)の2ノズルを使用して記録領域1の記録を行う。なお、同じ走査で、ノズル番号n7、n8以外のノズルによって他の画像の記録が行われてもよいことはもちろんである。次に、走査番号k=2の走査では、走査番号k=1に対して、ノズル長の1/4(2ノズル)分の紙送り(LF(1)=2)を行う。その後、ノズル301の下端1/2(ノズル番号n5、n6、n7、n8)の4ノズルを使用して、それぞれ記録領域1および記録領域2の記録を行う。さらに、走査番号k=3の走査で、走査番号k=2に対して、ノズル長の1/4(2ノズル)分の量で紙送り(LF(2)=2)を行う。その後、ノズルの下端3/4(ノズル番号n3、n4、n5、n6、n7、n8)の6ノズルを使用して、それぞれ記録領域1、記録領域2および記録領域3の記録を行う。以下、同様に、紙送りと走査を繰り返すことにより、記録領域1、記録領域2、記録領域3、記録領域4の記録がそれぞれ4回の走査で順次完成する。
以上の記録を行う場合、走査番号k=1の走査用の色分解データの切り出し位置Ycut(1)は、Ycut(1)=−6となる。すなわち、図4に示すように、切り出し位置Ycut(k)は、画像データ(色分解データ)のうち記録ヘッドのノズル列301に対応した幅の画像データ(色分解データ)を切り出して用いるときの、ノズル列301の上端ノズルの位置に対応する画像データの座標(画像Yアドレス)である。そして、この切り出し位置Ycut(k)を指定することによって、走査番号kに対応した、8ノズル分の幅の画像データ(色分解データ)を取得することができる。図4に示す例では、走査番号k=1に対する切り出し位置Ycut(1)=−6による画像データは、ノズル番号n7、n8以外のノズル番号に対応する画像は、白画像である。
紙送り量LF(k)が一定の場合、切り出し位置Ycutを一般化すると、ノズル列数Nzzl、走査回数P、走査番号kのとき、以下の式(3)で与えられる。
Ycut(k)=−Nzzl+(Nzzl/P)×k…(3)
再び図2を参照すると、次に、記録データ設定部108は、記録データ設定用LUT109を参照して、色分解データから走査ごとの記録データ値を設定する(ステップS106)。
図5は、本実施形態に係る記録データ設定用LUT109の一例を示す図である。図5に示すように、記録データ設定用LUTは、走査番号kごとに、(1)色分解データ切り出し位置Ycut(k)、(2)ノズルごとの画像データの分割率、(3)走査後の紙送り量LF(k)が規定されている。要するに、記録データ設定用LUTは、走査番号ごとに、8つのノズルそれぞれの画像データの分割率が規定されており、本実施形態では、ノズル列のうち中央のノズルほど分割率が高くなるようになっている。図6は、このノズルごとの分割率を示す図である。図6において横軸は入力DUTYを1としたときに、図5に示すような、ノズルごとの0から1の値をとる実数値で設定される分割率である。
記録データ設定部108は、切り出し位置Ycut(k)で切り出された色分解データを、ノズルごとの分割率で縮小して記録データを生成する。図7は、この生成する処理を説明する図である。図7に示すように、色分解データ(画素値)と分割率との積として記録データ(画素値)が得られる。ただし、対応するノズルが画像Yアドレスの領域外の座標になるときは、記録データを0とする。このような記録データを生成することにより、2ノズル分の幅の記録領域(図4に示す記録領域1、2、3、4の夫々)は4回の走査でn1〜n8の8つのノズルによって記録されることになり、これら8つのノズルに対応する分割率は1となる。すなわち、各2ノズル分の幅の記録領域を4回の走査で記録するとき、走査ごとに記録される画像は補完されて100%の記録すべき画像が完成することになる。なお、本ステップで得られる記録データは8ビット256階調のデータ(画素値)であり、このデータは後述のハーフトーン処理によって2値化されて、走査ごとの2値データとなる。このため、最終的に各記録領域について4回の走査で記録される画像は、完全は補完になるとは限られない。また、本実施形態では、この記録データの解像度と2値化後の画像データの解像度は、同じである。
再び図2を参照すると、次に、記録データ設定部108によって上記のように設定された記録データを記録データ格納メモリ110に格納する(ステップS107)。図8は、記録データ格納メモリ110を模式的に示す図である。図8に示すように、縦:ノズル数、横:画像Xsizeのサイズのバンド上の記録データ(画素値)を色ごとに格納する。
再び図2を参照すると、次に、ハーフトーン処理部111は、記録データ格納メモリ110の記録データに対して、少ない階調数に変換するハーフトーン処理を行う(ステップS108)。本実施形態では、記録データの階調値(画素値)は8ビットの256値であり、これをハーフトーン処理によって1ビットの2値の画像データに変換する。本実施形態では、この階調変換処理に誤差拡散法を用いる。
図9は、誤差拡散法による2値化処理を示すフローチャートであり、図10は、誤差拡散法による2値化処理のための構成を示すブロック図である。以下では、図9および図10を参照して、ハーフトーン処理部111による、上述した4パス記録における走査番号k=1のシアン(C)の記録データに対する2値化処理について説明する。
先ず、ステップS201で、ハーフトーン処理部111に、シアンの記録データC_dを入力する。本実施形態では、誤差拡散処理のための誤差拡散係数が図11のようにK1〜K4の4つの係数を持つものとする。例えば、K1=7/16、K2=3/16、K3=5/16、K4=1/16とする。これらの誤差拡散係数K1〜K4により誤差を拡散して累積するために、はハーフトーン処理部108における累積誤差ラインバッファを4組確保し、使用する累積誤差ラインバッファを走査番号毎に切り替える。具体的には、
「走査番号k=1,・・・,4n+1のとき」(4n+1)累積誤差バッファ902を使用
「走査番号k=2,・・・,4n+2のとき」(4n+2)累積誤差バッファ903を使用
「走査番号k=3,・・・,4n+3のとき」(4n+3)累積誤差バッファ904を使用
「走査番号k=4,・・・,4n+4のとき」(4n+4)累積誤差バッファ905を使用する。
ただし、nは0以上の整数。
図12(a)〜(d)は、誤差バッファ902、903、904、905の構成を示している。誤差バッファ902は、1個の記録領域E1_0と、入力画像の横画素数Wと同数の記憶領域E1_(x)(x=1〜W)とを有する。903、904、905も同様の記録領域を有する。また、902、903、904、905は走査番号k=1、2、3、4の処理開始時のみ、全て初期値0で初期化されているものとする。本実施形態では、1色の記録データのハーフトーン処理について、上述の4組の累積誤差ラインバッファが必要となる。
次に、ステップS202で、累積誤差加算部906で入力データの横画素位置に対応する誤差E1_(x)が加算される。すなわち、入力された注目画素の記録データC_d、累積誤差加算後のデータをC_d’とすると、
C_d’=C_d+E1_(x)・・・(4)となる。
次に、ステップS203で、閾値選択部907は、閾値Tを選択する。閾値Tの選択では、例えば
T=128…(5)
と設定される。あるいは、ドット生成遅延を回避するために、平均量子化誤差が小さくなるように、入力された注目画素の記録データC_dに応じて細かく変更してもよい。
T=f(C_d)・・・(6)
または、バンド内のアドレス(X、Y)に応じて細かく変更しても良い。
T=f(X、Y)・・・(7)
次に、ステップS204で、量子化部908は、誤差加算後の画素データC_d’と閾値Tとを比較し、以下の式により2値化結果Out_cを決定する。
C_d’<Tのとき、 Out_c=0・・・(8)
C_d’≧Tのとき、 Out_c=255・・・(9)
次に、ステップS205で、誤差演算部909は、注目画素の記録データC_dについて、誤差加算後の画素データC_d’と出力画素値Out_cとの差分Errを、次式により算出する。
Err(x)=C_d’−Out_c・・・(10)
次に、ステップS206で、誤差拡散部910は、誤差を注目画素の周辺画素に拡散する。すなわち累積誤差ラインバッファ902を用いて、横画素位置xに応じて、以下のように誤差Err(x)の拡散処理を行う。
Err(x+1) ← Ec1(x+1)+Err_c(x)×7/16 (x<W)
Err(x−1) ← Ec1(x−1)+Err_c(x)×3/16 (x>1)
Ec1(x) ←Ec1_0+Err_c(x)×5/16 (1<x<W)
Ec1(x) ←Ec1_0+Err_c(x)×8/16 (x=1)
Ec1(x) ←Ec1_0+Err_c(x)×13/16 (x=W)
Ec1_0 ←Err_c(x)×1/16 (x<W)
Ec1_0 ← 0 (x=W)・・・(11)
以上で、走査番号k=1のシアン1画素分の2値化処理が完了する。
ここまで説明した、ステップS201からS206の処理を、バンド内の全ての画素について行う(ステップS207)ことにより、走査番号k=1のシアンの記録データについて2値画像データを生成することができる。
走査番号k=2では、(4n+2)累積誤差ラインバッファ903を、走査番号k=3では、(4n+3)累積誤差ラインバッファ904を、走査番号k=4では、(4n+4)累積誤差ラインバッファ905を用いて、上記ハーフトーン処理を行う。しかし、走査番号k=5の処理では、走査番号k=1と同じ(4n+1)累積誤差ラインバッファ902を、初期化しないで(全0を代入しないで)そのまま用いる。これは、走査番号k=1と走査番号k=5の記録領域が上下に隣接しているため、累積誤差を隣接下の領域へ保存させるためである。もし累積誤差バッファを初期化すると、誤差が隣接の境界部で保存されなくなり、ドットの連続性が保てない。
図2を再び参照すると、次に、ハーフトーン処理後の2値画像データをハーフトーン画像格納メモリ112に格納する(ステップS109)。ハーフトーン画像格納メモリは、記録ヘッドの縦ノズル数、入力画像データ横画像Xサイズバンドデータ分のメモリ空間である。図13は、走査番号k=1の記録データをハーフトーン処理し、その結果をハーフトーン画像格納メモリに格納した様子を示す図である。記録データの画素位置に対応するNzzl×画像Xsizeの2値画像データが格納される。
以上により、走査番号k=1でのハーフトーン処理が終了し、結果として各色分の1回の記録ヘッドの走査により形成される2値画像が、各色分のハーフトーン画像格納メモリ112に格納される。ハーフトーン処理部における量子化手法は誤差拡散法に限らず、例えばブルーノイズマスク系やベイヤ系のディザ法、濃度パターン法を利用してもよい。あるいは、上述したような複数の方法を組み合わせて利用してもよい。
次に、ハーフトーン画像格納メモリ112に蓄えられた(ノズル数×横画像サイズ)のバンドデータが、画像データ出力端子113を介して記録装置2へ出力される(ステップS110)。
記録装置2では、画像データを受信すると、図2のステップS111で記録制御を行う。すなわち、受信した画像データをハーフトーン画像格納バッファ207に格納する。さらに、選択部206によって、格納された画像データに適合するインク色および吐出量を選択し、画像データに基づく記録を行う。本実施形態では、記録ヘッドが記録媒体を走査し、その走査の間に各ノズルから画像データに応じてインクを吐出することにより記録を行う。この記録ヘッドの走査は、上述した4回の走査で単位領域の記録を完成するマルチパス記録が行われる。
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置と記録装置を有した記録システムの構成を示すブロック図である。第1実施形態とは、図1に示したシステムに対し、出力記録特性記憶部1314をさらに有し、図2に示した走査回数算出(ステップS104)の処理が異なる。これらの構成以外は第1の実施形態と同様であるのでそれらの説明は省略する。
図14に示す出力記録特性記憶部1314には、同一領域に対する記録ヘッドの走査回数、すなわち、マルチパス記録において単位領域の記録を完成する走査回数(パス数)と、出力記録画質の関係を示す情報が記録されている。例えば、ある種類の記録媒体に対する、走査回数(パス数)と、記録ヘッドの特性によって走査領域ごとに現れることのあるスジムラ(バンディング)との関係を示すテーブルが記憶される。図15(a)は、バンディングの評価が、走査回数がP1(回)までは、走査回数が増すほど高くなることを示しており、また、P1回を超えるとそれ以上評価がよくならないことを示している。図15(b)は、これに応じて、出力記録特性記憶部1314に記憶されている、パス数とバンディング評価値との関係を示すテーブルである。
本実施形態では、ステップS104(図2)における走査回数算出処理において、この出力記録特性を用いる。すなわち、第一実施形態にて上述した走査回数Pを求める処理において、求めた回数Pが、上述したP1以上(所定の走査回数以上)のときは(P≧P1)、本走査回数算出処理で求める最大の走査回数をP1とする。これは、求めた回数PがP1以上の場合は、バンディング評価値が高くなることが望めないためである。
なお、出力記録特性記憶部1314に記憶される出力記録特性としては、上例に限られない。例えば、記録ヘッドの特性に起因して生じ得る濃度ムラと走査回数との関係であってもよい。
(他の実施形態)
上述の各実施形態では、図2に示した処理のほとんどは、PCなどの画像処理装置において行われるものとしたが、この形態に限られないことはもちろんである。プリンタや複合機など、記録機構を有した装置において図2に示した処理実行してもよく、この場合の装置も本明細書では画像処理装置という。
また、上述の各実施形態では、設定された走査回数に分割する処理とハーフトーン処理を実行する順番は、この順序であるがこの形態に限られず逆であってもよい。すなわち、2値化された記録データに対して分割処理を行い、設定された回数の走査に割り当てるようにしてもよい。
1 画像処理装置
102 入力画像データバッファ
103 色分解処理部
105 記録時間設定部
106 記録動作情報記憶部
107 走査回数算出部
108 記録データ設定部
110 記録データ格納メモリ
111 ハーフトーン処理部
2 記録装置
201 記録ヘッド

Claims (5)

  1. 記録媒体の単位領域に対して記録ヘッドの複数回の走査を行い当該単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成する画像処理装置であって、
    指定記録時間を取得する指定時間取得手段と、
    前記指定記録時間の内で、最大の、前記単位領域の記録を完成する前記記録ヘッドの走査回数を求める走査回数決定手段と、
    前記求めた走査回数に基づいて、前記単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成するデータ生成手段と、
    を具えたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記走査回数決定手段は、
    記録すべき画像データの全領域を記録するための総搬送時間をTm[Sec]、記録動作における記録ヘッドの走査以外の時間の総和をTo[Sec]、記録すべき画像データの全領域を記録するための記録ヘッドの走査に要する時間をT’[Sec]、前記指定記録時間をT[sec]、とするとき、T’=T−Tm−Toであり、また、
    前記記録すべき画像データのサイズを(Xsize,Ysize)[画素]、記録ヘッドのノズル数をNzzl(個)、記録ヘッドの走査速度をS[画素/sec]、前記単位領域の記録を完成するのに必要な走査回数をP、とするとき、
    P<N(ST´+X)/X(Y+N)
    を満たす最大の走査回数Pを、前記最大の走査回数として求める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記走査回数決定手段は、前記求めた走査回数が、記録ヘッドの記録特性に応じて定められる所定の走査回数以上のときは、当該所定の走査回数を前記最大の走査回数として求めることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 記録媒体の単位領域に対して記録ヘッドの複数回の走査を行い当該単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成するための画像処理方法であって、
    指定記録時間を取得する指定時間取得工程と、
    前記指定記録時間の内で、最大の、前記単位領域の記録を完成する前記記録ヘッドの走査回数を求める走査回数決定工程と、
    前記求めた走査回数に基づいて、前記単位領域の記録を完成する記録を行うための画像データを生成するデータ生成工程と、
    を有したことを特徴とする画像処理方法。
  5. コンピュータに読取られることにより、当該コンピュータに請求項1に記載の画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
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