JP2015183474A - 落石防止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、落石によって落石防止網を支えるロープに張力が加わった場合にロープが伸長し、この伸長に必要なエネルギーで落石のエネルギーを吸収するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、可撓性を有する線材に落石捕捉材が設けられ、落石によって落石捕捉材を介して線材に張力が加わった場合に、線材を挟持する挟持板との間のすべり摩擦によって落石のエネルギーを吸収するものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、格子状に配置されたワイヤーロープに緩衝器具を設け、緩衝器具に一定以上の張力が作用した場合に、ワイヤーロープが波形に変形しながら移動し、この変形及び移動に必要なエネルギーで落石のエネルギーを吸収するものがある(例えば、特許文献3参照)。
図1は、地盤Gに取り付けられた落石防止装置100を示す斜視図である。
図1に示すように、落石防止装置100は、道路脇や山腹斜面等の地盤Gに設置され、路上への落石を防止するものである。
落石防止装置100は、落石捕捉部1と、支持部2と、エネルギー吸収機構3とを備えている。
落石捕捉部1は、落石が発生した際にその落石を捕捉するものである。落石捕捉部1は、例えば、鋼製のワイヤーロープを格子状に編んで網体を設置して形成したものである。落石捕捉部1は、概矩形状に形成されており、落石捕捉部1には複数の支持部2が張り巡らされている。落石捕捉部1には、上部に落石を落石捕捉部1に導入するための支柱が設けられている(図示せず)。
支持部2は、落石捕捉部1を支持するものである。支持部2は、例えば、鋼製のワイヤーロープで形成されている。支持部2は、その一端部がアンカー部材Aによって地盤Gに固定されている。
支持部2は、第1の支持部材21と、第2の支持部材22とを有しており、第2の支持部材22の一端は、アンカー部材Aによって地盤Gに固定されている。なお、第2の支持部材22の一端は、地盤Gに固定される場合に限らず、現場に打設されたコンクリート、地盤に設置された鋼材(例えば、H形鋼、角形鋼管、丸形鋼管など)に固定されていても良い。
第1の支持部材21の一端は落石捕捉部1に取り付けられ、他端はエネルギー吸収機構3に連結されており、第2の支持部材22の他端はエネルギー吸収機構3に連結されている。すなわち、第1の支持部材21と第2の支持部材22との間にエネルギー吸収機構3が設けられている。
図2は、エネルギー吸収機構3の断面図であり、図3は、エネルギー吸収機構3の側面図である。
エネルギー吸収機構3は、落石捕捉部1に作用する落石のエネルギーを吸収するものである。エネルギー吸収機構3は、第1の支持部材21と第2の支持部材22に連結されており、落石捕捉部1に作用する落石のエネルギーによって支持部2にかかる張力を低減する。
案内部4は、筐体6内に設けられている。図3に示すように、筐体6は、側面視略コ字状に形成された溝形鋼61,61の溝側同士を向かい合わせて結合することにより、矩形の筒状に構成されている。筐体6は、双方の溝形鋼61を貫通するように一方の溝形鋼61からボルト41を差込み、他方の溝形鋼61から突出したボルト41にナット42を螺合させることで組み立てられる。
筐体6内において、ボルト41は筐体6内に収容される円筒状のローラ43に挿通されており、ローラ43は、ボルト41の外側においてボルト41と同軸線上に回転自在に設けられている。すなわち、ボルト41は芯材として機能し、ボルト41とローラ43とで板材5を案内する案内部4を構成している。
図2に示すように、ボルト41は、筐体6内の高さ方向中央から所定距離外れた位置において溝形鋼61に挿通されている。より具体的には、案内部4は、筐体6内において複数設けられており、各支持部材21,22の延在線上から外れた位置に配置されている。案内部4は、筐体6内において、各支持部材21,22の延在線に対してジグザグに配置されている。すなわち、図2において、案内部4は、各支持部材21,22の延在線上から交互に上下方向にずれるように配置されている。案内部4の1つは、筐体6の高さ方向のほぼ中央に設けられており、この案内部4は、第2の支持部材22に連結されている。これによって、筐体6と第2の支持部材22とが連結されている。
板材5は、第1の支持部材21の一端に連結金具(シャックル等)23を介して連結されている。ここで、板材5は、筐体6の高さ方向のほぼ中央から筐体6の外部に引き出されており、この位置で第1の支持部材21に連結されている。よって、第1の支持部材21と第2の支持部材22は、同一直線上に延在するように配置される。
板材5は、第1の支持部材21の一端に連結された一端から他端に向かう途中で案内部4に沿って配置されており、その結果、板材5は、複数回にわたって屈曲された状態となっている。
なお、案内部4の数量、配置や板材の板厚を変更することで、落石捕捉部1に作用する落石のエネルギーを吸収する量、第1の支持部材21に作用する張力の低減量、板材5の移動量を調整することができる。
図4は、落石を捕捉した場合における、支持部2に作用する張力と経過時間との関係を示すグラフであり、図5は、落石を捕捉した場合における、支持部2に作用する張力と支持部2の変位量との関係を示すグラフである。
図4に示すように、エネルギー吸収機構3を備えていない落石防止装置においては、落石捕捉直後から時間の経過と共に支持部2に作用する張力が増加していき、最大でPmaxの張力が作用する。この時点で、支持部2やアンカー部材Aが破損する恐れがあった。
また、図5に示すように、支持部2の変位について見ると、落石捕捉直後から時間の経過と共に張力がPmaxになるまで支持部2は変位し続け、張力がPmaxに達した時点、すなわち、変位がδ2となった時点で支持部2又はアンカー部材Aが破損する恐れがあった。
支持部2の変位についても、張力がPoに達するまで変位し、そのときの変位がδ1とすると、それ以降はストッパ7が筐体6に係止されるときまで、すなわち、変位がδ3となるまで板材5は移動する。従って、支持部2の移動量Lwは、Lw=δ3−δ1となる。
E1=1/2×Pmax×δ2
となり、
エネルギー吸収機構3を備えた落石防止装置100のエネルギー吸収量E2は、
E2=1/2×Po×δ1+Po×(δ3−δ1)
=1/2×Po×δ1+Po×Lw
となる。
よって、従来のように、落石防止装置の各構成を大きくして剛性を高めなくとも、落石のエネルギーを多く吸収して落石防止装置100の耐久性を向上することができる。
また、案内部4はローラ43を有しているので、板材5の引っ張りをスムーズにすることができる。
また、板材5は、ローラ43に面接触するように配置されているので、両者の間に発生する摩擦力が増えてエネルギー吸収効果を高めることができる。
また、ストッパ7を有しているので、板材5が筐体6から逸脱して、第1の支持部材21とエネルギー吸収機構3とが切り離されることがないので、大きな落石によって第1の支持部材21に大きな張力が作用しても落石が落石捕捉部1から飛び出すことはない。
また、第1の支持部材21と第2の支持部材22とが同一直線上に延在しているので、落石によるエネルギー吸収機構3の回転を極力抑えることができる。
また、板材5の材質、板厚、幅や、案内部4の位置、数量を変えることで、支持部2に作用する張力を調整することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、支持部は、2つに分ける必要はなく、エネルギー吸収機構の筐体の一部をアンカー部材によって地盤などに固定してもよい。また、エネルギー吸収機構は、すべての支持部に設ける必要はなく、支持部に大きな張力が作用する箇所のみに設けるとしても問題はない。また、案内部は、板材を屈曲させるように案内するものであれば、任意に配置や数量を変更可能である。また、ストッパについても、単に板材の端部を折り曲げて板材の板厚よりも十分に大きな端部とすれば問題ない。
2 支持部
3 エネルギー吸収機構
4 案内部
5 板材
6 筐体
7 ストッパ
21 第1の支持部材
22 第2の支持部材
41 ボルト(芯材)
43 ローラ
71 ボルト
72 ナット
100 落石防止装置
G 地盤
A アンカー部材
Claims (8)
- 落石を捕捉する落石捕捉部と、
前記落石捕捉部を支持する支持部と、
前記落石捕捉部に作用する落石のエネルギーを吸収するエネルギー吸収機構と、を備える落石防止装置であって、
前記エネルギー吸収機構は、
前記支持部の延在線上から外れた位置に配置された案内部と、
前記支持部に連結され、各案内部に当接するように配置された板材と、
を有することを特徴とする落石防止装置。 - 前記エネルギー吸収機構は、前記支持部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の落石防止装置。
- 前記案内部は、芯材と、前記芯材の外側において当該芯材と同軸線上に回転自在に設けられたローラと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の落石防止装置。
- 前記板材は、前記ローラに面接触するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の落石防止装置。
- 前記エネルギー吸収機構は、前記案内部が設けられる筐体を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の落石防止装置。
- 前記エネルギー吸収機構は、前記板材の一端に設けられ、前記板材が前記落石捕捉部に向けて所定距離移動した際に、前記筐体に係止されて前記板材の移動を規制するストッパを有することを特徴とする請求項5に記載の落石防止装置。
- 前記支持部は、前記落石捕捉部が取り付けられると共に、少なくとも一端が前記板材に連結される第1の支持部材と、
一端が固定され、他端が前記筐体に連結される第2の支持部材と、
を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の落石防止装置。 - 前記第1の支持部材と前記第2の支持部材は、同一直線上に延在するように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の落石防止装置。
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-
2014
- 2014-03-25 JP JP2014062370A patent/JP6297375B2/ja active Active
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