JP2015182909A - ガラスプリフォームの製造装置、ガラスプリフォームの製造方法、及び、光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記説明した熱間成形法は、冷間加工法に比べて、ガラス材料の利用率が高く、作業工程も少ないため、低コストで大量のプリフォームを作成するのに適している。
両凹レンズを精密プレス成形法により製造する際には、ともに凸形状の成形面を有する上型及び下型を用いる。そして、下型の凸形状の成形面上にプリフォームを配置し、上型の凸形状の成形面をプリフォームの上方に配置して下型及び上型をプレスする。ここで、上記説明した熱間成形法によりプリフォームを製造する場合には、熔融ガラス滴を逆円錐形状の成形面上で、浮上回転させることにより熔融ガラス滴を球形に成形しているため、プリフォームは球形となる。しかしながら、球状のプリフォームを凸面形状の下型成形面の上に安定した状態に配置することは困難である。さらに、プリフォーム上方から凸面形状の下型成形面で押圧すると、プリフォームが外方へと位置ずれする可能性がある。このように、プリフォームが上型及び下型の中心からずれると、プレス時にガラスが大きく偏肉して、レンズ形状の不良原因になる。
図1は、本発明の第1実施形態のガラスプリフォームの製造装置の一例について、その構成を示す概略図である。本実施形態のガラスプリフォームの製造装置1は、図示しない熔融坩堝と、熔融坩堝の下方に接続された滴下パイプ2と、互いに側方に離間して設けられたレーザー照射装置6と及び光センサー8と、レーザー照射装置6と及び光センサー8の下方に設けられたプレス部4と、プレス部4の下方に設けられた冷却槽12と、制御部10とを備える。
滴下パイプ2は、熔融坩堝の底部に接続されており、熔融坩堝に蓄積された熔融ガラスを熔融ガラス滴として滴下する。なお、本明細書中における「熔融ガラス滴」とは、滴下パイプ2内の熔融ガラスから分離し、表面張力により略球状の滴となったものをいう。滴下パイプ2は、図示しない加熱装置と保温材により、熔融ガラスが失透することなく、滴下パイプ2から滴下される熔融ガラス滴が所望の量となるように温度制御される。なお、加熱装置については、例えば、滴下パイプ2に電流を流して加熱する通電加熱機構や、滴下パイプ2の外周に高周波コイルを配置し、高周波コイルに高周波電流を流すことにより滴下パイプ2を誘導加熱する高周波誘導加熱機構など公知の装置を適用することができる。また、保温材としても公知のものを用いることができる。
冷却槽12には、滴下パイプ2の直下に配置されており、例えば、液体窒素などの液化ガス、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、代替フロンなどのガラスを変質させることなく冷却可能な冷却液が満たされている。
ガラスプリフォームを製造するにあたり、制御部10には、滴下パイプ2の先端高さと、レーザー照射装置6及び光センサー8の設置高さと、プレス部4の設置された高さとに基づいて、滴下パイプ2から滴下されて落下する熔融ガラス滴16が、レーザー照射装置6及び光センサー8の設置高さから、プレス部4のプレスヘッド14Aの中心の高さまで落下するのにかかる時間(以下、落下時間という)が記録されている。
以上の工程を繰り返すことにより、連続的にガラスプリフォームを作成することができる。
(1−1)
[プレスヘッド14Aの押圧面の間隔t´を一定にし、プレス時間を調整する方法]
プレスヘッド14Aの押圧面の間隔t´をプリフォームの厚さの目標値tより小さく設定する。プレス時間を長くすると、プリフォームの厚さはt´に近づき、プレス時間を短くするとプリフォームの厚さが増加する。このことを利用してプリフォームの厚さを目標値tになるようにプレス時間を調整する。
[プレス時間を一定にし、プレスヘッド14Aの押圧面の間隔t´を調整する方法]
プレス時間を一定にする。押圧面の間隔t´を狭くするとプリフォームの厚さは薄くなり、押圧面の間隔t´を広くするとプリフォームの厚さが厚くなる。このことを利用して、押圧面の間隔t´を調整し、プリフォームの厚さを目標値tにする。
[プレスヘッド14Aの押圧面の間隔t´及びプレス時間を調整する方法]
上記(1)の方法と(2)の方法を併用する。
図5は、図3に示すガラスプリフォームを用いて両凹面レンズをプレス成形により製造する方法を示す図である。同図に示すように、成形型30は、上方に凸な成形面を有する下型34と、下方に凸な成形面を有する上型32と、これら下型34及び上型32の周囲に設けられ、水平方向の相対移動を規制するスリーブ型36とを備える。下型34及び上型32の成形面には、公知の方法により離型膜が形成されている。
以上の工程を繰り返すことにより、ガラス製の微小な両凹面レンズ40を連続的に製造することができる。
まず、第1実施形態と同様に、熔融坩堝において、ガラス原料を熔融して熔融ガラス化し、清澄、均質化させる。そして、熔融坩堝の底面に接続された滴下パイプ2から作成すべきガラスプリフォームに適した所定量の熔融ガラス滴16を滴下する(STEP1)。滴下した熔融ガラス滴16は表面張力により略球形状となって落下する。
そして、一対の回転ローラー114が内側において下向きとなるように回転しているため、これら回転ローラー114に側方から押圧されながら下方へと送られる。これにより、熔融ガラス滴16が下方から支持されていない状態で、熔融ガラス滴16の側面が平坦にプレス成形される。このように側面が扁平に形成された熔融ガラス滴16は、回転ローラー114により下方に送られ、冷却槽12内の冷却液12Aへと落下し、冷却される(STEP3)。
以上の工程を繰り返すことにより、連続的にガラスプリフォームを作成することができる。
(2−1)
[回転ローラーの間の間隔t´を一定にし、回転ローラーの回転速度を調整する方法]
回転ローラーの間の間隔t´をプリフォームの厚さの目標値tより小さく設定する。回転ローラーの回転速度を小さくすると、プリフォームの厚さは薄くなり、回転ローラーの回転数を大きくするとプリフォームの厚さが厚くなる。このことを利用して回転ローラーの回転速度を調整し、プリフォームの厚さを目標値tにする。
[回転ローラーの回転速度を一定にし、回転ローラーの間の間隔t´を調整する方法]
回転ローラーの回転速度を一定にする。回転ローラーの間の間隔t´を狭くするとプリフォームの厚さは薄くなり、押圧面の間隔t´を広くするとプリフォームの厚さが厚くなる。このことを利用して、プリフォームの厚さを目標値tにする。
[回転ローラーの間の間隔t´及び回転ローラーの回転速度を調整する方法]
上記(1)の方法と(2)の方法を併用する。
熔融ガラス滴16の体積が一定であれば、ガラスプリフォームの厚さtを増加させることにより、外径φは減少する。逆に、ガラスプリフォームの厚さtを減少させることにより、外径φは増加する。また、熔融ガラス滴16の体積を増加させることにより、厚さtを変えることなく、外径φ及び円形扁平面20Aの径φ´を大きくすることができ、熔融ガラス滴16の体積を減少させることにより、最大径φ及び円形扁平面20Aの径φ´を小さくすることができる。このようにして、ガラスプリフォームの厚さtに対する外径φの比φ/tが1を超え6以下の扁平球となるようにすることが、後工程のプレス成形を良好に行う上から好ましい。なお、当然のことながら、この回転ローラー114の隙間の間隔t´は、滴下パイプ2から滴下される熔融ガラス滴16の外径よりも小さく設定する。
本実施形態では、回転ローラー114が回転していれば熔融ガラス滴16をプレスすることができるため、熔融ガラス滴16の滴下タイミングに合わせてプレス部を駆動するための装置、すなわち、第1実施形態におけるレーザー照射装置6及び光センサー8を省略することができる。さらに、第1実施形態では、プレス工程においてアクチュエータによりプレスヘッド14Aを進退させる必要があるため、熔融ガラス滴16の滴下間隔をあまり短くすることができなかったが、本実施形態では回転ローラー114を回転させるだけでよいので、第1実施形態に比べて、滴下間隔を短くすることができる。
ガラスプリフォーム20の厚さtを所望の値にするには、例えば、上記(3−1)〜(3−3)のいずれかの方法を用いればよい。
(3−1)
[回転コンベアの間の間隔t´を一定にし、回転コンベアの回転速度を調整する方法]
回転コンベアの間の間隔t´をプリフォームの厚さの目標値tより小さく設定する。回転コンベアの回転速度を小さくすると、プリフォームの厚さは薄くなり、回転コンベアの回転数を大きくするとプリフォームの厚さが厚くなる。このことを利用して回転コンベアーの回転速度を調整し、プリフォームの厚さを目標値tにする。
(3−2)
[回転コンベアの回転速度を一定にし、回転コンベアの間の間隔t´を調整する方法]
回転コンベアの回転速度を一定にする。回転コンベアの間の間隔t´を狭くするとプリフォームの厚さは薄くなり、押圧面の間隔t´を広くするとプリフォームの厚さが厚くなる。このことを利用して、プリフォームの厚さを目標値tにする。
(3−3)
[回転コンベアの間の間隔t´及び回転コンベアの回転速度を調整する方法]
上記(1)の方法と(2)の方法を併用する。
プレス部204によりプレスされたガラスプリフォームの厚みtに対する外径φの比φ/tが1を超え6以下の扁平球となるように、回転コンベアの回転速度、回転コンベアの押圧面の間隔t´、熔融ガラス滴の体積を設定することが、後工程にプレス成形を良好に行う上から好ましい。なお、当然のことながら、この回転コンベア214の間隔t´は、滴下パイプ2から滴下される熔融ガラス滴16の外径よりも小さい。
まず、第1実施形態と同様に、熔融坩堝において、ガラス原料を熔融して熔融ガラス化し、清澄、均質化させる。そして、熔融坩堝の底面に接続された滴下パイプ2から作成すべきガラスプリフォームに適した所定量の熔融ガラス滴16を滴下する(STEP1)。滴下した熔融ガラス滴16は表面張力により略球形状となって落下する。
そして、一対の回転コンベア214のスチールベルト214Bが内側において下向きとなるように回転しているため、熔融ガラス滴はこれら回転コンベア214のスチールベルト214Bによってプレスされながら下方へと送られる(STEP3)。これにより、熔融ガラス滴16は下方から支持されていない状態で、側面が略平坦にプレス成形される。このように側面が扁平に形成された熔融ガラス滴16は、さらに、回転コンベア214により下方に送られ(STEP4)、冷却槽12内の冷却液12Aへと落下し、冷却される(STEP5)。
以上の工程を繰り返すことにより、連続的にガラスプリフォームを作成することができる。
第3実施形態では、第2実施形態の回転ローラー114に代えて、回転コンベア214を用いているため、熔融ガラス滴16をより長い時間にわたり、スチールベルト214Bで挟んだ状態を継続することができる。このため、熔融ガラス16が冷却されるまで熔融ガラス滴16を挟んだ状態を維持することができ、プレス後に扁平化したガラスが変形することを防止できる。
なお、第4実施形態のガラスプリフォームの製造装置は、第2のプレス部でプレスしたガラスをさらにプレスする1または2以上のプレス部を備えたものでもよい。
図10は、一対の回転ローラー114から構成されるプレス部104と、一対の回転コンベア214から構成されるプレス部204とを組み合わせた第4実施形態の一例を示す概略図である。プレス部104が第1のプレス部、プレス部214が第2のプレス部に相当する。同図に示すように、第4実施形態の一例であるガラスプリフォームの製造装置301は、滴下パイプ2と、滴下パイプ2の下方に設けられた第1のプレス部104と、プレス部104の下方に設けられた第2のプレス部204とを備える。第1のプレス部104は、第2実施形態において説明した一対の回転ローラー114から構成されるプレス部104と同様の構成であり、第2のプレス部204は第3実施形態において説明した一対の回転コンベア214から構成されるプレス部204と同様の構成である。
第1実施形態のガラスプリフォームの製造装置1は、図1に示すように、加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材であるガラスプリフォームの製造装置であって、ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを形成する熔融坩堝と、熔融ガラスを断続的に滴下する滴下パイプ2と、滴下パイプ2から滴下した熔融ガラス滴16を、下方から支持することなく、側方からプレスして扁平に成形するプレス部14と、を備える。また、プレス部14は、滴下パイプ2から滴下した熔融ガラス滴16を検出するレーザー照射装置6及び光センサー8と、レーザー照射装置6及び光センサー8により熔融ガラス滴16が検出されると、互いに近接する方向に移動して側方から熔融ガラス滴を挟み込む一対のプレス部材14と、を有する。
なお、第4実施形態のガラスプリフォームの製造装置は、第2のプレス部でプレスしたガラスをさらにプレスする1または2以上のプレス部を備えたものでもよい。
実施例1では、図1を参照して説明したガラスプリフォームの製造装置1を用いてガラスプリフォームを製造した。ガラス材料としてHOYA株式会社製のMP−FDS2を用い、質量14mgのガラスプリフォームを製造した。先端温度が800〜900℃になるように加熱した滴下パイプ2の下端から、0.5秒の一定の周期で熔融ガラスを滴下した。滴下中の熔融ガラスを一対のプレス部材14でプレスし、プレスしたガラスを冷却液12A(エタノール)内に落下させ回収した。
実施例2では、図6を参照して説明したガラスプリフォームの製造装置101を用いてガラスプリフォームを製造した。ガラス材料としてHOYA株式会社製のMP−FDS2を用い、質量14mgのガラスプリフォームを製造した。先端温度が800〜900℃になるように加熱した滴下パイプ2の下端から、0.5秒の一定の周期で熔融ガラスを一対の回転ローラー114の隙間に滴下した。回転ローラー114は図示する方向に回転しており、熔融ガラス滴は一対の回転ローラー114の間に挟まれてプレスされる。一対の回転ローラー114の間を通過したガラスは、冷却液12A(エタノール)内へと落下し、回収される。
実施例3では、図10を参照して説明したガラスプリフォームの製造装置301を用いてガラスプリフォームを製造した。ガラスとしてHOYA株式会社製のMP−BACD5を用い、質量40mgのガラスプリフォームを製造した。先端温度が900℃になるように加熱された滴下パイプ2の下端から、4.1秒の一定の周期で熔融ガラスを、プレス部104を構成する一対の回転ローラー114の隙間に向けて滴下した。
2 滴下パイプ
4、104、204 プレス部
6 レーザー照射装置
8 光センサー
10 制御部
12 冷却槽
12A 冷却液
14 プレス部材
14A プレスヘッド
16 熔融ガラス滴
20 ガラスプリフォーム
20A 円形扁平面
30 成形型
32 上型
34 下型
36 スリーブ型
40 両凹面レンズ
114 回転ローラー
214 回転コンベア
214A 回転ローラー
214B スチールベルト
Claims (7)
- 加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材であるガラスプリフォームの製造装置であって、
ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを形成する熔融部と、
前記熔融ガラスを断続的に滴下する滴下部と、
前記滴下部から滴下した熔融ガラス滴を、下方から支持することなく、側方からプレスして扁平に成形するプレス部と、を備える、ガラスプリフォームの製造装置。 - 前記プレス部は、
前記滴下部から滴下した熔融ガラス滴を検出する検出部と、
前記検出部により熔融ガラス滴が検出されると、互いに近接する方向に移動して側方から熔融ガラス滴を挟み込む一対のプレス部材と、を有する、
請求項1記載のガラスプリフォームの製造装置。 - 前記プレス部は、製造するガラスプリフォームの厚さに応じた隙間を水平方向にあけて配置された少なくとも一対の回転ローラーを有する、
請求項1記載のガラスプリフォームの製造装置。 - 前記プレス部は、製造するガラスプリフォームの厚さに応じた隙間を水平方向に開けて、上下方向に延びるように配置された少なくとも一対の回転無端ベルトを有する、
請求項1または3記載のガラスプリフォームの製造装置。 - 加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材であるガラスプリフォームの製造方法であって、
ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを形成する熔融ステップと、
前記熔融ガラスを断続的に滴下する滴下ステップと、
前記滴下した熔融ガラス滴を、下方から支持することなく、側方からプレスして扁平に成形するプレスステップと、を備える、ガラスプリフォームの製造方法。 - 前記プレスステップでは、前記熔融ガラス滴を、厚さtに対する外径φの比φ/tが1より大きく、かつ、10以下の扁平球となるようにプレスする、請求項5記載のガラスプリフォームの製造方法。
- プレス成形用の上型及び下型を有する成形型を用いて、ガラスプリフォームをプレス成形する光学素子の製造方法であって、
請求項5または6に記載のガラスプリフォームの製造方法により扁平面を有するガラスプリフォームを製造するステップと、
凸状を呈する下型の成形面と前記扁平面とが対向するように前記上型及び下型の間にガラスプリフォームを配置するステップと、
加熱、軟化状態のガラスプリフォームを前記成形型を用いてプレス成形するステップと、を備える、光学素子の製造方法。
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