JP2015178874A - 無段変速機構 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトには過大な推力が加わるので、構造的に滑りが発生する部分では大きな摩擦損失が発生する。
このような無段変速機構としては、回転軸の軸心に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転するように支持されて回転軸の軸心に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。
このような無段変速機構が例えば特許文献1に示されている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(3)前記可動放射状溝は、外周に向かうに連れて、前記径方向に対する傾斜角度が大きくなる曲線状に形成されることが好ましい。
(5)さらに、前記相対回転駆動機構は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備え、前記第二カム溝は、前記第一カム溝に対する交差角度が、前記複合スプロケットの接円半径が大きくなるに連れて小さくなるように設けられることが好ましい。
以下、一実施形態にかかる無段変速機構について説明する。
〔1.構成〕
無段変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
以下、無段変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50の順に説明する。
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22と第二ピニオンスプロケット23とは、配設箇所及び自転方向が異なるのを除いて同様に構成されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目して説明する。
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。これらのガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
まず、図2を参照して、上記の機構40A,40B,50の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)と、この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15と、可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16と、可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30との順にそれぞれを説明する。
なお、固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側(図2の上方側)に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
以下、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,ロッド用固定放射状溝12の順に説明する。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)といえ、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝といえ、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝といえる。このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
ピニオンスプロケット21,22,23における支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4と回転軸1の軸心C1との距離は、接円半径が最小径であるときに最小距離(以下、「最小径」という)r1となり、接円半径が最大径であるときに最大距離(以下、「最大径」という)r3となり、各複合スプロケット5(図1及び図2参照)の接円半径が互いに等しくなるときに最小径r1と最大径r3との中間距離(以下、「中間径」という)r2となる。
これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、配設箇所を除いて同様に構成されているため、以下の説明では、スプロケット用固定放射状溝11aに着目して説明する。また、スプロケット用固定放射状溝11aにかかる説明では、固定ピニオンスプロケット21を単にピニオンスプロケット21と呼ぶ。
スプロケット用固定放射状溝11aにおいて、内周側端部111には、接円半径が最小径であるときピニオンスプロケット21の支持軸21aが位置し、外周側端部113には、接円半径が最大径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置し、径方向中間部112には、各複合スプロケット5の接円半径が互いに等しくなるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置する。
次に、スプロケット用固定放射状溝11aの形態について説明する。
スプロケット用固定放射状溝11aは、固定ディスク10の径方向θsに沿う直線状に形成されている。
ロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)には、対応するガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。なお、ロッド用固定放射状溝12は、それぞれ配設箇所が異なる点を除いては同様に構成されている。
ロッド用固定放射状溝12は、上記のスプロケット用固定放射状溝11aと同様に、固定ディスク10の径方向に沿う直線状に形成されている。
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(図5のそれぞれに一箇所のみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。
各スプロケット用可動放射状溝19aは、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに対応する形状に設けられている。特に、本実施形態では、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c及びロッド用固定放射状溝12がそれぞれ径方向に直線状に延びているので、相対回転角度の特性は、スプロケット用可動放射状溝19a及び後述するロッド用可動放射状溝19bの形状設定により実現される。
図4に示すように、スプロケット用可動放射状溝19aは、上記のスプロケット用固定放射状溝11aと同様に、最小径r1,中間径r2及び最大径r3に跨って配設されている。
スプロケット用可動放射状溝19aにおいて、内周側端部191には、接円半径が最小径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21aが位置し、外周側端部193には、接円半径が最大径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置し、径方向中間部192には、各複合スプロケット5の接円半径が互いに等しくなるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置する。
このスプロケット用可動放射状溝19aは、径方向中間部192よりも内周側端部191側の内周部19iと、径方向中間部192よりも外周側端部193側の外周部19oとに大別することができる。
スプロケット用可動放射状溝19aは、外周に向かうに連れて径方向に対して周方向(ここでは公転方向に対して反対方向)に向けて傾斜して設けられている。例えば、スプロケット用可動放射状溝19aの内周側端部191は、この位相に対応する径方向θcに対して傾斜している。ここでいう径方向θcは、内周側端部191の位相における軸中心を通過する径方向線の方向に対応している。
すなわち、支持軸21aが外周に向かうに連れて、単位あたりの相対回転角度(以下、「単位相対回転角度」という)に対応する支持軸21aにかかる径方向位置の変位量が小さくなるように、スプロケット用可動放射状溝19aの形状が設定されている。
言い換えれば、支持軸21aが内周に向かうに連れて、支持軸21aにかかる単位あたりの径方向位置の変位量(以下、「単位径方向位置変位量」という)に対応する可動ディスク19の相対回転角度が大きくなるように、スプロケット用可動放射状溝19aの形状が設定されている。
なお、単位径方向位置変位量に対応する相対回転角度が従来よりも小さく設定された位相に対応するスプロケット用可動放射状溝19aの外周部19oは、従来のスプロケット用可動放射状溝よりも径方向に対して小さく傾斜する形状となっている。
このスプロケット用可動放射状溝19aの形状にかかる曲線は、内周から外周に向かうに連れて、径方向に対する傾斜角度が大きくなるように定まる。
具体的なスプロケット用可動放射状溝19aの形状は、径方向に対して傾斜した曲線である。かかる曲線は、回転軸1の軸心C1に対する距離(半径r,径方向位置)と、可動ディスク19の基準位相に対する角度(θ)とで表せば、単位径方向位置変位量(単位変位量Δr)に対する相対回転角度(Δθ)が、径方向位置(半径r)が小さくなるに連れて大きくなるように設定されている。
図5に示すように、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。なお、ロッド用可動放射状溝19bは、それぞれ配設箇所が異なる点を除いては同様に構成されている。
各ロッド用可動放射状溝19bは、スプロケット用固体放射状溝11aに対してスプロケット用可動放射状溝19aの形状が設定されるのと同様に、ロッド用固定放射状溝12のそれぞれに対応する形状に設けられている。
図4では、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの相互間に五本のロッド用可動放射状溝19bが設けられ、同径方向位置で比較したときに、各ロッド用可動放射状溝19bの径方向に対する傾斜角度が公転方向に向かうに連れて小さくなるものを例示している。
ここでは、ロッド用可動放射状溝19bは、ピニオンスプロケット20(図1参照)が何れの径方向位置にあるときでもピニオンスプロケット20間にガイドロッド29が等間隔に位置するように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに合わせて配設されている。
図2に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図6及び図7には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
接続部17は、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図6及び図7に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図6には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
このように、第二カム溝16aは、可動放射状溝19a,19bに対応する形状に形成されている。
図7には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝15aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達するメガネフォーク(軸方向力伝達部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
図2及び図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
なお、メガネフォーク35は、ディスク10,19に対して平行であって、チェーン6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側にプレート状に並設されている。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。すなわち、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されている。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図2及び図7には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。
上記のメガネフォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に係合するメガネフォーク35を介して軸方向の力がカムローラ90に伝達され、カムローラ90も軸方向に移動される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。
このとき、相対回転駆動機構30は、複合スプロケット5の接円半径が大きくなるに連れて、固定ディスク10に対して可動ディスクを小さく回転する。また、相対回転駆動機構30は、一方の複合スプロケット5の接円半径と他方の複合スプロケット5の接円半径を同時に変更する。
次に、図2及び図5を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図2及び図7参照)とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
図5(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図1及び図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図5(b),図5(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン6の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
次に、図2及び図6を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の上方側)の構成に着目して説明する。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
図6に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。
次に、チェーン6について説明する。
図9に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
本発明の一実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
単位径方向位置変位量に対応する相対回転角度が、複合スプロケット5の接円半径が小さくなるに連れて大きくなるように設定されることにより、従来のように径方向に沿って直線状に形成された固定放射状溝に交差するとともに単位径方向位置変位量とこれに対応する相対回転角度とが一定の比率を有する可動放射状溝に比較して、スプロケット用可動放射状溝19aの内周部19iとロッド用可動放射状溝19bの内周部とを径方向に対して大きく傾斜する形状とすることができ、固定放射状溝11a,11b,11c,12に対する交差角度を確保することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の一実施形態では、径方向に直線状に延びる固定放射状溝11a,11b,11c,12を前提にして、可動放射状溝19a,19bの形状を設定するものを示したが、固定放射状溝の形状にかかわらず、少なくとも、単位径方向位置変位量に対応する相対回転角度が、複合スプロケット5の接円半径が小さくなるに連れて大きくなるように設定されていればよい。この場合、可動放射状溝の内周部は、従来の単位相対回転角度とこれに対応する径方向位置変位量との比率が一定に設定されたものよりも、径方向に対して傾斜する形状に設定され、固定放射状溝との交差角度を確保することができる。
また、複数のピニオンスプロケット20側から可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示したが、ディスクの配置や枚数はこれに限られず、種々の配置や枚数を採用することができる。例えば、固定ディスク10に対応するディスクとして、可動ディスク19の軸方向内側及び外側に第一固定ディスク及び第二固定ディスクを配設してもよい。この場合、第一固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c及びロッド用固定放射状溝12を形成することができ、第二固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに対応する溝を形成するとともにラック53,54を固設することができる。このように、ピニオンスプロケットを径方向に移動させる第一固定ディスク(径方向移動用固定ディスク)とピニオンスプロケットを自転させる第二固定ディスク(自転用固定ディスク)とをそれぞれ備えてもよい。なお、上述の一実施形態では、固定ディスク10が、前述した第一固定ディスクと第二固定ディスクとを兼用するものといえる。
5 複合スプロケット
6 チェーン
10 固定ディスク(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)
10p プレート
11a,11b,11c スプロケット用固定放射状溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
111 内周側端部
112 径方向中間部
113 外周側端部
11i 内周部
11o 外周部
12 ロッド用固定放射状溝
15 第一回転部
15a 第一カム溝
16 第二回転部
16a 第二カム溝
161 一端部
162 他端部
17 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部
17c 肉抜き部
19 可動ディスク(径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
19i 内周部
19o 外周部
191 内周側端部
192 径方向中間部
193 外周側端部
19b ロッド用可動放射状溝
19A 連結シャフト
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
20a,21a,22a,23a 支持軸
29 ガイドロッド
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30 相対回転駆動機構
31 軸方向移動機構
32 モータ
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
35 メガネフォーク(軸方向力伝達部材)
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
90 カムローラ
90a 一端部
C1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所
r1 最小径
r2 中間径
r3 最大径
Δr12,Δr23 径方向距離
θS,θC 径方向
Δθ01,Δθ12 位相差
Claims (5)
- 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケット及び複数のガイドロッドと、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れもを囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、
前記移動機構は、
前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
前記支持軸がそれぞれ内挿される可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、を備え、
前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転させることにより、前記固定放射状溝と前記可動放射状溝とが交差し前記支持軸が位置する第一交差箇所を前記径方向に移動させるように構成され、
前記第一交差箇所を単位長さ前記径方向に移動させるための、前記可動ディスクの前記固定ディスクに対する相対回転角度が、前記複合スプロケットの接円半径が小さくなるに連れて大きくなるように設定されている
ことを特徴とする、無段変速機構。 - 前記固定放射状溝は、前記径方向に沿った直線状に形成され、
前記可動放射状溝は、前記径方向に対して傾斜した曲線状に形成され、当該曲線を、前記回転軸の中心に対する半径rと前記可動ディスクの基準位相に対する角度θとで表すと、径方向の単位変位量Δrに対する中心角度の回転角度Δθが、半径rが小さくなるに連れて大きくなるように設定されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機構。 - 前記可動放射状溝は、外周に向かうに連れて、前記径方向に対する傾斜角度が大きくなる曲線状に形成された
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無段変速機構。 - 前記移動機構は、
前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の無段変速機構。 - 前記相対回転駆動機構は、
前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、
前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、
前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、
前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、
前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備え、
前記第二カム溝は、前記第一カム溝に対する交差角度が、前記複合スプロケットの接円半径が大きくなるに連れて小さくなるように設けられた
ことを特徴とする、請求項4に記載の無段変速機構。
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