JP6162629B2 - 多段変速機構 - Google Patents

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本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転(回転軸まわりの公転)するように支持されて回転軸の軸心に対して公転する複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する多段変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトなどの耐久性を損ねるおそれがある。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。
このような無段変速機構としては、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転するように支持されて回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。かかる構成のもとでは、各ピニオンスプロケットが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化して複合スプロケットが拡縮径することにより、変速比が変化する。
例えば、特許文献1には、複数のピニオンスプロケットの一側に二つディスク(スピンドル)が並設され、それぞれのディスクに放射状溝が設けられ、回転軸と一体に回転する固定ディスクの放射状溝(以下、「第一放射状溝」という)と回転軸に対して回転可能な可動ディスクの放射状溝(以下、「第二放射状溝」という)とが互いに交差するように配置され、第一放射状溝と第二放射状溝とが交差する箇所に各スプロケットの軸が支持されたものが示されている。固定ディスクと可動ディスクとの相対角度(位相)が変更されると、第一放射状溝と第二放射状溝との交差箇所が径方向に移動するため、かかる交差箇所に軸支された各ピニオンスプロケットは、両ディスクの相対回転により径方向に移動される。このように複合スプロケットが拡縮径されて、変速比が変更される。
米国特許第7713154号
ところで、特許文献1に示された無段変速機構にあっては、ピニオンスプロケットの半径方向位置(変速比)に応じて、複合スプロケットの見かけ上の歯数(ここでは単に「複合スプロケットの歯数」という)が変化する。同歯数が整数であれば、複合スプロケットの歯とチェーンの溝との位相は合致するが、複合スプロケットの歯数が整数でなければ、複合スプロケットの歯とチェーンの溝とで位相ズレが生じてしまう。
そこで、変速比を一定に維持するときには、複合スプロケットの歯数が整数となる状態を保持し、また、変速比を変更するときには、複合スプロケットの歯数を整数から他の整数へと順次遷移させることが考えられる。すなわち、複合スプロケットの歯数がとりうる整数の数だけ多段に変速する多段変速機構が考えられる。
しかしながら、特許文献1に示されるような無段変速機構では、変速比を連続的に変化させることが示されるだけで、複合スプロケットの歯数を整数に保持することへの対策は何ら講じられていない。かかる無段変速機構では、変速比が無段階に変更され、複合スプロケットの歯数が整数でない状態となってしまい、チェーンの位相ズレやこれによる動力伝達の不具合を招いてしまうおそれがある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、複合スプロケットの歯数が整数となるように固定ディスクに対する可動ディスクの位相を精確に保持することができるようにした、多段変速機構を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の多段変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する多段変速機構であって、前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数(以下、単に「複合スプロケットの歯数」と称す)が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相を保持する位相保持機構と、を備え、前記位相保持機構は、前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転し前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相のそれぞれに対応して設けられた凹部と、前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか他方と一体に回転し前記凹部に突起部が係脱可能に設けられた係脱部と、を有する。さらに、前記凹部は、前記回転軸の軸心を基準として周方向に列をなして設けられ、前記列は、前記回転軸の軸心を基準として径方向に並んで複数設けられる
(2)前記スプロケット移動機構は、前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構を備えることが好ましい。
(3)前記係脱部は、前記突起部を前記凹部に向けて付勢する付勢部材を更に有することが好ましい。
)さらに、前記係脱部は、前記凹部の設けられた前記列がなす径方向位置のそれぞれに対応して、前記回転軸の軸心を基準とした複数の径方向位置のそれぞれに設けられることが好ましい。
)前記複合スプロケットの歯数がとりうる整数のうちの一つの整数である基準整数に対応する前記凹部と、前記基準整数を1だけ変化させた整数である隣接整数に対応する前記凹部とは、前記回転軸の軸心を基準とした径方向位置が異なって設けられていることが好ましい。
)前記凹部は、皿モミ穴であることが好ましい。
)前記係脱部は、ボールプランジャであることが好ましい。
)前記凹部及び前記係脱部は、周方向に等間隔で複数設けられることが好ましい。
)前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転するプレートを備え、前記プレートに前記凹部が設けられることが好ましい。
(10)また、もう一つの本発明の多段変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する多段変速機構であって、前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相を保持する位相保持機構と、を備え、前記位相保持機構は、前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転し、前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相のそれぞれに対応して設けられた凹部と、前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか他方と一体に回転し、前記凹部に突起部が係脱可能に設けられた係脱部と、を有する。さらに、前記複合スプロケットの歯数がとりうる整数のうちの一つの整数である基準整数に対応する前記凹部と、前記基準整数を1だけ変化させた整数である隣接整数に対応する前記凹部とは、前記回転軸の軸心を基準とした径方向位置が異なって設けられている。
本発明の多段変速機構によれば、位相保持機構により、複合スプロケットの歯数が整数となるときの可動ディスクの位相を保持することができる。
具体的には、複合スプロケットの歯数が整数となるときの固定ディスクに対する可動ディスクの位相のそれぞれに対応して設けられた凹部が、固定ディスク及び可動ディスクの何れか一方に設けられ、これらの凹部に係脱可能な突起部を有する係脱部が固定ディスク及び可動ディスクの何れか他方に設けられているため、固定ディスクに対する可動ディスクの位相が、歯数が整数をなすのに対応する位相となると、係脱部の突起部を凹部に係合させることができる。これにより、固定ディスクに対する可動ディスクの位相が機械的(メカニカル)に保持され、複合スプロケットの歯数が整数となる状態を精確に保持することができる。
本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す径方向断面図(横断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構においてピニオンスプロケット等の径方向移動用の固定ディスク及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸とを示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の径方向断面図である。この図4は、図2のA−A矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の径方向断面図である。この図5は、図2のB−B矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の第一カム溝及び第二カム溝を拡大して示す要部拡大図である。この図6は、図2のC−C矢視図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の位相保持機構を説明する拡大断面図である。この図7は、図2の領域Dの拡大図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の位相保持機構における凹部の配設態様を説明する図であり、固定ディスクに着目して示す側面図である。この図8は、図2の矢視Eに対応している。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構の位相保持機構における凹部の配設態様を説明する要部拡大図である。この図9は、図8の領域Fに対応している。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構のチェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構のチェーンのうち補助リンクプレートを単体で示し、(a)は正面図であり、(b)は底面図である。 本発明の一実施形態にかかる多段変速機構のチェーンのうちリンクプレート(駆動リンク)を単体で示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の多段変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の多段変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、多段変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を内側とし、その反対側を外側として説明する。
本発明の多段変速機構は、変速比を一定に維持するときには複合スプロケットの歯数が整数となる状態を保持し、また、変速比を変更するときには複合スプロケットの歯数を整数から他の整数へと順次遷移させるものである。このため、本多段変速機構は、複合スプロケットの歯数がとりうる整数の数だけ多段に変速することが可能となる。
この多段変速機構では、複合スプロケットの歯数がとりうる整数Zのうち最小のものを最小整数Zminとし、このときの固定ディスクに対する可動ディスクの相対回転角度(回転位相)θを最小相対回転角度θminとする。また、複合スプロケットの歯数がとりうる整数Zのうち最大のものを最大整数Zmaxとし、このときの固定ディスクに対する可動ディスクの相対回転角度θを最大相対回転角度θmaxとしている。
なお、複合スプロケットの歯数とは、複合スプロケットのピッチ円の円周をチェーンの単位リンク長(ピニオンスプロケットの単位ピッチ長)で除算して導出することができ、複合スプロケットの見かけ上の(複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の大スプロケットの全周に亘って歯が存在すると見なした場合の)歯数を意味する。以下、複合スプロケットの歯数というときは、同様の意味で用いる。
〔1.一実施形態〕
以下、一実施形態にかかる多段変速機構について説明する。
〔1−1.多段変速機構の構成〕
多段変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心に一体回転する一組の複合スプロケット5(図1では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心に一体回転する複合スプロケット5(図1では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十五本)のガイドロッド(第一ガイドロッド)29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上において周方向に沿って等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ五本のガイドロッド29が配置されている。
図1には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20に含まれる自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動する機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bと、複合スプロケットの歯数が整数となる状態を保持する位相保持機構60とを備えている(図2〜図5,図7参照)。これらについては、詳細を後述する。
この多段変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れをも囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン6が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン6との接触半径、即ち、複合スプロケット5のピッチ円の半径に対応するものともいえる。
接円半径或いはピッチ円の半径が最小径であるときには、複合スプロケット5の歯数が最小整数Zminであり、複合スプロケット5の外径が最小径となる。また、接円半径或いは接触半径が最大径であるときには、複合スプロケット5の歯数が最大整数Zmaxであり、複合スプロケット5の外径が最大径となる。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
このように、多段変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものである。
以下、多段変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
〔1−1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,位相保持機構60の順に説明する。
〔1−1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
各ピニオンスプロケット21,22,23は、いずれも、その中心に設けられた支持軸(ピニオンスプロケット軸)21a,22a,23aに対して結合されている。ここでいう「自転」とは、各自転ピニオンスプロケット22,23がその支持軸22a,23aの軸心C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部全周に形成された歯21cとを有する。同様に、自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも本体部22b,23bとこの本体部22b,23bの外周部全周に突出形成された歯22c,23cとを有する。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
詳細は後述するが、第一自転ピニオンスプロケット22は、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22と第二ピニオンスプロケット23とは、配設箇所と自転方向が異なるのを除いて同様に構成されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目して説明する。
本実施形態では、図2に示すように、第一自転ピニオンスプロケット22は、軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21,第二自転ピニオンスプロケット23もそれぞれ軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン6も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。ここでは、各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、多段変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。また、図2には、理解容易のため模式的に示しており、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22並びに何れも後述する相対回転駆動機構30及び位相保持機構60を示している。
なお、図示省略するが、各ピニオンスプロケット21,22,23において、各支持軸21a,22a,23aに対して自転を規制しつつ微小回転(一定範囲内での回転)を許容して動力伝達を実現する位相ズレ許容動力伝達機構が装備されていてもよい。かかる位相ズレ許容動力伝達機構としては、ピニオンスプロケット21,22,23の内周側に一体回転するように装備されたキー部材と、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの外周側に形成されてキー部材が回転方向に遊びをもって係合するキー溝と、キー部材がキー溝の回転方向の中立位置に位置するように、キー部材を回転方向の正転と逆転方向との双方から付勢する付勢部材とを備え、回転方向の中立位置に付勢し回転を弾性的に規制するものを用いることができる。この場合、ピニオンスプロケット21,22,23の本体部21b,22b,23bは、支持軸21a,22a,23aに対して回転自在に設けられる。
〔1−1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。このガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
図1,図2及び図7に示すように、ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図1では破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが外挿されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン6(図1及び図2参照)をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十五本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29の本数は、ピニオンスプロケット20の相互間の数(ここでは三つ)の倍数であることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。更に言えば、簡素な構成とするために、ガイドロッド29を省略してもよい。
〔1−1−1−3.スプロケット移動機構,ロッド移動機構,機械式自転駆動機構及び位相保持機構〕
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,位相保持機構60をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
位相保持機構60は、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相を複合スプロケット5の歯数が整数となるように保持するものである。
〔1−1−1−3−1.前提構成〕
まず、図2を参照して、上記の機構40A,40B,50,60の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)と、この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15と、可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16と、可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30との順にそれぞれを説明する。
なお、固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側(図2の紙面上方側)に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−1−3−1−1.固定ディスク〕
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
図3に示すように、固定ディスク10には、各ピニオンスプロケット21,22,23(図1参照)に対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、ピニオンスプロケット20のそれぞれに対応して設けられ、また、ロッド用固定放射状溝12は、ガイドロッド29のそれぞれに対応して設けられている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)といえ、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝といえ、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝といえる。このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
また、ロッド用固定放射状溝12には、各ガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。
〔1−1−1−3−1−2.可動ディスク〕
可動ディスク19(破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19aとロッド用可動放射状溝19b(何れも一箇所のみに符号を付して破線で示す)との二種の可動放射状溝が形成されている。なお、可動ディスク19の外形は円形であり、円形である固定ディスク10の外形と一致して重合するが、図3では便宜上の可動ディスク19の外形円を縮小して示している。
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(何れも一箇所にのみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。同様に、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
〔1−1−1−3−1−3.第一回転部〕
第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、図2に示すように、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図5及び図6に示すように、第一回転部15には、第一カム溝15aが設けられている。この第一カム溝15aは、回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられている。ここでは、第一カム溝15aが回転軸1の軸心C1と平行に形成されている。図5には、第一カム溝15a(一箇所のみに符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−1−1−3−1−4.第二回転部〕
図2,図4及び図5に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図4及び図5には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
まず、接続部17について説明する。
接続部17は、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
接続部17においては、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部17aであり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図2,図4及び図5に示すように、径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部17aに接続され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図4及び図5に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図4には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
次に、第二回転部16について説明する。
図2,図4及び図5に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
図2及び図6に示すように、第二回転部16には、第二カム溝16aが設けられている。この第二カム溝16aは、第一カム溝15aの外周に隣接して設けられ、また、第一カム溝15aと交差するとともに回転軸1の軸方向に沿って設けられている。
なお、図5には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝15aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
〔1−1−1−3−1−5.相対回転駆動機構〕
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達するメガネフォーク(軸方向力伝達部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,メガネフォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。
図2及び図5に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
メガネフォーク35は、二つの複合スプロケット5,5に跨って設けられている。このメガネフォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの内周側には、上記の第一回転部15及び第二回転部16が配設されている。
なお、メガネフォーク35は、ディスク10,19に対して平行であって、チェーン6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側にプレート状に並設されている。
カムローラ支持部35aには、内周側の全周にわたって溝部35cが凹設されている。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。すなわち、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されている。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図2及び図5には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
軸方向移動機構31は、メガネフォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、メガネフォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、図2及び図5を参照して、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
フォーク溝34bは、メガネフォーク35のブリッジ部35bの厚み(軸方向長さ)に対応する幅(軸方向長さ)に形成されている。このフォーク溝34bには、ブリッジ部35bの中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)が係合される。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。
上記のメガネフォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に係合するメガネフォーク35を介して軸方向の力がカムローラ90に伝達され、カムローラ90も軸方向に移動される。
第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90が軸方向に移動されると、第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第一カム溝15aが設けられた第一回転部15は回転軸1及び固定ディスク10と一体回転するため、第二交差箇所CP2が軸方向に移動すると、第一回転部15に対して第二カム溝16aが設けられた第二回転部16が相対的に回転させられる。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。
このように、相対回転駆動機構30は、軸方向移動機構31によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動して、第一交差箇所CP1を径方向に移動させる。
〔1−1−1−3−2.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図2及び図3を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図2及び図5参照)とから構成されている。
また、ロッド移動機構40Bは、ロッド支持軸29aが内挿されるロッド用固定放射状溝12が形成された固定ディスク10と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図3(a)〜(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。
図3(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図3(b),(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン6の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−1−3−3.機械式自転駆動機構〕
次に、図2及び図4を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の紙面上方側)の構成に着目して説明する。
機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、チェーン6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
まず、機械式自転駆動機構50について、固定ピニオンスプロケット21(図1参照)を自転させないための構成を説明する。
図4に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに内挿されて径方向に案内される。この案内部材59は、径方向の所定長さにわたってスプロケット用固定放射状溝11aに接触するように対応する形状に形成されている。このため、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力が作用したときには、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに対して回転力を伝達するとともに、この回転力の反作用(抗力)で固定ピニオンスプロケット21を固定するものといえる。すなわち、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aにおいて径方向に摺動可能であって回り止め機能を有する形状に形成されている。なお、ここでいう所定長さとは、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力の抗力が確保可能な長さである。
図4では、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に長手方向を有する矩形状に形成されており、この矩形状よりも小さい矩形状に形成された案内部材59を例示している。
また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
次に、機械式自転駆動機構50について、自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動するための構成について説明する。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
ピニオン51,52は、自転ピニオンスプロケット22,23の各支持軸22a,23aにおける軸方向端部にそれぞれ設けられている。かかるピニオン51,52にそれぞれ対応するラック53,54は、固定ディスク10に径方向に沿って固設されている。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
図4に示すように、第一ラック53は、第一ピニオン51に対して公転方向基準で遅角側に配置される。逆に、第二ラック54は、第二ピニオン52に対して公転方向基準で進角側に配置される。このため、ピニオン51,52及びラック53,54は、ピニオン51,52が拡径方向又は縮径方向に移動されると、ピニオン51,52はこれに噛合するラック53,54によって互いに逆方向に回転されるように配設されている。
すなわち、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となる。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。このため、以下の説明では、第一ピニオン51及び第一ラック53に着目して説明する。
第一ピニオン51の外径(ピッチ円直径)は、第一自転ピニオンスプロケット22の外径(ピッチ円直径)の略半分に形成されている。逆に言えば、第一自転ピニオンスプロケット22の外径は、第一ピニオン51の外径の略二倍に形成されている。その理由を以下に示す。
三個のピニオンスプロケット20が周方向に等間隔に配置されているため、第一ピニオンスプロケット22と固定ピニオンスプロケット20との間のチェーン長は、第一自転ピニオンスプロケット22が径方向に距離xだけ移動したときには「2πx/3」だけ変化する。
このため、第一自転ピニオンスプロケット22が、長さが「2πx/3」のチェーン6を第一自転ピニオンスプロケット22と固定ピニオンスプロケット21との間に送り込むか引き出すように回転(自転)すれば、チェーン長が適切に調整される。
したがって、チェーン長を適切に調整するには、第一ピニオン51が距離xだけ回転するときに、第一自転ピニオンスプロケット22は周方向長さにおいて2πx/3だけ回転することが必要になる。すなわち、第一自転ピニオンスプロケット22は第一ピニオン51に対して2π/3倍だけ回転することが必要となる。言い換えれば、第一自転ピニオンスプロケット22の外径と第一ピニオン51の外径との比が「2π/3:1」であることが必要となる。
よって、第一自転ピニオンスプロケット22の外径は、第一ピニオン51の外径の「2π/3」倍(略二倍)に形成されている。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22には、前述の位相ズレ許容動力伝達機構に代えて、その支持軸22aと第一ピニオン51との間に皿ばねが介装されていてもよい。この皿ばねによれば、支持軸22aと第一ピニオン51との微小な回転を許容しつつ相対回転を規制することで、変速比の変更中に発生しうる第一自転ピニオンスプロケット22とチェーン6との噛合時のショック(衝撃)を吸収する。この皿ばねは、固定ピニオンスプロケット21及び第二自転ピニオンスプロケット23のそれぞれにも同様に適用可能である。
〔1−1−1−3−4.位相保持機構〕
次に、図2,図7〜図9を参照して、位相保持機構60について説明する。
ここでは、位相保持機構60がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、位相保持機構60の一側(図2の紙面上方側)の構成に着目して説明する。
位相保持機構60は、上記したように、複合スプロケット5の歯数が整数となるときの固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相(以下、「整数対応位相」という)を保持するものである。
図7に示すように、位相保持機構60は、固定ディスク10と一体に回転する部位(ここでは後述するプレート10p)に設けられた凹部70と、可動ディスク19と一体に回転する部位(ここでは、径方向接続部17b)に設けられたボールプランジャ(係脱部)80(一箇所にのみ符号を付す)とを有する。
なお、凹部70及び凹部70に対応するボールプランジャ80は、ピニオンスプロケット21,22,23の間にそれぞれ設けられ、周方向に等間隔(図4,図5及び図8参照)に設けられている。ここでは、三組の凹部70及びボールプランジャ80を例示して説明するが、一組若しくは二組又は四組以上の凹部70及びボールプランジャ80が設けられていてもよい。各組の凹部70及びボールプランジャ80は同様に構成されているため、以下の説明では、一組の凹部70及びボールプランジャ80に着目し、凹部70,係脱部80の順に説明する。
〔1−1−1−3−4−1.凹部〕
凹部70は、整数対応位相のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、複合スプロケット5の歯数がとりうる整数(Zmin〜Zmax)の数(Zmax−Zmin +1)だけ複数の凹部70が設けられている。
ここでは、凹部70が皿モミ穴として形成されている。皿モミ穴とは、円錐台状に凹設された空間を意味する。なお、凹部70は、後述するボール80aの形状に対応して形成され、皿モミ穴に限らず、半球形状に凹設されたものや円柱形状に凹設されたものであってもよい。
これらの凹部70は、固定ディスク10に接合されたプレート10pに設けられている。
プレート10pは、固定ディスク10において可動ディスク19とは反対側の盤面(径方向接続部17b側の盤面)10aと同一平面をなすように接合されている。このプレート10pは、固定ディスク10と一体に回転する。
なお、ガイドロッド29の支持軸29aは、固定ディスク10においてプレート10pと干渉しないように、固定ディスク10においてプレート10pの厚み領域に侵入しないようにロッド用固定放射状溝12に配設されている。同様に、支持軸29aの軸受けもプレート10pに干渉しないように設けられている。
図8に示すように、凹部70は、回転軸1の軸心C1を基準として周方向に列をなして設けられている。かかる列は、回転軸1の軸心C1を基準として径方向に並んで複数設けられている。いわば、凹部70は、周方向及び径方向に行列をなすように秩序だって形成される。ここでは、三列の凹部70(ここでは全部で25個)を例示して具体的に説明する。
以下、三列の凹部70について、回転軸1の軸心C1からの距離が遠い列から順に、第一凹部71,第二凹部72,第三凹部73とする。第一凹部71のそれぞれは、回転軸1の軸心C1に対する距離(以下、「第一径」という)r1が等しく配設され、同様に、第二凹部72のそれぞれは、回転軸1の軸心C1に対する距離(以下、「第二径」という)r2が等しく配設され、第三凹部73のそれぞれは、回転軸1の軸心C1に対する距離(以下、「第三径」という)r3が等しく配設されている。したがって、凹部71,72,73にかかる回転軸1の軸心C1に対する距離は、「r1>r2>r3」の大小関係を有する。
複合スプロケット5の歯数が最小整数Zminのときには、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θが最小相対回転角度θminとなる。このため、複合スプロケット5の歯数が最小整数Zminのときに対応する凹部(以下、「第一最小凹部」という)71a(図9参照)は、複合スプロケット5を拡径させるときの固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転方向(図8及び図9に二点鎖線の矢印で示す,以下、単に「相対回転方向」ともいう)側とは反対側の端部に、最小相対回転角度θmin(ここでは相対回転角度θ1と等しい)に対応して設けられている。
ここでは、第一最小凹部71aが第一凹部71に含まれるものを例示して説明するが、第一最小凹部は、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転方向とは反対側の端部、即ち、径方向位置にかかわらず周方向位置が相対回転方向側の基端部に位置する凹部であればよく、凹部70の配設によっては第二凹部72や第三凹部73に第一最小凹部が含まれうる。
複合スプロケット5の歯数を1ずつ増加させると、各歯数に対応する固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θが順次増加する。具体的には、図9に示すように、複合スプロケット5の歯数を「最小整数Zmin+1」,「最小整数Zmin+2」,「最小整数Zmin+3」,「最小整数Zmin+4」,「最小整数Zmin+5」,「最小整数Zmin+6」と増加させると、それぞれに対応して固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θがθ2,θ3,θ4,θ5,θ6と増加する。
ここでは、整数Zが、「最小整数Zmin+1」のとき(相対回転角度θ2のとき)に対応する凹部(以下、「第二最小凹部」という)72aが第二凹部72に形成され、「最小整数Zmin+2」のとき(相対回転角度θ3のとき)に対応する凹部(以下、「第三最小凹部」という)73aは第三凹部73に形成され、「最小整数Zmin+3」のとき(相対回転角度θ4のとき)に対応する凹部(以下、「第四最小凹部」という)71bは第一凹部71に形成され、「最小整数Zmin+4」のとき(相対回転角度θ5のとき)に対応する凹部(以下、「第五最小凹部」という)72bは第二凹部72に形成され、「最小整数Zmin+5」のとき(相対回転角度θ6のとき)に対応する凹部(以下、「第六最小凹部」という)73bは第三凹部73に形成されている。
第二最小凹部72aは、第二凹部72において相対回転方向側の端部に設けられ、同様に、第三最小凹部73aは、第三凹部73において相対回転方向側の端部に設けられる。
第一凹部71,第二凹部72,第三凹部73の相対回転方向側の端部に設けられる第一最小凹部71a,第二最小凹部72a,第三最小凹部73のそれぞれには、同列内において相対回転方向側に第四最小凹部71b,第五最小凹部72b,第六最小凹部73bが隣接して設けられている。
このように、第一凹部71,第二凹部72,第三凹部73は、径方向位置が異なるのに加えて、互いに周方向位置も異なるように設けられている。言い換えれば、凹部71,72,73のそれぞれは、回転軸1の軸心1を基準としたときの位相が重複しないように設けられている。
敷衍していえば、複合スプロケット5の歯数がとりうる整数Zのうちの一つの整数である基準整数ZSに対応する凹部と、基準整数ZSを1だけ変化させた整数である隣接整数ZA(=基準整数ZS±1)に対応する凹部とは、回転軸1の軸心C1を基準として径方向位置が異なって設けられている。このため、凹部70はいわゆる千鳥状に設けられたものといえる。
この構成により、隣接整数への移動に要する相対回転角度θが小さくなっても、各凹部を互いに干渉することなく形成することができる。
なお、凹部70の列数が三列のものを例示したが、凹部70の列数は、複合スプロケット5の歯数がとりうる整数の数(Zmax−Zmin +1)や周囲に構成、要求仕様等に応じて増減して設けることができ、一列若しくは二列又は四列以上であってもよい。
〔1−1−1−3−4−2.ボールプランジャ〕
図7に示すように、ボールプランジャ80は、凹部70に係脱可能に設けられたボール80aと、ボール80aを凹部70に向けて付勢するスプリング(付勢部材)80bと、ボール80a及びスプリング80bを支持する支持体80cとを有する。
ボール80aは、球状のものを用いることができる。ただし、ボール80aに替えて、円柱状(ニードル状)などの他の形状のものを用いてもよい。
スプリング80bは、相対回転駆動機構30(図2等参照)による可動ディスク19の相対回転駆動力が作用したときには、ボール80aが凹部70から脱出可能な大きさの付勢力を作用させるものである。なお、スプリング80bに替えて又は加えて、ボール80aを付勢するゴムを用いてもよく、ガス圧やエア圧によってボール80aを付勢してもよい。
また、ボールプランジャ80は、第一凹部71,第二凹部72,第三凹部73がなす径方向位置のそれぞれに対応して、回転軸1の軸心C1を基準とした複数の径方向位置に径方向直線に沿って設けられている。具体的には、三つのボールプランジャ80が、回転軸1の軸心C1からの距離r1,r2,r3の各箇所に設けられている。なお、ボールプランジャ80は、それぞれ同様に構成されている。
さらに、ボールプランジャ80と各凹部71,72,73(図8及び図9参照)との位置関係は、図7,図8及び図9から明らかな通り、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θが最小相対回転角度θmin(=θ1)をなすときに、第一径r1に対応するボール80aが第一最小凹部71aに係合するように設定されており、相対回転角度θ2のときには第二径r2に対応するボール80aが第二最小凹部72aに係合し、また、相対回転角度θ3のときには第三径r3に対応するボール80aが第三最小凹部73aに係合するように設定されている。
ここでは、図4及び図5に示すように、ボールプランジャ80が径方向接続部17bにおいて可動ディスク19の相対回転方向(二点鎖線の矢印で示す)とは反対側の端部に設けられている。
なお、ボールプランジャ80の取付手法の一例としては、ボールプランジャ80の外周に螺刻された雄ネジを径方向接続部17bの取付穴に設けられた雌ネジに螺合させ、更にボールプランジャ80の基端側(ボール80aとは反対側)からナットを螺合する手法を採用することができる。もちろん、溶接や嵌合といった他の公知手法を用いてもよい。
〔1−1−2.チェーン〕
次に、チェーン6について説明する。
図10に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
これらのチェーン6A,6B,6Cは、動力伝達方向に位相をずらすように互いにピッチをずらしてピニオンスプロケット20に巻き掛けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン6A,6B,6Cに噛合するピニオンスプロケット20の各歯21c,22c,23c(以下、これらを区別せずに示すときには「歯20c」という)の位相もずらして配置されている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、多段変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン6が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
ここで、サイレントチェーンを用いた各チェーン6A,6B,6Cについてさらに説明する。
各チェーン6A,6B,6Cは、それぞれ多数のリンクプレート(駆動リンク)61が動力伝達方向に直列に配列されたリンクプレート列61Sが、リンクプレート61の厚み方向に複数並列されて、連結ピン62により連結されて構成される。言い換えれば、リンクプレート61は厚み方向に複数枚並列に配列されている。
図12に示すように、リンクプレート61は、チェーン6A,6B,6Cの内周側に突出した歯部61aが動力伝達方向に離隔して一対形成され、一対の歯部61a,61aの形成個所に対応(動力伝達方向への対応)して一対のピン孔61b,61bが所定間隔で穿設されている。また、一対の歯部61a,61aの相互間には、ピニオンスプロケット20の歯20cが係合する溝(リンク溝)61cが形成されている。
図10に示すように、リンクプレート61は、互いに動力伝達方向に隣接しながら、これらのリンクプレート61,61における隣接したピン孔61b,61bが所定間隔(ピン孔61b,61b間の長さ)となるように配置されて、リンクプレート列61Sが形成される。そして、厚み方向に隣接したリンクプレート列61Sは互いに歯部61aを1歯分だけずらせて配置され、厚み方向に整列した各ピン孔61bを同時に貫通する連結ピン62により環状に連結される。
本実施形態では、各チェーン6A,6B,6Cの厚み方向両端部のそれぞれに、多数の補助リンクプレート63が動力伝達方向に直列に配列された補助リンクプレート列63Sが装備されている。言い換えれば、補助リンクプレート63は、複数枚並列されたリンクプレート61の厚み方向最も外側で且つ動力伝達方向に多数配列されている。
この補助リンクプレート列63Sは、補助リンクプレート63の内周側に形成されたガイド面63aがガイドロッド29の外周面に当接して案内されるものである。また、補助リンクプレート列63Sは、動力伝達方向に沿って一列に配設された補助リンクプレート63から構成される。
なお、補助リンクプレート63には、樹脂製のものを用いることができる。この場合、ポリアミドやポリエステルといった所謂エンジニアリングプラスチックなどのガイドロッド29との当接に耐えうる強度や剛性を有する樹脂を用いることが好ましい。
多数のガイドロッド29は、変速比を変更する際に、基本的にはピニオンスプロケット21,22,23と共に多角形をなすように、ピニオンスプロケット21,22,23と同様に径方向に移動して、複合スプロケット5の外径を変更する。各チェーン6A,6B,6Cは、この複合スプロケット5の外径の変更に追従して転動経路が変更され、ピニオンスプロケット21,22,23と噛み合う箇所の間では、ガイドロッド29に当接して転動経路を案内される。
このため、各チェーン6A,6B,6Cには、ガイドロッド29に当接する補助リンクプレート列63Sが装備されている。すなわち、補助リンクプレート列63Sを構成する各補助リンクプレート63の内周側に直線状又は円弧状に形成されたガイド面63aがガイドロッド29に当接される。
なお、補助リンクプレート63は、図11(a)に示すような一対のピン孔63b,63bのそれぞれに上記の連結ピン62が貫通されて、リンクプレート61と連結されている。
ここでは、ガイド面63aが円弧状に形成されたものに着目して説明する。このガイド面63aは、チェーン6A,6B,6Cの最大の巻き掛け半径(最大の接円半径に対応)の円弧に応じて形成されている。
それぞれの補助リンクプレート63の内周側には、動力伝達方向に隣接する補助リンクプレート63の内周側と厚み方向に重合してガイド面63aを動力伝達方向に連続させる重合部64A,64Bが形成されている。これらの重合部64A,64Bは、補助リンクプレート63において隣接する他の補助リンクプレート63側(即ち、動力伝達方向の上流側及び下流側のそれぞれ)に形成される。
以下の説明では、補助リンクプレート63にいて、動力伝達方向の一方側に設けられた重合部を第一重合部64Aとし、動力伝達方向の他方側に設けられた重合部を第二重合部64Bとする。
第一重合部64Aは、隣接する他の補助リンクプレート63の第二重合部64Bと隣接している。これらの第一重合部64Aと第二重合部64Bとが重合する。
図11(a)及び(b)に示すように、重合部64A,64Bのそれぞれは、対応する形状に形成されている。具体的には、重合部64A,64Bのそれぞれが、補助リンクプレート63が厚み方向に切り欠かれた切欠部65bによって薄肉化された肉薄部65aで形成されている。第一重合部64Aの切欠部65bが第二重合部64Bの肉薄部65aに対応するとともに、第二重合部64Bの切欠部65bが第一重合部64Aの肉薄部65aに対応する形状が構成されている。
ここでは、図11(b)に示すように、重合部64A,64Bそれぞれの肉薄部65aの厚みと切欠部65bの厚みとが等しい又は略等しく設けられている。ただし、肉薄部65及び切欠部65bそれぞれの厚みは、任意に設定することができる。
なお、重合部64A,64Bの形状としては、種々の形状を採用することができる。例えば、図11(b)に二点鎖線で示すように、各重合部64A,64Bが動力伝達方向端部に向かうに連れて切欠部65bの厚み方向長さが大きくなるような形状を採用してもよい。
また、重合部64A,64bは、チェーン6A,6B,6Cが最小の巻き掛け半径(接円半径)をなすときに、互いに干渉することなく重合するように設定されている。
一方、重合部64A,64bは、最大の巻き掛け半径をなすときであっても重合し、ガイド面63aが動力伝達方向に連続するように重合領域が設定されている。なお、重合領域とは、動力伝達方向に直交する方向(ピン軸方向)から視たときの重合面積に対応する。
詳細には、チェーン6A,6B,6Cの巻き掛け半径(接円半径)が小さくなるに連れて、第一重合部65Aの切欠部65bに第二重合部65Bの肉薄部65aが進入するとともに、第二重合部65Bの切欠部65bに第一重合部65Aの肉薄部65aが進入して、両肉薄部65aの重合する領域が大きくなる。
〔1−2.作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる多段変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
〔1−2−1.作用〕
まず、固定ディスク10に対する可動ディスクの相対回転駆動に着目して作用を説明する。ここでは、最小整数Zminの複合スプロケット5の歯数が変更(増加)されるときの作用を例示して説明する。
複合スプロケット5の歯数が最小整数Zminのときには、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θが最小相対回転角度θminとなり、これに対応して設けられた第一最小凹部71aに向けてプランジャ80のボール80aが付勢され係合する。
また、変速比が変更されるときには、相対回転駆動機構30により可動ディスク19が固定ディスク10に対して段階的に相対回転され、複合スプロケット5の歯数を最小整数Zminから他の整数Zへと順次遷移される。このとき、複合スプロケット5とチェーン6との位相ズレは、上述の位相ズレ許容動力伝達機構や皿ばねによって積極的に吸収することが可能であるが、これらの機構を装備せずとも、ピニオンスプロケット20の周辺構造に生じるガタ、あそびや、チェーン6のリンクプレート61の連結部に生じるガタ等によっても吸収可能である。
例えば、複合スプロケット5の歯数を「最小整数Zmin+1」に遷移させるには、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度θがθ1からθ2に変更される。このとき、相対回転角度θがθ1からθ2へ変化する中間の角度付近で、瞬時的に第一最小凹部71aに係合していた第一列r1のプランジャ80のボール80aはスプリング80bを圧縮して脱出し、また、第二列r2においてスプリング80bを圧縮して脱出状態であったボール80aは第二最小凹部72aに進入する。そして、相対回転角度θがθ2にされると、第二列r2におけるボールプランジャ80のボール80aは第二最小凹部72aに係合する。なお、第三列r3のボール80aはスプリング80bを圧縮し続け脱出状態のまま周方向に変位する。
同様に、複合スプロケット5の歯数を「最小整数Zmin+2」に遷移させるには、相対回転角度θがθ2からθ3に変更される。このとき、第二最小凹部72aに係合していたボール80aは脱出し、第三最小凹部73aにプランジャ80のボール80aが係合する。また、第二列r2のボール80aが係合状態から脱出状態となって周方向に変位するとともに、第三列r3のボール80aが脱出状態から周方向に変位して係合状態となる。なお、第一列r1のボール80aは脱出状態のまま周方向に変位する。
また、複合スプロケット5の歯数を「最小整数Zmin+3」に遷移させるには、相対回転角度θがθ3からθ4に変更され、第三最小凹部73aに係合していたボール80aは脱出し、第四最小凹部71bにプランジャ80のボール80aが係合する。また、第三r3のボール80aが係合状態から脱出状態となって周方向に変位するとともに、第一列r1のボール80aが脱出状態から周方向に変位して係合状態となる。なお、第二列r2のボール80aは脱出状態のまま周方向に変位する。
このように、各列のボール80aは、複合スプロケット5の歯数にかかる整数Zが列数(ここでは3列)の数だけ変化するごとに凹部70に係合し、その他のときには凹部70から脱出している。
〔1−2−2.効果〕
したがって、本実施形態の多段変速機構によれば、位相保持機構60により整数対応位相を保持することができる。複合スプロケット5の歯数が整数Zとなるときの可動ディスク19の相対回転角度(位相)θを保持することができる。
具体的には、複合スプロケット5の歯数が整数Zとなるときの固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度(位相)θのそれぞれに対応して設けられた凹部70が、固定ディスク10と一体に回転するプレート10pに設けられ、これらの凹部70に係脱可能なボール80aが設けられたボールプランジャ80が可動ディスク19と一体に回転する径方向接続部17bに設けられているため、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相が整数対応位相となると、ボールプランジャ80のボール80aを凹部70に係合させることができる。これにより、整数対応位相を機械的(メカニカル)に保持して、複合スプロケット5の歯数が整数Zとなる状態を保持することができる。延いては、複合スプロケット5にチェーン6を良好に掛着させることができ、円滑に動力伝達することができる。
一方、複合スプロケット5が拡縮径されてその歯数が変更されるときには、凹部70からボール80aが脱出するため、相対回転駆動機構30により固定ディスク10に対して可動ディスク19を相対回転させることができる。このようにして変速比を変更することができる。
このように、変速比を変更することができるとともに、複合スプロケット5の歯数を整数に保持することができる。
具体的には、ボールプランジャ80が凹部70とボール80aとボール80aを凹部70に向けて付勢するスプリング80bとを有するため、整数対応位相になると、スプリング80bにより付勢されたボール80aが凹部70に係合することにより、複合スプロケット5の歯数を整数Zに保持することができる。一方、相対回転駆動機構30により可動ディスク19が固定ディスク10に対して相対回転され、複合スプロケット5が拡縮径されてその歯数がなす整数Zが変更されるときには、凹部70からボール80aが脱出して固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転を妨げることがない。このように、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相の保持とその解除とを機械的に切り替えることができる。更に言えば、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相が整数対応位相となるように自己保持(チェック)することができる。
複数の凹部70によって周方向に形成される列が径方向に並んで複数設けられるため、凹部70を効率よく、即ち、凹部70を限られたスペースに多数設けることができる。
このように、凹部70が周方向及び径方向に行列をなすように秩序だって形成されるため、効率よく凹部70を形成することができ、製造コストの低減に寄与しうる。
さらに、ボールプランジャ80を第一凹部71,第二凹部72,第三凹部73の各列に対応する数だけ設ければよいため、径方向位置がばらついて形成された凹部に比較して、ボールプランジャ80の数を抑制することができる。これにより、材料コスト及び製造コストの抑制に寄与しうる。
複合スプロケット5の歯数がとりうる整数Zのうちの一つの整数である基準整数ZSに対応する凹部70と、基準整数ZSを1だけ変化させた整数である隣接整数ZA(=基準整数ZS±1)に対応する凹部70とは、回転軸1の軸心C1を基準として径方向位置が異なって設けられているため、基準整数ZS及び隣接整数ZAのそれぞれに対応する相対回転角度の差が小さい場合であっても、凹部70をそれぞれ形成することができる。言い換えれば、微小な相対回転角度で遷移する場合であっても、対応する凹部70を互いに干渉することなく形成することができ、各整数対応位相を保持することができる。また、径方向位置(回転軸1の軸心C1までの距離)が等しい凹部70どうしの間隔を確保することができる。
相対回転駆動機構30において、動力伝達方向の上流側では、複合スプロケット5の歯数が整数となるようにモータ30の出力軸32aが回転されていたとしても、この回転に対応する変位量は、動力伝達経路におけるガタやあそびによって動力伝達方向下流側では微小に小さくなり、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相が所望の位相(整数対応位相)から微小にズレてしまうおそれがある。これに対し、凹部70が皿モミ穴であるため、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相が整数対応位相から微小にズレでしまったとしても、凹部70の縁部に付勢されたボール80aが凹部70の中心(最深部)に案内され、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相を整数対応位相に微修正することができる。これにより、複合スプロケット5にチェーン6を良好に掛着させることができ、円滑に動力伝達することができる。
位相保持機構60にはボールプランジャ80を用いるため、汎用部品を用いることができ、生産性の向上やコストの低減に寄与しうる。
凹部70及びボールプランジャ80が周方向に等間隔で複数設けられているため、凹部70に対するボールプランジャ80の付勢力を周方向に分散させることができ、バランスよく付勢力を作用させることができる。延いては、耐久性の向上に寄与しうる。
凹部70は、固定ディスク10に接合されたプレート10pに設けられているため、メンテナンス性(保守性)を向上させることができる。さらに、ロッド用固定放射状溝12との干渉を回避しつつ凹部70を設けることができる。
〔2.その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の一実施形態では、凹部70が固定ディスク10に接合されたプレート10pに設けられたものを説明したが、凹部70が固定ディスク10の盤面10aに直接形成されていてもよい。この場合、構成部品や生産工程を低減させることができ、加工コストや製造コストを抑制することができる。
また、凹部70及びボールプランジャ80は、周方向に等間隔で複数組が設けられるものに限らず、互いに間隔が異なって複数組が設けられてもよいし、一組だけ設けられてもよい。
また、凹部70は、径方向位置が同一の列をなしていなくてもよい。この場合、各凹部の径方向位置に対応したボールプランジャ80を設ける必要がある。
上述の第一実施形態では、接続部17に肉抜き部17cが設けられたものを説明したが、肉抜き部17cは省略してもよい。この場合、機械式自転駆動機構50のラック51,52及びピニオン53,54の軸方向長さ(厚み)分よりも軸方向接続部17aを延長すれば、機械式自転駆動機構50を収容することができる。
また、複数のピニオンスプロケット20側から可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示したが、ディスクの配置や枚数はこれに限られず、種々の配置や枚数を採用することができる。例えば、固定ディスク10に対応するディスクとして、可動ディスク19の軸方向内側及び外側に第一固定ディスク及び第二固定ディスクを配設してもよい。この場合、第一固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c及びロッド用固定放射状溝12を形成することができ、第二固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに対応する溝を形成するとともにラック53,54を固設することができる。このように、ピニオンスプロケットを径方向に移動させる第一固定ディスク(径方向移動用固定ディスク)とピニオンスプロケットを自転させる第二固定ディスク(自転用固定ディスク)とをそれぞれ備えてもよい。なお、上述の一実施形態では、固定ディスク10が、前述した第一固定ディスクと第二固定ディスクとを兼用するものといえる。
可動ディスク19と一体に回転するボールプランジャ80と、固定ディスク10と一体に回転する凹部70を示したが、逆に、ボールプランジャ80が固定ディスク10と一体に回転し、凹部が可動ディスク19と一体に回転するように設けられていてもよい。
また、三個のピニオンスプロケット20を示したが、ピニオンスプロケット20の個数はこれに限らず、四つ以上であってもよいし、常時、何れかのピニオンスプロケット20がチェーン6に噛合うのであれば、その個数は二つでもよい。何れにしても、隣り合うピニオンスプロケット20の少なくとも何れかは自転するピニオンスプロケット20として構成され、また、ピニオンスプロケット20の個数に応じた放射状溝11a,11a,11b,11c,19aが設けられる。この場合、凹部70及びボールプランジャ80は、複数のピニオンスプロケット20の間に設けられるため、ピニオンスプロケット20の数が多くなるにつれて、凹部70の形成領域が小さくなるが、凹部70の列数及びこれに対応するボールプランジャ80を増やすことで対応することができる。
また、ボールプランジャ80に替えて、例えば突起部(ボール80aに対応)の凹部70への係合及び脱出を切り替え可能なアクチュエータを有するものを用いてもよく、少なくとも凹部70に係脱可能な突起部を有するものを用いることができる。
1 回転軸
5 複合スプロケット
6 チェーン
10 固定ディスク(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)
10p プレート
11a,11b,11c スプロケット用固定放射状溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
12 ロッド用固定放射状溝
15 第一回転部
15a 第一カム溝
16 第二回転部
16a 第二カム溝
17 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部
17c 肉抜き部
19 可動ディスク(径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
19b ロッド用可動放射状溝
19A 連結シャフト
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
21a スプロケット支持軸
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
22a 支持軸
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
23a 支持軸
29 ガイドロッド
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30 相対回転駆動機構
31 軸方向移動機構
32 モータ
32a 出力軸
32b 雄ネジ部
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
34a 雌ネジ部
34b フォーク溝
35 メガネフォーク(軸方向力伝達部材)
35a カムローラ支持部
35b ブリッジ部
35c 溝部
35d 転動体
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
60 位相保持機構
70 凹部
71 第一凹部
71a 第一最小凹部
71b 第四最小凹部
72 第二凹部
72a 第二最小凹部
72b 第五最小凹部
73 第三凹部
73a 第三最小凹部
73b 第六最小凹部
80 ボールプランジャ(係脱部)
80a ボール(突起部)
80b スプリング(付勢部材)
80c 支持体
90 カムローラ
90a 一端部
1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所
1,r2,r3 回転軸1の軸心C1からの距離
θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6 相対回転角度
Z 整数
min 最小整数
max 最大整数

Claims (10)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する多段変速機構であって、
    前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相を保持する位相保持機構と、を備え、
    前記位相保持機構は、
    前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転し、前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相のそれぞれに対応して設けられた凹部と、
    前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか他方と一体に回転し、前記凹部に突起部が係脱可能に設けられた係脱部と、を有し、
    前記凹部は、前記回転軸の軸心を基準として周方向に列をなして設けられ、
    前記列は、前記回転軸の軸心を基準として径方向に並んで複数設けられた
    ことを特徴とする、多段変速機構。
  2. 前記スプロケット移動機構は、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構を備えた
    ことを特徴とする、請求項1に記載の多段変速機構。
  3. 前記係脱部は、
    前記突起部を前記凹部に向けて付勢する付勢部材を更に有する
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の多段変速機構
  4. 前記係脱部は、
    前記凹部の設けられた前記列がなす径方向位置のそれぞれに対応して、前記回転軸の軸心を基準とした複数の径方向位置のそれぞれに設けられた
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の多段変速機構。
  5. 前記複合スプロケットの歯数がとりうる整数のうちの一つの整数である基準整数に対応する前記凹部と、前記基準整数を1だけ変化させた整数である隣接整数に対応する前記凹部とは、前記回転軸の軸心を基準とした径方向位置が異なって設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の多段変速機構。
  6. 前記凹部は、皿モミ穴である
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の多段変速機構。
  7. 前記係脱部は、ボールプランジャである
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の多段変速機構。
  8. 前記凹部及び前記係脱部は、周方向に等間隔で複数設けられた
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の多段変速機構。
  9. 前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転するプレートを備え、
    前記プレートに前記凹部が設けられた
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の多段変速機構。
  10. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する多段変速機構であって、
    前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相を保持する位相保持機構と、を備え、
    前記位相保持機構は、
    前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか一方と一体に回転し、前記複合スプロケットの歯数が整数となるときの前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの位相のそれぞれに対応して設けられた凹部と、
    前記固定ディスク及び前記可動ディスクの何れか他方と一体に回転し、前記凹部に突起部が係脱可能に設けられた係脱部と、を有し、
    前記複合スプロケットの歯数がとりうる整数のうちの一つの整数である基準整数に対応する前記凹部と、前記基準整数を1だけ変化させた整数である隣接整数に対応する前記凹部とは、前記回転軸の軸心を基準とした径方向位置が異なって設けられている
    ことを特徴とする、多段変速機構。
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