JP6200081B2 - 変速機構 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて回転軸の軸心に対して公転(回転軸と一体回転)する複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力用の油圧を発生させるためのオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、構造的に滑りが発生する部分では摩擦損失が発生してしまう。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。このような無段変速機構としては、回転軸の軸心に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転するように支持されて回転軸の軸心に対して公転する複数のピニオンスプロケットのそれぞれによって多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。
かかる無段変速機構では、ピニオンスプロケットのそれぞれが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化して複合スプロケットが拡縮径する。入力側の複合スプロケットが拡径又は縮径し、出力側の複合スプロケットが縮径又は拡径することで、変速比が変化する。このような無段変速機構が例えば特許文献1や特許文献2に示されている。
ところで、特許文献1や特許文献2に示されるような無段変速機構において、変速に伴うチェーンの弛みや張りを抑制するために、一方の複合スプロケットの拡径又は縮径と他方の複合スプロケットの縮径又は拡径とを同量だけ行なうことが考えられる。しかしながら、一方の複合スプロケットの拡径又は縮径と他方の複合スプロケットの縮径又は拡径との量を一致させた場合、変速、即ち、変速比の変更によって、幾何学的チェーン長が変化してしまう。なお、ここでいう「幾何学的チェーン長」とは、入力側の複合スプロケットと出力側の複合スプロケットとにチェーンが過不足なく巻き掛けられるとしたときの幾何学上の周長である。言い換えれば、「幾何学的チェーン長」は、弛まないとともに突っ張らないチェーンの理論上(計算上)の長さである。
具体的には、無段変速機構が等速変速比(入力側の複合スプロケットと出力側の複合スプロケットとの回転速度比が1:1)をなすときに、幾何学的チェーン長が最も短くなる。一方、無段変速機構の変速比が最Low又は最Highをなすときに、幾何学的チェーン長が最も長くなる。したがって、実際のチェーンの長さ(ここでは「実チェーン長」という)を、無段変速機構が等速変速比をなすときの幾何学的チェーン長に合わせて設定した場合、この状態から変速比を変更しようとしても、チェーンが突っ張り、Low側にもHigh側にも変速することができない。そこで、変速比が最Low又は最Highをなすときの幾何学的チェーン長に合わせて実チェーン長を設定することが考えられる。しかしながらこの場合、変速の際に複合スプロケットの拡径と縮径とを同量だけ行なうと変速時における幾何学的チェーン長の変化により、チェーンが弛んでしまう。このため、振動や騒音が増大するおそれがあり、更にはチェーンが脱落してしまうおそれがある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、チェーンの弛みを抑制することができるようにした、変速機構を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
米国特許第7713154号 特開2002−250420号公報
(1)上記の目的を達成するために、本発明の変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する変速機構であって、前記変速比を変更する変速時に、一方の前記複合スプロケットの前記接円半径の拡径と他方の前記複合スプロケットの前記接円半径の縮径とを連動可能な連動手段を有し、前記連動手段は、前記変速比を二つの前記回転軸の回転速度が同速となる等速変速比へ向けて変更する場合には、前記拡径と前記縮径とを同量だけ行なったときの前記二組の複合スプロケットに過不足なく巻き掛けられる理想的なチェーンの長さである幾何学的チェーン長に対する前記チェーンの実際の長さである実チェーン長が、予め設定された所定長よりも大きいときに前記拡径の量よりも前記縮径の量を小さくし、前記所定長よりも大きくないときに前記拡径の量と前記縮径の量とを同一にすることを特徴としている。
(2)前記実チェーン長は、前記幾何学的チェーン長がとりうる最長のものよりも大きく設定されることが好ましい。
(3)前記実チェーン長は、前記チェーンの伸びを含んだ長さに設定されることが好ましい。
(4)前記拡径又は前記縮径は、前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数が整数を順次遷移するように行なわれることが好ましい。
(5)さらに、前記連動手段は、前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合には、前記幾何学的チェーン長が前記実チェーン長よりも前記所定長以上大きいときに前記縮径を停止することが好ましい。
(6)さらにまた、前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合に、前記幾何学的チェーン長が前記実チェーン長よりも前記所定長以上大きいときに、前記縮径を停止するように、前記一方の複合スプロケットの歯数と前記他方の複合スプロケットの歯数との組み合わせが予め設定されたマップを有し、前記連動手段は、前記マップに基づいて、前記一方の複合スプロケットを前記拡径させ、前記他方の複合スプロケットを前記縮径させることが好ましい。
(7)また、前記連動手段は、前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記スプロケット用固定放射状溝と交差する交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、を有し、前記スプロケット用固定放射状溝と前記スプロケット用可動放射状溝とが、前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合には、前記幾何学的チェーン長に対する前記実チェーン長が、予め設定された所定長以上大きいときに前記拡径の量よりも前記縮径の量を小さくし、前記所定長以上大きくなければ前記拡径の量と前記縮径の量とを同一にするような形状に形成されていることが好ましい。
本発明の変速機構によれば、変速比を等速変速比に向けて変更する場合には、幾何学的チェーン長に対する実チェーン長、即ち、実チェーン長と幾何学的チェーン長との差が所定長よりも大きくなると、一方の複合スプロケットの接円半径の拡径の量よりも他方の複合スプロケットの接円半径の縮径の量を小さくするため、実チェーン長と幾何学的チェーン長との差の増大が抑制され、チェーンの弛みを抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す径方向断面図(横断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の固定ディスクに着目して示す側面図である。この図3は、図2の矢視A−Aに対応している。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の可動ディスクに着目して示す側面図である。この図4は、図2の矢視B−Bに対応している。 本発明の一実施形態にかかる変速機構においてピニオンスプロケット等の径方向移動用の固定ディスク及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸とを示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の径方向断面図である。この図6は、図2のC−C矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の径方向断面図である。この図7は、図2のD−D矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の第一カム溝及び第二カム溝を拡大して示す要部拡大図である。この図8は、図2のE−E矢視図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構において幾何学的チェーン長を説明する模式図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構における複合スプロケットの歯数とチェーンの弛みとを示すグラフである。 図4の領域Fを拡大して示す図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構のチェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を内側とし、その反対側を外側として説明する。
本実施形態では、変速比を一定に維持するときには複合スプロケットの歯数が整数となる状態を保持し、また、変速比を変更するときには複合スプロケットの歯数を整数から他の整数へと順次遷移させる変速機構を例に挙げて説明する。このため、本変速機構は、複合スプロケットの歯数がとりうる整数の数に応じて多段に変速することが可能となる。なお、複合スプロケットの歯数とは、複合スプロケットのピッチ円の円周をチェーンの単位リンク長(ピニオンスプロケットの単位ピッチ長)で除算して導出することができ、複合スプロケットの見かけ上の(複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の大スプロケットの全周に亘って歯が存在すると見なした場合の)歯数を意味する。以下、複合スプロケットの歯数というときは、同様の意味で用いる。
〔一実施形態〕
以下、一実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔1.構成〕
変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは二十一角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心に一体回転する一組の複合スプロケット5(図1では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心に一体回転する複合スプロケット5(図1では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、主に入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十八本)のガイドロッド29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上において周方向に沿って等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ六本のガイドロッド29が配置されている。
この変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れをも囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン6が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン6との接触半径、即ち、複合スプロケット5のピッチ円の半径に対応するものともいえる。なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
このように、変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものである。例えば、複合スプロケット5,5の接円半径が等しければ、変速機構は変速比が等速変速比(一方の複合スプロケット5と他方の複合スプロケット5との回転速度比が1:1)をなす。等速変速比をなすときには、二つの回転軸1,1の回転速度が同速となる。
図1には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20に含まれる自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動する機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bと、一方の複合スプロケット5の接円半径の拡径と他方の複合スプロケット5の接円半径の縮径とを連動可能な連動機構(連動手段)60とを備えている(図2,図5〜図7参照)。これらについては、詳細を後述する。以下、変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
〔1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、基本構成を説明した後に本発明の特徴的な構成を説明する。かかる基本構成では、チェーン6に噛合うピニオンスプロケット20,チェーン6を案内(ガイド)するガイドロッド29,回転軸1と一体に回転する固定ディスク10(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク),この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19,固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15,可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16,可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30の順にそれぞれを説明する。
固定ディスク10,可動ディスク19,第一回転部15,第二回転部16は、回転軸1の軸心C1と同心に配設されており、ディスク10,19における径方向は回転軸1の径方向と一致する。その次に、特徴的な構成として、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,連動機構60の順に説明する。
〔1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
各ピニオンスプロケット21,22,23は、何れも、その中心に設けられた支持軸(ピニオンスプロケット軸)21a,22a,23aに対して結合されている。ここでいう「自転」とは、各自転ピニオンスプロケット22,23がその支持軸22a,23aの軸心C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部全周に形成された歯21cとを有する。同様に、自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも本体部22b,23bとこの本体部22b,23bの外周部全周に突出形成された歯22c,23cとを有する。当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
詳細は後述するが、第一自転ピニオンスプロケット22は、図1において、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、図1において、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。なお、第一自転ピニオンスプロケット22と第二ピニオンスプロケット23とは、配設箇所及び自転方向が異なるのを除いて同様に構成されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目して説明する。
本実施形態では、図2に示すように、第一自転ピニオンスプロケット22は、軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21,第二自転ピニオンスプロケット23もそれぞれ軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン6も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。ここでは、各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。なお、図2には、理解容易のため模式的に示したものであり、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22及び後述する相対回転駆動機構30を示し、入力側の複合スプロケット5と出力側の複合スプロケット5との間に間隔を設けて示している。
図示省略するが、各ピニオンスプロケット21,22,23において、各支持軸21a,22a,23aに対して自転を規制しつつ微小回転(一定範囲内での回転)を許容して動力伝達を実現する位相ズレ許容動力伝達機構が装備されていてもよい。かかる位相ズレ許容動力伝達機構としては、ピニオンスプロケット21,22,23の内周側に一体回転するように装備されたキー部材と、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの外周側に形成されてキー部材が回転方向に遊びをもって係合するキー溝と、キー部材がキー溝の回転方向の中立位置に位置するように、キー部材を回転方向の正転と逆転方向との双方から付勢する付勢部材とを備え、回転方向の中立位置に付勢し回転を弾性的に規制するものを用いることができる。この場合、ピニオンスプロケット21,22,23の本体部21b,22b,23bは、支持軸21a,22a,23aに対して微小な回転が許容されつつ動力伝達することができる。
〔1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。これらのガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
図1及び図2に示すように、ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図1では破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが外挿されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン6(図1及び図2参照)をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十八本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29は、ピニオンスプロケット20の相互間(ここでは三箇所)に同数設けられることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。
〔1−1−3.固定ディスク及び可動ディスク〕
固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−3−1.固定ディスク〕
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。図3及び図5に示すように、固定ディスク10には、各ピニオンスプロケット21,22,23に対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと各ガイドロッド29に対応して設けられたロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。なお、図3には、白抜きの矢印で時計回りの公転方向を示している。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)といえ、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝といえ、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝といえる。このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
ロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)には、対応するガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。これらの固定放射状溝11a,11b,11c,12の形状については、詳細を後述する。
〔1−1−3−2.可動ディスク〕
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
図4及び図5に示すように、可動ディスク19(図5には破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19aとロッド用可動放射状溝19b(何れも一箇所のみに符号を付し、図5には破線で示す)との二種の可動放射状溝が形成されている。なお、可動ディスク19の外形は円形であり、円形である固定ディスク10の外形と一致して重合するが、図5では便宜上の可動ディスク19の外形円を縮小して示している。なおまた、図4には、白抜きの矢印で時計回りの公転方向を示している。
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(図5のそれぞれに一箇所のみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。これらの可動放射状溝19a,19bについては、詳細を後述する。
〔1−1−4.第一回転部〕
図2に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図7及び図8に示すように、第一回転部15には、第一カム溝15aが設けられている。この第一カム溝15aは、回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられている。ここでは、第一カム溝15aが回転軸1の軸心C1と平行に形成されている。図7には、第一カム溝15a(一箇所のみに符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−1−5.第二回転部〕
図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図6及び図7には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
まず、接続部17について説明する。接続部17は、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
接続部17においては、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部17aであり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図2,図6及び図7に示すように、径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部17aに接続され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図6及び図7に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図6には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
次に、第二回転部16について説明する。図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
図2及び図8に示すように、第二回転部16には、第二カム溝16aが設けられている。この第二カム溝16aは、第一カム溝15aの外周に隣接して設けられ、また、第一カム溝15aと交差するとともに回転軸1に沿って設けられている。なお、第二カム溝16aは、回転軸1の軸方向に交差するように設けられている。なお、図7には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝16aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
〔1−1−6.相対回転駆動機構〕
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90を軸方向に移動させるメガネフォーク(スプロケット移動用軸方向移動部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,メガネフォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。図2及び図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
メガネフォーク35は、二組の複合スプロケット5,5に跨って設けられている。このメガネフォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの内周側には、上記の第一回転部15及び第二回転部16が配設されている。なお、メガネフォーク35は、ディスク10,19に対して平行なプレート状の部材であって、チェーン6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側に並設されている。
カムローラ支持部35aには、内周側の全周にわたって溝部35cが凹設されている。溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。すなわち、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されている。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図2及び図7には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
軸方向移動機構31は、メガネフォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、メガネフォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、図2及び図7を参照して、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
フォーク溝34bは、メガネフォーク35のブリッジ部35bの厚み(軸方向長さ)に対応する幅(軸方向長さ)に形成されている。このフォーク溝34bにはブリッジ部35bの中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)が嵌入され、フォーク支持部34とメガネフォーク35のブリッジ部35bとが一体に結合される。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。上記のメガネフォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に結合されたメガネフォーク35が一体に軸方向に移動し、この移動にともなってカムローラ90も軸方向に移動される。
第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90が軸方向に移動されると、第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第一カム溝15aが設けられた第一回転部15は回転軸1及び固定ディスク10と一体回転するため、第二交差箇所CP2が軸方向に移動すると、第一回転部15に対して第二カム溝16aが設けられた第二回転部16が相対的に回転される。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。このように、相対回転駆動機構30は、軸方向移動機構31によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動して、第一交差箇所CP1を径方向に移動させる。
〔1−1−7.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図2及び図5を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図2及び図7参照)とから構成されている。
また、ロッド移動機構40Bは、ロッド支持軸29aが内挿されるロッド用固定放射状溝12が形成された固定ディスク10と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図5(a)〜図5(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。図5(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図1及び図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図5(b),図5(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−8.機械式自転駆動機構〕
次に、図2及び図6を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の上方側)の構成に着目して説明する。機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、チェーン6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。言い換えれば、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
まず、機械式自転駆動機構50について、固定ピニオンスプロケット21(図1参照)を自転させないための構成を説明する。図6に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに内挿されて径方向に案内される。この案内部材59は、径方向の所定長さにわたってスプロケット用固定放射状溝11aに接触するように対応する形状に形成されている。このため、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力が作用したときには、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに対して回転力を伝達するとともに、この回転力の反作用(抗力)で固定ピニオンスプロケット21を固定するものといえる。すなわち、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aにおいて径方向に摺動可能であって回り止め機能を有する形状に形成されている。なお、ここでいう所定長さとは、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力の抗力が確保可能な長さである。
図6では、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に長手方向を有する矩形状に形成されており、この矩形状よりも小さい矩形状に形成された案内部材59を例示している。また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
次に、機械式自転駆動機構50について、自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動するための構成について説明する。機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
ピニオン51,52は、自転ピニオンスプロケット22,23の各支持軸22a,23aにおける軸方向端部にそれぞれ設けられている。かかるピニオン51,52にそれぞれ対応するラック53,54は、スプロケット用固定放射状溝11b,11cの延在方向に沿って固設されている。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
図6に示すように、第一ラック53は、第一ピニオン51に対して公転方向基準で遅角側に配置される。逆に、第二ラック54は、第二ピニオン52に対して公転方向基準で進角側に配置される。このため、ピニオン51,52及びラック53,54は、ピニオン51,52が拡径方向又は縮径方向に移動されると、ピニオン51,52はこれに噛合するラック53,54によって互いに逆方向に回転されるように配設されている。
すなわち、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相とは一対一の対応関係となる。このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。なおまた、第一自転ピニオンスプロケット22には、前述の位相ズレ許容動力伝達機構に代えて、その支持軸22aと第一ピニオン51との間に皿ばねが介装されていてもよい。この皿ばねによれば、支持軸22aと第一ピニオン51との微小な回転を許容しつつ相対回転を規制することで、変速比の変更中に発生しうる第一自転ピニオンスプロケット22とチェーン6との噛合時のショック(衝撃)を吸収する。この皿ばねは、固定ピニオンスプロケット21及び第二自転ピニオンスプロケット23のそれぞれにも同様に備えられていてもよい。
〔1−1−9.連動機構〕
連動機構60は、二組の複合スプロケット5,5の拡縮径を連動可能にするものである。基本的には、連動機構60によって、入力側の複合スプロケット5が拡径するときには出力側の複合スプロケット5が縮径し、逆に、入力側の複合スプロケット5が縮径するときには出力側の複合スプロケット5が拡径する。この連動機構60は、変速機構の変速比を等速変速比へ向けて変更する場合には、一方の複合スプロケット5の接円半径の拡径と他方の複合スプロケット5の接円半径の縮径とを同量だけ行なったときの幾何学的チェーン長に対するチェーン6の実際の長さである実チェーン長が、予め設定された所定長よりも大きいときに拡径の量よりも縮径の量を小さくし、所定長よりも大きくないときに拡径の量よりも縮径の量を同一にするものである。
以下の説明では、連動機構60の前提として、幾何学的チェーン長,各複合スプロケット5の歯数の設定の順に説明する。その次に、連動機構60にかかる固定ディスク10に形成された固定放射状溝11a,11b,11c,12及び可動ディスク19に形成された可動放射状溝19a,19bについて説明する。
〔1−1−9−1.幾何学的チェーン長〕
はじめに、図9を参照して、幾何学的チェーン長について説明する。幾何学的チェーン長は、入力側の複合スプロケット5と出力側の複合スプロケット5とに過不足なく巻き掛けられる理想的なチェーン(以下、「理想チェーン」という)6iの長さである幾何学上の周長である。言い換えれば、「幾何学的チェーン長」は、弛まないとともに突っ張らない理想チェーン6iの理論上(計算上)の長さである。
具体的に言えば、幾何学的チェーン長Lgは、入力側の複合スプロケット5の軸心C1と出力側の複合スプロケット5の軸心C1との距離(以下、「軸間距離」という)Dcと、入力側の複合スプロケット5の接円半径rpと、出力側の複合スプロケット5の接円半径rsと、二つの軸心C1,C1を接続する線分に対して直交する基準線分S1(ここでは一箇所のみに符号を付す)に対して理想チェーン6iが接円に沿う曲線から直線に又は直線から曲線に変化する位相(以下、「巻掛位相」という)θwとを用いて、下記の式(1)で示すことができる。なお、巻掛位相θwは、理想チェーン6iが複合スプロケット5の接円半径に接触する領域と離隔する領域との境界を、基準線分S1を基準として定めた位相ということもできる。
Figure 0006200081
上記の式(1)で示される幾何学的チェーン長Lgは、従来のように一方の複合スプロケットの拡径又は縮径と他方の複合スプロケットの縮径又は拡径とを同量だけ行なうとした場合には、変速機構が最Low又は最Highをなすとき(図9では最Highに対応するものを実線で示す)に最も長くなり、等速変速比をなすとき(図9では二点差線で示す)に最も短くなる。なお、以下の説明では、変速機構が最Low又は最Highをなすときの幾何学的チェーン長Lgを最大幾何学的チェーン長Lgmaxという。
従来の変速機構が等速変速比をなすときの幾何学的チェーン長Lgに合わせて実際のチェーン長を設定すると、等速変速比から変速比を変更しようとしても、チェーンが突っ張り、変速することができない。そこで、本変速機構のチェーン6の実際の長さ(以下、「実チェーン長」という)Lrは、最大幾何学的チェーン長Lgmaxに基づいて設定されている。
ここで、実チェーン長Lrを設定する前提として、負荷が作用していないときのチェーン6、即ち、伸びていないときのチェーン6の長さ(以下、「無負荷実チェーン長」という)Lr1と、チェーン6が許容可能な最大負荷が作用しているときのチェーン6、即ち、最も伸びた状態のチェーン6の長さ(以下、「負荷実チェーン長」という)Lr2とについて説明する。無負荷実チェーン長Lr1と負荷実チェーン長Lr2とは、伸び係数kを用いて、下記の式(2)で示すことができる。
Figure 0006200081
上記の式(2)におけるZは整数を意味し、Ucはチェーン6に負荷が作用していないときの単位リンク長を意味する。したがって、単位リンク長Ucに偶数のリンク数(2Z)を乗算したものが無負荷実チェーン長Lr1であり、この無負荷実チェーン長Lr1に伸び係数kを乗算したものが負荷実チェーン長Lr2である。
次に、実チェーン長Lrの設定について説明する。なお、以下の説明で用いる実チェーン長Lrは、上記の無負荷実チェーン長Lr1と同じ意味で用いる。実チェーン長Lrは、チェーン6の伸びを考慮して設定される。具体的に言えば、実チェーン長Lrは、下記の式(3)を満たすように設定される。
Figure 0006200081
上記の式(3)に示されるように、実チェーン長Lrは、式(3)の最左辺に示される最大幾何学的チェーン長Lgmaxから負荷実チェーン長Lr2における伸び(伸び係数kに対応)を差し引いた長さよりも大きいもののなかで、単位リンク長Ucに最も小さい偶数(=2Zmin)を乗算した長さに設定される。換言すれば、チェーン6のリンク数は、無負荷実チェーン長Lr1が最大幾何学的チェーン長Lgmaxから負荷実チェーン長Lr2における伸び(伸び係数kに対応)を差し引いた長さより長く且つ最も近い長さとなるような偶数個に設定される。これは、実チェーン長Lrが負荷実チェーン長Lr2における伸びを含んだ長さに設定され、この負荷実チェーン長Lr2(ここではLrと等しい)が最大幾何学的チェーン長Lgmaxよりも大きく設定されることと同義である。
〔1−1−9−2.複合スプロケットの歯数の設定〕
次に、表1及びこれに対応する図10を参照して、複合スプロケット5,5それぞれにおける歯数の設定について説明する。なお、表1は一例であり、各パラメータの値は、次に説明する趣旨に沿って適宜設定しうる。
Figure 0006200081
ここでは、入力側の複合スプロケット5の歯数Tp及び出力側の複合スプロケット5の歯数Tsは、それぞれ30が最小であって70が最大である。また、チェーン6の単位リンク長Ucが6mmであり、チェーン6のリンク数が108リンクである。このため、実チェーン長Lrは648mmである。また、伸び係数kとしては1.0042を用い、後述する所定長αとしては3.3mm(単位リンク長Ucの0.55リンク分の長さ)を用いるものを例に挙げて説明する。なお、これらの各パラメータは、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の値が採用されうる。
以下の説明では、変速比が最Low(入力側の複合スプロケット5の歯数Tpが30であって出力側の複合スプロケット5の歯数Tsが70,表1のSTEP1に対応)の状態から等速変速比(ここでは入力側及び出力の複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsが何れも51)へ向けて変更する場合に着目して、複合スプロケット5,5の歯数の設定を説明する。
連動機構60は、各変速段階(表1及び図10の各STEPに対応)において、チェーン6の弛みが所定長よりも大きくなければ、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを一つ大きく(一歯増加する分だけ一段階拡径)すると同時に出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを一つ小さく(一歯増加する分だけ一段階縮径)する。つまり、連動機構60は、入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量と出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量とを同一にする。一方、連動機構60は、各変速段階において、チェーン6の弛みが所定長よりも大きくなると、出力側の複合スプロケット5の歯数Tsの縮径を停止する。敷衍して言えば、連動機構60は、チェーン6の弛みが所定長よりも大きくなると、入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量よりも出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量を小さくする。
具体的には、下記の式(4)を満たすとき、即ち、チェーン6の弛みが所定長α以下のときには、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpが一つ大きく(Tp+1)されるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsが一つ小さく(Ts−1)される。一方、下記の式(4)を満たさないとき、即ち、チェーン6の弛みが所定長αよりも大きくなるときには、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpが一つ大きく(Tp+1)されるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsが保持される。
Figure 0006200081
このように、所定長αは、チェーン6の弛みを判定する閾値として、予め実験的又は経験的に設定されている。この所定長αは、本変速機構を稼働するときに許容できるチェーン6の最大の弛みよりも安全側(張り側)に所定のマージン分だけ近接させた値に設定することができる。
以下、表1及び図10に照らして、各段階の複合スプロケット5,5の歯数の設定について説明する。入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを30から35まで順次遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを70から65まで順次遷移させているとき(STEP1〜6に対応)には、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差(チェーン6の弛みに対応)が所定長αよりも小さい。このため、入力側の複合スプロケット5における拡径量と出力側の複合スプロケット5における縮径量とは同一にされている。
次に、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを35から36に遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを65から64に遷移させたとき(STEP7に対応)には、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差(弛みに対応)が所定長αよりも大きくなる。このため、次の段階(STEP8に対応)への変速比の変更では、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを36から37に遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを64に保持する。
次に、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを37から41まで順次遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを64から60まで順次遷移させているとき(STEP8〜12に対応)には、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差(弛みに対応)が所定長αよりも小さく、拡径量と縮径量とが同一にされる。
次に、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを41から42に遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを60から59に遷移させたとき(STEP13に対応)には、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差(弛みに対応)が所定長αよりも大きくなる。このため、次の段階(STEP14に対応)への変速比の変更では、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを42から43に遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを59に保持する。
次に、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを43から51まで順次遷移させるとともに出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを59から51まで順次遷移させているとき(STEP14〜22に対応)には、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差(弛みに対応)が所定長αよりも小さく、拡径量と縮径量とが同一にされる。なお、詳細な説明は省略するが、最Highから等速変速比へ向けて変速比を変更する場合には、上述した最Lowから等速変速比へ向けた変速比の変速における入力側の複合スプロケット5における歯数Tpと出力側の複合スプロケット5における歯数Tsとを入れ替えたものとなる。
〔1−1−9−3.ディスクの放射状溝〕
連動機構60は、表1及び図10に示されるように複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsを順次遷移させる。このために、連動機構60は、固定放射状溝11a,11b,11c,12が形成された固定ディスク10と、可動放射状溝19a,19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とを有する。ここで説明する連動機構60は、二組の複合スプロケット5,5に跨って設けられるメガネフォーク35によって、二組の複合スプロケット5,5それぞれの拡径又は縮径を機械的(メカニカル)に連動させるものであって、固定ディスク10の固定放射状溝11a,11b,11c,12の形状と可動ディスク19の可動放射状溝19a,19bの形状とをそれぞれ設定することで上述したように複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsを変更している。
すなわち、固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bとの交差箇所が、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転によって、複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsに対応する径方向位置となるように、放射状溝11a,11b,11c,12,19a,19bの形状が設定されている。以下、固定放射状溝11a,11b,11c,12,可動放射状溝19a,19bの順に説明する。
〔1−1−9−3−1.固定放射状溝〕
図3に示すように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、配設箇所を除いてそれぞれ同様に構成されている。このため、以下の説明では、スプロケット用固定放射状溝11aに着目して説明する。また、スプロケット用固定放射状溝11aにかかる説明では、固定ピニオンスプロケット21を単にピニオンスプロケット21と呼ぶ。ここでは、スプロケット用固定放射状溝11aは、固定ディスク10の径方向θsに沿う直線状に形成されている。
また、ロッド用固定放射状溝12は、それぞれ配設箇所が異なる点を除いては同様に構成されている。ここでは、ロッド用固定放射状溝12は、上記のスプロケット用固定放射状溝11aと同様に、固定ディスク10の径方向に沿う直線状に形成されている。なお、ロッド用固定放射状溝12は、ピニオンスプロケット20(図1参照)が何れの径方向位置にあるときでもピニオンスプロケット20間にガイドロッド29が等間隔に位置するように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに合わせて配設される。
〔1−1−9−3−2.可動放射状溝〕
図4及び図5に示すように、スプロケット用可動放射状溝19aは、配設箇所を除いてそれぞれ同様に構成されている。このスプロケット用可動放射状溝19aは、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられているため、固定ディスク10に対する可動ディスク19の回転位相と各複合スプロケット5におけるピニオンスプロケット20の径方向位置とは、スプロケット用可動放射状溝19aの形状に対応するものとなる。
以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用可動放射状溝19aに着目して説明する。また、スプロケット用可動放射状溝19a及びロッド用可動放射状溝19bにかかる説明では、固定ピニオンスプロケット21を単にピニオンスプロケット21と呼ぶ。ここでは、各変速段階(表1及び図10の各STEPに対応)に対応する可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転角度が等しくなるように設定されている。なお、各変速段階に対応する可動ディスク19の相対回転角度は等しくなくてもよく、これに対応する形状のスプロケット用可動放射状溝19aを用いてもよい。
スプロケット用可動放射状溝19aは、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを一つ大きくすると同時に出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを一つ小さくする変速段階に対応する箇所では、外周に向かうに連れて径方向に対して周方向(ここでは公転方向に対して反対方向)に向けて傾斜して設けられている。図4に示すように、例えば、スプロケット用可動放射状溝19aの内周側端部191は、この位相に対応する径方向θcに対して傾斜している。ここでいう径方向θcは、内周側端部191の位相における軸中心を通過する径方向線の方向に対応している。
一方、スプロケット用可動放射状溝19aは、複合スプロケット5,5の何れか一方の歯数Tが保持される変速段階(表1のSTEP7〜8,13〜14,30〜31,36〜37に対応)に対応する箇所では、可動ディスク19の周方向に沿う形状、即ち、スプロケット用固定放射状溝11aとの交差箇所の径方向位置が保持される形状に形成されている。入力側の複合スプロケット5におけるスプロケット用可動放射状溝19aに着目すれば、図11に示すように、歯数Tpが保持される変速段階(表1及び図10のSTEP30〜31,36〜37に対応)に対応する箇所が、可動ディスク19の周方向に沿う形状に設定され、その他の変速段階に対応する箇所は径方向に対して周方向に傾斜して設けられている。
なお、図示省略するが、出力側の複合スプロケット5におけるスプロケット用可動放射状溝も同様に、歯数Tsが保持される変速段階(表1及び図10のSTEP7〜8,13〜14に対応)に対応する各箇所が、可動ディスク19の周方向r1,r2に沿う形状に設定され、その他の変速段階に対応する箇所は径方向に対して周方向に傾斜して設けられている。このように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとは、変速比を等速変速比へ向けて変更する場合には、幾何学的チェーン長Lgに対する実チェーン長Lrが、所定長αよりも大きいときに入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量よりも出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量を小さくし、また、所定長αよりも大きくなければ入力側の拡径量と出力側の縮径量とを同一にするような形状に形成されている。
図4及び図5に示すように、ロッド用可動放射状溝19bは、上述したロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。なお、各ロッド用可動放射状溝19bは、配設箇所が異なる点を除いては互いに同様に構成されている。ロッド用可動放射状溝19bは、スプロケット用可動放射状溝19aと同様に、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを一つ大きくすると同時に出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを一つ小さくする変速段階に対応する箇所では、外周に向かうに連れて径方向に対して周方向(ここでは公転方向に対して反対方向)に向けて傾斜して設けられ、複合スプロケット5,5の何れか一方の歯数Tが保持される変速段階(表1のSTEP7〜8,13〜14,30〜31,36〜37に対応)に対応する箇所では、可動ディスク19の周方向に沿う形状、即ち、スプロケット用固定放射状溝11aとの交差箇所の径方向位置が保持される形状に形成されている。
なお、図4及び図5では、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの相互間に六本のロッド用可動放射状溝19bが設けられ、同径方向位置で比較したときに、各ロッド用可動放射状溝19bの径方向に対する傾斜角度が公転方向に向かうに連れて大きくなるものを例示している。ここでは、ロッド用可動放射状溝19bは、ピニオンスプロケット20(図1参照)が何れの径方向位置にあるときでもピニオンスプロケット20間にガイドロッド29が等間隔に位置するように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに合わせて配設されている。
ただし、各ロッド用可動放射状溝19bは、同径方向位置における径方向に対する傾斜角度が互いに等しく設定されていてもよい。このように、可動放射状溝19a,19bは、複合スプロケット5,5の何れか一方の歯数Tが保持される変速段階に対応する箇所に段が形成された段付き溝形状を有している。
〔1−2.チェーン〕
次に、チェーン6について説明する。
図12に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
これらのチェーン6A,6B,6Cは、動力伝達方向に位相をずらすように互いにピッチをずらしてピニオンオンスプロケット20に巻き掛けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン6A,6B,6Cに噛合するピニオンスプロケット20の各歯21c,22c,23c(以下、これらを区別せずに示すときには「歯20c」という)の位相もずらして配置されている。なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン6が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
〔2.作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。変速比を等速変速比へ向けて変更する場合には、連動機構60が以下のように作動する。
連動機構60は、幾何学的チェーン長Lgに対する実チェーン長Lrが所定長αよりも大きいときには、入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量よりも出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量を小さくする。このため、幾何学的チェーン長Lgに対する実チェーン長Lr、即ち、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差が所定長αよりも大きくなると、出力側の接円半径の縮径量が入力側の接円半径の拡径量よりも小さくされることで、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差の増大が抑制され、チェーン6の弛みを抑制することができる。
また、連動機構60は、幾何学的チェーン長Lgに対する実チェーン長Lrが所定長αよりも大きくないときに入力側の拡径量と出力側の縮径量とを同一にする。このため、チェーン6の弛んでいない又は略弛んでいないときなどの実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差が所定長α以下であるときには、出力側の接円半径の縮径量が入力側の接円半径の拡径量と同一にされることで、幾何学的チェーン長Lgの変化が抑制され、チェーン6の弛みを抑制することができる。
負荷実チェーン長Lr2は、最大幾何学的チェーン長Lgmaxよりも大きく設定されるため、常時、最大幾何学的チェーン長Lgmaxよりも負荷実チェーン長Lrの方が大きく、チェーンが張ることで変速不能になることがない。実チェーン長Lrは、幾何学的チェーン長Lgmaxと負荷実チェーン長Lr2における伸びとに基づいて設定されるため、負荷実チェーン長Lr2の伸びを考慮しないものに比較して、その伸び分だけ実チェーン長Lrの設定範囲を広げることができる。
複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsが整数でなければ、かかる見かけ上の歯とチェーン6の溝とで位相ズレが生じてしまうおそれがある。これに対し、本変速機構における複合スプロケット5,5それぞれの拡径又は縮径は、複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsが整数を順次遷移するように行なわれるため、複合スプロケット5とチェーン6との間での位相ズレを抑制することができる。これにより、複合スプロケット5にチェーン6を良好に張架させることができ、円滑に動力伝達することができる。なお、変速比を変更する際、即ち、複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsを変更している際には、かかる歯数Tp,Tsが一時的に整数でない状態となり、歯数Tp,Tsの遷移中にチェーン6の位相ズレが生じるが、上述の位相ズレ許容動力伝達機構や皿ばねによって積極的に吸収することが可能である。ただし、これらの機構を装備せずとも、変速に要する時間(複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsの遷移時間)は瞬時であり、弛みによるチェーン6のはずれや騒音の発生が生じる前に変速が完了するので、事実上は問題とならない。
このように複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsが整数を順次遷移するときに、連動機構60が、各変速段階において、チェーン6の弛みが所定長αよりも大きくなければ、入力側の複合スプロケット5の歯数Tpを一つ大きく(一段階拡径)すると同時に出力側の複合スプロケット5の歯数Tsを一つ小さく(一段階縮径)するため、幾何学的チェーン長Lgの変化が抑制され、チェーン6の弛みを抑制することができる。一方、連動機構60が、各変速段階において、チェーン6の弛みが所定長αよりも大きくなると、出力側の複合スプロケット5の歯数Tsの縮径を停止するため、実チェーン長Lrと幾何学的チェーン長Lgとの差の増大が抑制され、チェーン6の弛みを抑制することができる。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとは、変速比を等速変速比へ向けて変更する場合には、幾何学的チェーン長Lgに対する実チェーン長Lrが、所定長αよりも大きいときに入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量よりも出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量を小さくし、また、所定長αよりも大きくなければ入力側の拡径量と出力側の縮径量とを同一にするような形状に形成されているため、連動機構60は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29を機械的にチェーン6の弛みを抑制することができる。
さらに、連動機構60は、二組の複合スプロケット5,5に跨って設けられるメガネフォーク35を有する相対回転駆動機構30を有するため、複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsを機械的に連動させることができる。このように、連動機構60は、制御プログラムを用いることなく、複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsを機械的(メカニカル)に連動させるとともにチェーン6の弛みを抑制することができる。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが径方向に沿う直線状に形成されているため、複合スプロケット5,5によってトルク伝達されるときに、回転軸1と回転動力を入出力する固定ディスク10において各ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aを通して作用する反力(ここでは「トルク反力」という)を、周方向に沿ってスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの壁部に作用させることができ、トルク反力によるピニオンスプロケット21,22,23の径方向への移動を抑制することができる。また、固定放射状溝11a,11b,11c,12が直線状に形成されているため、形成が容易であり、製造コストの上昇を抑制することができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。実チェーン長Lrは、チェーン6の伸びを考慮することなく、幾何学的チェーン長Lgに基づいて設定されていてもよい。つまり、実チェーン長Lrが、最大幾何学的チェーン長Lgmaxよりも大きいもののなかで、単位リンク長Ucに最も小さい偶数を乗算した長さに設定されていてもよい。この場合、チェーン6は、動力伝達時でなければ伸びることなく複合スプロケット5,5に巻き掛けられ、チェーン6の耐久性が向上しうる。
また、変速比を変更するときに、複合スプロケット5,5の各歯数を整数から他の整数へと順次遷移させるものに限らず、複合スプロケット5,5を拡縮径させて無段階に変速する変速機構であってもよい。この場合、上述の一実施形態と同様に、連動機構60は、チェーン6の弛みが所定長よりも大きくなると、入力側の複合スプロケット5における接円半径の拡径の量よりも出力側の複合スプロケット5における接円半径の縮径の量を小さくする。このときのスプロケット用可動放射状溝19aは、上述した段付き溝形状に限らず、チェーン6の弛みが所定長よりも大きくなる変速段階に対応する径方向位置において、滑らかに連続する形状(図11に一部を二点鎖線で例示する)に形成されていてもよい。
上述の一実施形態では、連動手段として、メガネフォーク35により二組の複合スプロケット5,5それぞれの拡径又は縮径を機械的(メカニカル)に連動させる連動機構60を示したが、次のような連動手段を用いてもよい。複合スプロケット5,5のそれぞれに相対回転駆動機構30が設けられ、複合スプロケット5,5の接円半径がそれぞれ個別に拡径又は縮径されてもよい。この場合、変速機構は、表1及び図10に示されるような複合スプロケット5,5の歯数Tp,Tsが予め設定されたマップを有し、このマップに基づいて、各相対回転駆動機構30が対応する複合スプロケット5の接円半径を拡径又は縮径させる。すなわち、マップに基づいて各相対回転駆動機構30を制御するソフトウェアで連動手段を構成することも可能である。なお、この場合、スプロケット用可動放射状溝19a及びロッド用可動放射状溝19bは図4及び図11に示すような段付きの形状とする必要はなく、単純な曲線形状で良いことは言うまでもない。

Claims (7)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する変速機構であって、
    前記変速比を変更する変速時に、一方の前記複合スプロケットの前記接円半径の拡径と他方の前記複合スプロケットの前記接円半径の縮径とを連動可能な連動手段を有し、
    前記連動手段は、前記変速比を二つの前記回転軸の回転速度が同速となる等速変速比へ向けて変更する場合には、前記拡径と前記縮径とを同量だけ行なったときの前記二組の複合スプロケットに過不足なく巻き掛けられる理想的なチェーンの長さである幾何学的チェーン長に対する前記チェーンの実際の長さである実チェーン長が、予め設定された所定長よりも大きいときに前記拡径の量よりも前記縮径の量を小さくし、前記所定長よりも大きくないときに前記拡径の量と前記縮径の量とを同一にする、変速機構。
  2. 前記実チェーン長は、前記幾何学的チェーン長がとりうる最長のものよりも大きく設定された、請求項1に記載の変速機構。
  3. 前記実チェーン長は、前記チェーンの伸びを含んだ長さに設定される、請求項1又は2に記載の変速機構。
  4. 前記拡径又は前記縮径は、前記複数のピニオンスプロケットによって形成される見かけ上の前記複合スプロケットの歯数が整数を順次遷移するように行なわれる、請求項1〜3の何れか1項に記載の変速機構。
  5. 前記連動手段は、前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合には、前記幾何学的チェーン長が前記実チェーン長よりも前記所定長以上大きいときに前記縮径を停止する、請求項4に記載の変速機構。
  6. 前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合に、前記幾何学的チェーン長が前記実チェーン長よりも前記所定長以上大きいときに、前記縮径を停止するように、前記一方の複合スプロケットの歯数と前記他方の複合スプロケットの歯数との組み合わせが予め設定されたマップを有し、
    前記連動手段は、前記マップに基づいて、前記一方の複合スプロケットを前記拡径させ、前記他方の複合スプロケットを前記縮径させる、請求項4又は5に記載の変速機構。
  7. 前記連動手段は、
    前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差する交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、を有し、
    前記スプロケット用固定放射状溝と前記スプロケット用可動放射状溝とが、前記変速比を前記等速変速比へ向けて変更する場合には、前記幾何学的チェーン長に対する前記実チェーン長が、予め設定された所定長以上大きいときに前記拡径の量よりも前記縮径の量を小さくし、前記所定長以上大きくなければ前記拡径の量と前記縮径の量とを同一にするような形状に形成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の変速機構。
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