JP5753223B2 - 無段変速機構 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトなどの耐久性を損ねるおそれがある。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。
このような無段変速機構としては、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。かかる構成のもとでは、各ピニオンスプロケットが回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に同期して移動することで、多角形の大きさが相似的に変化することにより、変速比(いわばギヤ比)が変化する。
このような複合スプロケットにかかる構成が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
米国特許第7713154号 特開2002−250420号公報
ところで、変速機において変速比の可動範囲(レシオカバレッジ)を拡大させることは有効である。例えば、車両用変速機におけるレシオカバレッジの拡大は、車両の加速性能や燃費性能を向上させるうえで極めて有効である。
上述の特許文献1及び2に記載のような複合スプロケットを用いた無段変速機構の場合、各ピニオンスプロケットの最も外側の径方向位置が限られたなかでレシオカバレッジを拡大させるには、各ピニオンスプロケットを回転軸の軸心に接近させることが有効である。
このためには、各ピニオンスプロケットの外径や回転軸の外径を小さくすることが要求されるが、チェーンとの噛み合わせを円滑に行うためにはピニオンスプロケットの小径化にも限度があり、必要な剛性や強度を確保するには回転軸の小径化にも限度がある。このような構造上の制約から、複合スプロケットを用いた無段変速機構では、レシオカバレッジの拡大が制限されてしまう。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、レシオカバレッジの拡大を図ることができるようにした、無段変速機構を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の無段変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、前記回転軸に、前記ピニオンスプロケットを収容しうる凹所が形成されていることを特徴としている。
(2)前記ピニオンスプロケットは、前記接円半径が最小径となった際に、前記回転軸に当接することが好ましい。
(3)前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第一ガイドロッドと、複数の前記第一ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる第一ロッド移動機構と、を備え、前記複数の第一ガイドロッドは、前記接円半径が最小径となった際に、前記回転軸の外周面に当接することが好ましい。
(4)前記スプロケット移動機構は、前記ピニオンスプロケットの回転中心と同心に設けられたスプロケット支持軸と、前記スプロケット支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記スプロケット用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記スプロケット支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記交差箇所を径方向に移動させる駆動装置と、を有し、前記第一ロッド移動機構は、前記第一ガイドロッドの回転中心と同心に設けられた第一ロッド支持軸と、前記第一ロッド支持軸が内挿される第一ロッド用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する前記固定ディスクと、前記第一ロッド用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記第一ロッド支持軸が位置する第一ロッド用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な前記可動ディスクと、前記駆動装置と、を有することが好ましい。
(5)前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第一ガイドロッドと、複数の前記第一ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる第一ロッド移動機構と、を備え、前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第二ガイドロッドと、前記接円半径が所定径以上では、複数の前記第二ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させ、前記接円半径が前記所定径未満では、前記第二ガイドロッドを前記第一ガイドロッドよりも前記回転軸の軸心側に移動させる第二ロッド移動機構と、を更に備えたことが好ましい。
(6)前記接円半径が最小径となった際に、前記第二ガイドロッドは前記回転軸の外周面に当接することが好ましい。
(7)前記接円半径が最小径となった際に、前記第一ガイドロッドは前記第二ガイドロッドの外周面に当接することが好ましい。
(8)さらに、前記第二ロッド移動機構は、前記第二ガイドロッドの回転中心と同心に設けられた第二ロッド支持軸と、前記第二ロッド支持軸が内挿される第二ロッド用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する前記固定ディスクと、前記第二ロッド用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記第二ロッド支持軸が位置する第二ロッド用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な前記可動ディスクと、前記駆動装置と、を有することが好ましい。
(9)前記複数のピニオンスプロケットは、前記チェーンに噛み合い可能な外周部に部分的に歯が突出形成されて自転しない一つの固定ピニオンスプロケットと、外周部全周に歯が突出形成されて自転可能なその他の自転ピニオンスプロケットとを有し、前記凹所は、前記固定ピニオンスプロケットの外周形状に応じた第一凹所と、前記自転ピニオンスプロケットの外周形状に応じた第二凹所とを有していることが好ましい。
(10)前記ピニオンスプロケットは、等間隔に三個装備され、前記第一ガイドロッドは、隣接する前記ピニオンスプロケットの相互間に少なくとも三本ずつ装備され、前記第二ガイドロッドは、隣接する前記第一ガイドロッドの相互間に、直接隣接することなく装備され、前記ピニオンスプロケット,前記第一ガイドロッド及び前記第二ガイドロッドは、前記接円半径が所定径以上では、各辺の長さが略等しい多角形を形成することが好ましい。
したがって、第一ガイドロッドが各ピニオンスプロケットの相互間に三本ずつ、且つ、第二ガイドロッドが各第一ガイドロッドの相互間に一本ずつ装備されれば、各ピニオンスプロケットの相互間には、第一ガイドロッドが三本、第二ガイドロッドが二本、それぞれ装備され、十八角形を形成することになる。
また、第一ガイドロッドが各ピニオンスプロケットの相互間に四本ずつ、且つ、各ピニオンスプロケットの相互間の四本の第一ガイドロッドを二本ずつに分け、各二本の第一ガイドロッドの相互間に第二ガイドロッドが一本ずつ装備されれば、各ピニオンスプロケットの相互間には、第一ガイドロッドが四本、第二ガイドロッドが二本、それぞれ装備され、二十一角形を形成することになる。
本発明の無段変速機構によれば、回転軸に、ピニオンスプロケットを収容しうる凹所が形成されているため、凹所にピニオンスプロケットが収容されることにより、ピニオンスプロケットの位置を更に回転軸の軸心に近づけることができる。これにより、複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の最小径を小さくすることができる。したがって、レシオカバレッジの拡大を図ることができる。
本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の要部を模式的に示す正面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の第一固定ディスク(固定ディスク)及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸を示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構のピニオンスプロケットを取り出して示す斜視図である。この図4では、同一のピニオンスプロケットを時系列に沿って三つ示している。なお、ピニオンスプロケットは、左下から右上に向けて時系列に沿って変化する。 図4の上面図であり、時系列に沿って(a),(b),(c)の順に示す。 チェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。 本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構の要部を示す模式図である。 本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構のスプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a)は第一固定ディスク(固定ディスク)を示し、(b)は可動ディスクを示す。
以下、図面を参照して、本発明の無段変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の無段変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、無段変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を内側とし、その反対側を外側として説明する。
〔1.第一実施形態〕
以下、第一実施形態にかかる無段変速機構について説明する。
〔1−1.無段変速機構の構成〕
無段変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン60とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心の一組の複合スプロケット5(図1では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心の複合スプロケット5(図1では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十五本)のガイドロッド(第一ガイドロッド)29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上に等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ五本のガイドロッド29が配置されている。
図1には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20を自転させる機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bとを備えている(図2〜図5参照)。これらについては、詳細を後述する。
この無段変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れをも囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン60が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン60との接触半径に対応するものともいえる。よって、接円半径或いは接触半径が最小径であるときには、複合スプロケット5の外径が最小径であり、また、接円半径或いは接触半径が最大径であるときには、複合スプロケット5の外径が最大径である。
よって、無段変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものといえる。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
以下、無段変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン60の順に説明する。
〔1−1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,回転軸1の順に説明する。
〔1−1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン60と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つのピニオンスプロケット(以下、「自転ピニオンスプロケット」という)22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側のピニオンスプロケットを第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側のピニオンスプロケットを第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
ここでいう「自転」とは、各ピニオンスプロケット21,22,23がその中心に設けられたスプロケット支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各スプロケット支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部に部分的に形成された歯21cとを有する。すなわち、固定ピニオンスプロケット21には、チェーン60に噛合い可能な外周部領域に部分的に歯21cが突出形成されている。逆に言えば、固定ピニオンスプロケット21は、チェーン60と噛まない外周部領域には歯が形成されていない。
なお、図1には、固定ピニオンスプロケット21の歯が形成されていない部分の正面視形状が円弧状のものを例示するが、かかる形状は円弧状に限らず、矩形状や三角形状などの種々の形状を採用することができる。
自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも外周部全周に歯が突出形成されている。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法は同一規格のものとなっている。
第一自転ピニオンスプロケット22は、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。
第一自転ピニオンスプロケット22は、図2に示すように、後述する機械式自転駆動機構50による自転駆動のための第一自転用ピン22b及び第二自転用ピン22cを有する。これらの自転用ピン22b,22cは、第一自転ピニオンスプロケット22の軸方向両側(軸心C3に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ突設されている。これらの自転用ピン22b,22cは、何れも第一自転ピニオンスプロケット22のスプロケット支持軸22aの軸心C3に対して偏心して設けられている。なお、図2は、理解容易のため模式的に示しており、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22及び第二自転ピニオンスプロケット23を示す。
同様に、第二自転ピニオンスプロケット23は、後述する機械式自転駆動機構50による自転のための第一自転用ピン23b及び第二自転用ピン23cを有する。これらの自転用ピン23b,23cは、第二自転ピニオンスプロケット23の軸方向両側(軸心C4に沿う方向の一側及び他側)に、スプロケット支持軸23aの軸心C4に偏心してそれぞれ設けられている。
第二自転用ピン22c,23cは、第一自転用ピン22b,22cよりも軸心C3,C4に沿った長さが後述する第二固定ディスク12の厚み分よりも長く形成されている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、各自転ピニオンスプロケット22,23は、それぞれ軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21も軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン60も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。なお、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、無段変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。
各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
また、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21の軸方向両側(軸心C2に沿う方向の一側及び他側)にもピンが突設されている。このピンは、軸心C2に対して偏心して設けられ、後述するピン溝に当接することにより、固定ピニオンスプロケット21の自転を防止する回り止めとして機能する。
〔1−1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン60と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1の周りのチェーン60の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン60をガイドするものである。このガイドロッド29は、その外側の周面に当接するチェーン60の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン60は、その内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿い転動する。
各ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図1では一箇所のみ破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが嵌着されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン60をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十五本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29の本数は、ピニオンスプロケット20の相互間の数(ここでは三つ)の倍数であることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン60と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。更に言えば、簡素な構成とするために、ガイドロッド29を省略してもよい。
〔1−1−1−3.スプロケット移動機構,ロッド移動機構及び機械式自転駆動機構〕
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B及び機械式自転駆動機構50をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン60に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
〔1−1−1−3−1.前提構成〕
まず、図2を参照して、上記の機構40A,40B,50の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク群10と、この固定ディスク群10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、可動ディスク19を固定ディスク群10に対して相対回転駆動する駆動装置30とのそれぞれを説明する。
なお、固定ディスク群10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられている。このため、ここでは一側(図2の紙面上方側)に設けられた固定ディスク群10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−1−3−1−1.固定ディスク〕
固定ディスク群10は、複数のピニオンスプロケット20側から順に、第一固定ディスク(固定ディスク)11,第二固定ディスク(第一自転用ディスク)12及び第三固定ディスク(第二自転用ディスク)13を有する。これらの固定ディスク11,12,13は何れも回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。
図3に示すように、第一固定ディスク11には、スプロケット用固定放射状溝11aとロッド用固定放射状溝(第一ロッド用固定放射状溝)11b(何れも一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。
スプロケット用固定放射状溝11aは、ピニオンスプロケット20の個数(ここでは三個)に対応した溝数が設けられ、また、ロッド用固定放射状溝11bは、ガイドロッド29の本数(ここでは十五本)に対応した溝数が設けられている。
スプロケット用固定放射状溝11aには、各ピニオンスプロケット20のスプロケット支持軸21a,22a,23aが内挿され、また、ロッド用固定放射状溝11bには、各ガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿される。
図2に示すように、第二固定ディスク12には、第一自転用放射状溝12aが形成されている。また、第三固定ディスク13には、第二自転用放射状溝13aが形成されている。詳細は後述するが、各自転用放射状溝12a,13aは、自転用ピン22b,22c,23b,23cのそれぞれの案内溝として機能する。
第二固定ディスク12の外周部には、ヘリカルギヤ12Aが設けられている。このヘリカルギヤ12Aが設けられた第二固定ディスク12の外周部は、軸心C1に沿った方向に所定長さを有するように突設され、ヘリカルギヤ12Aは所定長さに亘って設けられている。
なお、ここでいう「所定長さ」とは、後述する第二固定ディスク12と可動ディスク19との位相差に対応する駆動装置30における入力部材33の進退量に対応する長さをいう。
また、図示省略するが、第二固定ディスク12及び第三固定ディスク13の少なくとも何れかには、固定ピニオンスプロケット21の両側に設けられたピンを案内するピン溝が形成されている。このピン溝は、固定ピニオンスプロケット21の径方向の移動ルートに沿って延びるように形成され、ピン溝は、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を阻害せずに自転を阻止するように案内する。
〔1−1−1−3−1−2.可動ディスク〕
可動ディスク19は、第一固定ディスク11に隣接して配置されている。図2では、第一固定ディスク11,可動ディスク19の順に複数のピニオンスプロケット20側から配置されたもの示すが、可動ディスク19,第一固定ディスク11の順に複数のピニオンスプロケット20側から配置されてもよい。
図3に示すように、可動ディスク19(破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19a(一箇所のみに符号を付す)とロッド用可動放射状溝(第一ロッド用可動放射状溝)19b(一箇所のみに符号を付す)との二種の可動放射状溝が形成されている。
スプロケット用可動放射状溝19aは、上記のスプロケット用固定放射状溝11aに交差し、その交差箇所にそれぞれスプロケット支持軸21a,22a,23aが位置する。同様に、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝11bに交差し、その交差箇所のそれぞれにロッド支持軸29aが位置する。
また、図2に示すように、可動ディスク19には、その外周部全周に歯(以下、「外周歯」という)19Aが形成されている。
〔1−1−1−3−1−3.駆動装置〕
駆動装置30は、可動ディスク19を固定ディスク群10に対して相対回転駆動するもので、ここでは、可動ディスク19の外周に形成された外周歯19Aと噛合する回転駆動歯34aを有する出力部材34を回転させて、固定ディスク群10に対して可動ディスク19を相対回転駆動する。
この駆動装置30は、モータ31と、モータ31の出力軸31aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構32Aと、運動変換機構32Aで切り替えられた直線運動により軸方向に進退駆動(往復駆動)されるフォーク32と、フォーク32によって軸方向に進退駆動される入力部材33と、入力部材33の軸方向への進退に伴って入力部材33を連動回転させる連動回転機構34Aと、入力部材33と一体回転する出力部材34とを有している。
なお、モータ31としては、例えばステッピングモータを用いることができる。
また、入力部材33は、出力部材34に対して軸方向に可動であって且つ一体に回転するように取り付けられている。例えば、入力部材33と出力部材34とはスプライン嵌合により取り付けられている。
入力部材33は、第二固定ディスク12の外周部に設けられたヘリカルギヤ12Aと常時噛合するヘリカルギヤ33aと、フォーク32を挟み込んで摺動するフォーク溝33bとを有する。また、出力部材34は、可動ディスク19の外周歯19Aと常時噛合する出力歯34aを有する。
運動変換機構32Aは、出力軸31aに形成された雄ネジ部31bと、雄ネジ部31bに螺合する雌ネジ部32aを有しフォーク32が結合された支持体32bと、入力部材33の外周に形成されたフォーク溝33b内に係合してフォーク32の回転を規制するフォーク外周部32cとから構成される。出力軸31aが回転すると、雄ネジ部31bと雌ネジ部32aとの螺合によって、自身の回転を規制されたフォーク32が出力軸31aに対して軸方向に移動して、入力部材33を軸方向に駆動する。
連動回転機構34Aは、第二固定ディスク12の外周部に設けられたヘリカルギヤ12Aと、入力部材33の外周に形成されヘリカルギヤ12Aと噛合するヘリカルギヤ33aと、出力部材34の軸方向への移動を阻止する図示しない軸方向移動規制部材とを備え、入力部材33の軸方向移動に伴って、ヘリカルギヤ12A,33aの噛合を通じて第二固定ディスク12が入力部材33を回転駆動する。
この駆動装置30によれば、モータ31によりフォーク32が進退駆動されると、各固定ディスク群10に対して可動ディスク19の回転位相が変更される。このように、フォーク32の進退量に対応して、固定ディスク群10と可動ディスク19との回転位相差が調整される。
〔1−1−1−3−2.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図2及び図3を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、スプロケット支持軸21a,22a,23aと、スプロケット用固定放射状溝11aが形成された第一固定ディスク11と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、駆動装置30(図2参照)とを備えている。
また、ロッド移動機構40B(図3参照)は、ロッド支持軸29aと、ロッド用固定放射状溝11bが形成された第一固定ディスク11と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、駆動装置30とを備えている。
このように、移動機構40A,40Bが備える構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図3(a)〜(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。
図3(a)は、放射状溝11a,19aにおけるスプロケット支持軸21a,22a,23aと放射状溝11b,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、駆動装置30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を第一固定ディスク11に対して変更すると、図3(b),(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11aとスプロケット用可動放射状溝19aの交差箇所と、ロッド用固定放射状溝11bとロッド用可動放射状溝19bとの交差位置とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、駆動装置30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン60の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン60に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−1−3−3.機械式自転駆動機構〕
機械式自転駆動機構50は、図2に示すように、各自転用ピン22b,22c,23b,23cと、第一自転用放射状溝12aが形成された第二固定ディスク12と、第二自転用放射状溝13aが形成された第三固定ディスク13とを備えている。さらに、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21の両側に設けられたピンと、これを案内するピン溝が形成された第二固定ディスク12及び第三固定ディスクの少なくとも何れかとを備えている。
この機械式自転駆動機構50は、ピニオンスプロケット20が移動される際、即ち、接円半径が変更される際に、チェーン60に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生しないように、メカニカル(機械的)に自転ピニオンスプロケット22,23を自転させるものである。なお、第一自転ピニオンスプロケット22及び第二自転ピニオンスプロケット23は、機械式自転駆動機構50による自転方向が異なるだけで同様に自転されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目し、機械式自転駆動機構50の構成を説明する。
機械式自転駆動機構50は、図4及び図5に示すように、スプロケット支持軸C3に対して偏心して設けられた自転用ピン22b,22cを、これらのそれぞれに対応する自転用放射状溝12a,13aで案内することにより、第一自転ピニオンスプロケット22を自転させる。なお、図4及び図5では、白抜きの矢印で示す順に時系列を示す。
自転用放射状溝12a,13aのそれぞれは、径方向移動に伴うピニオンスプロケット20のチェーン60への位相ズレを解消するように、自転ピニオンスプロケット22,23を自転させる形状に形成されている。
また、図示省略するが、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21のピンを固定ピニオンスプロケット21の移動ルートに沿って延びるピン溝で案内することにより、固定ピニオンスプロケット21のピンがこのピン溝内に摺接していて、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を阻害することなく自転を阻止する。
言い換えれば、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となる。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、図示省略するが、第一自転ピニオンスプロケット22には、そのスプロケット支持軸22aと自転用ピン22b,22cとの間に皿ばねが介装されている。これは、変速比の変更中に発生しうる第一自転ピニオンスプロケット22とチェーン60との噛合時のショック(衝撃)を吸収するためである。この皿ばねは、固定ピニオンスプロケット21及び第二自転ピニオンスプロケット23にもそれぞれ備えられている。
〔1−1−1−4.回転軸〕
次に、回転軸1について、図1を参照して説明する。なお、回転軸1の説明では、出力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。図1には、駆動機構30の駆動により拡縮される出力側の接円半径が、最大径のものを実線で示し、最小径のものを一点鎖線で示す。
回転軸1には、複数のピニオンスプロケット20を収容しうる凹所2が形成されている。凹所2には、接円半径が最小径となった際に複数のピニオンスプロケット20が最も深く収容される。この状態から複数のピニオンスプロケット20の径位置が外側(拡径側)に移動するに連れて、複数のピニオンスプロケット20の凹所2への収容度合(収容深さ)が小さくなり、更に径位置が外側に移動すると複数のピニオンスプロケット20は凹所2に収容されなくなる。
凹所2は、固定ピニオンスプロケット21に対応する第一凹所2aと、各自転ピニオンスプロケット22,23に対応する二つの第二凹所2b,2bとを有している。なお、一方の第二凹所2bと他方の第二凹所2bとは、同様に構成されている。
第一凹所2aは、固定ピニオンスプロケット21の外周形状に応じた形状に形成されている。具体的に言えば、第一凹所2aは、円柱状の回転軸の外周面側から固定ピニオンスプロケット21の本体部21bの外周形状に応じた断面形状に形成されている。ここでは、本体部21bの外周形状が円弧状に形成されているため、第一凹所2aは、円柱状の回転軸からこれよりも細い円柱の一部を取り除いた形状となっている。
この第一凹所2aには、接円半径が最小径となった際に、固定ピニオンスプロケット21の本体部21bが当接する。このとき、固定ピニオンスプロケット21の本体部21bは、回転軸1に食い込むように収容される。
第二凹所2bは、自転ピニオンスプロケット22,23の外周形状に応じた断面形状に形成されている。具体的に言えば、第二凹所2bは、円柱状の回転軸の外周面側から自転ピニオンスプロケット22,23の各歯の先端をつないで形成される円を底面又は上面とする円柱の一部を取り除いた形状に形成されている。
この第二凹所2bには、接円半径が最小径となった際に、自転ピニオンスプロケット22,23の先端がそれぞれ当接する。このとき、自転ピニオンスプロケット22,23は、回転軸1に食い込むように収容される。
このように、接円半径が最小径となった際には、第一凹所2aを規定する回転軸1に固定ピニオンスプロケット21が当接し、第二凹所2bを規定する回転軸1に自転ピニオンスプロケット22,23が当接する。
また、各凹所2a,2bとの相互間に位置する回転軸1の外周面1aには、接円半径が最小径となった際に、ガイドロッド29が当接する。
〔1−1−2.チェーン〕
次に、チェーン60について、図6を参照して説明する。
ガイドロッド29にガイドされるチェーン60は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン61,第二チェーン62及び第三チェーン63の三本が設けられている。
なお、図6には、チェーン61,62,63に所謂サイレントチェーンを用いたものを示すが、これに替えて、ローラチェーンやブッシュチェーンなどその他の形式のチェーンを用いてもよい。
これらのチェーン61,62,63は、互いにピッチをずらして設けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン61,62,63に噛合するピニオンスプロケット20の各歯車の位相もずらして設けられている。
なお、チェーン61,62,63は、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、無段変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン60が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
〔1−2.作用及び効果〕
本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
駆動機構30により固定ディスク群10に対する可動ディスク19の回転位相を変化させると、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bが稼働して、回転軸1の軸心C1に対するピニオンスプロケット20及びガイドロッド29の径方向位置が等距離を維持されながら同期して変更される。これにより、接円半径が変更される。この場合、ピニオンスプロケットが自転しなければ、チェーンに対するピニオンスプロケットの位相ズレが発生してしまうが、かかる位相ズレは、機械式自転駆動機構50による自転ピニオンスプロケット22,23の自転により解消される。
固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23にチェーン60が巻き掛けられている場合に、接円半径が拡径する際には、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間の最適なチェーン長が長くなり、機械式自転駆動機構50が設けられていなければチェーン長不足を招いてしまう。このとき、第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23が機械式自転駆動機構50により自転されることにより、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間にはチェーン長の不足分だけが送り込まれる。
一方、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23にチェーン60が巻き掛けられている場合に、接円半径が縮径する際には、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間の最適なチェーン長が短くなり、機械式自転駆動機構50が設けられていなければチェーン60の弛みを招いてしまう。このとき、第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23が機械式自転駆動機構50により自転されることにより、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間にはチェーン長の余り分(弛み分)だけが引き込まれる。
接円半径が拡縮径する際に自転する自転ピニオンスプロケット22,23は、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となっている。つまり、自転ピニオンスプロケット22,23は、接円半径の拡縮径による変速比の変更時に、チェーン60の過不足分を調整しながら動力伝達することができる。いわば、変速時の自転ピニオンスプロケット22,23は、チェーン60の過不足分に対応しながら踏ん張っている。
このように、機械式自転駆動機構50が、スプロケット移動機構40による複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン60に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40と連動して自転駆動するため、複数のピニオンスプロケット20の径方向移動時、即ち、変速比の変更時に、ピニオンスプロケット間のチェーン長が適切に調整されることにより、動力伝達しながら変速比を変更することができる。
詳細には、スプロケット移動機構40Aは、スプロケット支持軸21a,22a,23aと、スプロケット用固定放射状溝11aが形成された第一固定ディスク11と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、駆動装置30とを備え、また、機械式自転駆動機構50は、各自転用ピン22b,22c,23b,23cと、第一自転用放射状溝12aが形成された第二固定ディスク12と、第二自転用放射状溝13aが形成された第三固定ディスク13とを備え、自転用放射状溝12a,13aは、スプロケット支持軸21a,22a,23aの径方向移動に伴う自転ピニオンスプロケット21,22の自転を案内するため、変速時の自転ピニオンスプロケット22,23は、チェーン60の過不足分に対応しながら踏ん張ることができる。これにより、確実に動力伝達しながら円滑に変速比を変更することができる。さらに、本無段変速機構がエンジンを搭載した車両用の変速機に用いられる場合には、エンジンブレーキを効かせることができる。
特に、機械式自転駆動機構50は、スプロケット支持軸C3,C4に対して偏心した二種の自転用ピンとして第一自転用ピン22b,23bと第二自転用ピン22c,23cとを有し、これらの自転用ピン22b,22c,23b,23cに対応する二種の自転用放射状溝として第一自転用放射状溝12aと第二自転用放射状溝13aとを有するため、自転ピニオンスプロケット22,23を確実に自転させることができる。これにより、変速比の変更を確実にすることができ、動力伝達効率の向上に寄与する。
また、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内するため、固定ピニオンスプロケット21とこれに隣接される他のピニオンスプロケットである自転ピニオンスプロケット22,23との間のチェーン長の過不足を調整することができる。これにより、確実に動力伝達しながら変速比を変更させることができる。
複数のピニオンスプロケット20が等間隔に三個設けられているため、複数のピニオンスプロケット20が何れの回転位相に位置していても、チェーン60とピニオンスプロケット20の何れかとの動力伝達が途切れない。したがって、確実な動力伝達に寄与する。
回転軸1の外周に、複数のピニオンスプロケット20を収容しうる凹所2が形成されているため、凹所2に複数のピニオンスプロケット2が食い込むように収容されることにより、複数のピニオンスプロケット20の位置を更に回転軸1の軸心C1に近づけることができる。これにより、複数のピニオンスプロケット20により構成される接円半径の最小径を小さくすることができる。したがって、レシオカバレッジの拡大を図ることができる。
接円半径が最小径となった際に、複数のピニオンスプロケット20が回転軸1に当接するため、回転軸1の断面積が確保されることにより、回転軸1の剛性や強度を確保することができる。また、接円半径が最小径となった際には、回転軸1に大きな負担がかかるおそれがあるが、回転軸1の剛性や強度が確保されることで、無段変速機構の耐久性の確保や信頼性の向上に寄与する。
また、接円半径が最小径となった際に、複数のガイドロッド29が回転軸1の外周面1aに当接するため、ガイドロッド29の撓みやねじれなどの変形を抑制することができる。これにより、チェーン60と回転軸1の軸心C1との距離の変動が抑制されて、振動や騒音の低減に寄与する。また、回転軸1の断面積が確保されることよる回転軸1の強度等を確保することにも寄与しうる。
回転軸1の外周には、外周部に部分的に歯21cが突出形成された固定ピニオンスプロケット21の外周形状に応じた第一凹所2aと、外周部全周に歯が形成された自転ピニオンスプロケット22,23の外周形状に応じた各第二凹所2bとが形成されているため、第一凹所2aは第二凹所2bよりも小さい凹所といえる。このため、第一凹所2aに替えて第二凹所2bが形成されたものに比較して、回転軸1の断面積を確保することができる。
また、第一凹所2aに替えて第二凹所2bが形成されたものと同等の断面積を確保しながら接円半径の最小径を更に小さくすることができる。これにより、更なるレシオカバレッジの拡大を図ることができる。
チェーン61,62,63は、互いにピッチをずらして設けられているため、チェーン61,62,63とガイドロッド29との接触による騒音を分散させることにより、騒音を低減させることができる。
〔2.第二実施形態〕
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態では、上述の第一実施形態と同様に、入力側の複合スプロケット5に着目して説明する。第二実施形態では、接円半径が最小径になった際に、ガイドロッド290の一部が格納される点が上述の第一実施形態と異なる。以下の説明では、その異なる点を説明する。なお、ここでいう異なる点を除いては上述の第一実施形態の構成と同様の構成になっており、これらについては、同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
〔2−1.構成〕
図7に示すように、本実施形態の複合スプロケット5に備えられた複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20は、上述の第一実施形態のピニオンスプロケット20(その一部を破線で示す)に対して、歯のピッチが小さく、その外径(大きさ)が小さく形成され、何れも同形状に形成されている。この図7では、接円半径が、最小径のものを実線で示し、最大径のものを二点鎖線で示す。なお、ピニオンスプロケット20のうち自転しないピニオンスプロケットについては、外周部に部分的に歯が形成されていてもよい。
これらのピニオンスプロケット20の相互間には、それぞれ六本ずつのガイドロッド290(計十八本)が配置されている。
これらのガイドロッド290は、接円半径が最小径となった際に、外側に位置する複数(ここでは十二本)の第一ガイドロッド291(一箇所にのみ符号を付す)とこの内側に位置する複数(ここでは六本)の第二ガイドロッド292(一箇所にのみ符号を付す)とから構成されている。すなわち、第二ガイドロッド292は、接円半径が最小径となった際に、第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に収容(格納)される。
次に、図8を参照して、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド290を移動させるピニオンスプロケット移動機構40A,第一ガイドロッド移動機構40B,第二ガイドロッド移動機構40Cの前提構成である第一固定ディスク(固定ディスク)11及び可動ディスク19を説明する。
図8(a)に示すように、第一固定ディスク11には、スプロケット用固定放射状溝11aと第一ロッド用固定放射状溝11bと第二ロッド用固定放射状溝11c(何れも一箇所のみに符号を付す)が形成されている。
第一ロッド用固定放射状溝11bは、第一ガイドロッド291の本数(ここでは十二本)に対応した溝数が設けられ、第二ロッド用固定放射状溝11cは、第二ガイドロッド292の本数(ここでは六本)に対応した溝数が設けられている。
図8(b)に示すように、可動ディスク19には、スプロケット用可動放射状溝19aと第一ロッド用可動放射状溝19bと第二ロッド用可動放射状溝19c(何れも一箇所のみに符号を付す)が形成されている。
第一ロッド用可動放射状溝19bは第一ロッド用固定放射状溝11bに交差する。これらの放射状溝11b,19bの交差箇所には、第一ガイドロッド291のロッド支持軸(図示略)が位置される。また、第二ロッド用可動放射状溝19cは第二ロッド用固定放射状溝11cに交差する。これらの放射状溝11c,19cの交差箇所には、第二ガイドロッド291のロッド支持軸(図示略)が位置される。
第二ガイドロッド292にかかる放射状溝11c,19cは、第一ガイドロッド291にかかる放射状溝11b,19bよりも長溝である。これらの放射状溝11c,19cは、複合スプロケット5(図7参照)の外径が所定径(一点鎖線で示す)をなす位置よりも外側では、各ディスク11,19の半径方向に対する傾きが放射状溝11b,19bのそれと同様に形成され、また、かかる所定径の位置よりも内側では、各ディスクの半径方向に対する傾きが放射状溝11b,19bよりも小さく形成されている。かかる各放射状溝11b,11c,19b,19cの形状は、後述する各ガイドロッド291,292の移動軌跡に対応して設定されている。
次に、第一ロッド移動機構40B,第二ロッド移動機構40Cについて説明する。なお、ピニオンスプロケット移動機構40Aについては、移動対象となるピニオンスプロケット20が小型であり、その移動範囲が異なる点を除いては、上述の第一実施形態のピニオンスプロケット移動機構40Aと同様に構成されているため、ここでの説明は省略する。
ロッド移動機構40B,40Cは、それぞれの移動対象となるガイドロッド291,292を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に移動させるものである。
ただし、第二ロッド移動機構40Cは、接円半径が所定径未満では、第二ガイドロッド292を第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に移動させる点で異なる。さらに、接円半径が最小径になった際には、第二ロッド移動機構40Cは、第一ロッド移動機構40Bにより移動される第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に収容するように第二ガイドロッド292を移動させる。
なお、接円半径が所定径以上では、ロッド移動機構40B,40Cにより、ガイドロッド291,292の何れもが、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に移動される。
ここでいう所定径とは、複合スプロケット5の最小径よりも大きく最大径よりも小さい径であって、接円半径が所定径のときに、第一ガイドロッド291と第二ガイドロッド292とが干渉(接触)しないような接円半径に設定される。
第一ロッド移動機構40Bは、第一ガイドロッド291のロッド支持軸と、第一ロッド用固定放射状溝11bが形成された第一固定ディスク11と、第一ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、駆動装置(図示略)とを有している。また、第二ロッド移動機構40Cは、第二ガイドロッド292のロッド支持軸と、第二ロッド用固定放射状溝11cが形成された第一固定ディスク11と、第二ロッド用可動放射状溝19cが形成された可動ディスク19と、駆動装置とを備えている。
なお、ロッド移動機構40B,40Cのそれぞれに備えられる各駆動機構は、上述の第一実施形態の駆動装置30と同様の構成である。
次に、移動機構40A,40B,40Cによるピニオンスプロケット20及びガイドロッド291,292の移動を説明する。
可動ディスク19の回転位相が固定ディスク11に対して変更されると、固定ディスク11に形成された放射状溝11b,11cと可動ディスク19に形成された放射状溝19b,19cとの各交差箇所の径方向位置が変更される。各交差箇所のロッド支持軸に支持される各ガイドロッド291,292は、回転軸1の軸心C1からの距離が変更される。
接円半径が所定径以上であれば、第一ガイドロッド291及び第二ガイドロッド292の何れも、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。このとき、三個のピニオンスプロケット20,十二本の第一ガイドロッド291及び六本の第二ガイドロッド292は、各辺の長さが略等しい二十一角形を形成する。この二十一角形が複合スプロケット5を構成する。
一方、接円半径が所定径未満であれば、第一ガイドロッド291よりも第二ガイドロッド292が回転軸1の軸心C1側に移動される。このとき、三個のピニオンスプロケット20及び十二本の第一ガイドロッド291は、各辺の長さが略等しい十五角形を形成し、この十五角形が複合スプロケット5を構成する。
移動機構40A,40B,40Cの稼働により、接円半径が最小径になった際に、第二ガイドロッド292は回転軸1の外周面1aに当接し、第一ガイドロッド291は第二ガイドロッド292の外周面に当接する。
〔2−2.作用及び効果〕
第二実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、第一実施形態の無段変速機構にかかる作用及び効果に加えて、以下に示す作用及び効果を得ることができる。
第二ロッド移動機構40Cによれば、接円半径が所定径未満では、第二ガイドロッド292を第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に移動させ、接円半径が最小径となった際には、第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に第二ガイドロッド292を収容するため、接円半径の最小径を更に小さくすることができる。これにより、更なるレシオカバレッジの拡大を図ることができる。
仮に、ガイドロッドの何れもが回転軸1の軸心C1から等距離にあるとした場合、接円半径が所定径以下になったときに、隣接するガイドロッド(図7に破線で示す)が干渉してしまうため、それよりも接円半径を小さくすることができない。しかしながら、本実施形態の第二ロッド移動機構40Cによれば、接円半径が所定径未満のときに、第二ガイドロッド292が第一ガイドロッド291よりも回転軸1の軸心C1側に移動されるため、第一ガイドロッド291と第二ガイドロッド292との干渉を回避することができる。
接円半径が最小径となった際に、第二ガイドロッド292は回転軸1の外周面1aに当接し、第一ガイドロッド291は第二ガイドロッド292の外周面に当接するため、ガイドロッド291,292の撓みやねじれなどの変形を抑制することができる。これにより、チェーンと回転軸1の軸心C1との距離の変動が抑制されて、振動や騒音の低減に寄与する。また、断面積が確保されることよる回転軸1の強度等を確保することにも寄与しうる。
接円半径が所定径以上のときには、三個のピニオンスプロケット20,十二本の第一ガイドロッド291及び六本の第二ガイドロッド292は、各辺の長さが略等しい二十一角形を形成するため、複合スプロケット5が真円に近い多角形として構成されることにより、チェーンと回転軸1の軸心C1との距離の変動が抑制されて、振動や騒音の低減を図ることができる。
〔3.その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した第一実施形態及び第二実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、自転しない固定ピニオンスプロケット21と自転する自転ピニオンスプロケット22,23を示したが、ピニオンスプロケット21,22,23の何れもが自転可能に構成されていてもよい。この場合、少なくとも何れか隣接するピニオンスプロケット対の自転方向が互いに逆方向に設定される。
また、三個のピニオンスプロケット20を示したが、ピニオンスプロケット20の個数はこれに限らず、四つ以上であってもよいし、常時、何れかのピニオンスプロケット20がチェーン60に噛合うのであれば、その個数は二つでもよい。何れの場合も、隣り合うピニオンスプロケット20の少なくとも何れかは自転するピニオンスプロケット20として構成され、また、ピニオンスプロケット20の個数に応じた放射状溝11a,19aが設けられる。
また、自転ピニオンスプロケット21,22には、一側及び他側のそれぞれに二本の自転用ピン21a,21b,22a,22bが設けられたものを示したが、自転用ピン21a,21b,22a,22bが一側又は他側にだけ設けられていてもよく、さらに、第一自転用ピン21a,22a又は第二自転用ピン21b,22bだけが設けられていてもよい。この場合、自転用ピン21a,21b,22a,22bのうち設けられたものに対応して自転用放射状溝が設けられる。これによれば、簡素な構成とすることができる。
また、ヘリカルギヤ12Aは、第二固定ディスク12の外周部に限らず、少なくとも固定ディスク群10の何れかに設けられていればよい。この場合、ヘリカルギヤ12Aと噛合する駆動機構30のヘリカルギヤ33aの箇所が変更される。
また、自転用放射状溝12a,13aは、対応する固定ディスク12,13に設けられるものに限らず、第二固定ディスク12又は第三固定ディスク13にまとめて設けられていてもよい。この場合、簡素な構成とすることができる。
また、回転軸1に、ガイドロッド29,292を収容しうる凹所が追加形成されていてもよい。この場合、接円半径が最小径となった際に、ガイドロッド29,292が回転軸1に当接することが好ましい。この場合、回転軸1の断面積が更に確保されることにより、回転軸1の剛性や強度を向上させることができる。
一方、凹所2は、複数のピニオンスプロケット20のうち少なくとも一つに対応して少なくとも一箇所に形成されていればよい。また、接円半径が最小径となった際に、ピニオンスプロケット20の全部若しくは一部又はガイドロッド29,292の全部若しくは一部が回転軸1に当接しなくてもよい。さらに、第二ガイドロッド292の全部又は一部に第一ガイドロッド291が当接しなくてもよい。
また、固定ピニオンスプロケット21の自転を防止するピンとこれにかかるピン溝は省略してもよい。この場合、固定ピニオンスプロケット21は、その支持軸の一部を矩形状や長穴形状といった放射状溝を摺動しつつ回り止めの機能を有する形状にされることにより、自転が防止される。
1,C2,C3,C4 軸心
1 回転軸
1a 外周面
2 凹所
2a 第一凹所
2b 第二凹所
5 複合スプロケット
10 固定ディスク群
11 第一固定ディスク(固定ディスク)
11a スプロケット用固定放射状溝)
11b ロッド用固定放射状溝(第一ロッド用固定放射状溝)
11c 第二ロッド用固定放射状溝
12 第二固定ディスク(第一自転用ディスク)
12a 第一自転用放射状溝
12A ヘリカルギヤ
13 第三固定ディスク(第二自転用ディスク)
13a 第二自転用放射状溝
19 可動ディスク
19a スプロケット用可動放射状溝
19b ロッド用可動放射状溝(第一ロッド用可動放射状溝)
19c 第二ロッド用可動放射状溝
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
21a スプロケット支持軸
21c 歯
22第一自転ピニオンスプロケット
22a スプロケット支持軸
22b 第一自転用ピン
22c 第二自転用ピン
23 第二自転ピニオンスプロケット
23a スプロケット支持軸
29 ガイドロッド(第一ガイドロッド)
29a ロッド支持軸
290 ガイドロッド
291 第一ガイドロッド
292 第二ガイドロッド
30 駆動装置
31 モータ
32 フォーク
32A 運動変換機構
33 入力部材
33a ヘリカルギヤ
33b フォーク溝
34 出力部材
34a 回転駆動歯
34A 回転駆動機構
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構(第一ロッド移動機構)
40C 第二ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
60 チェーン

Claims (10)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、
    前記回転軸に、前記ピニオンスプロケットを収容しうる凹所が形成されている
    ことを特徴とする、無段変速機構。
  2. 前記ピニオンスプロケットは、前記接円半径が最小径となった際に、前記回転軸に当接する
    ことを特徴とする、請求項1記載の無段変速機構。
  3. 前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第一ガイドロッドと、
    複数の前記第一ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる第一ロッド移動機構と、を備え、
    前記複数の第一ガイドロッドは、前記接円半径が最小径となった際に、前記回転軸の外周面に当接する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の無段変速機構。
  4. 前記スプロケット移動機構は、
    前記ピニオンスプロケットの回転中心と同心に設けられたスプロケット支持軸と、
    前記スプロケット支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記スプロケット支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記交差箇所を径方向に移動させる駆動装置と、を有し、
    前記第一ロッド移動機構は、
    前記第一ガイドロッドの回転中心と同心に設けられた第一ロッド支持軸と、
    前記第一ロッド支持軸が内挿される第一ロッド用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する前記固定ディスクと、
    前記第一ロッド用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記第一ロッド支持軸が位置する第一ロッド用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な前記可動ディスクと、
    前記駆動装置と、を有する
    ことを特徴とする、請求項3記載の無段変速機構。
  5. 前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第一ガイドロッドと、
    複数の前記第一ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる第一ロッド移動機構と、を備え、
    前記複数のピニオンスプロケットの相互間にそれぞれ配置され、前記回転軸に対して径方向に可動に支持され前記チェーンをガイドする第二ガイドロッドと、
    前記接円半径が所定径以上では、複数の前記第二ガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させ、前記接円半径が前記所定径未満では、前記第二ガイドロッドを前記第一ガイドロッドよりも前記回転軸の軸心側に移動させる第二ロッド移動機構と、を更に備えた
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の無段変速機構。
  6. 前記接円半径が最小径となった際に、前記第二ガイドロッドは前記回転軸の外周面に当接する
    ことを特徴とする、請求項5記載の無段変速機構。
  7. 前記接円半径が最小径となった際に、前記第一ガイドロッドは前記第二ガイドロッドの外周面に当接する
    ことを特徴とする、請求項5又は6記載の無段変速機構。
  8. 前記スプロケット移動機構は、
    前記ピニオンスプロケットの回転中心と同心に設けられたスプロケット支持軸と、
    前記スプロケット支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記スプロケット支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記交差箇所を径方向に移動させる駆動装置と、を有し、
    前記第一ロッド移動機構は、
    前記第一ガイドロッドの回転中心と同心に設けられた第一ロッド支持軸と、
    前記第一ロッド支持軸が内挿される第一ロッド用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する前記固定ディスクと、
    前記第一ロッド用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記第一ロッド支持軸が位置する第一ロッド用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な前記可動ディスクと、
    前記駆動装置と、を有し、
    前記第二ロッド移動機構は、
    前記第二ガイドロッドの回転中心と同心に設けられた第二ロッド支持軸と、
    前記第二ロッド支持軸が内挿される第二ロッド用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する前記固定ディスクと、
    前記第二ロッド用固定放射状溝と交差しその交差箇所に前記第二ロッド支持軸が位置する第二ロッド用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な前記可動ディスクと、
    前記駆動装置と、を有する
    ことを特徴とする、請求項5〜7の何れか1項に記載の無段変速機構。
  9. 前記複数のピニオンスプロケットは、前記チェーンに噛み合い可能な外周部に部分的に歯が突出形成されて自転しない一つの固定ピニオンスプロケットと、外周部全周に歯が突出形成されて自転可能なその他の自転ピニオンスプロケットとを有し、
    前記凹所は、前記固定ピニオンスプロケットの外周形状に応じた第一凹所と、前記自転ピニオンスプロケットの外周形状に応じた第二凹所とを有している
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の無段変速機構。
  10. 前記ピニオンスプロケットは、等間隔に三個装備され、
    前記第一ガイドロッドは、隣接する前記ピニオンスプロケットの相互間に少なくとも三本ずつ装備され、
    前記第二ガイドロッドは、隣接する前記第一ガイドロッドの相互間に、直接隣接することなく装備され、
    前記ピニオンスプロケット,前記第一ガイドロッド及び前記第二ガイドロッドは、前記接円半径が所定径以上では、各辺の長さが略等しい多角形を形成する
    ことを特徴とする、請求項5〜9の何れか1項に記載の無段変速機構。
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