JP2015174212A - 締付チャック - Google Patents

Abstract

【課題】薄壁のワーク2を締め付け固定する締付チャックにおいて、ワーク2を一度締め付け固定したままで、ワーク2の両面に加工を施すことができるものを提供する。【解決手段】締付チャックは、水平のチャック軸まわりに半回転可能で垂直方向から見て略U字状のチャック駆幹体3と、２つの締付あご5と、開口9を有するワーク載せ6と、半円盤状のワーク支え10とからなる。ワーク支え10は、チャック軸に垂直の水平軸まわりに半回転可能であり、回転方向の先端に突き当て面16を有する。板状のワーク2は、ワーク支え10の突き当て面16と、このまわりのワーク載せ6と、締付あご5とにより保持され、チャック駆幹体3及びワーク支え10を半回転させて裏返しても締付固定が保たれる。ワーク支え10の回転駆動は、受け支え4の根元の調整ピストン22により行われる。ワーク支え10には、面突き当てのための釣り合わせ部材11が備えられる。【選択図】図１

Description

本発明は、薄壁のワークをつかんで締め付けるための締付チャックに関する。

この締付チャックには、チャック駆幹体と、このチャック駆幹体に備え付けられるワーク載せ部と、チャック駆幹体に取り付けられてワーク載せ部に対して位置・姿勢（位置及び姿勢の少なくとも一方）をシフト可能な少なくとも２つの締付あごとが備えられる。このような締付チャックは、実際に用いられることにより公知となっている。本件出願人は、「ＫＰＦ−ＭＴ」の名称で、動力作動式のフェースクランプチャックを供給している。これは、薄壁のワーク、すなわち、板状の半加工品をつかんで締め付けてから加工を行うのに用いられる。通常、板状の半加工品には、両面の側から加工を施す必要がある。そのため、ワークを裏返す必要がある。この裏返しのためには、板状の半加工品に、貫通孔が設けられる。この貫通孔に差し込まれるようにピンが備えつけられる。このピンは、充分な精度を確実に実現すべく、わずかに締めしろを有する。そのため、つかみ装置を用いた装填は不可能となっており、自動化が不可能である。また、特に不利であると考えられることには、加工の精度が失われる。

特開平09-239607 特開2014-100776

そこで、本発明の課題は、導入部で述べたような締付チャックについて、薄壁のワークを、締付固定した状態で、両面の側から、余すところなく加工することができるように構成することにある。

この課題は、本発明によると、導入部で述べたような締付チャックにおいて、以下のようであることにより解決される。チャック駆幹体は、ワークの上面の加工に役立つ第1の回転の位置・姿勢と、ワークの下面の加工に役立つ第2の回転の位置・姿勢との間でシフト可能である。ワーク載せ部には、ワークの下面へのアクセス部としての開口が備えられている。ワーク支えが備えられ、このワーク支えは、第1の回転の位置・姿勢にあるワークの下面（第１の面）を支える第1の位置・姿勢と、第2の回転の位置・姿勢にあるワークの上面（第２の面、すなわち第１の面の裏側の面）を支える第2の位置・姿勢との間でシフト可能である。ワーク支えの軸に少なくとも１つのピニオンが配置されており、このピニオンは、少なくとも以下による回転駆動を実現するのに役立つものである。すなわち、チャック駆幹体に備え付けられたシリンダー室と、このシリンダー室内にて圧力媒体によって位置シフト可能な、歯列を備えた調整ピストンとからなる回転駆動を実現するのに役立つものである。また、ここでの回転駆動は、ワーク支えの位置・姿勢を、第1の位置・姿勢と、第2の位置・姿勢との間でシフトさせるためのものである。

本発明によると、以下のことが確実に実現される。ワークの両面にアクセス可能、すなわち、ワークの両面を順次露出させることができるばかりでなく、ワークの両面に工具をあてがうことができる。というのは、締付チャックのチャック駆幹体を回転させることにより、ワークの一方の面と他方の面とを、順次、工具の側へ向けることができるからである。したがって、ワークの両面についての加工を、一度の締め付け固定により行うことができ、この結果、締め付け固定を繰り返す必要がないので、精度のロスを確実に防止することができる。また、この実施態様は、加工の際に薄壁のワークが撓（たわ）んで曲がるのを防止することができる。というのは、工具からワークに作用する力は、ワークを変形するように作用せず、ワークに逆側の面からあてがわれたワーク支えへと伝わるからである。締付チャックは、工具を駆動する機械スピンドルに対し垂直に配置されている。このことから、ワークの方向付けは、公知のチャックよりも、変動せずに保たれる。

本発明による締付チャックについて、チャック駆幹体が第１の回転位置（締付あごが、ワーク載せの上方に来る回転位置）にあり、ワーク支えが第１の位置・姿勢にある場合を示す斜視図である。 図１の締付チャックについて、図１の状態から、チャック駆幹体のみを第２の回転位置（締付あごが、ワーク載せの下方にくる回転位置）にまで中心軸まわりに１８０°回転させた場合を示す、同様の斜視図である。ここでは、ワーク支えが上面側に現れている。 図１の締付チャックについて、図２に表された回転の位置・姿勢にて示す正面図である。 図１の締付チャックについて、図２〜３に示す状態から、ワーク支えのみを第２の位置・姿勢にまで１８０°回転させた場合を示す、図３と同様の正面図である。 図３のV−Vによる断面図である。ワーク支えは、図１と同様、第１の位置・姿勢にある。 図４のVI−VIによる断面図である。ワーク支えは、図４と同様、第２の位置・姿勢にある。 図３のVII−VIIによる断面図である。 図４のVIII−VIIIによる断面図である。 図３に対応する図である。 図９のX−Xによる断面図である。 図９のXI−XIによる断面図である。 他の実施例の締付チャックについての、図１に対応する斜視図である。 図１２の締付チャックについて、チャック駆幹体及びワーク支えを同時に１８０°回転させていく様子を示す斜視図である。 図１２の締付チャックについて、チャック駆幹体及びワーク支えの回転が完了し、第２の回転位置及び第２の位置・姿勢にある場合を示す同様の斜視図である。

構造をシンプルにし、必要なスペースを小さくする観点から、次の(1)〜(2)のようであるならば好ましい。(1)締付チャックは、その長手方向軸のまわりの回転により、第１の回転位置と第２の回転位置との間にて、回転可能である。(2)また、ワーク支えの位置・姿勢のシフトは、次のような軸のまわりに行なわれることが想定されている。すなわち、チャック駆幹体の長手方向軸に対し垂直であって、ワーク載せによって定義される面に対し平行である軸のまわりに行われることが想定されている。このようであると、チャック駆幹体とワーク支えとは互いに垂直な軸のまわりに回転させられる。

好ましい実施形態において、チャック駆幹体は、ワークに垂直の方向（図面における垂直方向）から見て略U字状であり、ワークに水平の方向（図面における水平方向）に延びる中心軸まわりに１８０°回転させることにより、第１の回転位置と、第２の回転位置との間で相互に切替可能である。チャック駆幹体がなす略U字状の先端部の間に、ワークが水平に保持されるのであり、そのため、この保持箇所へと、ワーク載せ、及び、締付あごが、チャック駆幹体への取り付け部から延びている。また、チャック駆幹体がなす略U字状の谷底付近を通ってワーク支えが回転を行う。好ましい実施形態において、ワーク支えは、短円柱を、中心軸付近を通るように２分割した形の半円盤状であり、この短円柱の中心軸付近の旋回軸のまわりを回転可能であり、この旋回軸は、チャック駆幹体の中心軸に対して垂直である水平の旋回軸である。特には、この旋回軸まわりに１８０°回転させることにより、上記のような、第１の位置・姿勢と、第２の位置・姿勢との間で相互に切替可能である。なお、好ましい実施形態において、ワーク支えには、旋回軸の部分が、短円柱を２分割した分割面から膨出する形の膨出部として設けられる。また、ワークを支える突き当て面が、この分割面における、旋回軸の両側に、それぞれ形成される。

好ましい実施形態において、ワークは、加工を行う領域の外側の部分が、ワーク載せと、締付あごとの間に挟み込まれて締付保持される。そして、上記のようにチャック駆幹体及びワーク支えを１８０°回転させた場合も、締付保持の状態はそのまま維持される。このとき、加工を行う側、すなわち工具をあてがう側から見て逆側では、ワークにおける加工を行う領域に、ワーク支えの突き当て面が突き当てられて、ワークが撓まないようにする支持が行われる。好ましい実施形態において、加工対象のワークは、薄い板状、特には平板状である。ワークは、矩形状であっても円板状であっても良い。また、加工領域は円形状でも矩形状でも良く、加工領域の形状や寸法に合わせて、ワーク載せ及び締付あごについて、加工領域を開放するように設けることができる。

また、本発明の枠内において、次のことが想定されている。すなわち、ワーク支えには、２つの釣り合わせ部材が備えられる。これらの釣り合わせ部材は、ワーク支えがワークを支持する際、互いに平行な面同士の突き当てによる支持（面平行の支持）が行われるようにするためのものである。このようであると、確実に次のようになる。すなわち、ワーク支えは、ワークに常に面同士の突き当てを行うのであり、ワークの厚みによる制約や影響を受けることなしに突き当てを行う。釣り合わせ部材は、噛み合う深さの浅いボールジョイント状の構造により容易に実現できる。すなわち、球面または湾曲面同士が組み合わされるようにして設けることができる。

次のようであっても好ましいことが知られた。すなわち、ワーク支えには、半月状に突き出す旋回軸状支持部と、釣り合わせ部材を受け入れる受入部とが備えられる。この受入部は、旋回軸状支持部に隣り合う位置、すなわち旋回軸状支持部の両側に備えられる。ここで、釣り合わせ部材は、受入部に受け入れられたままで、傾斜したり、揺れ動くことが可能に支持される。以上のようであっても好ましいことが知られた。一方、釣り合わせ部材に対するワークの突き当ては、次のようであれば、より良好となる。すなわち、負圧源に接続可能な管路が、ワーク支え中に備えられ、ワーク支えを貫いて、釣り合わせ部材におけるワークの側の面の開口部にまで延びて開口しているのであれば、より良好となる。管路は、特には、ドリリングやインサート成形などにより設けることができる。

次のようであっても好ましい。すなわち、ワーク支え部材には、ワーク載せの開口に嵌め込まれるか、差し込まれる突き出し部と、これがなす突き当て面とが備えられ、締付あご及びワーク載せには、釣り合わせ部材の突き当て支持部に対応するカウンター・突き当て支持部が備えられるというのであっても好ましい。突き当て支持部と、カウンター・突き当て支持部とは、特には、直接または間接的に互いに突き当てられる。このようであると、次のことが確実となっている。すなわち、ワークの締め付け固定は、ワーク支えによって妨げられず、定常状態におけるワーク支えの位置・姿勢は、締付あごまたはワーク載せによって規定されるということが保証されている。

上記のようにワーク支えを調整ピストンにより回転駆動可能となっていることにより、ワーク支えの位置・姿勢のシフトは、非常に省スペースな具合であって、エネルギーについて効率的な具合に行うことが可能である。上記の回転駆動方式との組み合わせで、調整ピストンが、ストロークの両端または一端へと緩やかに近づいて行くようにするための緩衝機構が備え付けられていても好ましい。緩衝機構は、コイルバネ、板バネなどによって設けることができる。

本発明の枠内において、次のようであると好ましい。すなわち、チャック駆幹体に、２つのＵ字状の受け支えが設けられ、これら受け支えの根元部内に、シリンダー室が設けられ、このシリンダー室中に調整ピストンが備え付けられ、受け支えの自由端同士の間に締付あごが配置されているのであれば好ましい。チャック駆幹体が受け支えを備えることにより、根元部内に、シリンダー室を調整ピストンとともに配置するスペースが与えられている。また、受け支えの先端側の部分は、締付あごを配置するのに用いられる。締付あごは、ワーク載せの面に対し垂直に位置・姿勢をシフト可能なクランプフィンガーとして構成されている。クランプフィンガーは、例えば、Ｕ字状の受け支えの線状自由端部の間に掛け渡される軸部と、この軸部の一部から、軸部に対しほぼ垂直（通常の状態で水平）に延びる締付ツメとからなり、締付ツメの自由端部が、ワーク載せの面に対し垂直に位置・姿勢をシフトすることにより、ワークに対する締付を行う。また、適宜、軸部の中心軸まわりに回転することにより締付ツメをワーク保持箇所から退避させて、ワークの受け渡しを円滑に行うようにすることもできる。締付あごの駆動、受け支えの回転駆動、及び、チャック駆幹体の回転駆動は、好ましい例において、空気圧シリンダーにより行うことができる。しかし、適宜、液圧シリンダーやサーボモータなどにより行うのであっても良い。

以下に本発明を、図面に示した実施例を用いて詳しく説明する。

図１に締付チャック１が示されている。この締付チャック１は、薄壁のワーク１を締め付け固定するために用い、すなわち図面に図示した実施形態の場合、薄壁の板状半加工品をつかんで締め付けるのに用いられる。締付チャック１には、チャック駆幹体３が備えられ、このチャック駆幹体３には、２つのＵ字状の受け支え４が備えられている。これらの受け支え４の自由端の間には、複数の締付あご５が配置されている。これら締付あご５は、ワーク２を締め付け固定するのに用いるものである。チャック駆幹体３には、ワーク載せ６が備え付けられている。図示した実施形態においては、Ｕ字状の受け支え４の自由端の間に、ワーク載せ６が備え付けられている。締付あご５は、ワーク載せ６の面に対し垂直に位置・姿勢をシフト可能な、先端押さえ式（先端で押さえ付ける方式）の押さえツメないしクランプ・フィンガーとして構成されている。なお、ここでの締付あご５は、受け支え４の先端部間に保持される、ワーク２に対して垂直の軸部５Ａのまわりに、回転可能となっている。また、図示の具体例において、ワーク２は、矩形の平板であり、加工領域２５は円形状である。締付あご５の先端は、この加工領域２５の縁から一定の間隔をなす円弧状である。なお、図７〜８に示す具体例において、締付あご５の軸部５Ａは、シリンダー室５Ｂ内で駆動されるピストンをなしており、例えば、空気圧により締付駆動及び圧締が行われる。

チャック駆幹体３は、ワーク１の上面７の加工に用いる第１の回転位置と、ワークの下面８の加工に用いる第２の回転位置との間で位置・姿勢をシフト可能である。これら２つの回転位置にて、工具をワーク１にあてがうのを可能にすべく、ワーク載せ６には、ワーク１における、ワーク載せ６の側の面へのアクセス部としての開口９が備えられる。なお、図示の具体例においては、図６に示されるように、ワーク載せ６の開口９は、加工領域２５より一回り大きい円形であり、平面図において、開口９の縁は、ほぼ、締付あご５の先端の縁に一致する。

チャック駆幹体３にはワーク支え１０が備えられる。このワーク支え１０は、第１の回転位置にあるワーク１について、下面８から支持するのに役立つ第１の位置・姿勢（図１〜３及び図５）と、第２の回転位置にあるワーク１について、上面７から支持するのに役立つ第２の位置・姿勢（図４及び図６）との間で、シフト可能である。

チャック駆幹体３は、その長手方向軸まわりの回転により、第１の回転位置と、第２の回転位置との間にて、回転可能である。ワーク支え１０の位置・姿勢のシフトは、チャック駆幹体３の長手方向軸に対し垂直で、かつ、ワーク載せ６によって定義される平面に対し平行な軸まわりに行われる。図１及び図２から、チャック駆幹体３の位置・姿勢のシフトについて知られる。ワーク１の加工のためには、図２の状態からさらに、ワーク支え１０を、第２の位置・姿勢へと回転しなければならない。図７及び図８を参照して説明すると、Ｕ字状の各受け支え４における根元部１９中に、それぞれシリンダー室２０が形成されている。これらのシリンダー室２０内には、歯列２１を有する調整ピストン２２が、圧力媒体により位置・姿勢をシフト可能に配置されている。調整ピストン２２の歯列２１は、ワーク支え１０の中心軸に配置されているピニオン２３と、回転連結を実現させるべく、組み合わさって作動を行う。調整ピストン２２には、終端位置へとマイルドに近づいていくようにすべく、緩衝機構２４が備え付けられている。緩衝機構２４は、例えば、シリンダー室２０の一方の端面に固定されたコイルバネにより形成されている。このコイルバネの先端には、調整ピストン２２のストロークの両端で、調整ピストン２２内の端面や段部などに突き当てられるか引っ掛けられるようにするための、円筒状などの部材を取り付けることができる。

図５は、締付チャック１の中心軸に沿った断面図（縦断面図）であり、チャック駆幹体３が第１の回転位置にあり、ワーク支え１０が第２の位置・姿勢にある場合を示す。図５から知られるように、ワーク支え１０には、２つの釣り合わせ部材１１が備えられている。これらの釣り合わせ部材１１は、平行な面同士によるワーク支え１０との突き当てを実現し、これにより、ワーク２を、効果的に突き当て面全体で支持することができるようにするものである。図５には、ワーク支え１０に、旋回軸状支持部１２が備えられることも示す。この旋回軸状支持部１２は、前後方向及び垂直方向に沿った断面にて半月状ないしＵ字状に突き出す。すなわち、図１中に示されるように半円柱状ないし断面Ｕ字の柱状であり、図１１に示すように、左右の端部にて、旋回可能に支持されている。図示の具体例では、受け支え４がなすU字状の谷底部に配置された支持部から支持されている。一方、図５に示されるように、ワーク支え１０には、旋回軸状支持部１２を挟むように、２つの釣り合わせ部材１１が備えられ、各釣り合わせ部材１１がソケット状の受入部１３内にて、傾斜または揺れ動きが可能に支持されている。なお、図示の例で、受入部１３は、ワーク支え１０の本体部と別体に形成されて、この本体部に装着されている。

また、図９を、図１０と組み合わせて見た場合に知られるように、複数の管路１４が、ワーク支え１０の本体と釣り合わせ部材１１とを貫通してワーク１側の開口へと延びている。これらの管路１４は、減圧ポンプなどからなる負圧源に接続可能である。このようにして、釣り合わせ部材１１へのワーク１の突き当てがさらに円滑に行われるようにすることができる。これらの管路１４でもって、ワーク２が突き当てられているかどうかについて、また、ワーク２が正確に突き当てられているかどうかについて、チェックまたは監視を行うこともでき、このようにして、駆動制御の際のパラメーターとして考慮に入れることができる。図５から知られるように、ワーク支え１０には、ワーク載せ６の開口９に、遊びをもって嵌り込む台地状の突き出し部により形成された平坦な突き当て面１６が備えられている。この突き当て面１６の突き出し寸法は、ワーク載せ６における開口９の周囲の厚み、及び、締付あご５の先端部の厚みに等しい。この突き当て面１６は、開口９とほぼ同様の寸法及び形状を有するが、適当な遊びをなすように、開口９よりも少し寸法が小さい。また、ワーク支え１０の突き当て面１６と、ワーク載せ６の上面（ワーク側の面）または締付あご５の先端部の上面とが、ワーク２を載せる側にて、面一（つらいち）をなす。すなわち、ワーク２を、工具とは逆の側から支持するにあたり、一つの平面からなる載せ置き面をなす。

図５に示すように、締付あご５及びワーク載せ６には、カウンター・突き当て支持部１７が設けられている。このカウンター・突き当て支持部１７は、釣り合わせ部材１１に配置されている突き当て支持部１８により、ワーク２に過大な力が伝達されるのを確実に防止するためのものである。図示の例で、釣り合わせ部材１１は、概略、丸いネジ頭状であり、平坦な頂部と、これを囲む球面形状部と、この下方への突き出し部とからなり、球面形状部と突き出し部との間の段部により、突き当て支持部１８が形成されている。そして、カウンター・突き当て支持部１７は、ワーク載せ６における開口９を囲む部分、及び、締付あご５の先端部により形成されている。

次に、薄壁のワーク１についての、すなわち板状半加工品についての、締め付け固定及び加工について簡単に説明する。締め付け固定及び加工を行うべく、板状半加工品をワーク載せ６上にて位置決めし、クランプフィンガーとして形成された締付あご５によって締め付ける。この際、この後の工程でワーク１の加工を行うために、締め付け固定を確実に行っておく。次いで、ワーク支え１０の位置・姿勢を、ワーク１の下面８がワーク支え１０により支持される第１の位置・姿勢（図１の状態）へとシフトさせる。ここでのワーク支え１０による支持は、具体的には、釣り合わせ部材１１の突き当て面１６によって行われる。ここで、管路１４がワーク２に対して負圧を作用させて吸着を行うので、平行面間での支持がさらに円滑に行われる。

上記の状態にてワーク１に加工を施した後、チャック駆幹体３を、第１の回転位置から第２の回転位置へと回転させる。また、これと同時に、または、これと前後して、ワーク支え１０を、第１の位置・姿勢（図３の状態）から第２の位置・姿勢（図４の状態）へとシフトさせる。第２の位置・姿勢にてワーク支え１０をワーク１に突き当てた後、再び負圧を発生させる。このようにして、釣り合わせ部材１１にワーク１を正確に突き当てるということを、管理・制御された状態で確実に実現することができる。以上のようである結果、ワーク１が既に締め付け固定された状態となっているので、この状態で、第２の面についても加工を施すことができる。

次に、別の実施形態の締付チャック１'について、図１２〜１４に基づき簡単に説明する。本実施形態においては、左右の受け支え４がいずれも分岐のないブロック状であり、左右の締付あご５は、チャック駆幹体３の根元部から支持されている。そして、特には図１３から知られるように、チャック駆幹体３の回転と、ワーク支え１０の回転とが同時に行われる。この回転の前である図１２の配置状態では、ワーク２を締付チャックにセットした際と同様、ワーク２が、ワーク載せ６の上に載せられており、ワーク２の左右の周縁部が、締付あご５により上方から押さえ付けられて固定されている。一方、回転の後である図１４の配置状態であると、ワーク２の周縁部には、上方からワーク載せ６が突き当てられ、下方から締付あご５が突き当てられて、これらの間で締め付けられて固定されている。なお、図示の例で、ワーク２は円板状であり、図１４に示されるように、ワーク載せ６の開口９は、ワーク２より一回り小さい円板状である。図１２〜１４に示される態様であると、ワーク２は、周縁に沿った狭小な領域を除き、全て、両面から加工を施すことができる。

１…締付チャック； ２…ワーク； ３…チャック駆幹体；
４…Ｕ字状の受け支え； ５…締付あご； ５Ａ…締付あごの軸部；
５Ｂ…締付あご用のシリンダー室； ６…ワーク載せ；
７…上面； ８…下面； ９…開口； １０…ワーク支え；
１１…釣り合わせ部材； １２…旋回軸状支持部； １３…受入部
１４…管路； １６…突き当て面； １７…カウンター・突き当て支持部；
１８…突き当て支持部； １９…根元部； ２０…シリンダー室；
２１ 歯列； ２２…調整ピストン； ２３…ピニオン；
２４…緩衝機構； ２５…加工領域

Claims (9)

1. チャック駆幹体（３）と、このチャック駆幹体（３）に備え付けられているワーク載せ（６）と、チャック駆幹体（３）で支持され、ワーク載せ（６）に対し相対的に位置・姿勢をシフト可能な少なくとも２つの締付あご（５）とからなる、薄壁のワーク（２）を締め付け固定するための締付チャック（１）において、
   チャック駆幹体（３）は、ワーク（２）の上面（７）を加工するのに役立つ第１の回転位置と、ワーク（２）の下面（８）を加工するのに役立つ第２の回転位置との間で位置・姿勢をシフト可能であり、
   ワーク載せ（６）には、ワーク（２）の下面（８）へのアクセス部としての開口（９）が備えられ、
   締付チャックは、第１の回転位置にてワーク（２）の下面（８）を支持するのに役立つ第１の位置・姿勢と、第２の回転位置にてワーク（２）の上面（７）を支持するのに役立つ第２の位置・姿勢との間でシフト可能なワーク支え（１０）をさらに備え、
   ワーク支え（１０）の旋回軸には、少なくとも１つのピニオン（２３）が備えられており、チャック駆幹体（３）中には、シリンダー室（２０）が備えられ、このシリンダー室（２０）中には、歯列（２１）を有する調整ピストン（２２）が、圧力媒体によって位置シフト可能に備え付けられており、ピニオン（２３）が調整ピストン（２２）の歯列（２１）に噛み合うことにより、ワーク支え（１０）を調整ピストン（２２）により回転駆動可能となっていることを特徴とするチャック。
2. チャック駆幹体（３）は、その長手方向軸まわりの回転によって、前記第１の回転位置と前記第２の回転位置との間にて、回転可能であり、
   ワーク支え（１０）の旋回軸は、チャック駆幹体（３）の長手方向軸に垂直であって、ワーク載せ（６）に沿った平面に平行であり、ワーク支え（１０）の位置・姿勢のシフトは、この旋回軸まわりに行なわれることを特徴とする請求項１に記載の締付チャック。
3. ワーク支え（１０）には、ワーク（２）について、平行な面同士での突き当てによる支持を行わせるための、２つの釣り合わせ部材（１１）が備えられることを特徴とする請求項２に記載の締付チャック。
4. ワーク支え（１０）には、前記旋回軸に垂直の断面にて半月状またはＵ字状に突き出した形状の、横梁状支持部としての旋回軸部（１２）と、２つの釣り合わせ部材（１１）をそれぞれ受け入れる受入部（１３）が備えられ、各釣り合わせ部材（１１）は、受入部（１３）内で傾きまたは揺れ動きが可能に支持されていることを特徴とする請求項３に記載の締付チャック。
5. ワーク支え（１０）には、この内部を貫くように、負圧源に接続可能な管路（１４）が設けられ、この管路は、釣り合わせ部材（１１）におけるワーク（２）の側の面にまで延びて開口部をなしていることを特徴とする請求項３または４に記載の締付チャック。
6. ワーク支え（１０）には、ワーク載せ（６）の開口（９）に差し込まれる突き出し部と、これがなす突き当て面（１６）とが備えられ、釣り合わせ部材（１１）には突き当て支持部（１８）が設けられ、締付あご（５）及びワーク載せ（６）には、突き当て支持部（１８）に対応するカウンター・突き当て支持部（１７）が設けられていることを特徴とする請求項３〜５のいずれかに記載の締付チャック。
7. 調整ピストン（２２）には、ピストン運動の終端位置へと緩やかに近づいていくようにするための緩衝機構（２４）が備え付けられていることを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の締付チャック。
8. チャック駆幹体（３）には、２つのＵ字状の受け支え（４）が設けられ、これらＵ字状の受け支え（４）の根元部（１９）には、それぞれシリンダー室（２０）が設けられ、各シリンダー室（２０）中には調整ピストン（２２）が備え付けられ、Ｕ字状の受け支え（４）における自由端同士の間には、締付あご（５）が設けられていることを特徴とする請求項１〜７のいずれかに記載の締付チャック。
9. 締付あご（５）が、ワーク載せ（６）の面に対し垂直に位置・姿勢をシフト可能なクランプ・フィンガーとして構成されていることを特徴とする請求項１〜８のいずれかに記載の締付チャック。