JP2015171312A - 電圧変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧変換装置及び負荷の状態に応じて適切なフィードバックゲインを選択し、システム電圧の変動を抑制する電圧変換装置を提供する。
【解決手段】バッテリの直流電圧を昇圧して負荷(インバータ、交流電動機)へ出力する電圧変換装置の制御部50において、フィードバック演算部20は、指令電圧Vcomとシステム電圧Vsysとの偏差に基づき、デューティ指令値dutyのフィードバック項dfbを演算する。ゲイン選択部25は、負荷変動周波数f、指令電圧Vcom、バッテリ電流Ib、負荷電流Im、デューティ指令値dutyの5つのパラメータのうちいずれか2つ以上の特定パラメータに基づいて、「システム電圧Vsysの変動量を示す評価関数」を最小とするようにフィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を選択する。1つのパラメータに基づいてゲインを変化させる従来技術に比べ、より適切なゲインを選択することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、バッテリからの入力電圧を負荷へ出力するシステム電圧に変換する電圧変換装置に関する。
従来、リアクトルに流れる電流をスイッチングすることでバッテリの直流電圧を変換し、交流電動機を駆動するインバータ等の負荷へ出力する電圧変換装置が知られている。
一般にこの種の電圧変換装置では、負荷へ出力されるシステム電圧を指令電圧(目標電圧)に一致させるように、フィードバック制御によって、スイッチング周期に対するオン時間比率であるデューティ指令値が演算される。
しかし、PI制御によって電圧変換装置をフィードバック制御する場合、使用電圧の全範囲に対して同一の制御ゲインを用いると、電圧変換装置及び負荷の状態に応じて制御性が異なるため、負荷に出力されるシステム電圧が変動するおそれがある。
そこで、例えば特許文献1の電圧変換装置では、指令電圧に応じてフィードバックゲイン(PI制御ゲイン)を変化させる。また、特許文献2のモータ駆動システムでは交流電動機のパワー変動周波数に応じて、特許文献3の電圧変換装置では指令電圧と出力電圧との電圧偏差に応じて、フィードバックゲインを変化させている。
特許第5206489号公報 特開2010−124662号公報 特許第3969165号公報
特許文献1〜3の従来技術は、いずれも、PI制御に用いるフィードバックゲインを、「1つのパラメータ」に基づいて決定するものである。本出願人の研究によると、モータジェネレータを駆動するインバータを負荷とする電圧変換装置において従来技術を適用したとき、例えばモータジェネレータが力行動作時と回生動作時とでは、「1つのパラメータ」として採用される指令電圧又は回転数が同等であっても、電圧変動の発生の有無が異なることが判明した。したがって、従来技術を用いて、1つのパラメータに基づいて好ましいフィードバックゲインを決定したとしても、電圧変換装置及び負荷のあらゆる状態に応じてシステム電圧の変動を好適に低減するためには不十分である。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電圧変換装置及び負荷の状態に応じて適切なフィードバックゲインを選択し、システム電圧の変動を抑制する電圧変換装置を提供することにある。
本発明の電圧変換装置は、直流電源であるバッテリと負荷との間に設けられ、電気エネルギーを蓄積及び放出可能なリアクトルと、交互にオンオフすることでリアクトルにおける電気エネルギーの蓄積及び放出を繰り返す高電位側スイッチング素子及び低電位側スイッチング素子と、高電位側スイッチング素子又は低電位側スイッチング素子のスイッチング周期に対するオン時間比率であるデューティ指令値を演算する制御部とを備え、バッテリからの入力電圧を負荷へ出力するシステム電圧に変換する。
制御部は、システム電圧を指令電圧に一致させるようにデューティ指令値のフィードバック項を演算するフィードバック演算部と、バッテリの電圧と指令電圧との比に基づいてデューティ指令値のフィードフォワード項を演算するフィードフォワード演算部と、ゲイン選択部とを有している。
ゲイン選択部は、フィードバック演算部においてPI演算に用いられるフィードバックゲインのうち比例ゲイン及び積分ゲインの少なくとも一方について、負荷の変動周波数である負荷変動周波数、指令電圧、バッテリに流れる電流であるバッテリ電流、負荷に流れる電流である負荷電流、デューティ指令値、の5つのパラメータのうちいずれか2つ以上の特定パラメータに基づいてフィードバックゲインを選択することを特徴とする。
ここで、特定パラメータは、負荷変動周波数を含むことが好ましい。
また、ゲイン選択部は、システム電圧の変動量を示す評価関数を演算し、評価関数を最小とするようにフィードバックゲインを選択することが好ましい。
具体的には、ゲイン選択部は、比例ゲイン及び積分ゲインの組合せからなる複数組の候補ゲインをマトリックスとして記憶しており、2組以上の候補ゲインについて評価関数を演算し、評価関数を最小とする候補ゲインをフィードバックゲインに設定してもよい。
或いは、ゲイン選択部は、所定の基本ゲイン、及び、基本ゲインに対して所定の計算式に基づく拡張演算を実施可能な複数の拡張定数を記憶しており、基本ゲインに対し複数の拡張定数を用いて拡張演算を実施して得られた複数の拡張ゲインについて評価関数を演算し、評価関数を最小とする拡張ゲインをフィードバックゲインに設定してもよい。
本発明の電圧変換装置は、2つ以上の特定パラメータに基づいてフィードバックゲインを選択するため、1つのパラメータに基づいてフィードバックゲインを決定する従来技術に比べ、電圧変換装置及び負荷の状態に応じて、より適切なフィードバックゲインを選択することができる。そのため、例えば、モータジェネレータを駆動するインバータを負荷とする場合、モータジェネレータの力行動作時、回生動作時ともに、システム電圧の変動を好適に抑制することができる。
本発明の実施形態による電圧変換装置の概略構成図である。 図1の電圧変換装置の制御ブロック図である。 本発明の第1実施形態で用いる候補ゲインのマップである。 (a)指令電圧=Vcom1、(b)指令電圧=Vcom2における負荷変動周波数−評価関数出力特性図である。 (a)バッテリ電流とリアクトルインダクタンスとの関係を示すマップ、 (b)バッテリ温度と内部抵抗との関係を示すマップである。 本発明の第1実施形態によるデューティ指令値演算処理のメインフローチャートである。 図6のS140のサブフローチャートである。 Kp又はKiに対する評価関数出力の傾向を示すマップである。 比較例での電圧変動を示すタイムチャートである。 第1実施形態による電圧変動低減効果を説明するタイムチャートである。 本発明の第2実施形態によるデューティ指令値演算処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態によるゲイン切替処理を説明する負荷変動周波数−評価関数出力特性図である。 本発明の第3実施形態によるゲイン切替処理のフローチャートである。 比較例の電圧変換装置の制御ブロック図である。
以下、本発明による電圧変換装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について説明する。この実施形態の電圧変換装置10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源である交流電動機を駆動するシステムに適用される。
[電圧変換装置の全体構成]
本発明の実施形態による電圧変換装置の全体構成について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、電圧変換装置10は、バッテリ1の直流電圧を昇圧し、交流電動機7を駆動するインバータ6に出力する装置であり、一般に「昇圧コンバータ」又は「DCDCコンバータ」と呼ばれる。図1において一点鎖線で囲んだ部分が電圧変換装置10の範囲を示す。また、インバータ6及び交流電動機7は、電圧変換装置10の「負荷」に相当する。
先に、電圧変換装置10の範囲外のシステム構成について説明する。
バッテリ1は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の充放電可能な蓄電装置によって構成される直流電源である。電気二重層キャパシタ等もバッテリ1の一態様に含むものとする。
バッテリECU55は、バッテリ1の電源電圧VB、バッテリ温度Tb、SOC(充電量)等を監視し、バッテリ1の充放電等を制御する。
インバータ6は、ブリッジ接続される6つのスイッチング素子により構成され、電圧変換装置10が生成したシステム電圧Vsysの直流電力が入力される。インバータ6は、PWM制御や位相制御によって各相のスイッチング素子がオンオフされることにより、直流電力を三相交流電力に変換して交流電動機7に供給する。
なお、図1のインバータ6には、インバータ制御部を含むものとする。
交流電動機7は、例えば永久磁石式同期型の三相交流電動機である。交流電動機7は、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されるモータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)であり、力行動作により変速機等を介して駆動輪を駆動するトルクを発生する狭義の電動機としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝達されるトルクによる回生動作によって発電する発電機としての機能を兼ね備える。以下、本明細書では、「交流電動機」の用語を「モータジェネレータ」の意味で用いる。
交流電動機7のロータ近傍に設けられる回転角センサ75は、例えばレゾルバやロータリエンコーダで構成され、電気角θを検出する。回転角センサ75が検出した電気角θはインバータ6に入力され、電流ベクトル制御のdq変換等の演算に用いられる。また、電気角θは微分器76で電気角速度ωに変換され、制御部50に入力される。
電気角速度ω[deg/s]は、比例定数を乗じることにより回転数N[rpm]に換算される。本明細書及び図面では、「電気角速度ωを換算した回転数」を省略し、「回転数ω」という表記を用いる。また、「回転数ω」は、交流電動機7を負荷として一般化すると「負荷変動周波数f」に相当する。本実施形態の説明では、「回転数ω=負荷変動周波数f」として扱う。
次に、電圧変換装置10の構成について説明する。電圧変換装置10は、フィルタコンデンサ11、リアクトル12、昇圧駆動部15、平滑コンデンサ16及び制御部50等を備える。
フィルタコンデンサ11は、電圧変換装置10の入力部に設けられ、バッテリ1からの電源ノイズを除去する。リアクトル12は、インダクタンスLを有しており、電流の変化に伴って誘起電圧が発生し、電気エネルギーが蓄積される。
昇圧駆動部15は、リアクトル12の出力端とインバータ6の高電位ラインとの間に接続された高電位側スイッチング素子13、及び、リアクトル12の出力端とインバータ6の低電位ラインとの間に接続された低電位側スイッチング素子14から構成されている。高電位側スイッチング素子13及び低電位側スイッチング素子14は、制御部50からのデューティ指令により交互に、かつ相補的にオンオフする。
高電位側スイッチング素子13がオフで低電位側スイッチング素子14がオンのとき、リアクトル12にリアクトル電流ILが流れることにより、エネルギーが蓄積される。
高電位側スイッチング素子13がオンで低電位側スイッチング素子14がオフのとき、リアクトル12に蓄積されたエネルギーが放出されることにより、バッテリ入力電圧Vinに誘起電圧が重畳された昇圧電圧が平滑コンデンサ16に充電される。
電圧変換装置10のバッテリ1側(入力側)では、バッテリ1からの入力電圧Vinが検出される。また、電圧変換装置10のインバータ6側(出力側)では、インバータ6への出力直流電圧であるシステム電圧Vsysが検出される。システム電圧Vsysは、インバータ6の視点から「インバータ入力電圧」ともいう。
電流センサ17は、バッテリ1から電圧変換装置10への電流経路に設けられ、バッテリ電流Ibを検出する。電流センサ18は、電圧変換装置10からインバータ6への電流経路に設けられ、負荷電流Imを検出する。
図1において制御部50に外部から入力される信号のうち、破線で図示された電源電圧VB、バッテリ電流Ib、負荷電流Im、及び、負荷変動周波数f(又は回転数ω)は、本発明の全実施形態に共通に入力される信号ではなく、各形態の構成により、必要に応じて入力されるものである。
例えば制御部50がバッテリ電流Ibの情報を用いない場合には電流センサ17を無くしてもよく、負荷電流Imの情報を用いない場合には電流センサ18を無くしてもよい。また、制御部50が図5(b)に示すバッテリ温度−内部抵抗マップを記憶しない場合には、バッテリECU55からバッテリ温度Tbが入力されなくてもよい。制御部50がどの入力信号の情報を用いるかは、後述する特定パラメータの選定等によって決定される。
次に、制御部50の構成について、図2を参照して説明する。制御部50は、マイコン等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部50は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
制御部50は、指令電圧生成部29、フィードバック演算部20、フィードフォワード演算部30、及び、本発明の特徴的構成であるゲイン選択部25を有している。
制御部50は、昇圧駆動部15が生成するシステム電圧Vsysを指令電圧Vcomに一致させるように、高電位側スイッチング素子13及び低電位側スイッチング素子14のスイッチング時間を規定するためのデューティ指令値dutyを演算し、昇圧駆動部15の駆動を制御する。
本実施形態では、高電位側スイッチング素子13のスイッチング周期に対するオン時間比率を示すオンデューティを「デューティ指令値duty(%)」と定義する。デッドタイムを無視すれば、低電位側スイッチング素子14のオンデューティは、高電位側スイッチング素子13のオフデューティに一致し、「100−duty(%)」に相当する。
なお、他の実施形態では、低電位側スイッチング素子14のオンデューティを「デューティ指令値duty(%)」と定義してもよい。
指令電圧生成部29は、上位の車両制御回路から指令された交流電動機7に対する指令トルクtrq*、及び、回転角センサ75から取得した交流電動機7の回転数ωに基づいて指令電圧Vcomを演算する。
なお、他の実施形態では、制御部50の内部に指令電圧生成部29を有するのでなく、上位の車両制御回路が演算した指令電圧Vcomを制御部50が取得してもよい。
フィードバック演算部20は、比例項を演算する比例ゲイン演算器21、並びに、積分項を演算する積分ゲイン演算器22及び積分器23を有している。フィードバック演算部20は、指令電圧Vcomとシステム電圧Vsysとの偏差が入力され、偏差をゼロに収束させるように、PI演算により、デューティ指令値dutyのフィードバック項dfbを演算する。
ここで、比例ゲイン演算器21が用いる比例ゲインKp、及び、積分ゲイン演算器22が用いる積分ゲインKiを合わせて「フィードバックゲイン」という。本実施形態では、フィードバック演算部20が、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを固定値として用いるのでなく、その時点でゲイン選択部25が選択した比例ゲインKp及び積分ゲインKiを用いることを特徴とする。
フィードフォワード演算部30は、入力電圧Vinと指令電圧Vcomとの比に基づいて、デューティ指令値dutyのフィードフォワード項dffを演算する。なお、入力電圧Vinに代えて、バッテリECU55から入力される電源電圧VBを用いてもよい。
制御部50は、フィードバック項dfbとフィードフォワード項dffとを加算したデューティ指令値dutyを昇圧駆動部15に出力する。
また、制御部50の内部で生成された指令電圧Vcom及びデューティ指令値dutyは、必要に応じてゲイン選択部25に入力される。
[ゲイン選択部の構成]
図2に破線で示すように、ゲイン選択部25は、制御部50の外部から入力される負荷変動周波数f(回転数ω)、バッテリ電流Ib、負荷電流Im、及び、制御部50の内部で生成される指令電圧Vcom、デューティ指令値dutyの5つのパラメータのうち、いずれか2つ以上のパラメータが入力される。そして、入力された2つ以上のパラメータに基づいて、フィードバックゲインを選択する。ここで、バッテリ電流Ibの代わりに、リアクトル電流を用いてもよい。
以下、ゲイン選択部25がフィードバックゲイン選択のための情報として用いる2つ以上のパラメータを「特定パラメータ」という。ゲイン選択部25が特定パラメータに基づいてフィードバックゲインを選択する具体的な方法について、実施形態毎に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるフィードバックゲイン選択処理の構成及び作用効果について、図3〜図10を参照して説明する。
図3に示すように、ゲイン選択部25は、フィードバック演算部20がPI制御に用いる可能性のある比例ゲインKp及び積分ゲインKiの候補値の組合せ(以下、「候補ゲイン」という。)をマトリックス状のマップに記憶している。図3には、比例ゲインKpについてn通り、積分ゲインKiについてm通りのn行m列のマトリックスを例示する。
ゲイン選択部25は、マップの候補ゲインの中から最適のフィードバックゲインの組合せを選択する。ここで、「最適」とは、厳密な意味で最も良い唯一のものに限らず、他の大部分の候補ゲインと比べて特に良い「最適群」に含まれるものという意味に解釈する。
その選択方法として、ゲイン選択部25は、2つ以上の特定パラメータに基づいて候補ゲインに対応する「評価関数」を演算し、評価関数を最小とする候補ゲインをフィードバックゲインとして設定する。
本実施形態では、「評価関数」を「電圧変換装置及び負荷の状態に応じたシステム電圧Vsysの変動量を示す指標」と定義する。評価関数は、例えば、上記5つのパラメータを引数に含む関数であり、具体的な計算式は、システム特性を解析することにより、適宜設計される。本実施形態で用いる評価関数はシステム電圧Vsysの変動量を示すものであるため、出力値が小さいほど負荷を安定して駆動することができると判断する。
図4に、負荷変動周波数f及び指令電圧Vcomを特定パラメータとして用いた場合の評価関数の例を示す。図4(a)は指令電圧Vcomが相対的に高いVcom1のとき、図4(b)は指令電圧Vcomが相対的に低いVcom2のときにおける負荷変動周波数fと評価関数出力との特性図である。
図中、9本の細線(実線、一点鎖線、破線)は、9通りの候補ゲインについて演算した評価関数出力を示す。各々のゲインに対応する評価関数は、周波数の中間部で極大値を1つ有する略山形を呈しており、山の形、高さ、極大値の周波数等が互いに異なっている。
9通りの評価関数出力を重ねてプロットし、最小値に注目すると、太線で示すように、ある切替周波数を境として、評価関数が最小となるゲインが交替する。指令電圧Vcom1のときの切替周波数fx1と、指令電圧Vcom2のときの切替周波数fx2とは異なり、この例ではfx1<fx2となっている。切替周波数fx1又はfx2未満の領域では、候補ゲインG1に対応する評価関数E(G1)が最小となり、切替周波数fx1又はfx2を超えた領域では、候補ゲインG9に対応する評価関数E(G9)が最小となる。
図4からわかるように、指令電圧Vcomが一定の場合、負荷変動周波数fによって選択すべき候補ゲインが異なる。また、負荷変動周波数fがfx1とfx2との間のfyであるとき、指令電圧がVcom1であれば候補ゲインG9を選択し、指令電圧がVcom2であれば候補ゲインG1を選択することとなる。
このように本実施形態では、負荷変動周波数f及び指令電圧Vcomの2つの特定パラメータに応じて、評価関数を最小とする候補ゲインが変化する。
フィードバックゲイン選択に用いる特定パラメータは、負荷変動周波数f及び指令電圧Vcomに限らず、バッテリ電流Ib、負荷電流Im、デューティ指令値dutyを含めた5つのパラメータのうち、いずれの2つ以上を選定してもよい。ただし、周波数応答が評価関数に及ぼす影響は他のパラメータに比べて特に大きいため、特定パラメータの1つに負荷変動周波数fを含めることが好ましい。
また、特定パラメータの数が多いほど、評価関数の演算精度が向上する反面、処理負荷や必要となる記憶領域が増加するため、システムに要求される演算精度と制御部50の処理能力とのバランスを考慮して特定パラメータの数を決定するとよい。
さらに、上記5つのパラメータ以外に評価関数の引数となる数値情報として、リアクトル12のインダクタンス値やバッテリ1の内部抵抗値等がある。簡易的には、制御部50は、これらの数値を固定値として記憶し、演算に用いてもよい。
しかし好ましくは、制御部50は、図5(a)に示すバッテリ電流−リアクトルインダクタンス特性マップ、及び、図5(b)に示すバッテリ温度−内部抵抗マップを記憶しているとよい。そして、評価関数の演算に用いるリアクトル12のインダクタンス値をバッテリ電流Ibに応じて変化させ、また、評価関数の演算に用いるバッテリ1の内部抵抗値をバッテリ温度Tbに応じて変化させるとよい。これにより、評価関数の演算精度を向上させることができる。
なお、図5(a)、(b)のマップの記憶やマップを参照する演算は、ゲイン選択部25自身が行う形態に限らず、制御部50の別の制御ブロックで記憶及び演算し、演算結果をゲイン選択部25に出力するようにしてもよい。
次に、第1実施形態のデューティ指令値演算処理について、図6、図7のフローチャート、及び、図8のマップを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。
このフローは、図3に示したマトリックス状のマップの候補ゲインの中から評価関数を最小とする候補ゲインを効率的に探索し、それにより、適正なデューティ指令値dutyを演算することを目的とするものである。
図6のS11にて、ゲイン選択部25は、マトリックス状のマップから候補ゲインを1組選択し、選択した候補ゲインに対応する評価関数を演算する。
S12では、今回演算した評価関数の値を「それまでに演算した評価関数の最小値」と比較する。今回演算した評価関数の値が、それまでに演算した評価関数の最小値よりも小さい場合(S12:YES)、S13で評価関数の最小値を更新する。NOの場合には、それまでの評価関数の最小値を維持する。
本発明の技術的思想によると、理論的には、n行m列のマトリックスすべての候補ゲインについて評価関数を演算し、最小値を比較すればよい。しかし現実には、すべての候補ゲインについて評価関数を演算すると、処理負荷の増大や候補ゲインの記憶領域の増加によって、コストの高い大きな回路が必要となったり、演算周期が長くなったりするという問題がある。また、評価関数の値がそれまでの最小値より明らかに大きくなると推測される候補ゲインについてまで、すべて評価関数を演算するのは非効率的である。
そこでS140では、それまでに演算した評価関数の傾向から、以後、評価関数の演算をする必要がある候補ゲインを選別する。言い替えれば、評価関数の演算をする必要が無いと判断される候補ゲインを除外し、候補ゲインの絞り込みをかける。
具体的には、例えば図7に示すサブフローにより、候補ゲインを選別する。
図7のS141では、それまでに演算した候補ゲインについて、比例ゲインKp又は積分ゲインKiと評価関数との個別の関係を整理したとき、図8(a)、(b)に示すような単調増加又は単調減少の関係が成立するか否か判断する。S141でYESの場合、その関係を調べた比例ゲインKp又は積分ゲインKiの中間値を含む候補ゲインについての評価関数は、最大値又は最小値に該当するはずがないと推測し、S142で評価関数の演算を省略する。
図3のマトリックスの比例ゲインKp1・・・Kpn、及び、積分ゲインKi1・・・Kimが小さい値から大きい値の順に並んでいるとすると、仮に、比例ゲインKp又は積分ゲインKiの両方について評価関数が単調増加又は単調減少の関係にある場合、破線及び一点鎖線で示す四隅の候補ゲインについてのみ評価関数を演算すればよいと判断する。さらに、比例ゲインKp及び積分ゲインKiに対する増加又は減少傾向が一致している場合、破線で示す左上と右下の2つの候補ゲインについてのみ評価関数を演算すればよいと判断する。例えば図4でも、最小値を構成する候補ゲインは9つのうち両端のG1とG9のみであり、中間の7つの候補ゲインは、評価関数を演算しても結局利用されていない。
また、S143では、それまでに演算した候補ゲインについて、図8(c)に示すように、比例ゲインKp又は積分ゲインKiの変化に対する評価関数の変化が飽和傾向であるか、言い換えれば、評価関数が飽和値Esatに漸近しているか否か判断する。S143でYESの場合、その変化傾向を調べた比例ゲインKp又は積分ゲインKiについて、評価関数が飽和している方向へそれ以上増減させても評価関数は変化しないと推定し、S144で飽和方向への増減を中止する。
このように、S140では、それまでに演算した評価関数の傾向を監視しながら、評価関数の演算を省略可能な候補ゲインと、以後、演算が必要な候補ゲインとを選別することで、制御部50の処理負荷や候補ゲインの記憶領域の低減を図ることができる。
ただし、比例ゲインKp又は積分ゲインKiと評価関数との関係において極値が存在したり、比例ゲインKp又は積分ゲインKiに対して評価関数が不規則に変化したりする場合には、評価関数の演算を省略可能な候補ゲインがほとんど存在しないこともあり得る。
S15では、S140で選別した「評価関数の演算が必要な候補ゲイン」について、すべて演算が完了したか否か判断し、完了していない場合にはS11に戻る。
S16では、評価関数の最小値に対応する候補ゲインをフィードバックゲインに設定する。フィードバック演算部20は、設定された比例ゲインKp及び積分ゲインKiを用いてフィードバック演算する(S17)。このフィードバック演算の演算結果、及び、フィードフォワード演算部30によるフィードフォワード演算(S18)の演算結果を加算して、制御部50は、デューティ指令値dutyを演算する(S19)。
続いて、本実施形態の効果について、比較例と対比しつつ、図9、図10を参照して説明する。図9、図10の(a)〜(c)に示すタイムチャートは、共通の時間軸を横軸とし、(a)アクセル開度、(b)交流電動機7の回転数ω、(c)システム電圧Vsysをそれぞれ縦軸とする。図9は比較例による特性を示し、図10は本実施形態による特性を示す。図9と図10とでは、(a)、(b)は共通であり、(c)のみが異なる。
図14に示すように、比較例の電圧変換装置の制御部90は、フィードバック演算部20がPI制御に用いるフィードバックゲインを選択するゲイン選択部95を有する点で、本実施形態と類似している。ただし、ゲイン選択部95が1つのパラメータのみに基づいてフィードバックゲインを選択する点が、本実施形態のゲイン選択部25と異なる。
例えば比較例では、回転数ω(=負荷変動周波数f)又は指令電圧Vcomの一方のみに基づいてフィードバックゲインを選択するのに対し、本実施形態では、回転数ω及び指令電圧Vcomの両方に基づいてフィードバックゲインを選択する場合を想定する。
図9、図10共通に、時刻t0でのシステム電圧Vsysの初期値はαである。
時刻t0でアクセル開度が増加し始めると、交流電動機7は、バッテリ1の直流電力を消費しつつ力行動作によって加速し、回転数ωが増加する。これに応じて、電圧変換装置10の指令電圧生成部29は、システム電圧Vsysを初期値αより大きい目標値βに変更するべく、目標値βに対応する指令電圧Vcomを生成する。
フィードバック演算部20は、指令電圧Vcomとシステム電圧Vsysとの偏差をゼロにしようとするPI制御によりフィードバック項dfbを演算し、フィードフォワード演算部30は、バッテリ入力電圧Vinと指令電圧Vcomとの比に基づいてフィードフォワード項dffを演算する。こうして、システム電圧Vsysは、初期値αから目標値βに向かって上昇する。システム電圧Vsysが目標値βに到達した直後の時刻t1における回転数ωをωaとする。
その後、時刻t2でアクセル開度が減少し始めると、交流電動機7は、加速から減速に転じ、回転によって発電した電力をバッテリ1に回生する。
回転数ωの減少に応じて、電圧変換装置10の指令電圧生成部29は、システム電圧Vsysを現在値βから初期値と同等の目標値αに変更するべく、目標値αに対応する指令電圧Vcomを生成する。これに追従するフィードバック演算部20及びフィードフォワード演算部30の制御により、例えば回転数ωがωaまで下降した時刻t3の直後から、システム電圧Vsysは、現在値βから目標値αに向かって下降する。そして、時刻t4で、システム電圧Vsysは初期値と同等の目標値αに戻る。
以上のようなシステム電圧Vsysの推移において、図9に示すように、比較例では、時刻t1付近及び時刻t4の直後に電圧変動が発生している。ここで、時刻t1と時刻t3とでは、回転数ωが同等であるにも拘わらず、力行動作時の時刻t1では電圧変動が発生し、回生動作時の時刻t3では電圧変動が発生していない。また、時刻t0と時刻t4とでは、指令電圧Vcomが同等であるにも拘わらず、力行動作時の時刻t0では電圧変動が発生せず、回生動作時の時刻t4では電圧変動が発生している。
すなわち、回転数ω又は指令電圧Vcomが同一であっても、電圧変換装置10及び負荷6、7の状態は全く同一ではない。そのため、回転数ω又は指令電圧Vcomのいずれか一方のみに基づいてフィードバックゲインを選択した場合、電圧変動の発生を十分に抑制することはできない。
一方、図10に示すように、本実施形態では、比較例で電圧変動が発生しているいずれの時刻においても電圧変動が発生していないことがわかる。よって、回転数ω及び指令電圧Vcomの両方に基づいてフィードバックゲインを選択する本実施形態では、比較例に対し、システム電圧Vsysの変動を好適に抑制することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるデューティ指令値演算処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。図11において、第1実施形態の図6と実質的に同一のステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、第1実施形態の「候補ゲイン」に代えて、所定の「基本ゲイン」、及び、基本ゲインに拡張定数を乗算、加算等して得られた「拡張ゲイン」をフィードバックゲインの選択対象とする。これに伴い、図6のS11、S140、S15、S16が、図11ではS21、S240、S25、S26に変更されている。
基本ゲインG0は、基本比例ゲインKp0と基本積分ゲインKi0との組合せからなるとする。また、拡張定数Cは、比例ゲイン拡張定数Cpと積分ゲイン拡張定数Ciとの組合せからなる。比例ゲイン拡張定数Cpと積分ゲイン拡張定数Ciとは別の値に設定してもよいが、ここでは、簡単のため「C=Cp=Ci」とする。そして、ゲイン選択部25は、複数の拡張定数C、すなわち、C1、C2・・・Cnを記憶している。
また、基本ゲインG0に対して拡張定数Cを用いて実施される所定の計算式が規定されている。例えば乗算の場合、拡張ゲインG’は、「G’=C×G0」の式で算出される。この場合、拡張ゲインG’は、比例ゲイン(C×Kp0)と積分ゲイン(C×Ki0)との組合せを意味する。或いは、所定の計算式が加算の場合、拡張ゲインG’は、「G’=G0+C」の式で算出される。この乗算や加算を総括して「拡張演算」という。
複数の拡張定数C1、C2・・・Cnの個数がn個であれば、それに対応して、n個の拡張ゲインG1’、G2’・・・Gn’が存在する。拡張定数Cは、例えば「2」であったり、「0.5」であったりする。また、拡張定数Cが「1」を含むとき、基本ゲインG0自身も拡張ゲインG’に含まれる。
図11のS21では、複数の拡張定数Cのうちから1つを選択し、基本ゲインG0に対して乗算、加算等の拡張演算をして拡張ゲインG’を算出し、得られた拡張ゲインG’に対応する評価関数を演算する。
S12、S13では、第1実施形態と同様に、今回演算した評価関数がそれまでに演算した評価関数の最小値よりも小さければ、最小値を更新する。
S240は、第1実施形態のS140に対応し、ゲイン選択部25が記憶した複数の拡張定数Cのうち、それを用いて算出した拡張ゲインG’について、評価関数を演算する必要が有るものと無いものとを選別する。具体的なサブフローについては、第1実施形態の図7に対し用語を入れ替えるのみあるので、記載を省略する。
S25では、S240で選別した「評価関数の演算が必要な拡張ゲイン」について、すべて演算が完了したか否か判断し、完了していない場合にはS21に戻る。
S26では、評価関数の最小値に対応する拡張ゲインをフィードバックゲインに設定する。S17以降は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏することに加え、複数の候補ゲインをマトリックス状のマップに記憶し、このマップから候補ゲインを選択して評価関数を演算する第1実施形態に対し、より単純な拡張定数Cを記憶し演算に用いることで、処理負荷及び記憶領域を低減することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図12、図13を参照して説明する。上述の第1及び第2実施形態は、処理を実行する時点での特定パラメータに基づいて評価関数を演算し、その時点で最適なフィードバックゲインを選択するものであり、言わば、時間軸上の点に着目したものである。
それに対し第3実施形態は、第1又は第2実施形態で選択されたフィードバックゲインを用いてフィードバック演算を実行中に特定パラメータが変化した結果、選択されるフィードバックゲインが変更した場合に、フィードバック演算部20が用いるフィードバックゲインを切り替えるための好ましい「ゲイン切替処理」を提供するものである。言わば、時間軸上の点から点への移行に着目したものであり、第1及び第2実施形態のいずれと組み合わせてもよい。
図12は、図4と類似の負荷変動周波数f−評価関数出力特性を示した図である。負荷変動周波数fがfx未満の領域では候補ゲインG1に対応する評価関数E(G1)が最小であり、負荷変動周波数fがfxを超える領域では候補ゲインG2に対応する評価関数E(G2)が最小である。したがって、単純には、負荷変動周波数fがfxを跨いで変化したとき、フィードバックゲインを切り替えればよいとも考えられる。
しかし、そうすると、負荷変動周波数がfxを跨いで増減を繰り返しているとき、フィードバックゲインが頻繁に切り替わるハンチング現象が発生し、制御が不安定となるおそれがある。
そこで図12に太破線で示すように、評価関数E(G1)、E(G2)に対してマイナス側に所定値ε(>0)だけオフセットした特性線E(G1)’、E(G2)’を想定し、切替前の状態においては、オフセットした特性線の値を評価関数の値とみなす。
負荷変動周波数fが増加方向に変化したときは、E(G1)’とE(G2)とが交わる第1切替値fxHでフィードバックゲインをG1からG2に切り替え、負荷変動周波数fが減少方向に変化したときは、E(G2)’とE(G1)とが交わる第2切替値fxLでフィードバックゲインをG2からG1に切り替える。所定値εをマイナス側に設定しているため、必然的に、第1切替値fxHは第2切替値fxLより大きい値、すなわち高周波数側に設定されることとなる。
次に、図13のフローチャートに示す第3実施形態のゲイン切替処理では、最初にS31で、現在、ゲインG1を選択中であるか、ゲインG2を適用中であるかを判別する。
ゲインG1を適用中に(S31:YES)、負荷変動周波数fが増加しながら(S32:YES)、第1切替値fxH以上となったとき(S33:YES)、ゲインG2に切り替える(S34)。一方、ゲインG2を適用中に(S31:NO)、負荷変動周波数fが減少しながら(S35:YES)、第2切替値fxL以下となったとき(S36:YES)、ゲインG1に切り替える(S37)。
このように、第3実施形態ではヒステリシス特性を用いることで、フィードバックゲインの切替に伴うハンチングを防止することができる。また、所定値εを調整することで、ハンチングを防止する範囲を容易に変更することができる。
なお、図12、13では、特定パラメータの1つが負荷変動周波数fである場合を例示したが、その他の特定パラメータの増減に応じて評価関数を最小とするゲインが入れ替わる場合も同様に扱うことができる。
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、「評価関数」を「電圧変換装置及び負荷の状態に応じたシステム電圧Vsysの変動量を示す指標」と定義し、評価関数を最小とする候補ゲイン又は拡張ゲインをフィードバックゲインとして設定しているが、評価関数の定義はこれに限らない。例えば、「負荷の安定性」を反映する評価関数を設定し、その評価関数を最大とするフィードバックゲインを選択するようにしてもよい。
(イ)上記第1実施形態のサブフローチャート図7では、それまでに演算した評価関数の傾向を監視しながら、評価関数の演算を省略可能な候補ゲインを選別し、評価関数の演算量を減らしている。その他、過去における電圧変換装置及び負荷の状態と、その状態で選択したフィードバックゲインとの関係を学習し、学習結果に基づいて、フィードバックゲインの選択プロセスを最小限に省略するようにしてもよい。
逆に、制御部50の処理能力が十分にある場合等には、図6のS140のステップを省略し、常にマトリックスのすべての候補ゲインの組合せについて評価関数を演算してもよい。この点は、第2実施形態における図11のS240についても同様である。
(ウ)上記第2実施形態では、基本ゲインG0に対し拡張定数Cを乗算又は加算して拡張ゲインG’を演算する例を説明した。その他、基本ゲインG0に対し拡張定数Cを用いて指数演算(G0C)、対数演算(logCG0)、三角関数演算(tan(G0/C))のように、どのような演算を実施して拡張ゲインG’を演算してもよい。
(エ)上記実施形態では、ゲイン選択部25は、特定パラメータに基づいて比例ゲインKp及び積分ゲインKiの両方について、最適なフィードバックゲインを選択している。しかし、本発明では、特定パラメータに基づいて比例ゲインKp及び積分ゲインKiの一方のゲインのみを選択し、他方のゲインについては従来技術を適用して決定するか、或いは固定値としてもよい。
また、フィードバック演算部が微分制御を含むPID制御を行う場合、微分ゲインKdについても、本発明を適用してフィードバックゲインを選択してもよい。
(オ)本発明の電圧変換装置は、入力側電圧を昇圧して出力する昇圧コンバータに限らず、入力側電圧を降圧して出力する降圧コンバータであってもよい。
(カ)上記実施形態では、電圧変換装置10の負荷として、直流電圧を三相交流電圧に変換するインバータ6、及び、インバータ6が変換した三相交流電圧によって駆動される交流電動機7を用いる例を説明した。その他、電圧変換装置10の負荷として、例えば、Hブリッジ回路及び直流電動機を用いてもよい。
(キ)負荷としての交流電動機等は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源として用いられるものに限らず、車両の補機用や、車両以外の電車、昇降機、一般機械等に用いられるものであってもよい。特に動作状態の変化が大きい負荷に対し、本発明の電圧変換装置は有効に適用される。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・電圧変換装置、
12・・・リアクトル、
13・・・高電位側スイッチング素子、
14・・・低電位側スイッチング素子、
20・・・フィードバック演算部、
25・・・ゲイン選択部、
30・・・フィードフォワード演算部、
50・・・制御部、
6 ・・・インバータ(負荷)、
7 ・・・交流電動機(モータジェネレータ、負荷)。

Claims (8)

  1. 直流電源であるバッテリ(1)と負荷(6、7)との間に設けられ、
    電気エネルギーを蓄積及び放出可能なリアクトル(12)と、
    交互にオンオフすることで前記リアクトルにおける電気エネルギーの蓄積及び放出を繰り返す高電位側スイッチング素子(13)及び低電位側スイッチング素子(14)と、
    前記高電位側スイッチング素子又は前記低電位側スイッチング素子のスイッチング周期に対するオン時間比率であるデューティ指令値(duty)を演算する制御部(50)と、を備え、前記バッテリからの入力電圧(Vin)を、前記負荷へ出力するシステム電圧(Vsys)に変換する電圧変換装置(10)であって、
    前記制御部は、
    前記システム電圧を指令電圧(Vcom)に一致させるように前記デューティ指令値のフィードバック項を演算するフィードバック演算部(20)と、
    前記バッテリの電圧(Vin、VB)と前記指令電圧との比に基づいて前記デューティ指令値のフィードフォワード項を演算するフィードフォワード演算部(30)と、
    前記フィードバック演算部においてPI演算に用いられるフィードバックゲインのうち比例ゲイン及び積分ゲインの少なくとも一方について、前記負荷の変動周波数である負荷変動周波数(f)、前記指令電圧、前記バッテリに流れる電流であるバッテリ電流(Ib)、前記負荷に流れる電流である負荷電流(Im)、前記デューティ指令値、の5つのパラメータのうちいずれか2つ以上の特定パラメータに基づいてフィードバックゲインを選択するゲイン選択部と(25)、を有していることを特徴とする電圧変換装置。
  2. 前記特定パラメータは、前記負荷変動周波数を含むことを特徴とする請求項1に記載の電圧変換装置。
  3. 前記ゲイン選択部は、前記システム電圧の変動量を示す評価関数を演算し、前記評価関数を最小とするようにフィードバックゲインを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の電圧変換装置。
  4. 前記ゲイン選択部は、比例ゲイン及び積分ゲインの組合せからなる複数組の候補ゲインをマトリックスとして記憶しており、2組以上の前記候補ゲインについて前記評価関数を演算し、前記評価関数を最小とする前記候補ゲインをフィードバックゲインに設定することを特徴とする請求項3に記載の電圧変換装置。
  5. 前記ゲイン選択部は、所定の基本ゲイン、及び、前記基本ゲインに対して所定の計算式に基づく拡張演算を実施可能な複数の拡張定数を記憶しており、前記基本ゲインに対し複数の前記拡張定数を用いて前記拡張演算を実施して得られた複数の拡張ゲインについて前記評価関数を演算し、前記評価関数を最小とする前記拡張ゲインをフィードバックゲインに設定することを特徴とする請求項3に記載の電圧変換装置。
  6. 前記特定パラメータの値が変化し、前記ゲイン選択部が選択するフィードバックゲインを切り替える場合において、
    前記特定パラメータが増加方向に変化したときフィードバックゲインを切り替える第1切替値(fxH)は、前記特定パラメータが減少方向に変化したときフィードバックゲインを切り替える第2切替値(fxL)より大きい値に設定されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の電圧変換装置。
  7. 前記制御部は、前記評価関数の演算に用いる前記リアクトルのインダクタンス値を、前記バッテリ電流に応じて変化させることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の電圧変換装置。
  8. 前記制御部は、前記評価関数の演算に用いる前記バッテリの内部抵抗値を、前記バッテリの温度に応じて変化させることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の電圧変換装置。
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