JP2015170551A - 表面処理した正極活物質、分散剤及び溶剤を含む組成物 - Google Patents

表面処理した正極活物質、分散剤及び溶剤を含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 経時安定性に優れた、表面改質正極活物質及び溶剤を含む組成物を提供する。【解決手段】 リン酸アンモニウム塩水溶液で処理した表面改質正極活物質、分散剤及び溶剤を含むことを特徴とする組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、表面処理した正極活物質、分散剤及び溶剤を含む組成物、並びに、該組成物から製造される正極活物質層、正極、リチウムイオン二次電池に関するものである。
非水系電解質二次電池の活物質には種々の材料が用いられることが知られており、そのうち、層状岩塩型の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料はリチウムイオン二次電池用活物質として汎用されている。
しかし、上記一般式で表される材料を、例えば車載用二次電池に要求される高電圧で駆動される高容量二次電池の活物質として用いた場合には、当該材料の高電圧に対する耐性が不足したため、二次電池の容量維持率を満足する水準に保つことができなかった。
そのため、近年、活物質として用いられる種々の材料の高電圧に対する耐性を向上させる検討がさかんに行われている。この検討にあたり、一般的に以下の3つの手法が提言されている。
1)活物質に異種元素をドーピングする
2)活物質表面に保護膜を形成する
3)活物質表層の組成を変える
上記1)の手法及び効果について具体的に説明すると、AlやZrなどの活物質に存在しなかった元素を活物質にドーピングすることで、充放電、すなわちLiの吸放出に伴う活物質の劣化を抑制することができる。
上記2)の手法及び効果について具体的に説明すると、下記特許文献1で開示されるように、活物質表面にリン酸塩で保護膜を作り、電解液と活物質が直接に接することを防ぐことで、主に電解液との接触による活物質の劣化を抑制することができる。
上記3)の手法について具体的に説明すると、下記特許文献2には、活物質表面をAl化合物で被覆し、これを熱処理することで得られる、活物質表層のAl組成を増加させた活物質が開示されている。
上記3つの手法には、それぞれ以下に挙げる欠点があり、必ずしも満足できる活物質を得るには至っていなかった。
上記1)の手法の欠点は、電気化学的に駆動しない異種元素をドーピングすることにより、事実上、活物質における吸放出可能なLiが減少するため、活物質におけるLi貯蔵容量が減少し、リチウムイオン二次電池自体の容量が低下することである。
上記2)の手法の欠点は、活物質表面に形成した保護膜が電気抵抗となり電流が流れにくくなることである。この欠点を克服するためには保護膜を極薄膜とすれば良いが、そのような技術を確立することは工業化レベルでは非常に困難である。
上記3)の手法は、1)の欠点である容量低下を招きにくく、2)の欠点である電気抵抗性保護膜を形成することもないため理論的には望ましい。しかし、特許文献2の開示によると、実質的にAlを活物質表層にドープする技術であり、1)と同様の欠点が観察されるのみならず、同文献に記載の処理方法で活物質表層のAl組成を増加させた活物質と当該処理を行わない活物質を比較しても、特段の有利な効果が観察されていない。
すなわち、これらの活物質を改質する技術においては、必ずしも十分な水準の活物質を得られるとはいえなかった。
そこで、本発明者が鋭意検討したところ、公開予定の下記特許文献3に開示のとおり、下記処理1〜処理4のいずれかで処理した一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質を採用したリチウムイオン二次電池が、容量を好適に維持すること、特に4.5V付近の高電圧で駆動した場合であっても優れた容量維持率を示すことを見出した。
(処理1)
1−1)酸性の金属塩水溶液を準備する工程、
1−2)該金属塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
1−3)前記1−2)工程で得られた液とリン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
1−4)前記1−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理2)
2−1)リン酸アンモニウム塩水溶液を準備する工程、
2−2)該リン酸アンモニウム塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
2−3)前記2−2)工程で得られた液と酸性の金属塩水溶液を混合する工程、
2−4)前記2−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理3)
3−1)リン酸アンモニウム塩の水溶液、又は金属塩及びリン酸アンモニウム塩の水溶液を準備する工程
3−2)該水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
3−3)前記3−2)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理4)
4−1)酸性の金属塩水溶液とリン酸アンモニウム塩水溶液をそれぞれ準備する工程、
4−2)水と上記一般式で表される材料を混合する工程、
4−3)前記4−2)工程で得られた液、前記金属塩水溶液及び前記リン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
4−4)前記4−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
特開2006−127932号公報 特開2001−196063号公報 特願2013−240796号
さて、一般的にリチウムイオン二次電池の正極は、集電体と、該集電体上に形成された正極活物質を含む正極活物質層からなる。そして、正極活物質層は、集電体上に正極活物質及び溶剤を含む組成物(スラリー)を塗布し、該組成物から該溶剤を除去することにより製造される。
通常、実験室においては、正極活物質及び溶剤を含む組成物を作成後、直ちに、この組成物を集電体に塗布する工程を実施する。しかしながら、製造スケールが大きくなる実生産においては、組成物を作成後、直ちに塗布工程を実施することが常に可能ではない。そのため、正極活物質及び溶剤を含む組成物には、一定程度の期間の安定性が求められる。
ここで、本発明者は、上記処理1〜処理4のいずれかで処理した層状岩塩型の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質(以下、「表面改質正極活物質」ということがある。)及び溶剤を含む組成物は、時間の経過に伴い、粘度が著しく増加したり、一部沈殿して不均一になったりすること、すなわち経時安定性に劣ることを見出した。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、粘度増加率が抑制された、すなわち経時安定性に優れた、表面改質正極活物質及び溶剤を含む組成物を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、表面改質正極活物質及び溶剤を含む組成物に分散剤を添加したものであれば、組成物の粘度増加率を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明の組成物は、下記処理1〜処理4のいずれかで処理した一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質、分散剤及び溶剤を含むことを特徴とする。
(処理1)
1−1)酸性の金属塩水溶液を準備する工程、
1−2)該金属塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
1−3)前記1−2)工程で得られた液とリン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
1−4)前記1−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理2)
2−1)リン酸アンモニウム塩水溶液を準備する工程、
2−2)該リン酸アンモニウム塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
2−3)前記2−2)工程で得られた液と酸性の金属塩水溶液を混合する工程、
2−4)前記2−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理3)
3−1)リン酸アンモニウム塩の水溶液、又は金属塩及びリン酸アンモニウム塩の水溶液を準備する工程
3−2)該水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
3−3)前記3−2)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理4)
4−1)酸性の金属塩水溶液とリン酸アンモニウム塩水溶液をそれぞれ準備する工程、
4−2)水と上記一般式で表される材料を混合する工程、
4−3)前記4−2)工程で得られた液、前記金属塩水溶液及び前記リン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
4−4)前記4−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
本発明の組成物は、時間の経過に伴う粘度増加率を抑制することができる。そのため、分散剤を含有しない組成物と比較して、組成物の使用可能時間を延長することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の組成物は、下記処理1〜処理4のいずれかで処理した一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質、分散剤及び溶剤を含むことを特徴とする。
(処理1)
1−1)酸性の金属塩水溶液を準備する工程、
1−2)該金属塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
1−3)前記1−2)工程で得られた液とリン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
1−4)前記1−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理2)
2−1)リン酸アンモニウム塩水溶液を準備する工程、
2−2)該リン酸アンモニウム塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
2−3)前記2−2)工程で得られた液と酸性の金属塩水溶液を混合する工程、
2−4)前記2−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理3)
3−1)リン酸アンモニウム塩の水溶液、又は金属塩及びリン酸アンモニウム塩の水溶液を準備する工程
3−2)該水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
3−3)前記3−2)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
(処理4)
4−1)酸性の金属塩水溶液とリン酸アンモニウム塩水溶液をそれぞれ準備する工程、
4−2)水と上記一般式で表される材料を混合する工程、
4−3)前記4−2)工程で得られた液、前記金属塩水溶液及び前記リン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
4−4)前記4−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)において、b、c及びdの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが0<b<80/100、0<c<70/100、10/100<d<1の範囲であることが好ましく、10/100<b<68/100、12/100<c<60/100、20/100<d<68/100の範囲であることがより好ましく、25/100<b<60/100、15/100<c<50/100、25/100<d<60/100の範囲であることがさらに好ましく、1/3≦b≦50/100、20/100≦c≦1/3、30/100≦d≦1/3の範囲であることが特に好ましく、b=1/3、c=1/3、d=1/3、または、b=50/100、c=20/100、d=30/100であることが最も好ましい。
aは、0.5≦a≦1.5の範囲内が好ましく、0.7≦a≦1.3の範囲内がより好ましく、0.9≦a≦1.2の範囲内がさらに好ましく、1≦a≦1.1の範囲内が特に好ましい。
e、fについては一般式で規定する範囲内の数値であればよく、e=0、f=2を例示することができる。
表面改質正極活物質はその形状が特に制限されるものではないが、平均粒子径でいうと、100μm以下が好ましく、0.1μm以上50μm以下がさらに好ましい。0.1μm未満では、電極を製造した際に集電体との密着性が損なわれやすいなどの不具合を生じることがある。100μmを超えると電極の大きさに影響を与えたり、二次電池を構成するセパレータを損傷するなどの不具合を生じることがある。なお、平均粒子径は、一般的な粒度分布計で計測しても良いし、顕微鏡観察で計測した実測値から算出しても良い。
本発明の組成物において、その全質量に対する表面改質正極活物質の配合量は、30〜90質量%の範囲内であり、50〜80質量%の範囲内が好ましく、60〜70質量%の範囲内が特に好ましい。
また、表面改質正極活物質以外の正極活物質(以下、「第2正極活物質」ということがある。)を、本発明の組成物に配合しても良い。
第2正極活物質としては、LiMn、LiMn等のスピネル構造化合物、一般式:LiMPO(MはMn,Fe,Co,Ni,Cu,Mg,Zn,V,Ca,Sr,Ba,Ti,Al,Si,B,Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)で表される化合物、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)で表されるポリアニオン系化合物、LiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物、LiMnOなどを挙げることができる。第2正極活物質としては、二次電池における充放電電位が表面改質正極活物質よりも低いLiFePOが特に好ましい。二次電池の正極活物質層にLiFePOが存在すると、電池の正極と負極の短絡時であっても、電池の発熱をある程度抑制することができる。なお、第2正極活物質としてLiFePOを採用する場合には、その表面をカーボンコートしたものを採用するのが好ましい。
第2正極活物質はその形状が特に制限されるものではないが、平均粒子径でいうと、100μm以下が好ましく、0.01μm以上10μm以下がさらに好ましい。なお、平均粒子径は、一般的な粒度分布計で計測しても良いし、顕微鏡観察で計測した実測値から算出しても良い。
本発明の組成物において、その全質量に対する、表面改質正極活物質と第2正極活物質の合計配合量は、30〜90質量%の範囲内であり、50〜80質量%の範囲内が好ましく、60〜70質量%の範囲内が特に好ましい。
表面改質正極活物質と第2正極活物質の配合質量比は、100:0〜50:50の範囲内であればよく、90:10〜55:45の範囲内が好ましく、85:15〜60:40の範囲内がより好ましく、80:20〜70:30の範囲内が特に好ましい。
分散剤としては、本発明の組成物中で正極活物質を分散し得るものであればよい。
具体的な分散剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルアルコール若しくはアルキレンオキサイドから選択される少なくとも1種のモノマーを用いた重合体又はその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系ポリマー又はその塩、リン酸エステル若しくはその塩、ポリウレタン、脂肪酸アミド、アルキルアルコールアミン、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。分散剤が高分子の場合、その平均分子量は1000〜100000の範囲内が好ましく、2000〜60000の範囲内がより好ましく、3000〜50000の範囲内が特に好ましい。
これらの分散剤は、1種類を単独で本発明の組成物に用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
好ましい分散剤としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルピロリドン若しくはアルキレンオキサイドから選択される少なくとも1種のモノマーを用いた重合体又はその誘導体、脂肪酸アミド、アルキルアルコールアミンから選択される1種以上を挙げることができる。また、分散剤が重合体又はその誘導体であり、分子内にカルボン酸基などの酸性基を有する場合には、酸価100mgKOH/g未満のものが好ましく、酸価10〜95mgKOH/gの範囲内のものがより好ましく、酸価40〜95mgKOH/gの範囲内のものがさらに好ましく、酸価60〜90mgKOH/gの範囲内のものが特に好ましい。酸価100mgKOH/g未満の分散剤を用いると、表面改質正極活物質と溶剤と分散剤との相性が非常に好適となり、本発明の組成物の粘度増加率を好適に抑制できる。
より好ましい分散剤として、以下のものを具体的に挙げることができる。
例えば商品名PVP K-30(株式会社日本触媒)、商品名PVP K-85(株式会社日本触媒)、商品名PVP K-15(ISPジャパン株式会社)として入手可能な、粘度平均分子量5000〜60000のポリビニルピロリドン。
例えば商品名ジョンクリル678、ジョンクリル804、ジョンクリル819(いずれもBASFジャパン株式会社)として入手可能な、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸若しくはメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマー、及び、スチレン誘導体を用いた平均分子量3000〜30000の共重合体。
例えば商品名ジョンクリルJDX−C3000(BASFジャパン株式会社)として入手可能な、アクリル酸若しくはメタクリル酸及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを用いた平均分子量5000〜20000の共重合体。
例えば商品名ダイヤノール300(第一工業製薬株式会社)として入手可能なヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及びジエタノールアミンの混合物。
例えば商品名DISPERBYK−2150(ビックケミー・ジャパン株式会社)として入手可能な、ブロック共重合体。
本発明の組成物における分散剤の配合量は、表面改質正極活物質と第2正極活物質の合計配合量に対し、0.01〜2質量%の範囲内であれば良く、0.03〜1.5質量%の範囲内が好ましく、0.05〜1質量%の範囲内がより好ましく、0.1〜0.5質量%の範囲内が特に好ましい。分散剤の配合量が少なすぎると組成物における正極活物質の好適な分散を維持できない場合があり、経時的に正極活物質同士の凝集を生じるおそれがある。また、分散剤の配合量が多すぎると、組成物における正極活物質の分散には好適であるものの、該組成物から製造した正極活物質層において、多量の分散剤の存在が抵抗となり充放電の妨げとなるおそれがある。
溶剤としては、具体的にN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略す場合がある。)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランを例示できる。これらの溶剤は、1種類を単独で本発明の組成物に用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、その全質量に対する上記溶剤の配合量は、10〜70質量%の範囲内であればよく、20〜50質量%の範囲内が好ましく、30〜40質量%の範囲内が特に好ましい。
本発明の組成物には、必要に応じ、導電助剤及び/又は結着剤を配合してもよい。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて本発明の組成物に添加することができる。
導電助剤はその形状が特に制限されるものではないが、その役割からみて、平均粒子径は小さいほうが好ましい。導電助剤の好ましい平均粒子径を挙げると、10μm以下が良く、0.01〜1μmの範囲内がさらに好ましい。なお、平均粒子径は、一般的な粒度分布計で計測しても良いし、顕微鏡観察で計測し算出しても良い。
本発明の組成物における導電助剤の配合量は、表面改質正極活物質と第2正極活物質の合計配合量に対し、0.5〜20質量%の範囲内が良く、1〜10質量%の範囲内が好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。
結着剤は、正極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸、ポリ(p−スチレンスルホン酸)を挙げることができる。
本発明の組成物における結着剤の配合量は、表面改質正極活物質、第2正極活物質及び導電助剤の合計配合量に対し、0.5〜20質量%の範囲内であれば良く、1〜10質量%の範囲内が好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると組成物を正極活物質層とした場合に当該層の成形性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、正極活物質層における正極活物質の量が減少するため、好ましくない。
本発明の組成物を製造するには、各成分を同時に又は順に加えて混合装置で混合すればよい。
混合装置としては、混合攪拌機、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、遊星式攪拌脱泡装置を例示できる。具体的な混合装置としては、商品名ディスパーミキサー(プライミクス株式会社)、商品名クレアミックス(エム・テクニック株式会社)、商品名フィルミックス(プライミクス株式会社)、商品名ペイントコンディショナー(レッドデビル社)、商品名DYNO-MILL(株式会社シンマルエンタープライゼス)、商品名アイリッヒ インテンシブ ミキサー(日本アイリッヒ株式会社)、商品名脱泡機DP-200(エム・テクニック株式会社)、商品名あわとり練太郎(株式会社シンキー)を挙げることができる。混合装置における混合速度は、組成物の各成分が好適に分散若しくは溶解できる速度を適宜設定すればよい。
次に、表面改質正極活物質についての上記処理1〜処理4について説明する。本発明の表面改質正極活物質は、層状岩塩型の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料に対し、上記処理1〜処理4のいずれかを行うことで製造することができる。
層状岩塩型の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩などの金属塩を用いて従来の周知の製造方法に従い製造しても良いし、市販されているものを用いても良い。例えば、炭酸リチウム、硫酸ニッケル、硫酸マンガン及び硫酸コバルトを用いる場合には、次のように製造することができる。硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンを所定量含有する硫酸塩水溶液をアルカリ性にして共沈スラリーを得、これを乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得る。ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を水酸化ナトリウム含有の過硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、ニッケルコバルトマンガン複合オキシ水酸化物を合成する。ニッケルコバルトマンガン複合オキシ水酸化物に所定量の炭酸リチウムを混合し、焼成することにより、層状岩塩型の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料が得られる。得られた材料につき、適宜、粉砕処理を行い、所望の粒径にしても良い。
次に、上記処理1〜処理4について具体的に説明する。上記処理1〜処理4により、LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料の表面の組成がMnリッチに変化する。ただし、この変化は、材料全体の組成に影響を与える程度の変化ではない。
処理1乃至処理4にて用いられる金属塩としては、活物質に残留したとしても電池に対する影響が少ない金属硝酸塩が好ましい。金属硝酸塩としては、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸アルミニウム、硝酸コバルトを例示することができる。
処理1乃至処理4にて用いられるリン酸アンモニウム塩としては、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アンモニウムを例示することができ、特に、リン酸水素二アンモニウムが好ましい。また、リン酸アンモニウム塩水溶液を調製する方法としては、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム又はリン酸アンモニウムを水に溶解して調製する方法、リン酸及びアンモニアを混合する方法などを挙げることができる。処理1乃至処理4にて用いられるリン酸アンモニウム塩水溶液としては、弱アルカリ性のものが好ましい。
処理1乃至処理4で用いられる金属塩水溶液、リン酸アンモニウム塩水溶液、並びに金属塩及びリン酸アンモニウム塩を含有する水溶液は、その濃度が特に限定されるものではないが、それぞれ0.1〜20質量%の範囲内のものが好ましい。処理1乃至処理4における撹拌時間は適宜設定すればよく、概ね15分〜1時間程度である。
処理1乃至処理4の後に、表層の組成比がMnリッチに改質された表面改質正極活物質を乾燥及び/又は焼成すると良い。乾燥は表面改質正極活物質に付着した水分を除去するための工程であり、80〜150℃の範囲内で1〜10時間程度行えば良く、減圧条件下で行うのも効果的である。焼成は表面改質正極活物質の結晶性を整えるための工程であり、500〜1000℃の範囲内で1〜10時間程度行えば良い。焼成工程後に粉砕処理を行い、所望の粒径にしても良い。なお、乾燥工程及び焼成工程は表面改質正極活物質における組成比に特段の影響を与えない。
表面改質正極活物質は表層組成がMnリッチになっているのであるから、以下のように表現することができる。
一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質であって、少なくともNi、Co及びMnを含む金属酸化物でありNi、Co及びMnの組成比がNi:Co:Mn=b2:c2:d2(ただし、b2+c2+d2=1、0<b2<1、0<c2<c、d<d2<1)で表される高マンガン部を表層に有することを特徴とする正極活物質。
上記高マンガン部について説明する。高マンガン部は、少なくともNi、Co及びMnを含む金属酸化物であって、Ni、Co及びMnの組成比がNi:Co:Mn=b2:c2:d2(ただし、b2+c2+d2=1、0<b2<1、0<c2<c、d<d2<1)で表される。
上記b2、c2及びd2の値は上記条件を満足するものであれば制限はない。
b2は0<b2<80/100の範囲が好ましく、20/100<b2<70/100の範囲がより好ましく、25/100<b2<50/100の範囲がさらに好ましい。また、b2は0.5×b<b2<2×bの範囲が好ましく、0.8×b<b2<1.4×bの範囲がより好ましく、0.85×b<b2<1.1×bの範囲がさらに好ましく、0.88×b<b2≦0.96×bの範囲が特に好ましい。
c2は5/100<c2<cの範囲がより好ましく、10/100<c2<25/100の範囲がさらに好ましい。また、c2は、0.2×c<c2<0.9×cの範囲が好ましく、0.5×c<c2<0.88×cの範囲がより好ましく、0.63×c≦c2≦0.85×cの範囲がさらに好ましい。
d2は35/100<d2<85/100の範囲がより好ましく、36/100<d2<65/100の範囲がさらに好ましい。また、d2は、d<d2<85/100の範囲が好ましく、d<d2<75/100の範囲がより好ましく、d<d2<65/100の範囲がさらに好ましい。さらに、d2は、d<d2<2×dの範囲が好ましく、1.1d<d2<1.5×dの範囲がより好ましく、1.2×d<d2≦1.41×dの範囲がさらに好ましい。
「高マンガン部を表層に有する」とは、高マンガン部が量の多少に関わらず活物質の表層に存在することを意味する。高マンガン部が活物質の表層に存在しさえすれば、少なくとも高マンガン部よりも内部の活物質の安定性は保たれ、結果として、容量を維持する効果が発揮される。高マンガン部は活物質の表層全体に存在するのが容量の維持の面から好ましい。
表層とは、活物質の最表面を含む層を意味する。表層の厚みは、活物質の安定性の面からみると厚いほうが好ましいといえるが、電解液と活物質内部との接触を妨げるのに足りる厚みがあれば実用上の問題はない。Li充放電反応の進行のし易さを考慮すると、表層の厚みは薄いほうが好ましい。表層の厚みt(nm)は、例えば0<t<20である。
高マンガン部は表層において、点在してもよいし、層として存在しても良い。高マンガン部の層の厚みs(nm)は、例えば0<s<20であり、0.01<s<10が好ましく、0.1<s<5がより好ましく、1<s<3がさらに好ましく、1.5<s<2.5が最も好ましい。
また、高マンガン部は、活物質の表面から活物質中心方向に向かい、少なくとも2nmの範囲内に存在するのが好ましい。
高マンガン部の生成は、処理後の活物質の表面をX線光電子分光法で測定し、組成分析を行うことによって確認できる。高マンガン部が含まれる表層の厚みは、活物質を切断した切断面を、例えば、透過型電子顕微鏡で観察すること、又は、透過型電子顕微鏡と分散型X線分析装置を組み合わせたTEM−EDXで測定し、組成分析することで確認できる。また、活物質における表層以外の組成比は、活物質を切断した切断面を、例えば、透過型電子顕微鏡と分散型X線分析装置を組み合わせたTEM−EDXで測定することで確認できる。
なお、上記処理1乃至処理4の方法からみて明らかなように、表面改質正極活物質は、上記処理にてMnを添加していないにも関わらず、活物質表層の組成比がMnリッチに改質される。よって、この技術は、単にMn又はMn含有化合物を活物質に添加して活物質表面又はその付近に付着させる技術とは全く別のものである。また、上記処理1乃至処理4にてリン酸アンモニウム塩水溶液と活物質とを分離していること及び下記製造例の表面改質正極活物質からリンが検出されなかったことから明らかなように、表面改質正極活物質及び製造方法は、例えば特開2003−7299号公報に開示のリン含有層でコーティングした活物質及びその製造方法とは全く別個のものである。
上記処理1乃至処理4を行うことで、表面改質正極活物質の表層のMn組成比が高くなるが、反面、Co組成比が低くなる。Ni組成比は高くなる場合もあれば、低くなる場合もある。そして、上記処理にてMnを添加していないにも関わらず、活物質表層のMn組成比が高くCo組成比が低く改質されることを鑑みると、上記処理により、LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される材料の表層のCoが水溶液に溶出し(場合によってはNiも水溶液に溶出し)、その結果として、表層組成比の変化が生じたと推定できる。水溶液に対する溶出のし易さはCo、Ni、Mnの順と思われる。
そうであるとすれば、高マンガン部は、一般式:Lia3Nib3Coc3Mnd3e3f3(0.2≦a3≦1.7、b3+c3+d3+e3<1、0<b3≦b、0<c3<c、0<d3≦d、0≦e3<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f3≦2.1)で表すこともできる。
本発明の組成物を用いて正極活物質層を製造でき、さらに、該正極活物質層を具備する正極、及び該正極を具備するリチウムイオン二次電池を製造できる。
正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層で構成される。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状などの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが10μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
集電体の表面に正極活物質層を形成させる方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に本発明の組成物を塗布すればよい。具体的には、本発明の組成物を集電体の表面に塗布する塗布工程後、乾燥により溶剤を除去して正極活物質層を形成させ、正極とする。必要に応じて電極密度を高めるべく、乾燥後の正極を圧縮しても良い。なお、本発明の組成物は、経時安定性に優れているので、その調製直後に塗布工程に用いる必要はない。
リチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、正極、負極、セパレータ及び電解液を含む。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
集電体、結着剤及び導電助剤は、正極又は本発明の組成物で説明したものを採用すればよい。また、負極活物質層用の結着剤としてスチレン−ブタジエンゴムを採用しても良い。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物、あるいは高分子材料などを例示することができる。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示でき、特に、珪素(Si)又は錫(Sn)が好ましい。
リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOを例示でき、特に、SiO(0.3≦x≦1.6)が好ましい。また、リチウムと合金化反応可能な元素を有する元素化合物として、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などの錫化合物を例示できる。
高分子材料としては、具体的にポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンなどの合成樹脂を1種又は複数用いた多孔質膜、又はセラミックス製の多孔質膜が例示できる。
電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。電解液には、これらの溶媒を単独で用いてもよいし、又は、複数を併用してもよい。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
表面改質正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、活物質表層に安定な高マンガン部を有するので劣化しにくく、好適な容量維持率を示す。その結果として、表面改質正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、高電位駆動条件下でも良好な容量維持率を示すことができる。そのため、表面改質正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、大きな充放電容量を維持し、かつ優れたサイクル性能を有するものである。ここで、高電位駆動条件とは、リチウム金属に対するリチウムイオンの作動電位が4.3V以上、さらには4.5V〜5.5Vのことをいう。表面改質正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、正極の充電電位をリチウム基準で4.3V以上、さらには4.5V〜5.5Vとすることができる。なお、一般的なリチウムイオン二次電池の駆動条件においては、リチウム金属に対するリチウムイオンの作動電位は4.3V未満である。そして、本発明の組成物を用いて製造されたリチウムイオン二次電池は、分散剤無しの組成物を用いて製造されたリチウムイオン二次電池と同等の性能を示す。
リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。表面改質正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、大きな充放電容量を維持し、かつ優れたサイクル性能を有するため、これを搭載した車両は、高性能の車両となる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部又は一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例および比較例等を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
(製造例1)
上記処理1に従い、表面改質正極活物質を製造した。
共沈法で作成されたLiNi1/3Co1/3Mn1/3で表わされるリチウム複合金属酸化物を準備した。Mg(NOを5.8質量%含むMg(NO水溶液を調製した。別に、(NHHPOを4.0質量%含む(NHHPO水溶液を調製した。上記Mg(NO水溶液とリチウム複合金属酸化物を室温で混合した。この混合液に、(NHHPO水溶液を加え混合した。リチウム複合金属酸化物の水溶液に対する浸漬時間は1時間であった。浸漬後に濾過を行い、表面改質正極活物質を単離した。次いで、表面改質正極活物質を130℃で6時間乾燥した。その後、得られた表面改質正極活物質を、700℃、大気雰囲気下で、5時間加熱した。これらの処理により得られた生成物を製造例1の活物質とした。
(製造例2)
リチウム複合金属酸化物を水溶液に浸漬した時間を36時間に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、製造例2の活物質を作製した。
(製造例3)
各水溶液を、Mg(NOを3.0質量%含むMg(NO水溶液、(NHHPOを2.1質量%含む(NHHPO水溶液にそれぞれ変更した以外は、製造例1と同様の方法で、製造例3の活物質を作製した。
(製造例4)
上記処理3に従い、表面改質正極活物質を製造した。
(NHHPOを5.4質量%含む(NHHPO水溶液を調製した。共沈法で作成されたLiNi1/3Co1/3Mn1/3で表わされるリチウム複合金属酸化物を準備した。上記(NHHPO水溶液とリチウム複合金属酸化物を室温で1時間混合した。混合液を濾過し、表面改質正極活物質を単離した。次いで、表面改質正極活物質を130℃で6時間乾燥した。その後、得られた表面改質正極活物質を、700℃、大気雰囲気下で、5時間加熱した。これらの処理により得られた生成物を製造例4の活物質とした。
(製造例5)
共沈法で作成されたLiNi5/10Co2/10Mn3/10で表わされるリチウム複合金属酸化物を準備した。各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.4質量%含む(NHHPO水溶液、Mg(NOを1.4質量%含むMg(NO水溶液に変更した以外は、製造例1と同様の方法を用い、製造例5の活物質を得た。
(製造例6)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを4.0質量%含む(NHHPO水溶液、Mg(NOを14.0質量%含むMg(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例6の活物質を得た。
(製造例7)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.4質量%含む(NHHPO水溶液、Ba(NOを1.4質量%含むBa(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例7の活物質を得た。
(製造例8)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.9質量%含む(NHHPO水溶液、Ba(NOを3.5質量%含むBa(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例8の活物質を得た。
(製造例9)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.9質量%含む(NHHPO水溶液、Sr(NOを3.5質量%含むSr(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例9の活物質を得た。
(製造例10)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.2質量%含む(NHHPO水溶液、Al(NOを0.7質量%含むAl(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例10の活物質を得た。
(製造例11)
各水溶液につき、それぞれ(NHHPOを0.4質量%含む(NHHPO水溶液、Al(NOを1.4質量%含むAl(NO水溶液に変更した以外は、製造例5と同様の方法を用い、製造例11の活物質を得た。
各活物質についての処理前表層NiCoMn組成比及び処理後表層NiCoMn組成比、処理に用いた金属塩水溶液、並びに処理に用いたリン酸アンモニウム塩水溶液について、表1に示す。
Figure 2015170551
活物質の表層のNi、Co及びMn組成比は、活物質の表面をX線光電子分光法で測定することにより算出した。処理後の活物質の内部組成比が変化していないことはTEM−EDXで粒子断面方向からの内部組成を分析して確認した。また、処理後の活物質表層及び内部からのMgやPの信号はTEM−EDX分析の検出限界以下であった。
(実施例1)
遊星式攪拌脱泡装置を用いて、表面改質正極活物質として製造例5の活物質を35g、第2正極活物質として表面をカーボンコートしたLiFePOを15g、分散剤としてPVP K-30(株式会社日本触媒、粘度平均分子量40000)を0.4g、導電助剤としてアセチレンブラックを1.6g、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを1.6g(ポリフッ化ビニリデン8質量%含有のNMP溶液(株式会社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製のL#7208)を使用)、溶剤としてNMPを全量で約27g混合し、粘度10000mPa・s程度の組成物を得た。これを実施例1の組成物とした。
(実施例2)
分散剤としてPVP K-15(ISPジャパン株式会社、粘度平均分子量10000)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例2の組成物を得た。
(実施例3)
分散剤としてダイヤノール300(第一工業製薬株式会社)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例3の組成物を得た。
(実施例4)
分散剤としてDISPERBYK−2150(ビックケミー・ジャパン株式会社)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例4の組成物を得た。
(実施例5)
分散剤としてジョンクリル819(BASFジャパン株式会社、酸価75mgKOH/g、平均分子量14500、ガラス転移温度57℃)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例5の組成物を得た。
(実施例6)
分散剤としてジョンクリルJDX−C3000(BASFジャパン株式会社、酸価85mgKOH/g、平均分子量10000、ガラス転移温度65℃)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例6の組成物を得た。
(実施例7)
分散剤としてジョンクリル678(BASFジャパン株式会社、酸価215mgKOH/g、平均分子量8500、ガラス転移温度85℃)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例7の組成物を得た。
(実施例8)
分散剤としてジョンクリル804(BASFジャパン株式会社、ガラス転移温度70℃)を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例8の組成物を得た。
(比較例1)
分散剤を採用しなかった以外は、実施例1と同様の製造方法で、比較例1の組成物を得た。
<評価例1>
実施例1〜8、比較例1の組成物につき、製造直後の組成物の粘度を測定した。さらに、室温密閉状態で製造から3日後のそれぞれの組成物につき、粘度を測定した。粘度は、ブルックフィールドB型粘度計DV−II +Proにて、スピンドルSC4-31を用い、スピンドル回転速度2rpm、室温の条件で測定した。以下の計算式で粘度増加率を算出した。
粘度増加率(%)=100×(3日後粘度−製造直後粘度)/製造直後粘度
粘度増加率の一覧を表2に示す。
Figure 2015170551
表2の結果から、分散剤の種類を問わず、分散剤の存在により本発明の組成物の粘度増加率が抑制されたことがわかる。特に、ジョンクリル819、ジョンクリルJDX−C3000の存在による粘度増加率抑制効果は顕著であった。実施例5〜8の結果からみて、分散体がアクリル系の重合体の場合、その分子内にカルボン酸基などの酸性基を有し、かつ、酸価が100mgKOH/g未満のものが好ましいことがわかる。
(実施例9)
実施例1の組成物を用いて、実施例9のリチウムイオン二次電池を以下のとおり作製した。
正極は以下のように作製した。
正極用集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。該アルミニウム箔の表面に実施例1の組成物をのせ、ドクターブレードを用いて該組成物が膜状になるように塗布した。組成物を塗布したアルミニウム箔を80℃で20分間乾燥することで、NMPを揮発により除去し、アルミニウム箔表面に正極活物質層を形成させた。表面に正極活物質層を形成させたアルミニウム箔を、ロ−ルプレス機を用いて圧縮し、アルミニウム箔と正極活物質層とを強固に密着接合させた。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、厚さ40μm程度の正極を得た。
負極は以下のように作製した。
グラファイト98.3質量部と、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部及びカルボキシメチルセルロース(CMC)0.7質量部とを混合し、この混合物を適量のイオン交換水に分散させてスラリーを作製した。このスラリーを負極用集電体である厚み20μmの銅箔にドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。スラリーを塗布した集電体を乾燥後、プレスして接合物とした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、厚さ60μm程度の負極とした。
上記の正極および負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極および負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造の樹脂膜からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としては、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比3:3:4で混合した溶媒にLiPF6を1モル/Lとなるよう溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉された実施例9のラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。
(実施例10)
実施例1の組成物に替えて実施例2の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、実施例10のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例11)
実施例1の組成物に替えて実施例3の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、実施例11のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例12)
実施例1の組成物に替えて実施例4の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、実施例12のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例13)
実施例1の組成物に替えて実施例5の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、実施例13のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例14)
実施例1の組成物に替えて実施例6の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、実施例14のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
実施例1の組成物に替えて比較例1の組成物を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<評価例2>
実施例9〜14、比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の放電容量を測定した。各電池に対し、25℃、0.33Cレート、電圧4.5VでCCCV充電(定電流定電圧充電)し、そして、電圧3.0V、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行ったときの放電容量を測定した。さらに、充電容量20%の状態から10秒間放電させたときの電池の抵抗を測定した。
各二次電池の放電容量及び電池抵抗を表3に示す。
Figure 2015170551
実施例9〜14の各リチウムイオン二次電池は、正極活物質層に分散剤を含有しているにも関わらず、比較例2のリチウムイオン二次電池と同等の放電容量及び抵抗を示した。本発明の組成物を用いたリチウムイオン二次電池が正常に動作し、かつ、良好な放電容量及び抵抗を示すことが裏付けられた。

Claims (7)

  1. 下記処理1〜処理4のいずれかで処理した一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦1.7、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、Zr、S、Si、Na、K、Alから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)で表される正極活物質、分散剤及び溶剤を含むことを特徴とする組成物。
    (処理1)
    1−1)酸性の金属塩水溶液を準備する工程、
    1−2)該金属塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
    1−3)前記1−2)工程で得られた液とリン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
    1−4)前記1−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
    (処理2)
    2−1)リン酸アンモニウム塩水溶液を準備する工程、
    2−2)該リン酸アンモニウム塩水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
    2−3)前記2−2)工程で得られた液と酸性の金属塩水溶液を混合する工程、
    2−4)前記2−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
    (処理3)
    3−1)リン酸アンモニウム塩の水溶液、又は金属塩及びリン酸アンモニウム塩の水溶液を準備する工程
    3−2)該水溶液と上記一般式で表される材料を混合する工程、
    3−3)前記3−2)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
    (処理4)
    4−1)酸性の金属塩水溶液とリン酸アンモニウム塩水溶液をそれぞれ準備する工程、
    4−2)水と上記一般式で表される材料を混合する工程、
    4−3)前記4−2)工程で得られた液、前記金属塩水溶液及び前記リン酸アンモニウム塩水溶液を混合する工程、
    4−4)前記4−3)工程で得られた液から上記正極活物質を単離する工程を含む処理。
  2. 前記金属塩が金属硝酸塩である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記金属塩が硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸アルミニウム、硝酸コバルトのいずれかである請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記分散剤が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルアルコール若しくはアルキレンオキサイドから選択される少なくとも1種のモノマーを用いた重合体又はその誘導体、セルロース系ポリマー若しくはその塩、リン酸エステル若しくはその塩、ポリウレタン、脂肪酸アミド、アルキルアルコールアミン、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選択される1種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物から前記溶剤を除去した正極活物質層。
  6. 請求項5に記載の正極活物質層を具備する正極。
  7. 請求項6に記載の正極を具備するリチウムイオン二次電池。
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