JP6056685B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有し、小型、軽量で高い容量を持つ二次電池の開発が強く望まれている。現在、高容量二次電池としては、正極材料としてコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極材料として炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化されている。
リチウムイオン二次電池は、充放電の繰り返しや充電状態での高温保存によって電池容量が低下するという問題点がある。この原因として、充電時に正極近傍で電解液の酸化分解が生じ、酸化分解により生じた酸などによって正極活物質などの金属成分が溶出することが考えられている。正極活物質から金属成分が溶出すると、正極の容量が下がり、結果としてサイクル特性や高温保存特性が悪化する。また電解液の酸化分解や金属成分の溶出によって生じた、電解液の分解物や金属成分の溶出物は、正極側から負極側に移動して、負極表面で還元分解される。その結果、分解物が負極活物質表面に堆積し、その堆積物により、負極活物質へのリチウムの挿入が阻害され、結果としてサイクル特性や高温保存特性が悪化する。
サイクル特性や高温保存特性を改善するために、様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1では、正極活物質の表面に希土類水酸化物または希土類オキシ水酸化物の粒子を付着させることによって、正極活物質と電解液との反応を抑制し、高温保存試験後の容量維持率及び高温連続充電試験後の容量維持率を向上できることを開示している。
また特許文献2では、正極活物質の表面に金属フッ素化合物の粉末を付着させることでサイクル特性を向上できることを開示している。
しかし、これら特許文献1及び2に記載の技術では、正極活物質の表面に所定の粒子を付着させているため、この粒子よりなるコーティング層によって、電極抵抗が上がって電池容量が下がってしまうおそれがある。
特開2010−165657号公報 特表2008−536285号公報
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、正極活物質の表面に粒子を付着させることなく、高温保存特性を向上させることができるリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討した結果、正極活物質の表面に特定の元素が存在するように正極活物質の表面を改質処理することによって高温保存特性を高めることができることを見いだした。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法は、フッ化物塩を第一溶媒に溶解した第一処理液とエルビウム塩を第二溶媒に溶解した第二処理液とを混合した混合処理液と、リチウム含有酸化物よりなる正極活物質と、を混合する第1工程と、第1工程後の正極活物質を300℃以上600℃以下で焼成する第2工程と、を有し、第1工程においてフッ化エルビウムが析出しない条件で混合処理液と正極活物質とを混合し、第2工程において、F元素とEr元素とを含む改質表層部を正極活物質の表面に形成することを特徴とする。
上記処理方法を行うと、正極活物質の表面に粒子を析出させることなく、正極活物質の表面にF元素とEr元素とを含む改質表層部を形成させることができる。理由は明確ではないが、この処理方法を施した正極活物質をリチウムイオン二次電池に用いると、リチウムイオン二次電池の高温保存特性を向上させることができる。
リチウム含有酸化物はマンガンを含むことが好ましい。
リチウム含有酸化物は、層状岩塩型構造またはスピネル型構造を有することが好ましい。
リチウム含有酸化物は、一般式: LiCoNiMn (Dは、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe及びNaから選ばれる少なくとも一種であり、p+q+r+s=1、0≦p<1、0≦q<1、0<r≦1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状岩塩構造を有するリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。
リチウム含有酸化物は、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Mn1.5及びLiMnから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、粒子を析出させることなく表面を改質した改質表層部を有するリチウム含有酸化物よりなり、改質表層部はF元素とEr元素とを含むことを特徴とする。
リチウム含有酸化物は、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Mn1.5及びLiMnから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
他の本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法で処理されたことを特徴とする。
また本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法によれば、正極活物質の表面に粒子を析出させることなく、正極活物質の表面にF元素とEr元素とを含む改質表層部を形成させることができる。この処理方法を施した正極活物質をリチウムイオン二次電池に用いると、リチウムイオン二次電池の高温保存特性を向上させることができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質を説明する模式断面図である。 実施例1の正極活物質の走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)とエネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)で観察した画像である。 図2のSEM画像を拡大した画像である。
<リチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法は、第1工程と、第2工程とを有する。
第1工程では、フッ化物塩を第一溶媒に溶解した第一処理液とエルビウム塩を第二溶媒に溶解した第二処理液とを混合した混合処理液と、リチウム含有酸化物よりなる正極活物質と、を混合する。
フッ化物塩としては、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムを挙げることができる。
エルビウム塩としては、例えば、硝酸エルビウム、塩酸エルビウム、硫酸エルビウム、シュウ酸エルビウムを挙げることができる。
第一溶媒と第二溶媒とは、お互いに異なるものでもよいが、同じものが好ましい。溶媒としては、例えば、水、エタノール、エーテル、アセトンが挙げられる。
第1工程においてフッ化エルビウムが析出しない条件で混合処理液と正極活物質とを混合する。
フッ化エルビウムが析出しない条件とは、例えば、混合処理液の濃度調整、混合処理液と正極活物質との混合割合の調整、混合時の温度、混合時間が挙げられる。
混合処理液の濃度の調整は、第一処理液のフッ化物塩の濃度、第二処理液のエルビウム塩の濃度及び混合処理液の第一処理液と第二処理液との混合割合を調整することによって行うことができる。混合処理液の濃度の調整方法は適宜選択できる。例えば以下の条件で第1工程を行うことができる。
第一処理液におけるフッ化物塩の濃度は、50mmol/l以上200mmol/lであることが好ましい。
第二処理液におけるエルビウム塩の濃度は、50mmol/l以上200mmol/lであることが好ましい。
混合処理液における第一処理液と第二処理液との混合割合は、第一処理液:第二処理液=3:7〜7:3(体積比)が好ましい。混合割合がこの範囲から外れると、混合溶液中に反応に関与しないエルビウム塩あるいはフッ化物塩が多量に存在することになり、材料が無駄になる。
混合処理液と正極活物質との混合割合は、正極活物質:混合処理液=1:1〜1:5(質量比)が好ましい。正極活物質がこの範囲より多いと処理が不十分となり、混合処理液がこの範囲より多いと処理が過剰になる。
混合時間は0.5時間以上10時間以下が好ましい。混合時間が0.5時間より短いと反応が不十分であり、10時間より長くしてもそれ以上の反応はほとんど起こらない。
混合時の温度はほとんど処理に影響を与えないので、特に限定されない。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法によって、正極活物質の表面に改質表層部が形成される。正極活物質はリチウム含有酸化物よりなる。改質表層部では、正極活物質の酸素の一部がフッ素に置換され、正極活物質の表面にエルビウムがドープされると推測される。正極活物質は、正極活物質の表面に改質表層部を有することにより、正極活物質の結晶構造が安定すると推測される。そのため、電池の充放電によってリチウムが正極活物質から出入りしても、結晶構造が安定しているため、他の金属成分が溶出しにくいと推測される。
リチウム含有酸化物はマンガンを含むことが好ましい。マンガンを含むリチウム含有酸化物は、マンガンが電解液に溶出されやすい。そのため上記処理方法による効果が顕著に表れる。
リチウム含有酸化物は、層状岩塩型構造またはスピネル型構造を有することが好ましい。層状岩塩型構造またはスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物は第1工程時にリチウムとエルビウムのイオン交換反応が起こりやすい。そのため、層状岩塩型構造またはスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物は、改質表層部が形成されやすい。
リチウム含有酸化物は、一般式: LiCoNiMn (Dは、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe及びNaから選ばれる少なくとも一種であり、p+q+r+s=1、0≦p<1、0≦q<1、0<r≦1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状岩塩構造を有するリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。
リチウム含有酸化物は、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Mn1.5及びLiMnから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
正極活物質は、粉末形状であることが好ましく、その平均粒径D50は1μm〜20μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがさらに好ましい。正極活物質の平均粒径D50は、正極活物質としての使用に適した大きさであればよい。なお正極活物質の平均粒径D50に応じて処理条件を制御してやれば、平均粒径D50の大きさにかかわらず各平均粒径D50を有する正極活物質に処理が可能である。ただし、正極活物質の平均粒径D50が1μmより小さいと正極活物質が凝集しやすくなるので、正極活物質と混合処理液とを混合しにくくなるおそれがある。
正極活物質の平均粒径D50は、粒度分布測定法によって計測できる。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径のことである。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
第1工程後で第2工程の前に濾過工程を行ってもよい。濾過工程において、第1工程後の混合処理液から正極活物質を濾過して分離すればよい。
第2工程において、第1工程後の正極活物質を300℃以上600℃以下の温度で焼成する。第2工程は3時間〜10時間程度行えばよい。正極活物質を300℃よりも低い温度で焼成すると、正極活物質から水分が十分に除去されず、正極活物質を600℃よりも高い温度で焼成するとエルビウムが正極活物質の内部まで拡散し、表面保護の効果が弱まる。
また第2工程の前にさらに乾燥工程を加えてもよい。乾燥工程は、濾過物を120℃程度の温度の乾燥炉に入れて6時間〜12時間乾燥すればよい。
第2工程において、F元素とEr元素とを含む改質表層部を正極活物質の表面に形成する。第1工程と第2工程とを行うことによって、詳細は不明であるが、正極活物質の表面にフッ化エルビウム粒子が析出することなく、正極活物質の表面にF元素とEr元素とを含む改質表層部が形成される。
図1に本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質を説明する模式断面図を示す。図1に記載のように、正極活物質1の表面全体に改質表層部2が配置される。
改質表層部の厚みは1nm以上100nm以下であることが好ましい。改質表層部の厚みが1nmよりも薄いと表面保護の効果が小さく、改質表層部の厚みが100nmよりも厚くなると電池の抵抗が高くなる。
改質表面部の厚みは、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質を切断した切断面を、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すること、または、透過型電子顕微鏡と分散型X線分析装置を組み合わせたTEM−EDXで測定し、組成分析することで確認できる。
正極活物質の表面の改質表層部にF元素とEr元素の両方が含まれると、理由は明確ではないが、正極活物質の表面はフッ酸に対する耐性が高くなり、正極活物質の表面から金属成分が溶出することが抑制される。またその正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は高温保存特性が向上する。
ここで正極活物質の表面には、フッ化エルビウム粒子は付着していないため、電極抵抗が高くなりにくい。
<リチウムイオン二次電池用正極活物質>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、粒子を析出させることなく表面を改質した改質表層部を有するリチウム含有酸化物よりなり、改質表層部はF元素とEr元素とを含むことを特徴とする。
リチウム含有酸化物、改質表層部の説明は、上記処理方法で説明したものと同じである。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、上記した正極活物質の処理方法で処理されることによって得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、その平均粒径D50が1μm〜20μmである粉末形状であることが好ましく、5μm〜10μmであることがさらに好ましい。平均粒径D50が1μmより小さいと正極活物質の比表面積が大きくなり正極活物質と電解液との反応面積が増える。正極活物質の平均粒径D50が20μmより大きいとリチウムイオン二次電池の抵抗が大きくなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が下がるおそれがある。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述したリチウムイオン二次電池用正極活物質を有する。
正極は、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質が結着剤で結着されてなる正極活物質層が、集電体に付着してなる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体に用いることのできる材料として、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属材料または導電性樹脂を挙げることができる。また集電体は、箔、シート、フィルムなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体の厚みは、10μm〜100μmであることが好ましい。
正極活物質層はさらに導電助剤を含んでもよい。正極は、正極活物質および結着剤、並びに必要に応じて導電助剤を含む正極活物質層形成用組成物を調製し、さらにこの組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
正極活物質層形成用組成物の塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
粘度調整のための溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。
結着剤は、上記正極活物質及び導電助剤を集電体に繋ぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンおよびフッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリ酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリイミドおよびポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、並びにスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムを用いることができる。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、例えば、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて添加することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、正極に含有される活物質100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度とすることができる。
(その他の構成要素)
本発明のリチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、上記した正極に加えて、負極、セパレータ、電解液を有する。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質、結着剤を含み、必要に応じて導電助剤を含む。集電体、結着剤、導電助剤は正極で説明したものと同様である。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを用いることができる。
炭素系材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素として、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb及びBiが例示される。中でも、リチウムと合金化可能な元素は、珪素(Si)または錫(Sn)であるとよい。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、例えば、ZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOが使用できる。リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、珪素化合物または錫化合物が好ましい。珪素化合物としては、SiO(0.5≦x≦1.5)が好ましい。錫化合物としては、例えば、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)が好ましい。
高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロールが使用できる。
負極活物質は粉末形状であることが好ましい。負極活物質が粉末形状の場合、負極活物質の平均粒径D50は0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。負極活物質の平均粒径D50が0.1μmより小さいと、負極活物質の粉末の比表面積が大きくなり、負極活物質の粉末と電解液との接触面積が大きくなって、電解液の分解が進んでしまい、サイクル特性が悪くなる。また、負極活物質の平均粒径D50が30μmより大きいと、電極全体の導電性が不均一になり、充放電特性が低下する。負極活物質の平均粒径D50は、粒度分布測定法によって計測できる。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
溶媒として、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンが使用できる。鎖状エステル類として、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルが使用できる。エーテル類として、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンが使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。
電解液として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。上記リチウムイオン二次電池は、優れた放電容量を有するため、そのリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、出力の面で高性能となる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法及びリチウムイオン二次電池用正極活物質およびそれを有するリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<正極活物質の処理の準備>
正極活物質として平均粒径D50が10μmのNCM523(LiNi0.5Co0.2Mn0.3)を準備した。第1処理液及び第2処理液の材料として、純水と、NHF(関東化学株式会社製)と、Er(NO・5HO(株式会社高純度化学研究所製)と、Al(NO・9HO(株式会社高純度化学研究所製)を準備した。
(実施例1)
<第一処理液の作成>
純水にNHFを50mmol/Lの濃度で溶解して第一処理液とした。
<第二処理液の作成>
純水にEr(NO・5HOを50mmol/Lの濃度で溶解して第二処理液とした。
<混合処理液の作成>
第一処理液と第二処理液とを1:1の体積比で混合し、攪拌して混合処理液とした。
<正極活物質の処理>
混合処理液100mlにNCM523を30g入れ、室温でガラス製ビーカーを用いて5時間攪拌した。攪拌後の混合処理液を吸引濾過し、スラリー状の濾過物を120℃で6時間乾燥した。塊状になった乾燥後の濾過物を乳棒および乳鉢を用いて粉砕し、坩堝にいれて400℃で5時間焼成した。焼成後に正極活物質の平均粒径D50が10μmとなるように乳棒および乳鉢を用いて粉砕し、実施例1の正極活物質を得た。
(実施例2)
第一処理液のNHFの濃度を100mmol/Lとし、第二処理液のEr(NO・5HOの濃度を100mmol/Lとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質を得た。
(実施例3)
第一処理液のNHFの濃度を200mmol/Lとし、第二処理液のEr(NO・5HOの濃度を200mmol/Lとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の正極活物質を得た。
(比較例1)
混合処理液の代わりに、第一処理液を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の正極活物質を得た。
(比較例2)
混合処理液の代わりに、第一処理液を用いた以外は実施例2と同様にして比較例2の正極活物質を得た。
(比較例3)
混合処理液の代わりに、第一処理液を用いた以外は実施例3と同様にして比較例3の正極活物質を得た。
(比較例4)
未処理のNCM523を比較例4の正極活物質とした。
(比較例5)
第二処理液として、純水にAl(NO・9HOを50mmol/Lの濃度で溶解したものを用いた以外は実施例1と同様にして比較例5の正極活物質を得た。
(比較例6)
第二処理液として、純水にAl(NO・9HOを100mmol/Lの濃度で溶解したものを用いた以外は実施例2と同様にして比較例6の正極活物質を得た。
(比較例7)
第二処理液として、純水にAl(NO・9HOを200mmol/Lの濃度で溶解したものを用いた以外は実施例3と同様にして比較例7の正極活物質を得た。
<SEM−EDX観察>
実施例1の正極活物質の表面観察をSEM−EDX装置で行った。図2に実施例1の正極活物質のSEM−EDX装置による画像を示す。図2の(a)がSEM画像で、図2の(b)がF元素を測定したEDX画像であり、図2の(c)がEr元素を測定したEDX画像である。図2の(a)(b)(c)より、F元素及びEr元素が正極活物質の表面の全体に存在することがわかった。
また図3に図2のSEM画像の拡大画像を示す。図2の(a)のSEM画像と図3のSEM画像とを見ると、実施例1の正極活物質は、一次粒子が集合して二次粒子を形成していた。また図3の画像からもわかるように正極活物質の一次粒子の表面には、他の粒子は析出していないことがわかった。
[ラミネート型リチウムイオンリチウムイオン二次電池の作製]
(実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。
まず実施例1の正極活物質と、導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部の割合で混合し、この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。ドクターブレードを用いて集電体の表面にスラリーを膜状に塗布し、80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を密着接合させた。この時電極密度は3.2g/cmとなるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極とした。正極活物質層の厚さは40μm程度であった。
負極は以下のように作製した。負極活物質として、平均粒子径D50が4μmのSiO(アルドリッチ社製)及び黒鉛(平均粒子径D50が20μmの天然黒鉛(日立化成工業株式会社製))を準備した。バインダー樹脂としてアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名コンポセラン、品番H900−2)を準備した。導電助剤としてケッチェンブラックインターナショナル社製のKB(ケッチェンブラック)を準備した。
上記負極活物質、導電助剤及びバインダー樹脂を、SiO:黒鉛:導電助剤:バインダー樹脂=22:60:3:15の質量比で混合した。ここで、黒鉛の質量とSiOの質量を合計したものを100質量%としたときに、SiOの配合割合は27質量%である。上記混合物に、溶媒としてNMPを適量入れて調整してスラリーとし、負極活物質層用スラリートした。
負極の集電体として20μmの銅箔を準備し、銅箔にドクターブレードを用いて、上記負極活物質層用スラリーを膜状に塗布した。負極活物質層用スラリーが塗布された銅箔を80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した後、ロ−ルプレス機により、プレスして接合物を得た。この時電極密度は1.6g/cmとなるようにした。接合物を200℃で2時間、真空乾燥機で加熱した後、所定の形状(26mm×31mmの矩形状)に切り取り、負極活物質層の厚さが20μmの負極とした。
上記の正極および負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極および負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としてエチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)をEC:EMC:DMC=3:3:4(体積比)で混合した溶媒にLiPF6を1モル/lとなるように溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
また、作製したラミネート型リチウムイオン二次電池に対してコンディショニング処理を実施した。コンディショニング処理では、作製したラミネート型リチウムイオン二次電池を4.5Vまで段階的に充電し、最終的に1Cレートで4.5Vまで充電後、5時間CV充電した。そして、0.33Cレートで2.5Vまで放電後、2.5Vで5時間CV放電した。
(実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を実施例2の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を実施例3の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例1の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例2の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例3の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例4のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例4の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例4のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例5の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例6のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例6の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例6のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例7のラミネート型リチウムイオン二次電池)
実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質を比較例7の正極活物質とした以外は実施例1と同様にして、比較例7のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<初期放電容量測定>
実施例1〜3及び比較例1〜7のラミネート型リチウムイオン二次電池を用いて初期放電容量を測定した。
初期放電容量測定は以下のように行った。室温で0.33Cレート、電圧4.5VまでCC充電(定電流充電)をした後、電圧4.5Vで1.5時間CV充電(定電圧充電)をした。そして電圧2.5Vまで、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行い、電圧2.5Vで2時間CV放電をした。その後、0.33Cにおける放電容量を測定し、初期放電容量とした。
<60℃保存試験>
実施例1〜3および比較例1〜7のラミネート型リチウムイオン二次電池について、60℃保存試験を行った。この試験では、実施例1〜3および比較例1〜7のラミネート型リチウムイオン二次電池に対して以下の条件で充放電試験を一回行い、再度充電した電池を60℃の恒温槽に6日間静置した。充電の際は60℃においてSOC(State of charge)90%時の電圧(4.3V)で、1CレートでCCCV充電(定電流定電圧充電)をした。そして充電後の電圧で一時間保持した。その後の放電の際は2.5V、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行った。
ここで保存試験は充電した状態が維持されるので、電解液と活物質との間で副反応を起こしやすく、ラミネート型リチウムイオン二次電池は自己放電しやすい。
この保存試験後に室温に戻し、初期放電容量の測定と同じ条件で放電容量を測定し、保存後容量とした。
結果を表1に示す。なお容量維持率(%)は、容量維持率(%)=(保存試験後の放電容量/初期容量)×100の式で計算した。
<負極のMn量測定>
実施例1〜3および比較例1〜4のラミネート型リチウムイオン二次電池について60℃保存試験後の負極のMn量を測定した。60℃保存試験後の各ラミネート型リチウムイオン二次電池を解体し、各負極を分離した。分離した負極をジメチルカーボネート(DMC)で洗浄し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)で負極のMn量を測定した。
結果を表1に示す。
表1の結果から、未処理の正極活物質を用いた比較例4のラミネート型リチウムイオン二次電池の負極のMn量が15μgだったのに対して、比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の負極のMn量は、8.8μg〜9.5μgと少なくなった。このことから正極活物質の表面にフッ素(F)元素が存在するとMnの溶出が抑制されることがわかった。さらに、実施例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の負極のMn量は、0.9μg〜1.3μgと劇的に低減した。このことから、正極活物質の表面にF元素とEr元素の両方が存在すると、理由は明確ではないが、Mnの溶出が劇的に抑制されることがわかった。
高温保存試験の容量維持率(%)を比較すると、実施例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の高温保存試験の容量維持率(%)が、比較例1〜7のラミネート型リチウムイオン二次電池の高温保存試験の容量維持率(%)に比べて大幅に高くなった。比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池及び比較例5〜7のラミネート型リチウムイオン二次電池の高温保存試験の容量維持率(%)は未処理の正極活物質を用いた比較例4のラミネート型リチウムイオン二次電池の高温保存試験の容量維持率(%)とほとんど変わりはなかった。ここで、第二処理液にAl(NO・9HOを使用した比較例5の正極活物質の表面を観察したところ、比較例5の正極活物質の表面にAl元素が存在することが確認できた。これによりF元素とAl元素が正極活物質の表面に存在しても高温保存試験の容量維持率(%)は高くならないことがわかった。
以上のことから、正極活物質の表面にF元素とEr元素とが存在すると、ラミネート型リチウムイオン二次電池の高温保存試験の容量維持率(%)が大幅に向上することがわかった。
1:正極活物質、2:改質表層部。

Claims (6)

  1. フッ化物塩を第一溶媒に溶解した第一処理液とエルビウム塩を第二溶媒に溶解した第二処理液とを混合した混合処理液と、マンガンを含むリチウム含有酸化物よりなる正極活物質と、を混合する第1工程と、
    前記第1工程後の前記正極活物質を300℃以上600℃以下で焼成する第2工程と、
    を有し、
    前記第1工程においてフッ化エルビウムが析出しない条件で前記混合処理液と前記正極活物質とを混合し、
    前記条件が、前記第一溶媒及び前記第二溶媒が水であり、かつ、前記第一処理液における前記フッ化物塩の濃度が50mmol/l以上200mmol/l以下であり、前記第二処理液における前記エルビウム塩の濃度は、50mmol/l以上200mmol/l以下を満足する条件であり、
    前記第2工程において、F元素とEr元素とを含み、厚みが1nm以上100nm以下である改質表層部を前記正極活物質の表面に形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法。
  2. 前記リチウム含有酸化物は、層状岩塩型構造またはスピネル型構造を有する請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法。
  3. 前記リチウム含有酸化物は、一般式: LiCoNiMn (Dは、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe及びNaから選ばれる少なくとも一種であり、p+q+r+s=1、0≦p<1、0≦q<1、0<r≦1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状岩塩構造を有するリチウム含有複合酸化物である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法。
  4. 前記リチウム含有酸化物は、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Mn1.5及びLiMnから選択される少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の処理方法で処理されることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いて正極を製造する工程を有する、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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