JP2015168995A - 組み合わせ鋼矢板、鋼矢板壁、および組み合わせ鋼矢板の施工方法 - Google Patents

組み合わせ鋼矢板、鋼矢板壁、および組み合わせ鋼矢板の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の曲げ剛性、壁厚制限を満足する経済的かつ施工性に優れた組み合わせ鋼矢板および該組み合わせ鋼矢板の施工方法を構築する。
【解決手段】幅方向中央に位置する中央フランジ部5、幅方向両端に位置する継手部8、および中央フランジ部5と継手部8との間に介在するウェブ部7を有し、断面形状において1対の継手部8を結ぶ仮想線と、中央フランジ部5と、その両側の1対のウェブ部7とによって山形領域Cが形成される鋼矢板2と、中央フランジ部5の山形領域C側の面に接合される第1の鋼材3と、中央フランジ部5の山形領域Cとは反対側の面に接合される第2の鋼材4とを備え、鋼矢板2、第1の鋼材3および第2の鋼材4を合わせた断面形状における重心Gが第1の鋼材3の断面内に位置する、組み合わせ鋼矢板1が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼矢板に鋼材を接合することによって形成される組み合わせ鋼矢板、組み合わせ鋼矢板を用いて構築される鋼矢板壁、および組み合わせ鋼矢板の施工方法に関する。
鋼矢板は、土木建築工事において、土留めや止水のための鋼矢板壁を構築するために広く利用されている。土圧や水圧に抵抗するために、鋼矢板には特に長手方向について高い曲げ剛性が求められる。そのため、例えばハット形鋼矢板やU形鋼矢板のように、断面形状を屈曲させることによって長手方向の曲げ剛性を高めた鋼矢板が普及している。
こうしたハット形鋼矢板やU形鋼矢板よりもさらに高い曲げ剛性を得るために、鋼矢板にH形鋼やT形鋼などの鋼材を接合した組み合わせ鋼矢板が採用されることもある。例えば、特許文献1,2には、ハット形鋼矢板またはU形鋼矢板のフランジ部にH形鋼を接合した組み合わせ鋼矢板が記載されている。
なお、特許文献1,2では、鋼矢板にH形鋼が接合される部分、すなわち鋼矢板壁の壁面に平行な部分をウェブ部、ウェブ部の間の壁面に対して傾斜した部分をフランジ部と称しているが、他の文献も含め、従来技術におけるウェブ部およびフランジ部の定義は一定していない。本明細書では、壁面に平行な部分をフランジ部と称し、フランジ部の間の壁面に対して傾斜した部分をウェブ部と称する。
特許第4798251号公報 特許第4943218号公報
ここで、上記の特許文献1,2に示されている、ハット形鋼矢板の断面形状は、壁面に平行な方向(以下、幅方向という。また壁面に直交する方向を幅直交方向という。)である幅方向中央に位置する平坦な中央フランジ部と、幅方向両端に位置し中央フランジ部に略平行な1対の両端フランジ部と、中央フランジ部と両端フランジ部との間に介在しこれらのフランジ部に対して傾斜した1対のウェブ部と、両端フランジ部のそれぞれの端部に設けられる1対の継手部とを含んでいる。ここでは、1対の継手部を結ぶ仮想線と、中央フランジ部と、その両側の1対のウェブ部とによって囲まれる、中央フランジ部を頂部とする山形の領域が形成されている。
そして、ハット形鋼矢板の中央フランジ部の山形の領域側(以下、鋼矢板の内側ともいう)にH形鋼のフランジ部を接合した組み合わせ鋼矢板(以下、A形組み合わせ鋼矢板ともいう)と、上記の山形とは反対側(以下、鋼矢板の外側ともいう)にH形鋼のフランジ部を接合した組み合わせ鋼矢板(以下、Y形組み合わせ型鋼矢板ともいう)とが記載されている。
上記のような組み合わせ鋼矢板は、例えば、振動工法の一つであるバイブロハンマーのチャック装置によってH形鋼のウェブ部の長手方向の端部を把持した状態で打設されることが一般的である。このとき、把持位置が組み合わせ鋼矢板の断面形状における重心に対応していることが、打設荷重を効率的に組み合わせ鋼矢板に伝達させる観点から好ましい。それ以外の位置を把持した場合、打設荷重の伝達効率にロスが生じ、鋼矢板の打設速度が低下する等の施工性の低下に繋がる可能性がある。
また、上記のような組み合わせ鋼矢板の打設においては、打設中の長手方向の鉛直性を保つために、既設の組み合わせ鋼矢板の継手と継手同士を嵌合させ継手の動きを拘束させている。よって、組み合わせ鋼矢板の継手と把持位置との距離が長いほど、打設中の組み合わせ鋼矢板の一対の継手のうち嵌合させてない側の継手は拘束が無いため、バイブロハンマーの振動の影響を受けてバタツキが発生し易くなる。また、嵌合側の継手には作用する偏心荷重が大きくなることで継手が変形し易くなることや、継手に発生する抵抗も大きくなることによって、打設中の長手方向の鉛直性を保つことが難しくなる可能性がある。よって、組み合わせ鋼矢板の打設においては、把持位置が断面形状における重心位置に対応しており、継手と把持位置との距離が短い方が好ましい。
A形組み合わせ鋼矢板の場合、断面形状における重心は鋼矢板の内側のH形鋼部分に位置する。従って、バイブロハンマーのチャック装置などを用いてH形鋼の長手方向の端部を把持することで、鋼矢板の重心に対応する位置を把持することができる。ただし、同じ断面形状の鋼矢板およびH形鋼の断面形状を使用する場合、A形組み合わせ鋼矢板の断面二次モーメントはY形組み合わせ鋼矢板よりも小さくなる。従って、A形組み合わせ鋼矢板でY形組み合わせ鋼矢板と同じ曲げ剛性を確保するためには、例えばウェブ長さがより長いH形鋼を使用する必要があり、Y形組み合わせ鋼矢板よりも鋼材使用量が増加することによって経済性が低下する可能性がある。
一方、同じ断面形状の鋼矢板およびH形鋼の断面形状を使用する場合、Y形組み合わせ鋼矢板の方がA形組み合わせ鋼矢板の断面二次モーメントよりも大きくなるため、所望の断面二次モーメントをA形組み合わせ鋼矢板よりも獲得し易くなり有利である。また仮にY形組み合わせ鋼矢板でA形組み合わせ鋼矢板と同じ曲げ剛性を確保する場合、A形組み合わせ鋼矢板よりも鋼材使用量が減少するため、経済的に有利である。
そして、Y形組み合わせ鋼矢板の場合、H形鋼のウェブ長さが長ければ断面形状における重心が鋼矢板の外側のH形鋼部分に位置する場合があり、この場合、バイブロハンマーのチャック装置などを用いてH形鋼の長手方向の端部を把持することで、重心に対応する位置を把持することができるため、打設荷重を効率的に鋼矢板に伝達させることが出来る。
ただし、敷地制約に伴う壁厚の制限値がある場合、鋼矢板の外側にウェブの長いH形鋼を配したY形組み合わせ鋼矢板が適用出来なくなる場合がある。壁厚制約を満足させようとした場合、所望の断面二次モーメントを維持したままH形鋼のウェブの長さを短くするために、たとえば、H形鋼のウェブやフランジの板厚を増加させることが考えられる。
しかし、このようなY形組み合わせ鋼矢板は、鋼材使用量が増加し、経済的に不利になる。またこのようなY形組み合わせ鋼矢板の打設において、外側のH形鋼に存在する重心位置を把持した場合、一般的な鋼矢板の打設に行われるフランジ位置を把持位置とする場合に比べて、把持位置と継手位置からの距離が長くなるため、打設中の組み合わせ鋼矢板の一対の継手のうち嵌合させてない側の継手は拘束が無いため、バイブロハンマーの振動の影響を受けてバタツキが発生し易くなる。また、嵌合側の継手には作用する偏心荷重が大きくなることで継手が変形し易くなり、打設中の長手方向の鉛直性を保つことが難しくなる可能性がある。また、H形鋼のウェブ長さが短い場合など、Y形組み合わせ鋼矢板の断面形状における重心が鋼矢板の内側に位置してしまう場合がある。この場合、重心に対応する位置を把持するためには、鋼矢板のウェブ部2カ所を、ダブルチャックと呼ばれる専用のバイブロハンマーのチャック装置によって把持する必要がある。しかしながら、ダブルチャックは通常のチャック装置(シングルチャック)に比べて一般的に用いられる装置ではないため、簡便な施工を実現することは難しい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、所望の曲げ剛性を確保しつつ、壁厚制限を満足し、経済的で簡便かつ良好な施工性を有する、新規かつ改良された組み合わせ鋼矢板、鋼矢板壁、および組み合わせ鋼矢板の施工方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、幅方向中央に位置する中央フランジ部、幅方向両端に位置する継手部、および中央フランジ部と継手部との間に介在するウェブ部を有し、断面形状において1対の継手部を結ぶ仮想線と中央フランジ部とウェブとによって囲まれる山形領域が形成される鋼矢板と、中央フランジ部の山形領域側の面に接合される第1の鋼材と、中央フランジ部の山形領域とは反対側の面に接合される第2の鋼材とを備え、鋼矢板、第1の鋼材および第2の鋼材を合わせた断面形状における重心が第1の鋼材の断面内に位置する組み合わせ鋼矢板が提供される。
上記の組み合わせ鋼矢板において、第1の鋼材および第2の鋼材は、それぞれ、H形鋼またはT形鋼であってもよい。また、断面形状における重心は、鋼矢板、第1の鋼材、および第2の鋼材の断面積、板厚および長手方向の長さに基づいて特定されてもよい。
また、断面形状における重心と幅方向両端に位置する1対の継手部を結ぶ線分を半径とする仮想円が描かれ、前記仮想円の略同心円上に、第2の鋼材の幅直交方向の最外縁が位置していてもよい。また、断面形状において第1の鋼材が山形領域から突出しなくてもよい。
上記の組み合わせ鋼矢板では、長手方向について、鋼矢板、第1の鋼材、または第2の鋼材のうちの少なくとも1つの長さが他とは異なってもよい。この場合、組み合わせ鋼矢板が打設された状態において、第1の鋼材が鋼矢板よりも上方まで突出してもよい。また、組み合わせ鋼矢板が水中の地盤(以下、水底地盤)に打設された状態において、第1の鋼材は水面上に突出してもよい。また、鋼矢板は、前記ウェブ部と前記継手部との間に両端フランジ部が設けられるハット形鋼矢板、または前記ウェブ部の端部に前記継手部が設けられるU形鋼矢板やウェブ部および該ウェブの両端に反対方向に壁方向に延伸する端部に継手を有する1対のフランジからなるZ形状の鋼矢板であって、継手を嵌合させてハット形状にした2枚で一組となるZ形鋼矢板であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の組み合わせ鋼矢板を、継手部で他の組み合わせ鋼矢板または他の鋼矢板に継ぎ合わせて構築される鋼矢板壁が提供される。本発明のさらに別の観点によれば、上記の組み合わせ鋼矢板の断面形状における重心位置を把持する振動工法による施工方法であって、打設時に第1の鋼材の長手方向の端部で組み合わせ鋼矢板を把持する、組み合わせ鋼矢板の施工方法が提供される。
鋼矢板、第1の鋼材および第2の鋼材を合わせた断面形状における重心が第1の鋼材の断面内に位置することによって、打設時に重心位置を把持することで、打設荷重を効率的に組み合わせ鋼矢板に伝達させることができる。さらに、Y形組み合わせ鋼矢板が第2鋼材を把持位置とするのに比べて、把持位置と継手位置との距離が短くなることで、嵌合させていない側の継手のバタツキが抑制されるとともに、嵌合側の継手に作用する偏心荷重が小さくなるため、打設中の長手方向の鉛直性を保つことができる。
以上説明したように本発明によれば、所望の曲げ剛性を確保しつつ、壁厚制限を満足し、経済的で簡便かつ良好な施工性を有する組み合わせ鋼矢板を実現させることができる。
本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の設計例を、従来の組み合わせ鋼矢板と比較して示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状の変形例の第1の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状の変形例の第2の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の長手方向端部の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第1の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第2の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第3の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板によって構築される鋼矢板壁の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板によって構築される鋼矢板壁の例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.組み合わせ鋼矢板の構成)
(1−1.断面形状)
図1は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状を示す図である。図1を参照すると、組み合わせ鋼矢板1は、鋼矢板2と、内側H形鋼3と、外側H形鋼4とを含む。
鋼矢板2は、ハット形鋼矢板であり、幅方向(図中のx軸方向。以下の図において同じ)中央に位置する平坦な中央フランジ部5と、幅方向両端に位置し中央フランジ部5に略平行な1対の両端フランジ部6と、中央フランジ部5と両端フランジ部6との間に介在しこれらのフランジ部に対して傾斜した1対のウェブ部7と、両端フランジ部6のそれぞれの端部に設けられる1対の継手部8とを含む。ここで、鋼矢板2の断面形状では、1対の継手部を結ぶ仮想線と、中央フランジ部5と、その両側の1対のウェブ部7とによって囲まれる、中央フランジ部5を頂部とする山形の領域Cが形成されている。
内側H形鋼3は、1対のフランジ部9と、ウェブ部10とを含む。フランジ部9の一方は、鋼矢板2の中央フランジ部5の領域C側(内側)の面に、公知の各種の手法によって接合される。例えば、鋼矢板2と内側H形鋼3とは、溶接によって接合されてもよく、ボルトやリベット、ビスなどの締結手段によって接合されてもよい。
後述するように、鋼矢板2、内側H形鋼3、および外側H形鋼4を合わせた組み合わせ鋼矢板1の断面(図中のx−y平面)形状における重心Gは、内側H形鋼3の断面内に位置する。より具体的には、重心Gは、内側H形鋼3のウェブ部10に位置する。従って、組み合わせ鋼矢板1の打設時の把持領域Pも、ウェブ部10の長手方向の端部に設定される。なお、多くのバイブロハンマーのチャック装置において、把持部の幅は最大200mm程度であるため、把持領域Pは、高さ方向(図中のy軸方向。以下の図において同じ)について、200mm以上の長さを有することが望ましい。もちろん、例えば使用するバイブロハンマーのチャック装置が固定されているような場合、把持領域Pの長さは、使用するチャック装置の把持部の幅に応じて200mm未満であってもよい。
外側H形鋼4は、1対のフランジ部11と、ウェブ部12とを含む。フランジ部11の一方は、鋼矢板2の中央フランジ部5の領域Cとは反対側(外側)の面に、内側H形鋼3のフランジ部9と同様に公知の各種の手法によって接合される。なお、本実施形態では、鋼矢板2の中央フランジ部5の両面に内側H形鋼3と外側H形鋼4とがそれぞれ接合されるため、例えばそれぞれのH形鋼がボルトやリベット、ビスなどの締結手段によって接合される場合、締結手段は、内側H形鋼3のフランジ部9から、鋼矢板2の中央フランジ部5を経て、外側H形鋼4のフランジ部11まで貫通していてもよい。
ここで、組み合わせ鋼矢板1の、断面形状における重心Gについて、さらに説明する。上記の通り、重心Gは、内側H形鋼3のウェブ部10に位置する。これによって、組み合わせ鋼矢板1の把持領域Pを、ウェブ部10の長手方向端部に設定し、打設時に通常のバイブロハンマーのチャック装置(シングルチャック)によって組み合わせ鋼矢板1を把持することができる。組み合わせ鋼矢板1における内側H形鋼3および外側H形鋼4の寸法は、重心Gがこのような条件を満たすように設定される。この条件は、以下で説明する数式によって表すことができる。
なお、以下の数式では、部材の断面積がA、高さ(図中のy軸方向の長さ。以下の図において同じ)がy、板厚がtによって表される。Aは鋼矢板2の断面積、Aは内側H形鋼3の断面積、Aは外側H形鋼4の断面積である。yは鋼矢板2の高さ、yは内側H形鋼3の高さ、yは外側H形鋼の高さである。tfhは鋼矢板2の中央フランジ部5の板厚、tf1は内側H形鋼3のフランジ部9の板厚である。また、中央フランジ部5の内側の面から重心Gまでの距離をyで表す。y>tf1であれば、重心Gは内側H形鋼3のウェブ部10に位置することになる。
まず、中央フランジ部5の内側の面を基準にした、鋼矢板2、内側H形鋼3、および外側H形鋼4のそれぞれのx軸回りの回転モーメントのつりあいより、式1が導かれる。
Figure 2015168995
式1をyについて解くと、式2のようになる。
Figure 2015168995
式2より、y>tf1の条件は、式3のように表される。
Figure 2015168995
組み合わせ鋼矢板1の設計に際しては、必要とされる断面二次モーメントを確保するとともに、上記の式3を満たすことによって、重心Gを内側H形鋼3のウェブ部10に位置させることができ、通常のバイブロハンマーのチャック装置を用いて簡便な施工を実現することができる。
例えば、鋼矢板2の形状が既定であり、H形鋼の板厚および幅も既定であるような場合を想定する。この場合、A,y,tfh,tf1は定数である。また、A,Aが、それぞれのH形鋼のフランジ部の断面積(定数)+ウェブ部の断面積(y,yの関数)として求められるため、上記の式3をy,yについての条件式として利用することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の設計例を、従来の組み合わせ鋼矢板と比較して示す図である。図2(A)には従来技術に係るY形組み合わせ鋼矢板が、図2(B)には同じく従来技術に係るA形組み合わせ鋼矢板が、図2(C)には本実施形態に係る組み合わせ鋼矢板1が、それぞれ図示されている。ここでは、それぞれの種類の組み合わせ鋼矢板について同様の条件を設定したうえで、計算によってそれぞれの組み合わせ鋼矢板の断面二次モーメントを算出した。
図示された例では、組み合わせ鋼矢板1を含む鋼矢板壁の壁厚が500mmに制約されている一方で、組み合わせ鋼矢板1あたりで75000cm/mの断面二次モーメントが必要とされている。また、鋼矢板2は25H形式(有効幅=900mm、高さ(y)=300mm、板厚(tfh)=13.2mm)とし、内側H形鋼3および外側H形鋼4は幅200mm、フランジ部板厚12mm、ウェブ部板厚9mmとし、それぞれのH形鋼の高さ(y,y)を調節することで、制約壁厚内で断面二次モーメントを最大化した。
図2(A)に示されたY形組み合わせ鋼矢板では、鋼矢板2に外側H形鋼4のみを接合した。しかし、外側H形鋼4の高さ(y)を壁厚いっぱいの200mmにしても、組み合わせ鋼矢板の断面二次モーメントは約60000cm/mであり、必要とされる値に達しない。また、Y形組み合わせ鋼矢板の重心Gが鋼矢板2の内側に位置し、打設時に通常のバイブロハンマーのチャック装置(シングルチャック)によってY形組み合わせ鋼矢板の重心位置を把持することができない。
また、図2(B)に示されたA形組み合わせ鋼矢板では、鋼矢板2に内側H形鋼3のみを接合した。この場合、重心Gは内側H形鋼3に位置するため、打設に際して重心に対応した位置を把持することは可能である。しかしながら、内側H形鋼3の高さ(y)を壁厚いっぱいの486.8mmにしても、断面二次モーメントは約71000cm/mであり、依然として必要とされる値に達しない。
一方、図2(C)に示された、本実施形態に係る組み合わせ鋼矢板1では、内側H形鋼3の高さ(y)を286.8mm、外側H形鋼の高さ(y)を200mmとすることによって、断面二次モーメントが約76000cm/mになり、必要とされる値に到達した。また、上記のy,yの値は、上記の式3を満たしており、重心Gは内側H形鋼3のウェブ部10に位置し、中央フランジ部5の内側の面からの距離yは33mmであった。
以上で説明した例からも明らかなように、本実施形態に係る組み合わせ鋼矢板1では、同じ壁厚の制約に対して、従来の組み合わせ鋼矢板よりも大きな曲げ剛性を実現することができる。また、重心Gを内側H形鋼3に位置させることが可能であるため、打設時に通常のバイブロハンマーのチャック装置(シングルチャック)によって組み合わせ鋼矢板1の重心Gを把持することができ簡便な施工が実現できる。そして、Y形組み合わせ鋼矢板が第2鋼材を把持位置とするのに比べて、把持位置と継手位置との距離が短くなることで、嵌合させていない側の継手のバタツキが抑制されるとともに、嵌合側の継手に作用する偏心荷重が小さくなるため、打設中の長手方向の鉛直性を保つことができる。
(変形例)
図3は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状の変形例の第1の例を示す図を示す図である。図3を参照すると、本変形例に係る組み合わせ鋼矢板1aは、上記で図1を参照して説明した例とは異なる形状の内側H形鋼3aを含む。
内側H形鋼3aは、高さyが図1の例の内側H形鋼3よりも大きく、領域Cの外まで突出している。このような内側H形鋼3aを含む組み合わせ鋼矢板1aでは、中央フランジ部5の内側の面から重心Gまでの距離をより大きくすることができる。これによって、重心Gに対応して設定される把持領域Pと、鋼矢板2のウェブ部7との間のクリアランスを広げることができる。従って、後述するように、内側H形鋼3を鋼矢板2よりも上方に突出させなくても、バイブロハンマーのチャック装置を用いて把持領域Pを把持することが可能でありうる。
ただし、内側H形鋼3aが領域Cの外まで突出する分、組み合わせ鋼矢板1を含む鋼矢板壁の壁厚は大きくなる。上述の通り、高さ(y,y)あたりの断面二次モーメントの向上は、外側H形鋼4の方が内側H形鋼3aよりも大きい。従って、壁厚を最小化するのであれば、図2(C)に示した例のように、内側H形鋼3の高さyを領域Cから突出しない範囲で最大化した上で、断面二次モーメントが必要な値に達するように外側H形鋼4の高さyを決定することが望ましい。
図4は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の断面形状の変形例の第2の例を示す図である。図4を参照すると、本変形例に係る組み合わせ鋼矢板1は、上記で図1を参照して説明した例のある特殊な条件となった場合となっている。
すなわち、断面形状における重心Gと幅方向両端に位置する1対の継手部8を結ぶ線分を半径とする仮想円Rが描かれ、前記仮想円Rの略周上に、外側H形鋼4の幅直交方向の最外縁が位置している組み合わせ鋼矢板となっている。
このような組み合わせ鋼矢板1の場合、バイブロ把持位置からの幅方向両端に位置する1対の継手部の距離およびバイブロ把持位置からの第2鋼材の幅直交方向の最外縁までの距離が等距離であることにより、振動エネルギーが組み合わせ鋼矢板1の断面内の幅方向および幅直交方向に均等に伝達されることで、1対の継手および第2鋼材のバタツキが同程度となり、極端に一カ所に振動エネルギーが集中することないため、継手や第2鋼材が変形し難くなり、組み合わせ鋼矢板1の打設時の鉛直性が保たれる。また、ウォータージェットを鋼矢板2の内側に取り付ける場合、ウォータージェットからの水が、組み合わせ鋼矢板1の断面に略均等に供給されることになるため、ウォータージェットの効果が高まり、打設性の向上に繋がる。さらに、打設準備として組み合わせ鋼矢板1を吊り上げた際に、組み合わせ鋼矢板1が傾きにくくなり、吊り上げ時のハンドリングが良好となる。
(1−2.鋼矢板および鋼材の長さ)
図5は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板の長手方向端部の斜視図である。図5を参照すると、組み合わせ鋼矢板1の長手方向(図中のz軸方向。以下の図において同じ)の端部のうち、組み合わせ鋼矢板1が打設された状態において上に位置する方の端部(上端部)では、内側H形鋼3が、鋼矢板2および外側H形鋼4よりも、突出長Lだけ上方まで突出している。これによって、振動工法による打設に際して、内側H形鋼3のウェブ部10に位置する把持領域Pを把持するときに、バイブロハンマーのチャック装置と鋼矢板2のウェブ部7とが干渉することを防止できる。
ここで、多くのバイブロハンマーのチャック装置において、把持部の深さは最大400mm程度である。従って、突出長Lは、400mm以上であることが望ましい。もちろん、例えば使用するバイブロハンマーのチャック装置が固定されているような場合、突出長Lは、使用するバイブロハンマーのチャック装置の把持部の深さに応じて400mm未満であってもよい。また、上記の図3に示した変形例のように、中央フランジ部5の内側の面から重心Gまでの距離が大きい場合には、内側H形鋼3を鋼矢板2より突出させなくても、ウェブ部7と干渉することなくバイブロハンマーのチャック装置が把持領域Pを把持することが可能でありうる。
図6は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第1の例を示す図である。図6を参照すると、上記の図3で説明した変形例の組み合わせ鋼矢板1aが、地盤に打設されている。図示された例では、内側H形鋼3aおよび外側H形鋼4が地盤面GLに至る鋼矢板2の上端部にだけ接合されている。つまり、長手方向について、内側H形鋼3aの長さLおよび外側H形鋼4の長さLが、鋼矢板2の長さLよりも短い。
組み合わせ鋼矢板1aによって構築される鋼矢板壁を土留めや止水に利用する場合、鋼矢板壁に作用する土圧や水圧は、深度(図中のz座標)によって異なる。それゆえ、組み合わせ鋼矢板1aに必要とされる曲げ剛性(断面二次モーメント))も深度によって異なる。図示された例では、必要とされる曲げ剛性が比較的大きい深度範囲zでは鋼矢板2に内側H形鋼3aおよび外側H形鋼4を接合する一方で、必要とされる曲げ剛性が比較的小さく、鋼矢板2だけで十分な断面二次モーメントが確保できる深度範囲zでは内側H形鋼3aおよび外側H形鋼4を省略し、鋼矢板2だけを地盤中に打設している。この場合、内側H形鋼3aおよび外側H形鋼4を省略されていることで鋼重の軽量化が可能となり経済性を高めることができる。
図7は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第2の例を示す図である。図7を参照すると、上記の図3で説明した変形例の組み合わせ鋼矢板1aが、地盤中に打設されている。図示された例では、内側H形鋼3aが地盤面GLに至る鋼矢板2の上端部にだけ接合されている。また、外側H形鋼4は、鋼矢板2の中ほどの位置にだけ接合されている。つまり、この例でも、長手方向について、内側H形鋼3aの長さLおよび外側H形鋼4の長さLは鋼矢板2の長さLよりも短く、また内側H形鋼3aの長さLと外側H形鋼4の長さLとは必ずしも等しくない。なお、図示された例では内側H形鋼3と外側H形鋼との接合位置は長手方向について重複しているが、これらは重複していなくてもよい。
図示された例では、深度範囲zでの土圧が最も大きく、従って深度範囲zでは鋼矢板2に内側H形鋼3aおよび外側H形鋼4の両方が接合される。一方、鋼矢板2の上端部の深度範囲zおよび深度範囲zの下方に隣接する深度範囲zでは、深度範囲zに比べると土圧が小さく、鋼矢板2と内側H形鋼3aまたは外側H形鋼4のいずれかだけで十分な曲げ剛性が確保できるため、内側H形鋼3aまたは外側H形鋼4のいずれかだけが鋼矢板2に接合されている。さらに、鋼矢板2の下端部の深度範囲zでは、さらに土圧が小さく、鋼矢板2だけで十分な曲げ剛性が確保できるため、鋼矢板2だけが地盤中に打設されている。
このように、本実施形態に係る組み合わせ鋼矢板1では、深度ごとに必要とされる曲げ剛性に応じて、鋼矢板2と、内側H形鋼3と、外側H形鋼4との長手方向での長さを変化させてもよい。例えば、内側H形鋼3および外側H形鋼4は、土圧や水圧が比較的小さい、組み合わせ鋼矢板1の上端部や下端部を除いた深度範囲で鋼矢板2に接合されてもよい。ただし、上述のように、内側H形鋼3には、組み合わせ鋼矢板1を打設するときの把持領域Pがあるため、図6および図7に示したように内側H形鋼の上端が鋼矢板の上端に一致するか、図5に示したように内側H形鋼が鋼矢板の上端から上方に突出することが望ましい。
なお、図6および図7では、上記の図3を参照して説明した組み合わせ鋼矢板1aを地盤中に打設した場合を例として説明したが、例えば上記の図1や図4を参照して説明した組み合わせ鋼矢板1を地盤中に打設する場合にも同様の構成が可能である。この場合、例えば鋼矢板2の上端が地盤面GLに一致し、内側H形鋼3が地盤面GLから上方に突出していてもよい。
上記の例のように、鋼矢板2の長さL、内側H形鋼3aの長さL、および外側H形鋼4の長さLが互いに異なる場合、それぞれの部材によって生じる回転モーメントの大きさが部材の長さによって変わることから、上記の式1は以下の式4のように書き改められる。
Figure 2015168995
上記の式1に対する式3の場合と同様に、式4に基づいて重心Gが内側H形鋼3のウェブ部10に位置する条件を表現すると、以下の式5のようになる。上記の式3は、式5において、L=L=Lとした場合の特殊な式ともいえる。
Figure 2015168995
図8(B)は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板を打設した状態の第3の例を示す図である。図8(B)を参照すると、上記で図1などを参照して説明した組み合わせ鋼矢板1が、水底地盤に打設されている。図示された例では、内側H形鋼3の上端は、水面WLよりも上方まで突出している。
ここで、図示された例において、組み合わせ鋼矢板1によって構築される鋼矢板壁は、
例えば、図8(A)に示すように、岸壁前面にある傾斜した水底地盤を掘削し、掘削地盤を取り除くことで岸壁の増深化を図る際の土留め壁として利用される。より詳しくは、傾斜した水底地盤が掘削されることで第1の水底地盤面GLが形成され、より下方に第2の水底地盤面GLが形成される状況において、第1および第2の水底地盤面GLの高低差の発生に伴う土圧への抵抗ならびに土砂流出防止を目的として、組み合わせ鋼矢板1が図8(B)に示すように、土留め壁として利用されている。
ここで、第1の水底地盤と第2の水底地盤の間の範囲では、上記土圧への抵抗ならびに土砂流出を防止する必要があるので、組み合わせ鋼矢板1には、当該範囲において鋼矢板2、外側H形鋼4および内側H形鋼3が配されており、組み合わせ鋼矢板1は、第2の水底地盤面GLを突出している。一方、土圧が作用せず、土砂流出を防止する必要もない範囲(第1の水底地盤面GLよりも上方の範囲)では、鋼重削減の観点から鋼矢板2、外側H形鋼4は配されておらず、内側H形鋼3のみが配されており、第1の水底地盤面GLからは、内側H形鋼3のみが突出している。そして、内側H形鋼3は、水面WLよりも上に突出して配されており、組み合わせ鋼矢板1の打設にあたっては、内側H形鋼3を把持することで、バイブロハンマーのチャック装置を水中に浸漬させることなく、所定の深さまで打設することができる。それゆえ、組み合わせ鋼矢板1によって構築される鋼矢板壁は、土圧が作用せず、土砂流出を防止する必要もない範囲(第1の水底地盤面GLよりも上方の範囲)では、内側H形鋼3のみが配されていることで、経済的なものとなっている。
一方、従来の組み合わせ鋼矢板において、鋼矢板と外側H形鋼または内側H形鋼の長手方向の上端部が揃えられている場合、上記土圧が作用せず、土砂流出を防止する必要もない範囲にも、鋼矢板が配されていることになるため、図8(B)に図示された組み合わせ鋼矢板1によって構築される鋼矢板壁に比べ、鋼材が無駄に使用されており非経済となる。
内側H形鋼3の突出長Lは、例えば、水深D(水面WLから水底地盤面GLまでの距離)と、バイブロハンマーのチャック装置の把持部の深さ(上述の通り、多くの場合最大400mm程度)とに基づいて算出される。組み合わせ鋼矢板1において、断面形状の重心Gは内側H形鋼3のウェブ部10に位置するため、水面WLよりも上方まで突出した内側H形鋼3の上端部で把持領域Pを把持すれば、重心Gに対応する位置で組み合わせ鋼矢板1を把持することになり、簡便で良好な施工が可能になる。
(2.鋼矢板壁の構成)
図9および図10は、本発明の一実施形態に係る組み合わせ鋼矢板によって構築される鋼矢板壁の例を示す図である。図9には、上記で図1を参照して説明した組み合わせ鋼矢板1を、継手部8で互いに継ぎ合わせて構築される鋼矢板壁13aが示されている。一方、図10には、組み合わせ鋼矢板1と、H形鋼が接合されない通常の鋼矢板2とを継手部8で互いに継ぎ合わせて構築される鋼矢板壁13bが示されている。
これらの例に示されるように、本実施形態に係る鋼矢板壁は、組み合わせ鋼矢板1同士を継ぎ合わせて形成されてもよく、また、組み合わせ鋼矢板1と通常の鋼矢板2、または組み合わせ鋼矢板1と従来技術に係る他の種類の組み合わせ鋼矢板とを継ぎ合わせて形成されてもよい。どのような組み合わせ鋼矢板、または通常の鋼矢板を継ぎ合わせて鋼矢板壁を構築するかは、例えば、鋼矢板壁全体として必要とされる曲げ剛性などを考慮して決定される。
以上、本発明の一実施形態について説明した。なお、上記の実施形態では、組み合わせ鋼矢板に含まれる鋼矢板をハット形鋼矢板としたが、本発明の実施形態はこのような例には限られない。例えば、ハット形鋼矢板に代えて、端部フランジ部がなくウェブ部の端部に継手部が設けられるU形鋼矢板およびウェブ部および該ウェブの両端に反対方向に壁方向に延伸する端部に継手を有する1対のフランジからなるZ形状の鋼矢板であって、継手を嵌合させてハット形状にした2枚で一組となるZ形鋼矢板など、断面形状において中央フランジ部とその両側のウェブ部とによって山形の領域が形成される各種の鋼矢板が用いられてもよい。
また、上記の実施形態では、鋼矢板に接合される鋼材をH形鋼としたが、本発明の実施形態はこのような例には限られない。例えば、H形鋼に代えて、T形鋼など、鋼矢板の中央フランジ部に接合することが可能な断面形状を有する各種の鋼材が用いられてもよい。なお、鋼矢板と鋼材とは、例えば予め接合されていてもよいし、打設現場で接合されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 組み合わせ鋼矢板
2 鋼矢板
3 内側H形鋼
4 外側H形鋼
5 中央フランジ部
6 両端フランジ部
7 ウェブ部
8 継手部
13 鋼矢板壁

Claims (11)

  1. 幅方向中央に位置する中央フランジ部、幅方向両端に位置する継手部、および前記中央フランジ部と前記継手部との間に介在するウェブ部を有し、断面形状において1対の前記継手部を結ぶ仮想線と、前記中央フランジ部と、その両側の1対の前記ウェブ部とによって囲まれる山形領域が形成される鋼矢板と、
    前記中央フランジ部の前記山形領域側の面に接合される第1の鋼材と、
    前記中央フランジ部の前記山形領域とは反対側の面に接合される第2の鋼材と
    を備え、
    前記鋼矢板、前記第1の鋼材および前記第2の鋼材を合わせた断面形状における重心が前記第1の鋼材の断面内に位置する、組み合わせ鋼矢板。
  2. 前記第1の鋼材および前記第2の鋼材は、それぞれ、H形鋼またはT形鋼である、請求項1に記載の組み合わせ鋼矢板。
  3. 前記断面形状における重心は、前記鋼矢板、前記第1の鋼材、および前記第2の鋼材の長手方向の長さに基づいて、下記式により特定される、請求項1または2に記載の組み合わせ鋼矢板。
    Figure 2015168995
  4. 前記断面形状における重心と、幅方向両端に位置する1対の前記継手部とを結ぶ線分を半径とする仮想円が描かれ、前記仮想円の略周上に、前記第2の鋼材の幅直交方向の最外縁が位置している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  5. 断面形状において前記第1の鋼材が前記山形領域から突出しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  6. 長手方向について、前記鋼矢板、前記第1の鋼材、または前記第2の鋼材のうちの少なくとも1つの長さが他とは異なる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  7. 前記組み合わせ鋼矢板が打設された状態において、前記第1の鋼材が前記鋼矢板よりも上方まで突出する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  8. 前記組み合わせ鋼矢板が水底地盤に打設された状態において、前記第1の鋼材は水面上に突出している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  9. 前記鋼矢板は、前記ウェブ部と前記継手部との間に両端フランジ部が設けられるハット形鋼矢板、または前記ウェブ部の端部に前記継手部が設けられるU形鋼矢板またはウェブ部および該ウェブ部の両端に反対方向に壁方向に延伸する端部に継手を有する1対のフランジからなるZ形状の鋼矢板であって、継手を嵌合させてハット形状にした2枚で一組となるZ形鋼矢板である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板を、前記継手部で他の組み合わせ鋼矢板または他の鋼矢板に継ぎ合わせて構築される鋼矢板壁。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組み合わせ鋼矢板の断面形状における重心位置を把持する振動工法による施工方法であって、打設時に前記第1の鋼材の長手方向の端部で前記組み合わせ鋼矢板を把持する、組み合わせ鋼矢板の施工方法。
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