JP2010242398A - 補強リブを有する合成セグメントおよびトンネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地山側表面板15の内面に固定した複数の地山側リブ材16が主桁13と平行にトンネル周方向に沿って設けられているので、これらの地山側リブ材16によって主桁13を補強することができ、地山からの土圧や地下水の水圧に対して地山側リブ材16が抵抗できることにより、合成セグメント10の強度および剛性を向上させることができる。また、地山側リブ材16が中詰めコンクリート12とのずれ止めとして機能することで、中詰めコンクリート12との一体性を高めることができ、鋼殻11と中詰めコンクリート12とを一体的に挙動させる合成効果が得られ、合成セグメント10の剛性や耐力をさらに向上させることができる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載された合成セグメントでは、対向する主桁に渡ってH形鋼からなるずれ止めが複数架設され、このずれ止めにおけるフランジとウェブとで囲まれた中詰めコンクリートが拘束されることにより、ずれ止めを介して主桁と中詰めコンクリートとの間で応力が確実に伝達できるように構成されている。このように主桁などの鋼材と中詰めコンクリートとのずれを防止し、外力に対して一体的に挙動させる合成効果が得られることで、剛性や耐力を向上させつつ薄型化が可能な高性能の合成セグメントが実現できるようになっている。
このような構成によれば、隣り合う地山側もしくは内空側リブ材の先端側の間隔距離が基端側よりも小さく設定されていることで、隣り合う地山側もしくは内空側リブ材と充填される充填材(例えば、コンクリート)とを楔状に係合させることができる。従って、表面板と充填材とが互いに離れる方向に移動する抜け出しが防止でき、地山側もしくは内空側リブ材および表面板を介して主桁と充填材とを一体的に挙動させる合成効果が高まり、合成セグメントの剛性や耐力をさらに向上させることができる。
このような構成によれば、地山側もしくは内空側リブ材を平板材から構成することで、その加工や溶接手間が低減できるとともに、使用する鋼材量や接合のための溶接量を抑制することができる。
このような構成によれば、複数の地山側もしくは内空側リブ材のうちの両端部の地山側もしくは内空側リブ材と主桁との間に突出部材を設けたことで、この突出部材と充填材とが機械的に係合することによって、突出部材を抜け止めとして機能させることができる。従って、両端部の地山側もしくは内空側リブ材と主桁とがトンネル径方向地山側に向かって互いに開くような角度で設けられていても、突出部材によって充填材と表面板および主桁との一体性を確保することができる。
このような構成によれば、頭付きスタッドボルトに代表されるジベルや継手部材で突出部材を構成することで、比較的容易に端部側の抜け止めを構成することができる。ここで、継手部材としては、合成セグメントのセグメントピース間ボルトボックスやセグメントピース間継手定着材などが利用でき、このような継手部材を抜け止めとして併用することで、別途の抜け止めを省略することもでき、使用鋼材量や溶接量をさらに低減させることができる。
このような構成によれば、ひび割れ誘発点となるリブ材の相互距離が長く確保されることから、ひび割れ長を長くすることができ、中詰めコンクリートのひび割れ耐性向上、ひいてはセグメントの性能が向上する。
このような構成によれば、内空側表面板と地山側表面板のリブ材同士をせん断補強材で連結したことで、このせん断補強材によって充填材をせん断補強することができ、合成セグメント全体の強度を向上させて、さらなる高性能化および薄型化を実現することができる。
このような構成によれば、前述のようにリブ材による補強効果および充填材との合成効果を確保して高性能化および薄型化した合成セグメントを組み合わせることで、地山の掘削工事における掘削量が削減でき、施工コスト低減および工期短縮を図ることができる。あるいは、従来の合成セグメントを用いたトンネル覆工と比較して、トンネル内空の内径を拡大してトンネルの有効利用を促進させることができる。また、セグメントの幅広化にも対応でき、トンネル全体におけるセグメント数の削減が可能となるため、工期の短縮を図ることができる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
トンネル覆工1は、掘削した地山Gの内部にて複数のセグメントピースPを組み合わせて構成されている。なお、以下の説明において、トンネル軸方向をX方向と表現し、トンネル径方向をR方向と表現し、トンネル周方向をθ方向と表現することとする。地山Gを掘削するシールドマシンMは、その後方に複数のジャッキJを有し、ジャッキJでトンネル覆工1を押してX方向に前進し、前進しつつ掘削した空間にてセグメントピースPが円筒状に組み立てられてトンネル覆工1が構築される。このトンネル覆工1は、地山Gとトンネル内空Sとを仕切り、地山Gからの土圧や水圧に抵抗してトンネル内空Sの空間を確保するようになっている。なお、トンネル断面形状としては、一般的な円形のみに限定されるものではなく、矩形トンネルをはじめとする異形トンネル断面でも、トンネル覆工は円弧形のみならず、平板形でも本発明の効果は発揮される。
以下、セグメントピースPを構成する各形態の合成セグメント10,20,30,40,50に関し、その構造を詳しく説明する。
図2は、第1実施形態に係る合成セグメント10を示す斜視図であり、図3および図4は、それぞれ合成セグメント10を示す断面図である。
図2〜図4において、合成セグメント10は、5つの面が囲まれてR方向トンネル内空S側が開放された鋼殻11と、この鋼殻11内部に充填される充填材としての中詰めコンクリート12とを有し、これらの鋼殻11および中詰めコンクリート12が一体化されて構成されている。鋼殻11は、θ方向に沿って延びて互いに対向する主桁13,13と、これら対向する主桁13,13のθ方向両端部同士を連結する一対の継手板14,14と、トンネル地山G側にて対向する主桁13,13に渡って設けられる地山側表面板15とを備え、これらの主桁13、継手板14および地山側表面板15を互いに溶接固定して一体化することで箱状に形成されている。なお、本実施形態では主桁13が2枚のみで構成される2主桁構造を示すが、3枚以上で構成される多他主桁構造であっても互いに対向する主桁が複数存在する構造を呈することに他ならないので、本発明の効果は変わらず発揮される。
すなわち、地山側表面板15の内面に固定した複数の地山側リブ材16が主桁13と平行にθ方向(トンネル周方向)に沿って設けられているので、これらの地山側リブ材16によって主桁13を補強することができ、地山Gからの土圧や地下水の水圧に対して地山側リブ材16が抵抗できることにより、合成セグメント10の強度および剛性を向上させることができる。また、地山側リブ材16に設けられた複数の孔16Aが中詰めコンクリート12とのずれ止めとして機能することで、中詰めコンクリート12との一体性を高めることができ、鋼殻11と中詰めコンクリート12とを一体的に挙動させる合成効果が得られ、合成セグメント10の剛性や耐力をさらに向上させることができる。従って、地山側リブ材16自体の補強効果と、中詰めコンクリート12との合成効果とが得られることで、合成セグメント10を高性能化させて薄型化を図ることができる。
図5、6に示す合成セグメント10Aの鋼殻11は、前記地山側表面板15に代えて、トンネル内空S側にて対向する主桁13,13に渡って設けられる内空側表面板17を備えて構成されている。この内空側表面板17は、R方向に略直交してX方向およびθ方向に沿った板状の湾曲鋼板から構成され、そのトンネル径方向地山側表面には、複数(本実施形態では、4枚)の内空側リブ材18が鋼殻11の内方に突出して固定されている。これらの内空側リブ材18は、平板状の鋼材を円弧状に曲げ加工して構成され、内空側表面板17に沿ってθ方向に延びるとともに内空側表面板17の内面に溶接固定され、その両端部がそれぞれ継手板14の内面に溶接固定されている。あるいは前記地山側リブ16と同様な方法により、フランジ材を介してボルトもしくはドリルネジにより係合してもよく、さらに当該箇所を止水処理することで止水性能が向上する。
以上のような合成セグメント10A,10Bによっても、前記合成セグメント10と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る合成セグメント20,20A,20Bを図9に基づいて説明する。
合成セグメント20,20A,20Bは、前記第1実施形態の合成セグメント10,10A,10Bと同様の鋼殻21および中詰めコンクリート22を有して構成されている。すなわち、合成セグメント20の鋼殻21は、合成セグメント10の鋼殻11と同様に、対向する主桁23,23、一対の継手板(不図示)および地山側表面板25を有し、合成セグメント20Aの鋼殻21は、合成セグメント10Aの鋼殻11と同様に、対向する主桁23,23、一対の継手板(不図示)および内空側表面板27を有し、合成セグメント20Bの鋼殻21は、合成セグメント10Bの鋼殻11と同様に、対向する主桁23,23、一対の継手板(不図示)、地山側表面板25および内空側表面板27を有して構成されている。これらの合成セグメント20,20A,20Bでは、地山側リブ材26および内空側リブ材28の構成が第1実施形態と相違する。以下、相違点について詳しく説明する。
すなわち、地山側表面板25や内空側表面板27の内面に設けた複数の地山側リブ材26や内空側リブ材28のうち、互いに隣り合う一対の地山側リブ材26同士や内空側リブ材28同士が互いに接近する方向に傾斜して設けられているので、中詰めコンクリート22と楔状に係合させることができ、これにより中詰めコンクリート22と地山側表面板25や内空側表面板27との乖離が防止できる。また、主桁23側においても頭付きスタッドボルト25A,27Aや23A,24Aによって、中詰めコンクリート22の抜け出しが防止できる。従って、中詰めコンクリート22と鋼殻21とを一体的に挙動させる合成効果を高めることができ、合成セグメント20,20A,20Bの剛性や耐力を一層向上させてさらなる薄型化を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る合成セグメント30,30A,30Bを図10に基づいて説明する。
合成セグメント30,30A,30Bは、前記第2実施形態の合成セグメント20,20A,20Bと同様の鋼殻31および中詰めコンクリート32を有して構成されている。すなわち、合成セグメント30の鋼殻31は、合成セグメント20の鋼殻21と同様に、対向する主桁33,33、一対の継手板(不図示)、地山側表面板35および地山側リブ材36を有し、合成セグメント30Aの鋼殻31は、合成セグメント20Aの鋼殻21と同様に、対向する主桁33,33、一対の継手板(不図示)、内空側表面板37および内空側リブ材38を有し、合成セグメント30Bの鋼殻31は、合成セグメント20Bの鋼殻21と同様に、対向する主桁33,33、一対の継手板(不図示)、地山側表面板35、内空側表面板37、地山側リブ材36および内空側リブ材38を有して構成されている。
合成セグメント30,30A,30Bの主桁33には、第1実施形態のボルトボックス13Aに代えてリング間継手33Aが固定され、このリング間継手33Aには、鋼殻31の内側に突出して中詰めコンクリート32に定着される定着材33Bが固定されている。これらのリング間継手33Aは、X方向に隣り合う他の合成セグメント30,30A,30Bと接合するための継手部材であって、隣り合う他の合成セグメント30,30A,30Bにも略同様で雄雌逆のリング間継手33Aが固定されており、これらのリング間継手33A同士を機械的に嵌め合わせることで、X方向に隣り合う合成セグメント30,30A,30B同士が連結されるようになっている。そして、リング間継手33Aおよび定着材33Bは、鋼殻31の内側に突出して設けられていることで、中詰めコンクリート32とのずれ止めとしても機能するようになっている。
次に、本発明の第4実施形態に係る合成セグメント40を図11に基づいて説明する。
合成セグメント40は、第2、3実施形態の合成セグメント20B,30Bと同様の鋼殻41および中詰めコンクリート42を有して構成されている。すなわち、合成セグメント40の鋼殻41は、合成セグメント20B,30Bの鋼殻21,31と同様に、対向する主桁43,43、一対の継手板(不図示)、地山側表面板45、内空側表面板47、地山側リブ材46および内空側リブ材48を有して構成されている。地山側リブ材46と内空側リブ材48とは、R方向に対向して設けられ、互いに対向する地山側リブ材46と内空側リブ材48との間に複数のせん断補強材49が設けられている。せん断補強材49は、両端にフックを有した鉄筋で構成され、その両端のフックがそれぞれ地山側リブ材46および内空側リブ材48の貫通孔に挿通されて係合されている。
このような本実施形態の合成セグメント40によれば、地山側リブ材46と内空側リブ材48とをせん断補強材49で連結したことで、このせん断補強材49によって中詰めコンクリート42のせん断強度を高めることができ、合成セグメント40全体の強度を向上させて、さらなる高性能化および薄型化を実現することができる。
次に、本発明の第5実施形態に係る合成セグメント50,50Aを図12に基づいて説明する。
合成セグメント50,50Aは、第1、3実施形態の合成セグメント10B,30Bと同様の鋼殻51および中詰めコンクリート52を有して構成されている。すなわち、合成セグメント50,50Aの鋼殻51は、合成セグメント10B,30Bの鋼殻11,31と同様に、対向する主桁53,53、一対の継手板(不図示)、地山側表面板55、内空側表面板57、地山側リブ材56および内空側リブ材58を有して構成されている。合成セグメント50Aの主桁53には、リング間継手53Aおよび定着材53Bが固定されている。そして、合成セグメント50,50Aにおいて、地山側リブ材56と内空側リブ材58とは、互いにX方向にずれた位置に設けられている。
このような本実施形態の合成セグメント50,50Aによれば、内空側表面板57の内空側リブ材58と地山側表面板55の地山側リブ材56とを、R方向に対向しないずれた位置に設けたことで、内空側リブ材58および地山側リブ材56を起点としたひび割れが重ならないようにでき、ひび割れ長さを長くすることができるため、中詰めコンクリート52の強度を高めることができる。
例えば、前記各実施形態では、地山側リブ材16,26,36,46,56および内空側リブ材18,28,38,48,58として平板状の鋼材を用いたが、これらのリブ材として用いる鋼材は、屈折状や屈曲状のものでもよく、また表面に凹凸を有したものなどでもよい。さらに、リブ材としては、平板状の鋼材を複数組み合わせて、例えばV字形やT字形に形成したものなどが利用可能である。
また、充填材としては、コンクリートに限らず、無収縮モルタルなど、適宜な強度および剛性を有したものであれば利用可能である。
また、前記実施形態では、頭付きスタッドボルト25A,27Aや突出部材23A,24Aをずれ止めとして用いたが、ずれ止めとして利用する突出部材としては、前記実施形態のものに限らず、適宜な形状のものが利用可能であるとともに、その個数も特に限定されない。さらに、突出部材は本発明の必須要件ではなく適宜に省略することができる。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (8)
- 鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメントであって、
前記鋼殻は、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら対向する主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル内空側およびトンネル地山側の少なくとも一方にて前記対向する主桁に渡って設けられる表面板とを少なくとも備え、これらの主桁、継手板および表面板で5面または6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、
前記表面板における前記鋼殻の内部表面には、当該表面から突出するとともにトンネル周方向に沿って延びる複数の地山側もしくは内空側リブ材が設けられ、前記表面板に固着されていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1に記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記複数の地山側もしくは内空側リブ材のうち、互いに隣り合う一対のリブ材同士は、前記表面板側の基端部から突出先端側に向かって互いに接近する方向に傾斜して設けられていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1または請求項2に記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記複数の地山側もしくは内空側リブ材は、それぞれ平板材から構成されていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記複数の地山側もしくは内空側リブ材のうち、トンネル軸方向両端部の少なくとも片方の端部に設けられるリブ材と前記主桁との間には、前記主桁、継手板および表面板のうちの少なくともいずれかに固定されるとともに前記鋼殻の内部側に突出する突出部材が設けられていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項4に記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記突出部材は、前記表面板に固定されるジベル、前記主桁に内設されてトンネル軸方向に隣接する他の合成セグメントとの接合に用いられるリング間継手部材、および前記継手板に内設されてトンネル周方向に隣接する他の合成セグメントとの接合に用いられるピース間継手部材、の少なくとも1つで構成されることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記表面板は、トンネル内空側にて前記対向する主桁に渡って設けられる内空側表面板と、トンネル地山側にて前記対向する主桁に渡って設けられる地山側表面板とで構成され、
前記地山側表面板に設けられる地山側リブ材は、前記内空側表面板に設けられる内空側リブ材とトンネル径方向に対向しないずれた位置に設けられていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の補強リブを有する合成セグメントにおいて、
前記表面板は、トンネル内空側にて前記対向する主桁に渡って設けられる内空側表面板と、トンネル地山側にて前記対向する主桁に渡って設けられる地山側表面板とで構成され、
前記内空側表面板に固定される内空側リブ材と前記地山側表面板に固定される地山側リブ材とがせん断補強材で連結されていることを特徴とする補強リブを有する合成セグメント。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の補強リブを有する合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えることを特徴とするトンネル。
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JP5650890B2 (ja) | 2015-01-07 |
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