JP2005076317A - セグメント用鋼殻、コンクリート中詰めセグメントおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 鋼殻2においては、鋼殻2の内方側から、継手板2aに補強板5を当接させて固定し、補強板5に接続された補強板側板9に、コンクリートが充填される空間まで延びるアンカー鉄筋8を接続する。そして、箱抜き部7で囲われた以外の空間にコンクリートを充填し、硬化させてコンクリート中詰めセグメントを形成する。
【選択図】 図2
Description
図8に、このような従来のコンクリート中詰めセグメントに用いる鋼殻の一例である鋼殻20を示した。図8(a)は斜視説明図、図8(b)は、図8(a)におけるD視部分説明図、図8(c)は、図8(b)におけるE−E断面図である。
鋼殻20は、筒状構造物の外周の湾曲面を形成する底面20cの端部に継手板20a、20a、主桁20b、20bが立設され、中詰めするコンクリートの型枠としても機能する箱状の薄板構造を有している。
継手板2aには、周方向にセグメントを接合するためのボルト孔6が設けられ、継手板2aの内方側にボルト孔6にボルトを挿通して締結作業を行うためボルトボックスを形成するための箱抜き部24が設けられている。
継手板2aのボルト孔6を含む領域の内方側には、継手板2aの変形を防止するために、継手板2aより厚肉の補強板21が固定されている。補強板21には、ボルト孔6と同じ位置にボルト孔21aが設けられ、箱抜き部24の内部からボルトを挿通してセグメント間の接合を行うことができるようになっている。
また、特許文献2には、主桁と継手板との接続部に内側から当接されたL字補強部材が隅肉溶接して接合された鋼製セグメントが記載されている。
図8に示したような従来のセグメント用鋼殻では、セグメント周方向に延びる長尺の補強用桁22を設けて補強するので、補強用桁22を底面20cなどに溶接しなければならず、製造に手間がかかり、製造コストが増大するという問題があった。また溶接により底面20cの寸法精度が悪化しやすいという問題があった。
また、特許文献1に記載の技術では、主桁に沿う方向に延びる連結部材を棒鋼、もしくは異形棒鋼により形成するので、溶接箇所は減るものの、湾曲した長尺の棒鋼を所定位置に配置して溶接するから、棒鋼などを位置決めするために配筋作業のような煩雑な作業が必要となって製造に手間がかかるという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、L字補強部材を用いるので、製造が容易となるが、主桁と継手板の接続部のみしか補強されないので、補強部の周辺に荷重が集中し、コンクリートのひび割れなどが発生しやすいという問題がある。また、例えば、継手板の中間部に接合部を設ける必要がある場合には、補強することができないという問題がある。
この発明によれば、補強部材を鋼殻の内方側から接合板に当接し、そこに接続されるアンカー部材がコンクリートに埋設されることにより、補強部材がコンクリートに強固に保持されて、反力をとることができるので、簡素な構成で、接合板からアンカー部材の及ぶ範囲において圧縮荷重と引張荷重とを負荷できる高剛性の補強構造を形成することができる。
この発明によれば、主桁に沿う方向の引張荷重に対して効率よく反力を形成することができる。
この発明によれば、鉄筋をアンカー部材として用いることにより、安価で製造が容易なものとすることができる。
この発明によれば、リブにより主桁間の剛性を向上することができる。さらにそれに加え、アンカー部材がリブの開口部を挿通された状態でコンクリートが充填されることにより、アンカー部材近傍の応力がリブを介してリブの延びる方向のセグメント内に伝達されるので、より高剛性のものとすることができる。
この発明によれば、補強部材が鋼殻の内方側から接合板に当接して固定されているので、コンクリートを充填するだけで、請求項1に記載のコンクリート中詰めセグメントを製造することができる。
この発明によれば、予め製作された補強ユニットを締結手段により、コンクリートを中詰めして硬化するまでの間、固定し、硬化後、締結手段による固定を解除するので、製作が容易となる。また、予め補強ユニットに継手を設けることができるので、複雑な構成の継手であっても、容易に設けることができる。
また、本発明のセグメント用鋼殻によれば、そのようなコンクリート中詰めセグメントを容易に製造できるという効果を奏する。
また、本発明のコンクリート中詰めセグメントの製造方法によれば、補強ユニットを締結手段により固定することにより、製造効率を向上することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンクリート中詰めセグメントについて説明するための斜視説明図である。図2は、本発明の実施形態に係るセグメント用鋼殻の一例を説明するための斜視説明図およびA視説明図である。図3は、図2(b)におけるB−B断面図である。図4は、図2(b)におけるC−C断面図である。
セグメント1は、複数を接合して、例えばシールドトンネルなどの筒状構造物を構築するためのものである。その概略構成は、図1に示したように、鋼殻2(セグメント用鋼殻)、鋼殻2に中詰めされて硬化されたコンクリート3および補強板5(補強部材)からなる。
鋼殻2は、図2(a)に示したように、筒状構造物の外周面を形成する湾曲された底面2cの外周端に、所定高さを有する継手板2a、2a、主桁2b、2bが底面2cの湾曲の中心方向側に立設され、全体として湾曲版状をなす箱形状とされている。以下、主桁2bの高さ方向を鋼殻2またはセグメント1の厚さ方向と称する。
主桁2bは、継手板2a、2a同士の長手方向端部を湾曲に沿う方向に結合する桁部材であり、他のセグメント1を筒状構造物の延設方向(軸方向)に接合する接合板をなしている。主桁2bには、軸方向の接合を行うために、ボルト孔6と同様なボルト孔か、適宜の継手金物などの継手構造が設けられているが、図示では省略している。
主桁2b、2b間の底面2c上には、鋼殻2の軸方向の剛性を増すために縦リブ2dが適宜本数設けられている。縦リブ2dには、コンクリート3の充填が容易となるように適宜箇所に開口部2eが設けられている。特に、継手板2aに近接する縦リブ2dでは、開口部2eは、後述するアンカー鉄筋8を挿通できる位置にも設けられている(図2、4参照)。
補強板5の側部の一端は主桁2bに当接され、他端には鋼殻2の厚さ方向および主桁2bと略平行な方向に延びる補強板側板9(補強部材)が設けられている。そして、補強板側板9から近接する主桁2bまでの間と、補強板5から鋼殻2の内方側の所定範囲までの平面視矩形状の空間を仕切るために、鋼板などの板部材からなる箱抜き部7が設けられている。箱抜き部7は、コンクリート3の充填時にコンクリート3の流入を阻止して、継手ボルトの締結作業を可能とするためのボルトボックスとして利用する空間を残すためのものである。
このようにして、筒状構造体の内周面となるコンクリート面3aと、コンクリート3が充填されなかった空間にボルトボックス4とを有する(図1参照)セグメント1が製造される。
その際、アンカー鉄筋8の本数や長さを変えることにより、外力に応じた必要な反力を形成することができる。
また、継手板2aが受ける外力をその近傍の範囲に分散させることができるので、応力集中を低減することができる利点がある。また、外力の応力が及ばないか、減衰する遠方部分に補強部材を設けることないので合理的な補強構造とすることができる。
図5(a)は、本実施形態の第1変形例に用いる補強ユニットを説明するための斜視説明図である。図5(b)は、同じく第1変形例に用いる他の補強ユニットを説明するための斜視説明図である。図5(c)は同じく第1変形例に用いるさらに別の補強ユニットを説明するための斜視説明図である。
本変形例では、補強部材とアンカー部材を一体化した補強金物10(補強ユニット)を鋼殻2に配置し、その位置を固定したままコンクリート3を充填する構成とする。
補強金物10は、図5(a)に示したように、補強板5に補強板側板9、9を溶接してコ字状の金物とし、アンカー鉄筋8…をそれぞれの補強板側板9に溶接するなどして構成することができる。
また、図5(b)に示したように、補強板5、ボルト孔5aに対応して、板部12aとボルト孔12dを備えた鋳物製の補強板12にアンカー鉄筋8…を接合した構成とすることもできる。この場合、補強板12の一方の面上にアンカー鉄筋8を螺設するために、雌ねじを有する取付孔12cを備えたボス部12bを設けるようにすれば、溶接などの作業を行うことなく、効率的に製造することができる。
円筒部30Aは、アンカー31と反対側の端部に係止面30bを設けて、継手板2aに係止可能とされる。また、例えば中心部にボルト孔30aを設けてボルト13、ナット14で締結できるようにする。したがって、円筒部30Aの肉厚と軸方向長さを適宜設定することにより、補強板5の厚さを増大させたのと同様の効果が得られる。
このように補強金物本体30、アンカー31を備えた補強金物10によれば、一体成形により製作の手間を省くことができる。また高荷重を受ける部分に材料を配分することで効率的な補強を行うことができるので、相対的に軽量な補強ユニットとすることができるという利点がある。
例えば、図6(a)に断面図を示したように、継手板2aと補強板5とをボルト孔5aに挿通されたボルト13、ナット14によって締結し、コンクリート3の硬化後、ボルト13、ナット14を外すといった方法を採用することができる。
また、図6(b)に断面図を示したように、ボルト孔5aに代えて、ボルト13に螺合可能な雌ねじを形成したボルト孔5bを設け、ボルト13のみで継手板2aと補強板5とを密着して固定保持し、硬化後にボルト13を外すという方法を採用してもよい。この場合、ボルト孔5bは、継手ボルトが挿通可能な内径を有するものとする。
図7は、本実施形態の第2変形例を説明するための斜視説明図である。
本変形例は、セグメント1の接合継手として、継手ボルトに代えて、その他の周知の継手構造を用いるようにしたものである。すなわち、対向する継手板2a、2a上のボルト孔6に相当する位置に、補強板5に予め設けられた雄型継手、雌型継手が配置されるようにする。
例えば、図7に示したように、補強板5、補強板側板9、アンカー鉄筋8を接合して補強金物15(補強ユニット)を形成し、その補強板5のセグメント内方側に、雌型継手を収める継手部16を設けることができる。また、雄型継手を設ける場合、補強板5から継手板2aを貫通するように雄型継手を設け、必要に応じて補強板5のセグメント内方側に張り出させてその取付部などを設けることができる。
このような雄型継手、雌型継手としては、種々の方式を採用できるが、例えば、先端に抜け止め形状を有する棒状突起からなる雄型継手と、その棒状突起に嵌合し抜け止め形状に係止可能な弾性係止部を備える穴部を備える雌型継手との組み合わせなどを採用することができる。
また、補強板5を補強部材として鋼殻2とは別個に製作しておくようにすれば、異なる継手構造を有するセグメントであっても、鋼殻2を共通使用することが可能となるという利点がある。
2 鋼殻(セグメント用鋼殻)
2a 継手板
2b 主桁
2c 底面
2d 縦リブ(リブ)
2e 開口部
3 コンクリート
4 ボルトボックス
5、12 補強板(補強部材)
7 箱抜き部
8 アンカー鉄筋(アンカー部材)
9 補強板側板(補強部材)
10、15 補強金物(補強ユニット)
13 ボルト(締結手段)
14 ナット(締結手段)
30 補強金物本体(補強部材)
31 アンカー(アンカー部材)
Claims (6)
- 他のセグメントと接合するための接合板を有する鋼殻にコンクリートを中詰めしたコンクリート中詰めセグメントであって、
前記鋼殻の接合板に前記鋼殻の内方側から当接された補強部材を備え、
該補強部材が、前記中詰めされたコンクリートに一端側を埋設されたアンカー部材の他端と接続されたことを特徴とするコンクリート中詰めセグメント。 - 前記アンカー部材が鋼殻の主桁に沿う方向に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート中詰めセグメント。
- 前記アンカー部材が鉄筋からなることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート中詰めセグメント。
- 前記鋼殻に、前記補強板が当接される接合板と交差する方向の接合板の間に、開口部が設けられたリブが形成され、
前記アンカー部材が、前記リブの開口部のいずれかに挿通されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート中詰めセグメント。 - 他のセグメントと接合するための接合板を有し、コンクリートを中詰めすることによりコンクリート中詰めセグメントとするためのセグメント用鋼殻であって、
前記接合板に前記鋼殻の内方側から当接して固定された補強部材を備え、
該補強部材に、前記コンクリートが中詰めされる空間まで延びるアンカー部材が接続されたことを特徴とするセグメント用鋼殻。 - 他のセグメントと接合するための接合板を有する鋼殻にコンクリートを中詰めしたコンクリート中詰めセグメントの製造方法であって、
前記コンクリートが中詰めされる空間まで延びるアンカー部材が接続された補強部材を、前記鋼殻の接合板に前記鋼殻の内方側から当接させて配置し、
該補強部材を締結手段により前記接合板に固定し、
前記鋼殻にコンクリートを中詰めし、
コンクリートの硬化後、前記締結手段による固定を解除することを特徴とするコンクリート中詰めセグメントの製造方法。
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