JP2015168722A - 可逆的架橋性複合化ポリマー原料及び可逆的架橋性複合化ポリマー - Google Patents

可逆的架橋性複合化ポリマー原料及び可逆的架橋性複合化ポリマー Download PDF

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JP2015168722A JP2014042924A JP2014042924A JP2015168722A JP 2015168722 A JP2015168722 A JP 2015168722A JP 2014042924 A JP2014042924 A JP 2014042924A JP 2014042924 A JP2014042924 A JP 2014042924A JP 2015168722 A JP2015168722 A JP 2015168722A
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臣悟 中西
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敏晃 河合
英幸 大塚
Hideyuki Otsuka
英幸 大塚
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Abstract

【課題】温度変化によって可逆的に架橋を形成又は解離する複合化ポリマー及びその原料の提供。【解決手段】少なくとも式(1)で表される変性モノマー(a)を重合して得られる変性ポリマー(A)と、式(1)に類似した変性モノマー(b)を重合して得られる変性ポリマー(B)とを含む可逆的架橋性複合化ポリマー原料。【選択図】なし

Description

本発明は、温度変化によって可逆的に架橋を形成又は解離する可逆的架橋性複合化ポリマー、及びその原料に関する。
従来から、単一樹脂の短所を補い、単一樹脂では得られない性能を持たせるために、複数の樹脂を混ぜ合わせてポリマーアロイとする技術が知られている。しかし、混合する樹脂の種類によっては混ざり難い(相溶性が悪い)という問題があり、所望の性能を有するポリマーアロイを製造することが困難であった。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、熱可塑性ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を含むポリマーアロイに、相溶化剤を特定量添加する技術を提案している。
また、特許文献2では、複数種のポリマーを相溶化させることにより、超微小相分離構造を有するポリマーアロイを得るために、高温高圧流体または超臨界流体を用いてポリマーを混合する技術を提案している。
しかし、特許文献1及び2のような物理的に混合する方法では、分子レベルでポリマー同士を混合することはできないため、所望の性能を有するポリマーアロイを製造することは困難である。
一方、ポリマーに機械的強度、耐熱性、及び耐水性等の性能を付与するために、通常、ポリマーを架橋して架橋ポリマーにする方法が採用されている。しかし、一般的な架橋ポリマーは熱可塑性を有していない。そのため、架橋ポリマーは押出成形法、射出成形法、又は溶融成形法により成形加工することができず、成形性及び加工性に劣り、また再利用できないという問題があった。
この問題を解決するために、例えば、特許文献3では、変性オレフィン系重合体及び水酸基含有重合体を含む架橋性混合物を、その架橋解離温度以上の温度で熱溶融成形する可逆架橋性成形体の製造方法が提案されている。可逆架橋性成形体は、低温下での架橋の形成と高温下での架橋の解離を繰り返し行うことができる、熱可逆架橋性であることが記載されている。
また、特許文献4では、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン構造によって架橋され、加熱によって架橋が解離する熱可塑性架橋ポリマーが提案されている。ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン構造は、retro−Diels−Alder反応によりジエンとジエノフィルに解離し、その後冷却を行った際、架橋が復元するため、この構造で架橋されたポリマーは常温での共有結合による拘束力と、加熱時の架橋の解離による熱可塑性、冷却時の再架橋性を発現することが記載されている。
また、特許文献5では、側鎖にアルコキシアミン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体が提案されている。当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、加熱すると、アルコキシアミン骨格の交換反応に基づいて分子鎖間に架橋構造を形成することが記載されている。
しかし、特許文献4及び5の技術は、同じポリマー同士を架橋したり、架橋を解離する技術であり、異なるポリマー間で可逆的に架橋を形成又は解離する技術ではない。
特開2012−12447号公報 特開2004−307719号公報 特開2000−204204号公報 特開2005−232412号公報 特開2012−241137号公報
本発明は、温度変化によって可逆的に架橋を形成又は解離する複合化ポリマー及びその原料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す複合化ポリマー及びその原料により上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも下記一般式(1)で表される変性モノマー(a)を重合して得られる変性ポリマー(A)と、少なくとも下記一般式(2)で表される変性モノマー(b)を重合して得られる変性ポリマー(B)とを含む可逆的架橋性複合化ポリマー原料に関する。
Figure 2015168722

(式中、Mはモノマー残部である。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はアラルキルオキシ基である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。)
Figure 2015168722
(式中、Mは、Mと異なるモノマー残部である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシメチル基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はアラルキルオキシメチル基である。)
下記反応式に示すように、下記構造のアルコキシアミンは、加熱によりベンジルラジカルとテトラメチルピペリジン−オキシラジカル(以下、TEMPOラジカルという)に分解し、冷却により元に戻る可逆反応を起こす。なお、ベンゼン環の代わりにナフタレン環でも同様の可逆反応を起こす。
Figure 2015168722
本発明は、アルコキシアミンの上記性質を利用し、アルコキシアミンのベンゼン環側又はナフタレン環側に重合性官能基を有するモノマーである上記一般式(1)で表される変性モノマー(a)を少なくとも重合して得られる変性ポリマー(A)と、アルコキシアミンのTEMPO側に重合性官能基を有するモノマーである上記一般式(2)で表される変性モノマー(b)を少なくとも重合して得られる変性ポリマー(B)とを併用することに特徴がある。そして、本発明においては、変性ポリマー(A)と、変性ポリマー(B)とは異なるポリマーであることが重要である。
下記反応式に示すように、例えば、下記構造の変性ポリマー(A)と変性ポリマー(B)を混合して加熱すると、変性ポリマー(A)のアルコキシアミンと変性ポリマー(B)のアルコキシアミンがそれぞれラジカル解離し、その後、冷却すると変性ポリマー(A)のベンジルラジカルと変性ポリマー(B)のTEMPOラジカルが結合する。その結果、異なるポリマーである変性ポリマー(A)と変性ポリマー(B)とがアルコキシアミンで架橋した複合化ポリマーが得られる。当該反応は可逆的であり、本発明の複合化ポリマーは常温では架橋構造を有するため熱硬化性であるが、加熱すると架橋が解離するため熱可塑性である。つまり、本発明の複合化ポリマーは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の両方の性質を併せ持つものである。また、当該反応はラジカル反応であるため速やかに進行する。したがって、本発明の複合化ポリマーは押出成形法、射出成形法、又は溶融成形法等により成形又は加工することができ、成形性、加工性、及び生産性に優れ、また再利用が可能である。さらに、本発明の複合化ポリマーは、異なるポリマーが化学的に結合したものであるため、物理的に混合したポリマーアロイのようにポリマーが相分離することがなく、従来のポリマーアロイに比べて物性が非常に優れている。
Figure 2015168722
変性ポリマー(A)は、少なくとも変性(メタ)アクリレートモノマー(a)及び未変性(メタ)アクリル系モノマー(a’)を重合して得られる変性ポリ(メタ)アクリレート(A)であり、変性ポリマー(B)は、少なくとも変性スチレンモノマー(b)及び未変性スチレンモノマー(b’)を重合して得られる変性ポリスチレン(B)であることが好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレート又はこれらの混合物を意味する。
変性ポリ(メタ)アクリレート(A)と変性ポリスチレン(B)とがアルコキシアミンで架橋した複合化ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレートとポリスチレンとを物理的に混合して得られるポリマーアロイに比べて、耐衝撃性及び機械的強度に優れている。
変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)、及び変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)はモル%基準で同量含まれていてもよい。その場合、変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)、及び変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)の含有モル%は0.1〜20モル%であることが好ましい。0.1モル%未満の場合には、架橋密度が不十分であるため、相分離したり、所望の性能を有する複合化ポリマーが得られない傾向にある。一方、20モル%を超えると、架橋残基が多くなりすぎるため、架橋残基を全く有さない樹脂の本来の性質と大きくかい離し、所望の性能を有する複合化ポリマーが得られない傾向にある。また、金型内への射出時に、流動樹脂の温度低下によって流動樹脂内で一部架橋し、増粘が起こって流動性が低下し、射出不良となる傾向にある。
本発明においては、変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)又は変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)のどちらか一方が他方よりもモル%基準で過剰に含まれていることが好ましい。硬化速度を大きくするためには、架橋部位を増やせばよいが、単に架橋部位を増やすと架橋密度が高くなるため、所望の性能を有する複合化ポリマーを作製し難くなる。どちらか一方の変性モノマーを他方の変性モノマーよりもモル%基準で過剰に含有させることにより、一方のポリマーのベンジルラジカルと他方のポリマーのTEMPOラジカルとの反応確率を高めることができ、それにより硬化速度を大きくすることができる。なお、架橋密度は、変性ポリマー(A)が有するベンジルラジカルの数と、変性ポリマー(B)が有するTEMPOラジカルの数を比べて、少ない方のラジカルの数で決まるので、どちらか一方の変性モノマーを他方の変性モノマーよりも過剰に含有させることにより、架橋密度を変えることなく硬化速度を大きくすることができる。
上記の場合、前記変性モノマーのどちらか少ない方の含有モル%をX、多い方の含有モル%をYとすると、0.1モル%≦X<Y≦20モル%、かつ2≦Y/X≦200を満たすことが好ましい。Xが0.1モル%未満の場合には、架橋密度が不十分であるため、相分離したり、所望の性能を有する複合化ポリマーが得られない傾向にある。Yが20モル%を超えると、架橋残基が多くなりすぎるため、架橋残基を全く有さない樹脂の本来の性質と大きくかい離し、所望の性能を有する複合化ポリマーが得られない傾向にある。また、Y/Xが2未満の場合には、硬化速度の向上効果が十分でなく、Y/Xが200を超えると、多い方の架橋残基が多くなりすぎるため、架橋残基を全く有さない樹脂の本来の性質と大きくかい離し、所望の性能を有する複合化ポリマーが得られない傾向にある。
本発明の可逆的架橋性複合化ポリマーは、異なるポリマーがアルコキシアミンによって架橋したものであり、温度変化によって可逆的に架橋を形成又は解離するため、常温では熱硬化性であるが、加熱すると熱可塑性である。したがって、本発明の可逆的架橋性複合化ポリマーは押出成形法、射出成形法、又は溶融成形法等により成形又は加工することができる。また、本発明の可逆的架橋性複合化ポリマーは、異なるポリマーが化学的に結合したものであるため、従来のポリマーアロイのようにポリマーが相分離することがなく、従来のポリマーアロイに比べて物性が非常に優れている。
本発明の可逆的架橋性複合化ポリマー原料は、少なくとも下記一般式(1)で表される変性モノマー(a)を重合して得られる変性ポリマー(A)と、少なくとも下記一般式(2)で表される変性モノマー(b)を重合して得られる変性ポリマー(B)とを含む。
Figure 2015168722
(式中、Mはモノマー残部である。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はアラルキルオキシ基である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。)
Figure 2015168722
(式中、Mは、Mと異なるモノマー残部である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシメチル基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はアラルキルオキシメチル基である。)
変性モノマー(a)は、モノマーを前記構造のアルコキシアミンで変性したものであり、アルコキシアミンのベンゼン環側又はナフタレン環側に重合性官能基を有している。一方、変性モノマー(b)は、変性モノマー(a)のモノマーとは種類が異なるモノマーを前記構造のアルコキシアミンで変性したものであり、アルコキシアミンのTEMPO側に重合性官能基を有している。
変性モノマー(a)及び変性モノマー(b)の原料であるモノマーは、公知のモノマーを特に制限なく使用でき、目的とする変性ポリマー(A)及び変性ポリマー(B)を考慮して適宜選択する。前記構造のアルコキシアミンは、置換反応によりモノマーに導入してもよく、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、又はアミド結合などによりモノマーに導入してもよい。当業者であれば公知の化学反応を利用して容易に変性モノマー(a)及び(b)を合成することができるであろう。
変性ポリマー(A)及び変性ポリマー(B)を構成するポリマーは特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンなどのポリオレフィン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリスチレン;ポリ(メタ)アクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンエーテル;ABS樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;フッ素樹脂;AS樹脂;ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。当業者であれば上記ポリマーの中から2つのポリマーを適宜選択して目的とする可逆的架橋性複合化ポリマーを合成することができるであろう。
本発明において、変性ポリマー(A)と変性ポリマー(B)とを組み合わせる場合には、変性ポリ(メタ)アクリレート、変性ポリスチレン、変性ポリオレフィン、及び変性ポリウレタンの中から2つを選択することが好ましい。当業者であれば上記ポリマーの中から2つポリマーを適宜選択して目的とする可逆的架橋性複合化ポリマーを合成することができるであろう。以下、具体例として、変性ポリマー(A)が変性ポリ(メタ)アクリレート(A)であり、変性ポリマー(B)が変性ポリスチレン(B)である場合について説明する。
変性ポリ(メタ)アクリレート(A)の原料である変性(メタ)アクリレートモノマー(a)としては、例えば、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015168722
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はアラルキルオキシ基である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基である。)
変性ポリスチレン(B)の原料である変性スチレンモノマー(b)としては、例えば、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015168722
(式中、Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシメチル基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はアラルキルオキシメチル基である。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基である。)
変性ポリ(メタ)アクリレート(A)は、少なくとも変性(メタ)アクリレートモノマー(a)及び未変性(メタ)アクリル系モノマー(a’)を重合して得られるものであり、変性ポリスチレン(B)は、少なくとも変性スチレンモノマー(b)及び未変性スチレンモノマー(b’)を重合して得られるものであることが好ましい。
未変性(メタ)アクリル系モノマー(a’)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
変性モノマー(a)及び変性モノマー(b)は、変性ポリマー(A)中に生じたラジカルと変性ポリマー(B)中に生じたラジカルとを1対1で反応させるために、モル%基準で同量含有させることができる。その場合、各ポリマー中の変性モノマー(a)及び変性モノマー(b)の含有モル%は0.1〜20モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。
硬化速度を大きくするために、変性ポリマー(A)中の変性モノマー(a)又は変性ポリマー(B)中の変性モノマー(b)のどちらか一方を他方よりもモル%基準で過剰に含有させることが好ましい。この場合、前記変性モノマーのどちらか少ない方の含有モル%をX、多い方の含有モル%をYとすると、0.1モル%≦X<Y≦20モル%、かつ2≦Y/X≦200を満たすことが好ましく、より好ましくは1モル%≦X<Y≦10モル%、かつ2≦Y/X≦10である。
本発明の可逆的架橋性複合化ポリマーは、前記可逆的架橋性複合化ポリマー原料を架橋して得られる。架橋反応は無溶媒条件下で行ってもよく、溶媒存在下で行ってもよい。反応温度はアルコキシアミンの分解温度、及び使用する変性ポリマーの軟化点等を考慮して適宜調整する必要があるが、通常60〜300℃である。反応時間は使用する変性ポリマーの種類によって異なるが、通常1〜24時間である。
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定、評価方法]
(曲げ弾性率及び曲げ強度の測定)
実施例及び比較例で作製したA型多目的試験片(JIS K7139)を短冊状に切り出してサンプルを得た。JIS K7171に準拠して、曲げ試験機(島津製作所製、オートグラフ)を用いてサンプルの曲げ弾性率(GPa)及び曲げ強度(MPa)を測定し、下記基準で評価した。
曲げ弾性率
○:2.9GPaを超える
×:2.9GPa以下
曲げ強度
○:28MPaを超える
×:28MPa以下
(射出性の評価)
簡易型射出成形機(東洋精機製作所製、ハンドトゥルーダ)を用いて、炉内温度160℃及び金型温度90℃の条件で射出操作を行った。下記基準で評価した。
○:未変性品と同等(金型フル充填)
×:未変性品と比べて劣る(ショートショット)
(架橋性の評価)
作製した変性ポリスチレン1gと変性PMMA1g、あるいは未変性ポリスチレン1gと未変性PMMA1gをバイアルビンに入れ、濃度が10重量%になるようにアニソールを加えて溶解させた。得られた溶液を130℃に保ちながら、バイアルビンを一定時間ごとに傾けてゲル化(架橋)するまでの時間を目視で測定した。
○:1時間未満
×:1時間以上
(再溶融性の評価)
実施例及び比較例で作製したA型多目的試験片(JIS K7139)を粉砕し、粉砕片を簡易型射出成形機(東洋精機製作所製、ハンドトゥルーダ)の炉内に入れ、炉内温度160℃及び金型温度90℃の条件で射出操作を行った。この時の射出状況から、下記基準で再溶融性を評価した。
○:再溶融が可能(金型フル充填)
×:再溶融性が劣る(ショートショット)
製造例1
〔下記化学式(5)で表される変性スチレンモノマー(b)の合成〕
Figure 2015168722

反応容器にエチルベンゼン500ml、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル100g(0.58mol)、及びジ−t−ブチルペルオキシド89g(0.61mol)を入れ、130℃で8時間加熱撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィー及び再結晶を行って、下記化学式(6)で表されるアルコキシアミンモノオール30gを得た。
Figure 2015168722
反応容器に乾燥DMF9ml、上記化学式(6)で表されるアルコキシアミンモノオール6.5g(0.023mol)、及び水酸化ナトリウム3.1g(0.13mol)を入れ、0℃で撹拌した後、4−(クロロメチル)スチレン6.6ml(0.047mol)を加えて4時間撹拌した。得られた粗生成物をろ過して固形分を取り除き、カラムクロマトグラフィーを行って、上記化学式(5)で表される変性スチレンモノマー(b)6gを得た。
製造例2
〔変性ポリスチレン(B1)の合成〕
反応容器に上記化学式(5)で表される変性スチレンモノマー(b)5.8g(0.015mol)、スチレンモノマー29g(0.28mol)、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.18g(0.00059mol)を入れ、40℃で撹拌した。なお、変性スチレンモノマー(b):スチレンモノマー=5:95(モル比)である。重合開始剤の量は全モノマーモル数の1/500である。得られた重合物を過剰量のメタノール中で再沈殿させて、変性ポリスチレン(B1)17gを得た。
製造例3
〔変性ポリスチレン(B2)の合成〕
モル比を変性スチレンモノマー(b):スチレンモノマー=10:90に変更した以外は製造例2と同様の方法で変性ポリスチレン(B2)を得た。
製造例4
〔変性ポリスチレン(B3)の合成〕
モル比を変性スチレンモノマー(b):スチレンモノマー=1:99に変更した以外は製造例2と同様の方法で変性ポリスチレン(B3)を得た。
製造例5
〔未変性ポリスチレンの合成〕
反応容器にスチレンモノマー97g(0.93mol)、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.57g(0.0019mol)を入れ、40℃で撹拌した。得られた重合物を過剰量のメタノール中で再沈殿させて、未変性ポリスチレンを得た。
製造例6
〔下記化学式(7)で表される変性メタクリレートモノマー(a)の合成〕
Figure 2015168722
反応容器にメタノール1000ml、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル100g(0.64mol)、スチレンモノマー453g(4.3mol)、硫酸鉄(II)七水和物221g(0.8mol)、及び炭酸水素ナトリウム134g(1.6mol)を入れて撹拌し、そこに30%過酸化水素水300ml(2.9mol)とメタノール100mlの混合溶液をゆっくり滴下し、50℃で8時間撹拌した。その後、ろ過により固形分を除去し、メタノールとスチレンを減圧除去した。得られた粗生成物を水で洗浄し、ジエチルエーテルで抽出操作を行って、下記化学式(8)で表されるアルコキシアミンモノオール87gを得た。
Figure 2015168722
反応容器に乾燥THF70ml、上記化学式(8)で表されるアルコキシアミンモノオール87g(0.31mol)、及びトリエチルアミン56mlを入れ、0℃で撹拌した後、メタクリロイルクロリド36ml(0.38mol)を加えて4時間撹拌した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、上記化学式(7)で表される変性メタクリレートモノマー(a)33gを得た。
製造例7
〔変性ポリメタクリレート(A1)の合成〕
反応容器にアニソール30ml、上記化学式(7)で表される変性メタクリレートモノマー(a)2.9g(0.0084mol)、メチルメタクリレートモノマー16g(0.16mol)、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.26g(0.00084mol)を入れ、40℃で撹拌した。なお、変性メタクリレートモノマー(a):メチルメタクリレートモノマー=5:95(モル比)である。重合開始剤の量は全モノマーモル数の1/500である。得られた重合物を過剰量のメタノール中で再沈殿させて、変性ポリメタクリレート(A1)13gを得た。
製造例8
〔変性ポリメタクリレート(A2)の合成〕
モル比を変性メタクリレートモノマー(a):メチルメタクリレートモノマー=10:90に変更した以外は製造例8と同様の方法で変性ポリメタクリレート(A2)を得た。
製造例9
〔変性ポリメタクリレート(A3)の合成〕
モル比を変性メタクリレートモノマー(a):メチルメタクリレートモノマー=1:99に変更した以外は製造例8と同様の方法で変性ポリメタクリレート(A3)を得た。
製造例10
〔未変性ポリメタクリレートの合成〕
反応容器にメチルメタクリレートモノマー101g(1.0mol)、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.62g(0.002mol)を入れ、40℃で撹拌した。得られた重合物を過剰量のメタノール中で再沈殿させて、未変性ポリメタクリレートを得た。
実施例1
(複合化ポリマーの作製)
混練機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)内に、変性ポリメタクリレート(A1)、及び変性ポリスチレン(B1)を入れ、160℃で5分間溶融混合した。得られた混合物を簡易型射出成形機(東洋精機製作所製、ハンドトゥルーダ)を用いて、炉内温度160℃及び金型温度90℃の条件で射出成型し、複合化ポリマーからなるA型多目的試験片(JIS K7139)を作製した。なお、変性ポリメタクリレート(A1)及び変性ポリスチレン(B1)の配合量は、原料である各変性モノマーのモル比が1:1となる量とした。
表1において、変性ポリメタクリレート(A)及び変性ポリスチレン(B)の配合量は、原料である各変性モノマーのモル比で表す。
実施例2〜5
表1に記載の原料及び配合量を採用した以外は実施例1と同様の方法で複合化ポリマーからなるA型多目的試験片(JIS K7139)を作製した。
比較例1
(ポリマーアロイの作製)
混練機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)内に、未変性ポリメタクリレート30g、及び未変性ポリスチレン30gを入れ、160℃で5分間溶融混合した。得られた混合物を簡易型射出成形機(東洋精機製作所製、ハンドトゥルーダ)を用いて、炉内温度160℃及び金型温度90℃の条件で射出成型し、ポリマーアロイからなるA型多目的試験片(JIS K7139)を作製した。
Figure 2015168722
本発明の可逆的架橋性複合化ポリマーは、従来のポリマーアロイの代替物として各種のポリマー成型品に用いることができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも下記一般式(1)で表される変性モノマー(a)を重合して得られる変性ポリマー(A)と、少なくとも下記一般式(2)で表される変性モノマー(b)を重合して得られる変性ポリマー(B)とを含む可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
    Figure 2015168722
    (式中、Mはモノマー残部である。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はアラルキルオキシ基である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。)
    Figure 2015168722
    (式中、Mは、Mと異なるモノマー残部である。Rはフェニル基又はナフチル基であり、これらは置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基を1つ以上有していてもよい。Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシメチル基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はアラルキルオキシメチル基である。)
  2. 変性ポリマー(A)は、少なくとも変性(メタ)アクリレートモノマー(a)及び未変性(メタ)アクリル系モノマー(a’)を重合して得られる変性ポリ(メタ)アクリレート(A)であり、変性ポリマー(B)は、少なくとも変性スチレンモノマー(b)及び未変性スチレンモノマー(b’)を重合して得られる変性ポリスチレン(B)である請求項1記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
  3. 変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)、及び変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)はモル%基準で同量含まれている請求項2記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
  4. 変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)、及び変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)の含有モル%が0.1〜20モル%である請求項3記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
  5. 変性ポリ(メタ)アクリレート(A)中の変性(メタ)アクリレートモノマー(a)又は変性ポリスチレン(B)中の変性スチレンモノマー(b)のどちらか一方が他方よりもモル%基準で過剰に含まれている請求項2記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
  6. 前記変性モノマーのどちらか少ない方の含有モル%をX、多い方の含有モル%をYとした場合、0.1モル%≦X<Y≦20モル%、かつ2≦Y/X≦200を満たす請求項5記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の可逆的架橋性複合化ポリマー原料を架橋して得られる可逆的架橋性複合化ポリマー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023167035A1 (ja) * 2022-03-01 2023-09-07 Eneos株式会社 架橋ポリマー、その製造方法および再架橋ポリマーの製造方法

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