JP2015098571A - 重合体及びその製造方法並びに成形体 - Google Patents

重合体及びその製造方法並びに成形体 Download PDF

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真悟 疋田
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雅翔 西村
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恒祐 藤山
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Abstract

【課題】マクロモノマーとビニル単量体を重合して得られる耐滞留劣化性の良好な重合体及びその重合体から得られる耐黄変性に優れた成形体を提供する。
【解決手段】特定のマクロモノマー(a)及びビニル単量体を含有する単量体混合物を重合して得られた重合体であって、5%重量減少温度が280℃以上である重合体、マクロモノマー(a)及びビニル単量体を含有する単量体混合物100質量部及び非金属連鎖移動剤0.01〜0.5質量部を含有する原料組成物を重合する上記の重合体の製造方法及び重合体を成形して得られる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合体及びその製造方法並びに成形体に関する。
反応活性のある不飽和結合を有する単量体の多くは、連鎖反応を起こす触媒を用いて適切な条件で反応させることにより多量体を生成することができる。
このような不飽和結合を有する単量体を代表する汎用的な単量体としてスチレン、アルキルスチレン及びアルコキシスチレン等のビニル化合物を挙げることができる。また、ビニル化合物を単独で重合又は2種以上のビニル化合物を共重合させることにより物性の異なる多種多様な重合体が合成される。これらの重合体を工業的に利用する場合、1種の単量体を用いた単独重合体では、材料の多様な要求に応えることができないため、異種の重合体を混合する方法が用いられている。しかしながら、異種の重合体を単に混合しただけでは、重合体同士は混ざり合うことなく分離(マクロ相分離と呼ばれる)するため、異種の重合体の混合物は各単量体単位が有する特性を発現しないことが多い。
上記の課題を解決するために、2種以上の重合体セグメントを化学結合させたブロック共重合体が用いられている。重合体同士は混ざりにくいため相分離が起こるが、ブロック共重合体は互いに化学結合で連結しているためその相分離構造はナノメーターサイズになる(ミクロ相分離と呼ばれる)。そのため、各重合体セグメントが有する特性を損なうことなく、各重合体セグメントの特性を発現することができる。ブロック共重合体の中で、(メタ)アクリルブロック共重合体は、透明性や耐候性を必要とする各種用途での応用が試みられている。
(メタ)アクリルブロック共重合体の製造方法として、例えば、特許文献1には以下の方法が提案されている。まず、連鎖移動定数が極めて高いコバルト連鎖移動剤を用いてマクロモノマーを予め製造する。次いで、得られたマクロモノマーを他の(メタ)アクリル単量体と溶液中で共重合することで(メタ)アクリルブロック共重合体を得ることができる。しかしながら、このブロック共重合体は溶液重合法で製造されているため、塗料に用いる場合には得られた重合体溶液をそのまま用いることができるが、塗料以外の用途に用いる場合には再沈殿等の回収工程が必要となり、溶媒を使用するという点で環境への負荷が大きい。
特開2000−355,605号公報
溶液重合法よりも環境への負荷が小さく、重合体の回収が容易な製造方法として、懸濁重合法が知られている。しかしながら、マクロモノマーとビニル単量体を懸濁重合法で共重合する場合には、得られる共重合体は十分な耐滞留劣化性を有しているとはいえず、共重合体を使用した成形体は十分な耐黄変性を有しているとはいえない
本発明の課題は、マクロモノマーとビニル単量体を重合して得られる、耐滞留劣化性の良好な重合体及びその重合体から得られる耐黄変性に優れた成形体を提供することにある。
前記課題は、以下の本発明[1]〜[15]によって解決される。
[1] 下記式(1)で表されるマクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)を含有する単量体混合物を重合して得られた重合体であって、5%重量減少温度が280℃以上である重合体。
式(1)において、R及びR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。
〜Xは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Zは、末端基である。
nは、2〜10,000の自然数である。
[2] 単量体混合物の重合が懸濁重合である[1]に記載の重合体。
[3] ビニル単量体(b)が(メタ)アクリル酸エステルである[1]又は[2]に記載の重合体。
[4] マクロモノマー(a)がコバルト連鎖移動剤を用いて得られたマクロモノマーである[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体。
[5] マクロモノマー(a)を得るためのビニル単量体(a−b)がメタクリル酸エステル85〜99質量部及びアクリル酸エステル1〜15質量部を含む単量体組成物である[1]〜[4]のいずれかに記載の重合体。
[6] 重合体がメルトインデックス保持率95〜110%を有するものである[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体。
[7] 下記式(1)で表されるマクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)を含有する単量体混合物100質量部及び非金属連鎖移動剤0.01〜0.5質量部を含有する原料組成物を重合する重合体の製造方法。
式(1)において、R及びR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。
〜Xは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Zは、末端基である。
nは、2〜10,000の自然数である。
[8] 原料組成物の重合が懸濁重合である[7]に記載の重合体の製造方法。
[9] ビニル単量体(b)が(メタ)アクリル酸エステルである[7]又は[8]に記載の重合体の製造方法。
[10] マクロモノマー(a)がコバルト連鎖移動剤を用いて得られたマクロモノマーである[7]〜[9]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[11] マクロモノマー(a)を得るためのビニル単量体(a−b)がメタクリル酸エステル85〜99質量部及びアクリル酸エステル1〜15質量部を含む単量体組成物である[7]〜[10]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[12] 重合体がメルトインデックス保持率95〜110%を有するものである[7]〜[11]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[13] [1]〜[6]のいずれかに記載の重合体を成形して得られる成形体。
[14] [7]〜[12]のいずれかに記載の方法で製造された重合体を成形して得られる成形体。
[15] 形状がシート状である[13]又は[14]に記載の成形体。
本発明により、マクロモノマー(a)とビニル単量体(b)を重合して得られる、耐滞留劣化性の良好な重合体及びその重合体を使用して耐黄変性に優れた成形体を得ることができ、建材用途向けのアクリル樹脂成形体として好適である。
<マクロモノマー(a)>
マクロモノマー(a)は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントの片末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を有するものであり、別名マクロマーとも呼ばれるものである。尚、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を示す。
マクロモノマー(a)は、前記の一般式(1)で表されるものである。
一般式(1)において、R及びR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基は、置換基を有することができる。
R又はR〜Rのアルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の分岐又は直鎖アルキル基が挙げられる。炭素数1〜20の分岐又は直鎖アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びイコシル基が挙げられる。これらの中で、入手のし易さから、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基及びt−ブチル基がより好ましい。
R又はR〜Rのシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜20のシクロアルキル基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びアダマンチル基が挙げられる。入手のし易さから、シクロプロピル基、シクロブチル基及びアダマンチル基が好ましい。
R又はR〜Rのアリール基としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。炭素数6〜18のアリール基の具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
R又はR〜Rの複素環基としては、例えば、炭素数5〜18の複素環基が挙げられる。R又はR〜Rの複素環基の具体例としては、γ−ラクトン基及びε−カプロラクトン基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基としては、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(−COOR’)、カルバモイル基(−CONR’R’’)、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基(−NR’R’’)、ハロゲン、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(−OR’)又は親水性若しくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。尚、R’又はR’’は、それぞれ独立して、複素環基を除いてRと同様の基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基のカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基及びN,N−ジメチルカルバモイル基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基のアミド基としては、例えば、ジメチルアミド基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基のハロゲンとしては、例えば、ふっ素、塩素、臭素及びよう素が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
R又はR〜Rの置換基の親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシル基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
R及びR〜Rは、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、入手のし易さの観点からメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基及びt−ブチル基がより好ましい。
〜Xは、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種であり、メチル基が好ましい。
〜Xは、マクロモノマー(a)の合成し易さの観点から、X〜Xの半数以上がメチル基であることが好ましい。
Zは、マクロモノマー(a)の末端基である。マクロモノマー(a)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
nは、2〜10,000の自然数である。
マクロモノマー(a)を得るためのビニル単量体(a−b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、プラクセルFM(ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー、商品名)、ブレンマーPME−100(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、ブレンマーPME−200(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)、ブレンマーPME−400(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの)、商品名)、ブレンマー50POEP−800B(日油(株)製オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの)、商品名)及びブレンマー20ANEP−600(日油(株)製ノニルフェノキシ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノアクリレート、商品名)、ブレンマーAME−100(日油(株)製、商品名)、ブレンマーAME−200(日油(株)製、商品名)及びブレンマー50AOEP−800B(日油(株)製、商品名)が挙げられる。
これらの中で、単量体の入手のし易さの点で、メタクリル酸エステルが好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、成形体の透明性及び入手のし易さ点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
また、マクロモノマー(a)を得るための単量体(a−b)としては、成形体の耐滞留劣化性の点から、上記のメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを含有する単量体組成物が好ましい。
上記のアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸t−ブチルが挙げられる。これらの中で、入手し易さの点で、アクリル酸メチルが好ましい。
上記の単量体組成物中のメタクリル酸エステルの含有量としては、成形体の耐滞留劣化性の点から、80質量%以上99質量%以下が好ましい。メタクリル酸エステルの含有量の下限値は、82質量%以上がより好ましく、84質量%以上が更に好ましい。メタクリル酸エステルの含有量の上限値は、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。
本発明においては、マクロモノマー(a)の単量体単位として、目的に応じて、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位を含有することができる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸が挙げられる。
マクロモノマー(a)を得るための単量体(a−b)は、上述の単量体を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マクロモノマー(a)の質量平均分子量(Mw)は1,000以上1,000,000以下が好ましい。マクロモノマー(a)のMwが1,000以上の場合に、成形体の機械強度及び耐滞留劣化性が良好となる傾向にあり、1,000,000以下の場合に後述するビニル単量体に溶解しやすい傾向にある。マクロモノマー(a)のMwの下限値は3,000以上がより好ましく、5,000以上が更に好ましい。また、マクロモノマー(a)のMwの上限値は500,000以下がより好ましく、300,000以下が更に好ましい。
マクロモノマー(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マクロモノマー(a)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許4,680,352号明細書)、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開88/04,304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60−133,007号公報及び米国特許5,147,952号明細書)及び熱分解による方法(特開平11−240,854号公報)が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(a)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点でコバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。
コバルト連鎖移動剤を用いてマクロモノマー(a)を製造する方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法及び懸濁重合法、乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(a)の回収工程の簡略化の点から、水系分散重合法が好ましい。
マクロモノマー(a)を溶液重合法で得る際に使用される溶剤としては、例えば、トルエン等の炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;アセトン等のケトン;メタノール等のアルコール;アセトニトリル等のニトリル;酢酸エチル等のビニルエステル;エチレンカーボネート等のカーボネート;及び超臨界二酸化炭素が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
後述する重合体の製造には、合成したマクロモノマー(a)を回収、精製した粉体状物で使用しても、懸濁重合で合成したマクロモノマー(a)の懸濁液をそのまま使用しても良い。

<ビニル単量体(b)>
ビニル単量体(b)としては、マクロモノマー(a)を得るための単量体(a−b)と同様の単量体が挙げられる。
重合体として高い透明性を有する成形体を得る場合には、ビニル単量体(b)として、例えば、メタ)アクリル酸エステルを使用することができる。これらの中で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。上記の中で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸4−ヒドロキシブチルがより好ましい。
重合体として柔軟性を有する成形体を得る場合には、ビニル単量体(b)として、例えば、炭素数1〜20のアクリル酸エステル及び炭素数4〜20のメタクリル酸エステルを使用することができる。これらの中で、炭素数1〜10のアクリル酸エステルが好ましい。アクリル酸エステルの中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸4−ヒドロキシブチルがより好ましい。
以下において、マクロモノマー(a)の種類に応じたビニル単量体(b)の具体例を示す。
例えば、マクロモノマー(a)としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)マクロモノマーを使用した場合、ビニル単量体(b)の具体例としてはメタクリル酸メチル(MMA)及びアクリル酸n−ブチル(nBA)が挙げられる。
更に、マクロモノマー(a)としてポリメタクリル酸ブチル(PBMA)を使用した場合、ビニル単量体(b)の具体例としてはアクリル酸メチル(MA)及びメタクリル酸n−ブチル(nBMA)が挙げられる。
また、マクロモノマー(a)としてMMAとMAの共重合体マクロモノマーを用いた場合、ビニル単量体(b)の具体例としてはMMA及びnBAが挙げられる。
ビニル単量体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

<単量体混合物>
単量体混合物は、マクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)を含有する。
マクロモノマー(a)の含有量は15質量%以上60質量%以下が好ましい。マクロモノマー(a)の含有量が15質量%以上の場合に、成形体の機械強度及び耐黄変性が良好となる傾向にある。また、マクロモノマー(a)の含有量が60質量%以下の場合に懸濁重合での分散安定性が良好となる傾向にあり、成形体の耐熱分解性が良好となる傾向にある。マクロモノマー(a)の含有量の下限値は20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。マクロモノマー(a)の含有量の上限値は55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
ビニル単量体(b)の含有量は40質量%以上85質量%以下が好ましい。ビニル単量体(b)の含有量が85質量%以下の場合に、成形体の機械強度及び耐黄変性が良好となる傾向にある。また、ビニル単量体(b)の含有量が40質量%以上の場合に懸濁重合での分散安定性が良好となる傾向にあり、成形体の耐熱分解性が良好となる傾向にある。ビニル単量体(b)の含有量の上限値は80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。ビニル単量体(b)の含有量の下限値は45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
単量体混合物の形態としては、例えば、マクロモノマー(a)をビニル単量体(b)に溶解させたシラップが挙げられる。

<重合体>
重合体は、単量体混合物を重合して得られる重合物である。
本発明において、重合体中には、マクロモノマー(a)単位のみを有する重合体、1種のビニル単量体(b)のみを有する重合体、2種以上のビニル単量体(b)を有する重合体、未反応のマクロモノマー(a)及び未反応のビニル単量体(b)から選ばれる少なくとも1種を含有することができる。
重合体は、マクロモノマー(a)単位及びビニル単量体(b)単位を有するブロック共重合体並びに側鎖にマクロモノマー(a)単位を有する、ビニル単量体(b)のグラフト共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む。
重合体のMwは30,000以上3,000,000以下が好ましい。重合体のMwが30,000以上の場合に成形体の機械強度及び耐熱分解性が良好となる傾向にある。また、重合体のMwが3,000,000以下の場合に成形体の耐黄変性が良好となる傾向にある。重合体のMwの下限値は75,000以上がより好ましく、100,000以上が更に好ましい。重合体のMwの上限値は2,500,000以下がより好ましく、2,000,000以下が更に好ましい。
重合体は金属触媒等を用いない重合法により得ることができることから、金属触媒等による黄変、着色及び耐滞留劣化性低下の少ない成形体及び成形体を得るための成形材料に好適に使用できる。
重合体には、必要に応じてその他の重合体を添加することができる。
その他の重合体としては、例えば、PMMA等の(メタ)アクリル重合体、ポリオレフィン、ポリアミド、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル、ポリカーボネート及びポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
重合体とその他の重合体を混合する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等の物理的混合法及び押出機等の溶融混合法が挙げられる。
重合体には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤;及び無機充填剤、滑剤、可塑剤、有機過酸化物、中和剤、架橋剤等の各種添加剤を配合することができる。
重合体は、5%重量減少熱分解温度が280℃以上を有するものである。
5%重量減少熱分解温度とは、TG/DTA(セイコーインスツルメンツ(株)製、商品名:TG/DTA6300、測定温度:100〜500℃、昇温速度:10℃/分、流速:窒素20mL/分)を用い、5%質量減少温度(Td5)を測定して得られる値をいう。
重合体の5%重量減少熱分解温度が280℃以上の場合、耐滞留劣化性の良好な重合体及び耐黄変性に優れた、後述する成形体を得ることができる。重合体の5%重量減少熱分解温度の下限値は290℃以上がより好ましく、295℃以上が更に好ましく、300℃以上が特に好ましい。重合体の5%重量減少熱分解温度の上限値は高いほど好ましいが、高分子化合物の性質上400℃以下が好ましい。

<重合体の製造>
重合体の製造方法としては、例えば、[あ]マクロモノマー(a)をビニル単量体(b)に溶解して単量体混合物を調整し、ラジカル重合開始剤を添加した後に分散剤を溶解させた水溶液中に単量体混合物を分散させて得られるシラップ分散液を懸濁重合する方法及び[い]マクロモノマー(a)を懸濁重合で合成して得られる水性懸濁液にビニル単量体(b)を添加し、ビニル単量体(b)にマクロモノマー(a)を溶解させた単量体混合物の分散体が形成されたシラップ懸濁液を得た後に、シラップ懸濁液を懸濁重合する方法が挙げられる。
上記の方法において、成形体の光学特性の点で、[あ]の製造方法で得られる重合体が好ましい。また、マクロモノマー(a)の回収工程を省くことが出来き、製造工程を短縮することができる点で、[い]の製造方法が好ましい。
上記のいずれの方法においても、マクロモノマー(a)をビニル単量体(b)に溶解させる際には加温することが好ましい。
マクロモノマー(a)をビニル単量体(b)に溶解させる際の加熱温度は30〜90℃が好ましい。加熱温度が30℃以上で、マクロモノマー(a)の溶解性を良好とすることができる傾向にあり、加熱温度が90℃以下で、単量体混合物の揮発を抑制できる傾向にある。加熱温度の下限値は、35℃以上がより好ましい。また、加熱温度の上限値は、75℃以下がより好ましい。
マクロモノマー(a)を溶解した単量体混合物を重合する際にラジカル重合開始剤を使用する場合、ラジカル重合開始剤の添加時期としてはマクロモノマー(a)をビニル単量体(b)に溶解した後に添加することが好ましい。
ラジカル重合開始剤を添加する際の温度は0℃〜(ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度−15℃)が好ましい。ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が0℃以上でラジカル重合開始剤のビニル単量体(b)への溶解性が良好となる傾向にある。また、ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が(ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度−15℃)で安定な重合を行うことができる傾向にある。
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。
上記のラジカル重合開始剤の中で、入手しやすさの点で、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、重合発熱制御の点で、マクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)の合計量100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下が好ましい。
懸濁重合における重合温度としては特に制限はなく、一般的には50〜120℃である。
懸濁重合に用いる分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体及び(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;ケン化度70〜100%のポリビニルアルコ−ル;メチルセルロ−ス;澱粉;並びにヒドロキシアパタイトが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、懸濁重合時の分散安定性が良好な(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましい。
水性懸濁液中の分散剤の含有量としては、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。分散剤の含有量が0.005質量%以上で、懸濁重合液の分散安定性が良好であり、得られるビニル系ポリマーの洗浄性、脱水性、乾燥性及び流動性が良好となる傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量%以下の場合に、重合時の泡立ちが少なく、重合安定性が良好となる傾向にある。
本発明においては、水性懸濁液の分散安定性向上を目的として、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を水性懸濁液中に添加しても良い。
本発明においては、単量体混合物に後述する非金属連鎖移動剤を含有する原料組成物を重合して重合体を得ることができる。

<非金属連鎖移動剤>
非金属連鎖移動剤は、重合体を得る際に単量体混合物に添加されるものであり、特に懸濁重合法で重合体を得る際に添加することが好ましい。
非金属連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の含硫黄連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素及びテルペノイドが挙げられるが、手に入れ易さや高い連鎖移動能から含硫黄連鎖移動剤が好ましい。
非金属連鎖移動剤の含有量は単量体混合物100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましい。
非金属連鎖移動剤の含有量が0.01質量部以上の場合に成形体の熱分解温度及び耐滞留劣化性が高くなる傾向にある。また、非金属連鎖移動剤の含有量が0.5質量部以下の場合に成形体の分子量低下を抑制できる傾向にあり、機械的強度を良好とすることができる傾向にある。非金属連鎖移動剤の含有量の下限値は0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が更に好ましく、0.07質量部以上が特に好ましい。非金属連鎖移動剤の含有量の上限値は0.3質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下が更に好ましく、0.15質量部以下が特に好ましい。

<原料組成物>
原料組成物は、単量体混合物100質量部及び非金属連鎖移動剤0.01〜0.5質量部を含有する。

<成形体>
成形体は、重合体を成形して得られるものである。
成形体の形状としては、例えば、シート状及び3次元形状が挙げられる。
成形体を得るための成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、中空成形法、押出成形法、回転成形法、流延法及び溶媒キャスト法が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明する。尚、以下において、「部」は「質量部」を示す。また、重合体のMw及びMn、熱重量分析及びメルトインデックス(MI)並びに成形体のイエローインデックス(YI)は以下の方法により評価した。

(重合体の評価)
(1)Mw及びMn
重合体のMw及びMnは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を使用し、以下の条件にて測定した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)と2本のTSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、重合体のMw及びMnは、Polymer Laboratories製のPMMA(Mp(ピークトップ分子量)=141,500、55,600、10,290及び1,590の4種)を用いて作成した検量線を使用して求めた。
(2)熱重量分析
TG/DTA(セイコーインスツルメンツ(株)製、商品名:TG/DTA6、測定温度:100〜500℃、昇温速度:10℃/分、流速:窒素20mL/分)を用い、重合体の1%質量減少温度(Td1)及び5%質量減少温度(Td5)を測定した。
(3)MI
メルトインデクサー((株)テクノセブン製、商品名:L244)を使用して、荷重5kgf及び温度180℃における重合体のMIを測定し、下式に示す重合体のMI保持率を求め、滞留劣化性を評価した。
MI保持率=MI10/MI×100
MI10:シリンダー内10分滞留時のMI値
MI:シリンダー内3分滞留時のMI値
MI保持率が100に近い程、耐滞留劣化性が良好であることを意味する。MI保持率が100を大幅に下回る場合は、樹脂組成物のゲル化が進行している可能性が高く、射出成形時に樹脂の粘度が増加する傾向があり、好ましくない。また、MI保持率が100を大幅に上回る場合は、樹脂組成物の分解が進んでいる可能性があり、射出成形時にガスが多く、充填不足やシルバーストリークの原因となる場合があり、好ましくない。重合体のMI保持率が95〜110%の時滞留劣化性が好ましい傾向にある。

(成形体の評価)
(1)YI
瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、商品名:MCPD−0)を使用して、成形体のYIを測定し、耐黄変性を評価した。

[製造例1]分散剤(1)の合成
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1,200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、アクリエステルM(三菱レイヨン(株)製MMA、商品名)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1,050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、アクリエステルSEM−Na(三菱レイヨン(株)製メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム、商品名)60部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10部及びアクリエステルM(三菱レイヨン(株)製MMA、商品名)12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤としてV−50(和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、商品名)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを利用してアクリエステルM(三菱レイヨン(株)製MMA、商品名)を0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(1)を得た。

[製造例2]Co錯体(1)の合成
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものをろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、100Mpa以下で、20℃において12時間乾燥し、茶褐色固体のCo錯体(1)5.02g(7.93mmol、収率99質量%)を得た。

[製造例3]マクロモノマー(a−1)の合成
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(NaSO)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(1)(固形分10質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、ビニル単量体(a−b)としてアクリエステルM95部及びアクリル酸メチル(MA)(三菱化学(株)製アクリル酸メチル、商品名)5部、製造例2で製造したCo錯体(1)0.0016部並びに重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、商品名)0.1部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから4時間保持した後に92℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。マクロモノマーの水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(a−1)を得た。マクロモノマー(a−1)のMwは32,100、及びMnは17,000であった。
MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)
MA:アクリル酸メチル(三菱化学(株)製)

[実施例1]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び製造例1で製造した分散剤(1)0.26部を混合して懸濁用水分散媒を調整した。
冷却管付セパラブルフラスコに、マクロモノマー(a−1)40部、ビニル単量体(b)としてnBA(三菱化学(株)製アクリル酸n−ブチル、商品名)36部及びアクリエステルM24部並びに非金属連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン(n−OM)(関東化学(株)製、商品名)0.05部を仕込み、攪拌しながら50℃に加温し、シラップの状態の組成物を得た。組成物を40℃以下に冷却した後、組成物にAMBN(大塚化学(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、商品名)0.3部を溶解させ、原料組成物を得た。
次いで、原料組成物に前記の懸濁用水分散媒を加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌回転数を上げてシラップ分散液を得た。
シラップ分散液を75℃に昇温し、パラブルフラスコの外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、シラップ分散液が75℃になった時点で、シラップ分散液を85℃に昇温し、30分保持して重合を完結させ、懸濁液を得た。
懸濁液を40℃以下に冷却した後に、懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)のMwは837,000で、Mnは50,000であった。
重合体(A−1)をΦ30mm二軸押出機(東芝機械プラスチックエンジニアリング(株)製、商品名:TEM−35B)により180℃で押出し、ペレット状の成形材料(1)を得た。得られた成形材料(1)を用いて射出成形機(IS100EN 東芝機械プラスチックエンジニアリング(株)製)によって成形温度180℃及び金型温度45℃で成形し、厚さ2mmのシート状成形体を得た。重合体及び成形体の評価結果を表2に示す。
MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)
MA:アクリル酸メチル(三菱化学(株)製)
BA:アクリル酸n−ブチル(三菱化学(株)製、商品名:nBA)
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学(株)製、商品名)
n−OM:n−オクチルメルカプタン(関東化学(株)製、商品名)

[実施例2〜6]
原料組成物の割合を表2及び表3に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして重合体(A−2)〜(A−6)並びに成形体(2)〜(6)を得た。重合体及び成形体の評価結果を表2及び表3に示す。
MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)
MA:アクリル酸メチル(三菱化学(株)製)
BA:アクリル酸n−ブチル(三菱化学(株)製、商品名:nBA)
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学(株)製、商品名)
n−OM:n−オクチルメルカプタン(関東化学(株)製、商品名)

[比較例1]
重合体を表3に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして重合体(A−4)及び成形体(4)を得た。重合体及び成形体の評価結果を表3に示す。
原料組成物中に非金属連鎖移動剤を添加しなかったため、重合体のMI保持率が118%と高く、耐滞留劣化性が低かったため、成形体のYIが3.21と黄変した。

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表されるマクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)を含有する単量体混合物を重合して得られた重合体であって、5%重量減少温度が280℃以上である重合体。

    式(1)において、R及びR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。
    〜Xは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
    Zは、末端基である。
    nは、2〜10,000の自然数である。
  2. 単量体混合物の重合が懸濁重合である請求項1に記載の重合体。
  3. ビニル単量体が(メタ)アクリル酸エステルである請求項1又は2に記載の重合体。
  4. マクロモノマー(a)がコバルト連鎖移動剤を用いて得られたマクロモノマーである請求項1〜3のいずれかに記載の重合体。
  5. マクロモノマー(a)を構成するビニル単量体(a−b)がメタクリル酸エステル85〜99質量部及びアクリル酸エステル1〜15質量部を含む単量体組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の重合体。
  6. 重合体がメルトインデックス保持率95〜110%を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の重合体。
  7. 下記式(1)で表されるマクロモノマー(a)及びビニル単量体(b)を含有する単量体混合物100質量部及び非金属連鎖移動剤0.01〜0.5質量部を含有する原料組成物を重合する重合体の製造方法。

    式(1)において、R及びR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。
    〜Xは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
    Zは、末端基である。
    nは、2〜10,000の自然数である。
  8. 原料組成物の重合が懸濁重合である請求項7に記載の重合体の製造方法。
  9. ビニル単量体が(メタ)アクリル酸エステルである請求項7又は8に記載の重合体の製造方法。
  10. マクロモノマー(a)がコバルト連鎖移動剤を用いて得られたマクロモノマーである請求項7〜9のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  11. マクロモノマー(a)を構成するビニル単量体(a−b)がメタクリル酸エステル85〜99質量部及びアクリル酸エステル1〜15質量部を含む単量体組成物である請求項7〜10のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  12. 重合体がメルトインデックス保持率95〜110%を有するものである請求項7〜11のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の重合体を成形して得られる成形体。
  14. 請求項7〜12のいずれかに記載の方法で製造された重合体を成形して得られる成形体。
  15. 形状がシート状である請求項13又は14に記載の成形体。
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