JP5495596B2 - 重合体の製造方法、重合体、熱可塑性組成物及び成形体 - Google Patents

重合体の製造方法、重合体、熱可塑性組成物及び成形体 Download PDF

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本発明は、重合体の製造方法、該製造方法により得られる重合体、該重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、及び該熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体に関する。
近年、光学材料に対する要求は、ますます高度になっており、安価で、透明性、機械特性、耐熱性等の多くの性能に優れる樹脂が求められている。しかしながら、従来の光学材料用樹脂は、これらの要求性能がバランスよく備わっておらず、光学材料用樹脂として種々の欠点を有する。
例えば、透明性の高い光学材料用樹脂として、従来、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂が使用されてきた。アクリル樹脂は、透明性が高く、複屈折率が小さい等、光学的特性は優れているが、成形等で樹脂を高温に曝露する場合、樹脂中の残存二重結合により、樹脂が分解し着色や発泡を生じるという欠点を有する。ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が高く、耐熱性は優れているが、重合鎖にエステル結合を有するため、加水分解を起こしやすいという欠点を有する。
上記の課題を改善し得る光学材料用樹脂として、特許文献1及び2では、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物やノルボルネン系単量体とエチレンとの付加型共重合体が提案されている。前記重合体は透明性、耐熱性に優れるものの、ノルボルネン系単量体はラジカル重合が困難であった。また、ラジカル重合の際に金属触媒を用いる必要があるため、得られる重合体は着色を生じるという問題があった。
また、特許文献3では、シアノ基を有する(メタ)アクリレート系単量体成分の重合体が提案されている。前記重合体は耐熱性に優れるものの、重合系が塊状重合では、ガラス転移温度が高いが故に重合完結が困難であり、重合体中に単量体が多く残存し、成形時に発泡が生じる等の悪影響を及ぼす。また、塊状重合で得られる重合体は、有機溶媒への溶解が困難であり、精製が困難である。
特開昭64−24826号公報 特開昭61−115912号公報 特開平2−211401号公報
本発明の目的は、精製が可能な溶液重合を用い、耐熱性を有し、成形時の熱分解を抑制し、成形体の外観や機械特性に優れた重合体を提供することにある。
本発明は、下記一般式(1)で表される単量体(a)を含む単量体成分を、有機溶媒中、連鎖移動剤存在下でラジカル重合して重合体を製造する方法である。
Figure 0005495596
(式中、Rは水素又はメチル基、Rはベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれかに結合したシアノ基を表す。)
また、本発明は、前記方法により得られる重合体である。
また、本発明は、数平均分子量が3万〜100万である前記重合体である。
また、本発明は、前記重合体を含む熱可塑性樹脂組成物である。
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体である。
本発明の重合体は、耐熱性を有し、成形時の熱分解を抑制し、成形体の外観や機械特性に優れるため、特に、光学材料用途に好適である。
本発明の単量体成分は、下記一般式(1)で表される単量体(a)を含む。
Figure 0005495596
(式中、Rは水素又はメチル基、Rはベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれかに結合したシアノ基を表す。)
これらの単量体の中でも、耐熱性の観点から、Rがメチル基であるメタクリル酸シアノフェニルが好ましく、単量体の合成の観点から、Rがパラ位に結合したシアノ基である(メタ)アクリル酸−4−シアノフェニルが好ましい。更に、これらの単量体の中でも、Rがメチル基で、Rがパラ位に結合したシアノ基であるメタクリル酸−4−シアノフェニルがより好ましい。これらの単量体(a)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを表す。
本発明の単量体(a)は、公知の合成方法で合成可能であり、例えば、4−シアノフェノールとメタクリル酸メチルとのエステル交換反応、4−シアノフェノールとメタクリル酸無水物との反応、4−シアノフェノールとメタクリロイルクロライドとの反応により合成が可能である。
本発明の単量体成分は、必要に応じて、単量体(a)以外の他の単量体(b)を含んでもよい。
単量体(b)としては、得られる重合体の用途に応じ、適宜設定することが可能であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有単量体;パーフルオロエチレン、弗化ビニリデン等の弗素含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有単量体;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル又はジアルキルエステル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル又はジアルキルエステル等のフマル酸系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類が挙げられる。これらの中でも、単量体(a)との反応性や得られる重合体の特性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等の芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル、シアノ基含有単量体がより好ましい。これらの単量体(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の単量体成分に単量体(b)を含む場合、単量体成分100mol%中の単量体(a)の含有率は、20〜99mol%が好ましく、25〜90mol%がより好ましく、30〜80mol%が更に好ましい。単量体成分中の単量体(a)の含有率が、20mol%以上であれば、得られる重合体の耐熱性が良好となり、99mol%以下であれば、得られる重合体において単量体(b)単位の特性を有する。
本発明の単量体成分に単量体(b)を含む場合、単量体混合物100mol%中の単量体(b)の含有率は、1〜80mol%が好ましく、10〜75mol%がより好ましく、20〜70mol%が更に好ましい。単量体成分中の単量体(b)の含有率が、1mol以上であれば、得られる重合体において単量体(b)単位の特性を有し、80mol%以下であれば、得られる重合体の耐熱性が良好となる。
本発明の重合体は、ラジカル重合により製造される。ラジカル重合方法としては、特に制限されるものではなく、公知のラジカル重合方法を用いることができる。また、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂型連鎖移動重合等の公知の制御ラジカル重合も用いることができる。
本発明のラジカル重合における重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジt−ブチルパーオキシド等の過酸化物系開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、重合性能の観点から、ベンゾイルパーオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルが好ましい。重合開始剤の使用量は、単量体成分100molに対して、0.001〜1molであることが好ましく、0.01〜0.1molであることがより好ましい。
本発明のラジカル重合における重合雰囲気は、特に制限されるものではないが、酸素はラジカルと容易に反応しラジカル重合を阻害するため、酸素不存在雰囲気が好ましい。
本発明のラジカル重合における重合温度は、特に制限されるものではないが、−50〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
本発明の重合体は、有機溶媒中で単量体成分を重合する溶液重合法により得られる。溶液重合法における有機溶媒は、特に制限されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶媒の中でも、単量体成分と得られる重合体が溶解する溶媒が好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、ケトン系溶媒がより好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、単量体成分100質量部に対して、50〜10000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。有機溶媒の使用量が、50質量部以上であれば、単量体成分を重合した際に重合体が析出することがなく、10000質量部以下であれば、重合が容易に進行する。
本発明の重合体は、連鎖移動剤存在下で単量体成分をラジカル重合して得られる。連鎖移動剤は、特に制限されるものではなく、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましく、0.1〜1質量部であることが更に好ましい。
本発明の重合体の数平均分子量は、3万〜100万が好ましく、4万〜50万がより好ましい。重合体の数平均分子量が、3万以上であれば、得られる重合体の機械強度が良好となり、100万以下であれば、溶融成形等の成形が容易となる。尚、本発明において、数平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるものである。
本発明の重合体は、1%質量減少温度が235℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。235℃以上であれば、220〜235℃で溶融成形する際に、重合体の末端二重結合からのジッパー分解が抑制され、成形品外観が良好となる。尚、1%質量減少温度は、窒素雰囲気下、毎分10℃の昇温速度で30℃から昇温した際、重合体の質量が1%減少する温度である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の重合体を含む。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の重合体のみでもよく、必要に応じて、本発明の重合体以外の樹脂や添加剤等を含んでもよい。
樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の塩素含有樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ乳酸;ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等のエンジニアリングプラスチック;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク等の充填剤;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;染料;滑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;補強剤;消泡剤;加工助剤;難燃剤が挙げられる。
本発明の重合体以外の樹脂や添加剤等を含む熱可塑性樹脂組成物を得る場合、公知の方法で混練することができ、例えば、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機が挙げられる。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性組成物を成形して得られる。成形方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、カレンダー成形法、射出成形法、Tダイ押出成形法、異型押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法が挙げられる。
本発明の重合体は、耐熱性を有し、成形時の熱分解を抑制し、成形体の透明性や機械特性に優れるため、特に、光学材料用途に好適である。
以下、実施例により本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
(1)単量体(a)の同定
測定には、H−NMR(機種名「JNM−EX270」、日本電子(株)製)を用いた。
合成した単量体(a)を、重水素化クロロホルムに溶解し、基準物質にテトラメチルシランを用い、測定温度25℃、積算回数16回で測定した。ピーク強度の積分比及びピーク位置から、単量体(a)を同定した。
(2)重合溶液の均一性
重合溶液の均一性を、以下のような指標で、目視により確認した。
○:透明である
△:重合体が析出し濁っている
×:重合体の沈殿物が確認できる
(3)重合体の組成比
測定には、H−NMR(機種名「JNM−EX270」、日本電子(株)製)を用いた。
得られた重合体を、重水素化アセトンに溶解し、基準物質にテトラメチルシランを用い、測定温度25℃、積算回数16回で測定した。単量体(a)に由来するピークとその他の単量体(b)に由来するピーク強度の積分比から、共重合体の組成比を算出した。
(4)数平均分子量及び分子量分布
得られた重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレンをスタンダードとして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
機種名 :HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム :TSK GUARD COLUMN SUPER H−H(東ソー(株)製、4.6×35mm)、TSK−GEL SUPER HZM−H(東ソー(株)製、6.0×150mm)、2直列接続
溶離液 :ジメチルホルムアミド
測定温度 :40℃
流速 :0.6ml/分
サンプル濃度 :0.1%
サンプル注入量:10μl
(5)ガラス転移温度
測定には、示差走査熱量計(機種名「DSC220C」、セイコーインスツル(株)製)を用いた。
150℃まで昇温し、冷却した後、−30〜200℃の温度範囲で、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(6)1%質量減少温度
測定には、熱重量・示差熱分析計(機種名「TG/DTA6300」、セイコーインスツル(株)製)を用いた。
30〜500℃の温度範囲で、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(7)成形体の機械強度
重合体の溶融成形後、金型から成形体を剥離した後、成形体に割れが生じるか、以下の指標で確認した。
○:成形体に割れは生じない
△:成形体に割れが生じる時がある
×:成形体に割れが生じる
(8)成形体の外観
成形体の外観を、目視により、以下のような指標で確認した。
○:透明である
△:僅かに着色・白濁が確認できる
×:着色・白濁があり、発泡が確認できる
[製造例1]メタクリル酸−4−シアノフェニル(a1)の合成
窒素雰囲気下、三口フラスコに、4−シアノフェノール21.2g(178mmol)を加え、ジクロロメタン100mLとトリエチルアミン21.9g(216mmol)に溶解させ、溶液を調製した。その後、調製した溶液に、メタクリロイルクロリド22.6g(216mmol)を滴下添加し、25℃で24時間反応させた。得られた反応溶液を水で3回洗浄し、ジクロロメタンを留去した後、メタノールで再結晶を行い、白色の粉末を得た。
得られた白色の粉末について、H−NMRの測定結果を以下に示す。測定結果より、得られた白色の粉末が、メタクリル酸−4−シアノフェニル(a1)であることを確認した。収率は、82%であった。
H−NMR(δ(ppm))
1.26(s、6H),1.31(s、6H),1.65(m、2H),1.89(d、2H),1.93(s、3H),4.83(s、2H),5.11(m、1H),5.54(s、1H),6.08(s、1H),7.34(m、5H)
[実施例1]
三口フラスコに、製造例1で得られた単量体(a1)50部(35mol%)、メタクリル酸メチル(b1)50部(65mol%)、n−オクチルメルカプタン1.2部、メチルエチルケトン310部を加え、単量体混合物溶液を調製し、窒素バブリングを30分行った。次いで、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、フラスコを75℃のオイルバスに浸漬させ、重合を開始させた。7時間後、内容物をメタノールに注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をアセトンに溶解させ、メタノールに注ぎ沈殿物を得る操作を3回繰り返し、沈殿物を乾燥させ、白色の粉末を得た。
H−NMRの測定結果より、得られた白色の粉末は、(a1)単位/(b1)単位=42/58(mol比)の重合体であることを確認した。また、GPCの測定結果より、Mnは25900、Mw/Mnは1.75であった。
得られた重合体を、熱可塑性樹脂組成物とし、小型射出成形機(機種名「CS−183−MMX」、カスタム・サイエンティフィック・インスツルメンツ社製)により、220℃〜235℃で成形し、成形体を得た。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
単量体混合物溶液を表1とした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例5]
三口フラスコに、製造例1で得られた単量体(a1)50部(35mol%)、メタクリル酸メチル(b1)50部(65mol%)、n−オクチルメルカプタン1.2部を加え、60℃に昇温し、単量体混合物を調製した後、窒素バブリングを30分行った。次いで、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、フラスコを75℃のオイルバスに浸漬させ、重合を開始させた。7時間後、白色の固体を得た。
H−NMRの測定結果より、得られた白色の固体は、(a1)単位/(b1)単位=43/57(mol比)の重合体であることを確認した。また、GPCの測定結果より、Mnは163300、Mw/Mnは1.66であった。
得られた重合体を、熱可塑性樹脂組成物とし、実施例1と同様に射出成形を試みたが、重合体が分解し、成形体は白濁し発泡を生じた。
得られた重合体及び成形体の諸物性を、表1に示す。
Figure 0005495596
尚、表1中の略号は、以下の化合物を示す。
4CPMA:メタクリル酸−4−シアノフェニル
MMA :メタクリル酸メチル
n−OM :n−オクチルメルカプタン
MEK :メチルエチルケトン
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
実施例1〜4では、重合体のガラス転移温度及び1%質量減少温度、成形体の外観及び機械強度が、いずれも優れた。特に、有機溶媒にメチルエチルケトンを用いた実施例1及び2は、重合体の1%質量減少温度が顕著に高かった。比較例1では、メタクリル酸−4−シアノフェニル(a1)を用いなかったため、重合体のガラス転移温度が低かった。比較例2〜4では、連鎖移動剤を用いなかったため、重合体の1%質量減少温度が低く、成形体の外観が劣った。比較例5では、有機溶媒を用いなかったため、単量体成分の重合が完結せず、また、得られた重合体の精製が困難であり、重合体の1%質量減少温度が顕著に低く、成形体の外観は劣った。
本発明の重合体は、耐熱性を有し、成形時の熱分解を抑制し、成形体の外観や機械特性に優れるため、特に、光学材料用途に好適である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体(a)を含む単量体成分を、有機溶媒中、連鎖移動剤存在下でラジカル重合して重合体を製造する方法。
    Figure 0005495596
    (式中、Rは水素又はメチル基、Rはベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれかに結合したシアノ基を表す。)
  2. 請求項1記載の方法により得られる重合体。
  3. 数平均分子量が3万〜100万である請求項2記載の重合体。
  4. 請求項2又は3記載の重合体を含む熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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