JP2015168406A - 車線変更支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことのできる車線変更支援装置を提供する。【解決手段】車線変更支援装置10は、自車両の目的地までの走行経路における分岐点に関する情報である分岐点情報を取得し、運転者の車線変更の意思を判断するとともに、運転者の意図する車線の変更方向を判断する。また方向指示に応じてステアリングシステム50に支援指令を出力して操舵支援を行う。そして運転者の車線変更の意思が判断され、且つ分岐点情報に基づき、運転者の意図する車線の変更方向と異なる方向の分岐路に自車両が進入すると推定されるとき、車線変更による当該分岐路への進入の難易度を判定し、当該判定された難易度が、分岐路への進入が困難となるレベルであるときには、操舵支援を抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車線変更を支援する車線変更支援装置に関する。
車両の操舵を支援する装置として、最近では、運転者による車線変更の指示に従って、車線変更時の支援を行う装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、車線変更先の後続車両との車間距離に基づいて、車線変更の可否を判断する運転支援システムが記載されている。この運転支援システムでは、運転者によって方向指示器スイッチが操作されたとき、車線変更先の車両後方をカメラで撮像した画像データを用いて、車線変更先の後続車両との車間距離が十分であるか否かを判断する。そして、車間距離が十分でないといった判断がなされた回数が所定の回数を超えると、車線変更を抑制する。
特開2012−226392号公報
上述した運転支援システムでは、車線変更先の後続車両との距離が十分にない場合は、直ちに車線変更を抑制するのではなく、車線変更が可能となるタイミングまで待機する。このため、こうして車線変更のタイミングまで待機する間に、車両が目的地に向かうために進入すべき分岐路に接近することもあり得る。また、運転者によって方向指示器スイッチが操作されたとき、既に車両が進入すべき分岐路に接近していることも想定される。こうした状況では、車線変更の方向と分岐路の方向とが異なると、上記運転支援システムでは、分岐路の入口近傍で、分岐路とは異なる方向への操舵を支援する可能性すらある。このように目的地へ向かう進路とは異なる方向の操舵支援が行われるようなことがあると、例えば、分岐路への円滑な進入が妨げられるか、車両が分岐路の入口を通過してしまうといった事態にもなりかねない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことのできる車線変更支援装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車線変更支援装置は、車両の目的地までの走行経路における分岐点に関する情報である分岐点情報を取得する分岐点情報取得部と、運転者の進路変更の意思を判断するとともに、運転者の意図する進路方向を判断する方向指示判断部と、前記方向指示判断部による判断結果に応じて操舵装置に支援指令を出力して操舵支援を行う操舵支援制御部と、を備え、前記操舵支援制御部は、前記方向指示判断部によって運転者の進路変更の意思が判断され、且つ前記分岐点情報に基づき、運転者の意図する進路方向と異なる方向の分岐路に当該車両が進入すると推定されるとき、進路変更による当該分岐路への進入の難易度を判定し、当該判定した難易度が前記分岐路への進入が困難となるレベルであるときには、前記操舵支援を抑制する。
上記構成によれば、車線変更等の進路変更後における分岐路への進入の難易度が分岐路への進入が困難となるレベルである場合には操舵支援が抑制されるので、分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことができる。
車線変更支援装置の第1の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 同実施形態の車線変更支援装置の動作を示すフローチャート。 同実施形態の車線変更支援装置における作用を車両の動作とともに説明する模式図。 車線変更支援装置の第2の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 同実施形態の車線変更支援装置の動作を示すフローチャート。 追い越し時間の算出方法を説明する模式図。 車線変更支援装置の第3の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 同実施形態の車線変更支援装置の動作を示すフローチャート。 同実施形態の車線変更支援装置における作用を車両の動作とともに説明する模式図。
(第1の実施形態)
以下、車線変更支援装置を具体化した第1の実施形態を説明する。本実施形態では、車線変更支援装置は、車線変更支援システムの一部として車両に搭載されている。なお、車両は、乗用車、バス、トラック等の自動車である。
図1に示すように、車線変更支援装置10は、分岐点情報取得部及び方向指示判断部を構成する車両状態判断部11と、操舵支援制御部12とを備える。車線変更支援装置10は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータから構成される。車両状態判断部11及び操舵支援制御部12は、それぞれ別に演算処理を行うコンピュータから構成されてもよいし、車線変更支援装置10の一部の機能を担うものであってもよい。
車両状態判断部11は、ターンシグナルスイッチ等の運転者によって操作される方向指示装置13から、指示方向を示す信号である方向信号を入力する。方向信号は、指示方向が右方向及び左方向のいずれであるかを示し、方向指示装置13がオン操作されたときに出力される。また、方向指示装置13のオン操作により、指示方向に対応する方向指示器(図示略)が点滅する。さらに、車両状態判断部11は、車速センサ16から車両の速度を入力する。
車両状態判断部11は、方向信号を入力すると、運転者の進路変更の意思が有ると判断する。また、車両状態判断部11は、入力した方向信号に基づき運転者の意図する進路方向を判断する。ここでいう進路変更は、車両が走行しながら右又は左に移動することを指す。また、車両状態判断部11は、方向指示がなされた状況の判断を行う。例えば、車両状態判断部11が低速走行時又は停車時に方向信号を入力すると、運転者の方向指示が、交差点等での右折又は左折の指示であると判断する。一方、高速走行時等に方向信号を入力すると、運転者の方向指示が、前方車両の追い越し、路上の駐車車両等の回避等のための車線変更か、前方の分岐路への進入の指示であると判断する。
また、車両状態判断部11は、自車位置同定部14から車両の位置を入力する。自車位置同定部14は、位置検出センサ15から入力した信号や、車速センサ16から入力した車速等に基づき、公知の方法で車両の位置を算出する。位置検出センサ15は、GPS(Global Positioning System)の電波信号を受信するGPSアンテナ等である。車両状態判断部11は、車線変更支援システムが搭載された車両(以下、自車両100)の目的地を設定する。目的地は、例えば、ユーザによる図示しない入力部での操作を通じて設定されたり、自車両100の走行履歴から目的地であると推定される地点が設定されたりする。
車両状態判断部11は、走行経路情報記憶部20から、自車両100の目的地までの走行経路を示す走行経路情報21を取得する。また、車両状態判断部11は、道路地図情報記憶部22から、道路地図情報23を取得する。走行経路情報21は、車両の現在地又は出発地から目的地までの経路を示す。この経路は、図示しない経路探索部により道路地図情報を用いて探索された経路であってもよいし、車両の走行履歴等から推定される経路であってもよい。
道路地図情報23は、分岐点や交差点等を示すノードと、ノードの間を接続するリンクとに関する情報を有している。ノードの各々は、識別情報が付与されるとともに、絶対位置座標と関連付けられている。さらにリンクもまた、識別情報が付与されるとともに、接続するノードを識別可能となっている。また、走行経路情報21は、走行経路に対応するノードやリンクに関する情報を含んでいる。
車両状態判断部11は、自車両100及びその周辺に関する情報を操舵支援制御部12に出力する。操舵支援制御部12は、車両状態判断部11から入力した情報に基づき、車線変更の支援を実行するか否かを判断する。そして、車線変更の支援を実行すると判断すると、操舵支援制御部12は、ステアリングシステム50のステアリング制御部51に、操舵方向及び操舵量を指示する支援指令を出力する。ステアリング制御部51は、車両状態判断部11から出力された操舵方向及び操舵量に基づき、ステアリングシステム50のアクチュエータ52を駆動する。ステアリングシステム50に指示される操舵量は支援の内容によって異なり、例えば、僅かな操舵力を付与して運転者の操舵を補助するための操舵量か、又は運転者の操作を必要とせずに自動的に操舵を行うための操舵量である。なお、本実施形態では、車線変更支援装置10により操舵支援の有無に関わらず、運転者のステアリング操作が常に優先される。
また、車両状態判断部11は、操舵支援の実施の状況を報知する報知部24に報知指令を出力する。報知部24は、運転者に操舵支援の実施の状況を音声や画像で報知できるものであればよく、LEDランプによる表示部や、ブザー等である。例えば、運転者によって方向の指示がなされたものの操舵支援を中止する場合には、報知部24によって、中止されたことを報知する。
次に、車線変更支援装置10の動作について、車線変更支援の処理とともに説明する。この処理は、自車両100のイグニッションスイッチがオン操作されたときや、自車両100が発進したとき、又は、車線変更の支援を作動させるためのスイッチ(図示略)の操作が行われたとき等に開始される。
図2に示すように、車線変更支援の処理が開始されると、車両状態判断部11は、方向指示装置13から出力された方向信号の入力の有無に基づき、運転者による方向の指示がなされたか否かを判断する(ステップS1)。運転者による方向の指示がなされたと判断すると(ステップS1:YES)、車両状態判断部11は、その方向の指示が、走行車線の変更を指示するものであるか否かを判断する(ステップS2)。ここでいう走行車線の変更とは、前方車両の追い越し、駐車車両の回避、幅員減少等のための車線変更のほか、分岐路への進入も含む。このとき、車両状態判断部11は、自車両100の速度に基づき、方向の指示が、右折又は左折の指示か、走行車線の変更の指示であるかを判断する。
方向指示が、右折又は左折の指示であると判断すると(ステップS2:NO)、車両状態判断部11は、車線変更の支援を行わず、当該処理を終了する。方向指示が、車線の変更の指示であると判断すると(ステップS2:YES)、車両状態判断部11は、自車両100の進行方向前方の走行経路に分岐点があるか否かを判断する(ステップS3)。ここでいう分岐点とは、車両が走行している道路から分岐する地点であって、インターチェンジ、ジャンクション等である。この際、車両状態判断部11は、走行経路情報21に基づき、最も手前のノードを検出する。また車両状態判断部11は、走行経路情報21又は道路地図情報23に基づき、そのノードが分岐点に相当するか否かを判断する。分岐点に相当するノードが存在する場合には、例えば道路地図情報23を参照して、その分岐点から分岐する道路(分岐路)の方向を取得する。分岐路の方向に関する情報は、少なくとも自車両100が走行する道路に対して右に分岐するか左に分岐するかが判別できればよい。
進行方向前方の走行経路に分岐点があると判断すると(ステップS3:YES)、車両状態判断部11は、走行経路情報21に基づき、運転者によって指示された方向であって、運転者が意図する進路方向と、走行経路との方向が合致しているか否かを判断する(ステップS4)。
図3を参照して、このステップS4について説明する。例えば、自車両100の進行方向前方に、走行中の道路110から前方左側に分岐する分岐路111があり、分岐路111の手前で、自車両100の運転者が、前方の他車両101を追い越すために、左側車線112の右側に隣接する右側車線113に移動するための方向指示を行ったとする。車両状態判断部11は、車線変更の指示方向(この例では右方向)が、自車両100の走行経路の方向と合致するか否かを判断する。自車両100の走行経路が道路110の方向に沿った方向である場合、走行経路との方向が合致していると判断する(ステップS4:YES)。
一方、自車両100の走行経路の方向が分岐路111の方向である場合、即ち自車両100が分岐路111に進入すると推定される場合には、指示方向と、走行経路との方向が合致していないと判断する(ステップS4:NO)。なお、自車両100が右側車線113を走行している場合において、運転者による指示方向が左方向であって、自車両100が分岐路111に進入すると推定されるときは、車線変更の方向と、走行経路との方向が合致していると判断する。
図2に示すように、車両状態判断部11は、指示方向と走行経路との方向が合致していると判断すると(ステップS4:YES)、操舵支援制御部12に指令を出力する。操舵支援制御部12は、ステアリング制御部51に、操舵方向及び操舵量を指示する支援指令を出力して、車線変更支援を実行する(ステップS8)。このとき、車両状態判断部11は、方向の指示が、分岐路への進入を意図する指示であると判断して、操舵のタイミングを指示する指令を出力する。これにより、自車両100のステアリングシステム50に僅かな操舵力が付与されて運転者の操舵が補助されるか、自動操舵が行われて、運転者の意図する方向への車線の変更が支援される。
一方、ステップS4において車線変更の方向と、走行経路との方向が合致していないと判断すると(ステップS4:NO)、車両状態判断部11は、車線変更開始から分岐路進入までに要する車両動作時間Tchを算出する(ステップS5)。本実施形態では、一連の自車両100の動作として最小限必要となる時間を算出する。例えば、左側車線から右側車線への移動に要する時間である移動時間TLと、右側車線から左側車線への移動に要する時間である移動時間TLとを加算した時間2TLを、車両動作時間Tchとする。
さらに、車両状態判断部11は、車速センサ16から速度Vを取得して、車両が分岐点に到達するまでの到達予測時間Trを算出する(ステップS6)。このとき、車両状態判断部11は、自車位置から分岐点までの移動距離Dを、道路地図情報23等から取得する。分岐路の一部が、例えば減速車線等として、走行中の道路に平行して設けられる場合には、分岐点は、分岐路111の入口に設定されていてもよいし、終点に設定されていてもよい。到達予測時間Trは、単に、分岐点までの移動距離Dを速度Vで除算して算出してもよいし、自車両100道路の幅方向に移動する移動距離dを考慮して、分岐点までの移動距離D及び車線変更による道路の幅方向の移動距離dを加算した距離を、速度Vで除算することによって算出してもよい。このように車両動作時間Tch及び到達予測時間Trを算出すると、車両状態判断部11は、これらを操舵支援制御部12に出力する。
次に、操舵支援制御部12は、到達予測時間Trが、車両動作時間Tchに対して十分大きいか否かを判断することによって(ステップS7)、分岐路と異なる方向へ車線変更を行った場合の分岐路への進入の難易度を判定する。例えば、単に、到達予測時間Trが車両動作時間Tchに対して大きいか否かを判断してもよいし、到達予測時間Trから車両動作時間Tchを減算した差分ΔTが、正の値であって所定の時間以上であるか否かを判断してもよい。
到達予測時間Trが車両動作時間Tchに対して十分大きいと判断すると(ステップS7:YES)、操舵支援制御部12は、上記難易度が比較的低いレベルであると判定する。そして、ステアリング制御部51に対し、操舵方向及び操舵量を示す支援指令を出力し、車線変更支援を実行する(ステップS8)。
一方、車両状態判断部11が、到達予測時間Trが車両動作時間Tchに対して小さいか、又は十分といえるほど大きくはないと判断すると(ステップS7:NO)、操舵支援制御部12は、上記難易度が、分岐路への進入が困難となるレベルであると判定し、車線変更支援を中止する(ステップS9)。また、操舵支援制御部12は、車線変更支援を中止すると判断すると、報知部24に指令を出力して、車線変更の支援の中止を報知する。
次に、図3を参照して、本実施形態の作用について説明する。
上述したステップS8において車線変更支援が実行されると、例えば自車両100が、走行軌跡T1に示されるように左側車線112から右側車線113に移動する際に、操舵力が補助されるか、自動操舵が行われる。また自車両100が右側車線113に移動した後に方向指示装置13が操作されると、自車両100が右側車線113から左側車線112に移動する際に、操舵力が補助されるか、自動操舵が行われる。
上述したステップS9において車線変更支援が中止されると、運転者が、方向指示装置13を操作したとしても操舵支援が抑制される。例えば、操舵支援を行わなくても良いし、車線変更の支援として操舵の補助が行われるときは、運転者の操舵操作に要する力が増大するか、報知部24による報知によって、運転者は車線変更が困難であることを認識し、例えば走行軌跡T2に示すように、車線変更を行わずに分岐路111に進入する。また車線変更の支援として自動操舵が行われるとき、運転者が強制的にステアリング操作を行わなければ、車線変更が行われない。
以上説明したように、本実施形態にかかる車線変更支援装置によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)運転者が意図する車線変更の方向と異なる方向の分岐路に自車両が進入すると推定される状況で、車線変更後における分岐路への進入の難易度が、分岐点に到達するまでの到達予測時間Trが車両動作時間Tchに対して十分であるか否かによって判断される。そして、分岐点に到達するまでの到達予測時間Trが車両動作時間Tchに対して十分でなく、分岐路への進入が困難となるレベルである場合には、操舵支援が抑制されるので、分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことができる。従って、分岐路への進入ができずに迂回する事態や、分岐路への進入のために運転操作が煩雑になる事態が生じることを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、車線変更支援装置の第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態にかかる車線変更支援装置も、その基本的な構成は第1の実施形態と同等であり、図面においても第1の実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
図4に示すように、車線変更支援システムは、第1の実施形態の構成に加え、障害物検出装置30を備える。車線変更支援装置10は、障害物検出装置30から、自車両100の周辺の他車両101の有無、他車両101との相対距離、相対速度等を入力する。
障害物検出装置30は、障害物検出センサ31の検出結果に基づき、他車両101の有無、相対距離、及び相対速度を演算する。本実施形態では、障害物検出センサ31は、撮像装置及びレーダ装置からなる。撮像装置は、自車両の前方右側、前方、及び前方左側の所定範囲と、後方、後方右側、及び後方左側の所定範囲とを撮像可能な装置であって、例えば自車両100の異なる位置に設けられた複数の撮像装置から構成されている。障害物検出装置30は、撮像装置から画像データを入力し、公知の画像処理方法を用いて、自車両周辺の他車両を認識する。
レーダ装置は、自車両の前方右側、前方、及び前方左側の所定範囲と、後方、後方右側、及び後方左側の所定範囲とにある障害物を検出可能である。レーダ装置は、例えば自車両の前方及び後方に設けられ、レーダ波を出力するとともに障害物に反射した反射波を入力する。障害物検出装置30は、レーダ装置から入力した検出信号及び上記画像処理の結果に基づき、公知の方法を用いて、認識した他車両との相対距離Dr及び相対速度Vrを算出する。
次に、本実施形態の車線変更支援装置10の動作について説明する。本実施形態における車線変更支援装置10の動作は、第1の実施形態における車線変更支援装置10の動作に対し、他車両101との衝突リスクの判断が加わる点と、車両動作時間Tchの算出方法とが異なる。従って、第1の実施形態の動作との差異を中心に説明する。
図5に示すように、車両状態判断部11は、ステップS2において運転者の操作による方向指示が、走行車線の変更の指示であると判断すると(ステップS2:YES)、障害物検出装置30の認識結果に基づき、自車両周辺の他車両との衝突リスクを演算する(ステップS20)。衝突リスクの演算対象となる他車両は、自車走行車線を走行する前方車両、隣接車線を走行する前方車両及び後方車両である。また、本実施形態において、衝突リスクは、衝突余裕時間(TTC:Time-To-Collision)と、所定値(例えば6秒)との比較に基づき判断される。衝突余裕時間TTCは、自車両100が他車両に衝突すると仮定したときの衝突までの時間を示す。衝突余裕時間TTCの算出方法は公知の方法を用いることができる。例えば自車両100と他車両との速度が維持されることを前提として、自車両100と他車両との相対距離Drを相対速度Vrで除算することによって算出される。衝突余裕時間TTCが所定値を超える場合には、衝突リスクが低いと判断し、衝突余裕時間TTCが所定値以下となる場合には、衝突リスクが高いと判断する。
次に、車両状態判断部11は、車線変更による衝突リスクの高い他車両があるか否かを判断する(ステップS21)。衝突リスクの高い他車両があると判断すると(ステップS21:YES)、車線変更の支援を中止する(ステップS9)。一方、車両状態判断部11が、衝突リスクの高い他車両がないと判断すると(ステップS21:NO)、ステップS3に進む。
次に図6を参照して、ステップS22における車両動作時間Tchの算出方法について説明する。例えば速度V1で走行する自車両100が、速度V2で走行する前方の他車両101に対して相対距離Drだけ後方を走行しているとき、移動時間TLで車線変更を行い、速度V1を維持しながら前方の他車両101を追い越し、元の車線に戻るとする。自車両100の車長をL1、前方の他車両101の車長をL2、相対速度Vr(=V2−V1)とすると、追い越しにかかる時間Tpは、以下の式であらわされる。なお、自車両100の車長L1は登録されたデータを用いればよい。他車両の車長L2は、車両の一般的な長さを用いてもよいし、撮像装置から得られた画像データに基づき算出された値を用いてもよい。

Tp=(Dr+L1+L2)/|Vr|

また、他車両101を追い越した後に元の車線に戻る場合には、十分安全な車間距離をあけるものとする。安全な車間距離をあけるために必要な時間Tsは、例えば車間時間(THW:Time-headway)の所定値(例えば1秒)と、他車両101の速度V2、相対速度Vrを用いて以下の式であらわされる。なお、車間時間の所定値は登録された値を用いてもよいし、状況に応じて動的に変更してもよい。例えば、降雨などの天候不良を、雨滴感知センサを用いた公知の技術で検出し、降雨時は車間時間の設定値を大きくする。あるいは、撮像装置から画像データを入力し、公知の画像処理方法を用いて、自車両周辺の他車両の種別(乗用車、トラックなど)を認識し、例えばトラックの場合は車間時間の設定値を大きくする。

Ts=V2×THW/|Vr|

なお、上記の式において、THWを用いてあらわした安全な車間距離「V2×THW」に替えて、予め設定された安全距離Ds(例えば30m)を用いてもよい。
また、隣接車線への移動、追い越し、元の車線への移動といった一連の動作にかかる車両動作時間Tchは、以下の式であらわされる。

Tch=2TL+Tp+Ts

なお、例えば走行中の道路の幅員減少等、前方車両が無い状況で車線変更を行う場合には、追い越し時間Tpは「0」に設定されてもよい。また、追い越し後に安全な車間距離を必要としない場合には、安全な車間距離をあけるために必要な時間Tsは「0」に設定されてもよい。このように車両動作時間Tchが算出されると、操舵支援制御部12は、車両状態判断部11から入力した到達予測時間Trが、車両動作時間Tchに対して十分であるか否かを判断する。
以上説明したように、本実施形態にかかる車線変更支援装置によれば、上述した(1)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(2)車両動作時間Tchが、前方車両を追い越すための追い越し時間Tpと、車線を移動する移動時間TLとを加算されることによって、実際に車線変更及び追い越しにかかる時間に近いかたちで算出される。このため、分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、車線変更支援装置の第3の実施形態を、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態にかかる車線変更支援装置も、その基本的な構成は第2の実施形態と同等であり、図面においても第2の実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
図7に示すように、車線変更支援システムは、第2の実施形態の構成に加え、走行車線位置検出装置35を備える。走行車線位置検出装置35は、障害物検出センサ31である撮像装置から画像データを入力する。そして入力した画像データに対して、エッジ検出等の公知の画像処理を施し、車線を区画する白線を認識する。さらに走行車線位置検出装置35は、認識結果を車両状態判断部11に出力する。
車両状態判断部11は、走行車線位置検出装置35の認識結果に基づき、自車両100が走行している車線を特定する。この際、道路地図情報23に含まれる道路の車線数と走行車線位置検出装置35の認識結果とを照合して、自車両100が走行している車線を特定してもよい。
次に、本実施形態の車線変更支援装置10の動作について説明する。本実施形態における車線変更支援装置10の動作は、第2の実施形態における車線変更支援装置10の動作に対し、車両動作時間Tchの演算方法のみが異なる。従って、第2の実施形態の動作との差異を中心に説明する。
図8に示すように、車両動作時間Tchの算出にあたって、車両状態判断部11は、走行車線位置検出装置35から取得した情報と道路地図情報23とに基づき、走行中の車線位置を検出する(ステップS30)。例えば、自車両100の車線位置を、3車線を有する道路のうち中央の車線であるといったように判断する。
車線位置を検出すると、車両状態判断部11は、車線変更を行った後、分岐路に接続する車線に移動するまでに要する車両動作時間Tchを算出する(ステップS31)。このとき、車両状態判断部11は、自車走行車線から隣接車線に移動した後、分岐点が接続する車線に移動するまでの車線変更回数を算出し、車線変更回数に応じて車両動作時間Tchを算出する。
例えば、図9に示すように、自車両100の走行経路が道路120の左方向から分岐する分岐路125を含み、自車両100が3車線のうち中央車線121を走行しているとする。この場合において、同じ車線を走行する前方の他車両101の追い越しを行うときは、自車両100の動作は、右側車線122に移動するための車線変更、他車両101の追い越し、左側車線123に移動するための2回の車線変更が必要となる。このときの車両動作時間Tchは、追い越しにかかる時間Tp、1回の車線変更にかかる時間をTLとすると、以下の式であらわされる。なお、追い越し時間Tp、及び安全な車間距離をあけるために必要な時間Tsは第2の実施形態と同様に算出する。また、係数「n」は車線変更回数を示し、上述した例では、係数「n」は「3」である。

Tch=nTL+Tp+Ts

このように車両動作時間Tchを算出すると、車両状態判断部11は、到達予測時間Trが、車両動作時間Tchに対して十分大きいか否かを判断する(ステップS7)。
以上説明したように、本実施形態にかかる車線変更支援装置によれば、上述した(1)及び(2)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(3)車両動作時間Tchが、車線変更を開始してから分岐路が接続する車線に進入するまでの車線回数に応じて算出される。このため、分岐路近辺での車線変更に関する支援をより適切に行うことができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・方向指示装置は、運転者の方向指示が判定できるものであれば、ターンシグナルスイッチ以外の装置であってもよい。例えば、運転者の発話の内容を認識可能な音声認識装置等であってもよい。
・障害物検出センサ31は、撮像装置及びレーダのいずれか一方であってもよく、超音波センサ等の他のセンサから構成されていてもよい。障害物検出装置30は、障害物検出センサ31から入力したデータ等に基づき、自車両周辺の他車両が検出できればよい。
・他車両に関する情報である、他車両の位置、速度、車長等の情報は、車車間通信、路車間通信等によって取得してもよい。
・走行車線位置検出装置35は、画像データに対して白線を認識するための公知の画像処理を行う装置として説明したが、道路の幅方向における車両位置を検出する高精度なGPSセンサ、情報提供装置等から道路の幅方向における位置を受信する受信機等から構成されていてもよい。
・報知部24は、操舵支援の内容に応じて省略してもよい。
・上記各実施形態では、運転者による方向指示がなされたとき、車速に基づき、方向指示が、右折又は左折の指示及び走行車線の変更の指示のいずれであるかを判別したが、道路地図情報23に基づき判別してもよい。例えば、車両前方に交差点がある場合には、方向指示が、右折又は左折の指示と判断され、車両前方に分岐点がある場合には、方向指示が、走行車線の変更の指示であると判断されてもよい。またこのとき、自車位置と分岐点との相対距離が所定の距離以内であるとき、分岐路への進入を意図するものと判断して、操舵のタイミングを算出して、当該タイミングに基づき支援を行ってもよい。或いは、方向指示が分岐路への進入を意図するものと判断されるとき、支援を行わないか、別の支援を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、自車両の前方の分岐点の位置を、ノードの位置とは無関係に、道路地図情報23に含まれる道路形状に関する情報に基づき設定してもよい。この場合には、ノードの設置位置に関係なく、分岐点を、分岐路の入口、出口、又はそれらの中間等に設定することができる。
・上記各実施形態では、ステップS4において、自車両100の走行経路のうち、最も手前の分岐点から延びる分岐路と、運転者による指示方向が合致するか否かを判断した。この際、自車位置から所定距離(例えば500m)以内の範囲に限定して分岐点があるか否かを判断してもよい。このようにすると、例えば1km先等の遠方の分岐路について、分岐路への進入の難易度を算出する必要がなく、演算負荷を軽減できる。
・上記各実施形態では、ステップS7において、到達予測時間Trが、車両動作時間Tchに対して十分大きいか否かを判断することによって、分岐路と異なる方向へ車線変更を行った場合の分岐路への進入の難易度を判定した。この際、到達予測時間Trと車両動作時間Tchとを距離に置き換えて比較してもよい。例えば到達予測時間Trを自車位置と分岐点までの距離とし、車両動作時間Tchを、自車両100が速度V1で走行した時の距離である「Tch×V1」と置き換えることができる。
・第2の実施形態及び第3の実施形態では、他車両との衝突リスクを衝突余裕時間TTCに基づき判断したが、これ以外の方法で判断してもよい。例えば単に相対距離Drのみで判断してもよい。あるいは加速度や、他車両の方向指示器が点滅しているか否か等の情報を追加して判断してもよい。
・上述した車線変更支援は、例えば高速道路等、自車両100が予め設定された種別の道路を走行するときにだけ実行されてもよい。道路種別は、自車位置及び道路地図情報23に基づき判断可能である。
・図3及び図9では、本線道路(図3では道路110)から分岐路が分岐する場合を例示したが、車線変更支援が適用される分岐路の態様は特に限定されない。
・上記各実施形態では、走行経路情報21は、車両状態判断部11が取得できる情報であればよく、走行経路情報記憶部20は自車両100に搭載されていなくてもよい。例えば、走行経路情報記憶部20は、運転者等が所持する携帯情報端末に設けられてもよいし、車線変更支援システムと外部ネットワークを介して接続されたサーバに設けられたものであってもよい。
・自車位置同定部14は、車両に搭載されたものでなくてもよい。例えば、運転者等が車両に持ち込んだ携帯情報端末に設けられたものでもよい。
・障害物検出装置30は、車両に搭載されたものでなくてもよい。例えば、運転者等が車両に持ち込んだ携帯情報端末、道路沿いに設置され、各車両の位置等を発信する装置であってもよい。
・走行車線位置検出装置35は、車両に搭載されたものでなくてもよい。例えば、運転者等が車両に持ち込んだ携帯情報端末、道路沿いに設置され、各車両の位置等を発信する装置であってもよい。
・車両状態判断部11は、車両に搭載されたものでなくてもよい。例えば、運転者等が車両に持ち込んだ携帯情報端末、車両の通信機と外部ネットワークを介して接続されたサーバに設けられていてもよい。
10…車線変更支援装置、11…車両状態判断部、12…操舵支援制御部、13…方向指示装置、14…自車位置同定部、15…位置検出センサ、16…車速センサ、20…走行経路情報記憶部、21…走行経路情報、22…道路地図情報記憶部、23…道路地図情報、24…報知部、30…障害物検出装置、31…障害物検出センサ、35…走行車線位置検出装置、50…ステアリングシステム、51…ステアリング制御部、52…アクチュエータ、100…自車両、101…他車両。

Claims (1)

  1. 車両の目的地までの走行経路における分岐点に関する情報である分岐点情報を取得する分岐点情報取得部と、
    運転者の進路変更の意思を判断するとともに、運転者の意図する進路方向を判断する方向指示判断部と、
    前記方向指示判断部による判断結果に応じて操舵装置に支援指令を出力して操舵支援を行う操舵支援制御部と、を備え、
    前記操舵支援制御部は、前記方向指示判断部によって運転者の進路変更の意思が判断され、且つ前記分岐点情報に基づき、運転者の意図する進路方向と異なる方向の分岐路に当該車両が進入すると推定されるとき、進路変更による当該分岐路への進入の難易度を判定し、当該判定した難易度が前記分岐路への進入が困難となるレベルであるときには、前記操舵支援を抑制する車線変更支援装置。
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