JP2015166174A - 液滴検出装置及びこれを用いたインクジェット記録装置及び液滴検出方法 - Google Patents

液滴検出装置及びこれを用いたインクジェット記録装置及び液滴検出方法 Download PDF

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Genichiro Kawamichi
源一郎 川道
嘉平 中村
Kahei Nakamura
嘉平 中村
安藤 浩
Hiroshi Ando
浩 安藤
赤津 和宏
Kazuhiro Akatsu
和宏 赤津
滋 森永
Shigeru Morinaga
滋 森永
三木 英治
Eiji Miki
英治 三木
浩宜 小林
Hiroyoshi Kobayashi
浩宜 小林
渡辺 経一
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Abstract

【課題】複数個のノズルからの液滴の吐出の有無を迅速かつ正確に検出できる液滴検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の液滴検出装置は、記録用紙Wの搬送方向Z1と直交する幅方向に対応して整列されて液滴を吐出する複数のノズルa1mと、記録用紙Wの幅方向一方の側に設けられて液滴検出用の光ビームP1を走査可能に出射する発光素子14と、記録用紙Wの幅方向他方の側に設けられて光ビームP1を受光する受光素子16と、各ノズルa1mから吐出された液滴が検出されたときに各ノズルa1mと光ビームP1の走査位置との対応関係情報をあらかじめ記憶する記憶部23と、記憶部23の対応関係情報に従って光ビームP1を走査させる制御部20と、受光素子16の受光出力により各ノズルa1mから吐出される液滴の有無を検出する検出部とを備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液滴検出装置及びこれを用いたインクジェット記録装置及び液滴検出方法に関する。
従来から、記録ヘッドのノズルからインクを液滴として吐出させて記録用紙に画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。このインクジェット記録装置では、インクの乾燥に起因するノズルの吐出不良、異物、気泡の混入によるノズルの吐出不良が発生することがある。
このようなノズルの吐出不良が発生すると、画像品質が低下する。そこで、記録ヘッドからのインクの液滴を検出する液滴検出装置として、ノズルから吐出された液滴に光ビームを照射し、液滴の存在による光ビームの進行方向前方に散乱する散乱光を受光して、液滴の有無を検出するインクジェット記録装置が知られている。
また、インクジェット記録装置には、記録用紙の幅方向に記録ヘッドをその幅に相当する分一直線上に整列配置し、その記録ヘッドのノズルから液滴を吐出させることにより、画像品質の向上、印刷速度の向上を図ったライン形式のインクジェットプリンタも知られている。
このライン形式のインクジェットプリンタでは、記録用紙の幅方向に整列されたノズル列と直交する記録用紙の搬送方向に配列された各ノズル列からの液滴を検出するために、記録用紙の搬送方向に複数個の光ビームを配置する構成も知られている。
このものでは、光ビームを発生する発光素子とその光ビームの散乱光を受光する受光素子とが記録用紙の幅に相当する分だけ離れて配置され、その分、反射光、回折光の影響を受け易くなるため、散乱光を正確に検出するのが難しい。
また、発光素子と受光素子とが用紙幅に相当する分だけ離れているため、発光素子の光軸と受光素子との光軸間の誤差が大きくなる。そこで、光ビームを細くすると共に、発光素子の駆動出力を高め、発光素子を記録用紙の搬送方向に移動させ、インクの液滴に対して適正位置で、液滴の有無を検出する技術も開発されている。
その発光素子を移動可能とすることにより、液滴を適正位置で検出することが可能である。しかしながら、記録ヘッドのノズルの整列配置には整列誤差があり、インクの液滴にも吐出方向誤差がある。このため、全てのノズルについて順番に液滴の吐出の有無を確認するには、吐出ノズルの位置に合わせて発光素子を往復駆動して、光ビームを搬送方向に往復走査させなければならない。
その往復走査を繰り返すと、発光素子の停止位置に誤差が生じ、光ビームの検出幅に液滴が入らなくなり、検出している液滴と液滴を吐出しているノズルとの間にずれが生じる。そこで、ノズルの整列方向に対して光ビームを斜めに照射し、発光素子の停止位置の誤差、液滴の吐出方向の誤差の影響を極力小さくし、発光素子を一方向に移動させる技術が提案されている。
しかしながら、ノズルの整列方向に対して斜めに光ビームを照射する構成とすると、光ビームの検出幅に入る液滴の個数が減少するため、発光素子の移動範囲が大きくなり、検出に多大の時間が必要となる。
特に、高速連続帳票の印刷に用いるインクジェット記録装置は、高速印刷を可能にするため、記録用紙の幅方向の全印刷範囲を所定の解像度で印刷できるように記録ヘッドが固定され、記録用紙の幅が21インチもある。
このもので、例えば、記録密度が600DPIで幅が21インチの記録用紙に印字を行うことにすると、記録ヘッドのノズル個数が1列当たり記録用紙の幅方向に12600個必要となる。
このため、この種のインクジェット記録装置において、1回の照射による光ビームの検出幅に入る液滴の個数を減少させて、光ビームを照射することにより液滴の有無を検出する構成とすると、全てのノズルを検出するのに多大な時間を必要とする。
更に、発光素子のユニットと受光素子のユニットとを個別に記録ヘッドのユニットに取り付けることになり、取り付け誤差の関係から発光素子と受光素子とを正対する位置に調整することも困難である。
なお、光ビームを照射したときにインクの液滴が重複しないように、ノズル整列方向に対して光ビームを斜めに照射し、インクの液滴の吐出タイミングを制御することにより、光ビームの受光出力の変化から、複数個のノズルの吐出の有無を同時に検出する技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。このものによれば、インクの液滴の吐出の有無の検出時間を短縮できる。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、複数個のノズルからの液滴の吐出の有無を迅速かつ正確に検出できる液滴検出装置を提供することを目的とする。
本発明の液滴検出装置は、記録用紙の搬送方向と直交する幅方向に対応して整列されて液滴を吐出する複数のノズルと、前記記録用紙の幅方向一方の側に設けられて液滴検出用の光ビームを走査可能に出射する発光素子と、前記記録用紙の幅方向他方の側に設けられて前記液滴検出用の光ビームを受光する受光素子と、前記各ノズルから吐出された液滴が検出されたときに該各ノズルと前記光ビームの走査位置との対応関係情報をあらかじめ記憶する記憶部と、該記憶部の対応関係情報に従って前記光ビームを走査させる制御部と、前記受光素子の受光出力により前記各ノズルから吐出される液滴の有無を検出する検出部
とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、複数個のノズルからの液滴の吐出の有無を迅速かつ正確に検出できる。
図1は本発明の実施例に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 図2は本発明の実施例に係る液滴検出装置の概要を示す平面図である。 図3は図2に示す発光素子と受光素子との一部を拡大して示す説明図である。 図4は図2に示す発光素子の光軸がノズル整列方向に対して斜めに配置されている状態を模式的に示す図であって、(A)は(B)よりもノズル整列方向に対する光軸の角度が大きいときに検出可能なノズルの個数が少ないことを示し、(B)は(A)よりもノズル整列方向に対する光軸の角度が小さいときに検出可能なノズルの個数が多いことを示している。 図5はノズル整列方向のノズル位置誤差と光ビームの検出幅との関係を示す説明図であって、(A)は走査位置iのときに検出可能なノズル、(B)は走査位置iiのときに検出可能なノズル、(C)は走査位置iiiのときに検出可能なノズル、(D)は走査位置ivのときに検出可能なノズルをそれぞれ示している。 図6は本発明の実施例に係る液滴検出装置の作用を説明するためのフローチャートであって、記録ヘッドアレイに対する検出ヘッドの傾き調整を行って、光ビームとノズルとの対応関係情報を求める段階を説明する図である。 図7は図6に示す段階で求められた対応関係情報を用いてノズル吐出不良を検出する段階を説明するフローチャートである。 図8は発光素子を記録用紙の搬送方向に往復駆動して光ビームによるノズル走査を行っている状態を模式的に示す説明図である。 図9は発光素子の光軸を回動させて光ビームによるノズル走査を行っている状態を模式的に示す説明図である。 図10は光ビームのオフセット光の説明図である。 図11は前方散乱方式の受光素子に対する光ビームの位置ずれ量による光の強度分布を模式的に示す説明図であって、(a)は散乱光量の強度分布を示し、(b)はオフセット光量の強度分布を示している。 図12は記録ヘッドアレイに対する検出ヘッドの傾き調整前の発光素子の光ビームの直射光に対する受光素子の受光量を概念的に示す説明図である。 図13は図1に示す記録ヘッドアレイに対する検出ユニットの調整方法を説明するための斜視図であって、記録ヘッドアレイの側から検出ユニットを目視した状態を示す図である。 図14は図1に示す記録ヘッドアレイに対する検出ユニットの調整方法を説明するための斜視図であって、検出ユニットの側から記録ヘッドアレイを目視した状態を示す図である。 図15は図1に示す記録ヘッドアレイと検出ユニットとの傾き調整完了状態を模式的に示す側面図である。 図16は図1に示す記録ヘッドアレイへの検出ユニットの取り付け手順を説明するための説明図であって、記録ヘッドアレイへ検出ユニットを回動可能に取り付けた状態を模式的に示す側面図である。 図17は図16に示す記録ヘッドアレイに検出ユニットを板バネにより押し付けた状態を模式的に示す側面図である。 図18は図17に示す記録ヘッドアレイに傾き微調整用のマイクロメータを取り付けてその先端を検出ユニットに押し付けた状態を模式的に示す側面図である。 図19は図18に示すマイクロメータを使っての記録ヘッドアレイに対する検出ユニットの調整後、マイクロメータを取り外したときに、マイクロメータの押し付け力を代替する引き付けネジを、記録ヘッドアレイと検出ヘッドとに組付けた状態を示す側面図である。 図20は図19に示す引き付けネジを記録ヘッドアレイと検出ヘッドとに組付けた状態で、マイクロメータを取り外したときに。検出ユニットが板バネの付勢力により記録ヘッドアレイに近づく方向に傾くのを阻止するイモネジを記録ヘッドアレイと検出ヘッドとに組付けた状態を示す側面図である。 図21は、図13ないし図20に示す検出ヘッドを傾き調整機構による傾き調整手順を示すフローチャートである。
(インクジェット記録装置の概略図の説明)
図1は本発明の実施例に係るインクジェット記録装置(画像形成装置又はインクジェット方式の印刷装置ともいう)の概略構成図である。
その図1において、1は記録ヘッドアレイ、Wは記録用紙である。その記録用紙Wの搬送方向Z1には、給紙ローラ2、その給紙ローラ2により従動回転する従動ローラ3、テンションローラ4、記録用紙Wの送り量を検出するエンコーダ5を有する従動ローラ6、排紙ローラ7、排紙ローラ7により従動回転する従動ローラ8、テンションローラ9が記録用紙Wの搬送方向Z1の適宜箇所に設けられている。排紙ローラ7は、駆動モータにより回転駆動される。
従動ローラ6と排紙ローラ7との間には、走行プレート10が設けられている。記録用紙Wはその走行プレート10に案内されつつ搬送される。記録ヘッドアレイ1は記録用紙Wを間に介してその走行プレート10に対向して配設されている。
記録ヘッドアレイ1には、複数個のインクジェットヘッド(記録ヘッド)1a1、1a2、…、1anが記録用紙Wの搬送方向に配設されている。インクジェットヘッド1a1、1a2、…、1anには、後述する複数個のノズルが記録用紙Wの搬送方向Z1と直交する幅方向(紙面と直交する方向)に整列配置されている。
その記録用紙Wは、排紙ローラ7と従動ローラ8とにより搬送方向下流側に移送され、走行プレート10を横切る際に液滴を受け、印字されつつ排紙される。なお、この実施例では、エンコーダ5を従動ローラ6に設ける構成として説明しているが、エンコーダ5を従動ローラ8に設ける構成としても良い。
ここでは、記録用紙Wとは、材質が紙に限定されるものではなく、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体、OHPシート等を含み、液滴としてのインクが着弾されるものの総称として用いている。
また、「印字」、「画像形成」、「印刷」とは、記録用紙Wに文字、図形等を形成する意味のみならず、意味のないパターン等の画像を記録用紙Wに形成すること、液滴を記録用紙Wに着弾させること、記録用紙Wに液滴を着弾させて三次元の立体物を造形することを意味する。更に、「インク」という用語は、記録液体、定着処理液、樹脂等の総称として用いている。
(液滴検出装置の構成)
記録ヘッドアレイ1と走行プレート10との間には、液滴検出装置11が配設されている。図2はその液滴検出装置11とインクジェットヘッド1a1、1a2、…、1anとの配置関係を示している。
インクジェットヘッド1a1、1a2、…、1anは、記録用紙Wの搬送方向Z1に複数個配列されるものであるが、この図2では、搬送方向Z1に2個、記録用紙Wの搬送方向Z1と直交する方向(記録用紙Wの幅方向Z2)には5個として説明する。そのインクジェットヘッドに符号1a1、1a2を用いて示す。
各インクジェットヘッド1a1、1a2は記録用紙Wの幅方向Z2に複数個間隔を開けて設けられている。その各インクジェットヘッド1a1、1a2には、記録用紙Wの幅方向Z2に複数個のノズルa1m、a2mが整列されて多数形成されている。
例えば、記録密度が600DPIで幅が21インチの記録用紙Wに印字を行う場合、インクジェットヘッド1a1、1a2のノズル個数は1列当たり記録用紙Wの幅方向に12600個である。ここでは、各インクジェットヘッド1a1、1a2には、ノズルa1m、a2mが、その記録用紙Wの搬送方向Z1には4個設けられている。
その図2において、符号L1はノズルa1m、a2mのノズル整列方向を示している。
その記録用紙Wの幅方向一方の側と他方の側とには、記録用紙Wの搬送方向Z1に往復動可能に検出ユニット12、13がそれぞれ設けられている。
検出ユニット12、13はインクジェットヘッド1a1、1a2の各ノズルa1m、a2mから吐出される液滴を検出するのに用いられる。
その検出ユニット12は、液滴検出用の光ビームP1を記録用紙Wの幅方向一方の側から他方の側に向けて出射する発光素子14と、記録用紙Wの幅方向他方の側から出射された液滴検出用の光ビームP2とを受光する受光素子17とを有する。
その検出ユニット13は、液滴検出用の光ビームP2を記録用紙Wの幅方向他方の側から一方の側に向けて出射する発光素子15と、記録用紙Wの幅方向一方の側から出射された液滴検出用の光ビームP1を受光する受光素子16とを有する。その検出ユニット12、13は制御部20によって制御される。なお、図2において、符号21は、その検出ユニット12、13を駆動する駆動部である。
ここでは、図3に拡大して示すように、発光素子14はレーザダイオード(LD)14a、14bを有する。レーザダイオード14aは、搬送方向Z1に直交する方向に整列配置された4個のノズル列のうち2個のノズル列を検出するのに用いられる。同様に、レーザダイオード14bは残りの2列を検出するのに用いられる。発光素子15についても、図2に示すように、レーザダイオード15a、15bを有し、レーザダイオード14a、14bと同様の機能を有する。
受光素子16は、3個のフォトダイオード16a〜16cを有する。受光素子17も3個のフォトダイオード17a〜17cを有する。ここでは、フォトダイオード16bは、発光素子14の傾き、搬送方向Z1のノズルa1mの位置ずれ誤差等に起因して、液滴からの散乱光P1'を受光する際に、いずれの方向に散乱光P1'が散乱された場合でも、散乱光P1'を受光できるように構成されている。
加えて、フォトダイオード16bはレーザダイオード14aからの光ビームP1による散乱光P1'と、レーザダイオード14bからの光ビームP1による散乱光P1'とを受光するのに兼用されている。受光素子17についても同様である。
(検出ユニット12、13の記録ヘッドアレイ1への取り付け時の傾き角度の調整)
光ビームP1と発光素子(フォトダイオード16a、16b)16との吐出方向Yに対する位置と、オフセット光、散乱光との受光量の関係は、図11(a)、図11(b)に示す強度分布関係となっている。
前方散乱光方式では、散乱光の受光光量を図11(a)に示すようにフォトダイオード16a、16bの受光位置において大きくし、オフセット光の受光光量を図11(b)に示すようにフォトダイオード16a、16bの受光位置で小さくした方が液滴の検出精度を高めるうえから望ましい。このためには、光ビームP1とフォトダイオード16a、16bとの液滴吐出方向に対するズレを小さくするのが好ましい。
しかしながら、検出ユニット12(13)を記録ヘッドアレイ1に取り付けるときに、記録ヘッドアレイ1、検出ユニット12(13)の加工誤差、組み付け精度のばらつきにより、図12に示すように、光ビームP1と受光素子(フォトダイオード16a、16b)16とが液滴吐出方向Yに対してずれることがある。
このため、検出ユニット12(13)を記録ヘッドアレイ1に取り付けるときに、記録ヘッドアレイ1に対する検出ユニット12(13)の角度α(発光素子(レーザダイオード14a、14b)14の吐出方向に対する角度α)を調整することが要望される。
なお、図11(a)、図11(b)において、Qyは散乱光の強度分布を示し、Qzはオフセット光の強度分布を示している。また、図12において、Qxは直射光の強度分布を示し、その図12には、検出ユニット12の側の発光素子14と検出ユニット13の側の受光素子16との記録ヘッドアレイ1に対する関係が示されている。
ここでは、直射光Qxの強度分布をモニターしつつ、レーザダオード14a、14bの吐出方向に対する角度αを調整することにして説明する。
まず、記録ヘッドアレイ1に対する傾き調整機構の概略構造及び調整作業を図13ないし図21を参照しつつ説明する。
記録ヘッドアレイ1は、図13ないし図20に示すように、図1に示す複数個のインクジェットヘッド1a1、1a2、…、1anが配置される基板24とこの基板24に対して直角方向に折り曲げられた一対の側板25とから概略構成されている。その図13ないし図20には、一対の側板25の一方のみが図示されている。
その側板25には、図15〜図20に示すように、回動機構としての蝶番26を介して検出ユニット12(13)が回動可能に取り付けられている。その図15〜図20において、26a、26bは取り付け板部、26cは回転軸部を示す。
側板25には、図16に示すように、2個のネジ穴27、28が上下に間隔を開けて形成されている。また、後述するマイクロメータのスピンドルを挿通する挿通穴29がそのネジ穴27の真上に形成されている。
検出ユニット12(13)には、2個のネジ穴27、28に対応する箇所に2個のネジ穴が形成されている。
まず、図16に模式的に示すように、記録ヘッドアレイ1に検出ユニット12(13)が、蝶番26を介して相対的に回動可能に取り付けられる。
ついで、検出ユニット12(13)は、図17に示すように、記録ヘッドアレイ1に板バネ30のバネ力により押し付けられる。
その板バネ30は、図13、図14に示すように、検出ユニット12(13)に当接する当接板部30aと、バネ力を蓄積する斜板部30bと、一対のアーム板部30c、30dとから構成されている。
一対のアーム板部30c、30dには、それぞれ記録ヘッドアレイ1の側板25に引っ掛ける鉤部30eが形成されている。この構成により、板バネ30は、記録ヘッドアレイ1と検出ユニット12(13)とに対して着脱可能な状態とされる。
検出ユニット12(13)は、その板バネ30により回転軸部26cを中心にして記録ヘッドアレイ1の側板25に押し付けられる。その結果、図17に示すように、検出ユニット12(13)は側板25に対して傾斜状態となる。
なお、ここでは、板バネ30を用いてそのバネ力により、検出ユニット12(13)を側板25に押し付ける構成として説明しているが、ゴムバンド等の弾性力を有する部材を用いて、検出ユニット12(13)を側板25に押し付ける構成を採用しても良い。
側板25には、この検出ユニット12(13)の傾斜角度を微調整する傾斜微調整機構が、傾斜調整の際に取り付けられる。
傾斜微調整機構は、図13、図14に示すように、側板25との平行性を規定する押し当て板31と、マイクロメータ32とから構成されている。その傾斜微調整機構は側板25に対して分離可能な構成とされている。
マイクロメータ32は、図13に示すように、スリーブ32aと回転部32bとスピンドル32c(図18参照)とを備えている。スリーブ32aと押し当て板31とは、この実施例では一体的に構成されている。
スリーブ32aには目盛りが付されている。作業者は、この目盛りを見つつ、回転部32bを回転させ、スピンドルの進出量を加減する。これにより、図18に模式的に示すように、側板25に対する検出ユニット12(13)の傾きを微調整することができる。
次に、検出ユニット12の傾き調整の詳細について説明する。
検出ユニット12には、図2に示すように、発光素子(レーザダイオード14a、14b)14と、受光素子(フォトダイオード17a〜17c)17とがそれぞれ設けられている。
検出ユニット13には、図2に示すように、発光素子(レーザダイオード15a、15b)15と、受光素子(フォトダイオード16a〜16c)16とがそれぞれ設けられている。
発光素子14が基準位置にあるものとして、図12に示すように、受光素子16に対して垂直なZ2方向に対して角度「α」だけ傾いているものとする。
このとき、角度α方向の直射光とオフセット光とを含む光の強度分布Qxは、図12に示したものとなっている。
発光素子14が図12に示すように角度αだけ傾いていて、受光素子16がこの図12に示す基準位置にあるときには、受光素子16に入射する直射光の光量は強度分布Qxの低い部分となっている。
そこで、記録ヘッドアレイ1の側板25に対する検出ユニット12の傾斜角度がこのような角度αを発光素子14に与えているものとして、検出ユニット12の傾き調整手順を図21を参照しつつ説明する。
まず、レーザダイオード14a、14bが基準位置、フォトダイオード16a、16bが基準位置にあるものとする(S.31)。次に、制御部20は、レーザダイオード14a、14bを発光させる(S.32)。
ついで、制御部20は、レーザダイオード14a、14b又はフォトダイオード16a、16bを基準位置から移動させ、フォトダイオード16a、16bの受光光量とその位置とを記憶する(S.33)。
次に、制御部20は、フォトダイオード16a、16bの受光光量が最大となる位置へ、レーザダイオード14a、14bを基準位置から移動させる(S.34)。
このとき、作業者は、モニター画面を見ながら、フォトダイオード16a、16bの受光光量が最大となるように、側板25に対する検出ユニット12の傾き(レーザダイオード14a、14bの傾き)を調整する(S.35)。
これにより、レーザダイオード14a、14bの傾きが調整される。
S.35におけるこの傾き調整は、図18に示すマイクロメータ32を回転させて行う。マイクロメータ32を回転させて、そのスピンドル32cの先端を検出ユニット12(13)に押し付けると、検出ユニット12(13)が回動軸部26cを中心にして回動する。
これにより、板バネ30が撓んで、板バネ30にはそのスピンドル32cの押し付け方向と反対方向に検出ユニット12(13)を回動させるバネ力が蓄積される。
マイクロメータ32を使っての記録ヘッドアレイ1の側板25に対する検出ユニット12(13)の傾き調整後、図19に示す引き付けネジ35をネジ穴27に挿通して、側板25と検出ユニット12(13)とを連結固定する。
この引き付けネジ35は、板バネ30を取り外したときに、この板バネ30を代替する役割を有する。
ここで、引き付けネジ35を用いたのは、押し付けネジを用いると、検出ユニット12(13)がこの押し付けネジにより押圧されて、マイクロメータ32のスピンドル32cの先端が検出ユニット12(13)から離間する可能性があり、傾斜調整に支障をきたすからである。
これに対して、この引き付けネジ35によれば、側板25と検出ユニット12(13)とを連結固定すると、側板25に対する検出ユニット12(13)の姿勢が保持される。
ついで、図19に示す引き付けネジ35で側板25と検出ユニッ12(13)トとを連結した状態で、図20に示すイモネジ36をネジ穴28にねじ込んで、検出ユニット12(13)と側板25とが互いに離間する方向の力を検出ユニット12(13)に加える。
その図20に示すイモネジ36を用いることにより、検出ユニット12(13)が図17に示す元の傾斜状態に戻るのが防止される。
その結果、図15に示すように、板バネ30とマイクロメータ32とを側板25から取り除いたとしても、検出ユニット12の側板25に対する姿勢が恒常的に維持される。
このようにして記録ヘッドアレイ1と検出ユニット12との傾き調整が完了する。同様の手順で、記録ヘッドアレイ1と検出ユニット13との傾き調整を行う。
レーザダイオード14aの角度αは、Z2方向の距離が大きいため、角度αのわずかなズレにより、そのY方向の光ビームP1の受光位置が大きく変化する。
これに対して、フォトダイオード16a、16bが、回転軸部26cの近傍に配置されているので、検出ユニット12(13)の傾きを調整しても、そのY方向の位置はほとんど変化しない。
従って、検出ユニット12の傾き調整後、検出ユニット13の傾き調整を行ったとしても、その調整精度に差異はほとんど生じない。
検出ユニット12(13)の傾き調整を行うことができるように、ゴニオステージ等の傾き調整機構をインクジェット記録装置に組み込むことにすると、傾き調整機構を組み込んだ分だけ、インクジェット記録装置が大型化する。
これに対して、この傾き調整機構を用いることにすれば、レーザダイオード14a、14bの傾き調整を容易に行うことができる。
また、この実施例の傾き調整機構によれば、図15に示すように、記録ヘッドアレイ1と検出ユニット12(13)とは、蝶番26と、引き付けネジ35と、イモネジ36とで連結固定されているだけであるので、省スペースかつコンパクトな構成で傾き調整機構を構築できる。また、傾き微調整機構の構造も安価に製作できる。
工場出荷前のメンテナンスの実施については、後述することにし、次に発光素子の光軸とノズル整列方向との関係について説明する。
(発光素子の光軸とノズル整列方向との関係)
その発光素子14(又は15)の光軸は、各ノズルa1mのノズル整列方向L1に対して斜めに配設されている。
図4はそのノズル整列方向L1と発光素子14の光軸との関係の一例を模式的に示す説明図である。その図4は、レーザダイオード14aのコリメートレンズ14Lの光軸Oとノズルa1mのノズル整列方向L1との関係を示し、θは光軸Oとノズル整列方向L1とが為す角度を示している。ここでは、搬送方向Z1に対して第1列のノズル列について説明する。
レーザダイオード14aは、検出開始位置DSから検出停止位置(検出終了位置)DTの間で搬送方向Z1に移動され、実線は、その検出開始位置DSから検出停止位置DTの間の途中位置に存在するレーザダイオード14aを示している。その光ビームP1はノズルa1m(液滴)を検出する検出幅Ptを有している。
ここで、検出幅Ptとは、ノズルa1m(液滴)が、この検出幅Pt内のどの位置に存在しても、その液滴による散乱光P1'を受光して、その液滴の存在の有無を検出することが可能な有効幅を言う。
この検出幅Pt内に、液滴(黒丸印で示すノズルa1mから吐出されたインク滴)が存在すると、液滴の有無を適切に検出する散乱光P1'がフォトダイオード16a、16bに受光される。
光ビームP1の検出幅Ptを狭めて、かつ、レーザダイオード14aを光ビームP1の検出幅Pt分ずつ移動させて、全個数のノズルa1m(液滴)を検出するものとしたとき、図4(A)に示すように、角度θが大きいと、検出幅Pt内に存在する液滴(黒丸印で示すノズルa1mから吐出された液滴)の個数が少なくなる。
このため、レーザダイオード14aの移動範囲が大きくなる。その結果、レーザダイオード14aの1回の移動でノズル整列方向L1の液滴の吐出の有無を検出するのに要する時間が長くなる。
これに対して、図4(B)に示すように、図4(A)に示す光軸Oとノズル整列方向L1とが為す角度θに対して、光軸Oとノズル整列方向L1とが為す角度θ'を小さく設定すると、検出幅Pt内に存在する液滴(黒丸印で示すノズルa1mから吐出された液滴)の個数が多くなる。
従って、発光素子14の移動範囲(光ビームP1の往復走査範囲)を狭めることができる。その結果、レーザダイオード14aの1回の移動でノズル整列方向L1の液滴の吐出の有無を検出するのに要する時間が短くなる。
光ビームP1の検出幅Ptが狭くなると、ノズル整列方向L1の誤差、インクジェットヘッドの実装誤差(記録ヘッドアレイ1への取り付け誤差)、液滴の吐出方向の誤差により、液滴の位置誤差が相対的に大きくなる。
図5には、図2に示す発光素子14のうちレーザダイオード14aから射出された光ビームP1と、この光ビームP1の散乱光P1'によって検出可能なノズルa1mの整列位置(1ノズル列)のばらつきが誇張して示されている。
レーザダイオード14aは、既述したように、2個のノズル列の検出に用いられる。従って、発光素子14は合計4個のノズル列(インクジェットヘッド1a1のノズル)の検出に用いられる。
発光素子15も同様に合計4個のノズル列(インクジェットヘッド1a2のノズル)の検出に用いられる。ここでは、レーザダイオード14aと、これに対応するフォトダイオード16a、16bとによって検出される1ノズル列について以下に説明する。
(光ビームP1の検出幅Ptとノズルa1m(液滴)の位置誤差との関係)
ここでは、図4に示す角度θ'が0度であるとして説明する。
ノズル整列方向L1に対する液滴(ノズルa1m)の位置誤差をΔとし、光ビームP1の検出幅Ptとすると、位置誤差Δが検出幅Ptよりも大きく、一度の検出幅Ptで検出できる液滴(ノズルa1m)の個数が限られる。
そこで、液滴(ノズルa1m)の位置誤差Δを検出幅Ptで除した値を、レーザダイオード14a(発光素子14)の光ビームP1の走査ステップ回数(すなわち、Δ/Pt=走査ステップ回数)として設定する。従って、図5(A)〜図5(D)に示すように、光ビームP1を1走査ステップずつ移動させると、液滴(ノズルa1m)の位置誤差Δによらずに、ノズル整列方向L1の全液滴(全ノズルa1m)を検出できることになる。
その図5には、光ビームP1の1走査ステップで検出可能なノズルa1mが一例として黒丸印で示されている。このノズルa1mを駆動して液滴を吐出させ、フォトダイオード16a、16bにより散乱光P1'を受光し、その散乱光P1'を図2に示す検出ユニット12、13の検出部で検出することにより、その黒丸印で示されたノズルa1mから液滴が吐出されたか否かを判断できる。
制御部20は、図2に示す記憶部23に接続されている。記憶部23は、制御部20の指示に従って、発光素子14の初期位置、受光素子16の初期位置、発光素子14の移動位置(受光素子16の移動位置)、その発光素子14の移動により液滴の有無を検出可能な範囲(ノズルa1mの位置誤差Δに相当する範囲)、発光素子14の位置と検出された液滴に対応するノズルa1mとの対応関係情報を記憶する機能を有する。
(工場出荷前のメンテナンスの実施)
次に、記録ヘッドアレイ1に対する検出ユニット12(13)の傾き調整を含めた工場出荷前のメンテナンスの実施について、図6を参照しつつ説明する。
工場出荷前のメンテナンス実施では、制御部20は図6に示すノズルメンテナンス実施を行って、全ノズル(ノズル整列方向L1に存在するノズルa1m)から液滴を吐出させる(S.1)。
ついで、制御部20は、図21において検出ユニット12(13)の傾き調整の際に記憶したレーザダイオード14a、14bまたはフォトダイオード16a〜16cの位置へレーザダイオード14a、14bを移動させて、光ビームを発光させる(S.2)。
ついで、制御部20は、フォトダイオード16a、16bにより、光ビームの直射光を検出し、直射光の光量が規定値以内となるように光ビームの出力を調整する(S.3)。
ついで、レーザダイオード14a(発光素子14)を基準位置(初期位置又は0位置)、フォトダイオード16a、16b(受光素子16)を基準位置(初期位置又は―α位置)にセットする(S.4)。
なお、発光素子14の初期位置又は0位置は発光素子14に設けられた基準位置センサにより認識する。受光素子16の初期位置又は−α位置は受光素子16に設けられた基準位置センサ(図示を略す)により認識する。この基準位置センサは、発光素子14の任意の基準に対する位置関係を把握するためのものであり、適宜の箇所に取り付けることができる。
ここでは、前方散乱光方式を採用しているので、基準位置において、フォトダイオード16aとフォトダイオード16bとの受光出力(光ビームP1の受光光量(オフセット光の光量))の差が規定値以内か否かを判断するものとする。
ついで、制御部20は、レーザダイオード14a(発光素子14)を発光させる(S.5)。フォトダイオード16a、16bはそのレーザダイオード14a(発光素子14)からの光ビームP1を受光する。ついで、制御部20は、フォトダイオード16aとフォトダイオード16bとの受光出力(光ビームP1の受光光量)が規定値以内かを判断する(S.6)。
フォトダイオード16aとフォトダイオード16bとの受光量の差が規定値以内にないときには、制御部20によりフォトダイオード16a、16b(受光素子16)をレーザダイオード14a(発光素子14)の光軸Oに近づく方向にxだけ移動させる(S.7)。ここで、xは受光素子16の移動量を示し、5μmないし20μm程度である。
フォトダイオード16aとフォトダイオード16bとの受光量の差が、設計上予定した規定値以内になるまで(S.6においてNOの場合)、S.4ないしS.7の処理を繰り返す。
S.6において、YESの場合、制御部20はレーザダイオード14a(発光素子14)、フォトダイオード16a、16b(受光素子16)の位置を記憶部23に記憶(記録)させる(S.8)。これにより受光素子が発光素子の光軸に対して適切にセットされる。
ついで、制御部20は、レーザダイオード14a(発光素子14)を駆動し、光ビームP1を射出させる(S.9)。ついで、ノズル整列方向L1の1列の全ノズルを駆動し、液滴を吐出させる(S.10)。
フォトダイオード16a、16b(受光素子16)は液滴からの散乱光P1'の光量を検出する。制御部20はレーザダイオード14aの発光と同時にこのレーザダイオード14aを移動させ、液滴の走査範囲(走査開始位置DSと検出停止位置DT)を記憶部23に記録する(S.11)。
ついで、制御部20は、レーザダイオード14a(発光素子14)とフォトダイオード16a、16b(受光素子16)とを検出開始位置DSよりひとつ手前の光ビームP1の走査位置にセットする(S.12)。
次に、制御部20は、1ノズル列のノズルa1mを順番に駆動する(S.13)。例えば、図4に示すレーザダイオード14a(発光素子14)の側から数えて第1番目から第12600番目のノズルa1mを順次駆動し、液滴を順次吐出させる。
ついで、フォトダイオード17a、17b(受光素子17)により液滴の散乱光P1'の光量を検出する(S.14)。次に、光ビームP1の走査位置と検出したノズルa1mの位置との対応関係情報を記憶部23に記憶させる(S.15)。
次に、光ビームP1を1走査ステップ分だけ移動させる(S.16)。ついで、レーザダイオード14a(発光素子14)とフォトダイオード16a、16b(受光素子16)とが同期して検出停止位置DTまで移動したか否かを判断する(S.17)。
検出停止位置DTまで移動していない場合には、再度、S.13からS.16の処理を繰り返す。すなわち、光ビームP1が図5に示す走査位置iから走査位置ivまで搬送方向に往復動したか否かを判断して、これが繰り返される。
例えば、図5の光ビームP1の走査位置iにおいて、ノズルa1mを発光素子14の側から順次12600個駆動したとする。吐出不良がない場合には、光ビームP1の走査位置iに対して、第1番目のノズル、第3番目のノズルa1mの番号等が記憶部23に記録される。
また、例えば、光ビームP1の走査位置iiにおいて、ノズルa1mを発光素子14の側から順次12600個駆動したとする。吐出不良がない場合には、光ビームP1の走査位置iiに対して第5番目、第7番目のノズルa1mの番号等が記憶部23に対応関係情報として記録される。
また、例えば、光ビームP1の走査位置iiiにおいては、その走査位置iiiに対して、2番目、4番目、8番目のノズルa1mの番号等が記憶部23に対応関係情報として記録される。また、例えば、光ビームP1の走査位置ivにおいては、その走査位置ivに対して6番目のノズルa1mの番号等が記憶部23に対応関係情報として記録される。
ついで、設計上既知のノズルa1mの個数と検出されたノズルa1m(液滴)の総個数とを判断することにより、1ノズル列について全てのノズルa1mから液滴が吐出されたか否かを判断(不吐出のノズルがないか否かを判断)する(S.18)。
検出されたノズルa1m(液滴)の個数が設計上既知のノズルa1mの個数よりも少ない場合には、S.19に移行してノズルのメンテナンスを実施した後、S.12に移行して、再度、S.12〜S.18の処理を繰り返す。S.18において、検出されたノズルa1mの個数が設計上既知のノズルa1mの個数と同じ場合には記録処理を終了する。
このS.12〜S.18の繰り返しにより、全てのノズルa1mと光ビームP1の走査位置との対応関係情報が、インクジェット記録装置の工場出荷前の工程において、あらかじめ記憶部23に記憶される。なお、インクジェットヘッド1a2の各ノズルa2mについても、各ノズルa2mと発光素子15の光ビームP1の走査位置との対応関係情報が記憶部23に記憶される。
次に、工場出荷後のインクジェット記録装置のメンテナンス時のノズル吐出不良の検査について説明する。
(工場出荷後のメンテナンス時のノズル吐出不良の検査)
インクジェット記録装置は、所定の時期が到来すると、メンテナンス動作を実行する。
説明の便宜のため、発光素子14のレーザダイオード14aが受け持つ2ノズル列のうちの1ノズル列の検査についてのみ説明し、他の3ノズル列については検査待ち状態として説明する。まず、図7に示すように、制御部20はレーザダイオード14aを発光させる(S.21)。
制御部20は、光ビームP1を記憶部23の情報に従って、検出開始位置DSより一歩手前の走査位置に移動させる(S.22)。ついで、その光ビームP1の走査位置に対応する記憶部23の1ノズル列のノズルa1mの対応関係情報に基づいて、その光ビームP1の走査位置に対応するノズルa1mをそれぞれ順次駆動して液滴を吐出させる(S.23)。
フォトダイオード16a、16bは、その走査位置に対応するノズルa1mから吐出された液滴による散乱光P1'を受光し、検出ユニット(検出部)13はその散乱光P1'の光量により、その駆動されたノズルa1mからの液滴の有無を検出する(S.24)。制御部20は、ついで、光ビームP1を1走査ステップ分だけ移動させる(S.25)。次に、制御部20は、光ビームP1が検出停止位置DTまで移動したか否かを判断する(S.26)。
光ビームP1が検出停止位置DTまで達していない場合には、S.23〜S.25の処理を繰り返す。これらの処理を行うことにより、検出されたノズルa1mの個数がカウントされ、検出されたノズルの個数が設計上既知のノズルの個数と一致するか否かを判断する。
これにより、不吐出のノズルa1mの有無が判断される(S.27)。不吐出のノズルがある場合には、再度メンテナンスを実施し(S.28)、S.22〜S.27の処理を繰り返す。
(その他の実施例)
発光素子14(14a)と受光素子16(16b)とを図8に模式的に示すように、記録用紙Wの搬送方向(副走査方向)に連動して移動可能の構成とすれば、散乱光P1'の検出を適切に受光できる状態となるが、図9に模式的に示すように発光素子14を回動する構成とし、受光素子16を固定する構成としても良い。
以上、実施例においては、散乱光P1'のうちオフセット光を一対のフォトダイオードPDにより受光して、そのオフセット光の光量の差に基づき、液滴の有無の検出を行うこととして説明した。
しかしながら、本発明は、これに限るものではなく、ガウシアン分布をしているレーザ光P1のピーク部分の光量を直接受光してその光量変化を検出する直接光受光方式により液滴の有無を検出する構成としても良い。
また、ここでは、位置誤差Δを検出幅Ptで除した値を走査回数として設定したが、検出幅Ptよりも小さい移動量で光ビームP1を搬送方向に移動させ、液滴の有無を検出する構成としても良い。
このように、本発明に係る実施例によれば、記録用紙Wの搬送方向Z1と直交する幅方向Z2に対応して整列されて液滴を吐出する各ノズルa1mと光ビームP1の走査位置との対応関係情報を予め記憶する記憶段階と、予め記憶された対応関係情報を用いて光ビームP1の走査位置において対応するノズルa1mを駆動することにより液滴を吐出させる吐出段階と、吐出された液滴により散乱された散乱光P1'を受光することにより、駆動したノズルa1mから液滴が吐出されたか否かを検出する検出段階とを実行する。
各ノズルから吐出されない液滴がない状態にしてノズル整列方向L1に配列された全ノズルa1mを駆動すると共に光ビームP1を基準位置から搬送方向Z1に走査して各ノズルa1mから吐出された液滴による散乱光P1'を受光して光ビームP1の走査範囲を検出して走査開始位置DSと走査停止位置DTとを記憶する記憶段階を備え、検出段階において、走査開始位置DSから走査停止位置DTに向かっての光ビームP1の走査による散乱光P1'を受光して、各ノズルa1mから液滴が吐出されたか否かを検出する。
この実施例によれば、光ビームP1の走査位置とノズルとの対応関係を予め記憶させている。また、光ビームP1の走査範囲を予め規定して、光ビームP1の検出幅Pt内に存在する多数のノズルから液滴が吐出されたか否かを検出できる。従って、光ビームP1の走査位置においてノズルを駆動し、吐出の有無を検出すれば、その走査ステップのどのノズルが吐出不良であったか否かを迅速かつ確実に検出できる。
従って、インクジェット記録装置へのインクジェットヘッド1a1、1a2への取り付け精度、検出ユニット12、13の取り付け精度、調整精度によらず、吐出不良の検査を迅速に行うことができる。
更に、メンテナンス実施時のインクヘッドモジュール交換の際にも、大がかりな調整治具を用いることなく、メンテナンス実施後の吐出不良の検査を行うことができる。
光ビームP1の走査範囲を光ビームP1の検出幅Ptで除した値を走査回数として、走査開始位置DSよりもひとつ手前の走査位置から検出を開始すれば、液滴吐出方向の誤差を吸収することができ、液滴が吐出されたノズルの検出を確実に行うことができる。この場合、光ビームP1の移動量が光ビームP1の検出幅Ptに対して若干小さいことが、ノズルからの吐出方向誤差を吸収する観点から望ましい。
なお、散乱光受光方式に用いる光ビームP1のオフセット光とは、図10に示すように、ガウシアン分布している光ビームP1のピークの周辺部の光をいう。
14…発光素子
16…受光素子
20…制御部
23…記憶部
a1m…ノズル
P1…光ビーム
P1'…散乱光
W…記録用紙
Z1…搬送方向
特開2006−110964号公報

Claims (12)

  1. 記録用紙の搬送方向と直交する幅方向に対応して整列されて液滴を吐出する複数のノズルと、
    前記記録用紙の幅方向一方の側に設けられて液滴検出用の光ビームを走査可能に出射する発光素子と、
    前記記録用紙の幅方向他方の側に設けられて前記液滴検出用の光ビームを受光する受光素子と、
    前記各ノズルから吐出された液滴が検出されたときに該各ノズルと前記光ビームの走査位置との対応関係情報をあらかじめ記憶する記憶部と、
    該記憶部の対応関係情報に従って前記光ビームを走査させる制御部と、
    前記受光素子の受光出力により前記各ノズルから吐出される液滴の有無を検出する検出部と、を備えていることを特徴とする液滴検出装置。
  2. 前記光ビームが前記搬送方向に走査されることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の液滴検出装置。
  3. 前記受光素子が前記発光素子の移動に同期して前記搬送方向に往復動されることを特徴とする請求項2に記載の液滴検出装置。
  4. 前記光ビームの検出幅に対して前記光ビームの移動量が小さいことを特徴とする請求項3に記載の液滴検出装置。
  5. 前記発光素子の基準位置を検出する基準位置センサと、前記受光素子の基準位置を検出する基準位置センサとを備え、
    前記受光素子は前記基準位置における前記発光素子からの光ビームによる一対のオフセット光を受光し、前記制御部は、一対のオフセット光による光量の差が規定値以内かを判断し、規定値以内のときに前記受光素子が前記発光素子の光軸に対して適切にセットされていると判断することを特徴とする請求項4に記載の液滴検出装置。
  6. 前記発光素子の基準位置を検出する基準位置センサと、前記受光素子の基準位置を検出する基準位置センサとを備え、
    前記受光素子は前記発光素子からの光ビームによる一対の直射光を受光し、その出力が最大となる位置へ前記発光素子又は前記受光素子を用紙搬送方向に移動し、前記記憶部は前記出力が最大となる位置を記憶することを特徴とする請求項1に記載の液滴検出装置。
  7. 前記受光素子による前記直射光の出力が最大となる受光素子及び発光素子の前記位置において、前記受光素子による前記直射光の出力が最大となるように前記光ビームの傾きを調整することを特徴とする請求項6に記載の液滴検出装置。
  8. 前記受光素子による前記直射光の出力が最大となる受光素子及び発光素子の前記位置において、前記受光素子による前記直射光の出力が規定値以内となるように前記光ビームの出力を調整することを特徴とする請求項7に記載の液滴検出装置。
  9. 記録用紙の搬送方向と直交する幅方向に対応して整列されて液滴を吐出する各ノズルと光ビームの走査位置との対応関係情報を予め記憶する記憶段階と、
    予め記憶された対応関係情報を用いて光ビームの走査位置において対応するノズルを駆動することにより液滴を吐出させる吐出段階と、
    吐出された液滴により散乱された散乱光を受光することにより、駆動したノズルから液滴が吐出されたか否かを検出する検出段階と、
    を含むことを特徴とする液滴検出方法。
  10. 各ノズルから吐出されない液滴がない状態にしてノズル整列方向に配列された全ノズルを駆動すると共に光ビームを基準位置から前記搬送方向に走査して各ノズルから吐出された液滴による散乱光を受光して前記光ビームの走査範囲を検出して走査開始位置と走査停止位置とを記憶する記憶段階を備え、
    前記検出段階において、前記走査開始位置から前記走査停止位置に向かっての前記光ビームの走査による散乱光を受光して、各ノズルから液滴が吐出されたか否かを検出することを特徴とする請求項9に記載の液滴検出方法。
  11. 前記光ビームの走査範囲を前記光ビームの検出幅で除した値を走査回数として、前記走査開始位置よりもひとつ手前の走査位置から検出を開始することを特徴とする請求項10に記載の液滴検出方法。
  12. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の液滴検出装置を有するインクジェット記録装置。
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