JP2015164402A - 焙煎コーヒー豆の微粉物及び麦芽抽出物を含有するコーヒー飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】焙煎香の保存安定性を向上した焙煎コーヒー豆の、微粉末を配合した容器詰めのコーヒー飲料の提供。【解決手段】焙煎コーヒー豆を微粉砕して得られるメジアン径が50〜300μmの不溶性コーヒー粉末と、焙煎コーヒー豆の粉砕物に抽出処理を行って得られる焙煎コーヒー豆の抽出物と、麦芽抽出物とを含有し、加熱殺菌して製造されるコーヒー飲料では、焙煎コーヒー豆微粉末由来の焙煎香が安定に維持される。麦芽抽出物が非発酵の抽出物で、コーヒー飲料100mL当たりの水不溶性固形分(A)に対する麦芽抽出物の配合量(B)が乾燥重量を基準に(B)/(A)=0.005〜5である、コーヒー飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、焙煎コーヒー豆を微粉砕して得られる微粉砕コーヒー豆を配合し、加熱殺菌処理して得られる、容器詰めコーヒー飲料に関する。
近年、缶やペットボトル等の容器に充填された容器詰めコーヒー飲料が多く開発、市販されている。このようなコーヒー飲料に対する消費者嗜好の多様化に伴い、より高級なもの、より高品質なもの、より機能的なもの、新規な香りや味を有するものなど、コーヒー飲料の開発需要はますます高まっている。そこで、コーヒー豆の微粉砕品を配合したコーヒー飲料が提案されている。
このような微粉砕品を配合したコーヒー飲料として、例えば、平均粒子径が2μm以下のコーヒー豆微粉砕品を含有することを特徴とするコーヒー風味強化剤(特許文献1)や、コーヒー豆の抽出液を濃縮したコーヒーエキスと平均粒子径30〜50μmに微粉化したコーヒー豆とを混合してなるコーヒーペースト(特許文献2)等を、缶コーヒーなどの嗜好飲料に配合することが知られている。また、コーヒー豆の微粉砕品を主原料とするコーヒー飲料も提案されている(特許文献3)。
一方、麦芽の抽出物を配合したコーヒー飲料が提案されている。麦芽抽出物の配合目的は、突然変異原性のないコーヒー飲料の製造(特許文献4)や、アルコール性コーヒー飲料の酵母の生育に必要な栄養源(特許文献5)や、大麦、玄米および大豆の焙煎組成物の熱水抽出物であるコーヒー代用エキスを用いたコーヒー飲料の甘味料(特許文献6)である。
特開2005−124486号公報 特開2007−289035号公報 特開2005−318812号公報 特開平3−33297号公報 特開平10−291206号公報 特開昭61−293343号公報
焙煎コーヒー豆の微粉末を配合して得られるコーヒー飲料は、焙煎コーヒー豆由来の香ばしい香り(焙煎香)が特徴である。しかし、長期間保存される容器詰め飲料の形態(特に、酸素透過性のある容器の形態)では、加熱殺菌や冷蔵状態での保存などの熱履歴や光照射等の影響から、焙煎香が減少したり変化したりし易く、風味が変化しやすいという問題がある。
本発明の課題は、焙煎香の保存安定性を向上した焙煎コーヒー豆の微粉末を配合した容器詰めのコーヒー飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の粒子径に微粉砕された焙煎コーヒー豆微粉末(不溶性コーヒー粉末)と焙煎コーヒー豆の抽出物とを配合して得られるコーヒー飲料に、さらに麦芽の抽出物を配合して得られる容器詰めコーヒー飲料が、焙煎コーヒー豆微粉末由来の焙煎香を安定に維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下を包含する。
(1)焙煎コーヒー豆を微粉砕して得られるメジアン径が50〜300μmの不溶性コーヒー粉末と、焙煎コーヒー豆の粉砕物に抽出処理を行って得られる焙煎コーヒー豆の抽出物と、麦芽抽出物とを含有し、加熱殺菌して製造されるコーヒー飲料。
(2)コーヒー飲料100mLあたりの水不溶性固形分(A)に対する麦芽抽出物の配合量(B)が、乾燥重量を基準にして、[(B)/(A)]=0.005〜5である、(1)に記載のコーヒー飲料。
(3)麦芽抽出物が非発酵の麦芽抽出物である、(1)または(2)記載のコーヒー飲料。
(4)pHが5.5〜7.0である、(1)〜(3)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
本発明によると、常温であっても、3ヶ月を越えて良好な焙煎香が維持される非アルコール性の容器詰めコーヒー飲料が得られる。この容器詰めコーヒー飲料は、冷蔵温度で飲用しても、焙煎コーヒー豆微粉末に起因する過度な苦味を知覚することなく、良好なコーヒー風味(豊かな芳香とフレーバー)を愉しむことができる飲料である。
本明細書でいう「コーヒー飲料」とは、コーヒー分を原料として使用し、加熱殺菌工程を経て製造される飲料製品のことをいう。製品の種類は特に限定されないが、1977年に認定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の定義である「コーヒー」「コーヒー飲料」「コーヒー入り清涼飲料」が主に挙げられる。また、コーヒー分を原料とした飲料においても、乳固形分が3.0質量%以上のものは「飲用乳の表示に関する公正競争規約」の適用を受け、「乳飲料」として取り扱われるが、これは、本発明におけるコーヒー飲料に含まれるものとする。
ここで、コーヒー分(本明細書中、焙煎コーヒー豆の抽出物とも表記する)とは、コーヒー豆由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液も、コーヒー分として挙げられる。
本発明のコーヒー飲料は、上記のコーヒー分(焙煎コーヒー豆の抽出物)に、特定の粒子径に微粉砕された焙煎コーヒー豆微粉末(不溶性コーヒー粉末)と、麦芽の抽出物とを配合することを特徴とする。以下、これらについて詳述する。
(不溶性コーヒー粉末)
本発明の「不溶性コーヒー粉末」とは、焙煎コーヒー豆を微粉砕して得られるもの(焙煎コーヒー豆微粉末)をいう。ここで、「焙煎コーヒー豆」とは、コーヒーの生豆に対して焙煎と呼ばれる加熱処理を施したものである。焙煎によって生豆に含まれている成分が化学変化してコーヒーの風味(強い芳香性やフレーバー)が醸し出されており、また、空隙含有構造体が形成されている。
本発明の不溶性コーヒー粉末の原料となる焙煎コーヒー豆は、特に限定されない。直火式、熱風式、半熱風式、炭火式、遠赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式などの方法で、水平(横)ドラム型、垂直(縦)ドラム型、垂直回転ボール型、流動床型、加圧型などの装置を用い、コーヒー豆の種別に対応して、所定の目的に応じた焙煎度に仕上げればよい。ただし、焙煎度が高いと油脂成分がコーヒー豆表面に析出しやすくなり、粉砕が困難になったり、粉砕処理して得られる微粉末がケーキングを起こし易くなったりする。この観点から、アグトロンカラーメーターで測定した値(アグトロン値)を指標として、45〜70程度、好ましくは50〜60程度となるように焙煎された焙煎コーヒー豆が好適に用いられる。なお、コーヒー豆の種別についても、限定されるものではなく、アラビカ種、ロブスタ種のいずれも使用できるが、ロブスタ種は好ましい態様の一例である。
この焙煎コーヒー豆を粉砕処理して、本発明の不溶性コーヒー粉末を得る。粉砕処理は、焙煎後、24時間以内、好ましくは20時間以内、より好ましくは15時間以内、特に好ましくは10時間に行うことが好ましい。焙煎後の放置時間が長いと、油脂成分がコーヒー豆表面に析出しやすくなる。
乾式での粉砕処理は、メジアン径で1mm以下に粗粉砕した後、微粉砕することが好ましい。微粉砕をする前に、予め粗粉砕することにより、一層効率よく短時間に微粉砕することができ、コーヒーの香り(フレーバー)の飛散を最小限に抑えることができる。また、粒度分布を狭くできるという利点もある。粗粉砕は、メジアン径で約1mm以下、好ましくは0.5mm以下になるように粉砕するが、その方法は特に制限されない。ロール式ミル、ボール式ミル、石臼式ミル等、種々の形式の粉砕機を使用することができる。
不溶性コーヒー粉末は、メジアン径で50〜300μmとなるように粉砕する。メジアン径で300μmを超える粉末は、飲料に配合した場合に食感や舌触りなどのテクスチャーに違和感を与えることがある。より好ましい微粉砕の程度の上限はメジアン径で250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。また、メジアン径で50μm未満となるまで微粉砕処理した場合には、本発明の保存安定効果が得られない傾向がある。より好ましい微粉砕の程度の下限はメジアン径で70μm以上、さらに好ましくは80μm以上、特に好ましくは90μm以上である。微粉砕の方法も特に制限されず、ロール式粉砕機、バーハンマー式やピンハンマー式等の衝撃式粉砕機、気流式粉砕機など、種々の形式の粉砕機を使用することができるが、ロール式粉砕機が好ましく用いられる。
粒子径は、多数個の測定結果を粒子径毎の存在比率の分布として表すのが一般的であり、これを粒子径分布という。存在比率の基準としては体積基準と個数基準などがあるが、本明細書では体積基準での存在比率で表わし、レーザー回折・散乱法に基づいた測定装置にて測定することができる。測定装置の例としては、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製)である。そして、本明細書において焙煎コーヒー豆の微粉砕物の粒子径をメジアン径で表わしているが、メジアン径とは粒子径の累積データの50%径であり、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径のことである。
本発明における不溶性コーヒー粉末は、コーヒー飲料100mLあたりの水不溶性固形分(A)が0.01〜1g、好ましくは0.1〜0.5gとなるように配合する。ここで、水不溶性固形分とは、飲料中の不溶性固形分を濾紙上に集めて乾燥して得られる固形分(重量)をいう。
一般に、容器詰めコーヒー飲料は、常温で保存されて販売されたり、5〜10℃に冷蔵されて販売されたり、冬季には55℃に保温されて販売されたりする。焙煎コーヒー豆微粉末を含有するコーヒー飲料は、飲用温度によってその風味が変化しやすく、特に冷蔵温度(5〜10℃)で飲用する場合には、焙煎コーヒー豆微粉末の苦味が顕著に発現して、嗜好性が低下するという問題がある。しかし、上記の不溶性コーヒー粉末と可溶性コーヒー粉末とを配合したコーヒー飲料は、冷蔵温度で飲用しても、焙煎コーヒー豆微粉末に起因する過度な苦味が知覚されにくく、良好なコーヒー風味(豊かな芳香とフレーバー)を愉しむことができる。飲料100mLあたりの水不溶性固形分が0.01g未満であると、本発明の十分な効果が得られないことがあり、飲料100mLあたりの水不溶性固形分が1gを超えると、飲用時にザラツキを感じることがある。
(麦芽抽出物)
本発明の不溶性コーヒー粉末含有コーヒー飲料は、非発酵の麦芽抽出物を必須成分として含有する。ここで、本明細書において「非発酵の麦芽抽出物」とは、非発酵の麦芽を温水等で抽出して得られる抽出物であり、この抽出物を発酵処理させていないものをいう。すなわち、本発明のコーヒー飲料は、発酵させた麦芽の抽出物を使用するビールやビール風味飲料とは異なるものであり、非アルコール性のコーヒー飲料である。
麦類は発芽により、澱粉をデキストリンに分解するα−アミラーゼ、アミロースやデキストリンのグルコース直鎖を加水分解してマルトースを生成するβ−アミラーゼ等の酵素が生成される。そして、発芽した麦芽原料を焙煎処理する工程において、当該酵素の働きにより糖化がおこり、麦芽独特の甘味、コク味、旨味のある麦芽抽出物を得ることができる。麦芽の製造は、精選・選粒処理、浸漬処理、発芽処理により行う。麦芽としては、原料麦が吸水すると、まず根芽が粒の外側に伸び、同時に葉芽が粒の背側の殻皮の内部を沿って先端方向に伸びるが、先端の殻皮から外側まで伸びないうちに発芽を止めたものを用いる。原料麦としては、二条大麦、六条大麦等の大麦を使用することができるが、香味の観点からは、特に二条大麦が好適に用いられる。また、発芽は、Kasten発芽法、Wanderhaufen発芽法、Flexibox発芽法、Tower発芽法、Trommel発芽法等、数多くの発芽方式があるが、いずれの方式を用いて行ってもよい。
本発明の麦芽抽出物には、焙煎し糖化した後に温水で抽出して得られる麦芽抽出物が好適に用いられる。麦芽の焙煎温度は適宜設定すればよいが、通常、加熱温度:150〜240℃(好ましくは170〜220℃)、加熱時間:5〜60分(好ましくは10〜45分)程度である。麦芽の糖化は、麦芽に含まれる酵素の働きにより澱粉質を分解して糖化してもよいが、α−アミラーゼやグルコアミラーゼ等の糖化酵素を添加してもよい。
麦芽の抽出は、攪拌抽出、カラム抽出等の公知の方法を採用することが可能である。その条件は、温度:80〜97℃(好ましくは85〜97℃)、抽出時間:5〜45分(好ましくは10〜30分)であり、麦芽1重量部に対して3〜30重量部(好ましくは5〜20重量部)の割合の湯水で抽出する。なお、糖化又は抽出の前に麦芽を粉砕してもよい。
本発明の飲料は、麦芽抽出物を配合することにより、長期間に渡る保存を行っても不溶性コーヒー粉末に由来する好ましい焙煎香の減少や変化を抑え、製造直後の風味を維持できるものである。麦芽抽出物の配合量(B)は、不溶性コーヒー粉末の水不溶性固形分(A)に対して、乾燥重量を基準にして、成分(A)と成分(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜5、好ましくは0.01〜2となるように配合することが好ましい。
(その他成分)
通常、コーヒー原料は弱酸性であるが、乳成分の安定性を保つために、容器詰めされる乳入りコーヒー飲料では、通常、pH調整剤が添加され、pHが5.5〜7.0程度、好ましくはpH6.0〜7.0の中性領域になるようにpH調整が行われている。しかし、このpH調整の段階では、コーヒー原料が本来有する風味(例えば、ほのかな酸味)や味わいが失われるという問題があった。しかし、本発明の不溶性コーヒー粉末及び麦芽抽出物を含有するコーヒー飲料は、pHが5.5〜7.0程度、好ましくはpH6.0〜7.0の中性領域であっても、コーヒーの味わいが十分に付与されており、またそのコーヒーの味わいが長期間の保存で維持されるコーヒー飲料である。ここで、用いられるpH調整剤としては、水に溶解した時にアルカリ性を示す物質であれば限定されず、具体的には、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどが挙げられる。
(容器詰め飲料)
本発明のコーヒー飲料は、上記したとおり、焙煎香の保存安定性を向上した容器詰めコーヒー飲料である、本発明のコーヒー飲料が充填される容器としては、殺菌方法や保存方法に合わせて適宜選択すればよく、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、紙容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。
本明細書における加熱殺菌とは、高温まで加熱して短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法(UHT殺菌法)と、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法とをいう。加熱殺菌の条件は、コーヒー飲料の調合液の特性や使用する保存容器に応じて適宜選択すればよいが、UHT殺菌法の場合、通常120〜150℃で1〜120秒間程度、好ましくは130〜145℃で30〜120秒間程度の条件であり、レトルト殺菌法の場合、通常110〜130℃で10〜30分程度、好ましくは120〜125℃で10〜20分間程度の条件である。
コーヒー飲料の焙煎香などの香味の評価は、官能評価によって行うことができる。例えば、加熱殺菌処理後および長期間保存後のコーヒー飲料について、焙煎香の強さやコーヒー風味を指標に評価する。
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)不溶性コーヒー粉末の調製
ロブスタ種のコーヒー豆を定法にてアグトロン値が50〜60(55程度)になるまで焙煎して、焙煎コーヒー豆を得た。この焙煎コーヒー豆をロール式粉砕機にて粒子径がメジアン径で105μm程度となるまで微粉砕して、焙煎コーヒー豆微粉末(不溶性コーヒー粉末)を得た。なお、本実施例中、粒子径の測定には、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、型式:MT3300EXII)を用いた。測定は、粉体の試料をエアーで分散させながら、レーザー光を試料に照射し、回折散乱パターンから粒子径分布の測定(乾式レーザー回折散乱法)を行い、粒子径の累積データの50%径をメジアン径とした。
(2)焙煎コーヒー豆の抽出物の調製
ロブスタ種のコーヒー豆を定法にてアグトロン値が45〜49になるまで焙煎して、焙煎コーヒー豆を得た。この焙煎コーヒー豆を原料とし、湯による抽出処理を行ってコーヒー抽出液を得、これを噴霧乾燥処理して粒子径がメジアン径で270μm程度の可溶性コーヒー粉末(焙煎コーヒー豆の抽出物)を得た。
(3)コーヒー飲料の調製
上記(1)で調製した不溶性コーヒー粉末(焙煎コーヒー豆微粉末)と、上記(2)で調製した焙煎コーヒー豆の抽出物を用い、表1の処方で混合(全量100重量%)し、さらに炭酸水素ナトリウムを用いてpHを6.5調整して、コーヒー調合液を得た。
このコーヒー調合液を食品衛生法に従った殺菌条件で加熱殺菌後、熱可塑性樹脂の容器に150gずつ充填し、容器蓋をヒートシールして密封して容器詰めコーヒー飲料(水不溶性固形分量:0.2g/100mL)を製造した。また、比較として、麦芽抽出物を配合しない以外は同様に製造したもの(比較例1)を製造した。なお、水不溶性固形分量は以下の方法により測定した。
(水不溶性固形分量の測定)
25℃に恒温したサンプル(コーヒー飲料)をよく攪拌し均一な状態にし、10gを遠沈管に定量し、卓上本架遠心機(KOKVSAN H-28F)を用いて、処理温度20℃、回転数3000rpmで10分間遠心した。保留粒子径が5μmの濾紙の乾燥質量を測定した後、遠沈管内の遠心後の上清固形分を減圧濾過により集めた。次に遠沈管中にイオン交換水を加えて攪拌し、再び同条件で10分間遠心した。遠沈管内の遠心後の上清固形分を該濾紙上に減圧濾過により集めた。残った固形分も該濾紙上に集めて水洗し、減圧濾過した。水洗に用いたイオン交換水は全量で100mLとした。該濾紙を乾燥後に質量を測定し、以下の式により水不溶性固形分量(質量%)を算出した。
[水不溶性固形分量(質量%)]=[(乾燥後の濾紙質量(g))−(濾紙の初期乾燥質量(g))]/10(g)×100
(4)官能評価
2種類の容器詰めコーヒー飲料を3ヶ月間常温で保存した後、冷蔵温度(5〜10℃)に冷却したものを官能評価した。官能評価は5名の専門パネラーにより、焙煎香の強さについて、++:とても強い、+:強い、±:普通、−:弱いとし、最も多い評価で表わした。
(5)結果
結果を表2に示す。不溶性コーヒー粉末と焙煎コーヒー豆の抽出物と麦芽抽出物とを含有する本発明のコーヒー飲料は、顕著に焙煎香が維持されていた。

Claims (4)

  1. 焙煎コーヒー豆を微粉砕して得られるメジアン径が50〜300μmの不溶性コーヒー粉末と、焙煎コーヒー豆の粉砕物に抽出処理を行って得られる焙煎コーヒー豆の抽出物と、麦芽抽出物とを含有し、加熱殺菌して製造されるコーヒー飲料。
  2. コーヒー飲料100mLあたりの水不溶性固形分(A)に対する麦芽抽出物の配合量(B)が、乾燥重量を基準にして、[(B)/(A)]=0.005〜5である、請求項1に記載のコーヒー飲料。
  3. 麦芽抽出物が非発酵の麦芽抽出物である、請求項1または2記載のコーヒー飲料。
  4. pHが5.5〜7.0である、請求項1〜3のいずれか一項記載のコーヒー飲料。
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