1.運転支援システムの構成
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、車両2に搭載された車載装置3と、複数の車両2の車載装置3と通信可能に設けられた管理サーバ4とにより構成されている。この運転支援システム1では、複数の車載装置3が、無線基地局(図示せず)を介して、インターネット等の通信網に接続されている。車載装置3と無線基地局との間の無線通信は、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等を利用して行うことができる。また、管理サーバ4も、通信網に接続されている。
各車両2は、走行中に、実際に走行した位置や、車速、急ブレーキをかけた箇所等の走行に関するプローブ交通情報を、通信部39(後述)を介して随時管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、各車両2からのプローブ交通情報を収集し、要求に応じて、各車両2へ当該収集したプローブ交通情報を配信する。これにより、各車両2は、管理サーバ4を介して他車両2の有用なリアルタイムなプローブ交通情報を取得することができる。また、各車両2は、管理サーバ4を介して各種の道路交通情報提供サーバからのリアルタイムな道路交通情報も取得することができる。ここで、リアルタイム交通情報Rは、リアルタイムに送受信される交通情報であり、本実施形態では、各車両2から管理サーバ4に随時送信されるプローブ交通情報や各種の道路交通情報提供サーバから管理サーバ4に随時配信される道路交通情報(以下、単に道路交通情報とする)である。また、リアルタイム交通情報Rには、事故、渋滞、落下物等の交通事象の情報と、当該交通事象の発生地点の位置情報と、リアルタイムに取得した情報(リアルタイム交通情報R)である旨を示す識別情報とが含まれている。
管理サーバ4は、過去の交通情報の履歴が過去統計交通情報Kとして蓄積される過去統計交通情報データベース41を備えている。ここで、過去統計交通情報Kとは、過去の交通情報を、交通事象、交通事象の発生位置、及び発生時期に基づいて統計的に示した情報である。本実施形態の過去統計交通情報Kは、同一の地点において同一の交通事象が過去の一定期間内に発生した件数を統計的に示した情報である。すなわち、本実施形態の過去統計交通情報Kには、交通事象の情報と、当該交通事象の発生地点の位置情報と、過去の一定期間(例えば1年間)に発生した件数を示す過去発生件数の情報とが対応づけられて含まれている。また、過去統計交通情報Kには、過去の情報である旨を示す識別情報も含まれている。
管理サーバ4は、各車両2から収集したプローブ交通情報や道路交通情報等のリアルタイム交通情報Rを、随時、これらに含まれる交通事象の情報と当該交通事象の発生地点の位置情報とに関連付けて記憶しておくことで、同一の地点において同一の交通事象が過去の一定期間内に発生した件数(以下、単に過去発生件数とする)を統計的に算出する。そして、管理サーバ4は、当該算出(更新)した過去発生件数の情報を、対応する交通事象の情報と交通事象の発生地点の位置情報とに対応づけて過去統計交通情報Kとして過去統計交通情報データベース41に蓄積する。例えば、ある交差点Aで、交通事故が、過去1年間に10回発生している場合には、過去統計交通情報Kとして、「交差点A」の位置情報(位置座標)と、交通事象としての「交通事故」と、過去発生件数としての「10回」が格納されている。そして、管理サーバ4が、新たに交差点Aにおいて交通事故が発生した旨の道路交通情報を受信した場合には、当該道路交通情報に含まれる「交差点A」の位置情報及び交通事象としての「交通事故」の情報に基づき、当該交差点Aの位置情報及び交通事象としての「交通事故」に対応づけられている上記過去統計交通情報Kの過去発生件数を、各件の発生時期に基づいて再計算する。また、管理サーバ4は、各車両2からの要求に応じて、過去統計交通情報データベース41に格納されている過去統計交通情報Kを配信する。
このように、各車両2は、管理サーバ4を介して、走行付近のリアルタイム交通情報Rと過去統計交通情報Kとの双方を取得することができ、これらの交通情報の中に、車両2の運転に際して注意喚起すべき情報である注意喚起情報(例えば、事故車がある旨の情報や、事故多発地点である旨の情報等)が含まれている場合には、当該注意喚起情報を用いて、各車両2の乗員に対して運転に際しての注意を促すことができる。本発明は、このような注意喚起情報を用いて、乗員に対して視認し易い方法で運転に際しての注意を促す技術に関する。
次に、本実施形態に係る各車両2が備える各装置について図1を用いて説明する。本実施形態に係る車両2は、車載装置3と、位置情報検出装置6と、音声出力装置7と、表示装置8と、撮像装置9とを備えている。車載装置3の具体的な構成については、後述する。
位置情報検出装置6は、自車両2の現在位置、速度、及び加速度を検出する機能を有する。本実施形態では、位置情報検出装置6は、GPS(Global Positioning System)受信機や、距離センサ(速度センサ)や、加速度センサや、方位センサや、道路に設置されたビーコンから発信される地点位置情報を含む電波や光を受信する受信機などの位置情報を検出するための各種装置を備えている。そして、位置情報検出装置6は、当該検出した位置情報を車載装置3の自車位置情報取得部31(後述)へ出力する。また、位置情報検出装置6は、車載装置3の表示制御部37へ距離センサにて検出した車速の情報を出力する。
音声出力装置7は、音声データを出力する装置であり、例えば、ナビゲーション装置(図示せず)による経路案内に必要な案内音声データ等の種々の音声データを出力する。本実施形態では、音声出力装置7は、車載装置3の報知部38(後述)からの出力により、注意喚起情報に基づく音声データを出力する。音声出力装置7は、例えばスピーカ等により構成することができる。
表示装置8は、各種画像を表示する装置である。本実施形態では、表示装置8は、自車両2の前方の実風景に重ねて、別途生成した画像を表示する装置である。本実施形態では、表示装置8として、例えば、フロントウィンドウ51上の広範囲に情報を表示するウィンドシールドディスプレイを用いる。表示装置8は、図4に示すように、乗員から見て、フロントウィンドウ51越しに、別途表示制御部37にて生成した注意喚起用道路面画像U(後述)が自車両2の前方の実風景の道路面に重なって見えるように、当該注意喚起用道路面画像Uを表示する。ウィンドシールドディスプレイは、公知の技術であるため、本実施形態の表示装置8についての詳細な説明は省略するが、本実施形態では、表示装置8は、車両2の乗車空間の前方のインストルメントパネル62(図4参照)の内部に設けられ、注意喚起用道路面画像Uを映し出す液晶パネル(図示せず)と、その液晶パネルの下側から上側に向かって光を照射するバックライト(図示せず)とを備える。そして、表示装置8では、当該バックライトから照射した光を、液晶パネルを透過させてフロントウィンドウ51(ウインドシールド)の内側面に入射させ、運転席の乗員の目に向けて反射させる。これにより、フロントウィンドウ51に投影された注意喚起用道路面画像Uが、虚像として乗員の目に捉えられる。また、虚像は、無限遠の点に結像するようにフロントウィンドウ51に投影される為、注意喚起用道路面画像Uを自車両2の前方の実風景に重ねて表示することが可能となる。
撮像装置9は、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)などの撮像素子を備えた車載カメラである。本実施形態の撮像装置9は、毎秒15〜30フレームの2次元画像を時系列に撮影し、デジタル変換して動画データ(撮影画像)をリアルタイムに出力する。本実施形態の撮像装置9は、例えば水平方向に140〜190°の視野角が確保されている広角カメラであり、少なくとも自車両2の前方の道路の道路面の消失点W(図4参照)まで撮影可能な位置に設けられている。具体的には、車両2の前部、例えばルームミラーの裏側等において、光軸に対して例えば5〜30度程度の下方への俯角を有して設置され、道路面を含めた領域を撮影可能となっている。ここで、道路面の消失点Wとは、当該道路を走行中の車両2の乗員が視認できる範囲で一番遠くに位置する点であり、地平線上に位置する点である。
記憶装置10は、書き込みと読み込みの両方が可能な書き換え型の記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等が用いられる。本実施形態では、記憶装置10には、地図データベース40が予め格納されている。地図データベース40には、地図情報を構成する道路ネットワークの情報が格納されている。地図情報には、複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータが含まれる。また、当該地図情報は、図示しないナビゲーション用演算部により、地図表示処理や経路探索処理等の実行の際にも参照される。なお、記憶装置10は、車載装置3と一体的に設けられていてもよい。
次に、車載装置3の具体的な構成について図1を用いて説明する。車載装置3は、マイクロコンピュータなどの論理演算プロセッサを中核として構成されている。つまり、車載装置3は、当該プロセッサなどのハードウェアとプログラムなどのソフトウェアとの協働によって、図1に示すような種々の機能を実現する複数の機能部を有して構成される。車載装置3の中心となる機能部は、図1に示すように、自車位置情報取得部31、交通情報取得部32、地図情報取得部33、注意喚起エリア設定部34、注意喚起必要度設定部35、表示制御部37、報知部38、通信部39である。また、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能な記憶装置や別途備えられたRAMやROM等の記憶手段に記憶される。本実施形態の運転支援システム1の運転支援プログラムは、記憶装置10や管理サーバ4の記憶装置(図示せず)に記憶されている。また、運転支援プログラムは、DVD−ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶されて配布されたり、ネットワークサーバから通信網を介して車載装置3や管理サーバ4に配信されたりする。当該配布又は配信された運転支援プログラムは、記憶装置10や管理サーバ4の記憶装置(図示せず)に記憶される。
自車位置情報取得部31は、自車両2の現在位置である自車位置Zを表す自車位置情報を取得する機能部である。本実施形態では、自車位置情報取得部31は、位置情報検出装置6から定期的(例えば、1秒毎)に現在位置情報を取得し、交通情報取得部32と地図情報取得部33とに出力する。また、表示制御部37及び報知部38の処理時には、自車位置情報取得部31は、当該表示制御部37及び報知部38にも自車位置情報を出力する。
交通情報取得部32は、自車位置Zの周辺の交通情報を取得する機能部である。本実施形態では、交通情報取得部32は、交通情報として、自車位置Zの周辺の現時点の交通情報であるリアルタイム交通情報Rと、自車位置Zの周辺の過去統計交通情報Kとの双方を取得する。ここで、自車位置Zの周辺(自車位置周辺)とは、自車位置Zから所定の範囲内のエリアであり、例えば自車位置Zを中心とした所定の半径(例えば5km)の円内のエリア等である。交通情報取得部32は、具体的には、自車位置情報取得部31から自車位置情報を取得すると、当該自車位置情報に基づき、当該自車位置周辺のリアルタイム交通情報Rと過去統計交通情報Kとを、通信部39を介して管理サーバ4から取得する。より具体的には、交通情報取得部32は、自車位置Zから所定の範囲内のエリアに含まれる位置情報を有するリアルタイム交通情報Rの全てと、過去統計交通情報Kの全てとを取得する。この交通情報取得部32が取得する自車位置Zの周辺の地点におけるリアルタイム交通情報Rが複数ある場合には、その全てを合わせたリアルタイム交通情報群が本発明の「リアルタイム交通情報」に相当する。また、交通情報取得部32が取得する自車位置Zの周辺の地点における過去統計交通情報Kが複数ある場合には、その全てを合わせた過去統計交通情報群が、本発明の「過去統計交通情報」に相当する。そして、交通情報取得部32は、管理サーバ4から取得した自車位置周辺のリアルタイム交通情報Rと過去統計交通情報Kとを、注意喚起エリア設定部34に出力する。
地図情報取得部33は、自車位置Zの周辺の地図情報を取得する機能部である。本実施形態では、地図情報取得部33は、自車位置情報取得部31から取得した自車位置情報に基づき、自車位置周辺の地図情報(地図データ)を、記憶装置10の地図データベース40から取得する。そして、地図情報取得部33は、当該取得した地図情報を注意喚起エリア設定部34に出力する。
注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32にて取得した交通情報から、注意喚起情報を抽出し、当該注意喚起情報及び地図情報取得部33にて取得した地図情報に基づいて注意喚起エリアGを設定する機能部である。本実施形態では、注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32にて取得したリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの双方から、注意喚起情報を抽出する。
ここで、注意喚起情報とは、車両2の運転に際して注意喚起すべき情報として予め規定された種別の情報である。交通情報には、渋滞情報、所要時間、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、駐車場の位置、駐車場・サービスエリア・パーキングエリアの満車・空車情報等の各種の道路交通情報提供サーバから取得する道路交通情報や、各車両2から取得する急ブレーキがかけられた地点等のプローブ交通情報のように様々な情報が含まれる。注意喚起情報とは、その中でも、各車両2の安全な運転の為に大きな影響を与える交通事象に関する交通情報であり、特に車両2の事故に比較的繋がり易い交通事象に関する交通情報である。本実施形態では、注意喚起情報は、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのそれぞれについて予め規定されており、記憶装置10に注意喚起情報リストLとして記憶されている。例えば、リアルタイム交通情報Rに対する注意喚起情報としては、交通事象が「渋滞」、「交通事故」、「故障車」、「落下物」等の交通情報の種別が予め規定されており、過去統計交通情報Kに対する注意喚起情報としては、交通事象が「交通事故」、「急ブレーキ」等のである交通情報の種別が予め規定されている。なお、本実施形態において規定された注意喚起情報の種別は、あくまでも例示であり、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。また、注意喚起情報は、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのそれぞれに対してではなく、共通に特定されていてもよい。
本実施形態では、注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32からリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの双方を取得すると、記憶装置10に格納されているそれぞれの注意喚起情報リストLを参照する。そして、注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32を介して取得したリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kから、交通事象が、注意喚起情報リストLに含まれる交通情報の交通事象と合致する情報を注意喚起情報として抽出する。そして、注意喚起エリア設定部34は、当該抽出した注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点の位置情報に基づき、当該発生地点付近の地図情報(自車位置Zの周辺の地図情報)を、地図情報取得部33を介して地図データベース40から取得する。そして、注意喚起エリア設定部34は、予め定められた設定範囲C1と、当該取得した地図情報に含まれる道路データと、交通事象の発生地点の位置情報とに基づき、注意喚起エリアGを設定する。
ここで、設定範囲C1とは、注意喚起エリアGを設定するために予め定められている範囲である。本実施形態では、設定範囲C1は、交通事象の種別に応じて異なる範囲となるように設定されている。従って、交通事象の種別に応じて、発生地点を基準とする注意喚起エリアGの全体の長さが異なっていたり、発生地点の手前側に設定される注意喚起エリアGの長さと発生地点の奥側に設定される注意喚起エリアGの長さとの比が異なっていたりする。例えば、交通事象の種別が「交通事故」であれば、発生地点の手前側と奥側の双方に注意喚起エリアGが設定されるように設定範囲C1が定められ、交通事象の種別が「渋滞」であれば、発生地点の手前側のみに注意喚起エリアGが設定されるように設定範囲C1が定められるなど、交通事象に応じて、発生地点の手前側と奥側の注意喚起エリアGの長さの比が異なる場合がある。また、例えば、交通事象が「急ブレーキ」である場合に比べて、より重大な交通事象である「交通事故」では、「急ブレーキ」よりも注意喚起エリアGの長さが長くなるように設定範囲C1が定められると好適である。
すなわち、本実施形態では、注意喚起エリア設定部34は、抽出した注意喚起情報のそれぞれに対して、当該各注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点を基準として道路形状に沿って、交通事象毎に予め定められた設定範囲C1のエリアを注意喚起エリアGとして設定する。
そして、注意喚起エリア設定部34は、当該設定した注意喚起エリアGの情報とそれに対応する注意喚起情報とを注意喚起必要度設定部35へ出力する。また、注意喚起エリア設定部34は、当該設定した注意喚起エリアGの情報とそれに対応する注意喚起情報とを対応づけて記憶装置10へ記憶する。また、本実施形態では、説明を簡単にする為、交通事象の発生地点付近の道路は直線道路であるものとする。よって、本実施形態の注意喚起エリアGは、当該発生地点を基準として自車両2側に向かう方向に延びる直線状の設定範囲C1に設定されるものとする。なお、注意喚起エリアGの情報としては、少なくとも当該注意喚起エリアGの道路延在方向における始端S1と終端E1との位置座標及びその間の道路形状データとが含まれている。
また、交通情報取得部32がリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのいずれか一方しか取得しない場合には、注意喚起エリア設定部34は、取得したリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのいずれか一方のみから注意喚起情報を抽出し、当該注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点の位置情報に基づいて注意喚起エリアGを設定する。なお、交通情報取得部32がリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのいずれか一方しか取得しない場合とは、例えば、自車位置Zから所定の範囲内(自車位置周辺)のエリアに含まれる位置情報を有するリアルタイム交通情報Rが存在しないために過去統計交通情報Kのみを取得する場合や、当該自車位置周辺のエリアに含まれる位置情報を有する過去統計交通情報Kが存在しないためにリアルタイム交通情報Rのみを取得する場合等である。
また、注意喚起エリア設定部34は、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのそれぞれから抽出した注意喚起情報に基づく注意喚起エリアGが互いに重複する場合には、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて注意喚起エリアGを設定する。具体的には、注意喚起エリア設定部34は、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのそれぞれから抽出した注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点の位置同士が近い又は同じであり、これらの発生地点を基準として注意喚起エリアGを設定すると互いに重複すると判定した場合には、注意喚起エリア設定部34は、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて注意喚起エリアGを設定する。
注意喚起必要度設定部35は、注意喚起情報に基づいて、注意喚起エリアGに対して、注意喚起が必要な度合いを表す注意喚起必要度Hを設定する機能部である。本実施形態では、注意喚起必要度設定部35は、注意喚起エリア設定部34から、注意喚起エリアGの情報及びそれに対応する注意喚起情報を取得すると、当該注意喚起エリアGがリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのいずれの注意喚起情報に基づいて設定されたかに応じて、異なる態様で、注意喚起エリアGに対して注意喚起必要度Hを設定する。具体的には、注意喚起必要度設定部35は、注意喚起エリアGが、リアルタイム交通情報Rから抽出された注意喚起情報に基づいて設定されている場合には、当該注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点(以下、単に発生地点)からの距離に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。より具体的には、注意喚起必要度設定部35は、発生地点からの距離が所定の距離D1(例えば100m)未満のエリア、すなわち、発生地点に非常に近いエリアに関しては、注意喚起必要度を「大」とする。また、注意喚起必要度設定部35は、発生地点からの距離が所定の距離D1以上でありD2(例えば200m)未満のエリア、すなわち、注意喚起エリアGにおいて発生地点から比較的近いエリアに関しては、注意喚起必要度を「中」とする。また、注意喚起必要度設定部35は、発生地点からの距離が所定の距離D2以上であり注意喚起エリアGの始端S1までの範囲(距離)C1(例えば300m)未満のエリア、すなわち、注意喚起エリアGにおける発生地点から遠いエリアに関しては、注意喚起必要度を「小」とする。このような注意喚起必要度Hの設定は、注意喚起エリアGが発生地点に対して手前側に設定される場合の例である。注意喚起エリアGが発生地点に対して奥側に設定される場合も、発生地点に対して手前側と同様に、発生地点に近くなるに従って注意喚起必要度が高くなるように設定するとよい。
また、本実施形態では、注意喚起必要度Hを表す指標として、注意喚起が必要な度合いの高い方から順に3段階に分けて「大」程度、「中」程度、「小」程度としたが、注意喚起必要度Hを表す指標はこれに限定されるものではない。例えば、注意喚起が必要な度合いを0〜100までの数値等で表してもよい。
一方、注意喚起必要度設定部35は、注意喚起エリアGが、過去統計交通情報Kから抽出された注意喚起情報に基づいて設定されている場合には、過去統計交通情報Kに含まれる過去統計情報に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。本実施形態では、過去統計交通情報Kに含まれる過去発生件数の情報に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。具体的には、注意喚起必要度設定部35は、設定された注意喚起エリアGに対応する注意喚起情報(過去統計交通情報K)に含まれる過去発生件数が、所定値N1(例えば20回)以上である場合には、注意喚起必要度Hを「大」とする。また、注意喚起必要度設定部35は、当該過去発生件数が、所定値N1未満であり所定値N2(例えば10回)以上である場合には、注意喚起必要度Hを「中」とする。また、注意喚起必要度設定部35は、当該過去発生件数が、所定値N2未満である場合には、注意喚起必要度Hを「小」とする。
このように、リアルタイム交通情報Rから抽出された注意喚起情報に基づいて設定される注意喚起エリアGでは、一つの注意喚起エリアG内に、注意喚起必要度Hが「大」、「中」、「小」とそれぞれ異なる3区分のエリアが存在する。一方、過去統計交通情報Kから抽出された注意喚起情報に基づいて設定される注意喚起エリアGでは、注意喚起エリアG毎に注意喚起必要度Hが「大」、「中」、「小」と異なるように設定される為、一つの注意喚起エリアG内では、全体に亘って、注意喚起必要度「大」、「中」、「小」のいずれかが一様に設定される。
そして、注意喚起必要度設定部35は、各注意喚起エリアGに対して注意喚起必要度Hを設定すると、当該設定した注意喚起必要度Hとそれに対応する注意喚起エリアGの情報とを対応づけて記憶装置10に記憶する。
なお、注意喚起エリア設定部34は、上述したように、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kのそれぞれから抽出した注意喚起情報に基づく注意喚起エリアGが互いに重複する場合には、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて注意喚起エリアGを設定するが、その場合には、注意喚起必要度設定部35は、当該リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて、注意喚起必要度Hを設定する。すなわち、注意喚起必要度設定部35は、当該注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点からの距離に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。
表示制御部37は、表示装置8を制御する機能部である。本実施形態では、表示制御部37は、図4に示すように、自車両2の前方の実風景に含まれる注意喚起エリアGの道路面に重ねて、注意喚起用道路面画像Uを表示させるように、表示装置8を制御する。
ここで、注意喚起用道路面画像Uとは、注意喚起エリアGの道路面の形状に合致する形状の画像であって注意喚起必要度Hに応じて色彩及び模様の少なくとも一方が異なる態様で表された画像である。本実施形態では、図4に示すように、注意喚起用道路面画像Uは、注意喚起エリアGの道路面に含まれる複数のレーンの横幅に応じた横幅B1と、注意喚起エリアGの道路延在方向に沿った長さに応じた長さB2とを有する帯状の平面を透視図的に表した画像である。なお、実風景とは、肉眼で見る実風景(ここでは、フロントウィンドウ51越しに見る実風景)と、撮像装置9にて撮影されて各種表示装置に表示される撮影画像内の実風景との双方を含むものである。
本実施形態の表示制御部37は、撮像装置9にて撮影された撮影画像を用いて、注意喚起用道路面画像Uを生成する機能を有する。また、表示制御部37は、当該注意喚起用道路面画像Uの生成前の事前処理として、当該注意喚起用道路面画像Uの生成を開始するか否かを判定する画像生成開始判定処理を実行する。具体的には、表示制御部37は、自車両2が、記憶装置10に記憶されている注意喚起エリアGのいずれにも進入していない場合には、自車位置情報取得部31を介して取得する自車位置Zと、記憶装置10に記憶されている全ての注意喚起エリアGの情報とを監視する。そして、表示制御部37は、注意喚起エリアGの始端S1と自車位置Zとの道路延在方向における距離X2が、予め定められている自車位置Zから道路面の消失点Wまでの距離X1(以下、単に消失点Wまでの距離X1とする)以下となる注意喚起エリアGが存在すると判定した場合には、当該注意喚起エリアGの実風景の道路面に重畳して表示するための注意喚起用道路面画像Uの生成を開始すると判定する。そして、表示制御部37は、注意喚起用道路面画像Uの生成を開始する。一方、自車位置Z付近に新たな注意喚起エリアGが設定されて、既に自車両2が当該注意喚起エリアG内に進入していれば、すぐに注意喚起用道路面画像Uの生成を開始する。
表示制御部37は、注意喚起用道路面画像Uの生成処理を開始すると、撮像装置9から撮影画像を取得し、当該取得した撮影画像の中から自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の画像を抽出する。これは、例えば、エッジ検出フィルタなどを用いて、撮影画像中の区画線や車道外側線等をエッジ点として検出し、これに囲まれる画像部分を抽出する等して行う。なお、表示制御部37は、撮像装置9から間引いて数フレーム置きに取得して注意喚起用道路面画像Uを作成しているが、1フレーム毎に撮影画像を取得して注意喚起用道路面画像Uを作成してもよい。図2に、撮影画像の中から抽出した、自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の画像の例(時刻T1の破線部分)を示している。なお、図2は、撮像装置9にて撮影した撮影画像から注意喚起用道路面画像Uを生成する工程を説明する為の説明図であり、ここでは、説明の便宜上、単一の道路面を抽出した画像例を用いている。
本実施形態では、表示制御部37は、抽出した自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の抽出画像から、注意喚起用道路面画像Uの外枠となる外枠画像Pを抽出して切り出し、当該外枠画像Pに囲まれた領域に注意喚起必要度Hに応じて異なる色彩や模様を付して注意喚起用道路面画像Uを生成する。ここでは、外枠画像Pに囲まれた領域の全体に一様に色彩又は模様を付して注意喚起用道路面画像Uを生成する。
表示制御部37は、抽出した自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の画像から注意喚起エリアGの道路面の形状に合致する形状の外枠画像Pを抽出する。具体的には、図2を用いて説明する。ここでは、時刻T1に、表示制御部37が注意喚起用道路面画像Uの生成を開始したものとする。図2の時刻T1の図では、注意喚起エリアGの始端S1と消失点Wとが等しい位置にある為、実際には注意喚起エリアGは道路面に表示されておらず車両2の乗員からは視認することはできない。
ところで、自車両2の自車位置Zと注意喚起エリアGの始端S1とは、自車両2の進行に伴い、相対的に近づく為、注意喚起エリアGの道路面の領域もそれに伴い大きくなる。よって、それに対応する注意喚起エリアGの道路面の形状に合致する形状の外枠画像Pの大きさも大きくなる。具体的には、注意喚起エリアGの道路面の領域は、消失点Wとそこから延びる道路面を区画する両側の線と注意喚起エリアGの始端S1とで囲まれた領域となる。ここで、注意喚起エリアGの始端S1は、道路延在方向において当該注意喚起エリアGとその他のエリアとを区切る道路の幅方向に延びる直線である。消失点Wから延びる道路面を区画する両側の線も注意喚起エリアGの始端S1も直線である為、時刻T1から時間が経過するにつれて、図2の時刻T2〜T3に示すように、注意喚起エリアGの道路面の領域は、斜辺が道路面を区画する直線に沿う、徐々に相似的に大きくなる略二等辺三角形となる。また、それに対応する外枠画像Pも時間が経過するにつれて同様に相似的に大きくなる略二等辺三角形となる。なお、これが、帯状の平面を乗員の始点からの透視図法で表わした画像に相当する(帯状の平面を透視図的に表した画像)。
なお、自車両2の自車位置Zと注意喚起エリアGの始端S1とは、車速に応じた速度で相対的に近づく為、注意喚起エリアGの道路面の領域は、車速に応じて大きくなる。また、注意喚起エリアGの斜辺に対応する外枠画像Pの大きさも車速に応じて大きくなる。よって、表示制御部37は、位置情報検出装置6から取得する車速の情報と、固定値である自車位置Zから道路面の消失点Wまでの距離X1に対応するXX1の長さとから、時刻T1からの経過時刻に応じた外枠画像Pの画像サイズを特定することができ、各時刻における注意喚起エリアGの道路面の領域に対応する外枠画像Pを切り出すことができる。
また、本実施形態の注意喚起用道路面画像Uは、注意喚起エリアGの道路面に設けられた道路標示61及び各レーンの両側に設けられた区画線63に重複しないように形成される。すなわち、表示制御部37は、外枠画像Pを切り出す際に、外枠画像Pに囲まれた領域内に、道路標示61や区画線63等が含まれていると検出した場合には、図2の時刻T3の画像に示すように、当該道路標示61や区画線63等の領域を除いた領域を切り出す。
表示制御部37は、外枠画像Pを切り出すと、注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起必要度Hを記憶装置10から読み出して、当該外枠画像Pに当該注意喚起必要度Hに応じた色彩又は模様を付ける。本実施形態では、外枠画像Pに囲まれた領域の全体に注意喚起必要度Hに応じて一様な色彩を付け、注意喚起用道路面画像Uを生成する。表示制御部37は、例えば、注意喚起必要度Hが「大」であれば、外枠画像Pに囲まれた領域(若しくは道路標示61等を除いた領域)を赤色とし、「中」であれば外枠画像Pに囲まれた領域(若しくは道路標示61等を除いた領域)を黄色とし、「小」であれば外枠画像Pに囲まれた領域(若しくは道路標示61等を除いた領域)を青色とする。この際、注意喚起用道路面画像Uは、塗りつぶし画像でもよいが、実風景が透過して見えるように半透明の画像とされると更に好適である。
そして、表示制御部37は、当該生成した注意喚起用道路面画像Uを、随時表示装置8により表示させる。表示装置8により表示された注意喚起用道路面画像Uは、図4に示すように、自車両2の前方の実風景に含まれる注意喚起エリアGの道路面に重なって表示される。
また、表示制御部37は、当該注意喚起用道路面画像Uの生成処理を、自車両2が注意喚起エリアGから退出するまで実行する。注意喚起エリアGに進入してから退出直前になるまでの間は、自車両2の前方の実風景に含まれる道路面全体が注意喚起エリアGの道路面である為、外枠画像Pは、斜辺がXX1の略二等辺三角形の帯状で一定のままとなる。なお、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づく注意喚起エリアGの場合は、注意喚起エリアG内の自車両2の位置に応じて注意喚起必要度Hが変わる為、表示制御部37は、それに応じて注意喚起用道路面画像Uの色彩や模様を変更する。また、自車両2が注意喚起エリアGから退出する際に、すなわち、自車位置Zから注意喚起エリアGの終端E1までの距離がX1以下となると、車速に応じて徐々に、注意喚起エリアGの道路面の領域が小さくなる。それに応じて、外枠画像Pも徐々に小さくなる。具体的には、図3の時刻T4〜T6に示すように、図2に示す進入時とは逆に、外枠画像Pは、車速に応じて、略二等辺三角形の領域が相似的に徐々に欠けた略台形の領域となる。そして、自車位置Zが、注意喚起エリアGの終端E1と同位置になると、図3の時刻T6に示すように外枠画像Pは消失する。
報知部38は、自車両2の乗員に対して注意喚起情報を報知する機能部である。本実施形態では、報知部38は、注意喚起エリア設定部34が、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報又は過去統計交通情報Kから抽出した注意喚起情報のいずれに基づいて注意喚起エリアGを設定したかに応じて、報知態様を異ならせている。本実施形態では、報知部38は、注意喚起エリア設定部34が、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて注意喚起エリアGを設定した場合には、注意喚起必要度Hが予め定められた第1閾値よりも高いと判定した場合に、当該注意喚起情報を乗員に報知するとともに、通信部39を介して当該注意喚起情報に基づく信号を車両制御部5へ出力する。また、報知部38は、注意喚起必要度Hが第1閾値よりも低いと判定した場合には、車両制御部5への前記信号の出力を行わず、前記注意喚起情報を乗員に報知する。
一方、報知部38は、注意喚起エリア設定部34が、過去統計交通情報Kから抽出した注意喚起情報に基づいて注意喚起エリアGを設定した場合には、注意喚起必要度Hが予め定められた第2閾値よりも高いと判定した場合に、当該注意喚起情報を乗員に報知し、注意喚起必要度Hが前記第2閾値よりも低いと判定した場合に、注意喚起情報を乗員に報知しない。
具体的には、報知部38は、自車位置情報取得部31を介して取得する自車位置Zと、記憶装置10に記憶されている注意喚起エリアGの情報とを監視し、自車両2が注意喚起エリアGに進入したことを検知すると、報知処理を開始する。報知部38は、自車両2が進入した注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報から、当該注意喚起エリアGが、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものであると認識すると、当該注意喚起エリアGと対応づけられている注意喚起必要度Hの情報を取得する。
そして、報知部38は、自車位置Zと、注意喚起必要度Hの情報とに基づいて、現在自車両2が、注意喚起必要度Hが「小」のエリアを走行中であるか、注意喚起必要度Hが「中」のエリアを走行中であるか、注意喚起必要度Hが「大」のエリアを走行中であるかを判定する。報知部38は、自車両2が、注意喚起必要度Hが「中」のエリア又は注意喚起必要度Hが「大」のエリアを走行中であると判定すると、すなわち、交通事象の発生地点からの距離がD2未満のエリアを走行中であると判定すると、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知するとともに、通信部39を介して当該注意喚起情報に基づく信号を車両制御部5へ出力する。一方、報知部38は、自車両2が、注意喚起必要度Hが「小」のエリアを走行中であると判定すると、すなわち、注意喚起エリアG内の交通事象の発生地点からの距離がD2以上のエリアを走行中であると判定すると、車両制御部5への信号の出力は行わずに、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知する。なお、本実施形態におけるリアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて設定された注意喚起エリアGに対する注意喚起必要度Hの「中」程度が、本発明の第1閾値に相当する。
また、報知部38は、自車両2が進入した注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報から、当該注意喚起エリアGが、過去統計交通情報Kから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものであると認識すると、当該注意喚起エリアGと対応づけられている注意喚起必要度Hの情報を取得する。そして、報知部38は、取得した注意喚起必要度Hが「大」又は「中」である場合には、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知する。一方、報知部38は、取得した注意喚起必要度Hが「小」である場合には、注意喚起情報の内容を乗員に報知せずに、何も行わない。なお、本実施形態における過去統計交通情報Kから抽出した注意喚起情報に基づいて設定された注意喚起エリアGに対する注意喚起必要度Hの「中」程度が、本発明の第2閾値に相当する。
また、本実施形態における報知部38は、注意喚起情報の乗員への報知は、音声出力装置7と表示装置8とを介して行う。音声出力装置7を介して報知を行う場合には、報知部38は、例えば、「150m先に故障車両があります」等の音声データを出力する。表示装置8を介して報知を行う場合には、報知部38は、表示制御部37を介して、表示装置8の表示画面(フロントウィンドウ51等)に「150m先に故障車両があります」等の文字画像やイラストを表示させる。なお、報知部38は、音声出力装置7及び表示装置8のいずれか一方のみで行ってもよい。
ここで、車両制御部5は、自車両2の動作を制御する機能部である。本実施形態では、通信部39を介して報知部38から出力された信号に基づき、自車両2の動作を制御する。車両制御部5は、例えば、報知部38から出力された信号に基づき、アクセルオフによるエンジンブレーキの効きを良くして車両を適切に減速させる減速制御を実行させるべく、変速比(減速比)を大きくするように車両が備える自動変速機を制御する。なお、上記の車両制御は一例であり、これ以外にも自動緊急ブレーキ等の各種の制御を行なう構成としても良い。
通信部39は、無線通信又は有線通信などのデータ通信を行う機能部であり、本実施形態では、車両制御部5と通信する。また、本実施形態では、通信部39は、管理サーバ4とも通信を行う。
2.動作処理の手順
次に運転支援システム1の動作処理の手順について、図5〜9に基づいて説明する。まず、図5に示すように、自車位置情報取得部31が自車位置情報を取得すると(ステップ#01)、交通情報取得部32が、当該ステップ#01で取得した自車位置情報に基づいて、自車位置Zの周辺の交通情報、すなわち、自車位置Zの周辺の地点の位置情報を有するリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kを取得する(ステップ#02)。注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32からリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの情報を取得し、これらの中に注意喚起情報が存在すると判定すると(ステップ#03:Yes)、注意喚起エリア設定処理を実行する(ステップ#04)。一方、注意喚起エリア設定部34は、当該リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの中に注意喚起情報が存在しないと判定すると(ステップ#03:No)、運転支援処理を終了する。
ここで、ステップ#04の注意喚起エリア設定処理について図6を用いて説明する。注意喚起エリア設定部34は、交通情報取得部32から取得したリアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの中から注意喚起情報を抽出すると(ステップ#41)、地図情報取得部33を介して、自車位置Zの周辺の地図情報を取得する(ステップ#42)。そして、注意喚起エリア設定部34は、各注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点から、予め注意喚起エリアGの設定範囲として定められている設定範囲C1のエリアに注意喚起エリアGを設定し(ステップ#43)、注意喚起エリア設定処理を終了する。
次に、図5に戻って、注意喚起必要度設定部35が、注意喚起必要度Hの設定処理を実行する。具体的には、図7を用いて説明する。注意喚起必要度設定部35は、設定された注意喚起エリアGが、リアルタイム交通情報Rから抽出された注意喚起情報に基づくものであると判別した場合には(ステップ#51:Yes)、当該注意喚起情報に含まれる交通事象の発生地点からの距離に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。具体的には、交通事象の発生地点からの距離が所定の距離D1未満のエリアであれば(ステップ#52:Yes)、注意喚起必要度Hを「大」とする。また、注意喚起必要度設定部35は、発生地点からの距離が所定の距離D1以上でありD2未満のエリアであれば(ステップ#52:No、ステップ#54:Yes)、注意喚起必要度Hを「中」とする(ステップ#55)。また、注意喚起必要度設定部35は、発生地点からの距離が所定の距離D2以上のエリアであれば、注意喚起必要度Hを「小」とする(ステップ#56)。
一方、注意喚起必要度設定部35は、設定された注意喚起エリアGが、リアルタイム交通情報Rから抽出された注意喚起情報に基づくものではないと判別した場合には(ステップ#51:No)、すなわち、注意喚起エリアGが、過去統計交通情報Kから抽出された注意喚起情報に基づいて設定されている場合には、過去統計交通情報Kに含まれる過去発生件数の情報に応じて、注意喚起必要度Hを設定する。具体的には、注意喚起必要度設定部35は、当該過去発生件数が所定値N1以上である場合には(ステップ#57:Yes)、注意喚起必要度Hを「大」とする(ステップ#53)。また、注意喚起必要度設定部35は、当該過去発生件数が、所定値N1未満であり所定値N2以上である場合には(ステップ#57:No、ステップ#58:Yes)、注意喚起必要度Hを「中」とする(ステップ#55)。また、注意喚起必要度設定部35は、当該過去発生件数が、所定値N2未満である場合には(ステップ#58:No)、注意喚起必要度Hを「小」とするステップ#56)。そして、注意喚起必要度設定部35は、注意喚起必要度Hを設定すると(ステップ#53、ステップ#55、ステップ#56)、当該設定した注意喚起必要度Hとそれに対応する注意喚起エリアGの情報とを対応づけて記憶装置10に記憶して(ステップ#59)、注意喚起必要度設定処理を終了する。
次に、図5に戻って、表示制御部37が、表示制御処理を実行する(ステップ#06)。具体的には、図8を用いて説明する。表示制御部37は、道路延在方向における自車位置Zから注意喚起エリアGの始端S1までの距離X2が、予め定められている自車位置Zから道路面の消失点Wまでの距離X1以下となった場合には(ステップ#62:Yes)、注意喚起用道路面画像Uの生成を開始する。そして、表示制御部37は、撮像装置9から撮影画像を取得し(ステップ#62)、当該取得した撮影画像の中から自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の画像を抽出する(ステップ#63)。次に、表示制御部37は、ステップ#63で抽出した自車両2の前方の実風景に含まれる道路面の抽出画像から、注意喚起エリアGの道路面の形状に合致する形状の外枠画像Pを抽出する(ステップ#64)。表示制御部37は、外枠画像Pに囲まれた領域内に、道路標示61や区画線63等を検出した場合には(ステップ#65:Yes)、当該道路標示61や区画線63等の領域を除いた外枠画像Pを切り出す(ステップ#70)。一方、表示制御部37は、外枠画像Pに囲まれた領域内に、道路標示61や区画線63等を検出しない場合には(ステップ#65:No)、外枠画像Pを切り出す(ステップ#66)。そして、表示制御部37は、注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起必要度Hを記憶装置10から読み出して(ステップ#67)、ステップ#66で切り出した外枠画像P又はステップ#70で切り出した道路標示61や区画線63等の領域を除いた外枠画像Pに対して、当該注意喚起必要度Hに応じた色彩で色付け又は模様付けをし(ステップ#68)、注意喚起用道路面画像Uを生成する。当該生成した注意喚起用道路面画像Uを、表示装置8により、自車両2の前方の実風景に含まれる注意喚起エリアGの道路面に重ねて表示させる(ステップ#69)。そして、表示制御部37は、自車位置Zが注意喚起エリアGの終端E1と同じ位置になった場合に(ステップ#71:Yes)、表示制御処理を終了する。また、表示制御部37は、自車位置Zから注意喚起エリアGの始端S1までの距離X2が、自車位置Zから道路面の消失点Wまでの距離X1以下でない場合には(ステップ#61:No)、再度ステップ#61に戻って、それ以降の処理を繰り返す。なお、表示制御部37は、自車位置Zが注意喚起エリアGの終端E1と同じ位置でない場合には(ステップ#71:No)、ステップ#62に戻って、それ以降の処理を繰り返す。
次に、図5に戻って、報知部38が、報知処理を実行する(ステップ#07)。具体的には、図9を用いて説明する。報知部38は、自車両2が注意喚起エリアGに進入したことを検知すると(ステップ#81:Yes)、当該自車両2が進入した注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報から、当該注意喚起エリアGが、リアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものであるかを判別する(ステップ#82)。報知部38は、ステップ#82において、当該自車両2が進入した注意喚起エリアGがリアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものであると判別すると(ステップ#82:Yes)、当該注意喚起エリアGと対応づけられている注意喚起必要度Hの情報を取得する。そして、報知部38は、自車両2が、注意喚起必要度Hが「中」のエリア又は注意喚起必要度Hが「大」のエリアを走行中であると判定すると(ステップ#83:Yes)、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知するとともに、通信部39を介して当該注意喚起情報に基づく信号を車両制御部5へ出力する(ステップ#84)。一方、報知部38は、自車両2が、注意喚起必要度Hが「中」のエリア又は注意喚起必要度Hが「大」のエリアを走行中でない、すなわち注意喚起必要度Hが「小」のエリアを走行中であると判定すると(ステップ#83:No)、車両制御部5への信号の出力は行わずに、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知する(ステップ#86)。
一方、報知部38は、ステップ#82において、当該自車両2が進入した注意喚起エリアGがリアルタイム交通情報Rから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものでないと判別すると(ステップ#82:No)、すなわち、過去統計交通情報Kから抽出した注意喚起情報に基づいて設定されたものであると判別すると、当該注意喚起エリアGと対応づけられている注意喚起必要度Hの情報を取得する。そして、報知部38は、取得した注意喚起必要度Hが「大」又は「中」である場合には(ステップ#85:Yes)、当該注意喚起エリアGに対応づけられている注意喚起情報の内容を乗員に報知する(ステップ#86)。一方、報知部38は、自車両2が、注意喚起必要度Hが「大」又は「中」でない場合には(ステップ#85:No)、すなわち注意喚起必要度Hが「小」である場合には、注意喚起情報の内容を乗員に報知せずに、何も行わない(ステップ#87)。そして、報知処理を終了し、図5に戻って、運転支援処理も終了する。
3.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、車載装置3が、図1に示すように、自車位置情報取得部31、交通情報取得部32、地図情報取得部33、注意喚起エリア設定部34、注意喚起必要度設定部35、表示制御部37、報知部38、通信部39の機能部を有している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。これらの機能部のうちの一部又は全部を管理サーバ4が備えていてもよい。
(2)上記の実施形態では、注意喚起エリア設定部34は、自車両2が走行中の道路が複数のレーンを有する場合であっても、図4に示すように、区画線63を跨いで注意喚起エリアGを設定し、注意喚起用道路面画像Uを、注意喚起エリアGの道路面に含まれる複数のレーンの横幅に応じた横幅と、注意喚起エリアGの道路延在方向に沿った長さに応じた長さとを有する帯状の平面を透視図的に表した画像とする構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。注意喚起エリア設定部34は、図10に示すように、レーン毎に注意喚起エリアGを設定してもよい。また、このときの注意喚起用道路面画像Uは、注意喚起エリアGの道路面に含まれる一つのレーンの横幅B3に応じた横幅と、注意喚起エリアGの道路延在方向に沿った長さに応じた長さB2とを有する帯状の平面を透視図的に表した画像となる。なお、その際、注意喚起用道路面画像Uは、注意喚起エリアGの道路面に設けられた、走行中のレーンの両側に設けられた区画線63と重複しないように形成されると好適である。
(3)上記の実施形態では、交通情報取得部32が、リアルタイム交通情報Rと過去統計交通情報Kとの双方を取得し、注意喚起エリア設定部34は、リアルタイム交通情報R及び過去統計交通情報Kの双方から、注意喚起情報を抽出する構成であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、交通情報取得部32が、リアルタイム交通情報Rと過去統計交通情報Kのいずれか一方のみを取得する構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、表示制御部37は、道路標示61及び区画線63の領域を除いて注意喚起用道路面画像Uを生成する構成であったが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。道路標示61及び区画線63の領域を除かずに注意喚起用道路面画像Uを生成する構成であってもよい。この場合には、注意喚起用道路面画像Uの透過度を高めにすると好適である。また、例えば、前方に他車両等の障害物が存在し、当該前方の障害物の存在により注意喚起エリアGの道路面が視認できない場合等には、撮影画像中の前方の障害物の存在領域を除いた領域に色彩又は模様を付与した注意喚起用道路面画像Uを生成する構成であってもよい。
(5)上記実施形態では、各車両2は、各種の道路交通情報提供サーバからの道路交通情報を、管理サーバ4を介して取得する構成であったが、各車両2は、各自各種の道路交通情報提供サーバから直接道路交通情報を取得する構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、過去統計交通情報Kとして、交通事象と、当該交通事象の発生地点の位置情報と、同一の地点で同一の交通事象が発生した過去発生件数(過去統計情報)とが対応づけられている構成であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、過去統計交通情報Kは、交通事象の発生地点の位置情報と、過去統計情報とのみが対応づけられていてもよい。すなわち、同一の交通事象に限らず同一の地点で何らかの交通事象(異なる交通事象も含む)が発生した過去発生件数と、その地点の位置情報とが対応づけられる構成であってもよい。
(7)上記実施形態では、表示装置8として、ウィンドシールドディスプレイを用い、フロントガラス越しの実風景に含まれる注意喚起エリアGの道路面に重ねて、注意喚起用道路面画像Uを表示させる構成であったが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。表示装置8が、液晶ディスプレイ等の表示画面52(図4参照)を備えた表示装置であってもよい。そして、表示制御部37は、撮像装置9により撮影された動画データ(撮影画像)をリアルタイムに表示画面52に表示し、当該表示画面52に表示された撮影画像中の自車両2の前方の実風景に含まれる注意喚起エリアGの道路面に、注意喚起用道路面画像Uを重ねて表示させる構成であってもよい。また、表示装置8として、ヘッドマウントディスプレイを用いてもよい。
(8)上記実施形態では、説明を簡単にする為に、自車両2の前方の実風景に含まれる道路面が直線状である例を用いて説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。自車両2の前方の実風景に含まれる道路がカーブや交差点を含むことより複雑な形状であってもよい。
4.本発明の実施形態の概要
以上で説明した本発明の実施形態は、少なくとも以下の構成を備えている。すなわち、運転支援システム(1)は、自車両(2)の現在位置である自車位置(Z)を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得部(31)と、前記自車位置(Z)の周辺の地図情報を取得する地図情報取得部(33)と、前記自車位置(Z)の周辺の交通情報を取得する交通情報取得部(32)と、前記交通情報から、前記自車両(2)の運転に際して注意喚起すべき情報である注意喚起情報を抽出し、当該注意喚起情報及び前記地図情報に基づいて注意喚起エリア(G)を設定する注意喚起エリア設定部(34)と、前記注意喚起情報に基づいて、前記注意喚起エリア(G)に対して、注意喚起が必要な度合いを表す注意喚起必要度(H)を設定する注意喚起必要度設定部(35)と、前記自車両(2)の前方の実風景に重ねて、別途生成した画像を表示する表示装置(8)と、前記表示装置(8)を制御する表示制御部(37)と、を備え、前記表示制御部(37)は、前記自車両(2)の前方の実風景に含まれる前記注意喚起エリア(G)の道路面に重ねて、前記注意喚起エリア(G)の道路面の形状に合致する形状の画像であって前記注意喚起必要度(H)に応じて色彩及び模様の少なくとも一方が異なる態様で表された注意喚起用道路面画像(U)を表示させる。
このような構成により、自車両の前方の実風景に含まれる注意喚起エリアの道路面上に、色彩及び模様が付された注意喚起用道路面画像を重ねて表示することができる。これにより、車両の乗員(特に運転者)は、実際の注意喚起エリアの道路面上に色彩及び模様が付されているように見える為、注意喚起エリアの相対位置を視覚的に容易にかつ適切に認識することができる。また、車両の乗員は、走行中に、前方を見ながら注意喚起エリアの相対位置を認識することができるため、走行中の視線移動を最小にすることができ、安全性を確保することができる。また、注意喚起用道路面画像は、注意喚起必要度に応じて色彩及び模様の少なくとも一方を異なる態様で表示される為、車両の乗員は、注意喚起エリアの相対位置だけでなく当該注意喚起エリアの注意喚起必要度も視覚的に容易に認識することができる。
また、本発明の実施形態は、前記注意喚起用道路面画像(U)が、前記注意喚起エリア(G)の道路面に含まれる1つ又は複数のレーンの横幅に応じた横幅と、前記注意喚起エリア(G)の道路延在方向に沿った長さに応じた長さとを有する帯状の平面を透視図的に表した画像とすると好適である。
この構成によれば、前記注意喚起用道路面画像が注意喚起エリアの道路面のほぼ全体を覆うように、当該注意喚起用道路面画像を形成することができる。従って、車両の乗員に対して、実際の道路面がカラー舗装とされているのにより近い態様で、道路面に色彩や模様が付されているように見せることができる。これにより、車両の乗員に対して、注意喚起エリアを視覚的に容易に認識させることができる。
また、本発明の実施形態は、前記注意喚起用道路面画像(U)が、前記注意喚起エリア(G)の道路面に設けられた道路標示(61)と重複しないように形成されていると好適である。
この構成によれば、注意喚起用道路面画像に隠れて、実際の道路面上に施されている道路標示が見えにくくなることを抑制できる。
また、本発明の実施形態における前記注意喚起エリア設定部(34)は、前記自車両(2)が走行中の道路が複数のレーンを有する場合には、レーン毎に前記注意喚起エリア(G)を設定すると好適である。
同じ進行方向に複数のレーンを有する広い道路では、例えば、左側レーンでは飛び出しによる事故が多い、右側レーンでは右折車両との事故が多いなど、レーン毎に注意喚起が必要なエリアやその必要度が異なる場合がある。この構成によれば、レーン毎に異なる注意喚起エリアを設定することができると共に、レーン毎に異なる注意喚起用道路面画像を表示させることができる。従って、同じ道路の異なるレーン毎に注意喚起エリアや注意喚起の必要な度合いが異なる場合にも、車両の乗員に対して、適切に且つ視覚的に容易に認識させることができる態様で、注意喚起を行うことができる。
また、本発明の実施形態は、過去の前記交通情報の履歴が過去統計交通情報として蓄積される過去統計交通情報データベース(41)をさらに備え、前記交通情報取得部(32)は、前記交通情報として、前記自車位置(Z)の周辺の現時点の交通情報であるリアルタイム交通情報と、前記過去統計交通情報との双方を取得し、前記注意喚起エリア設定部(34)は、前記リアルタイム交通情報及び前記過去統計交通情報の双方から、前記注意喚起情報を抽出すると好適である。
この構成によれば、過去統計交通情報に基づく注意喚起エリアとリアルタイム交通情報に基づく注意喚起エリアの双方について、車両の乗員に対する注意喚起を行うことができる。このため、統計的に事故が多いなど注意が必要なエリアにおいて乗員に注意喚起を行うことができると共に、例えば渋滞や事故車両の存在等の現在の交通情報に基づいて注意が必要なエリアにおいても乗員に注意喚起を行うことができる。従って、車両の乗員に対して、より適切な注意喚起を行うことが可能となる。
また、本発明の実施形態は、前記注意喚起エリア設定部(34)は、前記リアルタイム交通情報及び前記過去統計交通情報のそれぞれから抽出した前記注意喚起情報に基づく前記注意喚起エリア(G)が互いに重複する場合には、前記リアルタイム交通情報から抽出した前記注意喚起情報に基づいて前記注意喚起エリア(G)を設定し、前記注意喚起必要度設定部(35)は、前記リアルタイム交通情報から抽出した前記注意喚起情報に基づいて、前記注意喚起必要度(H)を設定すると好適である。
この構成によれば、過去の傾向を表しているが実際に生じているとは限らない交通情報を示している過去統計交通情報よりも、実際に生じている交通情報を示しているリアルタイム交通情報を優先して、注意喚起エリアの設定や注意喚起必要度の設定を行う。従って、車両の乗員に対して、より適切な注意喚起を行うことが可能となる。
また、本発明の実施形態は、前記自車両の乗員に対して前記注意喚起情報を報知する報知部と、前記自車両の動作を制御する車両制御部と通信する通信部と、をさらに備え、前記注意喚起エリア設定部が、前記リアルタイム交通情報から抽出した前記注意喚起情報に基づいて前記注意喚起エリアを設定した場合において、前記報知部は、前記注意喚起必要度が予め定められた第1閾値よりも高いと判定した場合には、前記注意喚起情報を前記乗員に報知するとともに、前記通信部を介して前記注意喚起情報に基づく信号を前記車両制御部へ出力し、前記注意喚起必要度が前記第1閾値よりも低いと判定した場合には、前記車両制御部への前記信号の出力を行わず、前記注意喚起情報を前記乗員に報知すると好適である。
この構成によれば、リアルタイム交通情報から抽出した注意喚起情報に基づいて設定した注意喚起エリアでは、注意喚起必要度が第1閾値よりも高いと判定した場合に、注意喚起情報を乗員に報知するとともに、当該注意喚起情報に基づく信号を車両制御部へ出力する。よって、注意喚起必要度が比較的高く、例えば減速等の車両制御が必要となる可能性が高い場合には、注意喚起を乗員に促すだけでなく、車両制御部に対して車両制御の準備を開始させることができ、迅速な車両制御の実行が可能となる。一方、注意喚起必要度が第1閾値よりも低いと判定した場合、すなわち、注意喚起必要度が比較的低い場合には、このような車両制御が必要となる可能性も低い為、車両制御部への信号の出力は行わずに、注意喚起を乗員に促すだけとする。これにより、無駄な車両制御を抑制しつつ乗員に対する適切な注意喚起を行うことができる。
また、車両の乗員に対して、注意喚起用道路面画像による注意喚起を行うだけでなく、別途報知部による注意喚起も行うことができる為、乗員に対してより効果的に注意喚起を行うことができる。
また、本発明の実施形態は、前記自車両の乗員に対して前記注意喚起情報を報知する報知部をさらに備え、前記注意喚起エリア設定部が、前記過去統計交通情報から抽出した前記注意喚起情報に基づいて前記注意喚起エリアを設定した場合において、前記報知部は、前記注意喚起必要度が予め定められた第2閾値よりも高いと判定した場合には、前記注意喚起情報を前記乗員に報知し、前記注意喚起必要度が前記第2閾値よりも低いと判定した場合には、前記注意喚起情報を前記乗員に報知しない構成とすると好適である。
この構成によれば、過去統計交通情報から抽出した前記注意喚起情報に基づいて設定した注意喚起エリアでは、注意喚起必要度が第2閾値よりも高いと判定した場合のみ注意喚起情報を乗員に報知することができる。よって、乗員に対して、効果的に注意喚起を行うことができる。