{第1の実施の形態}
図1には、第1の実施の形態に係る自動運転車両(以下、単に車両10という場合がある)の走行を支援する運転支援制御装置12を含む運転支援システムの概略図が示されている。
車両10には、車両制御装置14及び自動運転制御装置20が搭載されている。
車両制御装置14は、車両10が走行しているときの駆動系統(エンジン制御等)及び電気系統(各部の状態検出センサによる故障診断等)を含む制御を実行する。
車両制御装置14には、車両10の周囲を撮影するカメラ群(図1では、一例として、前方向カメラ16A、左前方向カメラ16B、左後方向カメラ16C、右前方向カメラ16D、右後方向カメラ16E、及び後方向カメラ16Fを図示)が接続されている(総称する場合、「カメラ群16」という)。また、車両制御装置14には、複数のミリ波レーダ及びLIDARを備えたレーダ群18が接続されている。
自動運転制御装置20は、車両制御装置14から自動運転に必要な情報(例えば、上記カメラ群16及びレーダ群18からの検出情報)に基づき、目的地への運転操作を確定し、車両制御装置14へ指示する。
自動運転制御装置20は、ネットワーク22の無線通信装置22Aを介して、運転支援制御装置12と通信可能となっている。
運転支援制御装置12では、各車両10からの自動運転による走行履歴情報が集約され、必要に応じて、オペレータにより運転支援の指示を行うようになっている。このため、運転支援制御装置12は、ネットワーク22を介して、リアルタイム地図管理システム24から、リアルタイムの道路情報を取得する。
リアルタイム地図管理システム24は、道路等に設置されたカメラ等のインフラ、車両10等に設けられた道路情報発信デバイスからの情報が集約され、現在の道路状況(道路規制、路上駐車等を含む)を解析する機能を有している。
ここで、自動運転車両10が自動運転走行中に、走行を妨げる自律走行不可要因が発生して、以後の走行が困難となる場合がある。
自律走行不可要因とは、例えば、走行方向の前方に駐車車両26(図4等を参照)が存在し、回避のために対向車線へはみ出す必要があり、自動運転車両10の判断のみでは走行できないような場合が挙げられる。
自律走行不可要因が発生したとき、従来の運転支援制御では、自動運転車両10が撮影した画像(走行正面画像)に、目的地を示唆する自律走行時の走行軌道を重畳する程度の運転支援を行う制御に留まっており、周囲に潜むと想定される事故のリスクを考慮して、自動運転車両10の走行を安全に継続させる運転支援としては不十分であった。
言い換えれば、自律走行不可要因が発生した場合は、通常の運転支援に加え、例えば、自律走行を再開する際に、その周囲で想定される事故のリスクを考慮しやすいための、適切な注意喚起情報を含む運転支援情報を提供することが好ましい。
しかしながら、従来では、適切な注意喚起情報を含む運転支援情報を構築するための材料(情報)が整っていなかった。
そこで、第1の実施の形態では、運転支援制御装置12において、車両10が自動運転困難となった地点周囲の画像に加え、自車(車両10)の挙動、相手が存在する場合は相手車両(例えば、図4に示す駐車車両26)の種類及び挙動を含む車両データなどの周囲の交通状況に基づいて、予め格納されている過去の事故パターンとの類似度等を解析するようにした。
さらに、解析結果からは、遠隔操作で安全な運転支援を効率的に判断させるための運転支援補助情報(一例として、走行画像に重畳するための速度注意領域画像等)が生成されると共に、オペレータが管理可能である。
図2は、第1の実施の形態に係る、自動運転制御装置20から自律走行不可要因の発生を受けて、運転支援制御装置12で実行される運転支援情報を提供する制御を実行するための機能ブロック図である。なお、図2の各ブロックは、機能別に分類したものであり、運転支援制御装置12のハード構成を限定するものではない。
自動運転車両10の自動運転走行中に、予め設定された自律走行不可要因が発生すると、自動運転制御装置20(図1参照)からは、自律走行不可要因の発生を示す情報及び自律走行不可要因発生時の前方画像等を含む車両情報が運転支援制御装置12へ送信される。
運転支援制御装置12は、車両情報受信部150を備えており、自動走行車両10の自動運転制御装置20から送信される車両情報を受信する。
車両情報受信部150は、事故パターン解析部152に接続されており、受信した車両情報は、事故パターン解析部152へ送出する。
事故パターン解析部152では、車両情報に基づいて、関連する事故パターン情報を取得するべく、事故パターン情報検索指示部154に対して、検索情報を送出する。
事故パターン情報検索指示部154は、事故パターンデータベース156に接続され、事故パターン解析部152から受けた検索情報を、事故パターンデータベース156へ通知する。
事故パターンデータベース156では、当該検索情報に関連付けられた、過去の事故パターンデータを抽出し、事故パターン解析部152へ送出する。
(事故パターンデータベース156の構造の一例)
図3には、事故パターンデータベース156において、交通状況によって分類された事例の格納状態を可視化した構造図の一例である。
交通状況は、道路構造、自車挙動、相手情報に分類されている。
さらに、道路構造、自車挙動、相手情報は、それぞれ細分化されている。
(道路構造)
道路構造の項目には、交差点、無信号交差点、店舗入口、及び横断歩道が含まれている。
(自車挙動)
自車挙動の項目には、一時不停止、直進、右折、及び左折が含まれている。
(相手情報)
相手情報の項目には、事故相手、左から進入、及び右から進入が含まれている。
パターンIDは、交通状況である道路構造、自車挙動、相手情報の各項目毎に、タグを付与して該当・非該当を識別し(該当する場合は「1」、非該当の場合は「0」の符号を付与)、分類したものである。
なお、例外として、事故相手に関しては、「1」:車両、[2]:歩行者、[3]:自転車等に分類されている。
各パターンIDには、事例[1]、「2」、[3]・・・が振り分けられて、格納されるようになっている。
図2に示される如く、事故パターン解析部152では、車両10から受けた車両情報と、事故パターンデータベース156から受けた過去の事故パターンデータとが集約され、これらを機械学習、ディープラーニング等のAI技術を用いて解析することで、オペレータが車両10の自律走行の再開を判断するにあたって、事故のリスクを考慮しやすいような運転支援補助情報を作成する。なお、機械学習、ディープラーニング等のAI技術を用いる解析は一例であり、必須ではない。
事故パターン解析部152は、運転支援補助情報提示部164に接続されており、解析結果である、運転支援補助情報を、運転支援補助情報提示部164へ送出する。
運転支援補助情報提示部164は、更新部166及びユーザインターフェイス168の出力デバイス168Aに接続され、運転支援補助情報を、更新部166へ送出すると共に、出力デバイス168Aへ出力する。出力デバイス168Aは、モニタやプリンタ等が該当するが、第1の実施の形態では、少なくともモニタを含むものとする。
出力デバイス168Aに出力された運転支援補助情報は、オペレータによって確認(目視確認)可能となり、オペレータは、運転支援補助情報の確認後、ユーザインターフェイス168の入力デバイス168B(キーボード、マウス等)を用いて、更新部166では、運転支援補助情報提示部164から受信した運転支援補助情報を更新する。更新とは、例えば、モニタ上の画像の削除、変更、追記等の編集を言い、運転支援補助情報は、更新部166での情報更新によって運転支援情報となり、運転支援情報送信部170へ送出される。
運転支援情報送信部170では、運転支援情報を車両10へ送信する。
図4(A)は、出力デバイス168A(モニタ)に出力された運転支援補助情報画像28であり、図4(B)は、オペレータによる情報更新後の運転支援情報画像30である。
この図4の例では、駐車車両26(トラック)が交差点の手前に停車(駐車)している状況であり、図4(A)の運転支援補助情報画像28では、交差点の一部に注意喚起の領域32が表示されると共に、車速−事故頻度特性図(グラフ情報34)が表示される。さらに、交差点を通過するときの注意が文字情報36(例えば、「交差点歩行者飛び出し注意、10km/h↓」)が表示されている。
オペレータは、この運転支援補助情報を目視確認して、交差点における注意喚起の領域32を拡大するように微調整する(図4(B)の更新後の運転支援情報参照)。
事故パターンデータベースの各事故例は、実際に事故があった際に収集されるため、パターンによっては事故例数が不十分であるなど、収集されたデータが偏っている可能性がある。そうしたデータから生成した運転支援補助情報は、そのまま車両へ送付する情報として信用できない可能性があるが、図4のような更新をオペレータに促すことで、運転支援情報は、運転支援補助情報に比べて、オペレータの感覚に沿って、より注意喚起の度合いが高められるため、自動運転の車両10(図1参照)の走行の安全性が向上する。
以下に、第1の実施の形態の作用を説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る運転支援制御装置12における運転支援情報生成のための制御フローチャートである。なお、図5のフローチャートは運転支援制御装置12において、順次ループしながら実行される各種制御の1つである。
ステップ100では、自動運転車両(車両10)から呼び出しがあったか否かを判断する。このステップ100で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
また、ステップ100で肯定判定されると、ステップ102へ移行して、車両10の位置情報を受信すると共に、例えば、リアルタイム地図管理システム24から現在位置交通情報を受信して、ステップ104へ移行する。
ステップ104では、事故パターンデータベース156から、現在の交通情報と類似する交通状況の過去事故パターン例(例えば、図3に示す、事故例[1]〜[13])を取得し、ステップ106へ移行する。
ステップ106では、事故パターン解析部152において解析(一例として、AIを用いた、機械学習やディープラーニング等)を行い、ステップ108へ移行して、速度注意領域(図4(A)に示す領域32を、車両10の前方画像28に重畳した、運転支援補助情報を提示し、出力デバイス168Aへ出力する。これにより、オペレータは、出力デバイス168A(モニタ)の出力結果(表示)を確認することができる。
次のステップ110では、入力デバイス168Bでは、オペレータによって操作された注意喚起を高めるような更新を行う(運転支援補助情報から運転支援情報への更新)。第1の実施の形態では、図4(A)に示す領域32から、図4(B)に示す領域32への拡大編集されている。
次のステップ112では、更新された運転支援情報(画像情報)を、ステップ100における、読み出し元の車両10へ送信し、このルーチンは終了する。
このように第1の実施の形態では、自動運転車両(車両10)が、様々な障害によって自動運転が継続困難となった場合に、遠隔の運転支援センタ(運転支援制御装置12)から運転支援情報を受けて自動運転を継続させるものであり、特に、障害発生位置、走行前方画像を車両10から受け取ると共に、事故パターンデータベース156に格納された過去の事故パターン例(ビッグデータ)に基づき(例えば、AIを用いた学習で)、運転支援補助情報を提示し、かつ、必要に応じて、オペレータによってさらに適切な微調整を行った運転支援情報を、車両10へ送信するようにした。これにより、遠隔支援する側に対して、過去の事故データを活用して、走行現場を安全に通過し得る適正情報を提供することができる。
以下において、第1の実施の形態における運転支援補助情報提示部164における提示画像、提示画像を提示するときの強調、提示画像に重畳する情報を生成手順、提示画像(運転支援補助情報)から、オペレータが操作して車両10へ送信する運転支援情報への調整等の実施例(実施例1から実施例11)について説明する。なお、実施例1〜実施例5はオペレータへ提示する情報の実施例、実施例6〜実施例11はオペレータ操作の実施例を記載している
(実施例1)
図6は、運転支援補助情報提示部164における提示画像の表示例(実施例1)である。
実施例1では、車両走行方向前方の画像40に、事故パターンデータベース156から交通状況タグ情報を取得し、取得した交通状況タグ情報から想定した内容を想定事故パターンとして文字情報36aとして重畳している。
図6(A)における想定事故パターンの文字情報36a(「信号無交差点で、自車直進時に、左から車両が進入」)は一種類であり、画像40の下部に重畳されている。
一方、図6(B)における想定事故パターンの文字情報36a(「信号無交差点で、自車直進時に、左から車両が進入」)と、文字情報36b(「路駐車両付近で、自車直進時に、路駐車両の影から歩行者が飛び出し」)の二種類であり、画像40の下部に重畳されている。
このとき、図6(B)において、例えば、文字情報36aが文字情報36bよりも重要である場合に、文字情報36aの色を視覚的に注意喚起度合いが強い色(例えば、赤色)にする、フォントを変える、或いは文字の大きさ(ポイント)を変える等を行うことで、オペレータに注意喚起度合いを提示することができる。なお、図6(B)では、フォントを変えた例を示している。オペレータは画像を見ながら、予め定めた選択要件情報(事故例の数、事故の過失割合の度合い、及び事故に関して発生する損害額や保険金額を含む)を参考にして、例えば、文字情報36a及び文字情報36bの表示方法(以下の実施例3で示す、表示形態1〜表示形態3参照)の要否を入力(すなわち、表示方向を選択)するようにしてもよい。
(実施例2)
図7は、運転支援補助情報提示部164における提示画像の表示例(実施例2)である。
実施例2では、車両走行方向前方の画像40に、事故パターン解析部152で解析した情報を重畳している。
図7(A)においては、領域42(交差点)と、注意喚起のための文字情報36c(「交差点歩行者飛び出し注意 10km/h↓」)及びグラフ情報34([車速−事故頻度特性図])が組み合わされた情報が画像40内に重畳されている。
(領域の生成方法)
領域42は、例えば、事故パターンデータの道路構造に関するタグ(例えば、信号無交差点)に基づき(一例として、ディープラーニングのようなAI技術を用いて)、画像内の該当部分を特定し重畳すればよい。
(速度分布;グラフ情報の生成方法)
グラフ情報34は、例えば、事故パターンデータの事故例の車速データを用いて生成し、画像へ重畳すればよい。
(「交差点歩行者飛び出し注意 10km/h↓」のうち、10km/hの生成方法)
文字情報36cの車速情報については、例えば、事故パターンデータの事故例から生成した車速分布のうち、下限値を活用すればよい。下限値でなくても、下限値から実験的、もしくは経験的に予め設定された値を引いた値を活用してもよい。
図7(B)においては、領域44(横断歩道)と、注意喚起のための文字情報36e(「歩行者注意 5km/h↓」)が画像40内に重畳されている。
図7(C)においては、領域46(相手車両48が飛び出してくる可能性のある範囲)と、文字情報36f(「車両飛び出し注意 5km/h↓」)と、文字情報36g(「駐車場入口」)とが画像40内に重畳されている。文字情報36gは、相手車両が飛び出してくる可能性の理由となり得る。
図7(D)においては、領域46(相手車両48が飛び出してくる可能性のある範囲)と、文字情報36h(「車両飛び出し注意 5km/h↓」)と、文字情報36i(「脇道」)とが画像40内に重畳されている。文字情報36iは、相手車両が飛び出してくる可能性の理由となり得る。
(実施例3)
図8は、運転支援補助情報提示部164における提示画像の表示例(実施例3)である。すなわち、この図8に示す提示画像が、出力デバイス168A(モニタ)に表示され、オペレータによって表示内容(注意喚起情報)の取捨選択等が実行される。
実施例3では、車両走行方向前方の画像40に、事故パターン解析部152で解析した、事故発生の可能性のある領域42(交差点)及び領域50(駐車車両26による死角)の画像を重畳している。
領域42及び領域50は、以下の条件によって、色又は模様等の視覚を通じた表示形態の違いによって分類される。図8では、相対的に強調度合いを大きい領域42(交差点)を斜線格子模様とし、相対的に強調度合いが小さい領域50(駐車車両26による死角)を縦横格子模様としている。オペレータは画像を見ながら、予め定めた選択要件情報(事故例の数、事故の過失割合の度合い、及び事故に関して発生する損害額や保険金額を含む)を参考にして、例えば、領域42及び領域50の表示(以下に示す、表示形態1〜表示形態3参照)の要否を入力(すなわち、表示方法を選択)してもよい。
「表示形態1」 事故例の数を合わせて表示、もしくは、事故例の数に応じた強調度合いで表示する(なお、実施例2のように事故例の数が最も多いもののみ表示してもよい。)。
「表示形態2」 事故の過失割合の度合いを合わせて表示、もしくは、事故の過失割合の度合いに応じた強調度合いで表示する(例えば、子供の飛び出しは、相手の過失割合が多く、より注意する必要がある。)。
「表示形態3」 コスト(損害額、保険金額)の大きさに合わせて表示、もしくは、コストに応じた強調度合いで表示する(事故パターンデータベース156への過去の事故例の登録時にコストを併せて登録しておく。)。
(実施例4)
図9及び図10に従い、第1の実施の形態の実施例4について説明する。
実施例4は、例えば、図4の運転支援補助情報画像28に重畳したグラフ情報34([車速−事故頻度特性図])を生成するための実施例である。
グラフ情報34は、事故パターンデータベース156から読み出した交通状況タグ情報から推定される事例の統計値をそのまま活用すると、図9(A)のように、異なる速度で事故発生頻度のピーク値が存在する場合がある。
この図9(A)をそのまま、図4等に用いた注意喚起のグラフ情報34Aとして適用してもよい。
一方、実施例4では、グラフ情報34を用いて、状況に応じた事故例にクラスタリング解析を実行している。状況とは、図9(B)に示される如く、速度、見通し度合い、及び交通量の3軸の特徴空間上に各事故例をプロットすると、幾つかのクラスタに分類される。図9(B)では、クラスタ52A、クラスタ52B、及びクラスタ52Cに分類された例を示している。なお、状況は時間帯等他の状況に入れ替える又は増加するようにしてもよい。
図9(C)は、図9(B)のクラスタリング解析されたクラスタの内、自車(車両10)が停車中の状況が属するクラスタの分布を抽出したグラフ情報であり、例えば、図4で利用したグラフ情報34に相当する。
図10は、事故パターン解析部152で実行される、図9(A)〜(C)までの処理手順を示す制御フローチャートである。
ステップ54では、事故パターンデータベース156から事故例を抽出し、車速−事故発生頻度特性図を作成する(図9(A)参照)。
次のステップ56では、特徴空間(図9(B)参照)上で各事故例のクラスタリング処理を実行し、ステップ58へ移行する。
ステップ58では、現在、自車(呼び出し元の車両10)がおかれている状況(停車中等)が属するクラスタを算出し、次いでステップ60へ移行して、算出したクラスタに基づく、速度分布特性のグラフ情報(図9(C)参照)を算出し、このルーチンは終了する。
(実施例5)
図11に従い、第1の実施の形態の実施例5について説明する。
実施例5は、車両走行方向前方の運転支援補助情報画像28(例えば、図4参照)に、重畳するグラフ情報のバリエーションが示されている。
グラフ情報は、前述したように、図4に示すような単一の特性曲線が描画されたグラフ情報34であってもよいが、以下のようなバリエーションが考えられる。
「バリエーション1」
これに対して、バリエーション1では、図11(A)に示される如く、3種類のグラフ情報を、線種分け又は色分けして、併設描画した例である。図11(A)では、30km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Bを点線で示し、40km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Cを実線で示し、50km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Dを一点鎖線で示している。
なお、全てを実線として、30km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Bを黄色で示し、40km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Cを赤色で示し、50km/hに事故頻度のピークを持つグラフ情報34Dを茶色で示すようにしてもよい。
「バリエーション2」
バリエーション2では、図11(B)に示される如く、グラフ情報34(図4参照)に加え、事故なし例のグラフ情報34Eを加えたものである。この場合、各地点における交通情報(事故ではないデータ)を、例えば、リアルタイム地図管理システム24等から取得する(事故パターンデータベースとは別に各地点の統計情報として保持しておいてもよい)。
グラフ情報34とグラフ情報34Eとは、バリエーション1と同様に、線種分けしてもよいし、色分けしてもよい。
「バリエーション3」
バリエーション3では、図11(C)に示される如く、グラフ情報34(図4参照)に加え、減速の分布を加えたものである。
すなわち、事故発生時も速度分布(グラフ情報34)の表示に、事故の発生のみならず、所謂「ヒヤリハット」を含む走行することができたときの減速度の分布を重畳することで、さらに、詳細な状況を把握することができる。この場合、各地点における交通情報(事故ではないデータ、ここでは特に、事故に至らないヒヤリハットデータ)を、例えば、リアルタイム地図管理システム24等から取得する(事故パターンデータベースとは別に各地点の統計情報として保持しておいてもよい)。
減速の分布としては、例えば、グラフ情報34の7種類の速度において、箱ひげ図62g1〜g7を重畳させている。箱ひげ図62とは、図11(D)に示される如く、箱の上端から下端までは所定以上のプロット数の分布範囲であり、箱の中のラインがピーク値を示すものであり、図11(C)のグラフ情報34に重畳表示することで、各速度における頻出の減速度合いが視覚的に明確に表現することができる。この場合、各地点における交通情報(事故ではないデータ)を、例えば、リアルタイム地図管理システム24等から取得する(事故パターンデータベースとは別に各地点の統計情報として保持しておいてもよい)。
図11(C)の考察を示す。
事故例の車速分布(グラフ情報d1)を見ると、頻度は高めであるが、箱ひげ図62による減速度の分布を見ると、急減速が行われていないことがわかる。
事故例の車速分布(グラフ情報d1)だけでは、かなり車速を落とした方がよいという判断しかできないが、問題なく走行できた際の減速度の分布(箱ひげ図62)を重畳表示することで、もう少し車速を高めに設定することができる。
(実施例6)
図12に従い、第1の実施の形態の実施例6について説明する。
図12は、運転支援補助情報提示部164から受けて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示された運転支援補助情報に基づいて、入力デバイス168Bを用いたオペレータによる入力操作結果である運転支援情報画像30であり、図4(B)の運転支援情報画像30に相当する。
図12(A)では、車両10の走行方向前方画像に、低速で走行してほしい領域32(ここでは、交差点)が、入力デバイス168Bの操作によって描画されている。
また、図12(B)では、車両10を上方から見た平面視地図画像(鳥瞰図でもよい)に、低速で走行してほしい領域32(ここでは、交差点)が入力デバイス168Bの操作によって描画されている。
(実施例7)
図13に従い、第1の実施の形態の実施例7について説明する。
図13は、運転支援補助情報提示部164から受けて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示された運転支援補助情報に基づいて、入力デバイス168Bを用いたオペレータによる入力操作結果である運転支援情報画像30であり、図4(B)の運転支援情報画像30に相当する。
図13(A)では、車両10の走行方向前方画像に、一旦停止してほしい領域50(ここでは、駐車車両26の前方)が入力デバイス168Bの操作によって描画されている。
また、図13(B)では、車両10を上方から見た平面視地図画像28A(鳥瞰図でもよい)に、一旦停止してほしい領域50(ここでは、駐車車両26の前方)が入力デバイス168Bの操作によって描画されている。
(実施例8)
図14に従い、第1の実施の形態の実施例8について説明する。
実施例8では、出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64に対して、入力デバイス168Bの操作による編集例を示している。
図14(A)は、運転支援補助情報提示部164から出力されて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64であり、オペレータは入力デバイス168Bの操作により、低速で走行してほしい領域32(ここでは、交差点)を拡大するように編集し、図14(B)に示す運転支援情報画像66を生成する。
(実施例9)
図15に従い、第1の実施の形態の実施例9について説明する。
実施例9では、出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64に対して、入力デバイス168Bの操作による編集例を示している。
図15(A)は、運転支援補助情報提示部164から出力されて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64であり、オペレータは入力デバイス168Bの操作により、低速で走行してほしい文字情報36(「交差点歩行者飛び出し注意 1km/h↓」)の速度指定を緩和するように編集し(「交差点歩行者飛び出し注意 10km/h↓」)、図15(B)に示す運転支援情報画像66を生成する。
(実施例10)
図16に従い、第1の実施の形態の実施例10について説明する。
実施例10では、出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64に対して、入力デバイス168Bの操作による編集例を示している。
図16(A)は、運転支援補助情報提示部164から出力されて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64であり、オペレータは入力デバイス168Bの操作により、低速で走行してほしい領域32(ここでは、交差点)を拡大するように編集すると共に、領域50(駐車車両26による死角)を削除し、図16(B)に示す運転支援情報画像66を生成する。領域50の削除の理由としては、駐車車両26の前方は歩道と車道との間に柵等があり、事故の頻度が極めて低いことが挙げられる。
(実施例11)
図17に従い、第1の実施の形態の実施例11について説明する。
実施例11では、出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64に対して、入力デバイス168Bの操作による編集例を示している。
図17(A)は、運転支援補助情報提示部164から出力されて、ユーザインターフェイス168の出力デバイス168A(モニタ)に表示される運転支援補助情報画像64であり、オペレータは入力デバイス168Bの操作により、図11(B)で示したような、車速−事故頻度特性図に描画された事故なしデータを削除すると共に、低速で走行してほしい文字情報36(「交差点歩行者飛び出し注意 30km/h↓」)の速度指定を厳しくするように編集している(「交差点歩行者飛び出し注意 10km/h↓」)。
{第2の実施の形態}
以下に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第2の実施の形態の特徴は、予め定めた走行ルート情報に基づく走行位置を入力源として、例えば、リアルタイム地図管理システム24等から各走行位置における周辺画像に基づいて、走行ルート上の必要な拠点毎に運転支援情報を生成し、走行プロファイルを作成する点にある。各走行地点での周辺画像は、走行ルートに沿ったシミュレーションを実行して生成してもよい。
図18は、第2の実施の形態に係る、走行ルート情報を受けて、運転支援制御装置12で実行される運転支援情報を提供する制御を実行するための機能ブロック図である。なお、図18の各ブロックは、機能別に分類したものであり、運転支援制御装置12のハード構成を限定するものではない。
運転支援制御装置12は、走行ルート情報受信部172を備えており、予め設定した走行ルート情報を受信する。
走行ルート情報受信部172は、事故パターン解析部152に接続されており、受信した車両情報は、事故パターン解析部152へ送出する。
事故パターン解析部152では、車両情報に基づいて、関連する事故パターン情報を取得するべく、事故パターン情報検索指示部154に対して、検索情報を送出する。
事故パターン情報検索指示部154は、事故パターンデータベース156に接続され、事故パターン解析部152から受けた検索情報を、事故パターンデータベース156へ通知する。
事故パターンデータベース156では、当該検索情報に関連付けられた、過去の事故パターンデータを抽出し、事故パターン解析部152へ送出する。事故パターンデータベース156の構造は、第1の実施の形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
事故パターン解析部152では、車両10から受けた車両情報と、事故パターンデータベース156から受けた過去の事故パターンデータとが集約され、これらを解析することで、オペレータが車両10の自律走行の再開を判断するにあたって、その場面で想定される事故のリスクを考慮しやすいような運転支援補助情報を作成する。解析の一例としては、機械学習、ディープラーニング等のAI技術を用いることが有効である。
事故パターン解析部152は、運転支援補助情報提示部164に接続されており、解析結果である、運転支援補助情報を、運転支援補助情報提示部164へ送出する。
運転支援補助情報提示部164では、更新部166及びユーザインターフェイス168の出力デバイス168Aに接続され、運転支援補助情報を、更新部166へ送出すると共に、出力デバイス168Aへ出力する。出力デバイス168Aは、モニタやプリンタ等が該当するが、第1の実施の形態では、少なくともモニタを含むものとする。
出力デバイス168Aに出力された運転支援補助情報は、オペレータによって確認(目視確認)可能となり、オペレータは、運転支援補助情報の確認後、ユーザインターフェイス168の入力デバイス168B(キーボード、マウス等)を用いて、更新部166では、運転支援補助情報提示部164から受信した運転支援補助情報を更新する。更新とは、例えば、モニタ上の画像の削除、変更、追記等の編集を言い、運転支援補助情報は、更新部166での情報更新によって運転支援情報となり、走行プロファイル生成部174へ送出される。
走行プロファイル生成部174は、走行プロファイルデータベース176に接続され、生成された走行プロファイルを走行プロファイルデータベース176に順次格納する。
以下に、第2の実施の形態の作用を説明する。
図19は、第2の実施の形態に係る運転支援制御装置12における運転支援情報生成のための制御フローチャートである。なお、図19のフローチャートは運転支援制御装置12において、順次ループしながら実行される各種制御の1つである。
ステップ180では、走行ルート情報を受信したか否かを判断する。このステップ180で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
また、ステップ180で肯定判定されると、受信した走行ルート情報に存在する注意喚起地点数に応じて、ステップ102A→ステップ104A→ステップ106A→ステップ108A→ステップ110Aを繰り返し、繰り返し処理が終了すると、ステップ182へ移行する。
(繰り返し処理)
ステップ102Aでは、車両10の位置情報を受信すると共に、例えば、リアルタイム地図管理システム24から現在位置交通情報を受信して、ステップ104Aへ移行する。
ステップ104Aでは、事故パターンデータベース156から、現在の交通情報と類似する交通状況の過去事故パターン例(例えば、図3に示す、事例[1]、「2」、[3]・・・)を取得し、ステップ106Aへ移行する。
ステップ106Aでは、事故パターン解析部152において解析(例えば、AIを用いた、機械学習やディープラーニング等)を行い、ステップ108Aへ移行して、速度注意領域(図4(A)に示す領域32を、車両10の前方画像に重畳した、運転支援補助情報画像28を提示し、出力デバイス168Aへ出力する。これにより、オペレータは、出力デバイス168A(モニタ)の出力結果(表示)を確認することができる。
次のステップ110Aでは、入力デバイス168Bでは、オペレータによって操作された注意喚起を高めるような更新を行う(運転支援補助情報から運転支援情報への更新)。第1の実施の形態では、図4(A)に示す領域32から、図4(B)に示す領域32への拡大編集されている。
上記走行ルート情報に存在する注意喚起地点数に相当する繰り返し処理後に移行するステップ182では、走行プロファイルを作成し、ステップ184へ移行する。
ステップ184では、ステップ182で作成した走行プロファイルを走行プロファイルデータベース176へ格納し、このルーチンは終了する。
第2の実施の形態によれば、実際に自動運転車両(車両10)が走行しているときに発生する走行困難時に限らず、予め走行ルート情報に基づく走行位置毎の運転支援情報に基づいて、走行プロファイルを作成することで、走行ルート情報に沿った走行時の事故のリスクを未然に回避することができる。