JP2015158407A - X線検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高さにばらつきのある被検査物に対しても、被検査物の搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサからの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができるX線検査装置を提供すること。
【解決手段】X線検査装置1において、タイミング遅延部44は、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングを、上流側に隣接するX線ラインセンサ50に対して遅延させている。被検査物高さ測定センサ81または入力インターフェース47は、被検査物Wの高さを入力または測定により取得している。遅延時間算出部45は、取得された被検査物Wの高さと、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置と、搬送部2の搬送速度とに基づいて、取得された被検査物Wの高さから決定される被検査物Wの内部に対して、X線ラインセンサ50、60の検出タイミングが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出している。
【選択図】図2

Description

本発明は、X線を用いて被検査物を検査するX線検査装置に関し、特に、被検査物の搬送方向にX線ラインセンサを複数備えるX線検査装置に関するものである。
一般に、X線検査装置は、搬送路上を所定間隔で順次搬送されてくる各品種の被検査物(例えば、肉、魚、加工食品、医薬品など)にX線発生器からX線を照射し、被検査物を透過したX線の透過量を検出することで、被検査物中の異物(金属、ガラス、石、骨など)の有無や欠品の有無などを検査するようになっている。
この種のX線検査装置には、X線ラインセンサを被検査物の搬送方向に複数本併設し、複数のX線ラインセンサからの検出信号を合成することにより、検査精度を向上させるようにしたものがある。このX線検査装置では、各X線ラインセンサの検出タイミングにズレ(時間差)が発生し、合成画像における被検査物のエッジが不明瞭になったり、微小な異物のコントラストが低下してしまうため、異物検査性能や形状検査性能が低下してしまう。
これに対し、従来、各X線ラインセンサの間隔および被検査物の搬送速度に基づいて、搬送方向の上流側のX線ラインセンサほどそのX線ラインセンサからの検出信号の出力を遅延させるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のX線検査装置には、搬送方向に互いに隣接するX線ラインセンサの間の距離をd、被検査物Wの搬送速度をVとしたとき、t=d/Vの数式から遅延時間tを求めることが開示されている。
特開2011−145253号公報
ここで、X線検査装置においては、X線発生器から放射状にX線が照射されることによる拡大効果があるため、複数のX線ラインセンサ間での検出タイミングの時間差は、搬送面から高い位置では小さく、搬送面に近い位置では大きくなり、一定ではない。このため、遅延時間は、被検査物の高さ、または被検査物中の検査を所望する部位の高さに応じて最適な値に設定することが求められる。
しかしながら、従来のX線検査装置は、異なる品種の被検査物を順次検査するような場合等、被検査物の高さにばらつきがあるときは、被検査物毎の高さが不明であるため、被検査物毎に適切な遅延時間を設定することができなかった。したがって、従来のX線検査装置は、高さにばらつきのある被検査物に対しては精度良く検査を行うことができないという問題があった。
一方、複数のX線ラインセンサから遅延時間を設けずに検出信号を取得した後に、画像データ上で被検査物の境界が一致するように遅延時間を算出し、この遅延時間を複数のX線ラインセンサの検出タイミング、または画像バッファからの検出信号の読み出しタイミングに適用することも考えられる。
この場合、画像データ上での被検査物の位置合わせは画素単位で行われるので、画像上の1画素未満に相当する分解能で遅延時間を精度良く算出することはできない。したがって、画像データ上で被検査物の境界が一致するように遅延時間を算出する手法では、高さのばらつきの有無に関わらず、被検査物を精度良く検査をすることができないという問題があった。
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、高さにばらつきのある被検査物に対しても、被検査物の搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサからの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができるX線検査装置を提供することを目的としている。
本発明に係るX線検査装置は、被検査物を搬送面上で搬送する搬送部と、前記搬送面上を搬送される前記被検査物にX線を照射するX線発生器と、前記被検査物の搬送方向に並設され、前記被検査物を透過するX線に応じた検出信号を検出して出力する複数のX線ラインセンサと、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングを、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングに対して遅延させるタイミング遅延部と、前記被検査物の高さを取得する被検査物高さ取得部と、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さと、複数の前記X線ラインセンサおよび前記X線発生器の配置と、前記搬送部の搬送速度とに基づいて、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出する遅延時間算出部と、前記複数のX線ラインセンサからの検出信号を合成して前記被検査物に対応する画像データとして出力する合成部と、前記合成部が出力する画像データに基づいて前記被検査物の良否を判定する判定部とを備え、前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の内部に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とする。
この構成により、被検査物高さ取得部により被検査物の高さを取得し、被検査物の内部に対して、すなわち被検査物の上端と下端の間に対して、下流側のX線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接するX線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、遅延時間算出部が遅延時間を算出している。このため、被検査物の高さにばらつきがある場合でも、被検査物の内部に対する適切な遅延時間を設定することができる。したがって、高さにばらつきのある被検査物に対しても、被検査物の搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサからの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物の高さを測定する被検査物高さ測定センサを、前記被検査物高さ取得部として備えることを特徴とする。
この構成により、被検査物の高さを測定する被検査物高さ測定センサを備えることで、自機の搬送部の搬送面上に被検査物高さ測定センサを配置することができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物高さ測定センサは、前記被検査物の高さを非接触で測定する非接触式センサであることを特徴とする。
この構成により、被検査物の高さを非接触で測定することができるため、被検査物の品質等を維持することができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物の高さが外部機器から入力される入力インターフェースを、前記被検査物高さ取得部として備えることを特徴とする。
この構成により、被検査物高さ取得部として、前段等に設けられる外部機器から被検査物の高さが入力される入力インターフェースを備えることで、被検査物の高さを測定するセンサを外部機器と共有することができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の高さ方向中央部に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とする。
この構成により、被検査物の高さ方向中央部に対して検出タイミングが一致するように遅延時間を設定することで、被検査物の高さ方向中央部を中心として全体的に画像ズレを抑制することができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の内部の所定高さ範囲に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とする。
この構成により、被検査物の内部の所定高さ範囲に対して検出タイミングが一致するように遅延時間を設定することで、被検査物の製品等が配置される領域を対象として遅延時間を設定することができる。
本発明は、高さにばらつきのある被検査物に対しても、被検査物の搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサからの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができるX線検査装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るX線検査装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るX線検査装置の側面および内部構成を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置のX線検出器の構成を示す斜視図であり、(b)は、X線検出器の上面図である。 本発明の一実施形態に係るX線検査装置の被検査物高さ測定センサの構成を示す斜視図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置での遅延時間の算出手法を説明する図であり、(b)は、各X線ラインセンサの検出タイミングの遅延時間を説明する図である。 (a)は、下流側のX線ラインセンサの検出タイミングを遅延させたときの合成部の出力結果を示す図であり、(b)は、検出タイミングを遅延させないときの合成部の出力結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず構成について説明する。図1に示すように、X線検査装置1は、搬送部2と検出部3とを筐体4の内部に備え、表示器5を筐体4の前面上部に備えている。
搬送部2は、筐体4に対して水平に配置されたベルトコンベアの搬送面(ベルト面)2a上で、被検査物Wを所定間隔をおいて順次搬送するようになっている。搬送部2は、図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを搬出口8側(図中X方向)に向けて搬送するようになっている。筐体4内部において搬送面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は搬送路21を形成している。
検出部3は、搬送路21途中の検査空間22の上方に所定高さ離隔して配置されたX線発生源としてのX線発生器9と、このX線発生器9と搬送部2内に対向して配置されたX線検出器10とを備えている。検出部3は、搬送路21の途中の検査空間22において、順次搬送される被検査物Wに対し、X線発生器9によりX線を照射するとともに、被検査物Wを透過するX線をX線検出器10により検出するようになっている。
X線発生器9は、円筒状のX線管12と、このX線管12を絶縁油に浸漬した状態で収納する金属製の箱体11とを備えており、X線管12の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成するようになっている。
X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X方向)となるよう箱体11内に配置されている。X線管12により生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X方向)を横切るように照射されるようになっている。
ここで、X線管12の陽極と陰極との間に流す電流(管電流)に比例して、X線管12が発生するX線の強度は変化する。また、X線管12の陽極と陰極との間に印加する電圧(管電圧)が高くなるに連れて、X線管12が発生するX線の波長が短くなりX線の透過力が強くなる。このため、X線管12の管電流および管電圧は、検出対象とする異物および被検査物Wの種類や搬送速度に応じて調整されるようになっている。
図2に示すように、搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏えいすることを防止するようになっている。
遮蔽カーテン16は、本実施形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽することで、漏えい基準量を超えることなくX線の漏えいを防止できるようになっている。搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間は検査空間22を構成している。
X線検出器10は、図3(a)、図3(b)に示すように、Y方向に直線状に延在する複数のX線ラインセンサ50、60を搬送面2aの下方に備えている。X線ラインセンサ50はX方向上流側に配置され、X線ラインセンサ60はX方向下流側に配置されている。X線ラインセンサ50、60は、同じエネルギーのX線を検出するシングルエナジー、または、X線を一方が高エネルギーで検出し他方が低エネルギーで検出するデュアルエナジーセンサーとして構成されている。
X線ラインセンサ50は、複数のセンサモジュール51、52、53、54をY方向にそれぞれ直線状に接続したものから構成されている。X線ラインセンサ60は、複数のセンサモジュール61、62、63、64をY方向にそれぞれ直線状に接続したものから構成されている。
各センサモジュール51、52、53、54、61、62、63、64は、それぞれX線検知部51a、52a、53a、54a、61a、62a、63a、64aを基板51b、52b、53b、54b、61b、62b、63b、64b上に実装したものから構成されている。
X線検知部51a、52a、53a、54a、61a、62a、63a、64aは、検出素子としてのフォトダイオード(図示せず)と、フォトダイオード上に設けられたシンチレータ(図示せず)とから構成されている。X線検知部51a、52a、53a、54a、61a、62a、63a、64aは、X線発生器9から被検査物Wに対してX線が照射されているとき、被検査物Wを透過してくるX線をシンチレータで受けて光に変換するようになっている。また、X線検知部51a、52a、53a、54a、61a、62a、63a、64aは、シンチレータで変換された光をフォトダイオードで受光し、受光した光を電気信号に変換して出力するようになっている。
X線検出器10はA/D変換部41を備えており、このA/D変換部41は、X線ラインセンサ50、60からの検出信号(輝度値データ)を画像にして異物を検出するためのデジタルデータに変換して濃度データとして出力するようになっている。
ここで、X線検出器10がA/D変換部41を備える代わりに、制御部40がA/D変換部41を備えるようにしてもよい。すなわち、X線検出器10から制御部40への出力を、デジタルデータに変換された後の濃度データとする代わりに、デジタルデータに変換される前の輝度値データをX線検出器10の側で出力し、制御部40の側で輝度値データをデジタルデータである濃度データに変換するように構成してもよい。
図2に示すように、搬送路21の上部空間には被検査物高さ測定センサ81が設けられており、この被検査物高さ測定センサ81は、搬送面2a上を搬送される被検査物Wの高さを非接触で測定するようになっている。
被検査物高さ測定センサ81は、図4に示すように、複数のレーザ光束を照射して反射光を受光することにより、被検査物Wの高さを非接触で測定するようになっており、搬送面2aの上方(本実施形態では、搬送面2aの搬送方向上流部の上方)に被検査物Wと接触しないよう十分な間隔を隔てて配置されている。被検査物高さ測定センサ81としてこのようなレーザ光による2次元変位センサを用いることができ、この2次元センサを用いた場合、被検査物Wの高さだけでなく、検査空間22を通過する被検査物Wの高さ、幅、形状および搬送面2a上の位置等を測定することができる。
また、図2に示すように、X線検査装置1は制御部40を備え、この制御部40は、X線検出器10からの検出信号に基づいて被検査物Wの良否判定を行うようになっている。また、制御部40は、被検査物Wの良否判定の他に、X線検査装置1全体の制御を行うようになっている。
制御部40は、一時記憶部42と、合成部46と、判定部48と、表示器5と、設定操作部49とを備え、一時記憶部42に記憶されたX線ラインセンサ50、60からの検出データを合成部46で合成し、合成画像に基づいて判定部48で被検査物Wの良否を判定し、判定結果を表示器5により表示するようになっている。
また、本実施形態では、制御部40は、タイミング遅延部44と、遅延時間算出部45と、入力インターフェース47とを備え、タイミング遅延部44は、遅延時間算出部45により算出された遅延時間を用いて、X線ラインセンサ50に対するX線ラインセンサ60の検出タイミングを調整するようになっている。
一時記憶部42は、X線ラインセンサ50、60からの検出データ(濃度データ)を一時的に記憶するようになっており、データを高速に記憶および読み出しが可能な半導体メモリ等のバッファから構成されている。
合成部46は、X線ラインセンサ50、60の検出データを一時記憶部42から読み出すとともに、読み出した検出データ合成して被検査物Wに対応する画像データとして出力するようになっている。
判定部48は、合成部46で合成された濃度データに対して被検査物Wと異物との判別を行って異物の混入の有無を判定するようになっている、表示器5は、判定部48による判定結果を表示するようになっている。判定部48は、合成部46で合成された画像データ10dm(濃度データ)に基づいて、被検査物Wの中から異物を検出し、異物の混入の有無を判定するようになっている。
設定操作部49は、不図示のキーボードおよびタッチパネル等から構成されており、X線発生器9のX線出力の設定や、搬送速度等の検査パラメータの設定操作、動作モードの選択操作が行われるようになっている。
入力インターフェース47は、前段の検査装置等としての外部機器82に接続されており、この外部機器82から被検査物Wの高さを取得するようになっている。外部機器82には、前述の2次元変位センサのように被検査物Wの高さを測定するセンサが設けられている。
タイミング遅延部44は、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングを、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングに対して、遅延時間算出部45で算出された遅延時間を用いて遅延させるようになっている。ここで、X線ラインセンサ50、60の検出タイミングとは、X線ラインセンサ50、60の蓄積(蓄光)開始のタイミングである。
遅延時間算出部45は、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出するようになっている。遅延時間算出部45には、入力インターフェース47から入力(取得)された被検査物Wの高さ、または、被検査物高さ測定センサ81で測定(取得)された被検査物Wの高さ、の何れかが入力されるようになっている。
遅延時間算出部45は、取得された被検査物Wの高さと、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置と、搬送部2の搬送速度とに基づいて、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングと、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、遅延時間を算出するようになっている。
ここで、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置とは、図5(a)に示すように、X線ラインセンサ50とX線ラインセンサ60との間隔d、および、X線発生器9と搬送面2aとの距離H1、および、X線発生器9とX線ラインセンサ50、60との距離H2のことである。
換言すると、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置とは、X線検査装置1の構成に関する既知の値である。なお、X線ラインセンサ50とX線ラインセンサ60との間隔dと、X線発生器9とX線ラインセンサ50、60との距離H2に代えて、X線発生器9から照射されるX線の拡大率を用いてもよい。
遅延時間算出部45は、被検査物Wの内部に対して、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングと、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出するようになっている。
ここで、遅延時間算出部45は、被検査物Wの中心高さに対して遅延時間を算出することが好ましい。すなわち、遅延時間算出部45は、被検査物Wの高さから決定される被検査物Wの高さ方向中央部に対して、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングと、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出することが好ましい。
遅延時間tは、X線ラインセンサ50、60が設けられた平面に対しては、t=d/Vの数式から求まり、被検査物Wの高さ方向中央部に対しては、X線の拡大効果があるため、次に示す数式から算出される。
Figure 2015158407
なお、遅延時間算出部45は、被検査物Wの内部の所定高さ範囲内の何れかの高さに対して遅延時間を算出するようになっていてもよい。すなわち、遅延時間算出部45は、被検査物Wの内部における上限高さと下限高さに挟まれた所定高さ範囲内の何れかの高さに対して遅延時間を算出するようになっていてもよい。この場合、上限高さおよび下限高さは、固定値ではなく、入力インターフェース47から入力または被検査物高さ測定センサ81で測定された被検査物Wの高さに対する値である。
例えば、被検査物Wの下面から1センチ上または10%上の位置が下限高さに設定され、被検査物Wの上面から1センチ下または10%下の位置が上限高さに設定されるようになっている。これにより、被検査物Wの下部に位置するトレー(または土台)や被検査物Wの上部に位置するカバー等の容器の部分を除いた、製品本体(食品の内容物等)のみを対象として遅延時間を算出し、容器に対しては検査対象から除くことができる。例えば、トレー(または土台)を有する被検査物Wには、蒲鉾(かまぼこ)がある。
タイミング遅延部44は、遅延時間算出部45により算出された遅延時間を用いて、図5(b)に示すように、X線ラインセンサ60の検出タイミングを、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングに対して遅延させている。
次に動作を説明する。まず、制御部40は、所定搬送速度Vで搬送部2を駆動して被検査物Wを搬送するとともに、予め設定された強度でX線発生器9から被検査物WにX線を照射する。
次いで、被検査物Wの高さが、入力インターフェース47から入力、または、被検査物高さ測定センサ81により測定される。
次いで、遅延時間算出部45は、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置と、搬送部2の搬送速度とに基づいて、取得された被検査物Wの高さ応じた遅延時間を算出する。
タイミング遅延部44は、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングを、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングに対して、遅延時間算出部45で算出された遅延時間だけ遅延させる。
次いで、制御部40は、X線検出器10から出力されるX線ラインセンサ50の濃度データとX線ラインセンサ60の濃度データとを一時記憶部42に記憶する。
次いで、制御部40は、合成部46により、図6(a)に示すように、X線ラインセンサ50、60の濃度データの合成を行って、被検査物Wの形状に対応する画像データとして出力する。
図6(a)において、タイミング遅延部44により検出タイミングが調整されたX線ラインセンサ50、60からの濃度データ50d、60dは、合成部46により合成(重ね合わせ)されるとともに被検査物Wの形状に対応する画像データ10dm(濃度データ)として出力されている。
次いで、制御部40は、判定部48により、合成部46で合成された画像データ10dmに基づいて、被検査物Wの中から異物を検出し、異物の混入の有無を判定し、合成部46で合成された画像データとともに表示器5に表示する。
なお、X線ラインセンサ50、60の検出タイミングが調整されていない場合、図6(b)に示すように、合成部46が出力する画像データ10dmは、X線ラインセンサ50の濃度データ50dに基づく被検査物Wの画像の境界と、X線ラインセンサ60の濃度データ60dに基づく被検査物Wの画像の境界とが一致しないものとなる。
また、X線の照射方向は図のような鉛直下方向のみに限定せず、左右方向、鉛直上方向であってもよい。つまり、X線源(X線発生器9)とX線ラインセンサ50、60を搬送面2aの上方と下方にそれぞれ配置してX線を上方から下方に向かって照射する構成だけでなく、X線源とX線ラインセンサ50、60を搬送面2aの下方と上方にそれぞれ配置してX線を下方から上方に向かって照射したり、X線を搬送面2aの幅方向一端側と他端側に配置してX線を横向きに一端側から他端側に向かって照射するように構成してもよい。
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置1は、タイミング遅延部44と、被検査物高さ取得部としての被検査物高さ測定センサ81または入力インターフェース47と、遅延時間算出部45とを備えている。タイミング遅延部44は、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングを、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングに対して遅延させている。被検査物高さ測定センサ81または入力インターフェース47は、被検査物Wの高さを入力または測定により取得している。遅延時間算出部45は、取得された被検査物Wの高さと、X線ラインセンサ50、60およびX線発生器9の配置と、搬送部2の搬送速度とに基づいて、X線ラインセンサ60の検出タイミングと、X線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出する。さらに、遅延時間算出部45は、取得された被検査物Wの高さから決定される被検査物Wの内部に対して、遅延時間を算出している。
この構成により、被検査物高さ取得部により被検査物Wの高さを取得し、被検査物Wの内部に対して、すなわち被検査物Wの上端と下端の間に対して、下流側のX線ラインセンサ60の検出タイミングと、上流側に隣接するX線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、遅延時間算出部45が遅延時間を算出している。このため、被検査物Wの高さにばらつきがある場合でも、被検査物Wの内部に対する適切な遅延時間を設定することができる。したがって、高さにばらつきのある被検査物Wに対しても、被検査物Wの搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサ50、60からの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができる。
また、本実施形態に係るX線検査装置1は、被検査物Wの高さを測定する被検査物高さ測定センサ81を、被検査物高さ取得部として備えている。
この構成により、被検査物Wの高さを測定する被検査物高さ測定センサ81を、自機の搬送部2の搬送面2a上に配置することができる。
また、本実施形態に係るX線検査装置1は、被検査物高さ測定センサ81は、被検査物Wの高さを非接触で測定する非接触式センサである。
この構成により、被検査物Wの高さを非接触で測定することができるため、被検査物Wの品質等を維持することができる。
また、本実施形態に係るX線検査装置1は、被検査物Wの高さが外部機器82から入力される入力インターフェース47を、被検査物高さ取得部として備えている。
この構成により、被検査物高さ取得部として、前段等に設けられる外部機器82から被検査物Wの高さが入力される入力インターフェース47を備えることで、被検査物Wの高さを測定するセンサを外部機器82と共有することができる。
また、本実施形態に係るX線検査装置1は、遅延時間算出部45は、取得された被検査物Wの高さから決定される被検査物Wの高さ方向中央部に対して、X線ラインセンサ60の検出タイミングと、X線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出している。
この構成により、被検査物Wの高さ方向中央部に対して検出タイミングが一致するように遅延時間を設定することで、被検査物Wの高さ方向中央部を中心として全体的に画像ズレを抑制することができる。
また、本実施形態に係るX線検査装置1は、遅延時間算出部45は、取得された被検査物の高さから決定される被検査物Wの内部の所定高さ範囲に対して、X線ラインセンサ60の検出タイミングと、X線ラインセンサ50の検出タイミングとが一致するよう、タイミング遅延部44が用いる遅延時間を算出している。
この構成により、被検査物Wの内部の所定高さ範囲に対して検出タイミングが一致するように遅延時間を設定することで、被検査物Wの製品等が配置される領域を対象として遅延時間を設定することができる。
以上のように、本発明に係るX線検査装置は、高さにばらつきのある被検査物に対しても、被検査物の搬送方向に複数並設されたX線ラインセンサからの検出信号に基づいて精度良く検査を行うことができるという効果を有し、X線ラインセンサを被検査物の搬送方向に複数備えるX線検査装置として有用である。
1 X線検査装置
2 搬送部
2a 搬送面
3 検出部
5 表示器
9 X線発生器
10 X線検出器
12 X線管
21 搬送路
22 検査空間
44 タイミング遅延部
45 遅延時間算出部
46 合成部
47 入力インターフェース(被検査物高さ取得部)
48 判定部
49 設定操作部
50、60 X線ラインセンサ
81 被検査物高さ測定センサ(被検査物高さ取得部)
W 被検査物

Claims (6)

  1. 被検査物(W)を搬送面(2a)上で搬送する搬送部(2)と、
    前記搬送面上を搬送される前記被検査物にX線を照射するX線発生器(9)と、
    前記被検査物の搬送方向に並設され、前記被検査物を透過するX線に応じた検出信号を検出して出力する複数のX線ラインセンサ(50、60)と、
    下流側の前記X線ラインセンサ(60)の検出タイミングを、上流側に隣接する前記X線ラインセンサ(50)の検出タイミングに対して遅延させるタイミング遅延部(44)と、
    前記被検査物の高さを取得する被検査物高さ取得部(47、81)と、
    前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さと、複数の前記X線ラインセンサおよび前記X線発生器の配置と、前記搬送部の搬送速度とに基づいて、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出する遅延時間算出部(45)と、
    前記複数のX線ラインセンサからの検出信号を合成して前記被検査物に対応する画像データとして出力する合成部(46)と、
    前記合成部が出力する画像データに基づいて前記被検査物の良否を判定する判定部(48)とを備え、
    前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の内部に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とするX線検査装置。
  2. 前記被検査物の高さを測定する被検査物高さ測定センサ(81)を、前記被検査物高さ取得部として備えることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
  3. 前記被検査物高さ測定センサは、前記被検査物の高さを非接触で測定する非接触式センサであることを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
  4. 前記被検査物の高さが外部機器から入力される入力インターフェース(47)を、前記被検査物高さ取得部として備えることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
  5. 前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の高さ方向中央部に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のX線検査装置。
  6. 前記遅延時間算出部は、前記被検査物高さ取得部が取得した前記被検査物の高さから決定される前記被検査物の内部の所定高さ範囲に対して、下流側の前記X線ラインセンサの検出タイミングと、上流側に隣接する前記X線ラインセンサの検出タイミングとが一致するよう、前記タイミング遅延部が用いる遅延時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のX線検査装置。
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