以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図4は本発明に係るX線検査装置の第1の実施の形態を示す図であり、本発明を物理量としての質量を測定するX線検査装置に適用した例を示している。
まず、その構成を説明する。
図1に概略のブロック構成図で示すように、本実施形態のX線検査装置は、被検査物であるワークWを搬送するベルトコンべアからなる搬送路1と、搬送中のワークWに所定の検査空間内でX線を照射するX線源2と、検査空間内へのワークWの進入を検知する例えば投受光器からなる進入検知センサ3と、検査空間内で搬送方向と直交する方向(以下、搬送路幅員方向ともいう)に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについてワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間毎の累積透過量のデータを検出情報として出力することができるX線検出部4(X線検出手段)と、X線検出部4からの検出データを処理して表示データを生成するデータ処理ユニット6と、データ処理ユニット6からの表示データを取り込んで画面表示する表示部20とを含んで構成されている。また、搬送路1およびX線源2は、図示しない搬送およびX線照射制御ユニットによってそれぞれ所定のタイミングで動作するよう制御される。
ここで、搬送路1は、例えば食品や医薬品等となる個体(定形のものでも柔軟な不定形のものでもよい)のワークWをその品種に対応する所定の一定搬送速度で搬送するとともに、その搬送途中でワークWを図示しない装置筐体内の前記所定の検査空間に通してX線源2とX線検出部4の間を通過させるようになっている。
X線源2は、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極の間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させてX線を発生させるX線管を有しており、発生したX線を下方のX線検出部4に向けて不図示のスリットにより搬送路1の幅員方向に広がる扇形のビームに整形して照射するようになっている。すなわち、X線源2は、X線検出部4と共に、いわゆるX線ファンビーム光学系を構成している。
図2に示すように、X線検出部4は、X線ラインセンサ4aと、X線ラインセンサ4aからの検出情報を一時的に保持するデータ記憶部4bと、X線ラインセンサ4aの感度を調整する検出感度調整部4cとで構成されている。
ここで、X線ラインセンサ4aは、蛍光体であるシンチレータとフォトダイオード若しくは電荷結合素子とからなる検出素子を搬送路1の幅員方向にアレイ状に所定ピッチで配設した公知のもので、所定解像度でのX線検出を行なうことができる。
また、データ記憶部4bは、X線ラインセンサ4aの複数の検出素子からのX線検出信号をそれぞれA/D変換するとともに、それら検出素子の配設ピッチに対応する所定の単位搬送時間毎に、搬送路幅員方向の全n個(例えば640個)の透過領域について、その単位時間内の累積の透過X線量(以下、単に透過量という)のデータを、例えば0から1023までの階調を表す透過量レベルのデータとして書き込む動作(以下、ライン走査という)を実行することができ、そのためのA/D変換器やプログラムおよびメモリ(図示していない)を有している。
また、検出感度調整部4cは、具体的なハードウェア構成を図示していないが、例えばCPU、ROM、RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータを含んで構成されており、ROMに格納された所定の感度調整プログラムに従って、ワークWが搬送路1上に無いときベルト面のみでの各透過領域でのX線の透過量が等しい値になるようX線検出部4としての検出感度を調整するようになっている。本実施形態で採用するようなX線ファンビーム光学系においては、例えばシンチレータ型CCDラインセンサからなるX線ラインセンサ4aの焦点仰角(90°−θ)の範囲における各ピクセル分の受光量Iは、各透過領域におけるX線照射強度に応じた値I(θ)={1/(1+tan2θ)}・I(0°)となるが、検出感度調整部4cでは、ワークWの搬送前の搬送ベルト面でこの受光量I(θ)がフラットな受光量特性となるよう受光感度補正が行なわれる。
データ処理ユニット6は、具体的なハードウェア構成を図示していないが、例えばCPU、ROM、RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータと、後述する複数の処理機能部の各機能を発揮するための制御プログラムをROMと協働して読み出し可能に記憶した補助記憶装置と、タイマー回路等とを含んで構成されており、ROM等に格納された制御プログラムに従って、CPUがRAM等との間でデータを授受しながら所定の演算処理を実行するとともに前記制御プログラムを実行するようになっている。
このデータ処理ユニット6は、前記複数の処理機能部として、領域抽出処理部8と、X線画像生成部11と、質量算出部13と、表示データ生成部15(表示制御手段)とを含んでおり、X線検出部4からの検出情報を基に、後述するX線画像データの生成処理および物理量算出処理をそれぞれ実行する。なお、ここにいう「物理量」とは、質量や体積、面積、厚さ、長さ、幅等といった大きさや質量(重量)に関わる物理量であるが、本実施例における物理量の算出処理は一例としての質量の算出処理である。
領域抽出処理部8は、X線検出部4からの検出情報のうち一部を抽出して、少なくとも前記X線画像の背景に相当する部分を除いた質量測定領域(物理量測定領域)のX線画像をX線画像生成部11に生成させる領域抽出手段となっており、そのためのプログラムおよび作業メモリ(図示していない)を有している。
この領域抽出処理部8は図2に示すように濃度データ生成部8aおよび抽出部8bを有しており、濃度データ生成部8aは、各ワークWに対して前記ライン走査がなされるとき、X線検出部4のデータ記憶部4aに書き込まれた透過量データを基に、ワークWが無くX線透過量の値が最大でワークWによるX線吸収量がゼロとなるときに最小濃度値となり、X線透過量の値が最小でワークWによるX線吸収量が最大となるときに最大濃度値となるX線画像の濃度データを生成する。
また、領域抽出処理部8の抽出部8bは、濃度データ生成部8aからの濃度データのうち所定濃度レベル範囲となる一部の濃度データのみを抽出してX線画像の背景に相当する部分を除いた質量測定領域の濃度データを取り出すようになっており、少なくとも前記X線画像の濃度データを所定の閾値でノイズカット処理し、ワークWにX線が照射されるときの背景、本実施形態においてはワークWが載置される搬送ベルトの質量測定値がゼロとなるようにするプログラムおよび作業メモリ領域を有している。なお、ワークWが包装用容器や風袋を含む場合であって測定対象の質量にそれを含めないときには、予めその容器や風袋による影響値レベルを測定してメモリに記憶させておき、抽出部8bでその影響分をも除去する処理を施すようにしてもよい。
X線画像生成部11は、領域抽出処理部8で抽出された濃度データを所定時間毎に取り込み、各ワークWの全域分の透過量データに対応するX線画像であって、ワークWが無くX線の透過量の値が最大でワークWによるX線吸収量がゼロとなる部位で最小濃度値となり、X線の透過量の値が最小でワークWによるX線吸収量が最大となる部位で最大濃度となる各ワークWのディジタルX線画像を生成する画像生成手段となっている。
一方、質量算出部13は、濃度データ変換部13a、体積測定部13bおよび質量換算部13cを有しており、濃度データ変換部13aは、X線画像における背景の濃度値P0と、X線画像における前景(質量測定領域に対応する画像)の代表濃度P1と、等価厚画像の最大濃度Qmaxとをそれぞれ図示しない設定器から設定入力して内部の設定値メモリ(図示していない)に記憶させ、その設定値に基づいてワークWの各透過領域におけるX線画像の濃度データPから等価厚画像の濃度データQ(P)への変換処理を例えば次式〔1〕により実行するようになっている。なお、等価厚画像とは、X線の透過量データから生成される濃度データによってワークWの厚さを等価的に示すようにした画像である。
Q(P)=[{ln(P0)−ln(P)}/{ln(P0)−ln(P1)}]γ・Qmax ・・・〔1〕
ただし、Q(P):各透過領域における等価厚画像の濃度値
P0:X線画像における背景の濃度値
P :各透過領域におけるX線画像の濃度値
P1:X線画像における前景の代表濃度値
γ:補正指数値
Qmax:等価厚画像の最大濃度値
前記受光感度補正により、無搬送時(又は無搬送域)においては、X線ラインセンサ4aの前記検出素子の受光量I0はほぼN0exp(−α0・t0)に対応する一定値となるので、X線検出部4の受光感度補正によって角度θに依存しなくなった受光量I'はI'=I0exp(−α・t)と考えることができる。ここで、α・tは、X線が発生源から出てX線測定部により検出されるまでに透過した物質によるX線吸収量を直接的に示す等価厚の値であり、例えばこれを画像の濃度値に対応付けることで、X線吸収率の高い物質あるいはX線透過方向の厚さの厚い部位ほど濃度値の大きな等価厚画像を作成することができる。
そこで、前記受光量I'、I0を用い、α・tをワークの各透過領域における等価厚τとして、ワークWの等価厚τをγ乗した値J(τ)を考えると、このJ(τ)は、例えば次式〔2〕で表わすことができる。
J(τ)=(α・t)γ={ln(I0)−ln(I')}γ ・・・〔2〕
ただし、J(τ):各透過領域における等価厚画像の濃度値
I0:X線画像における背景(例えばベルト面)の受光量
I':各透過領域における受光量
γ:補正指数値
上記濃度データ変換の式〔1〕はこの式〔2〕を基に、X線画像における前景の代表濃度値を例えば代表ワークWの最大厚さに対応させることで表示部20での濃度表示能力を十分に活用できるように変形したものである。
質量算出部13の体積測定部13bは、領域抽出処理部8の抽出部8bから質量測定領域のX線画像の濃度データを取り込むことで、質量測定の対象領域についてのみ体積演算を実行するようになっており、ワークWの搬送方向の先端から後端までの毎回の走査で得られる等価厚画像の濃度データQ(P)(以下、スライスデータともいう)のうち有効なデータを合算することにより各ワークWの体積Vを算出する体積測定処理プログラムを有している。
質量算出部13の質量換算部13cは、図示しない品種パラメータファイルから読み込まれるワークWの質量換算係数λW等を記憶する係数保持メモリ領域と、体積測定された透過領域毎の体積測定値Vを予め設定された所定の換算比(変換レート)で質量単位の換算値に換算する換算処理プログラムとを有しており、体積測定部13bで体積測定された各ワークWの体積測定値Vを質量値に換算する。ここで、質量単位に換算された値をGとすれば、この換算値Gは、G=λW・Vと表わすことができる。
なお、質量算出部13に領域抽出処理部8の抽出部8bから質量測定領域のX線画像の濃度データを取り込むのでなく、X線検出部4からの検出情報より直接に等価厚画像の濃度データを算出し、そのデータから所定の閾値を用いて質量測定領域の濃度データのみを抽出するようにしてもよい。
X線画像生成部11で生成されたX線画像データおよび質量算出部13で算出された質量は、それぞれ表示データ生成部15に取り込まれ、前記質量換算処理によって質量単位に換算されたワークWの質量換算値が、あるいは更に換算前のワークWの体積測定結果が、測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力できるようになっている。
表示データ生成部15は、X線画像生成部11からのX線画像データと、質量算出部13からの各ワークWについての質量データとに基づいて、各ワークWのX線画像データと質量データとを対応付けた検査結果情報を読み出し可能に記憶するメモリ(図示していない)を内蔵しており、このメモリに記憶された検査結果情報に基づいて、各ワークWのX線画像と測定された質量を含む各ワークWの検査結果の表示画像データを生成し、ワークWの搬送ピッチに対応する所定の測定期間を単位として、各ワークWの検査結果の表示画像を例えばフラットパネルディスプレイからなる表示部20の表示画面20D上に表示させるようになっている(詳細は後述する)。
次に、その動作について説明する。
[設定時]
設定パラメータが未知の品種については、まず、X線源2の照射強度を特定する管電圧Eおよび管電流IがワークWの品種に合わせて適切なレベルに設定された後、無搬送の搬送路1上の幅員方向全域で、ベルト面のみでの各透過領域でのX線の透過量が等しい値になるようX線検出部4の検出感度が調整され、次いで、無搬送時の搬送路1のベルト面を体積測定のゼロ点基準面に設定して、X線画像の背景であるベルト面の代表濃度P0が設定されるとともに、X線画像の前景であるワークWの代表濃度P1と等価厚画像の最大濃度Qmaxとがそれぞれ設定される。
次いで、必要に応じてノイズカット閾値等が設定され、質量の知れたマスターワーク(基準ワーク)の体積測定を行なうことで、設定入力されたマスターワークの質量と測定された体積測定値とから算出されるところの質量換算係数λWが設定される。また、必要に応じて、補正指数値γの初期設定がなされる。これらの初期設定データは、搬送およびX線照射制御ユニットのメモリ又はデータ処理ユニット6内のメモリに記憶され、適宜参照される。これらの初期測定データは、品種パラメータファイルに書き込まれ、品種を指定する入力がなされたときに読み込まれることになる。
[検査・処理時]
このような設定が済んだ品種については、後述する一連の検査制御プログラムが実行され、検査対象のワークWの品種を指定する入力がなされると、必要な選択操作入力の後、X線検査が行なわれる。このX線検査においては、まず、最初に設定済みの各設定パラメータが品種パラメータファイルから読み出され、次いで、測定開始を指示する操作入力があると、搬送路1によるワークWの搬送が開始される。
次いで、ワークWの検査空間への進入が進入検知センサ3で検知されると、進入検知センサ3の検知状態の変化からワークWの長さに相当する搬送区間と、搬送方向前後に隣り合うワークWの間隔に相当する無搬送区間とがそれぞれ特定され、X線検出部4の繰り返し走査を行なうサンプリング期間が決定される。
次いで、進入検知後の所定のタイミングでX線検出部4からの検出情報の前記画像入力部への取り込みが開始され、ワークWの長さ分だけ前記単位搬送時間毎のライン走査が繰り返されるとともに、X線検出部4のデータ記憶部4bにX線ラインセンサ4aの検出素子数n個分の透過量のデータが順次格納される。そして、毎回の走査で得られたスライスデータとしてのX線画像の濃度データPのうち領域抽出処理部8で抽出された濃度データPに基づいて、質量測定領域のX線画像がX線画像生成部11により生成され、表示データ生成部15に供給される。
一方、質量算出部13の濃度データ変換部13aでは、X線画像における前景の代表濃度P1と、等価厚画像の最大濃度Qmaxとがそれぞれ読み込まれ、その設定値に基づいて、ワークWの各透過領域における等価厚画像の濃度データQ(P)への変換処理が前記式〔1〕を用いて実行された後、体積測定部13bにより、質量測定領域における複数の透過領域のそれぞれに対応する等価厚画像の濃度データQ(P)を各ワークWの全測定範囲について合算することでワーク全体の体積Vが測定される。
次いで、質量算出部13の質量換算部13cにより、体積測定部13bで測定されたワークWの体積測定値Vが予め設定された質量換算係数λW(所定の換算比)で質量単位の換算値G(G=λW・V)に換算され、ワークWの質量が測定される。
次いで、ワークWの質量換算値Gの値を表わす測定値が表示データ生成部15に供給される。
この状態において、表示データ生成部15では、X線画像生成部11により生成された質量測定領域のワークWのX線画像と、質量算出部13で算出された質量とを基に、例えば図3に一例を示すような表示画像の画像データが生成される。
同図に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、X線画像の表示窓部21と、測定された質量を表示するバーグラフ表示部22(グラフ表示要素)とが表示される。
X線画像の表示窓部21には、ワークWの体積および質量の算出に関与した質量測定領域のX線画像が各透過領域の透過量に応じた濃淡画像(例えば1024階調のグレースケール画像)として表示される。すなわち、表示データ生成部15で生成される表示データには質量測定領域外の背景画像に相当する部分の画像は含まれておらず、表示窓部21中で前記質量測定領域に対応するX線画像部分以外は、すべて表示窓部21における単なる背景画面(表示画像の無い部分)となっている。
バーグラフ表示部22は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア22aと、表示エリア22a上で予め設定された質量基準値に対応する位置に表示される質量基準値表示マーク22bと、表示エリア22aの全長が表わす質量値に対して表示エリア22aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する質量表示バー部22cと、表示エリア22a内で質量表示バー部22c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部22cとは異なる色又は模様等となる背景表示部22dと、表示エリア22aにおいて質量ゼロの位置を示すゼロ表示部22eとを含んでいる。ここで、質量表示バー部22cはゼロ表示部22eで示された表示エリア22aの図中左端からの長さを可変させることで、表示エリア22aの全長が表わす質量値に対して、前記長さの比に対応する相対的な質量値(質量比)を可変表示することができる。
図3に示すようなX線検査結果表示を終了すると、次いで新たな検査結果が発生するまで、表示状態を維持しつつ待機し、新たな検査結果が発生すると、表示画面を更新することになる。
このように、本実施形態のX線検査装置では、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報が領域抽出処理部8により抽出されることで、質量測定領域のX線画像が生成されるとともに、抽出された検出情報に基づいてワークWの大きさ又は質量に対応する物理量として質量が算出され、質量測定領域のX線画像と、測定される質量の基準値と、算出された質量を示すバーグラフ表示とが同一画面中に関連付けて表示されることから、X線画像データのうち質量測定に関与する領域のデータを有効活用して、質量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた直感的に把握容易な表示を行なうことができる。
なお、上述した実施形態においては、質量測定を行なうX線検査装置において、物理量である質量を算出するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、ワークWの体積、厚さ、面積、長さといった物理量を算出するものであってもよく、このような物理量の算出値をX線画像と関連付けて表示することでも、その物理量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた直感的に把握容易な表示を行なうことができる。
例えば、体積の場合、質量算出部13の体積測定部13bは、領域抽出処理部8の抽出部8bから質量測定領域のX線画像の濃度データを取り込むことで、質量測定の対象領域についてのみ体積演算を実行するようになっているが、その体積測定結果を測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力することができる。
また、厚さの場合、厚さが知れたマスターワークの等価厚画像の濃度を測定して、等価厚画像濃度から厚さへの換算値を求め、その換算値と各ワークWの等価厚画の像濃度データとに基づいて画素(透過領域)毎の厚さを算出し、物理量としての厚さは、各ワークWの物理量測定領域全体の平均値又は最大値として求める。そして、求めた厚さを測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力することができる。
面積の場合、面積が知れたマスターワークの等価厚画像の画素数(透過領域の数)を測定して、画素数から面積への換算値を求め、その換算値と各ワークWの等価厚画像の画素数とに基づいて各ワークWの面積を算出し、求めた面積を測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力することができる。あるいは、搬送速度(例えば毎秒400mm)を走査速度(単位時間当たりの走査回数;例えば毎秒1000回)で除算した値、すなわち走査1回当たりの搬送距離(例えば0.4mm)と、X線ラインセンサ4aの素子ピッチ(例えば、0.4mm)にX線源2からワークWまでの距離(例えば480mm)とX線源2からX線ラインセンサ4aまでの距離(例えば500mm)との比率を乗じて得られる値(例えば0.384mm)を掛けて、ワークWの各透過領域の面積を求め、物理量測定領域として抽出された複数の透過領域の数を掛け合わせることでも、有効な面積が得られる。
長さの場合、長さ(寸法)が知れたマスターワークの等価厚画像の搬送方向の画素数(長さ)と搬送路幅員方向の画素数(幅)を測定して等価厚画像の長さから実際の長さへの換算値を求め、その換算値と各ワークWの等価厚画像の搬送方向の画素数および搬送路幅員方向の画素数とから各方向への長さを算出し、求めた長さを測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力することができる。また、搬送方向の長さは、搬送速度を走査速度で除算した値、すなわち走査1回当たりの搬送距離(例えば0.4mm)にワークWの等価厚画像の搬送方向の画素数をかけて算出し、搬送幅方向の長さ(幅)は、X線ラインセンサ4aの素子ピッチ(例えば、0.4mm)にX線源2からワークWまでの距離(例えば480mm)とX線源2からX線ラインセンサ4aまでの距離(例えば500mm)との比率を乗じて得られる値(例えば0.384mm)に搬送路幅方向の画素数を掛けて算出することができる。そして、求めた長さや幅を測定すべき物理量として当該ワークWのX線画像と共に表示部20に出力することができる。
また、上述した実施形態においては、バーグラフ表示部22が測定される質量の基準値を示すと共に、表示エリア22aの全長が表わす質量値に対して表示エリア22aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する質量表示バー部22cを有するものであったが、本発明のグラフ表示要素はこのようなバーグラフに限定されるものでないことはいうまでもない。
例えば、バーグラフ表示部22の表示内容に代えて、図4(a)〜図4(d)のいずれかに示すような変形態様のバーグラフ表示部の表示内容とすることができる。
図4(a)に示すバーグラフ表示部23(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア23aと、表示エリア23a上で予め設定された質量基準値に対応する位置に表示される基準値表示マーク23bと、表示エリア23aの全長が表わす質量値に対する質量測定値(質量算出値)の比に対応する距離だけ表示エリア23aの一端から離隔する質量表示位置に表示されることで質量測定値を可変表示する図中上下方向(バーと直交する方向)の指示針部23cと、表示エリア23a内で指示針部23c以外の部分であることを示すよう指示針部23cとは異なる色又は模様(目盛りを含む)等となる背景表示部23dと、表示エリア23aにおいて質量ゼロの位置を示すゼロ表示部23eとを含んでいる。この場合、バーグラフ表示部23を注視した場合でも前回の測定結果表示の残像の影響を受けずに基準値に対する質量の過不足を質量比で容易に読み取ることができる。
図4(b)に示すバーグラフ表示部24(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア24aと、表示エリア24a上で予め設定された質量基準値に対応する位置に表示される基準値表示マーク24bと、表示エリア24aの全長が表わす質量値に対して表示エリア24aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する質量表示バー部24cと、表示エリア24a内で質量表示バー部24c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部24cとは異なる色又は模様等となる背景表示部24dと、表示エリア24aにおいて質量ゼロの位置を示すゼロ表示部24eとを含んでいる。なお、質量表示バー部24cは表示エリア24aより幅が狭くなっているが、その幅の比は任意である。すなわち、質量表示バー部24cは視認に適したある程度の幅を有するのであり、表示エリア24aより幅が広くとも狭くともよい。この場合、背景表示部24dとの色や模様、明るさ等の組合せで質量表示バー部24cを明確に表示できるとともに、背景表示部24dに質量許容範囲の色分け表示を行なったり目盛りを付けたりすることが容易にできる。
図4(c)に示すバーグラフ表示部25(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さで、かつ、長さ方向中央部より一端側では端部側ほど図中下方側に階段状に幅広となり、長さ方向中央部より他端側では端部側ほど図中上方側に階段状に幅広となる表示エリア25aと、表示エリア25a上の長さ方向中央部付近で予め設定された質量基準値の位置を示すよう他の部分とは異なる色又は模様で表示される基準値表示マーク部25bと、表示エリア24aの全長が表わす質量値に対して表示エリア25aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する質量表示バー部25cと、表示エリア25a内で質量表示バー部25c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部25cとは異なる色又は模様等となる背景表示部25dとを含んでいる。なお、表示エリア25aは複数の表示素子を並設して各素子毎にセグメント化した上下向きの長方形の表示エリア区分を割り当てたものとなっている。この場合、質量算出値が変化すると、質量表示バー部25cが長さ方向のみでなくバーの幅方向(図中上下方向)にも変化するので、質量値の変化(増加、減少)をより把握し易い表示となる。しかも、形状のくびれた部位が長さ方向のみでなくバーの幅方向(図中上下方向)でも基準点として特定し易いので、基準値との対応付けも明確にできる。
図4(d)に示すバーグラフ表示部26(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さで、かつ、長さ方向一端側から他端側に向けて幅広となった三角形状の表示エリア26aと、表示エリア26a上で予め設定された質量基準値の位置を示すよう表示エリア26aより上下に突出する長さと表示エリア26aとは異なる色又は模様とで表示される基準値表示マーク部26bと、表示エリア26aの全長が表わす質量値に対して表示エリア26aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する三角形状の質量表示バー部26cと、表示エリア26a内で質量表示バー部26c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部26cとは異なる色又は模様等となる背景表示部26dとを含んでいる。したがって、質量値の変化をそれより大きな面積変化で表すとともに、質量表示バー部26cの表示範囲が高さ方向にも変化するので、質量変化を把握し易い表示となる。
なお、質量表示バー部26cは、表示エリア26aの全長を等分割した質量単位毎に表示範囲を可変させるようになっている。
これらのような変形態様のバーグラフ表示を用いても、上述のように物理量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことができるX線検査装置を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図5は本発明に係るX線検査装置の第2の実施の形態を示す図であり、本発明を質量測定を行なうX線検査装置に適用した場合の一表示態様を示している。なお、本実施形態は上述の実施形態とほぼ同一のシステム構成で上述の表示内容とは異なるグラフ表示および測定値の数値表示を実行するものであるので、上述と同一又は類似の構成については図1〜図4におけると同一の参照符号を付して簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態のX線検査装置は、搬送路1、X線源2、進入検知センサ3、X線検出部4、データ処理ユニット6および表示部20を含んで構成されており、データ処理ユニット6の表示データ生成部15で生成される表示データが上述の実施形態とは相違する。
図5に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、X線画像(X線画像)の表示窓部21と、質量を表示するバーグラフ表示部32(グラフ表示要素)と、質量の測定値の数値表示部39とが表示される。
X線画像の表示窓部21には、ワークWの質量測定領域のX線画像が濃淡画像として表示される。すなわち、表示データ生成部15で生成される表示データには質量測定領域外の背景画像に相当する部分の画像は含まれておらず、質量測定領域に対応するX線画像部分以外は表示窓部21における単なる背景画面となっている。
バーグラフ表示部32は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さで、かつ、長さ方向中央部より一端側では端部側ほど図中下方側に階段状に幅広となり、長さ方向中央部より他端側では端部側ほど図中上方側に階段状に幅広となる表示エリア32aと、表示エリア32a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中下向き三角形状の下限値指示マーク32bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア32a上で下限値指示マーク32bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中上向き三角形状の上限値指示マーク32cと、下限値指示マーク32bおよび上限値指示マーク32cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア32aで表される表示範囲内で質量測定値(質量算出値)に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部32dと、表示エリア32a内で質量表示バー部32d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部32dとは異なる色又は模様等となる背景表示部32eとを含んでいる。なお、表示エリア32aは複数の表示素子を並設して各素子毎にセグメント化した上下向きの長方形の表示エリア区分32fを割り当てたもので、表示エリア32aの全長を等分割した質量単位毎に表示範囲を可変させることができる。
数値表示部39は、質量の測定値そのものを数値で表示する部分で、本実施形態においては質量値をg(グラム)数で表わしている。図5中ではその質量表示値は、115gで例示している。
このように、本実施形態においても、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報が領域抽出処理部8により抽出されることで質量測定領域のX線画像が生成されるとともに、領域抽出処理部8により抽出された検出情報に基づいてワークWの質量に対応する質量を算出する質量算出処理が実行され、質量測定領域のX線画像(図5中の表示窓部21中のワークW)と算出された質量を示すバーグラフ表示部32(グラフ表示要素)とが関連付けて表示されることから、X線画像データのうち質量測定に関与する領域のデータを有効活用して、質量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことができる。
なお、本実施形態では、バーグラフ表示部32が測定される質量の許容範囲範囲の上限地と下限値をそれぞれマーク32b、32c表示すると共に、両マーク32b、32c間の距離で表わされる質量許容範囲に対する質量測定値の相対的な位置を示すバーグラフとなっているが、このような場合、上下限値の表示態様は例えば図6に示すように変形することができる。すなわち、バーグラフ表示部32の表示内容に代えて、図6(a)〜図6(d)のいずれかに示すような変形態様のバーグラフ表示部の表示内容とすることができる。
図6(a)に示すバーグラフ表示部33(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア33aと、表示エリア33a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中下向き三角形状の下限値指示マーク33bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア33a上で下限値指示マーク33bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中上向き三角形状の上限値指示マーク33cと、下限値指示マーク33bおよび上限値指示マーク33cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア33aで表される表示範囲内で質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部33dと、表示エリア33a内で質量表示バー部33d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部33dとは異なる色又は模様等となる背景表示部33eを含んでいる。
図6(b)に示すバーグラフ表示部34(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア34aと、表示エリア34a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中上下向の線状の下限値指示マーク34bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア34a上で下限値指示マーク34bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中上下向きの線状の上限値指示マーク34cと、下限値指示マーク34bおよび上限値指示マーク34cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア34aで表される表示範囲内で質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部34dと、表示エリア34a内で質量表示バー部34d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部34dとは異なる色又は模様等となる背景表示部34eとを含んでいる。
図6(c)に示すバーグラフ表示部35(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア35aと、表示エリア35a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を表示エリア35aの下方から上向きに指し示す図中上向き三角形状の下限値指示マーク35bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア35a上で下限値指示マーク35bから離間してその質量許容範囲の上限値を表示エリア35aの上方から下向きに指し示す図中下向き三角形状の上限値指示マーク35cと、下限値指示マーク35bおよび上限値指示マーク35cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア35aで表される表示範囲内で質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部35dと、表示エリア35a内で質量表示バー部35d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部35dとは異なる色又は模様等となる背景表示部35eを含んでいる。
図6(d)に示すバーグラフ表示部36(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア36aと、表示エリア36a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中上下向の線状の下限値指示マーク36bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア36a上で下限値指示マーク36bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中上下向きの線状の上限値指示マーク36cと、下限値指示マーク36bおよび上限値指示マーク36cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア36aで表される表示範囲内で質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部36dと、表示エリア36a内で質量表示バー部36d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部36dとは異なる色又は模様等となる背景表示部36eとを含んでいる。ここで、下限値指示マーク36bおよび上限値指示マーク36cは、表示エリア36aの幅を超える長さを有し、その両端は表示エリア36aの上下に突出している。
図6(e)に示すバーグラフ表示部37(グラフ表示要素)は、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア37aと、表示エリア37aの長さ方向所定の2つの位置における形状変化で示された質量許容範囲の下限値37bおよび上限値表示部37cと、下限値指示マーク37bおよび上限値指示マーク37cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア37aで表される表示範囲内で質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部37dと、表示エリア37a内で質量表示バー部37d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部37dとは異なる色又は模様等となる背景表示部37eとを含んでいる。ここで、表示エリア37aは、前記質量許容範囲の下限値表示部37bおよび上限値表示部37cの間では一定幅となり、その許容範囲から外れるより端部側では一定幅部分より幅広となる形状を有している。また、表示エリア37aは、下限値表示部37bより小さい質量値を示す一端(図中左端)側では幅方向一方(図中下方)側に幅広となり、上限値表示部37cより大きい質量値を示す他端(図中右端)側では幅方向他方(図中上方)側に幅広となっている。
これらのような変形態様のバーグラフ表示を用いても、上述のように質量測定結果を、その許容範囲を明確にしつつ、対応するX線画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことができるX線検査装置を提供することができる。
[第3の実施の形態]
図7は本発明に係るX線検査装置の第3の実施の形態を示す図であり、本発明を質量測定を行なうX線検査装置に適用した場合の一表示態様を示している。なお、本実施形態は上述の実施形態と類似するシステム構成で上述の表示内容とは異なるX線画像表示およびグラフ表示を実行するものであるので、上述と同一又は類似の構成については図1〜図6におけると同一の参照符号を付して簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態のX線検査装置は、搬送路1、X線源2、進入検知センサ3、X線検出部4、データ処理ユニット6および表示部20を含んで構成されており、X線画像生成部11で生成されるX線画像、質量算出部13での質量測定の単位(測定単位となる質量測定領域)、およびデータ処理ユニット6の表示データ生成部15で生成される表示データがそれぞれ上述の実施形態とは相違する。また、領域抽出処理部8は、ワークWの質量測定領域を複数の区画である3区画A、BおよびCに分割し、画像生成手段としての自機能にこれら3区画A〜CのそれぞれのX線画像を生成させる領域分割手段の機能を併有しており、領域抽出処理部8が区画A〜Cの各々について所定検出レベル範囲の検出情報を抽出し、質量算出部13がその各区画毎の抽出された検出情報に基づいて各区画毎の質量を算出するようになっている。
具体的には、本実施形態においては、ワークWが独立した複数、例えば3つの内容物W1、W2およびW3で構成されており、それに対応して、ワークWの質量測定領域が内容物に対応する3区画A、BおよびC(複数の検査区画)に分割されている。そして、質量測定領域の各区画A、B、Cがそれぞれ上述した各実施形態における質量測定領域と同様に扱われる。
図7に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、X線画像の表示窓部21と、測定された質量をグラフ表示するグラフ表示部42(グラフ表示要素)とが表示されるが、ワークWが独立した複数の内容物W1、W2およびW3で構成され、質量測定領域が各内容物毎の3区画A、BおよびCに分割されているのに対応して、表示窓部21もこれら質量測定領域の3区画A〜Cの面積および相対位置に対応する面積と相対位置関係を有する3つの表示エリア21a、21bおよび21cに区画されている。これら表示エリア21a〜21cには、それら質量測定領域の区画名が、例えば内容物W1、W2およびW3にそれぞれ近接する「A」、「B」および「C」等の文字で表示される。
また、各表示エリア21a、21b又は21cにおいては、上述の実施形態と同様に、表示データ生成部15で生成される表示データには図中ハッチングで示す各区画A、B又はC(質量測定領域)の外の背景画像に相当する部分の画像は含まれておらず、質量測定領域に対応するX線画像部分以外は表示窓部21の表示エリア21a〜21cにおける単なる背景画面となっている。
一方、グラフ表示部42は、表示エリア21a、21bおよび21cに対応し並列して設けられた複数、例えば3つのバーグラフ表示部分43、44および45(グラフ表示要素)と、これらバーグラフ表示部分43〜45の表示内容に対応する質量測定領域の区画名「A」〜「C」等の文字を表示する区画名表示部分46とを含んで構成されている。なお、質量測定結果を示す複数のグラフ表示要素の関連付けは、例えば同一の検査区画表示符号や色、模様若しくはそれらの組み合わせを用いることでも可能である。
バーグラフ表示部分43〜45は、それぞれ一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さ(全長の示す質量値はワーク構成要素W1、W2、W3の基準の質量に対し一定倍率(1より大きい)を掛けた値)のバー状の表示エリア43a、44aおよび45aと、それぞれ表示エリア43a〜45a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中上下向の線状の下限値指示マーク43b、44bおよび45bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア43a〜45a上で下限値指示マーク43b〜45bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中上下向きの線状の上限値指示マーク43c、44cおよび45cと、下限値指示マーク43b〜45bおよび上限値指示マーク43c〜45cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア43a〜45aで表される表示範囲内でそれぞれ質量測定値に相当する位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部43d、44dおよび45dと、表示エリア43a〜45a内で質量表示バー部43d〜45d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部43d〜45dとは異なる色又は模様等となる背景表示部43e、44eおよび45eとを含んでいる。
検査時には、ワークWの検査空間への進入が進入検知センサ3で検知されると、進入検知センサ3の検知状態の変化からワークWの各内容物W1〜W3の搬送区間と、搬送方向前後に隣り合う無搬送区間とがそれぞれ特定され、X線検出部4の繰り返し走査を行なうサンプリング期間が決定される。
次いで、進入検知後の所定のタイミングでX線検出部4からの検出情報の前記画像入力部への取り込みが開始され、ワークWの各内容物W1〜W3についてその長さ分だけ前記単位搬送時間毎のライン走査が繰り返されるとともに、X線検出部4のデータ記憶部4bに各内容物W1〜W3についての透過量のデータが順次格納される。そして、毎回の走査で得られた各内容物W1〜W3についてのスライスデータとしてのX線画像の濃度データPのうち領域抽出処理部8で抽出された濃度データPに基づいて、各内容物W1〜W3についてのX線画像がX線画像生成部11により生成され、これらを表示するための表示エリア21a、21bおよび21cを図7に示すような配置で統合するようディジタル合成した統合X線画像が表示データ生成部15に供給される。
一方、質量算出部13の濃度データ変換部13aでは、各表示エリア21a、21b、21cのX線画像における前景(質量測定領域に対応する)の代表濃度P1と、等価厚画像の最大濃度Qmaxとがそれぞれ読み込まれ、その設定値に基づいて、ワークWの各透過領域における等価厚画像の濃度データQ(P)への変換処理が前記式〔1〕を用いて実行された後、体積測定部13bにより、複数の透過領域のそれぞれに対応する等価厚画像の濃度データQ(P)を質量測定領域の各区画A、B、C毎に合算することで、ワークWの各内容物W1、W2、W3の各体積値Vがそれぞれ算出される。
次いで、質量換算部13cにより、体積測定部13bで測定されたワークWの内容物W1〜W3の各体積測定値Vが予め内容物毎に設定された質量換算係数λW(所定の換算比)で質量単位の換算値G(G=λW・V)に換算され、ワークWの内容物W1〜W3の質量がそれぞれ算出される。
次いで、ワークWの内容物W1〜W3の質量換算値を表わす3つの測定値データが表示データ生成部15に供給される。
この状態において、表示データ生成部15では、X線画像生成部11により生成されたワークWの質量測定領域の前記統合X線画像と、質量算出部13で算出された複数の質量の値とを基に、例えば図7に一例を示すような表示画像の画像データが生成され、表示部20の表示画面20D上に表示される。
このように、本実施形態においては、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報がワークWの内容物毎に領域抽出処理部8により抽出されることで質量測定領域のX線画像がワークWの内容物毎に独立して生成されるとともに、領域抽出処理部8により抽出された検出情報に基づいてワークWの質量がワークWの内容物W1、W2、W3毎に算出され、質量測定領域のX線画像(図7中の表示窓部21中の内容物W1、W2、W3)と、算出されたそれぞれの質量を示すグラフ表示部42のバーグラフ表示部分43、44および45とが質量測定領域の区画名A、B、Cでそれぞれ関連付けて表示されることから、複数の検査区域の各区域毎に、質量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことが可能となり、ワークWの内容物が複数個若しくは複数種類ある場合にも、各内容物の質量測定値と対応するX線画像を関連付けた表示が可能となる。
[第4の実施の形態]
図8は本発明に係るX線検査装置の第4の実施の形態を示す図であり、本発明を質量測定を行なうX線検査装置に適用した場合の一表示態様を示している。なお、本実施形態は上述の実施形態と類似するシステム構成で上述の表示内容とは異なるX線画像表示およびグラフ表示を実行するものであるので、上述と同一又は類似の構成については図1〜図7におけると同一の参照符号を付して簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態のX線検査装置は、搬送路1、X線源2、進入検知センサ3、X線検出部4、データ処理ユニット6および表示部20を含んで構成されており、X線画像生成部11で生成されるX線画像およびデータ処理ユニット6の表示データ生成部15で生成される表示データがそれぞれ上述の実施形態とは相違する。
図8に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、ワークWのX線画像を表示する表示窓部21と、ワークWのX線射影画像を表示する追加の表示窓部28と、測定された質量をその測定値で表示する数値表示部39と、測定された質量を縦向きのバーで表示するバーグラフ表示部48(グラフ表示要素)とがそれぞれ配置される。
X線射影画像の表示窓部28には、例えばワークWの短手方向中央部の透過領域に対応するワークWの部分体積(厚さ)が、あるいは、ワークWの長手方向(搬送方向)各位置の複数の透過領域のうち最大の部分体積(厚さ)を有する透過領域のその部分体積値が、ワークWの質量測定領域の長手方向全域に亘って縦棒線でそれぞれ表示され、ワークWを長手方向にスライスした場合の長手方向各位置の部分体積若しくはそれに対応する部分質量、あるいは、ワークWの長手方向各位置における最大部分体積若しくはそれに対応する部分質量を比較参照できるようになっている。
また、バーグラフ表示部48には、X線射影画像の表示窓部28に縦棒線で表示された複数の透過領域の質量測定値(又はそれに比例する等価厚)の平均値、あるいは、ワークWの質量測定領域全域の透過領域毎の質量測定値の平均値が、縦向きのバーで表示されるようになっている。
このバーグラフ表示部48は、一定の質量範囲に相当する上下方向一定長さのバー状の表示エリア48aと、表示エリア48a上の長さ方向所定位置で予め設定された質量許容範囲の下限値を示す図中左右方向の線状の下限値指示マーク48bと、予め設定された質量許容範囲分だけ表示エリア48a上で下限値指示マーク48bから離間してその質量許容範囲の上限値を示す図中左右方向の線状の上限値指示マーク48cと、下限値指示マーク48bおよび上限値指示マーク48cで表わされる質量許容範囲に対し表示エリア48aで表される表示範囲内でそれぞれ質量測定値に相当する上端位置を可変側表示端として質量測定値を可変表示する質量表示バー部48dと、表示エリア48a内で質量表示バー部48d以外の部分であることを示すよう質量表示バー部48dとは異なる色又は模様等となる背景表示部48eとを含んでいる。
本実施例では、質量算出部13は、上述の実施形態と同様にワークWの各透過領域におけるX線画像の濃度データPから等価厚画像の濃度データQ(P)への変換処理を例えば前記式〔1〕により実行してワークWの質量測定領域全体の体積Vおよびそれに対応する質量値Gを算出および出力するのみでなく、ワークWの短手方向中央部(搬送路幅員方向の所定位置)の透過領域に対応するワークWの複数の部分体積値(厚さ)を、あるいは、ワークWの長手方向各位置の複数の透過領域のうち最大の部分体積(厚さ)を有する透過領域の長手方向全域分の複数の部分体積値をも、それぞれ表示データ生成部15に出力することになる。
そして、表示データ生成部15では、ワークWの全体のX線画像の表示データと、ワークWの短手方向中央部の透過領域に対応するワークWの複数の部分体積値、あるいは、ワークWの長手方向各位置の複数の透過領域のうち最大の部分体積を有する透過領域の長手方向全域分の複数の部分体積値を縦棒線でそれぞれ表示するX線射影画像の表示データとをそれぞれ生成し、これらの画像を図8に示したような画面形態で表示部20の表示画面20D上に表示させる。
本実施形態においても、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報が領域抽出処理部8により抽出されることで質量測定領域のX線画像が生成されるとともに、領域抽出処理部8により抽出された検出情報に基づいてワークWの質量を算出する質量算出処理が実行され、図8中の表示窓部21中に示すようなワークWの質量測定領域のX線画像と、図8中の追加の表示窓部28中に示すようなX線射影画像と、算出された質量を示すバーグラフ表示部48(グラフ表示要素)とが相互に関連付けて表示されることから、X線画像データのうち質量測定に関与する領域のデータを有効活用して、質量測定結果をそれに対応するX線画像およびX線射影画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことができる。特に、質量の基となる体積のX線射影画像に並べて、質量を示すバーグラフを縦方向に表示しているので、全体質量に対するワークWの長手方向の質量のばらつきを容易に推定することができる。
[第5の実施の形態]
図9および図10は本発明に係るX線検査装置の第5の実施の形態を示す図であり、本発明を質量測定および異物検出を行なうX線検査装置に適用した形態を示している。なお、本実施形態において上述と同一又は類似の構成については図1〜図8におけると同一の参照符号を付して簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態のX線検査装置は、図9に示すように、搬送路1、X線源2、進入検知センサ3、X線検出部4、データ処理ユニット16および表示部20を含んで構成されており、データ処理ユニット16の構成およびそこで生成されるデータ、並びに表示データ生成部15で生成される表示データがそれぞれ上述の実施形態とは相違する。
データ処理ユニット16は、上述した実施形態のデータ処理ユニット6と同様にマイクロコンピュータ等で構成されており、その複数の処理機能部として、領域抽出処理部8、X線画像生成部11、質量算出部13および表示データ生成部15を含んでいるのに加えて、品質状態判定部12(異物判定手段)と、質量判定部14(物理量判定手段)とを含んでいる。そして、X線画像生成部11および品質状態判定部12によって品質検査部17が、質量算出部13および質量判定部14によって質量測定部18がそれぞれ構成されている。
このデータ処理ユニット16は、X線検出部4からの検出情報を基に、X線画像データの生成処理および質量算出処理をそれぞれ実行して表示データ生成部15に出力するとともに、品質状態判定部12と質量判定部14とからワークWの品質に関わる判定結果と質量合否判定結果(質量測定値が許容範囲内か否かの判定結果)とを表示データ生成部15に出力するようになっている。そして、表示データ生成部15では、例えば図10に示すように、ワークWの品質に関わる判定結果と質量合否判定結果とのうち少なくとも一方を含む表示データが予めの表示モード設定入力に応じて生成される。
具体的には、品質状態判定部12は、ワークW内への異物混入の有無を判定するようになっており、例えば、質量算出部13の濃度データ変換部13aで変換処理されたスライスデータ毎の等価厚画像の濃度データQ(P)、あるいは、さらにワークWの全透過領域の等価厚画像の濃度データQ(P)のうち、近接する複数の透過領域間における濃度データQ(P)の急峻な変化を見出すための微分処理等を施して、ワークWの全透過領域中における異物候補点の透過領域を特定し、その候補点についてX線吸収量が所定のしきい値を超えるか否かを判定して異物の有無を判定するようになっている。そして、この品質状態判定部12は、異物有無判定の判定結果並びに異物有と判定された透過領域の等価厚画像上の位置データ等を表示データ生成部15に出力するようになっている。
また、質量判定部14は、質量算出部13の質量換算部13cで換算されたワークWの体積測定値の質量換算値Gが所定の質量許容範囲内にあるか否かで質量測定結果の合否を判定するプログラムを内蔵しており、各ワークW毎の質量合否判定情報をワークWの質量換算値と共に表示データ生成部15に出力するようになっている。
なお、本実施形態では、領域抽出処理部8が質量算出部13の濃度データ変換部13aと同様の濃度データ変換部(図示していない)を有し、X線画像生成部11がその濃度データ変換部で変換処理され領域抽出されたスライスデータ毎の等価厚画像の濃度データQ(P)を基に、等価厚画像を作成できるようして、質量算出部13の濃度データ変換部13aを無くし、領域抽出処理部8の濃度データ変換部から体積測定部13bに濃度変換されたデータを取り込むよう構成することができる。
また、質量算出部13の体積測定部13bで、品質状態判定部12での異物混入判定結果に応じて、異物混入有りと判定された場合に、対応する透過領域の等価厚画像の濃度データQ(P)を一旦除去し、その周囲の透過領域の等価厚画像の濃度データQ(P)を用いて当該除去した等価領域についてのデータの補間処理(例えば直線補間)を行なって、異物による体積および質量計測への影響を軽減するように構成することができる。
表示データ生成部15では、X線画像生成部11からの各ワークWのX線画像のデータ、質量算出部13からの各ワークWの質量算出値のデータ、品質状態判定部12からの各ワークWの異物有無判定の判定結果等、並びに質量判定部14からの各ワークWの質量合否判定情報等を基に、表示データを生成して、表示部20の表示画面20D上に表示させる。
図10は、その表示画面での検査結果表示の一例を示している。
同図に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、X線画像の表示窓部21と、測定された質量を表示するバーグラフ表示部22(グラフ表示要素)と、品質判定結果の表示部51と、質量判定結果の表示部56とが配置される。
X線画像の表示窓部21には、ワークWの体積および質量の算出に関与した質量測定領域のX線画像が各透過領域の透過量に応じた濃淡画像(例えば1024階調のグレースケール画像)として表示され、異物ありと判定されたときには、その異物Fの部分が例えば強調表示される。表示データ生成部15で生成される表示データには質量測定領域外の背景画像に相当する部分の画像は含まれておらず、表示窓部21中で前記質量測定領域に対応するX線画像部分以外は、すべて表示窓部21における単なる背景画面(表示画像の無い部分)となっている。
バーグラフ表示部22の構成は、上述した第1の実施形態とほぼ同一であるが、本実施形態においては、質量測定値が予め設定された許容範囲から外れていると判定されたとき、質量表示バー部22cが通常とは異なる表示色又は模様で表示されるようになっている。
また、本実施形態における品質判定結果の表示部51および質量判定結果の表示部56は、例えば異物有無判定の結果、異物有りと判定されれば、表示部51に「異物NG」との表示がなされ、異物無しと判定されれば、「異物NG」の文字表示が表示部51から消える(消灯でもよい)ようになっている。また、質量判定の結果、質量測定値が予め設定された許容範囲から外れていれば、表示部56に「質量NG」の文字表示がなされ、質量は許容範囲内と判定されれば、表示部56から「質量NG」の文字表示が画面上から消える(消灯でもよい)ようになっている。表示部56における「質量NG」の文字表示の点灯・消灯と、質量表示バー部22cの表示色又は模様の切り替えは、同一のタイミングで行なわれる。
図10に示すようなX線検査結果表示を一度実行すると、次いで新たな検査結果が発生するまで、表示状態を維持しつつ待機し、新たな検査結果が発生すると、表示画面を更新することになる。
このように、本実施形態のX線検査装置でも、上述の実施形態と同様に、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報が領域抽出処理部8により抽出されることで、質量測定領域のX線画像が生成されるとともに、抽出された検出情報に基づいてワークWの大きさ又は質量に対応する質量が算出され、質量測定領域のX線画像と、測定される質量の基準値および算出された質量を示すバーグラフ表示とが同一画面中に関連付けて表示されることから、X線画像データのうち質量測定に関与する領域のデータを有効活用して、質量測定結果をそれに対応するX線画像と関連付けた直感的に把握容易な表示を行なうことができる。
しかも、本実施形態では、X線検出部4からの検出情報に基づいてワークW中における異物の有無を判定する品質状態判定部12の判定結果や質量が許容範囲内か否かを判定する質量判定部14の判定結果を受けて、表示部20にそれらの判定結果のいずれかがNGとなった場合に、その判定判定結果と測定された質量を示すバーグラフ表示部22とを共に同一画面上に表示させるので、ワーク中における異物有無の判定結果がグラフ表示要素で表示された質量と共に容易に把握可能となる。
なお、本実施形態においては、品質検査を異物有無検査としたが、欠品検査や形状検査、その他X線透過量の分布から把握できる各種の品質検査項目であってもよいことはいうまでもない。
また、各ワークW毎の質量判定結果と品質検査結果を合格時にも行なうようにして同時に表示するようにもでき、そのような表示と上述した表示を行なうモードとの切り換えは表示モード設定入力によって行なうことができる。
さらに、本実施形態のX線検査装置では、質量が許容範囲内か否かの判定と異物有無検出とを常時行なうものとして説明したが、図示しないモード選択手段によって、あるいは、バーグラフ表示部における質量許容範囲の表示の有無に応じて、質量が許容範囲内か否かの判定を選択的に行なうようにできることは勿論であるし、質量判定部を省略して判定部を品質状態判定部12のみとする構成も採用できる。
図11〜図14は、そのような異物判定結果のみを表示する表示部20の表示画面20Dの変形態様の説明図である。図11に示す表示画面20Dでは、判定結果の表示部52に、例えば異物有無判定の結果が異物有りであれば「NG」との表示がなされ、異物無しの判定結果であれば「NG」の文字表示が表示部52から消える(消灯でもよい)ようになっており、質量判定の結果は、質量NGとなれば表示部52の背景表示色を例えば橙色に切り換える。
また、数値表示部59は、品種毎のマスターワーク(基準となるワーク)の質量に対する検査中のワークWの質量算出値の質量比(=体積比)をパーセント表示するものである。この場合、質量の許容範囲もマスターワークの質量(基準値)に対する許容比率で指定され、測定値もパーセント(%)単位となる。なお、同図に示すX線画像の表示窓部21は、第5の実施形態のそれと同一のものであり、バーグラフ表示部32は第2の実施形態のそれと同一のもので、質量NGとなれば表示バー32dが通常とは異なる表示色又は模様で表示されるようになっている。
図12に示す表示画面20Dでは、判定結果の表示部53には、例えば異物有無判定の結果が異物有りであれば、その表示枠53a内に異物有りを示す破裂した星形のマーク(例えば赤色)が表示され、異物無しの判定結果であればそのマークが表示部53から消える(消灯でもよい)ようになっており、質量判定の結果は例えば質量測定値が予め設定された許容範囲から外れていると判定されたとき、質量表示バー部24c又は背景表示部24dが通常とは異なる表示色又は模様で表示されるようになっている。なお、同図に示すX線画像の表示窓部21は、第5の実施形態のそれと同一のものであり、バーグラフ表示部24は第1の実施形態の変形態様のバーグラフ表示部と同一であり、数値表示部39は第2の実施形態のそれと同一のものである。
図13に示す表示画面20Dでは、判定結果の表示部54には、例えば異物有無判定の結果が異物有りであれば、バーグラフ表示部61内に異物有りを示す「NG」の文字が表示され、異物無しの判定結果であればその「NG」の文字がバーグラフ表示部61内から消えるようになっており、質量判定の結果はバーグラフ表示部61内の表示色又は模様の変化で表わされる。
バーグラフ表示部61は、第1実施形態のバーグラフ表示部22と類似のもので、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア61aと、表示エリア61a上で予め設定された質量基準値に対応する位置に表示される基準値表示マーク61bと、表示エリア61aの全長が表わす質量値に対して表示エリア61aとの長さの比で質量測定値(質量算出値)を可変表示する質量表示バー部61cと、表示エリア61a内で質量表示バー部61c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部61cとは異なる色又は模様等となる背景表示部61dと、表示エリア61aにおいて質量ゼロの位置を示すゼロ表示部61eとを含んでいる。なお、図13に示すX線画像の表示窓部21は、第5の実施形態のそれと同一のものであり、数値表示部39は第2の実施形態のそれと同一のものである。
図14に示す表示画面20Dでは、判定結果の表示部は、専用には設けられておらず、バーグラフ表示部71の外周輪郭部を警告色(例えば赤色)で点滅表示させるようになっている。すなわち、例えば異物有無判定の結果が異物有りであれば、バーグラフ表示部71の表示エリア71aの輪郭線である長方形の線の一部又は全部が、前記警告色で点滅表示され、異物無しの判定結果であればその点滅表示がされないようになっており、質量判定の結果はバーグラフ表示部61内の表示色又は模様の変化で表わされる。
バーグラフ表示部71は、第1実施形態のバーグラフ表示部22と類似のもので、一定の質量範囲に相当する左右方向一定長さのバー状の表示エリア71aと、表示エリア71a上で予め設定された質量基準値に対応する位置に表示される基準値表示マーク71bと、表示エリア71aの全長が表わす質量値に対して表示エリア71aとの長さの比で質量測定値を可変表示する質量表示バー部71cと、表示エリア71a内で質量表示バー部71c以外の部分であることを示すよう質量表示バー部71cとは異なる色又は模様等となる背景表示部71dと、表示エリア71aにおいて質量ゼロの位置を示すゼロ表示部71eとを含んでいる。なお、同図に示すX線画像の表示窓部21は、第5の実施形態のそれと同一のものであり、数値表示部39は第2の実施形態のそれと同一のものである。
[第6の実施の形態]
図15は本発明に係るX線検査装置の第6の実施の形態を示す図であり、本発明を質量測定および異物検出を行なうX線検査装置に適用した場合の一表示態様を示している。なお、本実施形態は上述の第4、第5の実施形態と類似するシステム構成であるので、上述と同一又は類似の構成については図8〜図14おけると同一の参照符号を付して簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態のX線検査装置は、搬送路1、X線源2、進入検知センサ3、X線検出部4、データ処理ユニット16および表示部20を含んで構成されており、データ処理ユニット16のX線画像生成部11で生成されるX線画像および表示データ生成部15で生成される表示データがそれぞれ上述の実施形態とは相違する。
図15に示すように、本実施形態では、表示部20の表示画面20D上に、ワークWのX線画像を表示する表示窓部21と、ワークWのX線射影画像を表示する追加の表示窓部28と、測定された質量、例えば質量をその測定値で表示する数値表示部39と、測定された質量、例えば質量を縦向きのバーで表示するバーグラフ表示部48とがそれぞれ配置されるとともに、判定結果の表示部55が配置されている。
表示窓部21、X線射影画像の表示窓部28、バーグラフ表示部48は、それぞれ図8に示した第4の実施形態のそれらと同一の画面構成であるが、異物混入時の表示データに異物を表示する要素(図15の表示窓部21、28中のF)が含まれる点が相違する。X線射影画像の表示窓部28に縦棒線で表示された複数の透過領域の質量測定値の平均値、あるいは、ワークWの質量測定領域の全範囲の透過領域の質量測定値の平均値が、バーグラフ表示部48に縦向きのバーで表示される点等は同一である。
本実施形態においても、X線検出部4からの検出情報のうち質量測定領域に対応する一部の検出情報が領域抽出処理部8により抽出されることで質量測定領域のX線画像が生成されるとともに、領域抽出処理部8により抽出された検出情報に基づいてワークWの質量に対応する質量を算出する質量算出処理が実行され、図15中の表示窓部21中に示すようなワークWの質量測定領域のX線画像と、図15中の追加の表示窓部28中に示すようなX線射影画像と、算出された質量を示すバーグラフ表示部48(グラフ表示要素)とが相互に関連付けて表示され、更に、判定結果の表示部55に異物有無判定結果が表示されることから、X線画像データのうち質量測定に関与する領域のデータを有効活用して、質量測定結果をそれに対応するX線画像およびX線射影画像と関連付けた把握容易な表示を行なうことができる。特に異物混入時にX線射影画像には異物Fの影響の大きい等価厚部分が図15に示すように突出して表示されるとともに、異物NG表示がなされることで、判定結果の内容把握を即座に視認することができる。