JP2015153658A - 非水電解質二次電池および該電池用の負極 - Google Patents
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Abstract
【課題】負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い(高耐久な)負極を製造すること。
【解決手段】ここで開示される負極の製造方法は、(1)第1の負極活物質含む下層形成用スラリー12と、第2の負極活物質を含む上層形成用スラリー14とを調製すること;(2)下層形成用スラリー12を負極集電体1上に塗工し、該スラリー上に重ねて上層形成用スラリー14を塗工すること;(3)上記2種類のスラリーを同時に乾燥すること;を包含する。第1の負極活物質および第2の負極活物質としては、第1の負極活物質のBET比表面積S1と第2の負極活物質のBET比表面積S2とが、S1<S2を満たすものを使用する。また、下層形成用スラリー12および上層形成用スラリー14は、下層形成用スラリー12の25℃における粘度V1と上層形成用スラリー14の25℃における粘度V2とが、V1<V2となるよう調整する。
【選択図】図1
【解決手段】ここで開示される負極の製造方法は、(1)第1の負極活物質含む下層形成用スラリー12と、第2の負極活物質を含む上層形成用スラリー14とを調製すること;(2)下層形成用スラリー12を負極集電体1上に塗工し、該スラリー上に重ねて上層形成用スラリー14を塗工すること;(3)上記2種類のスラリーを同時に乾燥すること;を包含する。第1の負極活物質および第2の負極活物質としては、第1の負極活物質のBET比表面積S1と第2の負極活物質のBET比表面積S2とが、S1<S2を満たすものを使用する。また、下層形成用スラリー12および上層形成用スラリー14は、下層形成用スラリー12の25℃における粘度V1と上層形成用スラリー14の25℃における粘度V2とが、V1<V2となるよう調整する。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質を備えた二次電池(非水電解質二次電池)に関する。詳しくは、該電池用の負極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、車両搭載用の高出力電源やいわゆるポータブル電源等として好ましく利用されている。
この種の電池の電極は、典型的には金属からなる集電体上に電極活物質層を備えた構成である。これに関連する先行技術文献として、特許文献1、2が挙げられる。
例えば特許文献1には、高負荷充放電サイクルにおける電荷担体の受け入れ性向上等を目的として、負極集電体上に上下2層構造の負極活物質層が固着されてなる負極が開示されている。詳しくは、負極集電体と接する第1層であって相対的に比表面積の小さな負極活物質を含む第1層と、該第1層の上に形成された第2層であって相対的に比表面積の大きな負極活物質を含む第2層と、を備えた負極が開示されている。特許文献1の段落〔0031〕等によれば、かかる負極活物質層は上下の各層を逐次的に形成することで作製し得る。すなわち、先ず、相対的に比表面積の小さな負極活物質とバインダと溶剤に分散させて第1層形成用スラリーを調製し、該スラリーを負極集電体上に塗工し溶剤を乾燥させた後、圧縮成形して第1の層を形成する。次に、相対的に比表面積の大きな負極活物質とバインダと溶剤に分散させて第2層形成用スラリーを調製し、該スラリーを上記第1層の上に塗工し溶剤を乾燥させた後、圧縮成形して第2の層を形成することで作製し得る。
例えば特許文献1には、高負荷充放電サイクルにおける電荷担体の受け入れ性向上等を目的として、負極集電体上に上下2層構造の負極活物質層が固着されてなる負極が開示されている。詳しくは、負極集電体と接する第1層であって相対的に比表面積の小さな負極活物質を含む第1層と、該第1層の上に形成された第2層であって相対的に比表面積の大きな負極活物質を含む第2層と、を備えた負極が開示されている。特許文献1の段落〔0031〕等によれば、かかる負極活物質層は上下の各層を逐次的に形成することで作製し得る。すなわち、先ず、相対的に比表面積の小さな負極活物質とバインダと溶剤に分散させて第1層形成用スラリーを調製し、該スラリーを負極集電体上に塗工し溶剤を乾燥させた後、圧縮成形して第1の層を形成する。次に、相対的に比表面積の大きな負極活物質とバインダと溶剤に分散させて第2層形成用スラリーを調製し、該スラリーを上記第1層の上に塗工し溶剤を乾燥させた後、圧縮成形して第2の層を形成することで作製し得る。
しかし、本発明者らの検討によれば、引用文献1に記載の負極作製方法では、製造条件(例えば乾燥条件)等によって第1層と第2層の境界面で密着性(接合強度)が低下し、剥離し易いことがあった。また、上記手法は工程が多く煩雑なため、生産性や作業効率、コストの観点から、より簡便な手法が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い高耐久な負極をより簡便に製造する方法を提供することにある。関連する他の目的は、かかる負極を用いてなる非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い高耐久な負極をより簡便に製造する方法を提供することにある。関連する他の目的は、かかる負極を用いてなる非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明者らは様々な角度から鋭意検討を重ねた。その結果、これを解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明により、負極の製造方法が提供される。かかる製造方法は、以下の工程:(1)第1の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる下層形成用スラリー、および、第2の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる上層形成用スラリー、を調製すること;(2)上記下層形成用スラリーを負極集電体上に塗工し、該下層形成用スラリーの上に上記上層形成用スラリーを塗工すること;(3)上記下層形成用スラリーおよび上記上層形成用スラリーを同時に乾燥すること;を包含する。これにより、負極集電体上に上下2層構造の負極活物質層が固着されてなる負極を製造することができる。
すなわち本発明により、負極の製造方法が提供される。かかる製造方法は、以下の工程:(1)第1の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる下層形成用スラリー、および、第2の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる上層形成用スラリー、を調製すること;(2)上記下層形成用スラリーを負極集電体上に塗工し、該下層形成用スラリーの上に上記上層形成用スラリーを塗工すること;(3)上記下層形成用スラリーおよび上記上層形成用スラリーを同時に乾燥すること;を包含する。これにより、負極集電体上に上下2層構造の負極活物質層が固着されてなる負極を製造することができる。
かかる製造方法によれば、上下層の境界面におけるバインダ濃度を高めることができる。そして、該境界面のバインダ濃度を最大として、負極活物質層の厚み方向(負極集電体方向および負極活物質層の表面方向)に連続的にバインダ濃度を変化(減少)させることができる。これにより、負極活物質層が強固に一体化された(負極活物質層の剥離が生じ難い)負極を作製することができる。その結果、該負極を用いた電池では、高い耐久性(例えばサイクル特性)を実現することができる。さらに、かかる製造方法では、下層形成用スラリーを塗工し、該下層形成用スラリーが乾燥する前に重ねて上層形成用スラリーを塗工して同時に乾燥させるため、従来に比べて製造工程(例えば乾燥工程)を減らすことができる。このことは、生産性や作業効率、コストの観点から、非常に有意義である。
本明細書において「比表面積」とは、吸着質として窒素(N2)ガスを用いたガス吸着法(定容量式吸着法)によって測定されたガス吸着量を、BET法(例えば、BET1点法)で解析した値(m2/g)をいう。また、本明細書において「粘度」とは、25℃の温度環境下において、一般的な平行円板型回転粘度計(B型粘度計)を用いて、回転速度2rpmの条件で測定した値(mPa・s)をいう。
ここで開示される方法によって製造される負極は、非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)に好適に用いることができる。すなわち、本発明の他の側面として、上記負極を用いてなる非水電解質二次電池の製造方法が提供される。さらに、上記負極と、正極活物質を備える正極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池用負極の製造方法は、大まかに言って、以下の3つの工程:(1)スラリーの調製;(2)スラリーの塗工;(3)乾燥から構成される。
(1)スラリーの調製では、先ず、BET比表面積の異なる2種類の負極活物質(第1の負極活物質および第2の負極活物質)を準備する。かかる負極活物質の材料としては、第1の負極活物質のBET比表面積S1と第2の負極活物質のBET比表面積S2とが、S1<S2を満たすものであれば、特に限定されない。例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等の炭素材料を好適に用いることができる。なかでも、黒鉛(例えば天然黒鉛)を好ましく採用し得る。また、上記2種類の負極活物質は同種の材料であってもよく、異種の材料であってもよい。
下層形成用スラリーに含ませる第1の負極活物質は、相対的に比表面積が小さい。かかる負極活物質のBET比表面積S1は、高いエネルギー密度を実現する観点から、1〜4m2/g(例えば1.5〜3.5m2/g)であるとよい。また、上層形成用スラリーに含ませる第2の負極活物質は、相対的に比表面積が大きい。かかる負極活物質のBET比表面積S2は、電荷担体の受け入れ性を向上して金属の析出を抑制する観点から、3〜10m2/g(例えば5〜10m2/g)であるとよい。ただし、S1<S2である。
下層形成用スラリーに含ませる第1の負極活物質は、相対的に比表面積が小さい。かかる負極活物質のBET比表面積S1は、高いエネルギー密度を実現する観点から、1〜4m2/g(例えば1.5〜3.5m2/g)であるとよい。また、上層形成用スラリーに含ませる第2の負極活物質は、相対的に比表面積が大きい。かかる負極活物質のBET比表面積S2は、電荷担体の受け入れ性を向上して金属の析出を抑制する観点から、3〜10m2/g(例えば5〜10m2/g)であるとよい。ただし、S1<S2である。
次に、準備した2種類の負極活物質を用いて、2種類の負極活物質層形成用スラリー(すなわち、下層形成用スラリーと上層形成用スラリー)を調製する。
スラリーの調製は、それぞれの負極活物質をバインダと共に溶媒中で混練することによって行う。バインダとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を好ましく用いることができる。なお、2種類のスラリーに含ませるバインダは、同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。好適な一態様では、同種のバインダを用いる。これにより、上層と下層をより強固に一体化させることができる。溶媒としては、水系溶媒(例えばイオン交換水)あるいは有機溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP))のいずれも使用可能である。なかでも、環境負荷の軽減や廃棄物の減量等の観点から水系溶媒を好ましく用いることができる。なお、2種類のスラリーに含ませる溶媒とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。好適な他の一態様では、同じ溶媒を用いる。これにより、後述の乾燥工程においてより平均的に(均質に)乾燥を行うことができる。
スラリーの調製は、それぞれの負極活物質をバインダと共に溶媒中で混練することによって行う。バインダとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を好ましく用いることができる。なお、2種類のスラリーに含ませるバインダは、同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。好適な一態様では、同種のバインダを用いる。これにより、上層と下層をより強固に一体化させることができる。溶媒としては、水系溶媒(例えばイオン交換水)あるいは有機溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP))のいずれも使用可能である。なかでも、環境負荷の軽減や廃棄物の減量等の観点から水系溶媒を好ましく用いることができる。なお、2種類のスラリーに含ませる溶媒とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。好適な他の一態様では、同じ溶媒を用いる。これにより、後述の乾燥工程においてより平均的に(均質に)乾燥を行うことができる。
混練には、例えば、ボールミル、ロールミル、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。混練時間は、負極活物質とバインダとが溶媒中に均等に分散するまでの時間とすればよい。装置構成や混練条件によっても異なり得るが、混練時間は通常10分〜3時間(例えば10分〜30分)とするとよい。また、スラリーの固形分濃度は、通常50〜75質量%(例えば55〜65質量%)に調製するとよい。
スラリーの固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90〜99.9質量%(例えば95〜99質量%)とすることが好ましい。また、スラリーの固形分全体に占めるバインダの割合は、凡そ0.1〜10質量%とすることが適当であり、通常は1〜5質量%(例えば1〜3質量%)とすることが好ましい。なお、上層形成用スラリー中の固形分比率と下層形成用スラリー中の固形分比率とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、ここで調製する2種類のスラリーには、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、必要に応じて上記以外の成分を含ませることもできる。そのような任意の成分としては、分散剤、増粘剤、導電材等が例示される。分散剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)等のセルロース系材料を好ましく採用し得る。
ここで開示される技術では、下層形成用スラリーの粘度V1と上層形成用スラリーの粘度V2とが、V1<V2を満たすようスラリーの粘度を調整する。これにより、負極活物質層の表面にバインダの偏在(マイグレーション)が生じることを防止し得る。
すなわち、ここで開示される技術ではBET比表面積のより大きな負極活物質を負極活物質層の上層側に含ませる。一般に、比表面積の大きな材料ほどバインダを吸着し易い性質を有するため、下層形成用スラリーが乾燥する前に上層形成用スラリーを重ねて塗工し、同時に乾燥させると、バインダが上層側に移動して、例えば上下層の境界面における剥離強度が確保できないことがある。
このため、ここで開示される技術では、上層形成用スラリーの粘度V2を高粘度とすることで、乾燥時にバインダの移動が起こりにくくし、マイグレーションの発生を抑制する。また、下層側からのバインダの流入を抑制する効果もある。さらに、下層形成用スラリーの粘度V1を低くして流動性を持たせることで、乾燥時に上層に向けてバインタの偏析が生じ易くなる。これにより、上層との境界面近傍にバインダを偏析させることで、上層との密着性を向上することができる。詳細には、上下層の界面近傍に移動したバインダの一部が上層側に入り込む。しかし、上層形成用スラリーは粘度が高いため、下層から移動したバインダは負極活物質層の表面までは至らず、上層との界面に近傍に留まる。これにより、上下層の境界面にバインダが集まり、その濃度が界面をピークに上下層に向けて連続的に減少する態様となる。その結果、負極活物質層の一体性を増すことができる。
すなわち、ここで開示される技術ではBET比表面積のより大きな負極活物質を負極活物質層の上層側に含ませる。一般に、比表面積の大きな材料ほどバインダを吸着し易い性質を有するため、下層形成用スラリーが乾燥する前に上層形成用スラリーを重ねて塗工し、同時に乾燥させると、バインダが上層側に移動して、例えば上下層の境界面における剥離強度が確保できないことがある。
このため、ここで開示される技術では、上層形成用スラリーの粘度V2を高粘度とすることで、乾燥時にバインダの移動が起こりにくくし、マイグレーションの発生を抑制する。また、下層側からのバインダの流入を抑制する効果もある。さらに、下層形成用スラリーの粘度V1を低くして流動性を持たせることで、乾燥時に上層に向けてバインタの偏析が生じ易くなる。これにより、上層との境界面近傍にバインダを偏析させることで、上層との密着性を向上することができる。詳細には、上下層の界面近傍に移動したバインダの一部が上層側に入り込む。しかし、上層形成用スラリーは粘度が高いため、下層から移動したバインダは負極活物質層の表面までは至らず、上層との界面に近傍に留まる。これにより、上下層の境界面にバインダが集まり、その濃度が界面をピークに上下層に向けて連続的に減少する態様となる。その結果、負極活物質層の一体性を増すことができる。
好適な塗工性を確保する観点や本発明の効果を高める観点からは、下層形成用スラリーの粘度V1は、8000mPa・s以下(好ましくは5000mPa・s以下)に調整するとよい。また、上層形成用スラリーの粘度V2は、12000mPa・s以上(好ましくは15000mPa・s以上)に調整するとよい。
なお、スラリーの粘性は、例えばスラリー混練時にかかるせん断力を変化させることや、スラリーの固形分比率、固形分中の質量比率(例えば、バインダや分散剤、増粘剤の含有比率)、使用する増粘剤の種類等によって調整することができる。好適な一態様では、せん断力を変化させることにより、粘度の調整を行う。他の条件が同じであれば、一般に混練時にかかるせん断力を大きくするとスラリーの粘性は低下する傾向にある。逆に、混練時にかかるせん断力を小さくすると、スラリーの粘性は増加する傾向にある。
なお、スラリーの粘性は、例えばスラリー混練時にかかるせん断力を変化させることや、スラリーの固形分比率、固形分中の質量比率(例えば、バインダや分散剤、増粘剤の含有比率)、使用する増粘剤の種類等によって調整することができる。好適な一態様では、せん断力を変化させることにより、粘度の調整を行う。他の条件が同じであれば、一般に混練時にかかるせん断力を大きくするとスラリーの粘性は低下する傾向にある。逆に、混練時にかかるせん断力を小さくすると、スラリーの粘性は増加する傾向にある。
(2)スラリーの塗工では、先ず、高粘度の下層形成用スラリーを負極集電体の表面に塗工する。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料を好ましく用いることができる。そして、上記塗工した下層形成用スラリーが乾燥する前に(上記溶媒の少なくとも一部が残っている状態で)、該下層形成用スラリーの上に低粘度の上層形成用スラリーを重ねて塗工する。スラリーの塗工量(単位面積当たりの塗工量)は、乾燥後の厚みを考慮して適宜調整すればよい。
塗工には、例えば、ダイコーター、スリットコーター、グラビアコーター等の従来公知の塗工装置を用いることができる。なかでも図1に示すような塗工方法、すなわち2つのダイヘットを備えるダイコーターを用いた同時2層塗工法を好適に採用することができる。この方法を用いれば、塗工をより簡易なプロセスで実施することができる。図1では、矢印で示す塗工方向に対して、2つのダイヘットが並んで設けられている。一方のダイヘットは下層形成用スラリー12の入ったタンク(図示せず)に、もう一方のダイヘットは上層形成用スラリー14の入ったタンク(図示せず)につながっている。そして、2つのダイヘットまたは負極集電体1を、塗工方向に対して水平に定速移動させることにより、2種類のスラリーを連続的に塗工することができる。かかる塗工方法によれば、下層形成用スラリー12が乾燥する前に(ほぼ同時に)上層形成用スラリー14を安定的に塗工することができ、生産性や作業性を一層向上することができる。
塗工には、例えば、ダイコーター、スリットコーター、グラビアコーター等の従来公知の塗工装置を用いることができる。なかでも図1に示すような塗工方法、すなわち2つのダイヘットを備えるダイコーターを用いた同時2層塗工法を好適に採用することができる。この方法を用いれば、塗工をより簡易なプロセスで実施することができる。図1では、矢印で示す塗工方向に対して、2つのダイヘットが並んで設けられている。一方のダイヘットは下層形成用スラリー12の入ったタンク(図示せず)に、もう一方のダイヘットは上層形成用スラリー14の入ったタンク(図示せず)につながっている。そして、2つのダイヘットまたは負極集電体1を、塗工方向に対して水平に定速移動させることにより、2種類のスラリーを連続的に塗工することができる。かかる塗工方法によれば、下層形成用スラリー12が乾燥する前に(ほぼ同時に)上層形成用スラリー14を安定的に塗工することができ、生産性や作業性を一層向上することができる。
(3)乾燥では、上記塗工した下層形成用スラリーおよび上層形成用スラリーを、同時に乾燥させ、上記2種類のスラリーに含まれる溶媒を一気に揮発させる。上下層を同時に乾燥させることで、負極活物質層全体に対流が生じ、上下層の境界面におけるバインダ濃度を適度に高めることができる。これにより、2層を同時に塗工するプロセスであっても、負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い負極が得られる。また、乾燥工程を減らすことで、生産効率を高めることもできる。さらにコストの観点からも好ましい。
乾燥手段としては、加熱制御機能を備えるものであればよく、例えば熱風乾燥装置や真空乾燥装置等を用いることができる。乾燥温度は、通常100〜150℃(典型的には100〜140℃、例えば120〜140℃)に設定するとよい。このように乾燥温度を高めに設定することで、沸点の比較的高い溶媒(例えば水)を使用した場合であっても、短時間で乾燥を行うことができる。
なお、スラリーの乾燥後には、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、負極活物質層(上層および/または下層)の厚みや密度を調整することもできる。
乾燥手段としては、加熱制御機能を備えるものであればよく、例えば熱風乾燥装置や真空乾燥装置等を用いることができる。乾燥温度は、通常100〜150℃(典型的には100〜140℃、例えば120〜140℃)に設定するとよい。このように乾燥温度を高めに設定することで、沸点の比較的高い溶媒(例えば水)を使用した場合であっても、短時間で乾燥を行うことができる。
なお、スラリーの乾燥後には、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、負極活物質層(上層および/または下層)の厚みや密度を調整することもできる。
このような方法によって、図2に模式的に示すような負極10を作製することができる。図2に示す負極10は、負極集電体1上に、第1の負極活物質(高BET負極活物質)2aを含む下層2と、第2の負極活物質(低BET負極活物質)4aを含む上層4とが、この順に積層されてなる2層構造の負極活物質層6を備えている。図2に模式的に示すように、例えば上層4と下層2とで同種の負極活物質を用いる場合、一般には高BET負極活物質2aの平均粒子径に比べて低BET負極活物質4aの平均粒子径の方が大きくなる。第1の負極活物質2aのレーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径は、7〜17μm(例えば10〜16μm)であり得る。第2の負極活物質4aのレーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径は、5〜12μm(例えば6〜10μm)であり得る。
ここで開示される製造方法により作製された負極活物質層は、バインダ濃度が負極活物質層の厚み方向(積層方向)に独特な連続的変化を有する。図3は、一実施形態に係る負極活物質層(上層4と下層2)のバインダ濃度の分布を表すグラフである。このように、バインダの濃度は上下層の境界面に最大値を有し、該境界面から遠ざかるにつれて緩やかに(連続的に)減少する傾向にある。このため、従来品との判別が可能である。
かかる負極活物質層内のバインダ濃度の分布は、一般的なEPMA(Electron Probe
Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)の分析によって求めることができる。具体的には、先ず被測定物たる負極活物質層を備えた負極にCP処理(Cross Section Polisher処理)を施し、負極活物質層の断面出しを行う。そして、得られた断面をEPMAで観察し、解析する(例えばバインダの構造の一部を置換し染色したものを観察する)ことにより、バインダ濃度の分布を把握することができる。あるいは、上記断面出しした負極活物質層をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)で観察し、断面SEM画像においてバインダ(例えばスチレンブタジエンゴム(SBR))に特有の元素をEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)でマッピングすることにより、バインダ濃度の分布を把握することができる。
かかる負極活物質層内のバインダ濃度の分布は、一般的なEPMA(Electron Probe
Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)の分析によって求めることができる。具体的には、先ず被測定物たる負極活物質層を備えた負極にCP処理(Cross Section Polisher処理)を施し、負極活物質層の断面出しを行う。そして、得られた断面をEPMAで観察し、解析する(例えばバインダの構造の一部を置換し染色したものを観察する)ことにより、バインダ濃度の分布を把握することができる。あるいは、上記断面出しした負極活物質層をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)で観察し、断面SEM画像においてバインダ(例えばスチレンブタジエンゴム(SBR))に特有の元素をEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)でマッピングすることにより、バインダ濃度の分布を把握することができる。
また、ここで開示される技術によれば、上記作製された負極と、正極と、非水電解質とを電池ケース内に収容してなる非水電解質二次電池が提供される。電池ケースとしては、例えばアルミニウム等の軽量な金属材料からなるものが好適に用いられる。
正極は、典型的には、正極集電体と該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備える。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性部材が好適に用いられる。正極活物質層は少なくとも正極活物質を含み、必要に応じて他の任意成分を含み得る。正極活物質としては、層状系、スピネル系のリチウム遷移金属複合酸化物材料(例えば、LiCoO2、LiFeO2、LiMn2O4、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等)やオリビン系材料(例えばLiFePO4)が好適に用いられる。正極活物質層に含まれ得る任意成分としては、バインダや導電材が挙げられる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリエチレンオキサイド(PEO)が好適に用いられる。また、導電材としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)等の炭素材料が好適に用いられる。
非水電解質としては、非水溶媒中に支持塩を含有するもの(非水電解液)が好適に用いられる。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒が好適に用いられる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が好ましい。支持塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等を好適に用いることができ、なかでもLiPF6、LiBF4等のリチウム塩が好ましい。
ここで開示される非水電解質二次電池は、負極の耐久性(例えば負極活物質層内の剥離強度)が従来品に比べて向上していることを特徴とする。例えば、充放電を繰り返しても容量低下の少ないものであり得る。したがって、かかる特徴を活かして、例えば車両の動力源(駆動電源)として好適に用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<負極の作製>
実施例1では、先ず、負極活物質としての天然黒鉛(BET比表面積S1:2.5m2/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、98:1:1の質量比率で秤量し、イオン交換水と混合して、25℃における粘度V1が8000mPa・sの下層形成用スラリーを調製した。また、負極活物質としての天然黒鉛(BET比表面積S2:6m2/g)を用いたことと、スラリー混練時にかかるせん断力を弱めて粘性を高めたこと以外は上記と同様に、25℃における粘度V2が12000mPa・sの上層形成用スラリーを調製した。
次に、図1に示す塗工方法によって、長尺状の銅箔(負極集電体、厚み:10μm)の表面に、単位面積当たりの固形分量が5mg/cm2となるよう下層形成用スラリーを塗工して、該塗工した下層形成用スラリーが乾燥する前に重ねて同量の固形分量で上層形成用スラリーを塗工して、凡そ100℃で乾燥することにより、2層構造の負極活物質層を形成した。負極集電体のもう一方の表面にも同様に2層構造の負極活物質層を形成した。
これをロール圧延した後、所定の大きさにスリット加工することで、負極集電体(幅:80.9mm)の両面に2層構造の負極活物質層(幅:60.9mm)をそれぞれ備えたシート状の負極(実施例1)を作製した。
実施例1では、先ず、負極活物質としての天然黒鉛(BET比表面積S1:2.5m2/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、98:1:1の質量比率で秤量し、イオン交換水と混合して、25℃における粘度V1が8000mPa・sの下層形成用スラリーを調製した。また、負極活物質としての天然黒鉛(BET比表面積S2:6m2/g)を用いたことと、スラリー混練時にかかるせん断力を弱めて粘性を高めたこと以外は上記と同様に、25℃における粘度V2が12000mPa・sの上層形成用スラリーを調製した。
次に、図1に示す塗工方法によって、長尺状の銅箔(負極集電体、厚み:10μm)の表面に、単位面積当たりの固形分量が5mg/cm2となるよう下層形成用スラリーを塗工して、該塗工した下層形成用スラリーが乾燥する前に重ねて同量の固形分量で上層形成用スラリーを塗工して、凡そ100℃で乾燥することにより、2層構造の負極活物質層を形成した。負極集電体のもう一方の表面にも同様に2層構造の負極活物質層を形成した。
これをロール圧延した後、所定の大きさにスリット加工することで、負極集電体(幅:80.9mm)の両面に2層構造の負極活物質層(幅:60.9mm)をそれぞれ備えたシート状の負極(実施例1)を作製した。
実施例2,3および比較例1では、スラリーの粘度が図4に示す値になるようスラリー混練時にかかるせん断力を調整したこと以外は上記実施例1と同様に、シート状の負極(実施例2,3、比較例1)を作製した。
比較例2では、下層形成用スラリーを塗工した後に一旦乾燥し、その後、上層形成用スラリーを塗工して再度乾燥したこと以外は上記実施例1と同様に、シート状の負極(比較例2)を作製した。
比較例3では、下層形成用スラリーを塗工した後に一旦乾燥し、次にバインダスラリー(ここでは、固形分としてスチレンブタジエンゴム(SBR)のみを含むスラリー)を塗工して再度乾燥させ、その後、上層形成用スラリーを塗工してさらに乾燥したこと以外は上記比較例2と同様に、シート状の負極(比較例3)を作製した。
比較例4では、下層形成用スラリーを塗工して、該塗工した下層形成用スラリーが乾燥する前に重ねて上記バインダスラリーを塗工し、次いで上層形成用スラリーを塗工し、最後に乾燥したこと以外は上記比較例3と同様に、シート状の負極(比較例4)を作製した。
比較例2では、下層形成用スラリーを塗工した後に一旦乾燥し、その後、上層形成用スラリーを塗工して再度乾燥したこと以外は上記実施例1と同様に、シート状の負極(比較例2)を作製した。
比較例3では、下層形成用スラリーを塗工した後に一旦乾燥し、次にバインダスラリー(ここでは、固形分としてスチレンブタジエンゴム(SBR)のみを含むスラリー)を塗工して再度乾燥させ、その後、上層形成用スラリーを塗工してさらに乾燥したこと以外は上記比較例2と同様に、シート状の負極(比較例3)を作製した。
比較例4では、下層形成用スラリーを塗工して、該塗工した下層形成用スラリーが乾燥する前に重ねて上記バインダスラリーを塗工し、次いで上層形成用スラリーを塗工し、最後に乾燥したこと以外は上記比較例3と同様に、シート状の負極(比較例4)を作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
次に、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、91:6:3の質量比率で秤量し、N−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔(正極集電体、厚み:20μm)の表面の幅方向の片側に30mg/cm2の目付け量で塗工し、乾燥することにより、正極活物質層を作製した。これをロール圧延した後、所定の大きさにスリット加工することで、正極集電体(幅:77.0mm)の両面に正極活物質層(幅:57.0mm)を備えたシート状の正極を得た。
次に、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、91:6:3の質量比率で秤量し、N−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔(正極集電体、厚み:20μm)の表面の幅方向の片側に30mg/cm2の目付け量で塗工し、乾燥することにより、正極活物質層を作製した。これをロール圧延した後、所定の大きさにスリット加工することで、正極集電体(幅:77.0mm)の両面に正極活物質層(幅:57.0mm)を備えたシート状の正極を得た。
次に、上記作製した正極と負極を、セパレータシート(ここでは、ポリエチレン製の幅63.0mmのものを用いた。)を介して重ね合わせて捲回し、捲回電極体を作製した。この電極体をアルミニウム製の角型の電池ケース(縦:75mm、幅:120mm、厚さ:15mm、ケース厚さ:1mm)に収容し、非水電解質を注液した。なお、非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:5:2の体積比率で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を凡そ1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。上記電池ケースの開口部を封止して、角形のリチウムイオン二次電池(理論容量:4.5Ah)を構築した。
<初期容量の確認>
25℃の環境下において、構築した電池を1C(4.5A)の定電流で4.2VまでCC充電した後、5分休止し、次いで1C(4.5A)の定電流で3.0Vまで放電した後、5分休止した。そして、1Cの定電流で4.2VまでCC充電した後、電流値が0.01C(0.045A)となるまでCV充電し、次いで1Cの定電流で3.0VまでCC放電した後、電流値が0.01C(0.045A)となるまでCV放電した。このときのCCCV放電容量を、初期容量とした。
25℃の環境下において、構築した電池を1C(4.5A)の定電流で4.2VまでCC充電した後、5分休止し、次いで1C(4.5A)の定電流で3.0Vまで放電した後、5分休止した。そして、1Cの定電流で4.2VまでCC充電した後、電流値が0.01C(0.045A)となるまでCV充電し、次いで1Cの定電流で3.0VまでCC放電した後、電流値が0.01C(0.045A)となるまでCV放電した。このときのCCCV放電容量を、初期容量とした。
<サイクル特性>
25℃の環境下において、上記初期容量確認後の電池をSOC0%の状態まで放電した。そして、CCCV充電(4.2V、レート1C、0.01Cカット)後に10分間休止し、次いでCCCV放電(3.0V、レート1C,0.01Cカット)後に10分間休止する操作を1サイクルとして、これを1000サイクル繰り返した。サイクル試験後、上記と同様に電池容量を測定した。そして、以下の式:容量維持率(%)=(1000サイクル後の電池容量/初期容量)×100;を算出した。結果を図4に示す。
25℃の環境下において、上記初期容量確認後の電池をSOC0%の状態まで放電した。そして、CCCV充電(4.2V、レート1C、0.01Cカット)後に10分間休止し、次いでCCCV放電(3.0V、レート1C,0.01Cカット)後に10分間休止する操作を1サイクルとして、これを1000サイクル繰り返した。サイクル試験後、上記と同様に電池容量を測定した。そして、以下の式:容量維持率(%)=(1000サイクル後の電池容量/初期容量)×100;を算出した。結果を図4に示す。
<負極活物質層断面のEPMA観察>
負極活物質層内のバインダ濃度の分布を確認するため、EPMAを用いて負極活物質層断面を観察した。具体的には、負極を包埋研磨して負極活物質層の断面出しを行った後、バインダ(SBR)を臭素で染色し、EPMAで観察および解析を行った。結果を図4に示す。
負極活物質層内のバインダ濃度の分布を確認するため、EPMAを用いて負極活物質層断面を観察した。具体的には、負極を包埋研磨して負極活物質層の断面出しを行った後、バインダ(SBR)を臭素で染色し、EPMAで観察および解析を行った。結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例1〜3では、比較例1に対して相対的にサイクル特性が高かった。この理由として、上層形成用スラリーの粘度を相対的に高く(ここでは12000mPa・s以上に)、下層形成用スラリーの粘度を相対的に低く(ここでは8000mPa・s以下に)調整することで、下層から上層へのバインダの移動が抑制され、上下層の境界面にバインダが集まって負極活物質層の一体性が増したことが考えられる。なかでも、上層形成用スラリーの粘度を15000mPa・s以上とし、下層形成用スラリーの粘度を5000mPa・s以下とした実施例2,3では、さらに高いサイクル特性を実現することができた。一方、比較例1では、上層と下層の境界面を越えてバインダの偏在が起こったために、該境界面の剥離強度が低下し、充放電サイクル中の膨張収縮に追随できなかったことが考えられる。かかる結果は本発明の技術的意義を示すものである。
比較例2では、上下層の境界面のバインダ濃度がやや高くなり、比較例1よりもサイクル特性が高かった。しかし、密着性が十分でないため、実施例1には及ばなかった。また、途中に乾燥工程を設けたために、生産性が低下した。
比較例3では、相対的にサイクル特性が高かったが、塗工と乾燥の工程がそれぞれ3回ずつ必要なため生産性が顕著に低下した。また、境界面にバインダが集中し過ぎたために、負極活物質層が崩落し易く、取扱い性(作業性)が低下した。なお、図4に示すように、実施例1〜3と比較例3とではバインダの厚み方向の濃度分布が異なっていることから、製造プロセスの違いを判別することが可能である。
比較例4では、上層とバインダ層と下層とが混じりあってしまうため、バインダの偏在が生じ、結果としてバインダ濃度の分布が比較例1と同様となった。その結果、相対的にサイクル特性が低かった。
したがって、ここで開示される製造方法によれば、高耐久な負極を比較的簡便に製造することができるとわかった。
比較例2では、上下層の境界面のバインダ濃度がやや高くなり、比較例1よりもサイクル特性が高かった。しかし、密着性が十分でないため、実施例1には及ばなかった。また、途中に乾燥工程を設けたために、生産性が低下した。
比較例3では、相対的にサイクル特性が高かったが、塗工と乾燥の工程がそれぞれ3回ずつ必要なため生産性が顕著に低下した。また、境界面にバインダが集中し過ぎたために、負極活物質層が崩落し易く、取扱い性(作業性)が低下した。なお、図4に示すように、実施例1〜3と比較例3とではバインダの厚み方向の濃度分布が異なっていることから、製造プロセスの違いを判別することが可能である。
比較例4では、上層とバインダ層と下層とが混じりあってしまうため、バインダの偏在が生じ、結果としてバインダ濃度の分布が比較例1と同様となった。その結果、相対的にサイクル特性が低かった。
したがって、ここで開示される製造方法によれば、高耐久な負極を比較的簡便に製造することができるとわかった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 負極集電体
2 下層
2a 第1の負極活物質(高BET負極活物質)
4 上層
4a 第2の負極活物質(低BET負極活物質)
6 負極活物質層
10 負極
12 下層形成用スラリー
14 上層形成用スラリー
2 下層
2a 第1の負極活物質(高BET負極活物質)
4 上層
4a 第2の負極活物質(低BET負極活物質)
6 負極活物質層
10 負極
12 下層形成用スラリー
14 上層形成用スラリー
Claims (1)
- 負極集電体上に上下2層構造の負極活物質層が固着されてなる負極を製造する方法であって、
第1の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる下層形成用スラリー、および、第2の負極活物質とバインダとを溶媒中で混練してなる上層形成用スラリー、を調製すること;
前記下層形成用スラリーを負極集電体上に塗工し、該下層形成用スラリーの上に前記上層形成用スラリーを塗工すること;および、
前記下層形成用スラリーおよび前記上層形成用スラリーを同時に乾燥すること;を包含し、
前記第1の負極活物質および前記第2の負極活物質として、前記第1の負極活物質のBET比表面積S1と前記第2の負極活物質のBET比表面積S2とが、S1<S2を満たすものを使用し、
前記下層形成用スラリーおよび前記上層形成用スラリーは、前記下層形成用スラリーの25℃における粘度V1と前記上層形成用スラリーの25℃における粘度V2とが、V1<V2となるよう調整する、負極の製造方法。
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-
2014
- 2014-02-17 JP JP2014027609A patent/JP2015153658A/ja active Pending
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