JP2015185250A - 非水電解質二次電池用の負極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用の負極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い(高耐久な)電極を、高い生産性で製造すること。【解決手段】かかる製造方法は、(1)負極活物質とバインダと溶媒とを含むスラリーを調製すること;(2)上記スラリーを負極集電体の表面に塗布すること;(3)上記負極集電体上に塗布された上記スラリーから上記溶媒を乾燥除去すること;を包含する。上記溶媒の乾燥除去は、(i)材料予熱工程、(ii)定率乾燥工程、(iii)減率乾燥工程、を含んでいる。そして、(ii)定率乾燥工程の雰囲気圧力は、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の雰囲気圧力よりも高く設定し、且つ、(ii)定率乾燥工程の乾燥温度は、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の乾燥温度よりも高く設定する。【選択図】図7

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。詳しくは、該電池用の負極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、車両搭載用の高出力電源やいわゆるポータブル電源等として好ましく利用されている。
一般に、非水電解質二次電池の負極は、負極集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備える。かかる負極は、例えば、所定の液状媒体中に負極活物質とバインダとを含む原材料を分散させてなる負極活物質層形成用のペースト(スラリー、インクを包含する。以下同様。)を、負極集電体の表面に塗布、乾燥することによって作製される。
上記乾燥工程では、負極集電体上のペースト(塗膜)を急激に乾燥させると、負極活物質層の表面側にバインダが偏在(マイグレーション)する問題が知られている。すなわち、急激な乾燥によって溶媒が一気に蒸発すると、塗膜内に対流が生じる。これによって、負極活物質よりも粒子径が小さくかつ比重の軽いバインダが、塗膜の表面近傍に移動し、かかる部位に偏在することがある。その結果、負極活物質層の剥離や崩落、あるいは電池特性(例えばサイクル特性)の低下といった不具合が生じ得る。
かかる問題に対処するための技術として、例えば特許文献1には、上記乾燥工程の初期段階において30〜60℃程度の穏やかな温度環境下でゆっくりと(時間をかけて)乾燥させる技術が記載されている。
特開2013−101838号公報
ところで近年、電極の製造においては生産性の向上が求められている。すなわち、マイグレーションを生じさせずに短時間でペースト(塗膜)を乾燥することが求められている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い(高耐久な)負極を高い生産性で製造する方法を提供することにある。
本発明者が検討を重ねた結果、バインダのマイグレーションは、一連の乾燥工程の中の「定率乾燥工程」において発生することが判明した。このことについて以下に説明する。
図1は、一般的な乾燥工程における含溶媒率および塗膜温度の経時変化を表す模式図である。すなわち、湿り気を帯びた試料を定常状態にある乾燥炉内に配置して乾燥させる場合、図1に示すように、乾燥工程は大きく3つの段階に分けられる。段階(i)は、塗膜の表面が溶媒の蒸発温度(揮発温度)まで加熱される「材料予熱工程」である。段階(ii)は、塗膜の表面から溶媒が蒸発(揮発)することで、塗膜中の含溶媒率がほぼ直線的に減少する「定率(恒率)乾燥工程」である。段階(iii)は、典型的には塗膜を構成する粒子間の細かい隙間から溶媒が穏やかに蒸発する「減率乾燥工程」である。
本発明者は、まず上記(i)〜(iii)のどの工程でマイグレーションが生じるのかを明らかにしようと試みた。具体的には、まず、負極活物質(黒鉛)とバインダ(スチレンブタジエンゴム(SBR))と増粘剤(カルボキシメチルセルロース(CMC))とを水系溶媒(イオン交換水)中に分散させてペーストを調製した。このペーストを銅箔(負極集電体)の表面に塗布して、該銅箔上に塗膜を形成した。次に、上記塗膜付きの銅箔を定常状態にある乾燥炉に投入して気密に密閉し、所定の乾燥条件(乾燥温度:150℃、雰囲気圧力:−10Pa)で乾燥させた。そして、一連の乾燥工程における塗膜表面温度、負極重量、バインダ含有比率の変化を測定した。なお、塗膜表面温度の測定には放射温度計を使用した。また、負極重量の測定には天秤を使用した。また、バインダ含有比率の測定にはラマン分光法を用いた。ラマン分光法の測定方法については、後ほど詳述する。
図2は、その検討結果である。図2(a)は塗膜の表面温度と負極重量の経時変化を、図2(b)はバインダ(SBR)含有比率の経時変化を、それぞれ表している。また、乾燥工程(i)〜(iii)は、図2の(a)の結果から判断している。これらの結果から、バインダ(SBR)の含有比率の変化は、(ii)定率乾燥工程の後半期で急激に生じることがわかった。すなわち、マイグレーションは一連の乾燥工程の中の(ii)定率乾燥工程において発生するという新たな知見を得た。
本発明者は、次に、定率乾燥工程の雰囲気圧力のみを変動させて、溶媒の蒸発速度とマイグレーションの発生状況(マイグレーション度合い)との関係について検討した。なお、マイグレーション度合いの算出方法については、後ほど詳述する。図3は、その検討結果である。この結果から、溶媒の蒸発速度とマイグレーションの度合いはほぼ比例関係にあることが判明した。換言すれば、マイグレーション度合いは溶媒の蒸発速度に大きく依存し、該蒸発速度を遅くすることでマイグレーションが抑制されることがわかった。
そこで、本発明者はこれらの知見に基づいて、乾燥工程の制御因子である乾燥温度と雰囲気圧力に着目し、生産性(生産速度)の維持向上とマイグレーションの抑制とを高いレベルで両立することを考えた。すなわち、一連の乾燥工程において溶媒の蒸発速度を概ね一定に保ちながらも、マイグレーションを抑制することを考えた。そして、更なる鋭意検討を重ねた結果、本発明を創出するに至った。
本発明により、非水電解質二次電池用の負極の製造方法が提供される。かかる製造方法は、以下の工程:(1)負極活物質とバインダと溶媒とを含むペーストを調製すること;(2)上記ペーストを集電体の表面に塗布すること;(3)上記集電体上に塗布された上記ペーストから上記溶媒を乾燥除去すること;を包含する。上記溶媒の乾燥除去は、(i)材料予熱工程、(ii)定率乾燥工程、(iii)減率乾燥工程、を含んでいる。そして、(ii)定率乾燥工程の雰囲気圧力は、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の雰囲気圧力よりも高く設定し、且つ、(ii)定率乾燥工程の乾燥温度は、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の乾燥温度よりも高く設定する。
定率乾燥工程において、雰囲気圧力と乾燥温度とを同時に高めることで、一連の乾燥工程の蒸発速度を概ね一定に保ちながらも、マイグレーションを効果的に抑制することができる。したがって、ここに開示される製造方法によれば、活物質層の剥離や崩落が生じ難い負極を従来と同等の所要時間で(乾燥時間を増加させずに)製造することができる。また、該負極を用いた電池では、高い耐久性(例えばサイクル特性)を実現することができる。
なお、本明細書において「雰囲気圧力」とは、集電体上に形成されたペーストからなる塗膜の周辺の気圧をいう。ここでは、大気圧に対する相対圧、すなわち実際の圧力(絶対圧)から大気圧(凡そ0.1MPa)を差し引いた値を指すものとする。
また、本明細書において「蒸発速度」とは、溶媒の平均蒸発速度(mg/sec)をいう。具体的には、各乾燥工程終了時の負極の重量W2(mg)から各乾燥工程の開始時の負極の重量W1(mg)を差し引いた値(W2−W1)を、各乾燥工程の所要時間T(sec)で除した値((W2−W1)/T)を指すものとする。
塗膜中の含溶媒率および塗膜温度の経時変化を模式的に表すグラフである。 (a)は、一例に係る塗膜表面温度と負極重量の経時変化を表すグラフであり、(b)は、一例に係る負極内におけるバインダ(SBR)含有比率の経時変化を表すグラフである。 定率乾燥工程における蒸発速度とマイグレーション度合いとの関係を表すグラフである。 各例の乾燥条件(乾燥温度および雰囲気圧力)と乾燥時間を表している。 一試験例に係る負極活物質層の断面観察画像である。 負極活物質層断面の負極集電体(bottom)からの距離とバインダ(SBR)の濃度分布との関係を表すグラフである。 定率乾燥工程における乾燥温度とマイグレーション度合いとの関係を表すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪負極の製造方法≫
ここに開示される非水電解質二次電池用の負極の製造方法は、大まかに以下の3つの工程:(1)ペーストの調製;(2)ペーストの塗布;(3)溶媒の乾燥除去;を包含する。上記(3)溶媒の乾燥除去は、(i)材料予熱工程、(ii)定率乾燥工程、(iii)減率乾燥工程の3つの工程を含む。そして、(ii)定率乾燥工程における乾燥条件(乾燥温度および雰囲気圧力)を適切に制御することによって特徴づけられる。したがって、その他の工程については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定することができる。
<1.ペーストの調製>
ペーストの調製では、負極活物質とバインダと溶媒とを混合してペースト(負極活物質層形成用ペースト)を調製する。ペーストの調製には、例えば、ボールミル、ロールミル、ニーダ等の従来公知の攪拌・混合装置を用いることができる。また、上記材料を混合する順序は特に限定されず、例えば一度に全ての材料を溶媒中に投入してもよく、何度かに分けて行ってもよい。例えば、溶媒中に活物質を添加して均質に分散させた後、この溶液にバインダを添加して分散させるとよい。
一好適例では、負極活物質とバインダと増粘剤とを適当な溶媒中で混合し、塗布に適した性状(例えば粘度)に調整する。負極活物質としては、平均粒子径が1〜50μm(例えば5〜10μm)程度の粒子状の炭素材料、例えば黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等を好ましく用いることができる。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を好ましく用いることができる。増粘剤としては、重量平均分子量(Mw)が1万〜100万(例えば5万〜50万)の高分子化合物、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)等を好ましく用いることができる。溶媒としては、水系溶媒(例えば、イオン交換水)あるいは有機溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP))のいずれも使用可能である。環境負荷の軽減や廃棄物減量等の観点からは、水系溶媒を好ましく用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、ペーストには上記以外の成分(例えば各種添加剤)を適宜含有させることもできる。
ペーストの固形分濃度は、ペーストの塗布を安定的に行う観点から、70質量%以下(典型的には60質量%以下、例えば55%質量以下)に調整するとよい。また、後の乾燥工程に要する時間を短縮する観点からは、30質量%以上(典型的には40質量%以上、例えば45質量%以上)に調整するとよい。
ペーストの固形分全体に占める活物質の割合は、エネルギー密度の観点から、凡そ50質量%以上とするとよく、通常は70〜99質量%(例えば75〜95質量%)とすることが好ましい。また、ペーストの固形分全体に占めるバインダの割合は、機械的強度や耐久性の観点から、凡そ0.1〜30質量%とするとよく、通常は1〜25質量%とすることが好ましい。また、増粘剤等の各種添加剤を含ませる場合、ペーストの固形分全体に占める添加剤の割合は、通常は5質量%以下(例えば0.1〜3質量%)とすることが好ましい。
<2.ペーストの塗布>
ペーストの塗布では、上記調製したペーストを負極集電体の表面に塗布する。これにより、負極集電体の表面に、負極活物質とバインダと溶媒とを含む塗膜が形成される。ペーストの塗布には、例えば、ダイコーター、スリットコーター、グラビアコーター等の従来公知の塗布装置を用いることができる。また、負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料を好ましく用いることができる。
集電体の単位面積当たりのペーストの塗布量(目付量)は、2〜40mg/cm(典型的には5〜20mg/cm)程度とするとよい。また、ペーストの塗布厚みは、20μm以上(典型的には50μm以上)であって、例えば200μm以下(典型的には150μm以下)とするとよい。これにより、高エネルギー密度と高出力密度とを兼ね備えた電池を実現することができる。また、上記目付量が比較的多い、および/または、比較的厚めの塗膜(活物質層)は、乾燥に長い時間を要する傾向にある。このため、本発明の適用がより効果を奏する。
<3.溶媒の乾燥除去>
溶媒の乾燥除去では、塗膜付きの負極集電体を乾燥雰囲気に曝すことにより、該集電体の表面に塗布されたペースト(塗膜)から溶媒を乾燥除去する。乾燥手段としては、温度および圧力を調節する機能を備えたものであれば、従来公知の乾燥装置を適宜用いることができる。典型例として輻射(放射)加熱と真空乾燥とを併用した真空定温乾燥器が挙げられる。
塗膜の乾燥は、一般に(i)材料予熱工程、(ii)定率乾燥工程および(iii)減率乾燥工程の3つの工程を含む。ここに開示される製造方法では、(ii)定率乾燥工程における乾燥温度と雰囲気圧力とを制御することで、一連の乾燥除去工程における溶媒の蒸発速度を概ね一定に(典型的には±1mg/sec以内、例えば±0.5mg/sec以内)に維持する。これにより、マイグレーションを防止しつつ乾燥時間を短縮することができる。
一連の乾燥除去工程における溶媒の蒸発速度(乾燥速度)は特に限定されないが、生産性向上やマイグレーションの抑制、塗膜割れの発生を防止する観点等から、通常は10mg/sec以上(好ましくは15mg/sec以上、より好ましくは20mg/sec以上)であって、30mg/sec以下(好ましくは25mg/sec以下、例えば21mg/sec以下)に調整するとよい。これにより、例えば単位面積当たりのペーストの塗布量を比較的多くする、および/または、比較的厚めの塗膜(負極活物質層)を形成する場合であっても、バインダの偏在を抑制しつつ、比較的短時間(典型的には200秒以内、例えば150〜160秒)で溶媒の乾燥除去を完了することができる。
なお、蒸発速度は、例えば乾燥温度(炉内温度)や雰囲気圧力(乾燥炉内の圧力)によって調整することができる。一般に、その他の条件が同等であれば、乾燥温度が高いほど、および/または、雰囲気圧力が低いほど、蒸発速度が大きくなる傾向にある。
(i)材料予熱工程
材料予熱工程は、所定の乾燥温度と雰囲気圧力で、(典型的には室温環境下にある)塗膜を溶媒の蒸発温度まで加熱する工程である。具体的な乾燥温度や雰囲気圧力は特に限定されないが、一般に本工程の段階では塗膜中に多くの溶媒が含まれる。このため、極端に乾燥温度を高くおよび/または雰囲気圧力を低く設定すると、塗膜の表面が一気に収縮して塗膜割れが発生することがある。かかる観点から、本工程の乾燥温度は、通常200℃以下(典型的には180℃以下、例えば150℃以下)に設定するとよい。生産性を維持向上する観点からは、通常50℃以上(典型的には80℃以上、例えば100℃以上)に設定するとよい。特に沸点の比較的高い溶媒(例えば水系溶媒)を使用する場合には、110℃以上(例えば120℃以上)に設定するとよい。
また、上記と同様の理由から、本工程の雰囲気圧力は、凡そ−30Pa以上に設定するとよい。なかでも、−20Pa以上(例えば−15Pa以上)であって、大気圧より低く(例えば−5Pa以下に)設定するとよい。
(ii)定率乾燥工程
定率乾燥工程は、塗膜の表面から溶媒が蒸発することで乾燥が進み、塗膜中の含溶媒率がほぼ直線的に減少する工程である。ここに開示される製造方法では、本工程の乾燥温度を(i)材料予熱工程の乾燥温度よりも高く設定し、且つ、本工程の雰囲気圧力を(i)材料予熱工程の雰囲気圧力よりも高く設定する。これにより、マイグレーションの発生を効果的に抑制しつつも、蒸発速度を維持し、生産性を確保することができる。
具体的な乾燥温度や雰囲気圧力は特に限定されないが、極端に乾燥温度を高く設定すると、集電体が酸化されて電子伝導性が低下することがある。かかる観点から、本工程の乾燥温度は、(i)材料予熱工程の乾燥温度よりも高く、200℃以下(典型的には180℃以下、例えば150℃以下)に設定するとよい。マイグレーションの発生を効果的に抑制する観点や、生産性を維持向上する観点からは、通常80℃以上(典型的には100℃以上、例えば120℃以上)に設定するとよい。
また、本工程の雰囲気圧力は、生産性向上とマイグレーション防止の観点から、通常は大気圧より高く(例えば5Pa以上であって)、かつ20Pa以下(例えば10Pa以下)に設定するとよい。これにより、良質な(負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い)負極をより安定的に製造することができる。
(iii)減率乾燥工程
減率乾燥工程は、典型的には塗膜を構成する粒子間の細かい隙間から溶媒が穏やかに蒸発し、塗膜中の含溶媒率の変化が緩慢になる工程である。ここに開示される製造方法では、本工程の乾燥温度を(ii)定率乾燥工程よりも低く設定し、且つ、本工程の雰囲気圧力を(ii)定率乾燥工程の雰囲気圧力よりも低く設定する。
具体的な乾燥温度や雰囲気圧力は特に限定されないが、生産性向上の観点から、通常は50℃以上(典型的には80℃以上、例えば100℃以上)であって(ii)定率乾燥工程よりも低く設定するとよい。また、本工程では、乾燥に伴う塗膜の収縮はほぼ終了しているため、塗膜割れ等の性状変化に関連する不具合は生じ難いが、その反面、塗膜中に溶媒を殆ど含まないため、負極自身が高温になり易い傾向にある。したがって、乾燥温度を上げ過ぎると、負極集電体(金属箔)が焼き付き、該金属の表面に酸化被膜が形成されることによって電子伝導性が低下することがある。かかる観点から、通常は乾燥温度を200℃以下(典型的には180℃以下、例えば150℃以下)に設定するとよい。
また、本工程の雰囲気圧力は(ii)定率乾燥工程の雰囲気圧力よりも低く、生産性向上の観点から、典型的には大気圧よりも低く、例えば凡そ−5Pa以下に設定するとよい。また、生産コストを低減する観点からは、本工程の雰囲気圧力を凡そ−50Pa以上、典型的には−30Pa以上、例えば−20Pa以上に設定するとよい。
好適な一態様では、一連の乾燥工程における乾燥温度を、いずれも120〜160℃の範囲内に設定する。乾燥工程全体に渡って乾燥温度を120℃以上に設定することで、例えば比較的沸点の高い溶媒(典型的には水系溶媒)を用いる場合に乾燥時間を短縮することができる。また、乾燥工程全体に渡って乾燥温度を160℃以下に設定することで、負極集電体(金属箔)の表面に酸化被膜が形成されて導電性が低下することを防止し得る。なかでも、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の乾燥温度を、いずれも120〜140℃の範囲で同等(例えば±5℃の範囲内)の値に設定するとよい。
また、好適な他の一態様では、(i)材料予熱工程および(iii)減率乾燥工程の雰囲気圧力を概ね同等(例えば±2Paの範囲内)に設定する。これにより、良質な電極を一層安定的に製造することができる。
このようにして、負極集電体上に負極活物質層を備える負極を製造することができる。かかる負極では、負極活物質層内にバインダが均質に含まれるため、機械的強度に優れ、負極活物質層の剥離や崩落が生じ難い。したがって、該負極を備える非水電解質二次電池では、高い耐久性(例えばサイクル特性)を実現することができる。
≪非水電解質二次電池≫
上記のように作製した電極は、非水電解質二次電池の製造に用いることができる。すなわち、ここに開示される技術によれば、上記作製された負極と、正極と、非水電解質と、を電池ケース内に収容してなる非水電解質二次電池が提供される。
正極としては、正極活物質を導電材やバインダ等とともに正極集電体上に固着させ、正極活物質層を形成した形態のものを用いることができる。正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウム鉄系酸化物等の層状構造またはスピネル構造の酸化物や、リン酸マンガンリチウム、リン酸鉄リチウム等のオリビン構造のリン酸塩が好適に用いられる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリエチレンオキサイド(PEO)等が好適に用いられる。導電材としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)等の炭素材料が好適に用いられる。
電池ケースとしては、例えばアルミニウム等の軽量な金属材料からなるものが好適に用いられる。非水電解質は、典型的には非水溶媒と支持塩とを含有する。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒が好適に用いられる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が好ましい。支持塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等が好適に用いられ、なかでもLiPF、LiBF等のリチウム塩が好ましい。
ここに開示される非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、電極の耐久性(例えば負極活物質層の剥離強度)が高く、例えば充放電を繰り返しても容量低下の少ないものであり得る。したがって、かかる特徴を活かして、車両の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。なお、かかる非水電解質二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、定率乾燥工程の乾燥条件(具体的には、乾燥温度と雰囲気圧力)のみを変化させて実施例と比較例に係る2種類の負極を作製し、評価した。
すなわち、まず負極活物質としての球状黒鉛(平均粒子径:8μm)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR、平均粒子径:100nm)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC、重量平均分子量:10万〜30万)と、溶媒としてのイオン交換水とを用意した。次に、球状黒鉛とCMCとイオン交換水とを、100:1:160の質量比率で秤量し、ホモジナイザーを用いて混練した。次に、球状黒鉛100質量部に対してSBRを30質量部添加して撹拌することにより、負極活物質層形成用ペーストを調製した(ペーストの調製)。
次に、上記調製したペーストを、負極集電体としての銅箔(厚み10μm)上に、アプリケーターを用いて塗布した(ペーストの塗布)。
次に、上記ペーストを塗布した集電体を、図4に示す乾燥条件(乾燥温度および雰囲気圧力)に設定した熱風乾燥炉に入れて乾燥させた(溶媒の乾燥除去)。
これによって、負極集電体の片側の表面に凡そ100μmの負極活物質層を備えた負極(比較例、実施例)を作製した。図4には、あわせて乾燥工程の所要時間を示している。
負極活物質層内のバインダ濃度の分布を確認するため、ラマン分光法を用いて負極活物質層断面を観察した。具体的には、まず上記負極を包埋研磨して、負極活物質層の断面出しを行った。図5には、一試験例に係る負極活物質層の断面観察画像を表している。次に、図5中に黒塗りの菱形(◆)で示される5点について、顕微ラマン分光光度計を用いて負極活物質層の厚み方向のバインダ(SBR)の濃度分布を測定した。
一試験例に係る結果を、図6に示す。図6は、横軸に負極活物質層断面の集電体(図5中のbottom)からの距離をとり、縦軸にバインダ(SBR)の濃度分布を表している。ここでは、この5点を最小二乗法によって直線近似して、得られた近似式の傾きをマイグレーション度合いの指標とした。結果を図4および図7に示す。なお、マイグレーション度合いは値が小さいほどバインダの偏在が抑制され、負極活物質層内に均質にバインダが含まれることを表している。
図4および図7に示すように、マイグレーション分析結果から、蒸発速度が一定にもかかわらず、設定温度を高くした実施例(図7のb)のほうが、比較例(図7のa)に比べてマイグレーション度合いが低くなることがわかった。この理由としては、(1)定率乾燥工程の乾燥温度が高いことで、溶媒に含まれるバインダ粒子の拡散運動が速くなり、溶媒の蒸発によって塗膜内に生じた対流にバインダ粒子が追随し難くなることや、(2)乾燥温度の上昇によって負極活物質へのバインダの吸着能力が上がり、マイグレーションが抑制されること、等が考えられる。
従来の技術では、例えばペースト粘度を上げたり、乾燥時の蒸発速度を下げたりすることでマイグレーションを抑制することが一般的であった。しかしながら、ここに開示される製造方法によれば、ペースト粘度を変動させることなく、且つ、蒸発速度も保ったままで効果的にマイグレーションを抑制する(例えば、マイグレーション度合いを0.35以下に抑制する、好ましくは0.32以下に抑制する)ことができる。すなわち、生産性(生産速度)の維持向上とマイグレーションの抑制とを高いレベルで両立することができる。かかる結果は、本発明の技術的意義を表すものである。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. 非水電解質二次電池用の負極を製造する方法であって、
    負極活物質とバインダと溶媒とを含むスラリーを調製すること;
    前記スラリーを負極集電体の表面に塗布すること;および、
    前記負極集電体上に塗布された前記スラリーから前記溶媒を乾燥除去すること;
    を包含し、
    前記溶媒の乾燥除去は、材料予熱工程、定率乾燥工程および減率乾燥工程を含み、
    前記定率乾燥工程の雰囲気圧力は、前記材料予熱工程および前記減率乾燥工程の雰囲気圧力よりも高く設定し、且つ、
    前記定率乾燥工程の乾燥温度は、前記材料予熱工程および前記減率乾燥工程の乾燥温度よりも高く設定する、電極製造方法。
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