JP2016110717A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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信之 山崎
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Abstract

【課題】 表面にフッ化リチウムが形成されることを抑制しつつ,フッ素を含む材料により適切に被覆することのできる正極活物質の製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明は,表面の少なくとも一部が,フッ素を含む材料により被覆されてなる正極活物質の製造方法に関する。また,リチウムと遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物を活物質素材として用い,活物質素材を三フッ化窒素の雰囲気下におくことにより,活物質素材の遷移金属をフッ素化するフッ素化工程を有する。そして,フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行う【選択図】図1

Description

本発明は,正極活物質の製造方法に関する。より詳細には,表面がフッ素を含む材料により被覆されてなる正極活物質の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池には,高出力化や高容量化など,さらなる性能の向上が求められている。また,高性能なリチウムイオン二次電池を製造するための課題として,正極活物質の高電位化が挙げられる。
ところで,高電位な正極活物質を用いて製造されたリチウムイオン二次電池では,作動電圧が高くなるため,充放電時に電解液の分解が生じてしまうおそれがある。電解液の分解が生じてしまったリチウムイオン二次電池では,容量維持率が低下してしまう。このため,電解液の分解は抑制されていることが好ましい。
例えば,特許文献1には,正極活物質として表面がフッ素を含有する材料で被覆されているものを用いることにより,リチウムイオン二次電池における電解液の分解を抑制することができると記載されている。また,特許文献1においては,表面がフッ素を含有する材料で被覆された正極活物質を,その素材となる材料をフッ素ガスの雰囲気中で加熱することにより製造している。
特開2012−181975号公報
しかしながら,上記の従来技術において正極活物質の製造に用いているフッ素ガスは,常温でも強い酸化力を持つものである。つまり,フッ素ガスの雰囲気中で加熱することにより製造した正極活物質の表面には,フッ化リチウムが過剰に形成されてしまうことがあった。
そして,表面にフッ化リチウムが過剰に形成された正極活物質を用いて製造されたリチウムイオン二次電池においては,充電容量の低下や内部抵抗の増加などが生じてしまうという問題があった。すなわち,酸化力の強いフッ素ガスを用いて正極活物質を製造することで,その後,電池性能の高いリチウムイオン二次電池を製造することができないという問題があった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,表面にフッ化リチウムが形成されることを抑制しつつ,フッ素を含む材料により適切に被覆することのできる正極活物質の製造方法を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の正極活物質の製造方法は,表面の少なくとも一部が,フッ素を含む材料により被覆されてなる正極活物質の製造方法であって,リチウムと遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物を活物質素材として用い,活物質素材を三フッ化窒素の雰囲気下におくことにより,活物質素材の遷移金属をフッ素化するフッ素化工程を有し,フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行うことを特徴とする正極活物質の製造方法である。
この正極活物質の製造方法では,フッ素化工程において,フッ素よりも酸化力の弱い三フッ化窒素を用いる。また,フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行う。圧力が高過ぎた場合には,酸化力の弱い三フッ化窒素によっても,フッ化リチウムの形成が促進されてしまう。一方,圧力が低過ぎた場合には,活物質素材中の遷移金属のフッ素化処理が不十分となってしまう。そして,本発明により,フッ化リチウムの形成が抑制されているとともに,フッ素を含む材料により適切に被覆された正極活物質を製造することができる。
本発明によれば,表面にフッ化リチウムが形成されることを抑制しつつ,フッ素を含む材料により適切に被覆することのできる正極活物質の製造方法が提供されている。
本形態に係る正極活物質を用いて作製した正極板を有するリチウムイオン二次電池の初期容量,初期内部抵抗,容量維持率を示す図である。 本形態に係る正極活物質とリン酸トリリチウムとを用いて作製した正極板を有するリチウムイオン二次電池の初期容量,初期内部抵抗,容量維持率を示す図である。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず,本形態における正極活物質の素材としては,スピネル型の構造を有するLiNiMn系のものであり,Liの,NiとMnとの合計(Mall)に対するモル比が1.1より小さいもの(mLi/mMall<1.1)であることが好ましい。このようなLiNiMn系のものを用いることにより,正極活物質の高電位化を図ることができるからである。
具体的には,本形態では,LiNi1/2Mn3/2を用いることとして説明する。なお,その他にも,正極活物質の素材として,リチウムと遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であれば用いることが可能である。
そして,本形態では,LiNi1/2Mn3/2を素材として用い,その表面の少なくとも一部を,フッ素を含む材料により被覆することで正極活物質を製造する。具体的には,素材であるLiNi1/2Mn3/2の表面のNiまたはMn(遷移金属)をフッ素化することで,そのフッ素化してなる材料により表面が被覆された正極活物質を製造する。
また,本形態では,素材であるLiNi1/2Mn3/2を,三フッ化窒素(NF)の雰囲気下におくフッ素化工程により,素材表面のNiまたはMnをフッ素化する。フッ素化工程は,三フッ化窒素ガスを,素材であるLiNi1/2Mn3/2に向けて噴射することなどにより行うことができる。
ここで,三フッ化窒素は,フッ素(F)よりも酸化力の弱いものである。つまり,フッ素化工程においてフッ素ガスを用いた場合,フッ素の酸化力が強過ぎるため,素材であるLiNi1/2Mn3/2の表面に過剰なフッ化リチウム(LiF)が形成されてしまう。素材であるLiNi1/2Mn3/2のうちのLiが,フッ素と過剰反応してしまうからである。
これに対し,本形態のフッ素化工程においては,酸化力がフッ素よりも弱い三フッ化窒素のガスを用いるため,フッ化リチウムの形成を抑制しつつ,NiまたはMnについて適切にフッ素化することができる。これにより,素材の表面を,素材中のNiまたはMnをフッ素化してなる材料により適切に被覆しつつ正極活物質を製造することができる。
また,本形態では,フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行う。具体的には,三フッ化窒素ガスの噴射圧を,上記の範囲内とする。フッ素化工程の圧力が高過ぎた場合には,酸化力の弱い三フッ化窒素によっても,フッ化リチウムの形成が促進されてしまう。
一方,圧力が低過ぎた場合には,素材中のNiまたはMnのフッ素化処理が不十分となってしまう。すなわち,フッ素化工程を0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行うことにより,フッ化リチウムの形成を抑制するとともに,素材の表面をNiまたはMnをフッ素化してなる材料により適切に被覆することができるからである。
[効果の確認]
ここで,本発明者らは,以下に説明する第1および第2の実験により本形態の効果の確認を行った。実験では,本形態に係る製造方法により製造された正極活物質を用いて実施例のリチウムイオン二次電池を作製し,そのリチウムイオン二次電池を用いた。
まず,第1の実験より説明する。第1の実験では,実施例のリチウムイオン二次電池を,上記で説明した本形態の正極活物質に係る正極板を用いて作製した。正極板は,正極活物質を含む正極ペーストを作製し,その正極ペーストを集電箔であるアルミニウム箔に塗工後,乾燥し,さらに厚み方向にプレスすることにより正極活物質層を形成して作製した。また,正極ペーストは,正極活物質を,導電材や結着剤とともに溶媒中にて混練することにより作製した。
なお,正極ペーストは,以下の材料および条件により作製した。
[正極ペースト材料]
正極活物質の素材:LiNi1/2Mn3/2(mLi/mMall<1.1)
正極活物質のフッ素化工程の条件:三フッ化窒素(0.4kPa〜1.0kPa)
導電材:アセチレンブラック(AB)
結着剤:ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
溶媒:N−メチルピロリドン(NMP)
[正極ペースト作製条件]
ペースト作製装置:高速分散機ホモディスパー
回転数:2000〜4000[rpm]
ペースト粘度:2.5[Pas]
また,正極板の作製条件を以下に示す。
塗工装置:コンマコーター
塗工条件:0.8[m/min]
乾燥条件:140〜190[℃]
プレス装置:小型ロールプレス機
プレス条件(正極活物質層):2.2〜2.4[g/cm
さらに,実施例のリチウムイオン二次電池は,上記により作製した正極板を負極板とともに積層して電極体となし,その電極体を電解液とともに電池ケース内部に収容することで作製した。電解液としては,エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比1:1の割合で混合した混合有機溶媒に,電解質であるリチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を添加し,Liイオンを1mol/lの濃度としたものを用いた。
また,上記の実施例と比較するための比較例のリチウムイオン二次電池についても作製した。比較例のリチウムイオン二次電池についても,正極活物質に施すフッ素化工程の条件以外については,上記の実施例と同様に作製した。以下の表1に,実施例および比較例に使用した正極活物質のそれぞれについて,フッ素化工程の条件を示している。
Figure 2016110717
すなわち,上記の表1に示すように,実施例1,2に用いた正極活物質はいずれも,フッ素化工程を,三フッ化窒素(NF)の雰囲気下において,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行ったものである。これに対し,比較例1については,フッ素化工程を行わず,LiNi1/2Mn3/2をそのまま,正極活物質として用いたものである。比較例2については,フッ素化工程を,フッ素(F)の雰囲気下で行ったものである。比較例3,4については,フッ素化工程を,三フッ化窒素(NF)の雰囲気下ではあるが,0.4kPa〜1.0kPaの範囲外の圧力で行った正極活物質を用いたものである。なお,フッ素化工程の時間は,実施例および比較例のいずれについても,1時間とした。また,フッ素化工程は,25℃の環境温度の下,それぞれ表1の圧力で三フッ化窒素ガスまたはフッ素ガスを噴射することにより行った。
そして,本実験においては,上記の実施例と比較例のリチウムイオン二次電池についてそれぞれ,初期容量比,初期内部抵抗比,容量維持率を求め,これらを比較した。
初期容量比は,作製した実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について初期充電を行うことでそれぞれ初期容量を測定し,実施例および比較例のそれぞれの初期容量について,比較例1の初期容量に対する比率により算出したものである。初期充電においては,実施例および比較例のリチウムイオン二次電池についてそれぞれ,CC(Constant Current)充電を行った。CC充電においては,満充電容量を1時間で充電または放電することのできる電流値を1CとしたCレートにおいて1/3Cの一定の電流値で,電圧が0Vから4.9Vとなるまで充電した。
また,この初期充電では,正極活物質の表面を被覆しているフッ素化された材料により,正極活物質の表面に被膜が形成される。そして,正極活物質に被膜が形成されていることにより,リチウムイオン二次電池では,充放電に伴って,電解液が分解されてしまうことを抑制することができる。
初期内部抵抗比は,実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について初期内部抵抗を測定し,実施例および比較例のそれぞれの初期内部抵抗について,比較例1の初期内部抵抗に対する比率により算出したものである。また,初期内部抵抗の測定は,温度25℃の環境で,SOCが60%の状態から一定時間放電させ,その間の電圧の変化量により行った。
容量維持率は,実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について,初期容量および内部抵抗の測定後,サイクル試験を行い,サイクル試験後の充電容量の初期容量に対する比率により求めた。サイクル試験は,温度60℃の環境で,CC充電およびCC放電をそれぞれ200回,交互に繰り返し行った。CC充電においては,2Cの一定の電流値で,電圧が4.9Vとなるまで充電した。CC放電においては,2Cの一定の電流値で,電圧が3.5Vとなるまで放電させた。また,サイクル試験後の充電容量については,初期容量と同様の条件により測定した。
図1に,本実験において,実施例と比較例のリチウムイオン二次電池についてそれぞれ求めた初期容量比,初期内部抵抗比,容量維持率を示している。図1において,初期容量比を棒グラフにより,初期内部抵抗比をプロットにより,容量維持率を上方の表により示している。
図1に示すように,フッ素化工程を実施していない正極活物質により作製した比較例1は,容量維持率が低いものである。本実験で正極活物質に用いたLiNi1/2Mn3/2(mLi/mMall<1.1)は,高電位なものであり,リチウムイオン二次電池の充放電時に電解液の分解が生じてしまいやすいものである。また比較例1では,正極活物質に電解液の分解を抑制するための被膜が形成されていない。このため,充放電とともに電解液の分解が生じてしまったと考えられる。よって,比較例1は,使用とともに劣化しやすく,寿命の短いものである。
図1に示すように,比較例2,3については,初期容量比が,100%よりも低いものである。つまり,比較例2,3については,比較例1よりも初期容量が少ないものである。また,比較例2,3については,初期内部抵抗比が,100%よりも高いものである。つまり,比較例2,3については,比較例1よりも初期内部抵抗が高いものである。
比較例2の正極活物質は,酸化力の強いフッ素ガスによりフッ素化工程を行ったものである。このため,比較例2については,正極活物質の表面にフッ化リチウムが形成され過ぎてしまっていたと考えられる。一方,比較例3の正極活物質は,フッ素化工程を,酸化力がフッ素ガスよりも弱い三フッ化窒素を用いて行ったものである。しかし,比較例3については,フッ素化工程を,1.30kPaと高い圧力で行っている。このため,比較例3では,フッ素化工程におけるフッ素化が促進され過ぎてしまったことで,正極活物質の表面にフッ化リチウムが形成され過ぎてしまっていたと考えられる。
よって,比較例2,3はともに,正極活物質の表面にフッ化リチウムが形成され過ぎていたことにより,初期容量が低下し,初期内部抵抗が上昇してしまったと考えられる。また,図1に示すように,比較例2,3はともに,比較例1よりもわずかに容量維持率が高い程度である。つまり,比較例2,3についても,使用とともに劣化しやすく,寿命の短いものである。
比較例4については,初期容量比および初期内部抵抗比が100%程度である。つまり,比較例4は,初期容量および初期内部抵抗が比較例1と同等のものである。比較例4では,フッ素化工程において,正極活物質の表面にフッ化リチウムがそれほど形成されていないからである。
しかし,比較例4についても,容量維持率が低いものである。比較例4の正極活物質は,フッ素化工程を,三フッ化窒素を用いつつ,0.10kPaと低い圧力で行ったものである。このため,フッ素化が十分ではなく,正極活物質に電解液の分解を抑制するための被膜が十分に形成されていないため,充放電とともに電解液の分解が生じてしまったと考えられる。よって,比較例4についても,使用とともに劣化しやすく,寿命の短いものである。
実施例1,2についてはともに,図1に示すように,初期容量および初期内部抵抗が,比較例1と同等のものである。すなわち,実施例1,2については,フッ素化工程におけるフッ化リチウムの形成が抑制されていることが分かる。
また,図1に示すように,実施例1,2はともに,容量維持率が高いものである。すなわち,実施例1,2では,フッ素化工程を,三フッ化窒素を用い,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行ったものである。このため,実施例1,2においては,正極活物質の表面に,電解液の分解を抑制するための被膜が十分に形成されていると考えられる。これにより,高電位であるLiNi1/2Mn3/2(mLi/mMall<1.1)を用いたリチウムイオン二次電池において,電解液の分解が抑制されていると考えられる。
よって,第1の実験により,正極活物質を,三フッ化窒素を用いつつ,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行うフッ素化工程により,フッ化リチウムの形成を抑制しつつ,フッ素を含む材料により適切に被覆することができることがわかる。そして,その正極活物質を用いることにより,品質の高いリチウムイオン電池を製造することができることが確認された。
次に,第2の実験について説明する。第2の実験においても,実施例のリチウムイオン二次電池を,本形態の正極活物質に係る正極板を用いて作製した。本実験においても,リチウムイオン二次電池の構成や製造方法は,基本的には,第1の実験において説明したものと同じである。ただし,本実験においては,実施例に用いる正極ペーストを,上記の第1の実験に用いた正極ペースト材料にさらに,リン酸トリリチウム(LiPO)を添加することにより作製した。
そして,本実験においても,実施例と比較するための比較例のリチウムイオン二次電池を作製した。以下の表2に,本実験において,実施例および比較例に使用した正極活物質のそれぞれについてのフッ素化工程の条件,およびリン酸トリリチウムの添加の有無を示している。
Figure 2016110717
すなわち,上記の表2に示すように,実施例3,4に用いた正極活物質はいずれも,フッ素化工程を,三フッ化窒素(NF)の雰囲気下において,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行ったものである。これに対し,比較例1については,第1の実験と同様,フッ素化工程を行わず,LiNi1/2Mn3/2をそのまま,正極活物質として用いたものである。比較例5についても,フッ素化工程を行わず,LiNi1/2Mn3/2をそのまま,正極活物質として用いたものである。
参考例1,2については,フッ素化工程を,三フッ化窒素(NF)の雰囲気下において,0.4kPaの以下の圧力で行った正極活物質を用いたものである。なお,フッ素化工程の時間は,実施例および参考例のいずれについても,1時間とした。また,フッ素化工程は,25℃の環境温度の下,それぞれ表2の圧力で三フッ化窒素ガスを噴射することにより行った。
さらに,比較例1以外については,正極板として,リン酸トリリチウムを添加した正極ペーストを用いて作製したものを用いた。リン酸トリリチウムの添加量は,正極ペーストの固形分において,1wt%となる量とした。
そして,本実験においても,実施例,比較例,参考例のリチウムイオン二次電池についてそれぞれ,初期容量比,初期内部抵抗比,容量維持率を求め,これらを比較した。初期容量比,初期内部抵抗比,容量維持率に係る測定方法および算出方法については,第1の実験と同じである。
図2に,本実験において,実施例,比較例,参考例のリチウムイオン二次電池についてそれぞれ求めた初期容量比,初期内部抵抗比,容量維持率を示している。図2においても,初期容量比を棒グラフにより,初期内部抵抗比をプロットにより,容量維持率を上方の表により示している。図2に示すように,比較例1については,図1のものと同様である。
比較例5は,図2に示すように,初期容量が多く,初期内部抵抗が高いものである。また,比較例5は,容量維持率がある程度高いものである。これは,正極板を,リン酸トリリチウムを添加した正極ペーストを用いて作製したことによるものである。すなわち,初期充電時において,正極活物質の表面に,添加したリン酸トリリチウムに係る被膜が形成されたことによるものである。
実施例3,4についてはともに,図2に示すように,初期容量が比較例1と同等程度である。フッ素化工程におけるフッ化リチウムの形成が抑制されているからである。また,初期内部抵抗については,リン酸トリリチウムの添加により,比較例1よりもやや高い値を示している。
また,図2に示すように,実施例3,4はともに,容量維持率が高いものである。すなわち,実施例3,4は,フッ素化工程を,三フッ化窒素を用い,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行ったものである。これにより,正極活物質の表面に,電解液の分解を抑制するための被膜が十分に形成されているからである。さらには,正極ペーストにリン酸トリリチウムを添加して作製したものだからである。
よって,第2の実験においても,正極活物質を,三フッ化窒素を用いつつ,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行うフッ素化工程により,フッ化リチウムの形成を抑制するとともに,フッ素を含む材料により被覆することができることがわかる。そして,その正極活物質を用いることにより,品質の高いリチウムイオン電池を製造することができる。
また,参考例1については,図2に示すように,初期容量および初期内部抵抗が,実施例3,4と同等のものである。また,参考例1については,容量維持率についても十分に高いものである。つまり,正極ペーストにリン酸トリリチウムを添加した場合には,フッ素化工程における圧力を,やや低い0.10kPaとしたとしても,品質の高いリチウムイオン二次電池を製造することができることがわかる。
参考例2については,容量維持率がやや低いものである。これは,フッ素化工程における圧力が,低過ぎるからであると考えられる。すなわち,正極活物質の表面のフッ素化処理が不十分であり,電解液の分解を抑制する効果が十分に発揮されなかったからであると考えられる。
以上詳細に説明したように,本実施の形態では,正極活物質を,三フッ化窒素の雰囲気下におくことにより,活物質素材であるLiNi1/2Mn3/2の遷移金属をフッ素化するフッ素化工程を行うことにより製造する。また,フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行う。これにより,表面にフッ化リチウムが形成されることを抑制しつつ,フッ素を含む材料により適切に被覆することのできる正極活物質の製造方法が実現されている。そして,この製造方法により製造された正極活物質を用いることにより,品質の高いリチウムイオン二次電池を製造することができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。

Claims (1)

  1. 表面の少なくとも一部が,フッ素を含む材料により被覆されてなる正極活物質の製造方法において,
    リチウムと遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物を活物質素材として用い,前記活物質素材を三フッ化窒素の雰囲気下におくことにより,前記活物質素材の前記遷移金属をフッ素化するフッ素化工程を有し,
    前記フッ素化工程を,0.4kPa〜1.0kPaの範囲内の圧力で行うことを特徴とする正極活物質の製造方法。
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