JP6662155B2 - リチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スラリー粘度の経時変化により正極材スラリーの安定性を評価するリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法に関する。
リチウムイオン二次電池は高いエネルギー密度を持つため、近年小型化や軽量化を要求される携帯電話やノートパソコンのような携帯電子機器に広く利用されている。また自動車用途ではクリーンなエネルギー源として開発が盛んであり、小型、軽量、高容量、高出力などの高性能化や低コスト化が求められている。
これらリチウムイオン二次電池に用いられる正極は、主に直径数μmから数十μmを持つコバルト酸リチウムなどのリチウム含有遷移金属酸化物と、電子伝導性を向上させるための直径数nm〜数百nmでストラクチャー構造を持つカーボンブラックなどの導電助材と、それらを集電体に所望の厚みで固着させるためのポリフッ化ビニリデン(以下PVDFともいう)などのバインダーの三つで構成される。これらの材料は一般的には粉体のまま使用されることはなく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒で適正な粘度にスラリー化して扱われる。上記正極を構成する材料に有機溶媒を加えて混練して作製された正極材スラリーは、ダイコーターやロールコーターなどの精密塗工装置を用いて厚さ数十μmのアルミニウム集電体上に精密に塗工され、その後、乾燥、圧縮、裁断工程を経て正極となる。
現在、市場の多くを占めるリチウムイオン二次電池用正極活物質にはコバルト酸リチウムが主として用いられており、その容量は約150mAh/gである。その中で、200mAh/gと高い容量が得られるリチウムニッケル系正極材料は、ハイブリッド車および電気自動車用電池の正極材料として開発が進んでいる。
リチウムニッケル系正極材料は、容量の面では非常に魅力的な材料であるが、リチウムコバルト系正極材料と比べ吸水率が高くアルカリ性も高い(当該正極材料を浸漬した水のpHは約11〜12となる)。このような正極材料を一般的にバインダーとして用いられているポリフッ化ビニリデン(PVDF)と混練して正極を製造しようとした場合、急激な粘度上昇やゲル化(スラリーの非流動化)といった問題が起こる。この現象は正極活物質のアルカリとの反応でPVDF内のHFが脱離することでC−H結合が切れ、C=C結合が生成し、この二重結合から架橋反応が一気に進行して起こるものと報告されている。また、リチウムニッケルコバルトマンガン三元系正極材料においても高容量化を狙い、組成をニッケルリッチに振る検討も進められているが、容量が上がる一方で、アルカリ性も高くなり、リチウムニッケル系正極材料と同様にゲル化等、スラリー安定性の問題が起こっている。
従って、リチウムニッケル系正極材料開発を迅速に進めるためには、通常の電池性能の評価だけでなくスラリー安定性評価も非常に重要な要素となる。
従来から、リチウムイオン二次電池用正極材スラリー安定性評価は、粘度の経時変化をモニタリングする方法や、目視によるゲル化(スラリーの非流動化)の有無により評価されている。この粘度上昇や、ゲル化の主要因は先述の正極活物質中のアルカリによるものであることから、スラリーの安定性評価はそれらの性質の強弱と相関する評価が得られることが好ましい。しかし、正極活物質は吸水率が高く、また、溶媒として用いられているN−メチル−2−ピロリドンの吸水率は無限大であり、水分が存在する環境下では、それらが吸水し、水分によって正極活物質内部よりアルカリが抽出されゲル化が加速する。また、さらにスラリー中の水分率が高くなった場合には、アルカリがなくともPVDFが析出し、スラリーの非流動化が起こる。これらのことから従来の水分管理されていない環境で、正極活物質部材に水分が付着した状態での評価では、再現性の高い評価ができなかった。
例えば、特許文献1には、電池用正極シートの製造方法において、正極材ペーストの混練時、送液時、保管時の温度を低温度に保持し、雰囲気を低湿度雰囲気にすることが記載されている。
また、他の評価方法として、正極活物質を水に浸漬させpHを測定する方法があるが、水分により正極活物質内部よりアルカリが抽出されることから、有機溶媒中でスラリーを製造する際に問題となるPVDFと接する正極活物質表面のアルカリ度との相関を得るのは難しかった。
特開平11−120991号公報
上述した通り、リチウムイオン二次電池用正極スラリーの安定性評価を再現性良く安定的に行うためには水分の制御は重要であり付着する水分は少ない程良い。しかしながら、水分を極少に抑えて評価を行うと、アルカリとの反応性(感度ともいう)が小さくなりすぎるため、評価サンプルのゲル化が発生せず、スラリー安定性評価ができないという問題が生じていた。
特許文献1には、低湿度雰囲気で電池用正極シートを製造することは記載されているが、具体的な条件や、水分を極少に抑えた時に生じるアルカリへの感度の低下に対する対応については記載されていない。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、水分の影響を極少に抑えると共に、正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させ、再現性良く安定的な評価を行うことができるリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法を提供する。
本発明者等は、上記課題の解決方法について詳細に検討した結果、リチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価を再現性良く安定的に行うには、水分の影響を極少に抑える方法として、正極材スラリーの製造と粘度測定を露点−30℃以下に管理した環境下で行うことが有効であり、また、正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させるには、正極材スラリーの作製に用いるバインダーとして、官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることが有効である、との知見を得て、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の一態様は、スラリー粘度の経時変化により正極材スラリーの安定性を評価するリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法であって、正極活物質と導電助材とバインダーを混練し、有機溶媒に分散させて正極材スラリーとするスラリー製造工程と、スラリー製造工程で得られた正極材スラリーのスラリー粘度の経時変化を測定することで評価を行う粘度測定工程を有し、正極材スラリー製造工程と粘度測定工程を露点−30℃以下に管理した環境下で行い、バインダーに官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、正極材スラリー製造工程と粘度測定工程を露点−30℃以下に管理した環境下で行うことで、水分の影響を極少に抑えると共に、バインダーに官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることで正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させることができる。
このとき、本発明の一態様では、正極活物質は、120℃で3時間以上真空減圧乾燥されたものであるとしてもよい。
正極活物質を真空減圧乾燥しておくことで、正極活物質に含まれる水分を除去することができる。
また、このとき、導電助材は、120℃で3時間以上真空減圧乾燥したカーボンブラックであるとしてもよい。
導電助材についても、同様に、真空減圧乾燥することで予め水分を除去しておくことが好ましい。
また、本発明の一態様では、有機溶媒は、水分含量が30ppm以下のN−メチル−2−ピロリドンであってもよい。
有機溶媒についても、水分含量が少ないものを用いることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、水分の影響を極少に抑えると共に、正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させ、再現性良く安定的な評価を行うことができるリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法のプロセスの概略を示す工程図である。 実施例1〜4における正極材スラリーの粘度の継時変化を示す図である。 比較例1における正極材スラリーの粘度の継時変化を示す図である。 比較例2における正極材スラリーの粘度の継時変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.リチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法
1−1.スラリー製造工程
1−2.粘度測定工程
<1.リチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法>
図1に、本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法のプロセスの概略を示す。
本発明の一実施形態は、スラリー粘度の経時変化により正極材スラリーの安定性を評価するリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法であって、正極活物質と導電助材とバインダーを混練し、有機溶媒に分散させて正極材スラリーとするスラリー製造工程S1と、スラリー製造工程で得られた正極材スラリーのスラリー粘度の経時変化を測定することで評価を行う粘度測定工程S2を有し、正極材スラリー製造工程と粘度測定工程を露点−30℃以下に管理した環境下で行い、バインダーに官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることを特徴とする。
このように、正極材スラリー製造工程と粘度測定工程を露点−30℃以下に管理した環境下で行うことで、水分の影響を極少に抑えると共に、バインダーに官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることで正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させ、再現性良く安定的な正極材スラリーの安定性評価を行うことができる。
以下、各工程を順にそれぞれ説明する。
(1−1.スラリー製造工程)
スラリー製造工程S1では、正極活物質と導電助材とバインダーを混練し、有機溶媒に分散させて正極材スラリーとする。
本発明で製造するリチウムイオン二次電池用正極材スラリーは、その基本的構成は、従来公知の電池と同様であり、正極活物質、導電助材、バインダーから構成される。それらの混合比については、最終製品である電池の混合比に合わせた混合比とすることができる。
正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。例として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リチウム遷移金属複合酸化物(コバルト、ニッケル及びマンガンからなる群から選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)などが挙げられる。これらのリチウム含有遷移金属酸化物から選択した正極活物質について、正極材スラリーの安定性評価を行う。
導電助材は、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(昭和電工(株)製VGCF(登録商標))、ケッチェンブランク等の炭素系のナノ粒子又はナノファイバーの他、人造黒鉛や、天然黒鉛を用いることができ、これらの導電助材を単独、あるいはこれらを組み合わせて用いることができる。
バインダーには、PVDF分子に官能基を付加したPVDF系バインダーを用いることが必要である。官能基の種類は特に限定はされないが、アルカリのアタックによりPVDF内からHFが脱離するか、水が生成するか、又は酸素の付加反応により架橋が進むものであることが好ましい。
正極材スラリーの安定性評価を再現性良く安定的に行うためには水分の制御は重要であり付着する水分は少ない程良いが、水分を極少に抑えると、通常用いられる官能基の無いPDVFではアルカリと反応しなくなり、アルカリへの感度が小さくなりすぎるという問題が生じていた。本発明では、この問題を解決するために、通常は負極用のバインダーとして用いられ、アルカリに対する感度の高い官能基付きポリフッ化ビニリデン(PVDF)を正極材スラリーのバインダーとして適用する。これにより、水分の影響を極少に抑えた状態でも、正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させ、再現性良く安定的な評価を行うことができる。
正極活物質と導電助材の付着水分は除去しておくことが好ましく、乾燥条件としては120〜240℃で3時間以上の真空減圧乾燥することが好ましい。
有機溶媒は、脱水グレード(例えば、水分含量30ppm以下)、あるいは電池グレード(例えば、水分含量100ppm以下)のN−メチル−2−ピロリドンなど水分率の低いものを用いることが好ましいが、特に脱水グレードを用いることがより好ましい。
スラリー製造工程S1では、これらの正極活物質、導電助材、及び、バインダーを混練し、有機溶媒中に分散させる。スラリー製造工程S1では、これらの作業を露点−30℃以上の環境で行うことで、水分の混入を極少に抑える。
正極材スラリーの作製には、プラネタリーミキサーや、二軸混練機、ホモジナイザー、自転公転ミキサーを用いることができるが、密閉容器で混練可能な自転公転ミキサーを用いることが好ましい。
(1−2.粘度測定工程)
粘度測定工程S2では、スラリー製造工程S1で得られた正極材スラリーのスラリー粘度の経時変化を測定することで評価を行う。
粘度測定は、露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計を用いて行い、正極材スラリーのスラリー粘度の経時変化を測定する。測定時以外の保管時においても、露点−30℃に管理する。すなわち、粘度測定工程S2では、スラリー粘度測定環境及びスラリーの保管環境を露点−30℃以下とする。
正極材スラリーの粘度は、1,000〜8,000cpsに調整することが好ましく、ゲル化の判断の容易さから2,000〜3,000cpsに調整することがさらに好ましい。正極材スラリーの粘度がスラリー作製時の粘度から上昇傾向を示すことでゲル化の判断ができる。粘度測定工程S2では、正極材スラリーの粘度がスラリー作製時の粘度からの変化率が20〜30%の範囲にあるかによりゲル化を判断し、ゲル化までの経過時間を見てスラリーの安定性評価を行うことができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法によれば、露点−30℃に管理することで水分の影響を極少に抑えると共に、官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることで正極活物質表面のアルカリに対する感度を向上させ、再現性良く安定的な評価を行うことができるリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法を提供することができる。
なお、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法で製造した、正極材スラリーは評価用のものではあるが、実際にリチウムイオン二次電池用正極材料として用いても良い。すなわち、上述した正極活物質と導電助材とバインダーを混練し、有機溶媒に分散させて正極材スラリーを製造し、シート法又は塗工法によりリチウムイオン二次電池用の正極を製造することもできる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[正極活物質水分除去]
実施例1では、正極活物質としてニッケル酸リチウムを用いた。正極活物質は、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行うことで水分を除去した。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極材スラリー作製は、露点−30℃以下に管理されたドライルーム内で、上述の水分除去した正極活物質と導電助材とバインダーが固体質量比91:6:3になるように撹拌機(シンキー社製、あわとり練太郎(登録商標)(型番:ARE−310))を用いて混練した。バインダーは、官能基付きPVDF溶液(クレハ製、NMP溶液タイプ型番#L9305)を用いた。その後、脱水グレード(水分含量30ppm以下)のNMP(関東化学製)を適量添加し、同装置を用いて混練して所望の粘度の正極材スラリーを得た。
[粘度測定]
正極材スラリーの粘度測定は、露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで、得られた正極材スラリーの粘度を測定した。初期粘度は2,071cpsであった。スラリーはポリプロピレン製密閉容器に入れ、露点−30℃に管理されたドライルーム内で保管した。その後、継続的に粘度の測定を行った結果、28時間経過後の粘度は4,739cpsであり、アルカリ性の高いリチウムニッケル系正極材料では、粘度が大きく上昇した。実施例1における正極材スラリーの粘度の継時変化を図2に示す。
(実施例2)
[正極活物質水分除去]
実施例2では、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた。正極活物質は、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行うことで水分を除去した。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極材スラリー作製は実施例1と同条件とした。
[粘度測定]
露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで得られた正極スラリーの粘度を測定した。初期粘度は1,651cpsであった。スラリーはポリプロピレン製密閉容器に入れ、露点−30℃に管理されたドライルーム内で保管した。その後、継続的に粘度の測定を行った結果、28時間経過後の粘度は1,706cpsであり、リチウムコバルト系正極材料では粘度上昇は見られなかった。実施例2における正極材スラリーの粘度の継時変化を図2に示す。
(実施例3)
[正極活物質水分除去]
実施例3では、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比1:1:1)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極材スラリー作製は実施例1と同条件とした。
[粘度測定]
露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで、得られた正極スラリーの粘度を測定した。初期粘度は1,563cpsであった。スラリーはポリプロピレン製密閉容器に入れ、露点−30℃に管理されたドライルーム内で保管した。その後、継続的に粘度の測定を行った結果、28時間経過後の粘度は2,865cpsであった。実施例3における正極材スラリーの粘度の継時変化を図2に示す。リチウム遷移金属複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比1:1:1)材料の粘度上昇は、実施例1のリチウムニッケル系正極材料と比べると小さいが、実施例2のリチウムコバルト系正極材料と比べると大きい結果となった。
(実施例4)
[正極活物質水分除去]
実施例4では、正極活物質として、ニッケル比率の高いリチウム遷移金属複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比5:1:2)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極スラリー作製は実施例1と同条件とした。
[粘度測定]
露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで、得られた正極スラリーの粘度を測定した。初期粘度は1,912cpsであった。スラリーはポリプロピレン製密閉容器に入れ、露点−30℃に管理されたドライルーム内で保管した。その後、継続的に粘度の測定をおこなった結果、28時間経過後の粘度は4,278cpsであった。実施例4における正極材スラリーの粘度の継時変化を図2に示す。ニッケル比率の高いリチウム遷移金属複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比5:1:2)では、リチウムニッケル系正極材料に次ぐ大きな粘度上昇が見られた。
以上より、水分を極小に抑えた環境下で正極材スラリーの安定性評価を行った実施例1〜4においては、アルカリ性の高いニッケルの比率が高いほど大きな粘度上昇が見られた。したがって、本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料のスラリー安定性評価方法を適用することで、正極活物質表面のアルカリ度と相関の取れた定量的な評価ができていることが分かる。
(比較例1)
[正極活物質水分除去]
比較例1では、正極活物質として実施例4と同じリチウム複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比5:1:2)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極スラリー作製は露点−30℃以下に管理されたドライルーム内で、上述の水分除去した正極活物質と導電助材とバインダーが固体質量比91:6:3になるように撹拌機(シンキー社製、あわとり練太郎(登録商標)(型番:ARE−310))を用いて混練した。バインダーとして官能基の無いPVDF溶液(クレハ製、NMP溶液タイプ型番#L7208)を用いた。その後、脱水グレード(水分含量30ppm以下)のNMP(関東化学製)を適量添加し、同装置を用いて混練して所望の粘度の正極スラリーを得た。
[粘度測定]
露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで得られた正極スラリーの粘度を測定した。初期粘度は2,302cpsであった。スラリーはポリプロピレン製密閉容器に入れ露点−30℃に管理されたドライルーム内で保管した。その後、継続的に粘度の測定をおこなった結果、48時間経過後の粘度は初期粘度と変わらない2,103cpsであった。比較例1における正極材スラリーの粘度の継時変化を図3に示す。実施例1ではリチウム複合酸化物(ニッケル:コバルト:マンガン比5:1:2)にて粘度上昇が見られたが、−30℃環境で官能基の無い一般的なPVDFを用いて作製、保管したスラリーの粘度上昇は見られず、正極活物質表面のアルカリ度と相関の取れる定量的な評価とはならなかった。
(比較例2)
[正極活物質水分除去]
比較例2では、正極活物質として実施例2と同じコバルト酸リチウムを用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[導電助材水分除去]
導電助材は、カーボンブラック(デンカ工業製デンカブラック(登録商標)、型番HS100)を用い、真空乾燥機にて120℃で8時間真空減圧乾燥を行った。
[正極材スラリー作製]
正極スラリー作製は実施例1と同条件とした。
[粘度測定]
露点−30℃に管理されたドライルーム内で粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II+PRO)を用いてせん断速度1/50sで得られたスラリーの粘度を測定した。その際、初期粘度は2,183cpsであった。スラリーは湿度40〜50%に制御された環境下でポリプロピレン製容器に蓋をしない状態で保管し、継続的に粘度の測定を行った結果、26時間後には粘度が6,234cpsまで粘上昇し、その後、27時間経過後にはスラリーのゲル化が起こった。比較2における正極材スラリーの粘度の継時変化を図4に示す。湿度40〜50%でスラリーを保管した場合には、ゲル化が起こりにくいコバルト系材料であってもゲル化が発生してしまい、正極活物質表面のアルカリ度と相関の取れる定量的な評価とはならなかった。

Claims (4)

  1. スラリー粘度の経時変化により正極材スラリーの安定性を評価するリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法であって、
    正極活物質と導電助材とバインダーを混練し、有機溶媒に分散させて正極材スラリーとするスラリー製造工程と、
    前記スラリー製造工程で得られた前記正極材スラリーのスラリー粘度の経時変化を測定することで評価を行う粘度測定工程を有し、
    前記正極材スラリー製造工程と前記粘度測定工程を露点−30℃以下に管理した環境下で行い、前記バインダーに官能基付きポリフッ化ビニリデンを用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法。
  2. 前記正極活物質は、120℃で3時間以上真空減圧乾燥されたものであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法。
  3. 前記導電助材は、120℃で3時間以上真空減圧乾燥したカーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法。
  4. 前記有機溶媒は、水分含量が30ppm以下のN−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極材スラリーの安定性評価方法。
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