JP2015152289A - 建物の空調設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の吹出口が設けられた空調ダクトを使用する場合において、吹出口を介しての音や光等の伝搬を抑えることができる建物の空調設備を提供する。【解決手段】空調装置30で生成される空調空気を複数の部屋15に供給する空調ダクト32を備える建物の空調設備は、空調ダクト32に、空調空気を吹き出す複数の吹出口35が設けられており、複数の吹出口35は、空調ダクト32内の空間であるダクト内空間を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられており、かつ互いに異なる部屋14に空調空気を吹き出す第1吹出口35と第2吹出口35とを含んでおり、ダクト内空間には、第1吹出口35と第2吹出口35との間となる位置に、第1吹出口35の側の空間部と第2吹出口35の側の空間部とを分ける仕切部材55が設けられている。【選択図】 図6

Description

本発明は、建物の空調設備に関する。
住宅等の建物に設置される空調設備として、空調装置により生成された空調空気が流れる空調ダクトと、空調ダクトを流れる空気を異なる複数の部屋に吹き出す複数の吹出口とを備えたものがある。例えば、廊下上方の天井裏空間に設置された空調ダクト内の空間であるダクト内空間を挟んで対向する位置(側方)に吹出口が設けられた構成が開示されている(特許文献1参照)。
特開平10−170048号公報
1つの空調ダクトに複数の吹出口を設け、各吹出口から各々異なる部屋への空調空気の吹出を可能とした場合、各部屋の吹出口がダクト内空間を通じて繋げられる。その為、一方の吹出口から空調ダクト内に侵入した音や光が他方の吹出口から漏れることが懸念される。
本発明は、複数の吹出口が設けられた空調ダクトを使用する場合において、吹出口を介しての音や光等の伝搬を抑えることができる建物の空調設備を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
第1の発明の建物の空調設備は、空調装置にて生成される空調空気を複数の部屋に供給する空調ダクトを備え、空調ダクトに、空調空気を吹き出す複数の吹出口が設けられている建物の空調設備であって、複数の吹出口は、空調ダクト内の空間であるダクト内空間を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられ、かつ互いに異なる部屋に空調空気を吹き出す第1吹出口と第2吹出口とを含んでおり、ダクト内空間には、第1吹出口と第2吹出口との間となる位置に、第1吹出口の側の空間部と第2吹出口の側の空間部とを分ける仕切部材が設けられていることを特徴とする。
第1の発明によれば、ダクト内空間に仕切部材を設けたため、2つの吹出口を介しての音や光の通過が抑制される。したがって、異なる部屋間での音や光の漏れに起因する不都合を解消することができる。
第2の発明の建物の空調設備において、空調ダクトは、複数のダクト構造体が通路長手方向に連結されることで構成されており、複数のダクト構造体の少なくとも一つに仕切部材が設けられていることを特徴とする。
第2の発明によれば、複数のダクト構造体のいずれかに仕切部材を設ける構成にすることで、ダクト内空間の任意の位置に仕切部材が設けられる場合にそれを容易に実現できる。つまり、ダクト構造体ごとに、吹出口の有無及びその位置に合わせて、必要に応じて仕切部材を設ければよく、仕切部材の設置が容易となる。
第3の発明の建物の空調設備において、空調ダクトは、上下の板部と側方の板部とを有し、これら各板部により前記ダクト内空間を形成するものであり、空調ダクトの側方板部に第1吹出口と第2吹出口とが設けられるとともに、上下の板部を繋ぐようにして前記仕切部材が設けられていることを特徴とする。
第3の発明によれば、建物の下がり天井部分など、大きさが制限された設置空間に空調ダクトを設置する場合に好適な構成を実現できる。
第4の発明の建物の空調設備において、仕切部材は、ダクト内空間において、第1吹出口及び第2吹出口から離れた位置に配置されることを特徴とする。
第4の発明によれば、仕切部材を、第1吹出口及び第2吹出口から離れた位置に配置することで、第1吹出口又は第2吹出口と仕切部材との間の空調空気の流れが確保され、空調設備による空調機能を妨げることなく、ダクト内空間を挟んで対向する異なる部屋間での音や光の伝搬を抑えることができる。
第5の発明の建物の空調設備において、仕切部材は、第1吹出口及び第2吹出口に対して平行に配設される板状の部材であることを特徴とする。
第5の発明によれば、吹出口に対して板状の仕切部材を平行に配設することで、空調設備からの空調空気の流れを妨げることなく、異なる部屋間での音や光の伝搬を抑えることができる。
第6の発明の建物の空調設備において、第2吹出口の空調空気が導入される第2部屋よりも第1吹出口の空調空気が導入される第1部屋で発生する音や光の影響が大きい場合には、仕切部材は、第2吹出口よりも前記第1吹出口に近接した前記ダクト内空間の位置に設けられることを特徴とする。
第6の発明によれば、第1部屋がリビング等であり、第2部屋が寝室等の場合には、第2部屋よりも第1部屋で発生する音や光の影響が大きいことが想定される。この場合、第2部屋に空調空気を導入する第2吹出口よりも、第1部屋に空調空気を導入する第1吹出口に近接したダクト内空間の位置に仕切部材を配置することで、音や光の発生源となる部屋から、周囲の異なる部屋への音や光の伝搬を抑える効果を高めることができる。
第7の発明の建物の空調設備において、仕切部材は、第1吹出口及び第2吹出口のそれぞれに設けられていることを特徴とする。
第7の発明によれば、複数の吹出口のそれぞれに、個別に仕切部材を設ける場合、異なる部屋間での音や光の伝搬を抑える効果を高めることができる。
第8の発明の建物の空調設備において、仕切部材は、吸音性能を有していることを特徴とする。
第8の発明によれば、仕切部材が吸音性能を有していることで、仕切部材による音の伝搬を抑える効果を高めることができる。
建物における二階部分の構成を示す概略縦断面図。 建物における二階部分の間取りを示す平面図。 空調設備及びその周辺の構成を示す斜視図。 隣り合うダクト部を分解した状態で示す分解斜視図。 空調ダクトを長手方向に対して垂直方向から見た模式図。 建物における二階部分の施工例を示す平面図。 建物の空調設備の変用例の説明図。 建物の空調設備の変用例の説明図。 建物の空調設備の変用例の説明図。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の空調設備を、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てのユニット式建物において具体化している。ユニット式建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットを備え、それら各建物ユニットが互いに組み合わされることにより構成されている。図1は建物における二階部分の構成を示す概略縦断面図であり、図2は二階部分の間取りの例を示す平面図である。
図1,図2に示すように、住宅等の建物10は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建ての建物10となっており、二階部分12の上方には陸屋根よりなる屋根部13が設けられている。建物10の二階部分12には、屋内空間として、複数の部屋15と廊下16と機械室17とが設けられている。廊下16は、各部屋15と機械室17とを繋いでおり、その四方が間仕切壁18によって仕切られている。間仕切壁18には、廊下16と部屋15との間を出入りするための出入口21aと、廊下16と機械室17との間を出入りするための出入口21bとが設けられている。それら各出入口21a,21bにはそれぞれドア22a,22bが設けられている。
二階部分12の天井部には、二階天井24が設けられている。二階天井24の上方は天井裏空間25となっており、この天井裏空間25が二階天井24により屋内空間と上下に仕切られている。天井裏空間25は、二階天井24と屋根部13との間に設けられており、その点からすると天井裏空間25を屋根裏空間ということもできる。
二階天井24は、第1天井面材27と、その第1天井面材27よりも低い位置に設けられた第2天井面材28とを備える。これら各天井面材27,28はいずれも、石膏ボードにより構成されている。第1天井面材27は、各部屋15と機械室17とに跨がって設けられており、各部屋15及び機械室17の天井面を形成している。第1天井面材27は、天井梁37の下面に取り付けられた野縁38により上方から支持されている。
第2天井面材28は、廊下16に設けられており、廊下16の天井面を形成している。第2天井面材28は、いわゆる下がり天井となっており、それにより廊下16は各部屋15及び機械室17よりも天井高さが低くされた低天井空間となっている。第2天井面材28は、廊下16を挟んで対向する間仕切壁18の間に架け渡された状態で設けられている。
廊下16では、第2天井面材28に加えて第1天井面材27が設けられている。したがって、廊下16では、第1天井面材27と第2天井面材28とが上下に並んで配置されており、その天井裏空間25が第1天井面材27により上下に仕切られている。この場合、天井裏空間25において第1天井面材27よりも上側が上側空間部25aとなっており、第1天井面材27よりも下側が下側空間部25bとなっている。
建物10には、屋内空間の空調を行うための空調設備30が設けられている。以下、空調設備30の構成について説明する。図3は、空調設備30及びその周辺の構成を示す斜視図であり、便宜上、紙面手前側の間仕切壁18や二階天井24等の図示を省略している。
図1〜図3に示すように、空調設備30は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置31と、空調装置31に接続された空調ダクト32と、空調ダクト32に接続された吹出チャンバ33とを備えている。空調装置31は、機械室17に設置された室内機として構成されている。空調装置31は、廊下16から機械室17に流れ込む空気を還気として取り込み、その還気をもとに空調空気を生成する。そして、空調装置31は、その生成した空調空気を空調ダクト32へ供給する。廊下16から機械室17への空気の流れ込みは例えば出入口21bのドア22bのアンダーカット部等を通じて行われる。
空調ダクト32は、廊下16上方の天井裏空間25に設置されている。空調ダクト32は、天井裏空間25の下側空間部25bに設置され、その下側空間部25bにおいて廊下16の通行方向(長手方向)に沿って延びるように配置されている。空調ダクト32は、間仕切壁18を貫通して廊下16の上方位置から機械室17に突出しており、その突出部分が接続ダクト34を介して空調装置31に接続されている。
吹出チャンバ33は、空調ダクト32に対して横並びに配置され、当該空調ダクト32に対して側方から接続されている。吹出チャンバ33は、廊下16と隣り合う各部屋15に対応した位置となるように空調ダクト32に配置されている。ここでは空調ダクト32の側方の4か所と、空調ダクト32の前方(廊下16の突き当り)の1か所に、それぞれ吹出チャンバ33が設けられている。
吹出チャンバ33は、空調空気を各部屋15に向けて吹き出す複数の吹出口35を有している。間仕切壁18には天井裏空間25(下側空間部25b)と部屋15とを連通する連通孔36が形成され、その連通孔36に吹出チャンバ33が吹出口35を部屋15に向けた状態で挿通されている。
吹出チャンバ33の吹出口35側(部屋15側)には吹出グリル39が設けられている。吹出グリル39は、横方向に長い矩形枠状に形成されており、その横幅が吹出チャンバ33の横幅よりも大きくなっている。吹出グリル39は、間仕切壁18に設けられた収容領域41に収容されており、その収容状態で間仕切壁18に取り付けられている。この吹出グリル39により、吹出チャンバ33及び連通孔36が部屋15側から覆い隠されている。
空調ダクト32は、横並びに配置された複数のダクト部40を有して構成されている。このダクト部40がダクト構造体に相当する。図4は、隣り合うダクト部40を分解した状態で示す分解斜視図であり、図5は、空調ダクト32をその長手方向に直交する方向から見た模式図である。
図4に示すように、ダクト部40は、ポリスチレンフォーム等の発泡スチロールで直方体状に形成されている。ダクト部40は、その内側に空調空気が流れるダクト内空間である内部通路43を有しており、全体として四角筒状をしている。すなわち、ダクト部40は、内部通路43を囲んで設けられる上壁部42a、下壁部42b及び一対の側壁部42cを有している。これら各壁部42a〜42cのうち、上壁部42a及び下壁部42bには外面側に突出する補強用のリブ45が設けられているのに対し、側壁部42cにはかかる補強用のリブ45が設けられていない。なお紙面左側のダクト部40の側壁部42cには、吹出口35を形成する開口が設けられている。
内部通路43は、ダクト部40における両側の端面部42d、詳しくは各壁部42a〜42cを挟んで対向する両側の端面部42dにおいてそれぞれ外部に開放されている。隣り合うダクト部40は、互いの端面部42dを対向させた状態で接続されており、その接続状態においてそれら各ダクト部40の内部通路43が互いに連通されている。
また図4,図5に示すように、ダクト部40の内部通路43には仕切部材55が設置される。仕切部材55は、各壁部42a〜42cと同じ材料である発泡スチロール(EPS等)、又は、各壁部42a〜42cと異なる材料であるグラスウール等の無機繊維系の材料、木材、金属材料等を用いて板状に形成されている。ここでは、仕切部材55は、ダクト部40の長手方向の長さおよび下壁部42bから上壁部42aに到る高さを有している。ただし、仕切部材55は、ダクト部40の両側の側壁部42cに設けられる開口部(吹出口35)の間となる位置に設けられるものであればよく、ダクト部40の長手方向の長さよりも短くてもよい。
空調ダクト32内に仕切部材55を設置する場合、空調ダクト32のダクト内空間が長手方向に二分割される。この場合、仕切部材55を介して一方の空間にある吹出口35(吹出チャンバ33)から侵入した音や光が、他方の空間にある吹出口35(吹出チャンバ33)から漏れることが抑えられる。
以上の構成のダクト部40は、建物10の二階部分12の間取りに合わせて複数個が連結されることによって、廊下16の天井裏空間25(上側空間部25a)に、廊下16の通行方向にそって延びる空調ダクト32として配置される。なお二階部分12に設けられた各部屋15に対応する位置に配置されるダクト部40には、その側壁部42cに吹出チャンバ33が取り付けられる。なお吹出チャンバ33は、間取りに応じて、側壁部42cの一方に設けられたり、側壁部42cの両側に設けられたりする。
次に以上の構成を備える空調設備30の施工例を説明する。図6に建物10における二階部分12の施工例の平面図を示す。図6では、二階部分12に、第1部屋15a、第2部屋15b、第3部屋15c、第4部屋15dおよび第5部屋15eが設けられている。具体的には、廊下16の一方の間仕切壁18側に沿って第1部屋15aと第3部屋15cとが横並びに配置され、他方の間仕切壁18側に沿って第3部屋15cと第4部屋15dとが横並びに配置され、廊下16の突き当りに第5部屋15eが配置されている。なお、廊下16を挟んで第1部屋15a及び第3部屋15cが対向する位置に配置されており、第2部屋15b及び第4部屋15dが対向する位置に配置されている。また各部屋15a〜15eの吹出口35に、吹出チャンバ33a〜33eが設けられている。
この際、各部屋15a〜15eに吹出口35が向くように、複数のダクト部40が接続されているとともに、連結された複数のダクト部40のうち吹出口35が形成されたダクト部40においては、そのダクト内空間の長手方向に平行に仕切部材55が設けられている。これにより、第1部屋15a及び第3部屋15cとの間、および第2部屋15b及び第4部屋15dとの間のダクト内空間に仕切部材55が位置されることになり、例えば、一方の部屋15a,15cで発生した音や光が、吹出口35及び内部通路43を介して、他方の部屋15b,15dに伝搬されることが抑えられる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
・1つの空調ダクト32に複数の吹出口35を設け、各吹出口35から各々異なる部屋15への空調空気の吹き出しを可能とした。これにより、空調設備30について構成の簡素化が可能となる。ただしこの場合、ダクト内空間を挟んで対向する位置に異なる吹出口35がそれぞれ設けられていると、一方の吹出口35から空調ダクト内に浸入する音や光が他方の吹出口35に漏れ出ることが懸念される。この点、ダクト内空間に仕切部材55を設けたため、2つの吹出口35を介しての音や光の通過が抑制される。したがって、異なる部屋15間での音や光の漏れに起因する不都合を解消することができる。
・複数のダクト部40のいずれかに仕切部材55を設ける構成にすることで、ダクト内空間の任意の位置に仕切部材55が設けられる場合にそれを容易に実現できる。つまり、ダクト部40ごとに、吹出口35の有無及びその位置に合わせて、必要に応じて仕切部材55を設ければよく、仕切部材55の設置が容易となる。
・空調ダクト32を、上壁部42a、下壁部42b及び側壁部42cからなる板部で形成し、これら各板部によりダクト内空間を形成し、上壁部42aと下壁部42bとを繋ぐようにして仕切部材55を設けた。この場合、建物10の下がり天井部分など、大きさが制限された設置空間に空調ダクト32を設置する場合に好適な構成を実現できる。
・仕切部材55を、各吹出口35から離れた位置に配置する場合、吹出口35と仕切部材55との間の空調空気の流れが確保され、空調設備30による空調機能を妨げることなく、ダクト内空間を挟んで対向する異なる部屋15間での音や光の伝搬を抑えることができる。
・吹出口35に対して、板状の仕切部材55を平行に配設する場合、空調設備30からの空調空気の流れを妨げることなく、異なる部屋15間での音や光の伝搬を抑えることができる。
〔他の実施形態〕
・互いに隣り合う部屋15にそれぞれ空調空気を供給する場合において、その隣り合う部屋15の一方に、又は隣り合う部屋15の両方に跨るようにして下がり天井を設ける構成であってもよい。この構成では、各部屋15の境界部分に沿って空調ダクト32を配設し、その空調ダクト32から各部屋15に対して吹出口35を介して空調空気を供給する。そしてこの構成において上記のとおり仕切部材55を設けるとよい。
・下がり天井の側面部は鉛直方向に延びるように設けられる以外に、斜め下方を向くようにして設けられるものであってもよい。この場合、空調ダクト32の側方板部は、下がり天井の側面部に合わせて斜め下方を向くように形成されているとよい。
・空調ダクト32は、円筒状をなすものであってもよい。本構成でも、空調ダクト32において複数の吹出口35のいずれかが、ダクト内空間を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられる場合に、それら各吹出口35の間となる位置に仕切部材55が設けられているとよい。
・図7の変用例に示されるように、仕切部材55は、吹出チャンバ33毎に個別に設けてもよい。この場合、仕切部材55を吹出口35に比較的近い位置に配置することができる。この場合、吹出口35から侵入した音や光が、ダクト内空間を伝搬することが抑えられ、ひいては対向する部屋15間での音や光の漏れに起因する不都合を解消することができる。
・仕切部材55は側壁部42cに対して平行に配置されていなくてもよい。例えば図8の変容例に示されるように、仕切部材55と側壁部42cとの距離が、空調空気の流れの上流側と下流側とで異なるようにしてもよい。仕切部材55を内部通路43の長手方向に対して斜めに取り付ける場合、内部通路43内における所定方向への音や光の伝搬を抑える効果を高めることができる。
・部屋15の用途に応じて、仕切部材55の板厚が調整されてもよい。例えば、楽器などが設置される部屋15から空調ダクト32内に侵入する音の影響が大きくなることが想定される。この場合、当該部屋15に設けられた吹出口35に対して設ける仕切部材55の板厚を厚くすることで、音の漏れ等に起因する不具合を解消させる効果を高めることができる。
・第1部屋15aがリビング等であり、第2部屋15bが寝室等の場合には、第2部屋15bよりも第1部屋15aで発生する音や光の影響が大きいことが想定される。この場合、第2部屋15bに空調空気を導入する吹出口35よりも、第1部屋15aに空調空気を導入する吹出口35に近接したダクト内空間の位置に仕切部材55を配置する。この場合、音や光の発生源となる部屋15から、周囲の異なる部屋15への音や光の伝搬を抑える効果を高めることができる。
・仕切部材55は空調ダクト32の長手方向に沿って、できるだけ長く配置されることが好ましい。図9の変用例に示されるように、内部通路43内の長手方向に仕切部材55が隙間なく配置されてもよい。この場合、一方の部屋15で生じた音や光が仕切部材55を回り込んで、他方の部屋15に伝搬することが抑えられ、ひいては異なる部屋15間での音や光の漏れに起因する不都合を解消する効果を高めることができる。
・音の伝搬を抑制する効果を高めるために、仕切部材55に吸音材を取り付けてもよい。この場合、異なる部屋15間での音の伝搬に起因する不都合を解消する効果を高めることができる。なお、仕切部材55自体が所定の吸音性能を有する材料で形成されていてもよい。
・光の伝搬を抑制する効果を高めるために、仕切部材55に黒色のもの(色つきのもの)を使用してもよい。この場合、光の伝搬を抑制する効果を高めることができる。
・仕切部材55は少なくとも吹出口35から侵入した光の回折による伝搬を抑えることができる範囲に設置する。この場合、光の伝搬を抑制する効果を高めることができる。
・仕切部材55として、音響透過損失が大きな材料の他、音を吸収しやすい吸音材料を用いてもよい。
・内部通路43内に、仕切部材55を保持するための部材を設けてもよい。例えば、一対の長尺状のレールを、内部通路43の長手方向に平行に取り付ける。この際、一対のレールの間隔が仕切部材55の厚さとなるようにする。この場合、内部通路43内での仕切部材55の位置ずれを抑える効果を高めることができる。
・一方の吹出口35(第1吹出口)から侵入した音や光が、ダクト内空間を介して他方の吹出口35(第2吹出口)から漏れることを抑えるために、空調ダクト32における第1吹出口と第2吹出口の取り付け位置の位置関係が決定されてもよい。具体的には、空調ダクト32において、部屋15に設けられた音響設備(スピーカ)又は照明設備(照明光源)に対して、第1吹出口及び第2吹出口が直線上に並ばない位置に、これら第1吹出口及び第2吹出口を設ける。例えば、第1吹出口から空調空気が供給される部屋15に音響設備及び照明設備が設けられている場合、第1吹出口を介してダクト内空間に進入した音及び光の進行方向を避けた空調ダクト32の位置に第2吹出口を設ける。この場合、第1吹出口から侵入した音又は光が第2吹出口を介して異なる部屋15に漏れることを抑えることができる。なおこの場合にも、第1吹出口と第2吹出口との間に仕切部材55が設けられることで、第1吹出口及び第2吹出口を介しての音又は光の伝搬を抑える効果を高めることができる。
10…建物、15…部屋、30…空調設備、32…空調ダクト、35…吹出口、55…仕切部材。

Claims (9)

  1. 空調装置にて生成される空調空気を複数の部屋に供給する空調ダクトを備え、前記空調ダクトに、前記空調空気を吹き出す複数の吹出口が設けられている建物の空調設備であって、
    前記複数の吹出口は、前記空調ダクト内の空間であるダクト内空間を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられ、かつ互いに異なる部屋に前記空調空気を吹き出す第1吹出口と第2吹出口とを含んでおり、
    前記ダクト内空間には、前記第1吹出口と前記第2吹出口との間となる位置に、前記第1吹出口の側の空間部と前記第2吹出口の側の空間部とを分ける仕切部材が設けられていることを特徴とする建物の空調設備。
  2. 前記空調ダクトは、複数のダクト構造体が通路長手方向に連結されることで構成されており、前記複数のダクト構造体の少なくとも一つに前記仕切部材が設けられている請求項1に記載の建物の空調設備。
  3. 前記空調ダクトは、上下の板部と側方の板部とを有し、これら各板部により前記ダクト内空間を形成するものであり、前記空調ダクトの側方板部に前記第1吹出口と前記第2吹出口とが設けられるとともに、前記上下の板部を繋ぐようにして前記仕切部材が設けられている請求項1又は2に記載の建物の空調設備。
  4. 前記仕切部材は、前記ダクト内空間において、前記第1吹出口及び前記第2吹出口から離れた位置に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
  5. 前記仕切部材は、前記第1吹出口及び前記第2吹出口に対して平行に配設される板状の部材である請求項1〜4のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
  6. 前記第2吹出口の空調空気が導入される第2部屋よりも前記第1吹出口の空調空気が導入される第1部屋で発生する音や光の影響が大きい場合には、前記仕切部材は、前記第2吹出口よりも前記第1吹出口に近接した前記ダクト内空間の位置に設けられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
  7. 前記仕切部材は、前記第1吹出口及び前記第2吹出口のそれぞれに設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
  8. 前記仕切部材は、吸音性能を有している請求項1〜7のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
  9. 前記空調ダクトにおいて、前記部屋に設けられたスピーカ又は照明設備に対して、前記第1吹出口及び前記第2吹出口が直線上に並ばない位置となるように、前記第1吹出口及び前記第2吹出口が設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の建物の空調設備。
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