以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物における空調システムを示す図である。
図1に示すように、本実施形態の建物10は、基礎11上に形成された下階としての一階部分12と、その一階部分12の上方に連続して形成された上階としての二階部分13と、その二階部分13の上方に形成された屋根部分14とを備えている。一階部分12と二階部分13との間の境界部は階間部分15となっており、一階天井面と二階床面とを含むそれらの間にある各部材によって構成されている。
建物10の一階部分12には、居室空間としてリビング16及び和室17が設けられ、非居室空間として廊下18及び機械室19が設けられている。リビング16及び和室17の天井部にはそれぞれ天井面材69が設けられ、廊下18及び機械室19の天井部には天井面材69よりも低い位置に下がり天井X(その詳細は後述する)が設けられている。そのため、機械室19及び廊下18は、下がり天井Xによって天井面32の高さがリビング16及び和室17の天井面33の高さよりも低くされた低天井空間部となっている。逆に、リビング16及び和室17は、低天井空間部よりも天井高さが高くされた高天井空間部となっている。なお、詳細は後述するが、廊下18ではその天井部の一部にのみ下がり天井Xが設けられており、廊下18の一部が低天井空間部となっている。
建物10の二階部分13には、居室空間として寝室21及び応接室22が設けられ、非居室空間として廊下23及び機械室24が設けられている。廊下23及び機械室24の天井部には下がり天井Yが設けられており、その下がり天井Yによって廊下23及び機械室24の天井面34の高さが寝室21及び応接室22の天井面35の高さよりも低くなっている。つまり、廊下23及び機械室24が低天井空間部、寝室21及び応接室22が高天井空間部となっている。
屋根部分14は陸屋根として構成されている。二階部分13と屋根部分14との境界部25は二階天井面と屋根面とを含むそれらの間にある各部材によって構成されている。境界部25にはグラスウール等の断熱材からなる断熱層(図示略)が形成されている。
本実施形態の建物10では、一階部分12と二階部分13とにそれぞれ全館空調システムが採用されている。全館空調システムでは、階ごとに空調装置が設けられており、その空調装置より各々の階の各部屋に空調空気を供給することで、それら各部屋の空調を行うこととしている。以下、本空調システムの構成について説明する。
一階部分12の機械室19には、空調装置26が設置されている。空調装置26は、機械室19に流れ込む空気を還気RAとして取り込んで温度調整を行うことにより空調空気を生成し、その生成した空調空気を空調対象となる各部屋に供給する。空調装置26には複数(図1では2つ)の通気ダクト28が接続されている。これらの通気ダクト28は空調装置26から上方に延び、機械室19及び廊下18の天井裏空間に通じている。この天井裏空間は、空調空気を流すためのチャンバ室30となっており、下がり天井Xの天井面32に沿う方向に延びている。本実施形態では、廊下18及び機械室19の天井高さ(天井面32の高さ)を、リビング16及び和室17の天井高さ(天井面33の高さ)よりも下方に設定することにより、廊下18及び機械室19の天井裏空間を高さ方向に拡張し、その拡張した天井裏空間を利用してチャンバ室30を形成している。
チャンバ室30は、その周囲を囲い壁部38により囲まれている。囲い壁部38は、廊下18及び機械室19の下がり天井X(天井面32)とリビング16の天井面材69(天井面33)との間の段差部36a、及び下がり天井Xと和室17の天井面材69との間の段差部36bにそれぞれ設けられている。これら各段差部36a,36bに設けられた各囲い壁部38a,38bはそれぞれ、リビング16と廊下18とを仕切る間仕切壁52の一部、和室17と機械室19とを仕切る間仕切壁57の一部等を用いて形成されている。なお、囲い壁部38の構成の詳細については後述する。
各囲い壁部38a,38bにはそれぞれ吹出グリル37が設けられている。各吹出グリル37はチャンバ室30の空調空気をリビング16及び和室17にそれぞれ吹き出すものであり、吹出部に相当するものである。ここで、空調装置26から通気ダクト28を通じてチャンバ室30に空調空気が供給されると、その空調空気がリビング16側の吹出グリル37aよりリビング16に吹き出されるとともに、和室17側の吹出グリル37bより和室17に吹き出される。これにより、リビング16及び和室17がそれぞれ空調空気により空調されるようになっている。また、吹出グリル37が囲い壁部38に設置されているため、吹出グリル37の吹出口は側方を向いており、それ故、空調空気が吹出グリル37より水平方向(換言すると天井面33に沿って)に吹き出されるようになっている。
二階部分13においても、一階部分12とほぼ同様の空調システムが構築されている。すなわち、機械室24には空調装置27が設置され、空調装置27には廊下23及び機械室24の天井裏空間(すなわちチャンバ室31)に通じる通気ダクト29が接続されている。廊下23及び機械室24の天井面34と寝室21の天井面35との間の段差部、及び上記天井面34と応接室22の天井面35との間の段差部にはそれぞれ囲い壁部40が設けられ、それら各囲い壁部40にはそれぞれ吹出グリル39が設けられている。この場合、空調装置27から通気ダクト29を通じてチャンバ室31に空調空気が供給されると、その空調空気が吹出グリル39aより寝室21に吹き出されるとともに吹出グリル39bより応接室22に吹き出され、寝室21及び応接室22の空調が行われる。
次に、建物10の平面視におけるチャンバ室30,31の設置構成について説明する。ここでは、一階部分12に設けられたチャンバ室30の設置構成について図2に基づいて説明する。なお、図2において(a)が一階部分12の間取りを示す平面図、(b)がチャンバ室30の配置を示す平面図である。つまり、(b)は一階部分12を下がり天井Xよりも上方から見た平面図となっている。
図2(a)に示すように、一階部分12には、上述したリビング16、和室17、廊下18、機械室19に加えて、玄関41、ダイニング42、トイレ43、洗面室44、浴室45が設けられている。これら各部屋41〜45はいずれもその天井高さがリビング16及び和室17の天井高さと同じとされた高天井空間部となっている。
機械室19は間仕切壁47により廊下18と仕切られている。間仕切壁47には機械室19に出入りするための出入口48が形成され、出入口48にはドア49が設けられている。ドア49はアンダーカットされており、ドア49の下端部と床面との間の隙間は通気部となっている。その通気部を通じて廊下18の空気が機械室19に流れ込むようになっている。
廊下18は、リビング16、和室17及び洗面室44とそれぞれ間仕切壁52,57,62により仕切られている。間仕切壁52にはリビング16に出入りするための出入口53が形成され、出入口53にはドア54が設けられている。間仕切壁57には和室17に出入りするための出入口58が形成され、出入口58には引き戸59が設けられている。間仕切壁62には洗面室44に出入りするための出入口63が形成され、出入口63にはドア64が設けられている。この場合、リビング16、和室17及び洗面室44はそれぞれ各々の出入口53,58,63を介して廊下18との間で通気可能となっている。なお、ドア54,64は例えばアンダーカットされており、ドア54,64の下端部と床面との間の隙間が通気部となっている。
図2(b)に示すように、建物10の一階部分12において、下がり天井Xは廊下18の天井部と機械室19の天井部とに跨って設けられている。具体的には、下がり天井Xは、廊下18ではその天井部の一部にのみ設けられており、そのため廊下18では一部が低天井空間部となっており、他の部分はその天井高さがリビング16及び和室17の天井高さと同じとされた高天井空間部となっている。下がり天井Xの上方の天井裏空間からなるチャンバ室30は略直方体状をなしている。チャンバ室30は各間仕切壁52,57,62により囲まれて設けられており、換言すると、リビング16、和室17、洗面室44及び廊下18の一部により囲まれて設けられている。すなわち、チャンバ室30は複数の高天井空間部により囲まれており、平面視において建物10の略中央部に配置されている。
チャンバ室30を囲む囲い壁部38として、下がり天井Xと、それよりも高い位置に設けられた洗面室44の天井面材(図示略)との間の段差部には囲い壁部38cが設けられ、その囲い壁部38cにも吹出グリル37cが設けられている。チャンバ室30の空調空気はこの吹出グリル37cより洗面室44に吹き出され、これにより洗面室44の空調が行われるようになっている。ここで、一階部分12の空調システムに関してより詳しく説明すると、チャンバ室30の空調空気は各吹出グリル37a〜37cよりリビング16、和室17及び洗面室44に吹き出された後、各出入口53,58,63を介して廊下18に流れ、その後機械室19に流れ込む。そして、空調装置26はその流れ込んだ空気を還気RAとして空調空気を生成し、その空調空気を通気ダクト28を通じてチャンバ室30に供給する。つまり、本空調システムでは、空調空気を循環させることで各部屋16,17,44の空調を行う構成となっている。
次に、チャンバ室30を形成するためのチャンバ構成体70について図3に基づいて説明する。なお、図3は、チャンバ構成体70及びその周辺の構成を示す斜視図であり、(a)がパネルが取り付けられた状態のチャンバ構成体70を示し、(b)がパネルが取り外された状態のチャンバ構成体70を示す。また、図3では便宜上、各間仕切壁47,52,57,62の図示を省略している。
図3(a)に示すように、一階部分12と二階部分13との間の階間部分15には、複数の床根太66が所定の間隔をおいて互いに平行に設けられている。床根太66は、例えばC形鋼(リップ付溝形鋼)からなる。これら各床根太66の上面には、パーティクルボードからなる床下地面材67が設置されている。床下地面材67上には図示しない床仕上げ面材が敷設されており、この床仕上げ面材により二階部分13の廊下23及び機械室24の床面が形成されている。なおここで、床根太66が天井躯体に相当する。
各床根太66の下面には、床根太66と直交する向きで複数の野縁68が所定の間隔で設けられている。ここで、野縁68が天井下地材に相当する。これら各野縁68はそれぞれ床根太66と交差する交差部にてビス等により各床根太66に固定されている。各野縁68の下面には、天井面材69がビス等で固定されている。この天井面材69は、リビング16及び和室17に設けられた上述の天井面材69と同じ高さ位置に設けられている。すなわち、かかる天井面材69が、「居室空間の天井高さと同じ高さ位置に設置された天井」に相当する。天井面材69は石膏ボードにより構成されている。天井面材69におけるチャンバ構成体70の設置領域に対応する部位には気密シート(図示略)が接着材により貼り付けられている。
なお、リビング16及び和室17の天井面材69は石膏ボードの下面に天井仕上げ材が貼り付けられてなり、その下面が天井面33となっている。
天井面材69の下面には、チャンバ構成体70が設置されている。図3(a)及び(b)に示すように、チャンバ構成体70は、薄形の略直方体状をなしており、木製の角材からなる複数のフレーム材75a〜75dが直方体の枠状に連結されてなるチャンバフレーム71と、チャンバフレーム71の側面に取り付けられた側面パネル72と、チャンバフレーム71の底面(下面)に取り付けられた底面パネル73とを備えて構成されている。したがって、チャンバ構成体70は、全体として上側が開口された四角箱状に形成されている。
チャンバフレーム71は、その4隅に配設されて上下に延びる複数の縦フレーム材75aと、各縦フレーム材75aの上端部をそれぞれ連結する上横フレーム材75bと、各縦フレーム材75aの下端部をそれぞれ連結する下横フレーム材75cとを備える。チャンバフレーム71において対向する短辺側の下横フレーム材75cの間には複数(図3(b)では2つ)の中間フレーム材75dが所定の間隔で架け渡されており、その下面が下横フレーム材75cの下面とともに底面パネル73が固定される固定面となっている。チャンバフレーム71は、上横フレーム材75bが天井面材69の下面に当接された状態で設けられており、その設置状態において各上横フレーム材75bが天井面材69を介して野縁68に対し釘やビス等で固定されている。
側面パネル72及び底面パネル73は共に石膏ボードにより構成されている。これらのパネル72,73には片面に気密フィルムが接着剤等により貼り付けられており、これによりパネル72,73の気密性が高められている。側面パネル72は、チャンバフレーム71の各側面にそれぞれ気密フィルムを内側に向けた状態でビスや釘等により固定されている。また、各側面パネル72のうち、チャンバ構成体70を天井面材69の下面に設置した状態において、間仕切壁52,57,62に対向配置される各側面パネル72にはそれぞれ開口部77(図3(b)では1つのみ図示)が形成されている。この開口部77は後述するように吹出グリル37が挿入される挿入口となる。
底面パネル73は、気密フィルムを内側(上側)に向けた状態でチャンバフレーム71の底面、詳しくは下横フレーム材75c及び中間フレーム材75dの下面にビスや釘等により固定されている。底面パネル73は複数(図3(a)では2つ)に分割されており、廊下18に対応して設けられた底面パネル73aと、機械室19に対応して設けられた底面パネル73bとを有している。換言すると、これらの底面パネル73a,73bは間仕切壁47(詳しくは後述する間仕切パネル83a,83b)の上端部に沿って分割されている。各底面パネル73a,73bの下面にはそれぞれクロス等の天井仕上げ材(図示略)が貼り付けられており、その天井仕上げ材により廊下18及び機械室19の天井面32が形成されている。この場合、底面パネル73はチャンバ室30を形成する役割を有しているとともに廊下18及び機械室19の下がり天井Xを形成する役割も有している。つまり、底面パネル73b及び天井仕上げ材が下がり天井Xに相当するものとなっている。
機械室19側の底面パネル73bには、同パネル73bを厚み方向に貫通する複数(図3(b)では2つ)のダクト接続口79が形成されている。これらダクト接続口79には、通気ダクト28の先端部が接続されるようになっている(図5の一点鎖線参照)。また、底面パネル73bには、底面パネル73aとの境界部に沿って矩形形状の切欠部81が所定の間隔で複数形成されている。これらの切欠部81は、後述する間仕切パネル83の下地フレーム85(詳細には延出部87)との干渉を回避するためのものである。
チャンバ構成体70において隣接する各パネル72,73の端部同士は互いに接合されている。また、天井面材69の下面におけるチャンバ構成体70の設置状態において、各側面パネル72の上端部と天井面材69とは互いに接合されている。この場合、チャンバ構成体70の内部には、各側面パネル72と各底面パネル73と天井面材69とにより囲まれてなる内側空間が形成されており、この内側空間が上記チャンバ室30となっている。
なお、隣接するパネル72,73同士の接合部分、及び側面パネル72と天井面材69との接合部分に沿って気密テープを貼り付ける等の気密処理を施して、チャンバ室30の気密性を高めてもよい。
図2(b)に示すように、上述したチャンバ構成体70は各間仕切壁52,57,62により囲まれた状態で設置されている。具体的には、チャンバ構成体70は、開口部77を有する3つの側面パネル72をそれぞれ間仕切壁52,57,62に対向させた状態で設けられている。この場合、各側面パネル72がそれぞれ間仕切壁52,57,62の一部と高さ方向において重複し、側面パネル72と間仕切壁52,57,62の当該重複部分とにより上述の囲い壁部38a〜38cが構成されている。そして、それら囲い壁部38a〜38cにそれぞれ吹出グリル37a〜37cが設けられている。以下、かかる吹出グリル37の設置構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は吹出グリル37周辺の構成を示す縦断面図である。また、同図ではリビング16に面した囲い壁部38aに設けられた吹出グリル37a周辺の構成を示しており、以下においてはこの吹出グリル37aの設置構成について説明する。
図4に示すように、リビング16と廊下18とを仕切る間仕切壁52は、その壁面をチャンバ構成体70の側面パネル72の外側面に当接させた状態で設けられており、それ故間仕切壁52の一部が側面パネル72と重なり合った状態となっている。間仕切壁52は対向する一対の壁面材52aを有し、それら各壁面材52aにはそれぞれ厚み方向に貫通する開口部89が対峙して形成されている。これらの開口部89はチャンバ構成体70の側面パネル72の開口部77に対応して設けられており、これら各開口部77,89に吹出グリル37aが挿通された状態で設けられている。この場合、吹出グリル37aの吹出通路を介してチャンバ室30とリビング16とが連通されており、これによりチャンバ室30の空調空気がリビング16に吹き出されるようになっている。なお、図示は省略するが、他の吹出グリル37b,37cについても上記吹出グリル37aと同様の設置構成で囲い壁部38b,38cに設けられている。
ところで、チャンバ構成体70の下方には、機械室19を廊下18と仕切る間仕切壁47が設けられている。以下、この間仕切壁47の構成について図2に加えて図5に基づいて説明する。なお、図5は、チャンバ構成体70の下方に間仕切壁47が設置された状態を示す斜視図である。
図2及び図5に示すように、間仕切壁47は、機械室19を三方から囲むように設けられた複数の間仕切パネル83a〜83cにより構成されている。具体的には、間仕切パネル83として、廊下18を挟んで間仕切壁52に対向配置された間仕切パネル83aと、該パネル83aを挟んだ両側に設けられた間仕切パネル83b,83cとを備えている。間仕切パネル83bには上述した出入口48が形成されている。なお、図5では、便宜上、間仕切パネル83cの図示を省略している。
続いて、間仕切パネル83の構成について説明する。図6は各間仕切パネル83のうち、間仕切パネル83aの構成を示しており、(a)が同構成を示す正面図、(b)が側面図である。以下、この間仕切パネル83aの構成について図6を用いて説明する。
図6に示すように、間仕切パネル83aは、対向配置された一対の壁面材84と、それら各壁面材84の間に設けられた下地フレーム85とを備える。壁面材84は、石膏ボードにより構成されている。壁面材84は矩形板状をなしており、その高さ寸法が廊下18及び機械室19の天井高さ(すなわち廊下18及び機械室19における床面から天井面32までの上下高さ)とほぼ同じとされている。
下地フレーム85は、木製の角材からなる複数のフレーム材85a〜85dが矩形枠状に連結されることにより構成されている。下地フレーム85は、壁面材84の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材85aと、壁面材84の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材85bと、壁面材84の上下両端部においてそれぞれ横方向に延びて縦フレーム材85aと中間フレーム材85bとを連結する横フレーム材85c,85dとを備える。下側横フレーム材85cと上側横フレーム材85dとの外寸、詳しくは下側横フレーム材85cの下面から上側横フレーム材85dの上面までの上下高さは壁面材84の上下高さと同じとされている。そして、下地フレーム85は下側横フレーム材85cの下面及び上側横フレーム材85dの上面がそれぞれ壁面材84の上下両端とそれぞれ位置合わせさせた状態で各壁面材84に固定されている。この場合、上側横フレーム材85dの上面と各壁面材84の上端面とにより支持面部が構成されている。
縦フレーム材85a及び中間フレーム材85bは共に同じ長さを有しており、壁面材84の上下高さよりも長い長さ寸法を有している。これらのフレーム材85a,85bはその一部が上側横フレーム材85dよりも上方に延出しており、換言すると壁面材84の上端よりも上方に延出している。各フレーム材85a,85bにおけるこの延出した部分を以下においては延出部87a,87bという。また、延出部87a,87bの上下長さは、チャンバ構成体70の上下高さとほぼ同じに設定されている。
次に、間仕切パネル83aの設置構成について図5に加え図7を用いて説明する。なお、図7は、間仕切パネル83aと天井部との連結構成を示す縦断面図である。
図5に示すように、間仕切パネル83aは、その下地フレーム85の各延出部87a,87bをそれぞれチャンバ構成体70の底面パネル73(73b)に形成された各切欠部81に挿通させた状態で設置されている。この場合、図7に示すように、各延出部87a,87bはチャンバ室30を上下に延びており、その上端部が天井面材69の下面に当接された状態でそれぞれ天井面材69を介して野縁68にビスや釘等で固定されている。また、図示は省略するが、下地フレーム85の下端部すなわち下側横フレーム材85cは床面材又はそれを下方から支持する床下地材等にビス等で固定されている。これにより、間仕切パネル83aが建物10に固定されている。
また、間仕切パネル83aの設置状態において、下地フレーム85の上側横フレーム材85dの上面及び各壁面材84の上端面はそれぞれチャンバ構成体70の底面パネル73の下面(換言すると下がり天井Xの天井面32)に沿って設けられている。この場合、上側横フレーム材85dの上面と壁面材84の上端面とによりチャンバ構成体70が下方から支持された状態となっており、チャンバ構成体70が安定した状態で設置されている。
なお、間仕切パネル83bについては出入口48が形成されている関係上、その構成が上述した間仕切パネル83aのそれと相違するものとなっているが、間仕切パネル83aと同様に下地フレームには延出部が設けられており、その延出部が底面パネル73bの各切欠部81に挿通された状態で設置されている。そして、各延出部の上端部がそれぞれ天井面材69を介して野縁68に固定されている。したがって、間仕切パネル83bについても上記間仕切パネル83aと同じ設置構成で設置されている。一方、間仕切パネル83cは、下地フレームに延出部が設けられておらず、下地フレームの上側横フレーム材が底面パネル73を介してチャンバフレーム71の底面にビス等により固定されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
廊下18及び機械室19において、その天井部に下がり天井Xを設けることで低天井空間部を形成し、低天井空間部の上方において下がり天井Xの天井面32に沿う方向に延びる天井裏空間に、空調装置26から供給される空調空気を流すチャンバ室30を設けた。そして、下がり天井Xと、それよりも高い位置に設けられたリビング16及び和室17の天井面材69との間の段差部36a,36bに、チャンバ室30の空調空気を居室空間すなわちリビング16及び和室17(以下、リビング16等という)に吹き出す吹出グリル37を設けた。この場合、リビング16等の天井を下がり天井としなくても、リビング16等に空調空気を供給できる。そのため、リビング16等が狭小になるのを抑制しつつ居室空間16等に対して空調を行うことができる。
ところで、空調空気を吹出グリル37に供給するために、上記のチャンバ室30に代えて空調ダクト(空調配管)を用いることも考えられる。ここで、空調ダクトは、空調空気を送る際の圧力損失の低減を図るべく、その通路開口例えばダクト径をある程度大きくする必要がある。そのため、通気ダクトを天井裏空間に設置する場合には、下がり天井Xの天井高さをダクト径に合わせて下げる必要がある。この点、チャンバ室30は水平方向(天井裏空間の拡がる方向)に扁平状をなして形成することができ、これにより圧力損失の低減を図ることができるため、チャンバ室30の上下高さをダクト径よりも小さくすることができる。そのため、空調ダクトを天井裏空間に設置する場合と比べ、下がり天井Xの設置高さを高くすることができ、その結果低天井空間部(廊下18及び機械室19)の狭小化を抑制することもできる。
廊下18及び機械室19の天井裏空間を、下がり天井Xと、その上側に下がり天井Xに対向して設けられる天井面材69との間に形成し、囲い壁部38により囲まれてなる内側空間とし、その内側空間をチャンバ室30とした。そして、段差部36a,36bに設けられる囲い壁部38a,38bに吹出グリル37を設けた。廊下18及び機械室19の天井裏空間にチャンバ室30を設ける構成としては、当該天井裏空間において空調用チャンバを下がり天井Xの上に設置し、その内部をチャンバ室とすることも考えられる。しかしながら、その場合、空調用チャンバの荷重を下がり天井によって支えることとなるため、下がり天井の支持構造(設置構造)をある程度強固な構造とする必要がある。その点、天井裏空間自体をチャンバ室30とする上記の構成によれば、下がり天井Xの支持強度はその自重を支えられる程度で済むため、天井裏空間に空調用チャンバを設置してチャンバ室を形成する場合と比べ、下がり天井Xの設置構成の簡素化を図ることができる。
下がり天井Xの上側に下がり天井Xに対向して設けられる対向板部として、リビング16及び和室17の天井面材69と同じ高さ位置に設置される天井面材69を用いた。これによれば、新築時に、廊下18及び機械室19においてリビング16及び和室17の天井面材69と同じ高さ位置(通常高さ)に天井面材69が設置されている場合に、その天井面材69の下方に、後付けで下がり天井Xを設置することで、天井面材69と下がり天井Xとの間にチャンバ室30を形成できる。すなわち、既存の天井面材69を利用してチャンバ室30を形成できるため、リフォーム等により後付けでチャンバ室30を設ける場合には都合がよい。
低天井空間部(廊下18及び機械室19)の天井裏空間すなわちチャンバ室30を、平面視において、下がり天井Xよりも高い位置に天井面材が設けられた複数の屋内空間16,17,44により囲み、それら複数の屋内空間16,17,44の少なくともいずれかをチャンバ室30の空調空気の吹出先となる居室空間16,17とした。この場合、低天井空間部の天井裏空間がそれら各屋内空間16,17,44(高天井空間部)により屋外と隔てられているため、天井裏空間から屋外への熱漏れが抑制されており、その結果天井裏空間ひいてはチャンバ室30の断熱性能が高められている。この場合、空調効率の低下を抑制することができる。
チャンバ室30を囲む囲い部として囲い壁部38を設け、その囲い壁部38に吹出グリル37を設置することで、吹出グリル37の吹出口を側方に向けた。この場合、空調空気が吹出グリル37の吹出口から水平方向に吹き出されるため、リビング16等にいる居住者に空調空気の風が直接当たるのを回避できる。したがって、居住者に不快感を与えることなく、リビング16等の空調を行うことができる。
チャンバ構成体70の下方となる低天井空間部に間仕切壁47を設け、その間仕切壁47を、底面パネル73(下がり天井X)の下方に設けた壁面材84と、それを支持する下地フレーム85とを備えて構成し、下地フレーム85には、壁面材84から上方に延出した延出部87a,87bを設けた。そして、延出部87a,87bについて、底面パネル73を貫通して天井裏空間を上下に延びるように設け、その上端部を、天井面材69を支持するための野縁68に固定した。野縁68から吊り下げられた状態で設置されるチャンバ構成体70の底面パネル73等に間仕切壁47の上端部を固定する場合には、間仕切壁47を安定した状態で設置するのが困難になるおそれがある。その点、野縁68に対して下地フレーム85を固定する上記の構成とすることで、間仕切壁47を安定した状態で設置することが可能となる。
下がり天井X(底面パネル73)を間仕切壁47の設置方向に沿って複数に分割した。この場合、間仕切壁47(の一部)を設置した後でも、分割された各底面パネル73を設置できる等、施工の自由度を高めることが可能となる。
二階部分においてはチャンバ室31が寝室21及び応接室22(居室空間)の天井面35よりも下方に設けられている。すなわち、チャンバ室31が、天井面35よりも上方の境界部25に設けられた断熱層よりも下方に設けられているため、チャンバ室31に対する日射熱の影響を軽減でき、その結果チャンバ室31を流れる空調空気が日射熱により温度上昇する等の不都合を抑制できる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、廊下18及び機械室19の天井裏空間をチャンバ室30として形成したが、同天井裏空間に空調用チャンバを設置してその空調用チャンバの内部空間をチャンバ室としてもよい。空調用チャンバは、例えば金属製の複数の板材を接合することにより直方体状に形成される。具体的には、空調用チャンバは天井裏空間の延びる方向に拡張されてなる扁平状をなして形成される。この場合、空調用チャンバに対して吹出グリル37が接続されることにより、かかる構成においても空調用チャンバ内の空調空気をリビング16及び和室17に吹出グリル37より吹き出すことができる。
(2)上記実施形態では、廊下18及び機械室19の天井面32とリビング16の天井面33との間の段差部36aに囲い部として囲い壁部38aを設け、その囲い壁部38aに吹出グリル37aを設置したが、これを変更してもよい。例えば、かかる段差部36aに囲い部として天井面32から天井面33に向かって上方傾斜する傾斜部を設け、その傾斜部に吹出グリル37を設けてもよい。この場合、吹出グリル37の吹出口が斜め下に向くため、空調空気を吹出グリル37より下方に向けて吹き出すことができる。
(3)チャンバ構成体70の構成は必ずしも上記実施形態の構成に限定されることなく、その他の構成としてもよい。例えば、チャンバ構成体を硬質製樹脂により形成してもよい。具体的には、チャンバ構成体を一面が開口された直方体の箱体として形成し、それを天井面材69の下面に対して開口を上側に向けた状態で取り付ける。この場合、チャンバ構成体(箱体)と天井面材69とにより囲まれた内側空間をチャンバ室とすることができる。したがって、比較的簡素な構成でチャンバ室を形成できる。
(4)例えばリビング16と廊下18とを仕切る間仕切壁52をチャンバ構成体70の下方に設けてもよい。具体的には、チャンバ構成体70を、その側面パネル72の板面が間仕切壁52の壁面と略面一となるように設けることが考えられる。この場合、チャンバ構成体70の側面パネル72がリビング16側に露出して設けられ、該側面パネル72に吹出グリル37が設けられることとなる。つまり、この場合側面パネル72がチャンバ室30を囲い部(囲い壁部)となる。
(5)本発明の空調設備を上記実施形態の建物10以外の建物に適用してもよい。その例を図8に示す。図8(a)に示す建物90は、二階部分13において寝室21に代えてバルコニー91が設けられている。空調システムとしては、一階部分12の下がり天井X(チャンバ構成体70の底面パネル73)において廊下18の上方には吹出グリル37dが設けられており、チャンバ室30の空調空気が同グリル37dより廊下18に吹き出されるようになっている。また、二階部分13の下がり天井Yにも同様に吹出グリル37dが設けられ、チャンバ室31の空調空気が同グリル37dより廊下23に吹き出されるようになっている。この場合、チャンバ室30,31の下方となる低天井空間部(廊下18,23)に対して空調を行うことができる。
図8(b)に示す建物95は、屋根部分14が寄棟屋根からなる建物である。二階部分13と屋根部分14との間の境界部25には、グラスウール等の断熱材からなる断熱層が形成されており、この断熱層により天井裏空間96にこもる熱が境界部25を介して二階部分13に伝わるのが抑制されている。そして、二階部分13では境界部25の下方にチャンバ室30が設けられている。これにより、チャンバ室31に対する日射熱の影響を軽減できるため、チャンバ室31を流れる空調空気が日射熱により温度上昇する等の不都合を抑制できる。
(6)図9に示す建物100では、一階部分12にのみチャンバ室101が設けられている。具体的には、下がり天井Zが、廊下18及び機械室19の天井部と、リビング16及び和室17の天井部とに跨って設けられており、これにより下がり天井Zの上方の天井裏空間すなわちチャンバ室101が廊下18及び機械室19の上方のみならず、リビング16及び和室17の上方にも一部形成されている。換言すると、チャンバ室101は、上記実施形態のチャンバ室30に対してリビング16側及び和室17側にそれぞれ張り出して形成されており、チャンバ室101を囲む囲い壁部38a,38bがそれぞれ間仕切壁52よりもリビング16側に、間仕切壁57よりも和室17側に設けられている。そしてこれら各囲い壁部38a,38bに吹出グリル37a,37bが設けられている。この場合、リビング16及び和室17(以下、リビング16等という)の天井全体を下がり天井としなくても、リビング16等に空調空気を供給できるため、リビング16等が狭小になるのを抑制しつつリビング16等に対する空調を実施できる。
また、一階部分12と二階部分13との境界部15には、チャンバ室101、具体的にはチャンバ室101においてリビング16側及び和室17側に張り出した各張出部分101aからそれぞれ上方に延びる通気通路103が設けられ、それら各通気通路103は寝室21の床面及び応接室22の床面に設けられた各吹出グリル37eにそれぞれ接続されている。この場合、チャンバ室101の空調空気が通気通路103を通じて吹出グリル37eに供給されて同吹出グリル37eより寝室21及び応接室22にそれぞれ吹き出される。この場合、共通のチャンバ室101を用いて一階部分12の部屋のみならず二階部分13の部屋についても空調を行うことができる。また、チャンバ室101は水平方向に拡がる空間となっているため、通気通路103の設置位置、ひいては吹出グリル37eの設置位置に関して自由度を高めることができる。