以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てのユニット式建物において本発明を具体化している。図4はユニット式建物の概要を示す斜視図である。
図4に示すように、住宅等の建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その上方に設けられた屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てであり、複数の建物ユニット20が互いに連結されることにより構成されている。建物ユニット20は製造工場においてあらかじめ製造され、その後施工現場にトラック等により運搬されるものとなっている。また、屋根部13は、陸屋根(フラットルーフ)として構成されている。
図5には建物ユニット20の斜視図を示す。図5に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
続いて、建物10の二階部分15の構成について図1に基づいて説明する。図1は、二階部分15の構成を示す縦断面図である。
図1に示すように、建物10の二階部分15には、屋内空間として、居室31と廊下32と機械室33とが設けられている。廊下32は、居室31と機械室33とを繋いでいる。廊下32は、間仕切壁35によって居室31と仕切られており、その間仕切壁35には、廊下32から居室31へ出入りするための出入口37が設けられている。出入口37にはドア38が設けられており、そのドア38により出入口37が開閉される。なお、廊下32が「隣室」に相当する。
廊下32を挟んで居室31とは反対側には機械室33が設けられている。機械室33は三方が仕切壁39により囲まれており、その一側面には廊下32に向けて開口された開口部41が設けられている。開口部41には、上下一対の扉部42,43が設けられており、それら扉部42,43により開口部41が開閉される。なお、機械室33は、一の建物ユニット20の内部空間を利用して形成されている。
二階部分15の天井部には、天井面材27が設けられている。天井面材27は、石膏ボードを有して構成され、天井大梁22及び天井小梁25の下面に設けられた野縁48により上方から支持されている。天井面材27の上方には天井裏空間44が形成されている。天井裏空間44は、天井面材27とその上方の屋根部13との間の空間となっている。
二階部分15の天井部のうち、廊下32の天井部には、天井面材27の下方にさらに天井面材45が設けられている。つまり、廊下32の天井部では、この天井面材45によりいわゆる下がり天井が形成されている。天井面材45は、天井面材27と同様に、石膏ボードを有して構成されている。天井面材45は、廊下32を挟んで対向する各仕切壁46の間に架け渡されて設けられている。天井面材45とその上方の天井面材27との間には天井裏空間49が形成されている。この場合、廊下32の天井部では、天井面材27により上下に仕切られた2層の天井裏空間44,49が形成されている。
廊下32の天井部では、天井面材45により天井面55が形成されている一方、居室31及び機械室33の天井部では、天井面材27により天井面56が形成されている。この場合、廊下32の天井高さは、居室31及び機械室33の天井高さと比べて低くなっている。このため、廊下32は、居室31及び機械室33(ひいては他の屋内空間)よりも天井高さの低い低天井空間となっている。
二階部分15の床部には、床大梁23上に根太57が設けられている。それら各根太57の上と各床小梁26の上とには床面材28が設けられている。床面材28は、パーティクルボードを有して構成されている。この床面材28により屋内空間31〜33の床面58が形成されている。
ところで、本建物10には、一階部分14及び二階部分15にそれぞれ空調システムが設けられている。空調システムは、共通の空調装置を用いて複数の屋内空間の空調を行ういわゆる全館空調システムとなっている。以下においては、二階部分15に設けられた空調システム50の構成について説明する。
空調システム50は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置51と、空調装置51に接続ダクト59等を介して接続された空調ダクト52とを備える。空調装置51は、機械室33に設置された室内機として構成されている。空調装置51は、廊下32から機械室33に流れ込む空気を還気として取り込み、その還気をもとに空調空気を生成する。そして、空調装置51は、その生成した空調空気を空調ダクト52へ供給する。
空調ダクト52は、廊下32上方の天井裏空間49に設置されており、同空間49において水平方向に延びるように配設されている。空調ダクト52は、同ダクト52の長手方向に分割された複数のダクト部54を有している。空調ダクト52は、それら各ダクト部54が互いに連結されることにより構成されている。各ダクト部54は、断熱性能に優れた発泡スチロール等の樹脂材料により四角筒状に形成されており、その内側に空調空気が流れる内部通路54a(図2参照)を有している。各ダクト部54の内部通路54aは互いに連通しており、それら連通した各内部通路54aにより空調ダクト52のダクト内通路52a(図2参照)が形成されている。
なお、空調ダクト52は、必ずしも複数のダクト部54(ダクト部材)により構成する必要はなく、長尺状をなす一のダクト部材により構成してもよい。
空調ダクト52には吹出チャンバ53が接続されている。吹出チャンバ53は、空調ダクト52において複数箇所に接続されている。空調ダクト52を流れる空調空気はこれら各吹出チャンバ53に供給され、その供給された空調空気が各吹出チャンバ53より屋内空間に向けて吹き出される(供給される)。図1では、各吹出チャンバ53のうち、居室31に向けて空調空気を吹き出す吹出チャンバ53が示されている。この吹出チャンバ53は間仕切壁35に形成された挿通孔67に挿通されている。
次に、機械室33周辺の構成について図2及び図3に基づいて説明する。図2は、機械室33周辺の構成を示す縦断面図である。図3は、機械室33周辺の構成を示す横断面図であり、図2のA−A線断面に相当する。
図2及び図3に示すように、機械室33は、廊下32の突き当たりに位置しており、廊下32の延長上の空間として形成されている。機械室33は、その三方が仕切壁39(39a〜39c)により囲まれて形成されている。それら各仕切壁39a〜39cのうち、仕切壁39aと仕切壁39bとが機械室33を挟んで対向しており、仕切壁39cが各仕切壁39a,39bを繋ぐように設けられている。この場合、対向する仕切壁39a,39b同士の間隔と、廊下32を挟んで対向する仕切壁46同士の間隔とは同じとなっている。したがって、機械室33は、上下に対向する床面58及び天井面56と、各仕切壁39a〜39bの壁面63a〜63cとに囲まれた小室(小部屋)として形成されている。
機械室33を挟んで仕切壁39cとは反対側には、機械室33を廊下32に向けて開放する開口部41が設けられている。開口部41は、その開口幅が機械室33の幅(各仕切壁39a,39bの間隔)と略同じとなっており、その開口高さが廊下32の天井高さ(床面58から天井面55までの距離)と略同じとなっている。開口部41の周縁部には扉枠61が設けられている。扉枠61は、開口部41の上縁部に沿って設けられた上枠61aと、開口部41の各側縁部に沿って設けられた一対の縦枠61bとを有している。上枠61aは、開口部41の上方にて各仕切壁46の間に架け渡された長尺の下地材62に固定され、各縦枠61bは、機械室33の各仕切壁39a,39bにそれぞれ固定されている。また、開口部41の上方には、機械室33と天井裏空間49とを連通する連通部69が設けられている。この連通部69は、下地材62と天井面56との間に形成されている。
なお、以下の説明では、機械室33において、その奥行き方向における開口部41側を手前側(前側)といい、開口部41側とは反対側である仕切壁39c側を奥側(後側)という。また、機械室33において左右とは、機械室33を前側(廊下32側)から見た場合における左右をいう。したがって、機械室33において仕切壁39a側が左側、仕切壁39b側が右側となる。
扉枠61の内側には、開口部41を開閉する上下2つの扉部42,43が設けられている。これら各扉部42,43のうち、上側の扉部43の背面側(機械室33側)には収納棚64が設けられている。収納棚64は、機械室33の上部に設けられており、詳しくは機械室33の上側半分に跨がって設けられている。上側の扉部43は、この収納棚64を開閉する開閉扉となっている。
開口部41において収納棚64よりも下側の部分はメンテナンス開口部65となっている。メンテナンス開口部65は、空調装置51をメンテナンスする際に用いられる開口である。下側の扉部42は、このメンテナンス開口部65を開閉する開閉扉となっている。なお、この扉部42の下端と床面58との間には機械室33と廊下32とを連通する通気部66が形成されており、この通気部66を通じて廊下32の空気が機械室33に取り込まれるようになっている。
上記の収納棚64は、底板部64aと天板部64bと背板部64cとを有しており、それら各板部64a〜64cによりコ字状の棚本体が形成されている。収納棚64は、その棚本体の開放側を廊下32側に向けた状態で設置されている。この場合、天板部64bは廊下32上方の天井面材45と同じ高さ位置に配置され、背板部64cは仕切壁39cと対向して配置されている。棚本体の内部には、上下複数の棚板64dが設けられている。これらの棚板64dは、その後端部において背板部64cに固定されている。
収納棚64は、対向する各仕切壁39a,39bに跨がるように設けられており、その幅方向の両端部がそれぞれ各仕切壁39a,39bに固定金具(図示略)を介して固定されている。収納棚64は、機械室33において奥行き方向における廊下32側(手前側)に配置されている。これにより、機械室33において収納棚64の後方(奥側)には、第1スペースS1が形成されている。また、機械室33において収納棚64の上方には、第2スペースS2が形成されており、この第2スペースS2と第1スペースS1との間には第3スペースS3が形成されている。第3スペースS3は、第1スペースS1と第2スペースS2と天井面56と壁面63cとに囲まれたスペースとなっている。
ちなみに、上記のように機械室33の上部に収納棚64が設けられていることで、デッドスペースとなりがちな機械室33上部のスペースの有効利用が図られている。
機械室33には、上述したように空調装置51が設置されている。空調装置51は、機械室33において床面58上に設置されており、収納棚64に対して奥側に配置されている。空調装置51の上端部には接続ダクト59が接続されている。接続ダクト59は、消音機能を有するフレキシブル管により構成され、空調装置51から上方に向けて延びている。接続ダクト59は、機械室33において第1スペースS1に配設されており、同スペースS1において上下方向に延びている。また、接続ダクト59は、その上端部が第1スペースS1(換言すると収納棚64)の高さ方向の中間部、詳しくは高さ方向の中央部よりも上側に位置している。
接続ダクト59の上端部には接続チャンバ70が接続されている。接続チャンバ70は、接続ダクト59と空調ダクト52とを繋ぐチャンバである。本空調システム50では、この接続チャンバ70の構成に特徴を有しており、以下においては接続チャンバ70の構成について詳しく説明する。
接続チャンバ70は、機械室33において天井側に設けられている。接続チャンバ70は、第1スペースS1の上部と第3スペースS3とに跨がって上下に延びる第1部分70aと、その第1部分70aから手前側(前方)へ延び第2スペースS2に設けられた第2部分70bとを有している。これら各部分70a,70bのうち、第1部分70aが接続ダクト59に接続され、第2部分70bが空調ダクト52に接続されている。接続チャンバ70は、これら各部70a,70bにより全体として側面視L字状をなしており、第1スペースS1の上部と第2スペースS2と第3スペースS3とをそれぞれ埋めるようにして配設されている。
接続チャンバ70は、その幅(横幅)が機械室33の幅と同じとされており、各仕切壁39a,39b(機械室33の各壁面63a,63b)に跨がって設けられている。また、接続チャンバ70は、さらに、機械室33の壁面63c及び天井面56と、収納棚64の外面とにもそれぞれ跨がっている。接続チャンバ70の第1部分70aにおいて第1スペースS1に配設された部分は、同スペースS1を挟んで対向する収納棚64(背板部64c)の背面64eと機械室33の壁面63cとに跨がって設けられている。また、第2部分70bは、第2スペースS2を挟んで上下に対向する収納棚64(天板部64b)の天面64fと機械室33の天井面56とに跨がって設けられている。なお、収納棚64の背面64e及び天面64fがそれぞれ収納棚64の外面に相当する。
接続チャンバ70は、その内部にチャンバ内空間71を有している。チャンバ内空間71は、空調空気が流れる流路となっており、接続ダクト59内部と空調ダクト52内部とを互いに連通している。接続チャンバ70は、チャンバ内空間71を囲んで設けられる板状の複数の断熱材72〜78を有している。接続チャンバ70は、それら複数の断熱材72〜78が互いに組み合わされることにより箱状に形成されている。それらの断熱材72〜78はいずれも発泡系断熱材により構成され、具体的には発泡ウレタンフォームにより構成されている。
複数の断熱材72〜78には、チャンバ内空間71の上方に設けられた上側断熱材72と、チャンバ内空間71の左方に設けられた左側断熱材73と、チャンバ内空間71の右方に設けられた右側断熱材74と、チャンバ内空間71の後方に設けられた後側断熱材75と、チャンバ内空間71と収納棚64との間に設けられた収納棚断熱材76と、チャンバ内空間71の下方に設けられた下側断熱材77と、チャンバ内空間71の前方に設けられた前側断熱材78とがある。
上側断熱材72は、矩形板状(平板状)に形成され、その板面を天井面56に重ねた状態で設けられている。上側断熱材72は、接着剤を用いて天井面56に固定されている。上側断熱材72は、第2スペースS2と第3スペースS3とに跨がって延びており、その後端部が壁面63cに対して当接している。また、上側断熱材72は、機械室33の各壁面63a,63bに跨がって設けられている。なお、上側断熱材72が天井断熱材に相当する。
左側断熱材73は、平板状をなしており、矩形形状の一部が収納棚64との干渉を回避すべく矩形に切り欠かれた形状を有している。左側断熱材73は、その板面を機械室33の壁面63aに重ねた状態で設けられており、その壁面63aに接着剤を用いて固定されている。具体的には、左側断熱材73は、第1スペースS1と第3スペースS3とに跨がって上下に延びる部分73aと、その部分73aから前側に延びて第2スペースS2に配設された部分73bとを有している。
左側断熱材73は、その前後方向の長さが上側断熱材72と同じとされている。左側断熱材73は、同方向における前端部の位置が上側断熱材72と同じとされ、後端部が機械室33の壁面63cに当接している。左側断熱材73は、その上端部が上側断熱材72に当接しており、当該上側断熱材72と連続させて設けられている。また、左側断熱材73において上記部分73bの下端部は収納棚64の天面64fに当接している。
右側断熱材74は、左側断熱材73と同じ形状でかつ同じ大きさを有して形成されている。つまり、右側断熱材74と左側断熱材73とは同じ構成を有しており、部材の共通化が図られている。右側断熱材74は、その板面を機械室33の壁面63bに重ねた状態で設けられており、その壁面63bに接着剤を用いて固定されている。右側断熱材74は、機械室33の壁面63bに設けられている点を除いて、その設置構成が左側断熱材73と同じとされている。つまり、右側断熱材74は、機械室33の幅方向(左右方向)の中央を基準として左側断熱材73と対称となるように配置されている。したがって、ここでは、右側断熱材74の設置構成についてはその説明を割愛する。
後側断熱材75は、矩形板状(平板状)に形成され、その板面を機械室33の壁面63cに重ねた状態で設けられている。後側断熱材75は、その壁面63cに接着剤を用いて固定されている。後側断熱材75は、左側断熱材73と右側断熱材74とに跨がって設けられている。したがって、後側断熱材75は、それら各断熱材73,74と連続させて設けられている。また、後側断熱材75は、その上端部において上側断熱材72と当接しており、その上側断熱材72と連続させて設けられている。また、後側断熱材75の下端部は、左右両断熱材73,74の下端部と同じ高さ位置にある。
なお、左右両断熱材73,74と後側断熱材75とがそれぞれ壁断熱材に相当する。
収納棚断熱材76は、L字状の断面を有して形成されており、収納棚64の天面64fに設けられた天面部76aと、収納棚64の背面64eに設けられた背面部76bとを有している。天面部76aは収納棚64の天面64fに接着剤を用いて固定され、背面部76bは収納棚64の背面64eに接着剤を用いて固定されている。本実施形態では、収納棚断熱材76が天面部76aと背面部76bとを含めて一体形成されている。但し、天面部76aと背面部76bとをそれぞれ別体として形成してもよい。
収納棚断熱材76は、左側断熱材73と右側断熱材74とに跨がって設けられている。したがって、収納棚断熱材76は、それら両断熱材73,74と連続させて設けられている。収納棚断熱材76(天面部76a)の前端部は、前後方向において上側断熱材72(及び左右両断熱材73,74)の前端部と同位置にある。また、収納棚断熱材76(背面部76b)の下端部は、上下方向において左右両断熱材73,74(及び後側断熱材75)の下端部と同位置にある。
下側断熱材77は、矩形板状(平板状)に形成され、第1スペースS1においてチャンバ内空間71を挟んで上側断熱材72と対向して設けられている。下側断熱材77は、左右両断熱材73,74、後側断熱材75及び収納棚断熱材76(詳しくは背面部76b)の各下端部に跨がって設けられている。この場合、下側断熱材77は、これら各断熱材73〜76とそれぞれ連続させて設けられている。なお、下側断熱材77が底部断熱材に相当する。
下側断熱材77の下面には、接続ダクト59に接続される接続部材81が設けられている。接続部材81は、鋼板により形成されており、下側断熱材77の下面が重ねられる平板部82を有している。平板部82は、その平面視の大きさが下側断熱材77と同じとなっており、その平板部82の上面に下側断熱材77が接着剤を用いて固定されている。
接続部材81は、平板部82の各端辺部からそれぞれ下方に延びる複数(具体的には4つ)のフランジ部83を有している。各フランジ部83(83a〜83c)のうち、前側のフランジ部83aは収納棚64の背面64eにビス84により固定されている。ビス84は、収納棚64の背板部64cをその前側から貫通しフランジ部83aにねじ込まれている。後側のフランジ部83bは機械室33の壁面63cにビス84により固定され、左右両側の各フランジ部83cはそれぞれ機械室33の各壁面63a,63bにビス84により固定されている。なお、ビス84は樹脂製とされている。
接続部材81の平板部82には、接続ダクト59が接続される接続口86が形成されている。接続口86は、平板部82に形成されたバーリング孔よりなる。接続口86には接続ダクト59の上端部が挿し込まれており、その挿し込み状態で接続ダクト59と接続口86とが気密状態で接着固定されている。これにより、接続ダクト59が接続部材81に接続され、ひいては接続チャンバ70に接続されている。また、下側断熱材77には、接続口86に対応する位置に孔部77aが形成されている。この孔部77aを介して接続ダクト59(接続口86)とチャンバ内空間71とが連通している。
前側断熱材78は、矩形板状に形成され、第2スペースS2においてチャンバ内空間71を挟んで後側断熱材75と対向して設けられている。前側断熱材78は、上側断熱材72、左右両断熱材73,74及び収納棚断熱材76(天面部76a)の各前端部に跨がって設けられ、これら各断熱材72〜74,76の前端部にそれぞれ接着剤を用いて固定されている。この場合、前側断熱材78は、これら各断熱材72〜74,76に連続させて設けられている。なお、前側断熱材78がダクト側断熱材に相当する。
前側断熱材78は、その前面に天井裏空間49側に向けて突出する突出部87を有している。この突出部87は、矩形形状をなしている。突出部87は、ダクト部54の内部通路54a(空調ダクト52のダクト内通路52a)に挿入されて(嵌め込まれて)ダクト部54(空調ダクト52)に接続されている。これにより、前側断熱材78がダクト部54に接続され、ひいては接続チャンバ70が空調ダクト52に接続されている。また、突出部87は、内部通路54aに挿入された状態でダクト部54に接着剤を用いて固定されている。詳しくは、突出部87とダクト部54とはそれら両者間の気密状態が確保された状態で固定されている。なお、この場合、突出部87がダクト接続部に相当する。
前側断熱材78には、突出部87を含めて厚み方向に貫通する孔部88が形成されている。この孔部88を介して内部通路54aとチャンバ内空間71とが互いに連通されている。なお、この孔部88が連通孔に相当する。
各断熱材72〜78の内側面(すなわちチャンバ内空間71側の面)にはそれぞれ気密シート89が接着剤を用いて貼り付けられている。気密シート89は、気密性能を有する樹脂材料により形成され、例えばポリエチレン樹脂により形成されている。気密シート89は、断熱材72〜78の内側面においてチャンバ内空間71に面した範囲の全域に亘って貼り付けられている。但し、下側断熱材77の気密シート89には、同断熱材77の孔部88に対応させて孔部89aが形成されており、前側断熱材78の気密シート89には、同断熱材78の孔部88に対応させて孔部89aが形成されている。
次に、建物10に空調システム50を設置する場合の作業手順について説明する。図6及び図7は、かかる作業手順を説明するための説明図である。
ユニット製造工場では、まず建物10を構成する各建物ユニット20を製造する。これにより、所定の建物ユニット20に機械室33が形成される。なお、この建物ユニット20には、扉部42,43を取り付けないでおく。また、廊下32上方の天井面材45についても取り付けないでおく。
空調システム50の設置に際してはまず、図6(a)に示すように、機械室33の天井面56に上側断熱材72を接着剤を用いて貼り付ける。また、機械室33の各壁面63a〜63cにそれぞれ左側断熱材73、右側断熱材74及び後側断熱材75を接着剤を用いて貼り付ける。その後、それら各断熱材72〜75の内側面にそれぞれ気密シート89を接着剤を用いて貼り付ける。
なお、機械室33の天井面56及び各壁面63a〜63cにそれぞれ断熱材72〜75を貼り付けてから、気密シート89をそれら断熱材72〜75に貼り付けるようにしてもよい。
次に、図6(b)に示すように、接続部材81を機械室33の各壁面63a〜63cにビス84により固定する。この場合、接続部材81のフランジ部83bを壁面63cにビス84で固定し、両側のフランジ部83cをそれぞれ壁面63a,63bにビス84で固定する。また、この固定作業に先立ち、接続部材81には予め下側断熱材77を接着剤を用いて貼り付けておき、また下側断熱材77には気密シート89を接着剤を用いて貼り付けておく。これにより、接続部材81の壁面63a〜63bへの固定作業を行うことで、下側断熱材77及び気密シート89の設置が完了する。
なお、上記の手順に代えて、まず接続部材81だけを壁面63a〜63cに固定し、それから接続部材81に下側断熱材77と気密シート89とを貼り付けるようにしてもよい。
その後、ユニット製造工場にて製造した各建物ユニット20をトラックにより施工現場へ搬送する。
施工現場では、まず各建物ユニット20をそれぞれ所定の位置に設置する。その後、図6(c)に示すように、上記所定の建物ユニット20に形成された機械室33の床面58に空調装置51を設置する。それから、その空調装置51に接続ダクト59を接続し、その接続ダクト59を接続部材81の接続口86に接続する。
次に、図7(a)に示すように、収納棚64を機械室33に設置する。この場合、収納棚64を機械室33の各壁面63a,63bにそれぞれビス等で固定するとともに、接続部材81のフランジ部83aにビス84により固定する。また、収納棚64の設置作業に先立ち、予め収納棚64には収納棚断熱材76を接着剤を用いて貼り付けておき、また収納棚断熱材76には気密シート89を接着剤を用いて貼り付けておく。これにより、収納棚64の設置作業を行うことで、収納棚断熱材76及び気密シート89の設置が完了する。
次に、図7(b)に示すように、前側断熱材78を上側断熱材72、左右両断熱材73,74及び収納棚断熱材76にそれぞれ接着剤を用いて固定する。なお、この固定作業に先立って、前側断熱材78には予め気密シート89を接着剤を用いて貼り付けておく。これにより、接続チャンバ70の設置(製造)が完了する。
次に、図7(c)に示すように、前側断熱材78にダクト部54を接続する。この場合、ダクト部54を、その内部通路54aに前側断熱材78の突出部87を挿入しながら接続する。その後、残りのダクト部54を順次接続していき、空調ダクト52を構成(製造)する。そして、廊下32上方に天井面材45を取り付ける。これにより、天井裏空間49への空調ダクト52の設置が完了する。
その後、空調ダクト52に吹出チャンバ53を接続する等して、一連の作業が完了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
接続チャンバ70を、空調空気の流れるチャンバ内空間71と、そのチャンバ内空間71を囲んで設けられる板状の複数の断熱材72〜78とを有して構成した。この場合、接続チャンバ70の断熱性能を好適に確保することができる。また、それら複数の断熱材72〜78のうち、上側断熱材72については機械室33の天井面56に設け、左側断熱材73、右側断熱材74及び後側断熱材75についてはそれぞれ機械室33の壁面63a〜63cに設けた。この場合、これら各断熱材72〜75についてはそれぞれ、ユニット製造工場において予め(建物ユニット20内の)機械室33の天井面56と壁面63a〜63cとに取り付けることが可能となるため、接続チャンバ70の一部をユニット製造工場で予め製造可能(組み付け可能)となる。また、ユニット製造工場で取り付けが行われない断熱材77,78については、施工現場での組み付けとなるが、その組み付け作業は上方を見上げた状態で接続チャンバをブラケット上に持ち上げ固定部に嵌め込むといった作業と比べて容易に行うことができる。よって、この場合、現場での接続チャンバ70の施工作業を容易とすることができる。
また、上方を見上げた状態で接続チャンバをブラケットの固定部に嵌め込む等する作業は見えづらい状態での作業であるため、品質の確保が困難であるが、上述のような接続チャンバ70の施工とすれば、比較的見え易い状態での作業とすることができ品質の確保が容易となる。
接続チャンバ70を機械室33の3方の壁面63a〜63cにそれぞれ跨がるように設け、それら各壁面63a〜63cにそれぞれ接続チャンバ70を構成する壁断熱材73〜75(左側断熱材73、右側断熱材74及び後側断熱材75)を設けた。この場合、これら3方の壁断熱材73〜75をユニット製造工場にて予め壁面63a〜63cに取り付けることができるため、接続チャンバ70の施工作業をより一層容易とすることができる。
また、本建物10では、機械室33が開口部41の幅と略同じ幅を有する小室として形成されているため、上述のように接続チャンバ70を3方の壁面63a〜63cに跨がる状態で設置し易い。そのため、それら各壁面63a〜63cにそれぞれ壁断熱材73〜75を設ける上述の構成を適用する上で好ましい構成といえる。
機械室33に接続チャンバ70に隣接させて収納棚64を設置し、その収納棚64の天面64f及び背面64e(外面)に跨がる状態で接続チャンバ70を構成する収納棚断熱材76を設けた。この場合、収納棚断熱材76については予め製造工場にて収納棚64に取り付けておくことができるため、施工現場ではその収納棚64を機械室33に設置するだけで収納棚断熱材76を配設することができる。これにより、現場での接続チャンバ70の施工作業をより一層容易とすることができる。
接続チャンバ70の底部に接続ダクト59と接続される接続口86を有する板状の接続部材81を設け、その接続部材81を機械室33の各壁面63a,63bに架け渡して設けた。そして、その接続部材81の上面に接続チャンバ70を構成する下側断熱材77を設けた。この場合、接続ダクト59を接続する接続部材81を下側断熱材77の下地としても用いることができるため、接続部材81の多機能化を図ることができる。
接続部材81(フランジ部83a)に対して収納棚64をビス84により固定したため、接続部材81を収納棚64を固定するための下地として用いることができる。これにより、接続部材81のさらなる多機能化を図ることができる。
また、ビス84を樹脂製としたため、ビス84を介して接続チャンバ70(チャンバ内空間71)に熱が伝わるのを抑制でき、その結果チャンバ70の断熱性能が低下するのを抑制できる。
空調ダクト52(ダクト部54)に接続される前側断熱材78に空調ダクト52のダクト内通路52a(ダクト部54の内部通路54a)に挿入されて当該空調ダクト52と接続される突出部87を設けるとともに、その突出部87を含めて当該前側断熱材78を貫通しチャンバ内空間71とダクト内通路52aとを連通する孔部88を設けた。この場合、突出部87を空調ダクト52のダクト内通路52aに挿し込んで接続するといった比較的簡単な作業により接続チャンバ70と空調ダクト52とを接続することができる。
接続チャンバ70を構成する各断熱材72〜78の内側面にそれぞれ気密シート89を設けたため、チャンバ内空間71を流れる空調空気がそれらの断熱材72〜78を透過して外部に漏れ出てしまうのを抑制することができる。これにより、接続チャンバ70の気密性能を高めることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、接続チャンバ70を機械室33における3方の壁面63a〜63cにそれぞれ跨がるように設けたが、これを変更して、接続チャンバ70を機械室33の2方の壁面63a,63bにのみ跨がるように設けてもよい。その場合、後側断熱材75については壁面63cから離間して配置されることになるため、後側断熱材75を例えば上側断熱材72、左右両断熱材73,74及び下側断熱材77に接着剤を用いて固定することが考えられる。
また、接続チャンバ70を機械室33の2方の壁面63a,63cにのみ跨がるように設けてもよい。その場合、右側断熱材74については壁面63bから離間して配置されることになるため、右側断熱材74を例えば上側断熱材72,後側断熱材75、収納棚断熱材76及び下側断熱材77に接着剤を用いて固定することが考えられる。
なお、上記実施形態では、機械室33が開口部41の幅と略同じ幅からなる小室として形成されていたが、機械室33が開口部41の幅よりも大きい幅で形成されている場合も考えられる。そのような機械室33においては、接続チャンバ70を2方の壁面63a,63bにのみ跨がるように設ける上述の構成を採用するのが望ましい。
(2)上記実施形態では、機械室33に設置された収納棚64に収納棚断熱材76を設けたが、機械室33には収納棚64が設けられていない場合もある。そのような場合には、収納棚断熱材76を設けることができないため、前側断熱材78と後側断熱材75(例えば前側断熱材78と同じ大きさで形成する)とに跨がって下側断熱材を設けることが考えられる。
(3)上記実施形態では、空調装置51と接続チャンバ70とを接続ダクト59を介して接続したが、空調装置51と接続チャンバ70とを接続ダクト59を介さず直接接続してもよい。その場合、接続チャンバ70を空調装置51の上端部に至るまで下方に延出させて形成し、その底部の接続部材81を空調装置51に直接接続することが考えられる。
(4)上記実施形態では、接続部材81(下側断熱材77を含む)をユニット製造工場にて機械室33の各壁面63a〜63cに固定したが、接続部材81を施工現場にて各壁面63a〜63cに固定してもよい。その場合でも、接続部材81は接続チャンバ70の底部に配置されているため、上方を見上げた状態で固定作業を行わなくてもよく、比較的容易に固定作業を行うことができる。
(5)上記実施形態では、各断熱材72〜78の内側面に気密シート89を設けたが、これに代えて又は加えて、断熱材72〜78の外側面(チャンバ内空間71側とは反対側の面)に気密シート89を設けてもよい。また、断熱材72〜78の内側面及び外側面の両方に気密シート89を設けないようにしてもよい。但し、接続チャンバ70の気密性能を高める上では気密シート89を設けるのが望ましい。
(6)上記実施形態では、断熱材72〜78として発泡系断熱材を用いたが、これを変更して、グラスウール等の繊維系断熱材を用いてもよい。但し、その場合には、チャンバ内空間71を囲むように樹脂又は金属からなる複数の板材を設け、その板材の板面に繊維系断熱材を設けることになる。
(7)屋根部13が寄せ棟式や切妻式の屋根となっている場合には、屋根部13の下方に屋根裏空間(換言すると天井面材27上方の天井裏空間)が形成されるため、その屋根裏空間に空調ダクト52を設置することが可能となる。そこで、そのような場合に、その空調ダクト52に接続チャンバ70を接続するようにしてもよい。その場合、接続チャンバ70は、例えばその上端部において空調ダクトと接続されることになる。