〔第1の実施形態〕
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の空調設備を、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てのユニット式建物において具体化している。ユニット式建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットを備え、それら各建物ユニットが互いに組み合わされることにより構成されている。図1は建物における二階部分の構成を示す概略縦断面図である。
図1に示すように、住宅等の建物10は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建ての建物となっており、二階部分12の上方には陸屋根よりなる屋根部13が設けられている。建物10の二階部分12には、屋内空間として、居室15と廊下16と機械室17とが設けられている。廊下16は、居室15と機械室17とを繋いでおり、その四方が間仕切壁18によって仕切られている(図2や図3も参照)。間仕切壁18には、廊下16と居室15との間を出入りするための出入口21aと、廊下16と機械室17との間を出入りするための出入口21bとが設けられている。それら各出入口21a,21bにはそれぞれドア22a,22bが設けられている。
二階部分12の天井部には、二階天井24が設けられている。二階天井24の上方は天井裏空間25となっており、この天井裏空間25が二階天井24により屋内空間と上下に仕切られている。天井裏空間25は、二階天井24と屋根部13との間に設けられており、その点からすると天井裏空間25を屋根裏空間ということもできる。
二階天井24は、第1天井面材27と、その第1天井面材27よりも低い位置に設けられた第2天井面材28とを備える。これら各天井面材27,28はいずれも、石膏ボードにより構成されている。第1天井面材27は、居室15と機械室17とに跨がって設けられており、居室15及び機械室17の天井面を形成している。第1天井面材27は、天井梁37の下面に取り付けられた野縁38により上方から支持されている。
第2天井面材28は、廊下16に設けられており、廊下16の天井面を形成している。第2天井面材28は、いわゆる下がり天井となっており、それにより廊下16は居室15及び機械室17よりも天井高さが低くされた低天井空間となっている。第2天井面材28は、廊下16を挟んで対向する間仕切壁18の間に架け渡された状態で設けられている(図2も参照)。
廊下16では、第2天井面材28に加えて第1天井面材27が設けられている。したがって、廊下16では、第1天井面材27と第2天井面材28とが上下に並んで配置されており、その天井裏空間25が第1天井面材27により上下に仕切られている。この場合、天井裏空間25において第1天井面材27よりも上側が上側空間部25aとなっており、第1天井面材27よりも下側が下側空間部25bとなっている。
建物10には、屋内空間の空調を行うための空調設備30が設けられている。以下、空調設備30の構成について図1に加えて図2及び図3に基づいて説明する。図2は二階部分12に設置された空調設備30の設置状態を示す平面図であり、図3は空調設備30及びその周辺の構成を示す斜視図である。なお、図3では便宜上、紙面手前側の間仕切壁18や二階天井24等の図示を省略している。
図1〜図3に示すように、空調設備30は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置31と、空調装置31に接続された空調ダクト32と、空調ダクト32に接続された吹出チャンバ33とを備える。空調装置31は、機械室17に設置された室内機として構成されている。空調装置31は、廊下16から機械室17に流れ込む空気を還気として取り込み、その還気をもとに空調空気を生成する。そして、空調装置31は、その生成した空調空気を空調ダクト32へ供給する。廊下16から機械室17への空気の流れ込みは例えば出入口21bのドア22bのアンダーカット部等を通じて行われる。
空調ダクト32は、廊下16上方の天井裏空間25に設置されている。空調ダクト32は、天井裏空間25の下側空間部25bに設置され、その下側空間部25bにおいて廊下16の通行方向(長手方向)に沿って延びるように配置されている。空調ダクト32は、間仕切壁18を貫通して廊下16の上方位置から機械室17に突出しており、その突出部分が接続ダクト34を介して空調装置31に接続されている。
吹出チャンバ33は、空調ダクト32に対して横並びに配置され、当該ダクト32に対して側方から接続されている。吹出チャンバ33は、空調ダクト32において複数箇所(具体的には3箇所)に接続されている。吹出チャンバ33は、空調空気を居室15に向けて吹き出す吹出口35を有している。間仕切壁18には天井裏空間25(下側空間部25b)と居室15とを連通する連通孔36が形成され、その連通孔36に吹出チャンバ33が吹出口35を居室15に向けた状態で挿通されている。なお、吹出チャンバ33が空調チャンバに相当する。
吹出チャンバ33の吹出口35側(居室15側)には吹出グリル39が設けられている。吹出グリル39は、横方向に長い矩形枠状に形成されており、その横幅が吹出チャンバ33の横幅よりも大きくなっている。吹出グリル39は、間仕切壁18に設けられた収容領域41に収容されており、その収容状態で間仕切壁18に取り付けられている。この吹出グリル39により、吹出チャンバ33及び連通孔36が居室15側から覆い隠されている。なお、吹出グリル39が空調グリルに相当する。
空調ダクト32は、横並びに配置された複数のダクト部42を有して構成されている。以下、かかる空調ダクト32の構成について図3に加えて図4及び図5に基づいて説明する。図4は、隣り合うダクト部42を分解した状態で示す分解斜視図である。図5は、隣り合うダクト部42の連結構造を示す斜視図であり、(a)が連結部分の連結状態を示しており、(b)が連結部分の連結解除状態を示している。
図3及び図4に示すように、ダクト部42は、ポリスチレンフォーム等の発泡スチロールにより直方体状に形成されている。ダクト部42は、その内側に空調空気が流れる内部通路43を有している。これにより、ダクト部42は全体として四角筒状をなしている。ダクト部42は、内部通路43を囲んで設けられる上壁部42a、下壁部42b及び一対の側壁部42cを有している。これら各壁部42a〜42cのうち、上壁部42a及び下壁部42bには外面側に突出する補強用のリブ45が設けられているのに対し、側壁部42cにはかかる補強用のリブ45が設けられていない。
内部通路43は、ダクト部42における両側の端面部42d、詳しくは各壁部42a〜42cを挟んで対向する両側の端面部42dにおいてそれぞれ外部に開放されている。隣り合うダクト部42は、互いの端面部42dを対向させた状態で接続されており、その接続状態においてそれら各ダクト部42の内部通路43が互いに連通されている。
隣り合うダクト部42において互いに対向する端面部42d同士のうち、一方のダクト部42(以下、便宜上その符号にAを付す)の端面部42dには、他方のダクト部42(以下、便宜上その符号にBを付す)に向けて突出する凸部47と、他方のダクト部42Bとは反対側に向けて凹んだ凹部48とが形成されている。それに対して、他方のダクト部42Bの端面部42dには、一方のダクト部42Aに向けて突出する凸部47と、一方のダクト部42Aとは反対側に向けて凹んだ凹部48とが形成されている。両ダクト部42A,42Bの接続状態では、一方のダクト部42Aの凸部47が他方のダクト部42Bの凹部48に入り込んでおり、他方のダクト部42Bの凸部47が一方のダクト部42Aの凹部48に入り込んでいる。これにより、両ダクト部42A,42Bの接続が容易に解除されることがないようになっている。なお、図4では、各ダクト部42A,42Bの端面部42dにおいて、凸部47と凹部48とがそれぞれ内部通路43の開口周縁部に沿って交互に複数(具体的には2つ)ずつ設けられている。
図5に示すように、隣り合うダクト部42A,42Bは、上記の接続状態において連結ブラケット51を用いて互いに連結されている。ダクト部42は、各側壁部42cからそれぞれ側方に向けて突出する突出部52を有している。突出部52は、各側壁部42cにおいてそれぞれダクト部42の両端面部42d側に配置され、その一側面がダクト部42の端面部42dと面一とされている。これにより、隣り合うダクト部42A,42Bの接続状態では、互いの突出部52同士が当接している。なお、突出部52は、ダクト部42の上壁部42aや下壁部42bから上方や下方に向けて突出していてもよい。
隣り合うダクト部42A,42Bの突出部52同士は連結ブラケット51により連結されている。連結ブラケット51は、互いに長尺状をなす一組の連結材51a,51bを有している。それら各連結材51a,51bは、上記両突出部52に巻き付けられた状態で設けられ、その巻き付け状態で互いの一端部同士及び他端部同士が連結されている。例えば連結材51a,51bの一端部同士は、引っ掛け部が被引っ掛け部に引っ掛けられることで連結され、他端部同士は、ビスにより連結されている。これにより、両突出部52同士が互いに連結され、ひいては隣り合うダクト部42A,42B同士が互いに連結されている。
続いて、天井裏空間25における空調ダクト32の設置構成について図2に加えて図6に基づいて説明する。図6は、天井裏空間25における空調ダクト32の設置構成を示す縦断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。
図2及び図6に示すように、間仕切壁18は、横並びに設けられた複数の壁パネル54を有して構成されている(図3も参照)。壁パネル54は、対向する一対の壁面材55と、それら各壁面材55の間に設けられた壁フレーム56とを有している。各壁面材55はそれぞれ、石膏ボードにより構成されている。壁フレーム56は、木製角材よりなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されており、壁面材55の幅方向両端部にて壁高さ方向に延びる一対の縦フレーム材56aと、それら各縦フレーム材56aに跨がって壁幅方向に延びる複数の横フレーム材56bとを有している。
廊下16(及び下側空間部28a)を挟んで対向する間仕切壁18の間には第2天井面材28を上方から支持する天井フレーム57が架け渡された状態で設けられている。天井フレーム57は、木製角材よりなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されており、対向する間仕切壁18の間に架け渡された一対のフレーム材57aと、それらフレーム材57aの端部同士を連結する一対のフレーム材57bとを有している。天井フレーム57は、廊下16の延びる方向に横並びで複数配置されており、各々のフレーム材57bが間仕切壁18の壁フレーム56(詳しくはその横フレーム材56b)に壁面材55を介してビス等で固定されている。これにより、各天井フレーム57は、対向する各間仕切壁18に対して固定されている。そして、これら天井フレーム57の下面側に第2天井面材28がビス等により固定されている。
これら天井フレーム57上には、空調ダクト32が設置されている。天井フレーム57上には、空調ダクト32と同方向に延びる長尺状のスペーサ部材59が互いに間隔をおいて複数(具体的には2つ)設けられ、それら複数のスペーサ部材59上に跨がって空調ダクト32が設置されている。空調ダクト32は、かかる設置状態において、各連結ブラケット51を介して天井フレーム57に固定されている。具体的には、各連結ブラケット51(詳しくは連結材51a)にはそれぞれ、空調ダクト32とは反対側に延びる固定ブラケット61が溶接等により固定され、その固定ブラケット61が天井フレーム57のフレーム材57bの内側面にビス62により固定されている(図5も参照)。これにより、空調ダクト32が天井フレーム57ひいては間仕切壁18に対して固定されている。
続いて、吹出チャンバ33及びその周辺の構成について図3に加えて図7〜図9に基づいて詳しく説明する。図7は、ダクト部42と吹出チャンバ33との接続部分及びその周辺構成を示す斜視図である。図8は、ダクト部42と吹出チャンバ33との接続部分の構成を示しており、(a)が同構成を示す縦断面図であり、(b)が同構成を示す横断面図である。図9は、吹出チャンバ33及びその周辺部材を示す斜視図である。
図3に示すように、吹出チャンバ33は、空調ダクト32を構成する複数のダクト部42のうち、中間部に配置されたダクト部42と、端部(空調装置31とは反対側の端部)に配置されたダクト部42とにそれぞれ接続されている。以下、説明の便宜上、これら吹出チャンバ33が接続されるダクト部42の符号にXを付す。
図7に示すように、空調ダクト32の中間部に配置されたダクト部42Xには、その側壁部42cに吹出チャンバ33へ空調空気を供給するための供給口64が形成されている。供給口64は、矩形形状をなしており、側壁部42cの一部がカッタ等の工具を用いて部分的に切り取られることにより形成されている。なお、ダクト部42は、上述したように発泡スチロールにより形成されているため、その側壁部42c全域が供給口64を形成するための孔開け加工が可能な加工対象領域となっている。
図示は省略するが、空調ダクト32の端部に配置されたダクト部42Xにも、同様に、供給口64が形成されている。このダクト部42Xには、互いに異なる側面側にそれぞれ吹出チャンバ33が接続されている(図3参照)。具体的には、このダクト部42Xには、その端面部42d(隣り合うダクト部42とは反対側の端面部42d)に内部通路43を塞ぐようにして、ダクト部42と同じ発泡スチロールよりなる塞ぎ壁部65が取り付けられている。ダクト部42Xには、この塞ぎ壁部65に対して供給口64が形成されているとともに、側壁部42cに対して供給口64が形成されている。そして、それら各供給口64に対してそれぞれ吹出チャンバ33が接続されている。
吹出チャンバ33は、上述したように間仕切壁18に形成された連通孔36に挿通された状態でダクト部42Xに接続されている。ここで、吹出チャンバ33の詳細説明をするのに先立ち、かかる連通孔36を有する間仕切壁18の構成について説明する。
図7に示すように、間仕切壁18を構成する複数の壁パネル54のうち、ダクト部42Xの側面側に設けられた壁パネル54には連通孔36が形成されている。この連通孔36は、壁パネル54に設けられたチャンバ取付枠67により形成されている。チャンバ取付枠67は、壁フレーム56の一部として構成されており、上方に開口されたコ字状をなす外枠部68と、外枠部68の内側に配設された内枠部69とを有している。
外枠部68は、壁フレーム56における一対の縦フレーム材56aの間において互いに離間して設けられた一対の縦桟71と、それら各縦桟71の下端部同士を連結する横桟72とを有している。各縦桟71はそれぞれ縦フレーム材56aに隣接配置され、当該縦フレーム材56aに対してビス等で固定されている。また、各縦桟71及び横桟72にはそれぞれ各壁面材55がビス等で固定されている。
内枠部69は、外枠部68の各縦桟71の間に架け渡されて設けられた上下一対の横桟73と、それら各横桟73の間において左右方向(壁幅方向)に互いに離間しかつ縦桟71に当接された状態で設けられた一対の板材74とを有する。内枠部69は、それら各横桟73と各板材74とが互いに連結されることにより構成されており、外枠部68に対してビス等で固定されている。
内枠部69において各横桟73及び各板材74により囲まれた内側の空間は上記連通孔36となっている。連通孔36は、ダクト部42の供給口64と対応する位置に設けられ、吹出チャンバ33の外形形状に対応した矩形形状を有している。
内枠部69は、間仕切壁18の厚み方向(以下、壁厚み方向という)の長さ(換言すると厚み)が外枠部68よりも小さくなっており、外枠部68における壁厚み方向の中間部(詳しくは中央部)に配置されている。この場合、外枠部68により囲まれた内側空間のうち内枠部69よりも居室15側の領域が吹出グリル39を収容する収容領域41となっている。また、各壁面材55にはそれぞれこの収容領域41に対応する開口部55aが形成されている。
続いて、吹出チャンバ33について説明する。
図7〜図9に示すように、吹出チャンバ33は、ダクト部42と同様、ポリスチレンフォーム等の発泡スチロールにより直方体状に形成されている。吹出チャンバ33は、その内部に空調空気が流れるチャンバ内通路76を有している。チャンバ内通路76は、上下に分割されて複数(具体的には2つ)設けられている。但し、チャンバ内通路76は、必ずしも複数設けられる必要はなく、1つのみ設けられていてもよい。
各チャンバ内通路76は、吹出チャンバ33における両側の端面部33a,33bにおいてそれぞれ開口されている。端面部33bにおける開口が空調ダクト32(ダクト部42X)からチャンバ内通路76に空調空気を取り込む取込口77とされ、端面部33aにおける開口がチャンバ内通路76に取り込まれた空調空気を居室15に吹き出す吹出口35とされている。なお、吹出口35が開口部に相当する。
吹出チャンバ33においてチャンバ内通路76を挟んだ両側の側壁部33cにはそれぞれL字状の固定金具79が設けられている。固定金具79は、互いに直角をなす一対の板部79a,79bを有しており、そのうち一方の板部79aが側壁部33cに埋設され吹出チャンバ33と一体化されている。詳しくは、当該板部79aは吹出チャンバ33と一体成形されている。また、他方の板部79bは、端面部33aにおいて側方に延びており側壁部33cよりもチャンバ外側に突出している。
吹出チャンバ33がチャンバ取付枠67の連通孔36に挿通された状態では、各固定金具79の板部79bがチャンバ取付枠67の板材74に居室15側から当接されており、その当接状態で板部79bが板材74に対してビス等により固定されている。これにより、吹出チャンバ33は、固定金具79を介してチャンバ取付枠67に固定されており、ひいては間仕切壁18に固定されている。
吹出チャンバ33のかかる固定状態では、吹出チャンバ33の取込口77とダクト部42の供給口64とが互いに向き合う位置に配置されている。この場合、それら供給口64と取込口77とを介してダクト部42Xの内部通路43と吹出チャンバ33のチャンバ内通路76とが互いに連通されている。これにより、空調ダクト32(ダクト部42X)を流れる空調空気が供給口64及び取込口77を通じてチャンバ内通路76に流れ込むようになっている。
ここで、本空調設備30では、上述したように、空調ダクト32と吹出チャンバ33とがそれぞれ間仕切壁18(ひいては建物10)に対して固定された状態で設置されている。その一方で、空調ダクト32(ダクト部42X)と吹出チャンバ33とは互いに連結されておらず非連結の状態とされている。これにより、空調ダクト32と吹出チャンバ33とは互いに相対移動することが可能となっている。
ダクト部42Xと吹出チャンバ33とが非連結とされた構成において、それら両部材33,42Xは通気可能に接続されている。ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分では、ダクト部42Xの側壁部42c(詳しくはその外側面)と吹出チャンバ33の端面部33bとが互いに対向しており、詳しくはダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続方向(以下、チャンバ接続方向Xという)において互いに対向している。具体的には、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分には、それら両部材33,42Xがチャンバ接続方向Xと直交する方向に重複し合う重複部分が設けられていない。したがって、ダクト部42Xと吹出チャンバ33とはチャンバ接続方向Xと直交する方向におけるいかなる向きにおいても互いの相対移動が許容されている。なお、側壁部42cの外側面と端面部33bとがそれぞれ対向面に相当する。
側壁部42cの外側面と端面部33bとの間には所定の隙間81が形成されており、この隙間81には気密部材82が設けられている。気密部材82は、弾性を有するクッション材料(素材)により板状に形成され、例えば発泡EPDMにより形成されている。気密部材82は、その裏面に接着層が形成されており、その接着層を介して吹出チャンバ33の端面部33b全域に貼り付けられている。例えば、気密部材82は、吹出チャンバ33の端面部33bと同じ大きさの板状をなしており、吹出チャンバ33の各取込口77に対応する開口部を有して形成されている。そして、気密部材82は、各開口部をそれぞれ各取込口77に位置合わせした状態で端面部33bに貼り付けられている。
なお、気密部材82は必ずしも開口部を有した板状に形成する必要はなく、細長板状の気密部材を複数用いて端面部33b全域に貼り付けてもよい。また、気密部材82は、必ずしも端面部33b全域に貼り付ける必要はなく、少なくとも端面部33bにおいて取込口77(詳しくは両取込口77)の外周側全域に連続して貼り付けてあればよい。
気密部材82は、その自然状態(非圧縮状態)における厚み寸法tが上記隙間81の幅Wよりも大きい寸法に設定されている。これにより、気密部材82は、ダクト部42Xの側壁部42cと吹出チャンバ33の端面部33bとの間で圧縮されており、その圧縮状態でそれら両者42X,33間の隙間81に介在されている。このため、ダクト部42Xと吹出チャンバ33とを非連結とした構成にあって、それら両者42X,33の接続部分における気密が確保されている。
吹出チャンバ33を挟んで空調ダクト32とは反対側には吹出グリル39が設けられている。吹出グリル39は、複数の縦桟39aと複数の横桟39bとが格子状に連結されることにより構成されている。吹出グリル39は、チャンバ取付枠67の収容領域41に収容されており、その収容状態でチャンバ取付枠67に取り付けられている。
吹出グリル39の収容状態では、吹出グリル39の縦桟39a(詳しくは両端の縦桟39a)とチャンバ取付枠67の板材74とが互いに対向しており、その対向部分において板材74側にはマグネット84が設けられ、縦桟39a側にはマグネット受け85が設けられている。マグネット84は矩形平板状をなしており、その吸着面を収容領域41に露出させた状態で板材74に埋め込まれている。一方、マグネット受け85は、矩形平板状の鋼板(金属板)よりなり、縦桟39aにおける板材74との対向面においてマグネット84と対応する位置に固定されている。
吹出グリル39の収容状態では、吹出グリル39のマグネット受け85がチャンバ取付枠67のマグネット84の磁力により吸着されている。これにより、吹出グリル39は、マグネット84及びマグネット受け85を介してチャンバ取付枠67(収容領域41)に着脱可能に取り付けられている。この場合、吹出グリル39の着脱が容易となるため、吹出グリル39のメンテナンス等を好適に行うことが可能となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
空調ダクト32と吹出チャンバ33とをそれぞれ間仕切壁18等に固定した構成にあって、空調ダクト32と吹出チャンバ33とを互いに非連結とし、それによってそれら両部材32,33を相対移動可能としたため、地震等により建物10に揺れが生じた場合には、空調ダクト32と吹出チャンバ33とが互いに異なる挙動で揺れ動くことが許容される。これにより、空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が生じるのを抑制することができるため、空調ダクト32や吹出チャンバ33に破損や変形が生じるのを抑制することができる。
空調ダクト32(ダクト部42X)の側壁部42cと吹出チャンバ33の端面部33bとの間に弾性を有する気密部材82を圧縮状態で介在させたため、それら両部材33,42Xの接続部分からの空気漏れを防止することができる。
また、側壁部42cと端面部33bとはチャンバ接続方向Xに対向し、それら側壁部42cと端面部33bとの間に気密部材82を介在させたため、例えば建物10側に固定された空調ダクト32(ダクト部42X)に吹出チャンバ33を接続する際に、それら両部材32,33間に気密部材82を介在させながら吹出チャンバ33を空調ダクト32に向けて押し付けて接続するといった比較的簡単な作業で気密部材82を両者32,33間に圧縮状態で介在させることができる。これにより、空調ダクト32と吹出チャンバ33とを非連結とした構成にあって、それら両者32,33の接続部分における気密を好適に確保することができる。
また、間仕切壁18等に対する空調ダクト32や吹出チャンバ33の固定時(組み付け時)に生じうる組み付け誤差等によって、空調ダクト32と吹出チャンバ33との位置関係に例えば両者32,33の接続方向においてずれが生じた場合でも、それら両者32,33間に介在された気密部材82の圧縮によりそのずれを吸収することが可能となる。そのため、ある程度のずれを許容した施工が可能となり、その結果施工の容易化を図ることが可能となる。
空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に、それら両者32,33がチャンバ接続方向Xと直交する方向に重複しあう重複部分を設けないことで、当該直交する方向におけるいずれの向きにおいてもそれら両者32,33の相対移動を可能とした。これにより、地震等により建物10に揺れが生じた場合には、空調ダクト32と吹出チャンバ33とが上記いずれの向きにおいても異なる挙動で揺れ動くことが許容されるため、空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が生じるのをより一層抑制することができ、その結果空調ダクト32や吹出チャンバ33に破損や変形が生じるのをより一層抑制することができる。
空調ダクト32には、複数のダクト部42が互いに連結されて構成されているものがある。かかる空調ダクト32では、隣り合うダクト部42同士を連結する(組み付ける)際に生じうる組み付け誤差が積み重なる等することにより、空調ダクト32(ダクト部42X)と吹出チャンバ33との位置関係にずれが生じ易くなることが考えられる。その点、上記の実施形態では、かかる空調ダクト32における所定のダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分に気密部材82を介在させたため、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との位置関係にずれが生じたとしても、そのずれを気密部材82により好適に吸収することができる。
空調ダクト32を構成する各ダクト部42及び吹出チャンバ33をそれぞれ発泡スチロールにより形成したため、断熱性に優れかつ加工性に優れた空調設備30を得ることができる。ただ、発泡スチロールは、金属製ダクト等と比べて強度面で劣るため、外力が加わると破損が生じ易い。その点上記の実施形態では、かかる発泡スチロールにより形成された空調ダクト32(ダクト部42X)と吹出チャンバ33との接続部分に上述した非連結の構成を採用しているため、これら両部材32,33の接続部分に無理な応力が生じるのを抑制することができ、その結果その応力が本体部に伝わるのを抑制することができる。これにより、発泡スチロールからなるダクト部42X及び吹出チャンバ33であっても破損が生じるのを抑制することができる。
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、チャンバ取付枠67に対する吹出チャンバ33の固定構成が上記第1の実施形態とは異なる。以下、かかる本実施形態の構成について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図10は、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分及びその周辺構成を示す斜視図である。図11は、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分の構成を示す横断面図である。
図10及び図11に示すように、吹出チャンバ33には、両側の側壁部33cにそれぞれ固定金具91が設けられている。上記実施形態では、固定金具79がL字状をなしていたのに対して、本実施形態では固定金具91が平板状をなしている。固定金具91は、その一部が板面を側壁部33cの外側面と面一とした状態で側壁部33cに埋設されており、それにより吹出チャンバ33と一体化されている。固定金具91において側壁部33cに埋設されていない部分は吹出チャンバ33よりも端面部33a側(換言すると居室15側)に突出する突出部91aとなっている。突出部91aには、その厚み方向に貫通する貫通孔92が形成されている。この貫通孔92は、横方向に延びる(長い)長孔形状を有しており、換言すると空調ダクト32(ダクト部42X)と吹出チャンバ33との接続方向(チャンバ接続方向X)に延びる長孔形状を有している。なお、固定金具91がチャンバ固定部材に相当する。
一方、チャンバ取付枠67の内枠部69における連通孔36を挟んだ左右両側の位置にはそれぞれその居室15側の面に上記固定金具91が固定される被固定部93が設けられている。被固定部93は、直方体状をなす木製のブロック材により形成されている。各被固定部93は、内枠部69の各板材74においてそれぞれ連通孔36側の端部に配置され、当該板材74にビス等で固定されている。また、被固定部93は、収容領域41に収容された吹出グリル39と干渉しない位置に配置され、詳しくは当該吹出グリル39の隣り合う縦桟39aの間、及び隣り合う横桟39bの間に位置するよう配置されている。
吹出チャンバ33が連通孔36に挿通された状態では、各固定金具91の突出部91aがそれぞれ被固定部93の内側面と対向しており、その状態で突出部91aが被固定部93にビス95により固定されている。詳しくは、ビス95は、突出部91aの貫通孔92に挿通された状態で被固定部93に打ち付けられている。これにより、吹出チャンバ33は固定金具91を介してチャンバ取付枠67に固定され、ひいては間仕切壁18に固定されている。
また、貫通孔92は、チャンバ接続方向Xに長い長孔状をなしているため、被固定部93に対する固定金具91の固定位置を貫通孔92が形成されている範囲内でチャンバ接続方向X(換言すると壁厚み方向)に調整可能となっており、それによりチャンバ取付枠67(間仕切壁18)に対する吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整可能となっている。これにより、間仕切壁18に対するダクト部42Xの固定位置(設置位置)にチャンバ接続方向Xにおけるずれが生じた場合でも、ダクト部42Xの固定位置をチャンバ接続方向Xに調整することでダクト部42Xの側壁部42cと吹出チャンバ33の端面部33bとの隙間81の幅Wを所望の幅に設定することができ、その結果気密部材82をそれら両者33,42X間において所望の圧縮状態で圧縮させることができる。よって、この場合、ダクト部42Xと吹出チャンバ33とを非連結とした上述の構成にあって、それら両者33,42X間の気密性能を好適に確保することが可能となる。
特に、空調ダクト32が複数のダクト部42を有して構成されている上述の構成では、間仕切壁18に対するダクト部42Xの固定位置にずれが生じ易いため、間仕切壁18に対する吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整可能としたことのメリットは大きいといえる。
〔第3の実施形態〕
本実施形態では、吹出チャンバ33を建物10側に固定するための構成が上記第1及び第2の実施形態とは異なっている。以下、かかる本実施形態の構成について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図12は、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分及びその周辺構成を示す斜視図である。図13は、ダクト部42Xと吹出チャンバ33との接続部分の構成を示す横断面図である。
図12及び図13に示すように、本実施形態では、吹出チャンバ33が固定金具97を介して吹出グリル39に固定されている。固定金具97は、吹出チャンバ33の両側の側壁部33cにそれぞれ設けられている。固定金具97は、平板状をなしており、その一部が側壁部33cに埋設されることで吹出チャンバ33と一体化されている。固定金具97において側壁部33cに埋設されていない部分は吹出チャンバ33よりも端面部33a側(換言すると居室15側)に突出する突出部97aとなっている。突出部97aは、吹出グリル39の縦桟39aの側面にビス98により固定されている。これにより、吹出チャンバ33が固定金具97を介して吹出グリル39と一体化されている。
吹出グリル39は、吹出チャンバ33を連通孔36に挿通させた状態で収容領域41に収容されている。この収容状態において、吹出グリル39はチャンバ取付枠67に対してマグネット101及びマグネット受け102を介して着脱可能に取り付けられている。そして、その取付状態において吹出チャンバ33がダクト部42Xと接続されている。具体的には、チャンバ取付枠67に対する吹出グリル39の取付状態では、当該吹出グリル39により吹出チャンバ33がダクト部42X側に押し付けられており、その押し付けによって吹出チャンバ33の端面部33bとダクト部42Xの側壁部42cとの間で気密部材82が圧縮された状態となっている。
また、本実施形態では、マグネット101及びマグネット受け102の取付位置が上記第1の実施形態とは異なっている。収容領域41における吹出グリル39の収容状態では、チャンバ取付枠67の外枠部68が吹出グリル39の外周を囲んでおり、同グリル39の縦桟39a(詳しくはグリル両端部の縦桟39a)と外枠部68の縦桟71とが互いに対向している。その対向部分において、縦桟71側にはマグネット101が設けられ、縦桟39a側にはマグネット受け102が設けられている。なお、この場合、マグネット101が磁石に相当し、マグネット受け102が磁石受け部に相当する。また、外枠部68がグリル囲み部に相当する。
マグネット101は、矩形平板状をなしており、その吸着面101aを収容領域41に露出させた状態で縦桟71に埋め込まれることにより固定されている。マグネット101の吸着面101aは、例えば縦桟71の内側面と面一に設定されている。それに対して、マグネット受け102は、矩形平板状の鋼板(金属板)よりなる。マグネット受け102は、吹出グリル39の縦桟39aにおける外側面(縦桟71との対向面)においてマグネット101と対応する位置にビス等で固定されている。この場合、マグネット受け102において外側に露出する板面がマグネット101の吸着面101aに吸着される被吸着面102aとなる。
吹出グリル39の収容状態では、マグネット101の吸着面101aとマグネット受け102の被吸着面102aとが間仕切壁18の壁幅方向に対向して配置され、換言するとチャンバ接続方向Xと直交する方向に対向して配置されている。マグネット受け102(詳しくは被吸着面102a)はマグネット101の磁力により当該マグネット101(詳しくは吸着面101a)に吸着され、それにより吹出グリル39がマグネット101及びマグネット受け102を介して外枠部68に着脱可能に取り付けられている。
上述した構成によれば、外枠部68に対して着脱可能に固定された吹出グリル39に対して吹出チャンバ33が固定されているため、地震等により建物10に揺れが生じた場合、空調ダクト32(ダクト部42X)と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が発生する前に、建物10に対する空調グリル39の固定が解除され(つまり、マグネット101及びマグネット受け102の吸着状態が解除され)、それによって建物10に対する吹出チャンバ33の固定が解除されることとなる。そのため、空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が生じるのをより確実に抑制することができ、その結果空調ダクト32や吹出チャンバ33に破損や変形が生じるのをより確実に抑制することができる。
また、吹出チャンバ33において空調ダクト32側とは反対側に吹出グリル39が設けられているため、吹出グリル39を外枠部68に取り付ける際に、吹出グリル39により吹出チャンバ33を空調ダクト32(ダクト部42X)側に押し付けながら取り付けを行うといった比較的簡単な作業で、ダクト部42X(側壁部42c)と吹出チャンバ33(端面部33b)との間で気密部材82を圧縮させることができる。これにより、ダクト部42Xと吹出チャンバ33とを非連結とした構成にあって、それら両者33,42Xの接続部分における気密を好適に確保することができる。
さらに、マグネット101とマグネット受け102とがチャンバ接続方向Xと直交する方向に対向配置されていることで、マグネット101に対するマグネット受け102の吸着位置をチャンバ接続方向Xに調整可能となっており、これにより外枠部68(ひいては間仕切壁18)に対する吹出グリル39の固定位置、ひいてはその吹出グリル39に固定された吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整可能となっている。これにより、間仕切壁18等に対する空調ダクト32の組み付け位置(固定位置)にずれが生じる等した場合でも、吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整することで空調ダクト32(ダクト部42X)の側壁部42cと吹出チャンバ33の端面部33bとの隙間81の幅Wを所望の幅に設定することができ、その結果当該隙間81に配設される気密部材82の圧縮度合いを所望の度合いに設定することができる。よって、この場合、空調ダクト32と吹出チャンバ33とを非連結とした構成にあって、それら両者32,33間の気密性能を好適に確保することができる。
なお、上記の実施形態では、チャンバ取付枠67の縦桟71にマグネット101を、吹出グリル39の縦桟39aにマグネット受け102を設けたが、これに代えて、縦桟39aにマグネット101を、縦桟71にマグネット受け102を設けてもよい。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態では、ダクト部42Xの側壁部42cに対して吹出チャンバ33を接続したが、ダクト部42Xの上壁部42aや下壁部42bに対して吹出チャンバ33を接続してもよい。また、空調ダクト32に対して接続する吹出チャンバ33の個数は必ずしも3つである必要はなく、1、2又は4以上であってもよい。
(2)上記各実施形態では、複数のダクト部42(短尺管)が互いに連結されて構成される空調ダクト32に本発明を適用したが、一の長尺管からなる空調ダクトに対して本発明を適用してもよい。
(3)例えば、ダクト部42Xの側壁部42cと吹出チャンバ33の端面部33bとの対向部分において、その一方側には他方側に向けて突出する凸部を設け、他方側には一方側とは反対側に向けて凹む凹部を設け、その凹部に凸部を入り込ませた係合状態でダクト部42Xと吹出チャンバ33とを互いに接続してもよい。その場合、それら両者33,42Xの接続が容易に解除されないようにすることができる。また、この場合には、それら両者間の隙間81に、上記凸部を回避して気密部材82を介在させればよい。
(4)上記各実施形態では、空調ダクト32を構成するダクト部42と、吹出チャンバ33とをそれぞれ発泡スチロールにより形成したが、ダクト部42及び吹出チャンバ33のうちいずれか一方又は両方を金属材料や樹脂材料等、発泡スチロール以外の材料により形成してもよい。
(5)上記各実施形態では、気密部材82として発泡EPDMからなるクッション材(発泡ゴム)を用いたが、その他の材料からなるクッション材を用いてもよい。また、気密部材は必ずしもクッション材を用いる必要はなく、ゴム材(天然ゴム、合成ゴム)等その他の弾性材料を用いてもよい。
(6)上記第2の実施形態では、固定金具91に、間仕切壁18(建物)に対する吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整可能とする調整手段として、同方向に長い長孔形状に形成された貫通孔92を設けたが、かかる調整手段は必ずしもこれに限定されることはない。例えば、固定金具91に、チャンバ接続方向Xに所定の間隔で複数の貫通孔を形成し、それら貫通孔を調整手段とすることが考えられる。この場合、これら複数の貫通孔のうちいずれの貫通孔を用いて固定金具91をビス95により被固定部93に固定するかで、間仕切壁18に対する吹出チャンバ33の固定位置をチャンバ接続方向Xに調整することが可能となる。
(7)上記第3の実施形態において、マグネット101及びマグネット受け102の取付位置を上記第1の実施形態における取付位置(つまりマグネット84及びマグネット受け85の取付位置)に変更してもよい。その場合にも、建物10に揺れが生じた場合には、空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が発生する前に、建物10に対する吹出グリル39の固定を解除し、それによって建物10に対する吹出チャンバ33の固定を解除できるため、空調ダクト32と吹出チャンバ33との接続部分に無理な応力が生じるのを確実に抑制することができる。
(8)上記各実施形態では、空調ダクト32に吹出チャンバ33が接続された空調設備30に本発明を適用したが、空調ダクト32に吸込チャンバ(空調チャンバに相当)が接続された空調設備に本発明を適用してもよい。かかる空調設備としては、例えば吸込チャンバの吸込口(開口部に相当)より居室15内の空気を吸い込みそれを空調ダクト32を介して空調装置31に還気として供給するものが考えられる。この場合にも、空調ダクト32と吸込チャンバとを非連結として互いに相対移動可能とすれば、地震時等において空調ダクト32や吸込チャンバに破損や変形が生じるのを抑制することができる。
また、この場合、吸込チャンバの吸込口側に、吸込グリル(空調グリルに相当)を設けてもよい。その場合、上記第3の実施形態と同様の構成で、吸込グリルをマグネット101及びマグネット受け102を介して建物10側に着脱可能に取り付け、その吸込グリルに吸込チャンバを固定金具97を介して連結固定してもよい。そうすれば、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(9)上記実施形態では、空調ダクトが二階部分12の天井裏空間25に設置されていたが、一階部分11の天井裏空間(階間空間)や、床下空間、壁内空間等に設置されていてもよい。