JP2015151294A - 建材ボード製造工程用消泡剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボードの製造工程に用いる消泡剤であって、成形品の強度を低下させる凝結遅延性を示さず、かつ、使用時の操作性が良好な液体形状の消泡剤を提供する。【解決手段】常温で固体の高級アルコールを含む油相成分と、水溶性ノニオン界面活性剤を含む水相成分とを混合乳化して調製する水中油型(O/W型)エマルション消泡剤。また、更に水溶性無機塩を含有させる水中油型(O/W型)エマルション消泡剤。【選択図】なし

Description

本発明は、無機質を主原料とする建材ボードの製造工程に用いる消泡剤に関する。更に詳しくは、成形品の強度を低下させる一因である、建材ボードの原料スラリーの凝結を遅延させず、かつ、使用時の操作性が良好な液体形状の消泡剤に関する。
建材ボードは、セメント、珪酸カルシウム、石膏、炭酸カルシウムなどの無機粉末と繊維補強剤(例えば、晒パルプ、未晒パルプ、古紙などのパルプや合成繊維)と水を混合撹拌し、原料スラリーとせしめ、ろ過、脱水したケーキを乾燥、硬化させて製造される。
建材ボードは抄造、押出や型枠流し込みによって成形されるが、その際、原料スラリー中に泡が存在すると、泡が空隙の原因となり、表面性が損なわれたり強度が低下したりするため不良品率が増加する。この対策として消泡剤が用いられ、市販の消泡剤としては、鉱物油系消泡剤、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、ワックス系消泡剤などが知られている。
特許文献1には、建材ボード製造工程に利用できる、エマルションの油相が(a)炭素数12〜30のアルコール及び/又は(b)1〜6価の炭素数1〜30のアルコールと炭素数12〜30のカルボン酸との脂肪酸エステルを含有する水中油型エマルション消泡剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、特に建材ボード抄造工程用消泡剤として、ポリエーテル系消泡剤である高級アルコールのエチレンオキサイド/アルキレンオキサイド付加物が開示されている。
また、特許文献3には、建築用壁材に利用できる珪酸カルシウム硬化体の型枠流し込み成形工程において用いる消泡剤として、ジメチルシリコーンやそのメチル基が炭素数2以上の炭化水素で置換されたアルキル変性シリコーン等のシリコーン、グリセリン脂肪酸などの脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、オクチルアルコール等の高級アルコール、芳香族リン酸エステル、脂肪族リン酸エステル等のリン酸エステル等が記載され、中でもジメチルシリコーン、アルキル変性シリコーンが好ましく用いられることが開示されている。
しかしながら、従来のポリエーテル系やシリコーン系の消泡剤は常温で液状の疎水性物質であるため、主に水和反応により硬化する無機質で構成される建材ボードの原料スラリーにおいては、水和・硬化反応を阻害する物質となり、原料スラリーの凝結を遅延させるため、成形品の強度低下の一因となる。
また、セメント押出成形用助剤として、シリカ粉末に消泡剤を減水剤やノニオン系界面活性剤と共に吸収させ粉粒状とする方法が提案されているが(特許文献4)、これであると、粉粒状にする工程を経なければならず、かつ、固形のためポンプでの添加ができないなど、費用面で高価となるばかりでなく、操作性が悪いといった問題がある。
特開平9−234307号公報 特開平11−199291号公報 特許第4343108号公報 特開2006−232651号公報
本発明は、上記従来の実情を鑑みてなされたものであり、水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボードの製造工程に用いる消泡剤として、成形品の強度を低下させる凝結遅延性を示さず、かつ、使用時の操作性が良好な液体形状の消泡剤の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、建材ボード製造工程用消泡剤として、常温で固体の高級アルコールを含む油相成分と、水溶性ノニオン界面活性剤を含む水相成分とを混合乳化して調製した水中油型(O/W型)エマルション消泡剤を、水和反応により硬化する無機質で構成される建材ボード用の原料スラリーに添加することにより、該水和反応を阻害せず迅速な硬化を達成して成形品の強度を高く維持でき、かつ、該消泡剤が液体形状のエマルションであるため良好な使用時操作性を確保できることを見出した。
また、前記水中油型(O/W型)エマルション消泡剤に更に水溶性無機塩を含有させることにより、消泡性能が向上し、かつ、製品消泡剤の経時的な分離や増粘を抑制することができるため、長期間にわたって良好な使用時操作性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、常温で固体の高級アルコールを含む油相成分と、水溶性ノニオン界面活性剤及び水を含む水相成分を含む、建材ボード製造工程用のO/W型エマルション消泡剤である。
請求項2に係る発明は、前記水溶性ノニオン界面活性剤が、下記一般式(1)で表される炭素数10〜24の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物であり、該脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物を前記水相成分の水100重量部に対し0.01〜1重量部含む、請求項1に記載のO/W型エマルション消泡剤である。
Figure 2015151294
(式中、Rは炭素数10〜24の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜100の整数を示す。)
請求項3に係る発明は、前記一般式(1)で表される炭素数10〜24の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物が、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールの群から選ばれる1種又は2種以上の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物である、請求項2に記載のO/W型エマルション消泡剤である。
請求項4に係る発明は、更に、前記水相成分の水100重量部に対して水溶性無機塩を0.5〜5重量部含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のO/W型エマルション消泡剤である。
請求項5に係る発明は、前記水溶性無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムの群から選ばれる1種又は2種以上である請求項4に記載のO/W型エマルション消泡剤である。
本発明の消泡剤は、無機質で構成される建材ボード用の原料スラリーの水和反応を阻害せず、迅速な硬化を達成できるため、建材ボードの製造工程における消泡剤として非常に有用であり、かつ、液体形状であるため、定量ポンプによる添加も可能で操作性に優れる。
本発明の消泡剤は、高級アルコールを含む油相成分と、水溶性ノニオン界面活性剤及び水を含む水相成分を含み、O/W型(水中油型)のエマルションとなっている、もしくは、水相成分に更に水溶性無機塩を含むO/W型のエマルションとなっている。
本発明のO/W型エマルション消泡剤に用いられる常温で固体の高級アルコールは、融点がおよそ20℃以上の高級アルコールを指し、例えば、天然アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール及びミリシルアルコールなどが挙げられる。また、合成アルコールとしては、チーグラー法で合成された直鎖第一級アルコールあるいは分岐第一級アルコールまたはこれらの炭素数の異なるアルコール混合物や、パラフィンを空気酸化して得られる直鎖第二級アルコールなどがあげられる。本発明のO/W型エマルション消泡剤には、これらの高級アルコールの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のO/W型エマルション消泡剤における高級アルコールの配合量は、特に限定されないが、製造する消泡剤全量に対して、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。高級アルコールの配合量が5重量%未満であると、消泡効果が十分に発現しないおそれがあり、50重量%を超えると得られる消泡剤の製品粘度が高くなり取り扱い性が低下するおそれがある。
本発明のO/W型エマルション消泡剤に用いられる水溶性ノニオン界面活性剤は、水に対し0.5重量%以上溶解するノニオン界面活性剤であり、例えば、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物、脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物及びソルビタンのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。中でも、炭素数10〜24の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物であることが好ましい。炭素数10〜24の脂肪族アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール等が挙げられる。尚、水に対する溶解度が0.5重量%未満の疎水性ノニオン界面活性剤の適用は、その消泡剤を添加する建材ボード用の原料スラリーにおいて、凝結遅延性を引き起こすおそれがあるため好ましくない。
本発明のO/W型エマルション消泡剤における水溶性ノニオン界面活性剤の配合量は、油相成分の種類や配合量に応じて適宜その量を変更するが、通常は、該消泡剤を構成する水相成分中の水100重量部に対して0.01〜1.0重量部配合することが好ましく、また、2種以上の水溶性ノニオン界面活性剤を適宜組み合わせて使用してもよい。水溶性ノニオン界面活性剤の配合量が、水相成分中の水100重量部に対して0.01重量部未満であると高級アルコールの微粒子化が不十分になるおそれがあり、1.0重量部を超えると得られる製品消泡剤自体の発泡が多くなると共に、製品消泡剤の貯蔵期間が長期に及ぶ場合には製品粘度の上昇が大きくなるおそれがある。
本発明のO/W型エマルション消泡剤に用いられる水は、縣濁物質が含まれない清浄な水であれば良く、通常の工水の他に軟化水や純水を用いることもできる。
本発明のO/W型エマルション消泡剤の、水溶性ノニオン界面活性剤と水を含む水相に、更に、前記水相成分の水100重量部に対して水溶性無機塩を0.5〜5重量部含有させると、生成するO/W型エマルションにおいて、より微細な油相成分の粒子を得ることが出来かつ凝集抑制に寄与するため、より高い消泡効果を有した消泡剤を製造することができると共に、得られた消泡剤は、その消泡剤を添加する建材ボード用の原料スラリーにおいて、凝結遅延性を示さないため更に好ましい。
本発明のO/W型エマルション消泡剤に用いられる水溶性無機塩は、水に対して0.5重量%以上溶解する無機塩であって、2種以上の水溶性無機塩を任意に組み合わせて使用してもよい。中でも、水溶液のpHが中性を示す、中性塩であることが好ましい。中性塩以外の水溶性無機塩では製造後の消泡剤の製品pHが安定しない場合があり、また、製品消泡剤のpHが酸性やアルカリ性となるため、取り扱い上の安全面からも好まれない。
前記水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、臭化ナトリウム及び臭化カリウムが挙げられる。中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムが、安価で環境に対する負荷も少ないためより好ましい。
本発明のO/W型エマルション消泡剤における水溶性無機塩の配合量は、該消泡剤を構成する水相成分中の水100重量部に対して0.5〜5.0重量部配合することが好ましい。その配合量が、0.5重量部未満では油相成分の微粒子化が不十分になるおそれがあり、5.0重量部を超えると該配合量の増加に見合うだけの油相成分の微粒子化の効果の向上が見込めず、また、油相と水相の比重差が大きくなるため、製品消泡剤の貯蔵期間が長期に及ぶ場合には分離を生じるおそれがある。
本発明のO/W型エマルション消泡剤の製造方法には特に制限はなく、O/W型エマルションを得る公知の方法を用いることができる。例えば、分散法や凝縮法であり、更に詳しくは、前者は撹拌機、分散機などを用いる機械的乳化法、後者は転相法、D相乳化法、液晶乳化法、可溶化転換法などの物理的乳化法である。なかでも、撹拌混合条件下、水溶性ノニオン界面活性剤を予め水に溶解して調製した水相成分に、高級アルコールを含む油相成分を加え、油相成分の融点以上に加温して乳化させる機械的乳化法と温度転相法を組み合わせることが操作性から好ましい。水溶性無機塩を含む場合は、水溶性無機塩と水溶性ノニオン界面活性剤を予め水に溶解して水相成分を調製する。
撹拌混合設備としては、通常の撹拌混合や乳化分散に用いられる公知の設備、例えばパドル翼、プロペラ翼、タービン翼などの撹拌翼を備えた撹拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー、ラインミキサー、高速せん断型撹拌分散機、加圧ノズル式乳化機、ピストン型高圧乳化機などを用いることができ、これらの2種以上の設備を組み合わせて使用することもできる。
本発明のO/W型エマルション消泡剤において、高級アルコールを含む油相成分の微粒子の平均粒径は1〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。1μm未満であると機械的分散に掛かる負荷が高くなり設備費用が増大する。また、15μmを超えると、製品消泡剤の貯蔵期間が長期に及ぶ場合には分離を生じるおそれがある。
本発明のO/W型エマルション消泡剤は、経時安定性の改善、分散性の向上などの必要に応じて水溶性高分子を用いてもよい。水溶性高分子としては、セルロース、プルラン、アラビアガム、グアーガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ウェランガム、ランザンガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、アガロース、グリコーゲン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とアクリルアミドの共重合物、メタクリルアミドとアクリルアミドの共重合物、メタクリルアミドとメタクリル酸の共重合物などが使用でき、これらの水溶性高分子は単独使用あるいは2種以上を併用して使用することができる。
その他、本発明のO/W型エマルション消泡剤には、必要に応じて、炭化水素、防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、防錆剤、皮張り防止剤等を含むことができる。これらは、いずれも公知であり、例えば、特開2000−300909公報などにも記載されているため、その詳細は省略する。
本発明のO/W型エマルション消泡剤の添加量に特に制限はないが、通常は処理液に対し0.1〜1000mg/L添加される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
評価する消泡剤(供試消泡剤)は、以下の方法で調製した。
(消泡剤1)
水70重量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=20モル)0.07重量部を溶解し、45°傾斜パドル翼を用い、翼の先端速度8m/sで撹拌しながら、加温溶解した高級アルコール(サソールジャパン(株)製のNafol20+A(商品名)[組成:炭素数16〜26の高級アルコール70%、モノカルボン酸エステル、アルキルエーテルほか副生物30%]、融点:54〜58℃)30重量部を加え、75℃まで昇温して1時間撹拌し均一化した。ついで、キサンタンガム0.1重量部を加えた後、30℃まで冷却し、油相成分粒子の平均粒径12μm、粘度180mPa・sの消泡剤1を得た。該消泡剤は、水相成分の水100重量部に対して、水溶性ノニオン界面活性剤を0.1重量部含む。
(消泡剤2〜5)
消泡剤1と同様の方法で、表1に示す組成および性状の消泡剤2〜5を得た。
(消泡剤6)
水70重量部に塩化ナトリウム0.35重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=20モル)0.07重量部を溶解し、45°傾斜パドル翼を用い、翼の先端速度8m/sで撹拌しながら、加温溶解した高級アルコール(サソールジャパン(株)製のNafol20+A(商品名)[組成:炭素数16〜26の高級アルコール70%、モノカルボン酸エステル、アルキルエーテルほか副生物30%]、融点:54〜58℃)30重量部を加え、75℃まで昇温して1時間撹拌し均一化した。ついで、キサンタンガム0.1重量部を加えた後、30℃まで冷却し、油相成分粒子の平均粒径8μm、粘度170mPa・sの消泡剤6を得た。該消泡剤は、水相成分の水100重量部に対して、水溶性無機塩を0.5重量部及び水溶性ノニオン界面活性剤を0.1重量部含む。
(消泡剤7〜10)
消泡剤6と同様の方法で、表1に示す組成および性状の消泡剤7〜10を得た。
(消泡剤11)
消泡剤1のNafol 20+Aをデシルアルコール(融点:7℃)に代え、かつ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=20モル)0.07重量部を同2.1重量部に代えた以外は消泡剤1と同様の方法で消泡剤11を得た。該消泡剤は、水相成分の水100重量部に対して、水溶性ノニオン界面活性剤を3.0重量部含む。常温で液体のデシルアルコールを乳化するためには多量の水溶性ノニオン界面活性剤が必要である。
(消泡剤12)
消泡剤6のNafol 20+Aをデシルアルコール(融点:7℃)に代え、かつ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=20モル)0.07重量部を同2.1重量部に代えた以外は消泡剤6と同様の方法で消泡剤12を得た。該消泡剤は、水相成分の水100重量部に対して、水溶性無機塩を0.5重量部及び水溶性ノニオン界面活性剤を3.0重量部含む。常温で液体のデシルアルコールを乳化するためには多量の水溶性ノニオン界面活性剤が必要である。
(消泡剤13)
水70重量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=20モル)0.07重量部を溶解する代りに、水70重量部にポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数=6モル、25℃での水への溶解度0.5%未満)0.07重量部を分散させた溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で消泡剤13を得た。該消泡剤は、疎水性ノニオン界面活性剤を含み、水溶性ノニオン界面活性剤を含まない。
(消泡剤14)
消泡剤14として、フォームクリンM−65(商品名、伯東(株)製のポリエーテル系消泡剤)を用いた。
(消泡剤15)
消泡剤15として、フォームクリンG−401(商品名、伯東(株)製の鉱物油系消泡剤)を用いた。
(消泡剤16)
消泡剤16として、フォームクリンS−30(商品名、伯東(株)製のシリコーン系消泡剤)を用いた。
表1に消泡剤1〜13の組成と性状を示した。
Figure 2015151294
消泡剤1〜16(供試消泡剤)を用いて、以下の方法で評価試験を行った。
(1)凝結遅延性評価試験
この試験は、水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボード用の原料スラリーに添加した消泡剤の、該スラリーの水和・凝結反応に対する効果を評価するものである。普通ポルトランドセメント90重量部と石膏10重量部をプレミックスしておき、これに木質パルプ60重量部を混合した。更に、この混合物100重量部に対して、水30重量部および供試消泡剤を0.1重量部加え、5分間ミキサによる混練を行った。その後、JIS A6204―1987 附属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」に準じて、凝結時間の測定を行った。
(2)消泡性能評価試験
この試験は、建材ボード製造工程の工程水に添加した消泡剤の消泡性能を評価するものである。内径80mm、容量2,000mlアクリル製シリンダーに、供試消泡剤4mg/Lを添加した発泡性試験水(窯業系建材ボード抄造工程白水)1,000mlを入れ、35℃に保持し、循環ポンプを用いてシリンダーの底部から試験水を4,000ml/分で抜きながら、シリンダー上部より試験水面へ落下させることにより試験水を発泡させる。循環開始後、1分、2分、3分、5分経過後のシリンダー内の泡高さ(発泡量)を読み取り、発泡抑制効果(消泡性能)を評価した。
(3)表面状態評価試験
この試験は、水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボード成形品の表面状態に対する消泡剤の影響を評価するものである。建材ボード製造工程において、建材ボード用の原料スラリーの凝結が阻害されたり工程水の消泡効果が低い場合は、成形品の表面状態が悪化する。(1)の凝結遅延性評価と同様の方法にて、供試消泡剤を添加した混練物を作製した。この混練物を、プレス板を組んだ型に投入し、70℃、20kg/cmで圧縮成形した。そして、得られた圧縮成形物をクランピング、6時間圧縮硬化させ、その後7日間自然養生を行い、縦500mm×横500mm×厚さ12mmのセメント板を得た。
セメント板の表面を目視観察し、以下の基準によって表面状態の評価を行った。
○:表面が平滑で良好
△:表面に凸凹がやや見られる
×:表面に凸凹が多く見られる、または、ひび割れが見られる
(4)曲げ強度評価試験
(3)の方法で得られたセメント板をJIS R5201―1997 附属書2「セメントの試験方法−強さの測定」に準じて測定を行い、曲げ強度の評価を行った。
凝結遅延性評価試験、消泡性能評価試験、表面状態評価試験及び曲げ強度評価試験の結果を表2に示す。尚、比較例7は消泡剤無添加の例である。
Figure 2015151294
表2に示すように、消泡剤1〜10を用いた本発明の実施例1〜10は、凝結時間がブランクである比較例7とほほ同じであることから、水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボード用の原料スラリーにおいて、成形品の強度を阻害する凝結遅延性を示さないことが明らかになった。また、建材ボード製造工程の工程水に対する消泡性能は比較例7に比べて高く、特に、水溶性無機塩を含む実施例6〜10の消泡性能は顕著に向上することが明らかになった。
一方、常温で液体の高級アルコールや疎水性物質を消泡成分とする消泡剤を用いた比較例1、2及び比較例4〜6、また、疎水性ノニオン界面活性剤を配合した比較例3では、凝結時間がブランクである比較例7よりも明らかに長く、明確な凝結遅延性を示しており、表面状態や曲げ強度の試験結果も実施例1〜10に比べて劣ることが示された。
以上のとおり、本発明の建材ボード製造工程用のO/W型エマルション消泡剤は、水和反応により硬化する無機質を主原料とする建材ボード用の原料スラリーの該水和反応を阻害しないため、該スラリーの凝結を遅延せず、迅速な硬化を達成して成形品の良好な表面状態と高い曲げ強度を維持でき、かつ、建材ボード製造工程の工程水においては良好な消泡性能を得ることができるという本発明の特異な効果が証明された。更に、本発明のO/W型エマルション消泡剤は液体形状のエマルションであるため使用時の操作性も良好である。
本発明の消泡剤は、建材ボード製造工程に適用できる。本発明の消泡剤は、該工程における発泡を抑制し、成形品の表面状態を良好に保ちかつ強度を高く維持できるため、非常に有用である。

Claims (5)

  1. 常温で固体の高級アルコールを含む油相成分と、水溶性ノニオン界面活性剤及び水を含む水相成分を含む、建材ボード製造工程用のO/W型エマルション消泡剤。
  2. 前記水溶性ノニオン界面活性剤が下記一般式(1)で表される炭素数10〜24の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物であり、該脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物を前記水相成分の水100重量部に対し0.01〜1重量部含む、請求項1に記載のO/W型エマルション消泡剤。
    Figure 2015151294
    (式中、Rは炭素数10〜24の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜100の整数を示す。)
  3. 前記一般式(1)で表される炭素数10〜24の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物が、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールの群から選ばれる1種又は2種以上の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物である、請求項2に記載のO/W型エマルション消泡剤。
  4. 更に、前記水相成分の水100重量部に対して水溶性無機塩を0.5〜5重量部含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のO/W型エマルション消泡剤。
  5. 前記水溶性無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムの群から選ばれる1種又は2種以上である請求項4に記載のO/W型エマルション消泡剤。
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