JP2015151103A - 車両用バックドア - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の後面衝突時においてドア本体のロア部を構成するインナーパネル及びアウターパネルが飛散しても、当該ロア部に大きな穴が開くことを防止する。
【解決手段】ドア本体(3)を構成するアウターパネル(9)の靱性をインナーパネル(7)の靱性よりも高くし、延伸性を有する補強シート状物(81)を、ドア本体(3)のロア部(3b)における内部空間(S)にアウターロアパネル(9b)に接着して広げた状態で設けると共に、車体本体(101)に設けられたストライカ(113)に係合するラッチ(111)のインナーパネル(7)への取付けに用いられるブラケット(71)とインナーパネル(7)のうちこのブラケット(71)の取付け部分との間に挟んで固定する。
【選択図】図5

Description

本開示は、車両用バックドアの改良に関する。詳しくは、本開示は、樹脂製パネルからなるドア本体を備えた車両用バックドアの車両衝突時におけるパネルの飛散対策に関する。
特許文献1には、樹脂製インナーパネルと樹脂製アウターパネルとを接合してなるドア本体を備え、このドア本体の上半部分に窓部が設けられた車両用バックドアが開示されている。このバックドアは、インナーパネルのうち、上半部分から下半部分の一部にかけて左右の両側端部に当該インナーパネルを補強する金属製のサイド補強ブラケット(リインフォース)が取り付けられ、下端中央に車体本体に設けられたストライカに係合するラッチを取り付けるための金属製のラッチ取付ブラケット(ロックリインフォース)が取り付けられた構造を有する。
そして、このバックドアでは、車両の後面衝突時の破損によってドア本体を構成するパネルが飛散することを防止すべく、ドア本体のうち窓部よりも下側に位置するロア部の内部空間にワイヤーが設けられている。このワイヤーは、上端部をサイド補強ブラケットに連結する一方、下端部をラッチ取付ブラケットに連結させて、インナーパネルの外周縁部に沿って架設されている。
特開2010−159037号公報
特許文献1のバックドアでは、ワイヤーは、その両端部がサイド補強ブラケット及びラッチ取付ブラケットを介して車体に連結されているものの、これら両端部を除いてはインナーパネルにもアウターパネルにも留まっていないし、しかも、インナーパネルの外周縁部に沿って架設されている。このため、ドア本体のロア部における中央部分には、車両の後面衝突時に同部分を構成するパネルが飛散してドア本体に大きな穴が開くおそれがあることから、パネルの飛散対策を施すことが望まれる。
そこで、パネルの飛散対策として、アウターパネルをインナーパネルよりも靱性の高いものとし、ドア本体のロア部における内部空間に、延伸性を有する補強シート状物をアウターパネルに接着して広げた状態に設けることで、当該ロア部における中央部分を構成するパネルが飛散しても、パネルの飛散部分に対応する箇所に補強シート状物を残すようにすることが考えられる。
しかし、車両の後面衝突の具合やその激しさの程度によっては、インナーパネルのうちドア本体のロア部における下縁部でアウターパネルとの接着部に沿う部分が破損し、そのことに起因して補強シート状物がアウターパネルと共にインナーパネルから離間するおそれがある。そうなると、ドア本体の内部空間が車外に開放されてしまい、せっかくアウターパネルに補強シート状物を設けていても、インナーパネルが大破した場合には、ドア本体のロア部に大きな穴が開いてしまい兼ねない。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の後面衝突時においてドア本体のロア部を構成するインナーパネル及びアウターパネルが飛散しても、当該ロア部に大きな穴が開くことを防止できる車両用バックドアを提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、アウターパネルの靱性をインナーパネルの靱性よりも高くし、ドア本体のロア部における内部空間に延伸性を有する補強シート状物をアウターパネルに接着して広げた状態に設け、この補強シート状物を、車体本体と係合する係合装置のインナーパネルへの取付け構造を利用して同パネルに固定するようにした。
具体的には、本発明は、樹脂製インナーパネルと樹脂製アウターパネルとを互いに対向させた状態に接着してなるドア本体を備えた、いわゆるハッチバック車に用いられる上下開閉式の車両用バックドアを対象とする。インナーパネルは、バックドアが車体本体に取り付けられた状態で車内側に位置するパネルである。他方、アウターパネルは、バックドアが車体本体に取り付けられた状態で車外側に位置するパネルである。
この車両用バックドアにおいて、ドア本体を構成するインナーパネルとアウターパネルとの間には内部空間が設けられている。このドア本体は、上側部分を構成し窓部が設けられたアッパー部と、窓部よりも下側に位置するロア部とを有する。ドア本体におけるロア部の下縁部に沿った部分におけるインナーパネルの内部空間側には、車体本体の後端に設けられた開口(以下、バックドア開口と称する)の下縁部と着脱可能に係合する係合装置を取り付けるための金属製のブラケットが取り付けられている。係合装置は、例えば、バックドアを車体本体にロックするロック装置を構成するラッチ又はストライカである。また、ドア本体のアッパー部のうち窓部よりも上側に位置する部分には、車体本体のうちバックドア開口の上縁部に固定されるヒンジが取り付けられている。本発明が対象とする車両用バックドアは、このヒンジを中心として上下方向に回転することで、バックドア開口を開閉可能なドアである。
そして、本発明は、上記構成の車両用バックドアにおいて、以下の解決手段を講じたものである。
すなわち、第1の発明は、アウターパネルの靱性がインナーパネルの靱性よりも高い構成を有する。さらに、ドア本体のロア部における内部空間には、車幅方向に広げられた状態で、少なくとも当該ロア部の上縁及び下縁に沿った両部分にてアウターパネルに接着された延伸性を有する1枚の補強シート状物が設けられている。そして、第1の発明は、この補強シート状物が、係合装置取付け用のブラケットとインナーパネルとの間に挟んで固定されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の車両用バックドアにおいて、インナーパネルのうち係合装置取付け用のブラケットが取り付けられた部分である係合装置取付部が、車体本体の前後方向に延びている構成を有する。インナーパネルのうちこの係合装置取付部の上側に対応し係合装置を収容する部分である係合装置収容部は、車体本体の前方に凹んだ凹状に形成されている。補強シート状物は、この係合装置収容部に対応する部分に、車幅方向に互いに間隔をあけて上下方向に当該補強シート状物の下縁まで延びる一対の切れ目を有している。そして、第2の発明は、補強シート状物のうちこれら一対の切れ目の間に位置する部分が、係合装置収容部の形状に沿わせてその係合装置収容部内に折り込んだ状態に配置され、係合装置取付部で係合装置取付け用のブラケットとインナーパネルとの間に固定される折込み片を構成していることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明の車両用バックドアにおいて、ドア本体のロア部における下縁部が、インナーパネルとアウターパネルとが接着剤で接着された下縁接着部である構成を有する。そして、第3の発明は、補強シート状物のうちロア部の下縁に沿った接着部分が、折込み片の下端部を含み、ロア部の下縁接着部でインナーパネルとアウターパネルとの間に接着剤と共に挟み込まれて、これらインナーパネル及びアウターパネルに接着されていることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明の車両用バックドアにおいて、インナーパネルのうち係合装置取付け用のブラケットが取り付けられた部分である係合装置取付部が、車体本体の前後方向に延びている構成を有する。そして、第4の発明は、補強シート状物の下側部分に、この係合装置取付部に対し車体本体の後側に対応する箇所にて折り返されて一部を重ね合わせた状態でインナーパネルに留められた折返し部と、その折返し部から車体本体の前方に延びて係合装置取付部で係合装置取付け用のブラケットとインナーパネルとの間に固定される固定部とを有する延出片が設けられていることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明の車両用バックドアにおいて、ドア本体のロア部における下縁部が、インナーパネルとアウターパネルとが接着剤で接着された下縁接着部である構成を有する。そして、第5の発明は、補強シート状物のうちロア部における下縁に沿った接着部分が、延出片の折返し部を含み、ロア部の下縁接着部でインナーパネルとアウターパネルとの間に接着剤と共に挟み込まれて、これらインナーパネル及びアウターパネルに接着されていることを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つの車両用バックドアにおいて、ドア本体のロア部における上縁部が、インナーパネルとアウターパネルとが接着剤で接着された上縁接着部である構成を有する。そして、第6の発明は、補強シート状物のうちロア部の上縁に沿った接着部分が、ロア部の上縁接着部でインナーパネルとアウターパネルとの間に接着剤と共に挟み込まれて、これらインナーパネル及びアウターパネルに接着されていることを特徴とする。
第7の発明は、第3,第5及び第6の発明のいずれか1つの車両用バックドアにおいて、補強シート状物が、多数の網目を有するネット状の部材である構成を有する。そして、第7の発明は、補強シート状物をインナーパネル及びアウターパネルに接着する接着剤が、アウターパネル側から当該補強シート状物の接着部分を包み込み、当該補強シート状物の網目を通してインナーパネルに付着していることを特徴とする。
第1の発明によれば、ドア本体のロア部における内部空間に、補強シート状物を車幅方向に広げた状態で設け、この補強シート状物を、当該ロア部の上縁及び下縁に沿った両部分にてインナーパネルよりも靱性の高いアウターパネルに接着した上に、車体本体と係合する係合装置のインナーパネルへの取付けに用いられるブラケットとインナーパネルのうちこのブラケットの取付け部分との間に挟んで固定するようにしたから、車両の後面衝突によって、ドア本体のロア部における下縁部でインナーパネルのうちアウターパネルとの接着部に沿う部分が破損しても、補強シート状物は、インナーパネルにおける係合装置の取付け箇所に繋ぎ止められる。これによって、補強シート状物がアウターパネルもろともインナーパネルから離間しないようにし、ロア部の内部空間が補強シート状物なしに完全に車外に開放されることを防止できる。しかも、補強シート状物は、延伸性を有するので、ドア本体のロア部が大きく変形してもその変形に応じて延伸し、車両の後面衝突時の衝撃にも耐え得て裂開し難い。したがって、車両の後面衝突時においてドア本体のロア部を構成する両パネルが飛散しても、このロア部のパネル飛散部分に対応する箇所には補強シート状物を残すことができるので、当該ロア部に大きな穴が開くことを防止できる。
第2の発明によれば、係合装置収容部が車体本体の前方に凹んだ凹状に形成されていても、この係合装置収容部の形状に沿わせて同収容部内に配置される折込み片を補強シート状物に設け、この折込み片を係合装置取付部で係合装置取付け用のブラケットとインナーパネルとの間に固定するようにしたから、これらブラケットとインナーパネルとの間に補強シート状物を挟む固定作業を、補強シート状物を折り返したり延伸させたりしながら行わなくて済み、補強シート状物を所定の位置に配置させて折込み片を係合装置収容部内に折り込むだけで簡単に行うことができ、補強シート状物のインナーパネルへの取付け作業を容易にすることができる。
第3の発明によれば、ドア本体のうちインナーパネルとアウターパネルとが接着された剛性の比較的高い下縁接着部で、補強シート状物をインナーパネル及びアウターパネルに接着するようにしたから、これら両パネルに対する補強シート状物の接着強度を向上させ、車両の後面衝突時において、補強シート状物の接着部分をドア本体におけるロア部の下縁接着部と共に残すことができる。これによって、補強シート状物を車幅方向に広げた状態に維持し、その状態でロア部に残すことができる。
第4の発明によれば、補強シート状物の下側部分に、一部を重ね合わせた状態で折り返す折返し部と、係合装置取付け用のブラケットとインナーパネルとの間に固定される固定部とを設け、2重になっている折返し部をインナーパネルに留めるようにしたから、インナーパネルのうち折返し部を留めた部分の強度を補強シート状物によって好適に補強することができる。これによって、車両の後面衝突時に係合装置取付部を破損し難くすることができる。
第5の発明によれば、ドア本体のうちインナーパネルとアウターパネルとが接着された剛性の比較的高い下縁接着部で、補強シート状物をインナーパネル及びアウターパネルに接着するようにしたから、インナーパネル及びアウターパネルに対する補強シート状物の接着強度を向上させ、車両の後面衝突時において、補強シート状物の接着部分をドア本体におけるロア部の下縁接着部と共に残すことができる。これによって、補強シート状物を車幅方向に広げた状態に維持し、その状態でロア部に残すことができる。
第6の発明によれば、ドア本体のうちインナーパネルとアウターパネルとが接着された剛性の比較的高い上縁接着部で、補強シート状物をインナーパネル及びアウターパネルに接着するようにしたから、インナーパネル及びアウターパネルに対する補強シート状物の接着強度を向上させ、車両の後面衝突時において、補強シート状物の接着部分をドア本体におけるロア部の上縁接着部と共に残すことができる。これによって、補強シート状物を車幅方向に広げた状態に維持し、その状態でロア部に残すことができる。
第7の発明によれば、ネット状の部材である補強シート状物の接着部分をアウターパネル側から接着剤で包み込み、この接着剤を補強シート状物の網目を通してインナーパネルに付着させることによって、インナーパネル及びアウターパネルに接着させるようにしたから、補強シート状物が接着剤を通す網目などの隙間や孔のない織物や編物であって、その補強シート状物の接着部分における両面を別々に塗布した接着剤でインナーパネル及びアウターパネルにそれぞれ接着する場合に比べて、インナーパネル及びアウターパネルに対する補強シート状物の接着強度を高めることができる。その上、インナーパネル及びアウターパネルに対する補強シート状物の接着作業に必要な接着剤の塗布処理が1回で済む分だけ補強シート状物の接着作業を簡素化することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用バックドアが取り付けられた車体後部を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施形態1に係る車両用バックドアの分解斜視図である。 図3は、本発明の実施形態1に係るインナーパネルのアウターパネル対向側の面を補強シート状物(二点鎖線)と共に示す内面図である。 図4は、図3のIV−IV線相当におけるバックドアの断面図である。 図5は、図3のV−V線相当におけるバックドアの断面図である。 図6(a),(b)は、本発明の実施形態1に係る補強シート状物の態様を示す図である。 図7(a),(b)は、本発明の実施形態1に係る車両用バックドアのドア本体の組立て作業を示す工程図である。 図8は、本発明の実施形態1に係る車両用バックドアの後面衝突時におけるロア部の様子について一例を示す断面図である。 図9は、本発明の実施形態2に係る車両用バックドアが取り付けられた車体後部を示す斜視図である。 図10は、本発明の実施形態2に係るインナーパネルのアウターパネル対向側の面を補強シート状物(二点鎖線)と共に示す内面図である。 図11は、本発明の実施形態2に係るバックドアの図5相当図である。 図12(a),(b)は、本発明の実施形態2に係る補強シート状物の態様を示す図である。 図13(a),(b)は、本発明の実施形態2に係る車両用バックドアのドア本体の組立て作業を示す工程図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。なお、各実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方に向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
《発明の実施形態1》
図1は、この実施形態1に係る車両用バックドア1が取り付けられた車体後部を示す斜視図である。このバックドア1は、図1に示すように、ハッチバック車の車体本体101の後端に設けられたバックドア開口103を開閉する上下開閉式のバックドアである。車両のバックドア開口103における左右両側の下半部分に対応する位置には、ストップランプやウインカ等のリヤランプ105が設けられている。本実施形態のバックドア1は、これら両リヤランプ105を車体後方に露出させるために、その下半部分の左右方向における幅が下方に向かうに従って狭くなっている。
図2は、バックドア1の分解斜視図である。なお、この図2では、後述する一対のサイド補強ブラケット45について、右側にあるサイド補強ブラケット45だけを示し、左側にあるサイド補強ブラケット45の図示を省略している。バックドア1は、図2に示すように、樹脂製パネル7,9からなるドア本体3と、このドア本体3の上半部分に保持された樹脂製又はガラス製の窓パネル5とを備え、ドア本体3のうち窓パネル5の対応箇所に窓部6(図1参照)が設けられた構造を有する。
ドア本体3は、図1に示すように、上側部分を構成し窓部6が設けられたアッパー部3aと、窓部6よりも下側に位置するロア部3bとを有している。このドア本体3は、図2に示すように、車内側(前側)に位置する樹脂製インナーパネル7と、車外側(後側)に位置する樹脂製アウターパネル9とを互いに対向させた状態に接着してなる。これらインナーパネル7とアウターパネル9との間には、内部空間S(後に参照する図4及び図5に示す)が設けられている。
インナーパネル7は、一枚物のパネルであって、例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン(PP−GF:Polypropylene Glass Fiber)や炭素繊維入りポリプロピレン(PP−CF:Polypropylene Carbon Fiber)などの繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなる。他方、アウターパネル9は、上下に分割され、上側に位置するアウターアッパーパネル9aと下側に位置するアウターロアパネル9bとで構成されている。窓パネル5は、これらアウターアッパーパネル9aとアウターロアパネル9bとの間に取り付けられている。
アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bは、例えば、タルク入りポリプロピレン(PP−T:Polypropylene Talc)やこれにエチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Monomer)を混合した樹脂からなる。そのことで、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bの靱性はインナーパネル7の靱性よりも高くなっている。その一方で、インナーパネル7の剛性は、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bの剛性よりも高くなっている。
図3は、インナーパネル7におけるアウターパネル9対向側の面、つまり車両後方側の面を後述する補強シート状物81(二点鎖線)と共に示す内面図である。図4は、図3のIV−IV線相当におけるバックドア1の断面図である。また、図5は、図3のV−V線相当におけるバックドア1の断面図である。インナーパネル7は、図3〜図5に示すように、アウターパネル9と前後方向において対向し同パネル7の主体をなす本体部11を有する。この本体部11のうち、上半部分は、下半部分に向かって左右方向における幅が広くなる略台形状に形成され、下半部分は、左右両側のリヤランプ105の外形に沿い下方に向かうに従って左右方向の幅が狭くなる形状に形成されている。
インナーパネル7の本体部11における上半部分には、車幅方向(左右方向)に延びる窓用開口13が形成されている。窓用開口13は、インナーパネル7の本体部11における上半部分と相似形の略台形状に形成されている。インナーパネル7のうち、この窓用開口13を含む上半部分はドア本体3のアッパー部3aを構成し、この窓用開口13よりも下側に位置する部分はドア本体3のロア部3bを構成している。
インナーパネル7のうち本体部11の外周縁には、アウターパネル9側(車両後方)に立ち上がる外側立ち壁15が全周に亘って環状に設けられている。この外側立ち壁15の後端全体には、接合用の外側フランジ17が外側方に張り出すように設けられている。さらに、インナーパネル7のうち本体部11の窓用開口13周りには、アウターパネル9側(車両後方)に立ち上がる内側立ち壁19が全周に亘って環状に設けられている。この内側立ち壁19の後端全体には、接合用の内側フランジ21が窓用開口13の内方に張り出すように設けられている。
また、インナーパネル7のうち窓用開口13の下端寄りの左右両側に位置する部分には、アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付ける際にアウターロアパネル9bの上下左右方向の位置決めに用いられる位置決め凸部23が設けられている。これら各位置決め凸部23の下側には、アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付ける際に、当該アウターロアパネル9bの前後方向の位置決めとなり、且つ当該アウターロアパネル9bをインナーパネル7から僅かに浮かせるための段差を形成する段差形成片25が設けられている。
アウターパネル9のうちアウターアッパーパネル9aは、図2に示すように、車幅方向(左右方向)に細長い帯板状に形成されている。このアウターアッパーパネル9aは、インナーパネル7のうち窓用開口13よりも上側の部分に対向し、ドア本体3のアッパー部3aを構成している。アウターアッパーパネル9aの外周縁部は、インナーパネル7の外周縁部、つまり外側フランジ17のうち左右両側の側辺部における上端部分及び上辺部と、窓用開口13の上縁部、つまり内側フランジ21の上辺部とに接着剤で接着されている。アウターアッパーパネル9aの下縁部には、前方に凹む段差部27が車幅方向における全体に亘って設けられている。
他方、アウターロアパネル9bは、インナーパネル7の下半部分の形状に対応して下方に向かうに従って左右の幅が狭くなる形状に形成されている。このアウターロアパネル9bは、インナーパネル7のうち窓用開口13よりも下側の部分に対向し、ドア本体3のロア部3bを構成している。アウターロアパネル9bの外周縁部は、図4及び図5に示すように、インナーパネル7の外周縁部、つまり外側フランジ17のうち左右両側の側辺部における下半部分及び下辺部と、窓用開口13の下縁部、つまり内側フランジ21の下辺部とに接着剤29で接着されている。
すなわち、ドア本体3のロア部3bにおける上縁部は、インナーパネル7の内側フランジ21とアウターロアパネル9bとが接着剤29で接着された上縁接着部30aであり、ロア部3bの下縁部は、これらインナーパネル7の外側フランジ17とアウターロアパネル9bとが接着剤29で接着された下縁接着部30bである。さらに、ロア部3bにおける左右両側の側縁部は、インナーパネル7の外側フランジ17とアウターロアパネル9bとが接着剤29で接着された側縁接着部30c(図1参照)である。
また、アウターロアパネル9bの上縁部には、図2に示すように、前方に凹む段差部31が車幅方向における全体に亘って設けられている。この段差部31の左右両端部分には、上方に突出する突出片33がそれぞれ設けられている。これら各突出片33には、インナーパネル7の位置決め凸部23が挿入される位置決め孔35が形成されている。また、アウターロアパネル9bの中央部には、ナンバープレート(不図示)が取り付けられるナンバープレート取付部37が設けられている。このナンバープレート取付部37は、その周囲よりも前方に向かって凹んでいて、上方に向かって前側に傾斜している。
窓パネル5は、インナーパネル7の上半部分のうちアウターパネル9対応箇所を除いた部分と同様な略台形状に形成されている。窓パネル5のうち窓用開口13に対応する領域は透明な窓領域5aであって、その外側領域は黒色のセラミックスなどからなる隠蔽層によって隠蔽された隠蔽領域5bとなっている。窓パネル5のうち窓領域5aは、インナーパネル7に形成された窓用開口13と共に窓部6を構成している。
この窓パネル5は、アウターアッパーパネル9aの下縁部にある段差部27とアウターロアパネル9bの上縁部にある段差部31との間に嵌め込まれている。そして、窓パネル5の上縁部及び下縁部は、これら両段差部27,31に後方から接着剤39で接着されている。また、窓パネル5の左右両側の側縁部は、インナーパネル7の左右両側の側縁部、つまり外側フランジ17の側辺部に接着剤39で接着されている。
アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bとインナーパネル7とを接着する接着剤29は、ゴム弾性を有する接着剤、いわゆる弾性接着剤である。弾性接着剤29は、硬化するとゴム状弾性体となって、熱歪みなどの内部応力を分散し、振動や衝撃などの外部応力を吸収するものである。そのことで、ドア本体3のうちロア部3bの上縁接着部30a、下縁接着部30b及び側縁接着部30cを含めてアウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bとインナーパネル7とが接着された部分は、折損し難くなっている。
すなわち、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bとインナーパネル7との接着部分は、これら両パネル7,9a,9bが接着剤29を介して重ねられている分だけドア本体3の中でも他の部分と比べて相対的に厚いことから比較的強度が高く、その上、車両の後面衝突時において、その衝撃でドア本体3に生じる応力を部分的に吸収する。これによって、これら両パネル7,9a,9bが接着された部分は、車両の後面衝突時においても、完全に折損することが抑制されて飛散し難くなっている。
また、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bと窓パネル5とを接着する接着剤39も弾性接着剤であり、これら両パネル5,9a,9bの接着部分もドア本体3に生じる応力を部分的に吸収するようになっている。弾性接着剤29,39としては、例えばウレタン系接着剤を採用することができる。
インナーパネル7のうち窓用開口13よりも上側に位置する部分、具体的にはインナーパネル7の上縁部における本体部11と外側立ち壁15との間の部分には、図2に示すように、前側が凹んで後方に突出した一対のヒンジ取付部41が車幅方向における左右両側に互いに間隔をあけて設けられている。これら一対のヒンジ取付部41には、バックドア開口103の上縁部に回転軸を車幅方向に沿わせて固定される開閉用ヒンジ(不図示)がボルト等の締結具で前方から取り付けられて固定されている。
また、インナーパネル7の外側立ち壁15における左右両側の側辺部のうち上下方向中程には、当該外側立ち壁15を貫通するダンパー取付孔43がそれぞれ形成されている。さらに、インナーパネル7の本体部11における上半部分のうち、左側のヒンジ取付部41から左側のダンパー取付孔43対応箇所にかけての部分と、右側のヒンジ取付部41から右側のダンパー取付孔43対応箇所にかけての部分とには、複数のブラケット取付ボス44が互いに間隔をあけて後方に突出させて設けられている。そして、金属製の板材からなる略L字状のサイド補強ブラケット45が、これら複数のブラケット取付ボス44にボルトやリベットなどの締結具で後方から留めることにより、インナーパネル7に取り付けられている。
サイド補強ブラケット45の上端部においてインナーパネル7のヒンジ取付部41に対応する部分には、当該ヒンジ取付部41の外形に対応するように前側が凹んで後方へ突出した取付補強部47が設けられている。この取付補強部47には、上記開閉用ヒンジがインナーパネル7のヒンジ取付部41を挟んでこのヒンジ取付部41への固定に用いた締結具で取り付けられている。すなわち、開閉用ヒンジは、インナーパネル7のヒンジ取付部41とサイド補強ブラケット45の取付補強部47との両方にボルトで締結されている。
他方、サイド補強ブラケット45の下端側部分においてインナーパネル7の各ダンパー取付孔43に対応する箇所には、ダンパー取付孔49が形成されている。そして、インナーパネル7のうち各ダンパー取付孔43が形成された部分には、バックドア1開閉用のダンパー(不図示)の下端が、インナーパネル7及びサイド補強ブラケット45の両ダンパー取付孔43,49にボルト等の締結具を挿入することで、側方から取り付けられている。これら一対のダンパーの上端は、車体本体101のバックドア開口103における左右両側の上部寄りの位置に固定されている。こうして、サイド補強ブラケット45は、ダンパーの下端と連結されていて、ダンパーを介して車体本体101と繋がっている。
ダンパーは、例えばガスを封入したシリンダ式のステーであり、その長手方向に伸縮自在となっていて、ガスの圧力により常時伸長するように付勢されている。バックドア1は、開閉用ヒンジを中心として上下方向に回転することで、車体本体101のバックドア開口103を開閉可能になっており、ダンパーの伸長作動により開動作が補助され、ダンパーの伸縮摺動抵抗で急激な開閉動作が防止されるように車体本体101に取り付けられる。
また、インナーパネル7のうち内側立ち壁19の下側には、窓パネル5の外面を払拭するワイパー装置とナンバープレート照明用のランプ(共に不図示)とが前方から取り付けられる内装部品取付部51と、ナンバープレートを取り付けるための左右一対のプレート取付ボス52を有するプレート取付部53とが、インナーパネル7の前側を後方に凹ませて設けられている。
ワイパー装置は、内装部品取付部51に金属製の板状部材である取付ブラケット50を用いて取り付けられ、これら内装部品取付部51の上部及び取付ブラケット50に設けられた孔50a,51aから当該ワイパー装置のモータ部の出力軸を内部空間Sに差し入れ、アウターロアパネル9bに設けたワイパー挿通孔58から後方に突出させて設けられる。ナンバープレート照明用のランプは、内装部品取付部51の下側部分に設けられた孔54から下方を照明するように取り付けられる。
さらに、インナーパネル7のうちプレート取付部53の下側には、後述するラッチ111を設置する作業を行うための作業用開口55が形成されている。これら内装部品取付部51及びプレート取付部53と作業用開口55とによるインナーパネル7の前側に形成された凹みはカバーパネル57(図5参照)で塞がれている。
また、インナーパネル7のうち作業用開口55の左右両側には、上下方向に外側立ち壁17の下辺部にまで延びる一対の補強リブ59が後方に突出させて設けられている。また、作業用開口55の下方に位置するロア部3bの下縁部に沿った部分、つまりインナーパネル7の外側立ち壁15の下辺部で一対の補強リブ59の間には、ラッチ111が取り付けられる係合装置取付部としてのラッチ取付部61が設けられている。
インナーパネル7のうちこのラッチ取付部61の上側に対応する部分には、ラッチ111を収容するラッチ収容部62が設けられている。ラッチ収容部62は、ラッチ取付部61とプレート取付部53の下壁53aと一対の補強リブ59とで囲まれていて、前方に凹んだ矩形凹状に形成されている。ラッチ111は、バックドア開口103の下縁部に設けられたストライカ113(図5参照)に着脱可能に係合する係合装置であって、ストライカ113と協働してバックドア1を閉状態で車体本体101にロックするロック装置115を構成するものである。
ラッチ取付部61は、前後方向に延びていて、その車幅方向における中程には、ラッチ111を外部に臨ませるためのラッチ用開口63が形成されている。外側立ち壁15の下辺部のうちこのラッチ用開口63の左右両側に位置する部分には、ボルト65が挿通されるボルト挿通孔67が1つずつ形成されている。また、ボルト挿通孔67の前後両側には、図5に示すように、ブラインドリベット76が挿通されるリベット挿通孔69が形成されている。
このラッチ取付部61の内部空間S側の面には、ラッチ111をインナーパネル7に取り付けるための金属製のラッチ取付ブラケット71が、ラッチ用開口63の周縁部分、つまりは当該ラッチ取付部61を補強する剛性部材として取り付けられている。ラッチ111は、このラッチ取付ブラケット71を介してラッチ取付部61に取り付けられる。
ラッチ取付ブラケット71は、例えば矩形状の金属板の対辺をなす一対の縁部を上方に曲げ起こした形状を有する。ラッチ取付ブラケット71のうちインナーパネル7のラッチ用開口63に対応する部分には、図2に示すように、インナーパネル7のラッチ用開口63と同程度の大きさのラッチ用開口73が形成されている。また、図5に示すように、ラッチ取付ブラケット71のうち、インナーパネル7のボルト挿通孔67に対応する部分にはボルト挿通孔75が、同パネル7のリベット挿通孔69に対応する部分にはリベット挿通孔79がそれぞれ設けられている。
さらに、ラッチ取付ブラケット71のうちボルト挿通孔75の周縁部には、インナーパネル7のボルト挿通孔67に嵌入される環状の嵌入部77が下方に突出させて設けられている。そして、ラッチ取付ブラケット71は、この嵌入部77をインナーパネル7のボルト挿通孔75に嵌入させた状態で、インナーパネル7のリベット挿通孔69と当該ラッチ取付ブラケット71のリベット挿通孔79とにインナーパネル7の下方からブラインドリベット76を挿通させ、そのリベット76の先端側をラッチ取付ブラケット71に留めることで、インナーパネル7に取り付けられている。
ラッチ111は、側方に突出したブラケット112を有し、このブラケット112をラッチ取付ブラケット71にボルト65で留めてラッチ取付部61に取り付けられている。具体的には、ラッチ111は、インナーパネル7のボルト挿通孔67とラッチ取付ブラケット71のボルト挿通孔75とにインナーパネル7の下方からボルト65を挿通させ、そのボルト65を当該ラッチ111のブラケット112に形成されたボルト締結孔112aに締結させることで、ラッチ取付ブラケット71に取り付けられてインナーパネル7のラッチ取付部61に固定されている。
そして、ドア本体3のロア部3bにおける内部空間Sには、図2及び図3に示すように、補強シート状物81が車幅方向に広げられた状態で設けられている。補強シート状物81は、矩形や菱形、六角形などの多数の網目83を有する無結節網からなるネット状の部材である。上記網目83の目合いは、例えば1.0mm〜20.0mm程度であって、補強シート状物81の接着に使用される接着剤29,85の流れ性と硬化後の接着保持強度とによって適切な大きさのものが選定される。また、補強シート状物81は、ポリエステル、ポリエチレン、ゴム又はナイロンなどの延伸性を有する繊維からなる撚糸81aを編網して形成されており、上下左右などの多方向に延伸性を有する。
図6(a)は、補強シート状物81を後側から見た展開図である。また、図6(b)は、補強シート状物81のインナーパネル7への取付け状態を示す後面図である。なお、図6(a)において、破線で示す折り線は谷折り線であり、一点鎖線で示す折り線は山折り線である。このことは、後に参照する図13(a)においても同じである。補強シート状物81は、図6(a),(b)に示すように、ラッチ収容部62に対応する部分に展開状態で下方に突出する折込み片82を備えた略凸字形状に形成されている。
具体的には、補強シート状物81は、ラッチ収容部62に対応する部分に、上下方向に当該補強シート状物81の中程から下縁まで延びる幅の細い一対の切れ目84を有している。これら一対の切れ目84は、補強シート状物81のうち一対の補強リブ59の間に対応する部分において車幅方向に互いに間隔をあけて設けられている。左側の切れ目84は左側の補強リブ59の右側でその補強リブ59に沿って延び、右側の切れ目84は右側の補強リブ59の左側でその補強リブ59に沿って延びている。
そして、補強シート状物81のうちこれら一対の切れ目84の間に位置する部分は、展開状態でその他の部分よりも下方に長く延びる舌状の折込み片82を構成している。折込み片82は、図5に示すように、ラッチ収容部62の形状に沿わせてラッチ収容部62内に折り込んだ状態に配置され、ラッチ取付部61でラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に挟んで固定されている。
この折込み片62のうち、作業用開口55に対応する部分には、図6(a)に示すように、ラッチ111の設置作業を行うための開口85が形成され、ラッチ用開口63に対応する部分には、ラッチ111を挿通させるための開口86が形成されている。また、補強シート状物81には、ナンバープレート照明用のランプへの給電等を行う配線(不図示)を通すための開口87やワイパー装置の出力軸を通すための孔89も形成されている。
この補強シート状物81は、溶着ピン91により複数箇所でインナーパネル7に留められている。インナーパネル7の内側立ち壁19における下辺部の下側であって内装部品取付部51の左右両側に位置する部分には、後方に突出する図4に示す上側留め用リブ93(図3には不図示)が車幅方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。上側留め用リブ93の上端は内側立ち壁19と一体に連結され、上側留め用リブ93の前端はインナーパネル7の本体部11と一体に連結されている。これら上側留め用リブ93の後端には、補強シート状物81の上縁寄りの部分が溶着ピン91で留められている。そして、補強シート状物81の上縁部は、ロア部3bの上縁接着部30aにまで延びている。
また、インナーパネル7の外側フランジ17の下辺部において、インナーパネル7の外側に位置する下側部分は、アウターロアパネル9bと正対し、アウターロアパネル9bと接着される接着部17aを構成している。この接着部17aは、ロア部3bの下縁接着部30bを構成している。他方、外側フランジ17の下辺部においてインナーパネル7の内側に位置する上側部分は、上方に向かって前側へ傾斜し、アウターロアパネル9bから離間するように延びる傾斜部17bを構成している。
この傾斜部17bのうちラッチ取付部61の後方に対応していない部分、つまりラッチ取付部61の左右両側の後方に位置する部分には、後方に突出する図4に示す下側留め用リブ95(図3には不図示)が車幅方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。これら下側留め用リブ95の後端には、補強シート状物81の下縁寄りの部分が溶着ピン91で留められている。そして、補強シート状物81の下縁部は、ロア部3bの下縁接着部30bにまで延びている。
また、補強シート状物81のうち、折込み片82は溶着ピン91によって複数箇所でラッチ収容部62に留められ、折込み片82の上側部分は溶着ピン91でプレート取付部53に留められている。また、外側フランジ17における下辺部の傾斜部17bのうちラッチ取付部61の後方に位置する部分には、図5に示すように、位置決めピン97が後方に突出させて設けられている。補強シート状物81の折込み片82の下端部は、この位置決めピン97が網目83に挿通されることで位置決めされ、ロア部3bの下縁接着部30bにまで延びている。
そして、この補強シート状物81は、ドア本体3のロア部3bにおける略全域、具体的にはロア部3bのうち左右両側の側端部分を除く中央部分全体に配置されるように、ロア部3bの上縁及び下縁に沿った両部分にてアウターロアパネル9bに接着し、ロア部3bの内部空間Sにおいて上下方向に掛け渡されている。
補強シート状物81のうちロア部3bの上縁に沿った部分である上縁部は、図4に示すように、ロア部3bの上縁接着部30aでインナーパネル7の内側フランジ21の下辺部とアウターロアパネル9bとの間に接着剤29と共に挟み込まれて、これら両パネル7,9bに接着されている。また、補強シート状物81のうちロア部3bの下縁に沿った部分である下縁部は、折込み片82の下端部を含み、ロア部3bの下縁接着部30bでインナーパネル7の外側フランジ17の下辺部とアウターロアパネル9bとの間に接着剤29と共に挟み込まれて、これら両パネル7,9bに接着されている。
この補強シート状物81の上下両縁部を接着する接着剤29は、アウターロアパネル9b側から当該補強シート状物81の接着部分を包み込み、当該補強シート状物81の網目83を通してインナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21に付着している。そのことで、補強シート状物81が接着剤29を通す網目83などの隙間や孔のない織物や編物であって、その補強シート状物81の接着部分における両面を別々に塗布した接着剤でインナーパネル7のフランジ17,21及びアウターロアパネル9bにそれぞれ接着する場合に比べて、インナーパネル7及びアウターロアパネル9bに対する補強シート状物81の接着強度を高めることができる。
上記構成のバックドア1を組み立てるには、インナーパネル7にアウターアッパーパネル9bを組み付ける前に、インナーパネル7に一対のサイド補強ブラケット45を取り付けておく必要がある。また、インナーパネル7にアウターロアパネル9bを組み付ける前には、インナーパネル7に補強シート状物81をラッチ取付ブラケット71と共に取り付けておく必要がある。以下に、インナーパネル7に対する補強シート状物81の取付け作業について説明する。
インナーパネル7に補強シート状物81を取り付けるには、まず、インナーパネル7のアウターロアパネル9b対向側の面における所定の位置に補強シート状物81を載置する。このとき、補強シート状物81のうち、下端寄りの部分を各下側留め用リブ95に設けられた溶着ピン91に引っ掛けると共に、折込み片82を、ラッチ収容部62の形状に沿わせてラッチ収容部62に折り込んで、ラッチ収容部62に設けられた溶着ピン91に引っ掛ける(図7(a)参照)。
さらに、この折込み片82の上側部分をプレート取付部53に設けられた溶着ピン91に引っ掛けると共に、折込み片82の下端寄りの部分を外側フランジの傾斜部に設けられた位置決めピン97に引っ掛けて、折込み片82の下端部を外側フランジ17の接着部17aに重ねておく。また、補強シート状物81の上縁寄りの部分を、各上側留め用リブ93に設けられた溶着ピン91に引っ掛けて、上縁部を内側フランジ21の下辺部に重ねておく。
そして、各溶着ピン91を先端側から熱で溶かして変形させることで、補強シート状物81をインナーパネル7に取り付ける。その後に、ラッチ取付ブラケット71を、ラッチ取付部61でインナーパネル7との間に補強シート状物81の折込み片82を挟み込み、その状態でラッチ取付部61にブライドリベット76で留めることにより取り付ける。このように、本実施形態の補強シート状物81の態様によると、当該補強シート状物81をラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に固定する固定作業を、補強シート状物81を折り返したり延伸させたりしながら行わなくて済み、折込み片82をラッチ収容部62に折り込むだけで簡単に行うことができる。
次に、アウターアッパーパネル9aとアウターロアパネル9bとをインナーパネル7に組み付けてバックドア1を組み立てる作業を行う。以下に、アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付ける作業について、図7(a),(b)を参照しながら説明する。図7(a)は、接着剤29の塗布工程を示す断面図である。図7(b)は、インナーパネル7とアウターロアパネル9bとの接着工程を示す断面図である。
アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付けるには、まず、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のうちアウターロアパネル9bとの接着予定部分に、図7(a)に示すように、接着装置のノズル201を走査させながらこのノズル201から接着剤29を吐出させることで、接着剤29を塗布する。このとき、外側フランジ27の下辺部の接着部17a及び内側フランジ21の下辺部には、これら各部分に重ねられた補強シート状物81の縁部を覆うように接着剤29を塗布する。
次いで、アウターロアパネル9bを、突出片33の位置決め孔35への位置決め凸部23の挿入によりインナーパネル7の下半部分に位置決めして重ね合わせ、図7(b)に示すように、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のうち接着剤29を塗布した部分に押圧治具205で押圧する。このとき、押圧治具205による押圧で接着剤29が、補強シート状物81の上下両縁部の網目83に充填されると共に、この網目83を通してインナーパネル7の内側フランジ17及び外側フランジ21にまで行き渡り、補強シート状物81の上下両縁部が接着剤29に埋設される。
しかる後、接着剤29を硬化(乾燥)させることにより、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21とアウターロアパネル9bとが接着される。このようにして、アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付けることができる。上記のようにすれば、インナーパネル7及びアウターロアパネル9bと補強シート状物81との接着作業に必要な接着剤29の塗布処理が1回で済む分だけ補強シート状物81の接着作業を簡素化することができる。
また、アウターアッパーパネル9aを、アウターロアパネル9bと同様な手順でインナーパネル7に組み付ける。すなわち、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のうちアウターアッパーパネル9aとの接着予定部分に接着剤を塗布し、その後に、アウターアッパーパネル9aをインナーパネル7の上端側の部分に重ね合わせ、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のうち接着剤を塗布した部分にアウターアッパーパネル9aを押圧することで接着する。
その後、インナーパネル7に接着されたアウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bの各段差部27,31と、インナーパネル7の外側フランジ17のうち窓パネル5との接着予定部分とに、接着剤39を塗布する。そして、窓パネル5を、これら両段差部27,31の間に嵌め込んで、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bと窓パネル5とを接着剤39で接着する。
最後に、インナーパネル7の作業用開口55からドア本体3の内部空間Sにラッチ111を差し入れ、ラッチ取付ブラケット71にラッチ111をボルト65で固定する。また、ワイパー装置及びナンバープレート照明用のランプをドア本体3の内装部品取付部51に取り付けた後に、ドア本体3の前側にカバーパネル57を取り付ける。
上記の作業を経て、図1に示すバックドア1を組み立てることができる。なお、上記窓パネル5の接着作業は、予め窓パネル5側に接着剤39を塗布しておき、アウターアッパーパネル9a及びアウターロアパネル9bとインナーパネル7との接着作業と併せて行うこともできる。
−実施形態1の効果−
図8は、バックドア1の後面衝突時におけるロア部3bの様子について一例を示す断面図である。この実施形態1では、ドア本体3のロア部3bにおける内部空間Sに、補強シート状物81を車幅方向に広げた状態で設け、この補強シート状物81を、当該ロア部3bの上縁及び下縁に沿った両部分にてインナーパネル7よりも靱性の高いアウターロアパネル9bに接着した上に、車体本体101に設けられたストライカ113と係合するラッチ111のインナーパネル7への取付けに用いられるラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7のうちこのラッチ取付ブラケット71の取付け部分との間に挟んで固定するようにしたから、図8に示すように、車両の後面衝突によって、インナーパネル7のうちロア部3bの下縁接着部30bに沿う部分が破損しても、補強シート状物81は、インナーパネル7におけるラッチ111の取付け箇所に折込み片82で繋ぎ止められる。これによって、補強シート状物81がアウターロアパネル9bもろともインナーパネル7から離間しないようにし、ロア部3bの内部空間Sが補強シート状物81なしに完全に車外に開放されることを防止できる。
しかも、補強シート状物81は、延伸性を有するので、ドア本体3のロア部3bが大きく変形してもその変形に応じて延伸し、車両の後面衝突時の衝撃にも耐え得て裂開し難い。また、補強シート状物81の上下両縁部を、ドア本体3のロア部3bのうちインナーパネル7とアウターロアパネル9bとが接着された剛性の比較的高い上縁接着部30aと下縁接着部30bとで、これら両パネル7,9bに接着するようにしたから、インナーパネル7及びアウターロアパネル9bに対する補強シート状物81の接着強度を向上させることができる。そのことで、車両の後面衝突時において、補強シート状物81の接着部分をロア部3bの上縁接着部30a及び下縁接着部30bと共に残すことができるので、補強シート状物81をロア部3bで車幅方向に広げた状態に維持できる。したがって、車両の後面衝突時においてドア本体3のロア部3bを構成する両パネル7,9bが飛散しても、このロア部3bのパネル飛散部分に対応する箇所には補強シート状物81を残すことができるので、当該ロア部3bに大きな穴が開くことを防止できる。
《発明の実施形態2》
この実施形態2に係る車両用バックドア1は、補強シート状物81の構成及びその補強シート状物81のインナーパネル7への取付け方が上記実施形態1と異なる。なお、この実施形態2では、補強シート状物81の構成とその取付け方が上記実施形態1と異なる他は車両用バックドア1について上記実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なる補強シート状物81についてのみ説明し、同一の構成箇所は図1〜図8に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
図9は、この実施形態2に係る車両用バックドア1が取り付けられた車体後部を示す斜視図である。図10は、この実施形態2に係るインナーパネル7のアウターパネル9対向側の面を補強シート状物81(二点鎖線)と共に示す内面図である。図11は、この実施形態2に係るバックドア1の図5相当図である。図12(a)は、この実施形態2に係る補強シート状物81を後側から見た展開図である。また、図12(b)は、その補強シート状物81のインナーパネル7への取付け状態を示す後面図である。
上記実施形態1では、補強シート状物81は、一対の切れ目84の間に舌状の折込み片82を有し、この折込み片82がラッチ取付部61に固定されるようになっているとしたが、この実施形態2の補強シート状物81は、図9及び図10に示すように、ラッチ収容部62に対応する箇所でインナーパネル7側に折り返された延出片99を有し、この延出片99がラッチ取付部61に固定されるようになっている。
具体的には、補強シート状物81は、図12(a),(b)に示すように、ラッチ収容部62に対応する部分の下側に、展開状態で下方に延出する延出片99が設けられた凸字形状に形成されている。この延出片99は、ラッチ取付部61の後側に対応する箇所にて折り返された折返し部99aと、この折返し部99aから前方に延びてラッチ取付部61でラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に挟んで固定される固定部99bとを有している。
上記延出片99の折返し部99aは、図11に示すように、補強シート状物81の一部を重ね合わせた状態で溶着ピン91によりインナーパネル7に留められている。これによって、インナーパネル7のうちこの折返し部99aを留めた部分を補強シート状物81で好適に補強することができ、ラッチ取付部61を破損し難くすることができる。補強シート状物81の下縁部は、この折返し部99aを含み、ロア部3b下縁接着部30bで外側フランジ17の下辺部とアウターロアパネル9bとの間に接着剤29と共に挟み込まれて、これら両パネル7,9bに接着されており、上記実施形態1と同様に、車両の後面衝突時において、補強シート状物81の接着部分をロア部3bの下縁接着部30bと共に残せるようになっている。
さらに、この延出片99の先端側部分は、ラッチ収容部62内でインナーパネル7の本体部7に沿わせて配置され、その本体部7に溶着ピン91で留められている。また、延出片99の固定部99bのうちラッチ用開口63に対応する部分には、ラッチ111を挿通させるための開口86が形成されている。なお、本実施形態の補強シート状物81には、ラッチ111の設置作業を行うための開口は形成されていない。
図13(a)は、本実施形態におけるアウターロアパネル9bのインナーパネル7に対する組付け作業での接着剤29の塗布工程を示す断面図である。また、図13(b)は、同作業でのインナーパネル7とアウターロアパネル9bとの接着工程を示す断面図である。この実施形態2に係る補強シート状物81をインナーパネル7に取り付けるには、まず、インナーパネル7のアウターロアパネル9b対向側の面における所定の位置に補強シート状物81を載置する。
このとき、図13(a)に示すように、補強シート状物81のうち、延出部99の先端側部分をラッチ収容部62に設けられた溶着ピン91に引っ掛け、固定部99bをラッチ取付部61に沿わせると共に折返し部99aを外側フランジ17の下辺部に設けられた溶着ピン91に引っ掛けて折り返す。そして、図示しないが、補強シート状物81の上端寄りの部分を、各上側留め用リブ93に設けられた溶着ピン91に引っ掛けて、上縁部を内側フランジ21の下辺部に重ねておく。
そして、各溶着ピン91を先端側から熱で溶かして変形させることで、補強シート状物81をインナーパネル7に取り付ける。その後に、ラッチ取付ブラケット71を、ラッチ取付部61でインナーパネル7との間に補強シート状物81の延出片99における固定部99bを挟み込み、その状態でラッチ取付部61にブラインドリベット76で留めることによりインナーパネル7に取り付ける。
次に、上記実施形態1と同様にして、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のアウターロアパネル9bとの接着予定部分に接着剤29を塗布する。そして、アウターロアパネル9bを、インナーパネル7の下半部分に位置決めして重ね合わせ、図7(b)に示すように、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21のうち接着剤29を塗布した部分に押圧治具205で押圧する。
しかる後、接着剤29を硬化(乾燥)させることにより、インナーパネル7の外側フランジ17及び内側フランジ21とアウターロアパネル9bとが接着される。このようにして、アウターロアパネル9bをインナーパネル7に組み付けることができる。
−実施形態2の効果−
この実施形態2によると、補強シート状物81は、インナーパネル7におけるラッチ111の取付け箇所に延出部99で繋ぎ止められているので、上記実施形態1と同様に、ドア本体3のロア部3bを構成する両パネル7,9bが飛散しても、このロア部3bのパネル飛散部分に対応する箇所には補強シート状物81を残すことができ、当該ロア部3bに大きな穴が開くことを防止できる。
なお、上記実施形態1では、補強シート状物81が折込み片82を有する構成を例に挙げ、その折込み片82の下端部がロア部3bの下縁接着部30bでインナーパネル7の外側フランジ17の下辺部とアウターロアパネル9bとに接着されている形態を説明したが、これに限定されず、補強シート状物81の折込み片82は、ロア部3bの下縁接着部30bにまで延びておらず、同接着部30bでインナーパネル7及びアウターロアパネル9bに接着されていなくてもよい。
また、上記実施形態2では、補強シート状物81が延出片99を有する構成を例に挙げ、その延出片99の折返し部99aがロア部3bの下縁接着部30bでインナーパネル7の外側フランジ17の下辺部とアウターロアパネル9bとに接着されている形態を説明したが、これに限定されず、補強シート状物81の延出片99は、折返し部99aをロア部3bの下縁接着部30bで両パネル7,9bに接着せずに固定部99bがラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に挟んで固定されているだけでも構わない。
さらに、上記実施形態1及び2において、補強シート状物81は、折込み片82又は延出片99を有する構成に代えて、ラッチ収容部62に対応する部分がラッチ収容部62にフィットするように車両前側に撓んだ形状を有し、その撓み部分をラッチ取付部61でラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に挟んで固定していてもよい。また、補強シート状物81は、ラッチ収容部62に対応する部分を、延伸させることでラッチ収容部62の形状に沿わせて配置させ、ラッチ取付部61でラッチ取付ブラケット71とインナーパネル7との間に挟んで固定していても構わない。
また、上記実施形態1及び2では、補強シート状物81が無結節網からなるネット状の部材であるとしたが、これに限定されず、補強シート状物81は、有結節網からなっていても構わない。また、補強シート状物81は、延伸性を有する繊維からなる編物や織物であっても構わない。この補強シート状物81としては、多方向に延伸性を有することが望ましいが、少なくとも一方向に延伸性を有するものであれば採用することが可能である。
また、上記実施形態1及び2では、インナーパネル7とアウターパネル9とを接着する接着剤29、つまり補強シート状物81の上下両縁部をインナーパネル7及びアウターロアパネル9bに接着する接着剤29が弾性接着剤であるとしたが、これに限定されず、当該接着剤29には、エポキシ系接着剤などの弾性接着剤以外の接着剤を採用することもできる。このことは、インナーパネル7及びアウターパネル9に窓パネル5を接着する接着剤39についても同様である。
また、上記実施形態1及び2では、ドア本体3のインナーパネル7にラッチ111が取り付けられ、車体本体101にこのラッチ111と係合するストライカ113が設けられた形態を例に挙げて説明したが、これに限定されず、ドア本体3のインナーパネル7に係合装置としてストライカ113が取り付けられ、車体本体101にこのストライカ113と係合するラッチ111が設けられていてもよい。この場合、インナーパネル7にストライカ113を取り付けるためのブラケットとインナーパネル7のうちこのブラケットの取付け部分との間に補強シート状物81が挟まれて固定されていればよい。
また、上記実施形態1及び2では、アウターパネル9がアウターアッパーパネル9aとアウターロアパネル9bとの2つの分割体で構成されている形態を例示したが、これに限定されず、アウターパネル9は、一枚物のパネルで構成されていてもよい。この場合、アウターパネル9は、例えば、アウターアッパーパネル9aとアウターロアパネル9bとの間に窓用開口が形成されたミドルパネルを設けた構成を有し、これら3者を一体的に成形することで製造される。
以上説明したように、本発明は、車両用バックドアについて有用であり、特に、車両の後面衝突時においてドア本体のロア部を構成するインナーパネル及びアウターパネルが飛散しても、当該ロア部に大きな穴が開くのを防止することが要望される車両用バックドアに適している。
S 内部空間
1 バックドア
3 ドア本体
3a アッパー部
3b ロア部
5 窓パネル
6 窓部
7 インナーパネル
9 アウターパネル
29 接着剤
30a 上縁接着部
30b 下縁接着部
61 ラッチ取付部(係合装置取付部)
62 ラッチ収容部(係合装置収容部)
71 ラッチ取付ブラケット
81 補強シート状物
82 折込み片
83 網目
84 切れ目
99 延出片
99a 折返し部
99b 固定部
101 車体本体
103 バックドア開口
111 ラッチ(係合装置)

Claims (7)

  1. 樹脂製インナーパネル(7)と樹脂製アウターパネル(9)とを互いに対向させた状態に接着してなり、これら両パネル(7, 9)の間に内部空間(S)が設けられ、上側部分を構成し窓部(6)が設けられたアッパー部(3a)と、前記窓部(6)よりも下側に位置するロア部(3b)とを有するドア本体(3)を備え、
    前記ロア部(3b)の下縁部に沿った部分における前記インナーパネル(7)の内部空間(S)側に、車体本体(101)の後端に設けられた開口(103)の下縁部と着脱可能に係合する係合装置(111)を取り付けるための金属製のブラケット(71)が取り付けられ、
    前記アッパー部(3a)のうち前記窓部(6)よりも上側に位置する部分に前記車体本体(101)の開口(103)の上縁部に固定されるヒンジが取り付けられ、該ヒンジを中心として上下方向に回転することで、前記車体本体(101)の開口(103)を開閉可能な車両用バックドアであって、
    前記アウターパネル(9)の靱性は、前記インナーパネル(7)の靱性よりも高く、
    前記ドア本体(3)のロア部(3b)における内部空間(S)には、車幅方向に広げられた状態で、少なくとも当該ロア部(3b)の上縁及び下縁に沿った両部分にて前記アウターパネル(9)に接着された延伸性を有する1枚の補強シート状物(81)が設けられ、
    前記補強シート状物(81)は、前記インナーパネル(7)と前記ブラケット(71)との間に挟んで固定されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  2. 請求項1に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記インナーパネル(7)のうち前記ブラケット(71)が取り付けられた部分である係合装置取付部(61)は、前記車体本体(101)の前後方向に延び、
    前記インナーパネル(7)のうち前記係合装置取付部(61)の上側に対応し前記係合装置(111)を収容する部分である係合装置収容部(62)は、前記車体本体(101)の前方に凹んだ凹状に形成され、
    前記補強シート状物(81)は、前記係合装置収容部(62)に対応する部分に、車幅方向に互いに間隔をあけて上下方向に当該補強シート状物(81)の下縁まで延びる一対の切れ目(84)を有し、
    前記補強シート状物(81)のうち前記一対の切れ目(84)の間に位置する部分は、前記係合装置収容部(62)の形状に沿わせて該係合装置収容部(62)内に折り込んだ状態に配置され、前記係合装置取付部(61)で前記インナーパネル(7)と前記ブラケット(71)との間に固定される折込み片(82)を構成している
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  3. 請求項2に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記ドア本体(3)のロア部(3b)における下縁部は、前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)とが接着剤(29)で接着された下縁接着部(30b)であり、
    前記補強シート状物(81)のうち前記ロア部(3b)の下縁に沿った接着部分は、前記折込み片(82)の下端部を含み、前記下縁接着部(30b)で前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)との間に接着剤(29)と共に挟み込まれて、当該インナーパネル(7)及びアウターパネル(9)に接着されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  4. 請求項1に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記インナーパネル(7)のうち前記ブラケット(71)が取り付けられた部分である係合装置取付部(61)は、前記車体本体(101)の前後方向に延び、
    前記補強シート状物(81)の下側部分には、前記係合装置取付部(61)に対し前記車体本体(101)の後側に対応する箇所にて折り返されて一部を重ね合わせた状態で前記インナーパネル(7)に留められた折返し部(99a)と、該折返し部(99a)から前記車体本体(101)の前方に延びて前記係合装置取付部(61)で前記インナーパネル(7)と前記ブラケット(71)との間に固定される固定部(99b)とを有する延出片(99)が設けられている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  5. 請求項4に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記ドア本体(3)のロア部(3b)における下縁部は、前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)とが接着剤(29)で接着された下縁接着部(30b)であり、
    前記補強シート状物(81)のうち前記ロア部(3b)の下縁に沿った接着部分は、前記延出片(99)の折返し部(99a)を含み、前記下縁接着部(30b)で前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)との間に接着剤(29)と共に挟み込まれて、当該インナーパネル(7)及びアウターパネル(9)に接着されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記ドア本体(3)のロア部(3b)における上縁部は、前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)とが接着剤(29)で接着された上縁接着部(30a)であり、
    前記補強シート状物(81)のうち前記ロア部(3b)の上縁に沿った接着部分は、前記上縁接着部(30a)で前記インナーパネル(7)と前記アウターパネル(9)との間に接着剤(29)と共に挟み込まれて、当該インナーパネル(7)及びアウターパネル(9)に接着されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  7. 請求項3,5及び6のいずれか1項に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記補強シート状物(81)は、多数の網目(83)を有するネット状の部材であり、
    前記補強シート状物(81)を前記インナーパネル(7)及びアウターパネル(9)に接着する接着剤(29)は、前記アウターパネル(9)側から当該補強シート状物(81)の接着部分を包み込み、当該補強シート状物(81)の網目(83)を通して前記インナーパネル(7)に付着している
    ことを特徴とする車両用バックドア。
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