JP6009267B2 - 自動車用ウェザストリップ - Google Patents

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Description

本発明は、ドアで閉じられる車体の開口部上縁に取り付けられる自動車用ウェザストリップに関するものである。
自動車用ウェザストリップの一例が特許文献1に記載されている。そのウェザストリップは、ルーフサイドパネルにクリップによって取り付けられる取付基部と、この取付基部より車体外側に向かって突出するシール部とを備えている。このシール部は中空シール部である。この中空シール部にはドアの内面が当接するようになっており、その当接部の肉厚が局所的に小さくなっている。
特開2003−25931号公報(図2)
ところで、図6及び図7に示すウェザストリップでは、シール部aはシールリップである。さらに図7に示すウェザストリップは、取付基部bが中空状のものである。
ここに、図6のようなウェザストリップにおいては、何の対策も講じなければ、クリップcの頭部と取付基部bとの間から取付基部b及びルーフサイドパネルdのクリップ孔を通って、或いは、取付基部bとルーフサイドパネルdとの間からルーフサイドパネルdのクリップ孔を通って、水が車体側に浸入する虞がある(矢印参照)。図7のようなウェザストリップでは、何ら手段を施さなければ、取付基部bとルーフサイドパネルdとの間からルーフサイドパネルdのクリップ孔を通って、水が車体側に浸入する虞がある(矢印参照)。
これに対して、図6に示すウェザストリップでは、クリップcにパッキンeを装着するとともに高機能シール材fを貼り付けている。パッキンeはクリップcの頭部と取付基部bとの間に介設され、高機能シール材fは取付基部bとルーフサイドパネルdとの間に介設される。また、図7に示すウェザストリップは、クリップcにパッキンeを取り付けている。このパッキンeは取付基部bとルーフサイドパネルdとの間に介在する。
しかし、その場合、パッキンeや高機能シール材fを別途用意して、それらをクリップcに装着したり貼り付けたりする作業が必要となり、部材点数及び作業性の点で好ましくない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、パッキン等を使用することなく、クリップ孔を通って水が車体側に浸入することを避けることにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、取付基部の取付壁を三層構造とし、その外層を剛性が相対的に低い材質にて形成し、その内層を剛性が相対的に高い材質にて形成したことを特徴とする。
具体的には、本発明は、ドアで閉じられる車体の開口部上縁に取り付けられる自動車用ウェザストリップを対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、車体パネルにクリップによって取り付けられ、且つこのクリップが挿通されるクリップ孔が形成された取付壁を有する取付基部と、上記取付基部の下端部より車体外側に向かって突出するシール部とを備え、上記取付基部の外周側の端部には、ルーフサイドパネルの外壁に内周側から当てられるリップが設けられ、上記シール部が、上記取付壁の内周側の端部より車体外側に向かって突出し、且つ車体外側に行くに従って外周側に傾斜する、上記ドアが閉じられたとき上記ドアに押し当てられるシールリップを有することで、上記ウェザストリップが、全体として水を受ける樋状に形成され、上記取付壁における、断面視で少なくとも上記クリップに対応する部分は、内層と、この内層の車体内側及び車体外側に一体に形成された外層とを有し、上記外層は、比重が0.05以上0.4未満のスポンジゴムにて形成され、付け根部分を除くリップと離間し、上記内層は、ソリッドゴム又は比重が上記外層のスポンジゴムの比重よりも高いスポンジゴムにて形成され、上記シールリップの車体内側は、ソリッドゴム又は比重が上記外層のスポンジゴムの比重よりも高いスポンジゴムにて形成され、付け根部分を除くリップ、上記シールリップの車体内側の先端部及び上記シールリップの車体外側は、比重が0.4以上0.7未満のスポンジゴムにて形成されていることを特徴とするものである。
ここに、「車体内側」とは車体表面よりも内側の室内側を意味し、「車体外側」とは車体表面よりも外側の室外側を意味する
また、「内周側」とはドアで閉じられる車体の開口部周縁の内周側(室内に臨むウェザストリップの内周側)を意味し、「外周側」とは車体の開口部周縁の外周側(室外に臨むウェザストリップの外周側)を意味する。
第1の発明によれば、取付基部における取付壁の車体内側及び車体外側の外層は、比重が0.05以上0.4未満のスポンジゴムにて形成されているから、ウェザストリップが車体パネルにクリップによって取り付けられたとき、取付壁の車体内側及び車体外側の外層が圧縮されることになる。このため、クリップに対応する部分では、クリップと取付壁とが密着し、且つ取付壁と車体パネルとが密着する。その結果、パッキン等が使用されることなく、クリップ孔を通って水が車体側に浸入することが避けられる。
また、の発明によれば、取付基部における取付壁の車体外側の外層は、比重が0.05以上0.4未満のスポンジゴムにて形成され、シールリップの車体内側は、ソリッドゴム又は比重が外層のスポンジゴムの比重よりも高いスポンジゴムにて形成されているから、ドアが閉じられたとき、或いは、車両が走行しているとき、その振動などによって取付基部の取付壁にシールリップが衝突しても、取付基部の取付壁とシールリップの車体内側とがソリッドゴムのような、剛性が高い材質にて形成された場合とは違って、その衝突により音が発生することが避けられる。
本発明の実施形態に係るウェザストリップを適用する自動車の一例を示す側面図である。 フロントドアを閉じた状態での図1のA−A線における拡大断面図である。 本発明の実施形態に係るウェザストリップの断面図である。 フロントドアを開いた状態での図1のA−A線における拡大断面図である。 ルーフサイドパネルにクリップによって取り付けた状態でのウェザストリップの取付基部を示す部分側面図である。 本発明の課題を説明する断面図である。 本発明の課題を説明する断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1に示す自動車において、1はフロントドア、2はリヤドアである。フロントドア1は、車体3の開口(車室のフロント側乗降口)4を開閉すべく車体にヒンジで支持されたドアである。この車体3の開口4の上縁部に本実施形態に係る長尺状のウェザストリップ5が取り付けられている。
すなわち、図2に示すように、ウェザストリップ5は、取付基部6とシールリップ7(シール部)とを備えている。上記開口4の上縁では、ルーフサイドパネル8(ルーフパネルのルーフサイド部。「車体パネル」に対応)の縦壁8aに取付基部6が間隔を開けて並んだ複数のクリップ9によって取り付けられている。ルーフサイドパネル8は、縦壁8aと、この縦壁8aの上縁部より車体外側に向かって突出する外壁8bと、縦壁8aの下縁部より車体内側に向かって突出する内壁8cとを有している。縦壁8aには、クリップ9が挿通される円状のクリップ孔8dが間隔を開けて並んで形成されている。クリップ9は、脚部9aと、この脚部9aの基端部に一体に形成された傘状の頭部9bとを有している。
また、図2において、1aはフロントドア1のインナパネル、1bはアウタパネルである。このアウタパネル1bの上縁部は、インナパネル1aの上縁部を内包するように折り返されてヘミング加工され、インナパネル1aの上縁部と接合している。ウェザストリップ5のシールリップ7にはフロントドア1のヘミング部1cの内面が当接するようになっている。
図3に示すように、ウェザストリップ5の取付基部6は、取付縦壁21(「取付壁」に対応)を備えている。この取付縦壁21は、ルーフサイドパネル8の縦壁8aにクリップ9によって取り付けられるものであって、その外周側及び内周側の両端部にはリップ22,23が設けられている。リップ22は、ルーフサイドパネル8の外壁8bに内周側から当てられている。リップ23は、ルーフサイドパネル8の内壁8cに内周側から当てられている。
取付縦壁21は、内層24と、車体内側の第1外層25と、車体外側の第2外層26とを備えており、これらの層24〜26によって、取付縦壁21は全体に亘って三層構造になっている。すなわち、第1外層25は、内層24の車体内側に一体に形成されている一方、第2外層26は、内層24の車体外側に一体に形成されている。取付縦壁21には、ルーフサイドパネル8の縦壁8aのクリップ孔8dに対応するように、クリップ9が挿通される円状のクリップ孔27が間隔を開けて並んで形成されている。
ウェザストリップ5のシールリップ7は、ウェザストリップ5の取付基部6と一体になっていて、取付基部6の取付縦壁21の内周側の端部、つまり、取付縦壁21の下端部より車体外側に突出している。シールリップ7は、車体外側に行くに従って外周側(上側)に傾斜し、且つ内周側に湾曲して膨らんでいる。
ここに、シールリップ7の外面はなだらかな曲面を形成している。よって、シールリップ7からは角張った印象を受けず、見栄えが良い。
そして、ウェザストリップ5は全体として水を受ける樋状に形成されている。
取付基部6の取付縦壁21の第1及び第2外層25,26は、比重が0.05以上0.4未満程度の複数の気泡のあるスポンジゴム、所謂低比重スポンジにて形成され、付け根部分を除くリップ22及びリップ23は、比重が0.4以上0.7未満のスポンジゴムにて形成され、取付縦壁21の内層24及びリップ22の付け根部分は、気泡のないソリッドゴム又は比重が0.7以上1.3以下程度のスポンジゴムにて形成されている。
シールリップ7の車体内側は、先端部を除いて取付基部6の取付縦壁21の内層24及びリップ22の付け根部分と一体となった同じ材質、つまり、ソリッドゴム又は比重が0.7以上1.3以下程度のスポンジゴムにて形成され、シールリップ7の残部、つまり、シールリップ7の車体内側の先端部及びシールリップ7の車体外側は、比重が0.4以上0.7未満のスポンジゴムにて形成されている。
ここに、付け根部分を除くリップ22、リップ23及びシールリップ7の先端部は、取付基部6の取付縦壁21の内層24と同じ材質でも良いが、止水性等の理由から上記の設定としている。
上記ウェザストリップ5を形成するソリッドゴム及びスポンジゴムの材料としてはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)を好ましく採用することができるが、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、熱可塑性エラストマー(オレフィン系又はスチレン系熱可塑性エラストマー)、軟質のポリ塩化ビニル等など、他のゴム材料ないしはゴム状弾性を有する他の弾性材料を用いても良い。
上記構成のウェザストリップ5では、取付基部6における取付縦壁21の車体内側の第1外層25及び車体外側の第2外層26は低比重スポンジにて形成されている。このため、図4及び図5に示すように、ウェザストリップ5がルーフサイドパネル8にクリップ9によって取り付けられたとき、取付縦壁21の第1及び第2外層25,26が圧縮されることになる。具体的に説明すると、第1外層25は全体的に圧縮される。一方、第2外層26はクリップ9の頭部9bの縁部9cよりも外側に広がっているから、クリップ9の頭部9bに対応する部分が部分的に圧縮されることになる。このため、クリップ9に対応する部分では、クリップ9の頭部9bと取付縦壁21とが密着し、且つ取付縦壁21とルーフサイドパネル8の縦壁8aとが密着する。その結果、クリップ9の頭部9bと取付縦壁21との間、及び、取付縦壁21とルーフサイドパネル8の縦壁8aとの間にすき間ができることが避けられ、水に対するシール性が高められる。
しかも、取付縦壁21は全体に亘って三層構造になっているから、車体内側の第1外層25は全体に亘って形成されることになる。さらに、取付縦壁21の内層24は、ソリッドゴム又は比重が0.7以上1.3以下程度のスポンジゴム、つまり、剛性が高い材質にて形成されていて、第1外層25をその車体外側から覆っている。このため、クリップ9による部分的な加圧であっても、低比重スポンジにて形成された第1外層25は全体的に圧縮され、取付基部6とルーフサイドパネル8の縦壁8aとの間から全体に亘って水が浸入することが避けられる。
よって、パッキン等が使用されることなく、取付基部6の取付縦壁21及びルーフサイドパネル8の縦壁8aのクリップ孔27,8dを通って水が車体側に浸入することが避けられる。
また、取付基部6の取付縦壁21の内層24は、ソリッドゴム又は比重が0.7以上1.3以下程度のスポンジゴム、つまり、剛性が高い材質にて形成されているから、ウェザストリップ5のルーフサイドパネル8への取付安定性が損なわれない。
上記構成のウェザストリップ5では、フロントドア1が閉じられたとき、図2に示すように、フロントドア1のヘミング部1cの内面がシールリップ7の先端部31に押し当てられる。これにより、シールリップ7は車体内側に向かって変形する。
ここに、取付基部6における取付縦壁21の車体外側の第2外層26は低比重スポンジにて形成され、シールリップ7の車体内側は、ソリッドゴム又は比重が0.7以上1.3以下程度のスポンジゴムにて形成されているから、フロントドア1が閉じられたとき、或いは、車両が走行しているとき、その振動などによって取付基部6の取付縦壁21にシールリップ7が衝突しても、取付基部の取付縦壁とシールリップの車体内側とがいずれもソリッドゴムのような、剛性が高い材質にて形成された場合とは違って、その衝突により音が発生することが避けられる。
なお、上記実施形態は、本発明に係るウェザストリップを車体フロントドア開口部の上縁のシールに適用した例であるが、本発明の適用はこれに限るものではない。例えば、車体リヤドア開口部の上縁のシールにも本発明は適用することができる。ここに、取付基部6の取付縦壁21の第1及び第2外層25,26を構成する低比重スポンジは撓み代があるから、ルーフサイドパネル8の肉厚の大きさに拘わらず、如何なる車体ドア開口部上縁のシールにも本発明は適用することができる
た、上記実施形態は、取付縦壁21を全体に亘って三層構造としたが、断面視で少なくとも、クリップ9の頭部9bに対応する部分を三構造とすれば良い。
以上説明したように、本発明に係る自動車用ウェザストリップは、パッキン等を使用することなく、クリップ孔を通って水が車体側に浸入することを避けることが必要な用途等に適用することができる。
1 フロントドア
3 車体
4 開口
5 ウェザストリップ
6 取付基部
21 取付縦壁(取付壁)
24 内層
25 第1外層
26 第2外層
27 クリップ孔
7 シールリップ(シール部)
8 ルーフサイドパネル(車体パネル)
8d クリップ孔
9 クリップ

Claims (1)

  1. ドアで閉じられる車体の開口部上縁に取り付けられる自動車用ウェザストリップであって、
    車体パネルにクリップによって取り付けられ、且つこのクリップが挿通されるクリップ孔が形成された取付壁を有する取付基部と、
    上記取付基部の下端部より車体外側に向かって突出するシール部とを備え、
    上記取付基部の外周側の端部には、ルーフサイドパネルの外壁に内周側から当てられるリップが設けられ、
    上記シール部が、上記取付壁の内周側の端部より車体外側に向かって突出し、且つ車体外側に行くに従って外周側に傾斜する、上記ドアが閉じられたとき上記ドアに押し当てられるシールリップを有することで、上記ウェザストリップが、全体として水を受ける樋状に形成され、
    上記取付壁における、断面視で少なくとも上記クリップに対応する部分は、内層と、この内層の車体内側及び車体外側に一体に形成された外層とを有し、
    上記外層は、比重が0.05以上0.4未満のスポンジゴムにて形成され、付け根部分を除くリップと離間し、
    上記内層は、ソリッドゴム又は比重が上記外層のスポンジゴムの比重よりも高いスポンジゴムにて形成され
    上記シールリップの車体内側は、ソリッドゴム又は比重が上記外層のスポンジゴムの比重よりも高いスポンジゴムにて形成され、
    付け根部分を除くリップ、上記シールリップの車体内側の先端部及び上記シールリップの車体外側は、比重が0.4以上0.7未満のスポンジゴムにて形成されていることを特徴とする自動車用ウェザストリップ。
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