JP2018154155A - 車両用バックドア - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の後面衝突時においてインナパネルが飛散してもバックドアに大きな穴が開くのを防止する。【解決手段】樹脂製アウタパネル(5)と、アウタパネル(5)よりも剛性が高く且つ靱性が低い樹脂製インナパネル(3)とを備え、これら両パネル(3,5)が互いに対向して接合され、当該両パネル(3,5)の間に内部空間(17)が設けられた車両用バックドアにおいて、内部空間(17)には、延伸性を有する補強シート状物(21)が広げて設けられており、補強シート状物(21)は、前記アウタパネル(5)とは線状に接着される一方、インナパネル(3)とは互いに間隔をあけた複数の箇所で固定されている。【選択図】図5
Description
本開示は、樹脂製アウタパネルと樹脂製インナパネルとが互いに対向して接合された構造を有する車両用バックドアに関する。
一般に、樹脂製アウタパネルと樹脂製インナパネルとが互いに対向して接合された構造を有する車両用バックドアでは、アウタパネルを剛性よりも表面の外観を重視した樹脂材で設けると共に、インナパネルを表面の外観よりも剛性を重視した樹脂材で設け、表面の外観の良いアウタパネルを剛性のあるインナパネルで支持する構造になっている。インナパネルは、例えばガラス繊維等を含有した樹脂材からなり、剛性が高いものの靱性が低いため、衝撃に対しては破断し易くなっている。
特許文献1には、樹脂製アウタパネルと樹脂製インナパネルとを接合してなるドア本体を備え、このドア本体の上半部分に窓部が設けられた車両用バックドアが開示されている。このバックドアでは、インナパネルのうち上半部分から下半部分の一部にかけて左右の両側端部に、当該インナパネルを補強する金属製のサイド補強ブラケット(リインフォース)が取り付けられている。また、インナパネルの下端中央には、車体本体に設けられたストライカに係合するラッチを取り付けるための金属製のラッチ取付ブラケット(ロックリインフォース)が取り付けられている。
そして、このバックドアでは、車両の後面衝突時の破損によってドア本体を構成するパネルの飛散を防止すべく、ドア本体のうち窓部よりも下側に位置するロア部の内部空間にワイヤーが設けられている。このワイヤーは、上端部をサイド補強ブラケットに連結する一方、下端部をラッチ取付ブラケットに連結させて、インナパネルの外周縁部に沿って架設されている。
特許文献1のバックドアでは、ワイヤーは、その両端部がサイド補強ブラケット及びラッチ取付ブラケットを介して車体に連結されているものの、これら両端部を除いてはインナパネルにもアウタパネルにも留まっていないし、インナパネルの外周縁部に沿って架設されている。このため、ドア本体のロア部における中央部分には、車両の後面衝突時に同部分を構成するパネルが複数の小片に破断し飛散してバックドアに大きな穴が開くおそれがある。このことから、バックドアには、パネルの飛散対策を施すことが望まれる。
そこで、パネルの飛散対策として、ドア本体のロア部における内部空間に、延伸性を有する補強シート状物をアウタパネルに固定して広げた状態に設けておくことで、当該ロア部における中央部分を構成するパネルが飛散しても、パネルの飛散部分に対応する箇所に補強シート状物を残すようにすることが考えられる。インナパネルが補強シート状物を間に介してアウタパネルを支持する構造で、補強シート状物を内部空間で広げた状態に保持するには、補強シート状物をインナパネルにも固定することが好ましい。
しかし、インナパネルに対し、例えば接着剤を用いて補強シート状物を線状に接着して固定すると、車両の後面衝突によりインナパネルが破断したときに、補強シート状物にインナパネルの変形に伴って負荷がかかるが、補強シート状物はインナパネルが接着した部分で延伸し難くなっているため、インナパネルが破断した箇所に応力が集中しやすく、その応力集中箇所から補強シート状物が裂開してしまうおそれがある。そうなると、せっかく補強シート状物を設けていても、ドア本体のロア部に大きな穴が開いてしまい兼ねない。
本開示の技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の後面衝突時においてアウタパネル及びインナパネルが破断しても大きな穴が開くのを防止できる車両用バックドアを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本開示の技術では、バックドアの内部空間に延伸性を有する補強シート状物を設け、アウタパネル及びインナパネルに対する補強シート状物の取付け方を工夫するようにした。
具体的には、本開示の技術は、樹脂製アウタパネルと、該アウタパネルよりも剛性が高く且つ靱性が低い樹脂製インナパネルとを備え、これら両パネルが互いに対向して接合され、当該両パネルの間に内部空間が設けられた車両用バックドアを対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
本開示の技術に係る第1の態様は、アウタパネルとインナパネルとの間の内部空間に、延伸性を有する補強シート状物が広げて設けられている構成を有する。そして、補強シート状物は、アウタパネルとは線状に接着される一方、インナパネルとは互いに間隔をあけた複数の箇所で固定されている。
本開示の技術に係る第2の態様は、第1の態様の車両用バックドアにおいて、アウタパネルとインナパネルとの接合体が、窓部が設けられた上半部分を構成するアッパ部と、下半部分を構成するロア部とを有する構成となっている。アッパ部の上縁部には、車体本体と回動可能に連結されるヒンジ部が設けられている。ロア部の下縁部には、車体本体と接離可能に連結されるロック部が設けられている。さらに、アウタパネルとインナパネルとの間の内部空間には、それらヒンジ部とロック部とを連結し且つインナパネルの外周縁部に沿って固定された剛性補強材が収容されている。そして、補強シート状物は、ロア部に配置され、剛性補強材に張り渡されている。
本開示の技術に係る第3の態様は、第2の態様の車両用バックドアにおいて、補強シート状物が、外周縁部に巻込み片を有する構成となっている。そして、巻込み片は、補強シート状物の内側へ折り返され、剛性補強材を巻き込んだ状態でその剛性補強材に固定されている。
第1の態様によれば、アウタパネルにインナパネルよりも靱性の高いパネルを採用し、アウタパネルとインナパネルとの間の内部空間に補強シート状物を広げて設け、その補強シート状物をアウタパネルに対し線状に接着するようにしたから、補強シート状物を相対的に飛散し難いアウタパネルにて広げた状態に保持することができる。この補強シート状物は、延伸性を有するので、ドア本体が大きく変形してもその変形に応じて延伸し、車両衝突時の衝撃にも耐え得る。
そして、第1の態様によれば、補強シート状物をインナパネルに対し間隔をあけた複数の箇所で固定するようにしたので、車両が後面衝突に見舞われたときにインナパネルが破断しても、補強シート状物は、インナパネルとの固定箇所の間で延伸することが可能であり、延伸性を活かせて裂開し難い。したがって、車両の後面衝突時においてアウタパネル及びインナパネルが破断しても、補強シート状物を広げた状態で残すことができるので、バックドアに大きな穴が開くのを防止することができる。
第2の態様によれば、アウタパネルとインナパネルとの間の内部空間に、ヒンジ部とロック部とを連結する剛性補強材を設けるようにしたから、剛性補強部材によってインナパネルが補強される分、車両の後面衝突によるバックドアの破損を抑えることができる。そして、補強シート状物を剛性補強材に張り渡すようにしたので、バックドアの製造において、補強シート状物を剛性補強材に組み付けて組立て部品としてからインナパネルに取り付けることにより、インナパネルへの補強シート状物の取付けを容易に行える。
また、車両の後面衝突の具合やその激しさの程度によっては、インナパネルが大破することがあり得る。その場合、補強シート状物がアウタパネルと共にインナパネルから離間するおそれがある。そうなると、アウタパネルとインナパネルとの間の内部空間が車外に開放されてしまい、バックドアのロア部に大きな穴が開いてしまうことが懸念される。これに対し、第2の態様によれば、補強シート状物を剛性補強材にて広げた状態でヒンジ部及びロック部に繋ぎ留めるようにしたので、インナパネルが大破してもバックドアのロア部に大きな穴が開くのを防止することができる。
第3の態様によれば、補強シート状物に巻込み片を設け、その巻込み片を剛性補強材に巻き掛けて折り重ねた状態で固定するようにしたから、剛性補強材への補強シート状物の取付け部分の強度を高め、且つ補強シート状物を剛性補強材にしっかりと固定することができる。それによって、車両が後面衝突に見舞われたときに、その衝撃で補強シート状物が剛性補強材から外れ難くすることができる。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の技術、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方に向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
− バックドアの概略構成 −
図1に、車両用バックドア1を後側から見た全体斜視図を示す。図2に、バックドア1の分解斜視図を示す。図3及び図4に、組立て補強部品29を組み付けた状態のインナパネル3の後面図を示す。図4では、アウタパネル5に対するインナパネル3及び組立て補強部品29の接着領域106a,106b,106cを、斜線ハッチングを付して明示している。また、図5に、図4のV−V線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図6に、図4のVI−VI線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図7に、図4のVII−VII線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図8に、図4のVIII−VIII線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。
図1に、車両用バックドア1を後側から見た全体斜視図を示す。図2に、バックドア1の分解斜視図を示す。図3及び図4に、組立て補強部品29を組み付けた状態のインナパネル3の後面図を示す。図4では、アウタパネル5に対するインナパネル3及び組立て補強部品29の接着領域106a,106b,106cを、斜線ハッチングを付して明示している。また、図5に、図4のV−V線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図6に、図4のVI−VI線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図7に、図4のVII−VII線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。図8に、図4のVIII−VIII線に相当する箇所でのバックドア1の断面図を示す。
図1に示すバックドア1は、ハッチバック車の車体本体201の後端に設けられたバックドア開口203を開閉する上下開閉式のドアである。このバックドア1は、図2に示すように、車内側(前側)に位置するインナパネル3と、車外側(後側)に位置するアウタパネル5及び窓パネル7とを備える。これらインナパネル3、アウタパネル5及び窓パネル7は、互いに接着剤90により接合されて、図1に示すようにドア本体9を構成している。
ドア本体9は、上半部分を構成するアッパ部11と、下半部分を構成するロア部13とを有している。窓パネル7は、アッパ部11に保持されている。これにより、アッパ部11には、窓パネル7を通して車内へ採光可能な窓部15が設けられている。アッパ部11の窓部15周り及びロア部13において、インナパネル3とアウタパネル5との間には、図6〜図8に示すように内部空間17が設けられている。この内部空間17には、剛性補強材19や補強シート状物21、ラッチブラケット23などが収容されている。
剛性補強材19は、インナパネル3の剛性を補強するものであって、図2及び図3に示すように、ドア本体9のアッパ部11に取り付けられるアッパ側剛性補強材25と、ロア部13に取り付けられるロア側剛性補強材27とによって構成されている。補強シート状物21は、ロア側剛性補強材27に広げた状態に架け渡されており、ロア側剛性補強材27と共に組立て補強部品29を構成している。組立て補強部品29は、インナパネル3にねじ123やリベット136、ボルト119によって複数箇所に亘り固定され、且つアウタパネル5(後述するロアアウタパネル87)に接着剤90で接着されている。
− インナパネルの構成 −
図9に、インナパネル3の後面図を示す。図10に、ラッチブラケット23及びアッパ側剛性補強材25を組み付けた状態のインナパネル3の後面図を示す。
図9に、インナパネル3の後面図を示す。図10に、ラッチブラケット23及びアッパ側剛性補強材25を組み付けた状態のインナパネル3の後面図を示す。
インナパネル3は、射出成形などにより成形される一枚物の樹脂製パネルであって、例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン(PP−GF:Polypropylene Glass Fiber)などの繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなる。このインナパネル3は、アウタパネル5(後述するアッパアウタパネル85及びロアアウタパネル87)よりも剛性が高い反面、靱性はアウタパネル5よりも低くなっている。
インナパネル3は、図9に示すように、アウタパネル5と前後方向において対向する主面部31を有する。この主面部31の上半部分には、車幅方向に延びる略台形状の窓用開口33が形成されている。主面部31のうち窓用開口33の周縁部分には、後方に立ち上がった内側立ち壁35と、内側立ち壁35の後端から窓用開口33の内方へ突出した内側接合部37とが全周に亘って設けられている。また、主面部31の外周縁部には、後側に立ち上がった外側立ち壁39と、外側立ち壁39の後端から外側方へ突出した外側接合部41とが全周に亘って設けられている。
インナパネル3のうち窓用開口33の左右両側の部分は、後方に開口を向ける水平断面凹状に形成されたインナピラー部43をそれぞれ構成している。インナピラー部43は、内側立ち壁35及び内側接合部37の車幅方向における外側の側辺部分と、外側立ち壁39及び外側接合部41との車幅方向における外側の側辺部分と、主面部31のうちそれら両側辺部分の間に位置する部分とによって構成されている。それら各インナピラー部43のうち主面部31からなる底部の下側部分には、アウタパネル5(後述のロアアウタパネル87)をインナパネル3に組み付ける際に位置決めに用いられる位置決め凸部45が設けられている。
インナパネル3のうち窓用開口33よりも上側に位置する部分、具体的にはインナパネル3の上縁部で主面部31と外側立ち壁39との間の部分には、前側が凹んで後方に突出した一対のヒンジ取付部47が、車幅方向における左右両側に間隔をあけて設けられている。ヒンジ取付部47には、車体本体201に連結される開閉用ヒンジ(不図示)が、ボルト等の留め具で前方から固定されている。ヒンジ取付部47は、開閉用ヒンジと共にヒンジ部48を構成している。バックドア1は、それらヒンジ部48で車体本体201に開閉可能に取り付けられる。
インナパネル3の外側立ち壁39の下辺部、具体的にはその車幅方向における中央部分には、図7及び図10に示すように、車体本体201と接離可能に連結されるロック部49が設けられている。ロック部49は、外側立ち壁39においてラッチ挿通孔51を有するラッチ装着部53を備える。ラッチ装着部53には、金属製の板材からなるラッチブラケット23を用いて、図示しないラッチが装着される。ラッチは、バックドア開口203の下縁部に設けられたストライカに着脱可能に係合し、ストライカと協働してバックドア1を閉状態で車体本体201にロックするロック装置を構成する。
ラッチブラケット23は、ラッチ装着部53の内部空間17側の面にリベット54で取り付けられる。このラッチブラケット23は、ラッチ装着部53に据え付けられる座面部55と、座面部55の前端縁の中央部から上方に延出する延出片57と、座面部55の後端縁の左右両端部から上方に突出する一対の締結片59とを備える。締結片59には、ボルト119が挿通される挿通孔61が形成されている。そして、締結片59の前面には、その挿通孔61にねじ孔を連続させるようにウエルドナット63が取り付けられている。
また、インナパネル3の主面部31のうち窓用開口33よりも下側に位置する部分には、図示しないライセンスプレート照明用のランプやノブ機構などが取り付けられる部品取付部65が設けられている。部品取付部65は、インナパネル3の左右方向における中程でロア部13の上側寄りの位置に配置されていて、車内側が凹みアウタパネル5側へ突出した凸状に形成されている。この部品取付部65によるインナパネル3の前側に形成された凹みは、図2に示すカバーパネル67で塞がれる。
さらに、インナパネル3の主面部31には、部品取付部65と外側立ち壁39とを連結する縦条補強部69及び横条補強部71が設けられている。縦条補強部69は、部品取付部65の下側でラッチ装着部53の左右両側に一対に形成されている。これら縦条補強部69は、ロア側剛性補強材27を支持する支持用補強部73であって、帯板形状とされて上下方向に延びている。
横条補強部71は、部品取付部65の左右両側で上下一対にそれぞれ形成されている。一対の横条補強部71のうち上側の横条補強部71は、補強シート状物21が取り付けられる取付用補強部75であって、左右方向に延びる断面L字状とされている。他方、下側の横条補強部71は、ロア側剛性補強材27を支持する支持用補強部73であって、帯板形状とされて左右方向に延びている。
部品取付部65の後面部の下側には、ラッチ装着部53にラッチを取り付けたり内部空間17にハーネス等を配線したりするための取付け用ないしメンテナンス用の作業用開口77が形成されている。また、部品取付部65の後面部のうち各縦条補強部69の上側部分、左右の横条補強部71がなす支持用補強部73の間の部分、及び左右の取付用補強部75の間の部分と、各取付用補強部75の後面部とには、組立て補強部品29を取り付けるための取付孔79が所定の間隔をあけて形成されている。
また、各支持用補強部73の両側面には、小片板状の補強リブ81が互いに間隔をあけてそれぞれ複数設けられている。同様な補強リブ81は、外側立ち壁39の両側辺部のうち横条補強部71の下側部分と、外側立ち壁39の下辺部のうちラッチ装着部53の左右両側の部分とにも、それぞれ互いに間隔をあけて複数設けられている。これら補強リブ81は、後に説明するロア側剛性補強材27が後端面に当接し、補強シート状物21とロアアウタパネル87とを接着する際に、補強シート状物21とロアアウタパネル87との間に接着剤90を挟んで両者21,87を接近する方向に押し付けて強固に接着する役割を担う。
また、インナパネル3の主面部31には、外側立ち壁39の左右両側辺に沿ってロア側剛性補強材27を取り付けるための複数の取付ボス83が後方に突出させて設けられている。この取付ボス83は、インナピラー部43の上下方向における中程の部分及び下端部と、インナピラー部43と取付用補強部75との間で外側立ち壁39沿いの部分と、インナパネル3の左右両側の下隅部とに形成されている。
− アウタパネルの構成 −
アウタパネル5は、図1及び図2に示すように、上下に分割されており、上側に位置するアッパアウタパネル85と、下側に位置するロアアウタパネル87とで構成されている。アッパアウタパネル85及びロアアウタパネル87は、射出成形などにより成形される樹脂製パネルであって、例えば、タルク入りポリプロピレン(PP−T:Polypropylene Talc)やそれにエチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Monomer)を混合した合成樹脂からなる。
アウタパネル5は、図1及び図2に示すように、上下に分割されており、上側に位置するアッパアウタパネル85と、下側に位置するロアアウタパネル87とで構成されている。アッパアウタパネル85及びロアアウタパネル87は、射出成形などにより成形される樹脂製パネルであって、例えば、タルク入りポリプロピレン(PP−T:Polypropylene Talc)やそれにエチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Monomer)を混合した合成樹脂からなる。
アッパアウタパネル85は、車幅方向に細長い横長パネルであって、中空部を有する側面視で略三角形状に形成されており、スポイラーを形成している。このアッパアウタパネル85は、インナパネル3のうち窓用開口33よりも上側の部分に対向し、ドア本体9のアッパ部11を構成している。
アッパアウタパネル85の外周縁部は、内側接合部37の上辺部分と、外側接合部41のうち左右両側の側辺部分における上端箇所及び上辺部分(図4に示す接着領域106a参照)とに、接着剤90で接着されている。このアッパアウタパネル85の下縁部には、前後方向に延びる段差部を介して前方に位置するアッパ接合部89が、車幅方向における全体に亘って設けられている。
他方、ロアアウタパネル87は、インナパネル3のうち窓用開口33よりも下側の部分に対向し、ドア本体9のロア部13を構成している。このロアアウタパネル87の外周縁部は、内側接合部37の下辺部分と、外側接合部41のうち左右両側の側辺部分における下半箇所及び下辺部分(図4に示す接着領域106b参照)とに、接着剤90で接着されている。また、ロアアウタパネル87は、部品取付部65とも接着剤90で接着されている。
このロアアウタパネル87の上縁部には、前後方向に延びる段差部を介して前方に位置するロア接合部91が、車幅方向における全体に亘って設けられている。このロア接合部91の左右両端部分には、インナピラー部43に沿って上方に延びる延出片93がそれぞれ設けられている。これら各延出片93には、位置決め凸部45が挿入される位置決め孔95が形成されている。
− 窓パネルの構成 −
窓パネル7は、バックドア1の左右両端に亘って車幅方向における全体に延びる横長パネルであって、アッパアウタパネル85とロアアウタパネル87との間に嵌め込まれてインナパネル3の窓用開口33を後側で塞ぐと共に、両インナピラー部43の開口を覆っている。この窓パネル7は、樹脂製又はガラス製の透明な本体パネル97と、本体パネル97の外周部分の車内側の面に全周に亘って設けられた黒色のセラミックス等からなる隠蔽層99とを備える。
窓パネル7は、バックドア1の左右両端に亘って車幅方向における全体に延びる横長パネルであって、アッパアウタパネル85とロアアウタパネル87との間に嵌め込まれてインナパネル3の窓用開口33を後側で塞ぐと共に、両インナピラー部43の開口を覆っている。この窓パネル7は、樹脂製又はガラス製の透明な本体パネル97と、本体パネル97の外周部分の車内側の面に全周に亘って設けられた黒色のセラミックス等からなる隠蔽層99とを備える。
窓パネル7のうち隠蔽層99の内側に位置する領域は、窓用開口33に対応し、本体パネル97の一部からなる採光可能な窓領域7aを構成している。窓パネル7のうち隠蔽層99が設けられた領域は、当該領域との重なり部分を隠蔽する隠蔽領域7bを構成している。この隠蔽領域7bは、両インナピラー部43、アッパ接合部89及びロア接合部91に対応する部分を含む。そのことで、インナパネル3、アッパアウタパネル85及びロアアウタパネル87と窓パネル7との重なり部分は、車外側から視認されないようになっている。
− アッパ剛性補強材の構成 −
アッパ側剛性補強材25は、両インナピラー部43の内側に配置される一対のサイド補強ブラケット101によって構成されている。サイド補強ブラケット101は、金属製の板材からなり、ヒンジ取付部47からインナピラー部43に亘って延びる略L字状をなしている。このサイド補強ブラケット101の中間部には、図示しないバックドアダンパーステイ取付部材との締結部が設けられている。
アッパ側剛性補強材25は、両インナピラー部43の内側に配置される一対のサイド補強ブラケット101によって構成されている。サイド補強ブラケット101は、金属製の板材からなり、ヒンジ取付部47からインナピラー部43に亘って延びる略L字状をなしている。このサイド補強ブラケット101の中間部には、図示しないバックドアダンパーステイ取付部材との締結部が設けられている。
そして、サイド補強ブラケット101は、上端部がヒンジ取付部47に対しボルト103によって上記開閉用ヒンジと共締めされ、且つ長さ方向における中程の部分及び下端寄りの部分がインナピラー部43の取付ボス83に対しねじ105によってそれぞれ締結されることにより、インナパネル3に取り付けられている。また、サイド補強ブラケット101の下端部には、ボルト119が挿通される挿通孔106が形成されている。さらに、サイド補強ブラケット101の下端部の前面には、図示しないが、その挿通孔106にねじ孔を連続させるようにウエルドナットが取り付けられている。
−組立て補強部品の構成 −
図11に、ロア側剛性補強材27の後面図を示す。図12に、補強シート状物21の後面図を示す。図13に、補強シート状物21をロア側剛性補強材27に取り付けた組立て補強部品29の後面図を示す。なお、図11に×印で示した箇所は、リンク部材107,109,111,113同士の溶接箇所である。
図11に、ロア側剛性補強材27の後面図を示す。図12に、補強シート状物21の後面図を示す。図13に、補強シート状物21をロア側剛性補強材27に取り付けた組立て補強部品29の後面図を示す。なお、図11に×印で示した箇所は、リンク部材107,109,111,113同士の溶接箇所である。
−ロア側剛性補強材の構成 −
ロア側剛性補強材27は、図11に示すように、細長い金属製の帯板からなる複数のリンク部材107,109,111,113によって構成されており、組立て補強部品29の骨組みを形成している。複数のリンク部材107,109,111,113は、ロア側剛性補強材27の下縁部をなす横ロアリンク部材107と、ロア側剛性補強材27の左右両側部をなす一対の縦サイドリンク部材109と、ロア側剛性補強材27の左右両側で横方向に延びる一対の横ミドルリンク部材111と、ロア側剛性補強材27の左右両側で縦方向に延びる一対の縦ミドルリンク部材113とである。
ロア側剛性補強材27は、図11に示すように、細長い金属製の帯板からなる複数のリンク部材107,109,111,113によって構成されており、組立て補強部品29の骨組みを形成している。複数のリンク部材107,109,111,113は、ロア側剛性補強材27の下縁部をなす横ロアリンク部材107と、ロア側剛性補強材27の左右両側部をなす一対の縦サイドリンク部材109と、ロア側剛性補強材27の左右両側で横方向に延びる一対の横ミドルリンク部材111と、ロア側剛性補強材27の左右両側で縦方向に延びる一対の縦ミドルリンク部材113とである。
横ロアリンク部材107は、外側立ち壁39の下辺部の略全体に沿う長さを有する。この横ロアリンク部材107の中程には、図7及び図11に示すように、後側が凹んで前方に張り出した左右一対の張出部115が折り曲げられて形成されている。これら張出部115には締結孔117が形成されている。横ロアリンク部材107は、その締結孔117に通したボルト119をラッチブラケット23の挿通孔61に挿通させてウエルドナット63に螺合させ、張出部115を締結片59にボルト119で締結することにより、ラッチブラケット23に取り付けられている。
縦サイドリンク部材109は、外側立ち壁39の側辺部に沿って延びる形状とされている。縦サイドリンク部材109の下端部は、横ロアリンク部材107の左右両端部に溶接により固定されている。縦サイドリンク部材109の下端部及び長さ方向における中程には締結孔121がそれぞれ形成されている。縦サイドリンク部材105は、図3に示すように、それら締結孔121を通したねじ123で取付ボス83に締結することにより、インナパネル3に取り付けられている。
また、縦サイドリンク部材109の上端部には締結孔122が形成されている。縦サイドリンク部材109は、その締結孔122に通したボルト124をサイド補強ブラケット101の下端部に設けた挿通孔108に挿通させてウエルドナットに螺合させ、縦サイドリンク部材109上端部をサイド補強ブラケット101の下端部にボルト124で締結することにより、サイド補強ブラケット101に連結されている。こうして、ロア側剛性補強材27とアッパ側剛性補強材25とは連結している。
横ミドルリンク部材111は、下側の横条補強部71(支持用補強部73)に沿って部品取付部65に対応する箇所にまで延びる形状とされ、その横条補強部71に支持されている。横ミドルリンク部材111の外側端部は、対応する縦サイドリンク部材109の中程の部分に溶接により固定されている。横ミドルリンク部材111の中程で内側寄りの部分には留め孔125が形成されている。横ミドルリンク部材111は、図3に示すように、その留め孔125と共に取付孔79を通したリベット127によって補強シート状物21ともども部品取付部65に留められている。
縦ミドルリンク部材113は、縦条補強部69(支持用補強部73)に沿って部品取付部65に対応する箇所にまで延びる形状とされ、その縦条補強部69に支持されている。縦ミドルリンク部材113の上端部は横ミドルリンク部材111の内側端部に、縦ミドルリンク部材113の下端部は横ロアリンク部材107の車幅方向における外側寄りの部分に、それぞれ溶接により固定されている。縦ミドルリンク部材113の中程で上側寄りの部分には留め孔129が形成されている。縦ミドルリンク部材113は、図3に示すように、その留め孔129と共に取付孔79を通したリベット131によって補強シート状物21ともども部品取付部65に留められている。
また、ロア側剛性補強材27は、図11に示すように、補強シート状物21を取り付けるための複数の取付孔133を有している。具体的には、取付孔133は、横ロアリンク部材107において、一対の張出部115の間の部分と、それら両張出部115の車幅方向における外側の部分と、左右両端寄りの部分とに、それぞれ形成されている。また、取付孔133は、縦サイドリンク部材109において、横ミドルリンク部材111の溶接個所の直ぐ上側の部分と、下端寄りの部分とにも、それぞれ形成されている。
− 補強シート状物の構成 −
補強シート状物21は、例えばポリエチレン(PE:Polyethylene)シートであって、上下左右などの多方向に延伸性を有する。補強シート状物21は、図3に示すように、ドア本体9のロア部13の下側半分以上の略全域に広がる面積を有している。この補強シート状物21の外周縁部には、図12に示すように、各取付孔133に対応する部分から外方に延びる取付け用の巻込み片137が設けられている。巻込み片137には留め孔139が形成されている。留め孔139は、補強シート状物21のうち各巻込み片137の内方に位置する部分にも形成されている。
補強シート状物21は、例えばポリエチレン(PE:Polyethylene)シートであって、上下左右などの多方向に延伸性を有する。補強シート状物21は、図3に示すように、ドア本体9のロア部13の下側半分以上の略全域に広がる面積を有している。この補強シート状物21の外周縁部には、図12に示すように、各取付孔133に対応する部分から外方に延びる取付け用の巻込み片137が設けられている。巻込み片137には留め孔139が形成されている。留め孔139は、補強シート状物21のうち各巻込み片137の内方に位置する部分にも形成されている。
巻込み片137は、図13に示すように、それら留め孔139同士を締結孔117に対応させて重ねるように補強シート状物21の内側へ折り返され、ロア側剛性補強材27をなすリンク部材107,109を巻き込んでいる。そして、各巻込み片137は、両留め孔139と締結孔117を通したリベット141で当該リンク部材107,109に留められている。補強シート状物は、そうした巻込み片137の固定によりロア側剛性補強材27広げて取り付けられている。
補強シート状物21には、図12に示すように、インナパネル3に設けられた取付孔79に対応する複数の留め孔135が形成されている。補強シート状物21は、図3に示すように、それら留め孔135と共に取付孔79を通したリベット136によって部品取付部65及び取付用補強部75に留められている。こうして、補強シート状物21は、インナパネル3の部品取付部65及び取付用補強部75に対し、互いに間隔をあけた複数の箇所で固定されている。
また、補強シート状物21の下側の左右両端部には、斜めにカットされた切欠き143が形成されている。この切欠き143は、縦サイドリンク部材109の下端部にある締結孔121をねじ123の挿通が可能なように後方に露出させるためのものである。さらに、補強シート状物21の下縁部には、横ロアリンク部材107の張出部115に対応する部分を切り取った切欠き145が形成されている。この切欠き145は、横ロアリンク部材107の張出部115をボルト119の挿通が可能なように後方に露出させるためのものである。
この補強シート状物21は、図3に示すように、上縁部を取付用補強部75に対応させて設置されている。そして、図4に接着領域106cとして示すように、補強シート状物21において、取付用補強部75に対応する上縁部を含む外周縁部の全周と、横ミドルリンク部材111及び縦ミドルリンク部材113とに対応する部分と、左右の横ミドルリンク部材111の間の部分とは、ロアアウタパネル87に接着剤90で線状に接着されている。
− バックドアの組立て方法 −
上記構成のバックドア1を組み立てるには、まず、図10に示すように、インナパネル3において、ラッチ装着部53にラッチブラケット23をリベット54で、ヒンジ取付部47及びインナピラー部43にある取付ボス83にサイド補強ブラケット101をボルト103とねじ105で、それぞれ固定することにより取り付ける。また、ロア側剛性補強材27に補強シート状物21を巻込み片137にてリベット141で固定して広げた状態に取り付けることにより、図13に示す組立て補強部品29を作製する。
上記構成のバックドア1を組み立てるには、まず、図10に示すように、インナパネル3において、ラッチ装着部53にラッチブラケット23をリベット54で、ヒンジ取付部47及びインナピラー部43にある取付ボス83にサイド補強ブラケット101をボルト103とねじ105で、それぞれ固定することにより取り付ける。また、ロア側剛性補強材27に補強シート状物21を巻込み片137にてリベット141で固定して広げた状態に取り付けることにより、図13に示す組立て補強部品29を作製する。
そして、この組立て補強部品29を、図3に示すように、インナパネル3の下側に設けられた取付ボス83とラッチブラケット23及びサイド補強ブラケット101とにボルト119,124及びねじ123で固定して取り付け、インナパネル3の窓用開口33よりも下側の部分(つまりロア部13を構成する部分)に設置する。その後、図4に示すインナパネル3のうちアッパアウタパネル85及びロアアウタパネル87との接着領域106a,106bと、補強シート状物21のうちロアアウタパネル87との接着領域106cとに、接着剤90をそれぞれ塗布する。
続いて、ロアアウタパネル87を、延出片93の位置決め孔95に位置決め凸部45を挿入することでインナパネル3に対して位置決めしつつ接着剤90を介して重ね合わせ、両者を貼り合わせる。このとき、補強シート状物21は、接着領域106cで接着剤90を介してロアアウタパネル87に押し付けられて、ロアアウタパネル87に接着される。また、アッパアウタパネル85も、インナパネル3に対し、位置決めしつつ接着剤90を介して重ね合わせることにより貼り合わせる。
次に、窓パネル7の接着部分に接着剤を塗布し、その窓パネル7を、インナパネル3とアウタパネル5との接合体に対し、アッパアウタパネル85とロアアウタパネル87との間に嵌め込んで接着剤を介して重ね合わせ、両者を貼り合わせる。しかる後、これらインナパネル3、アウタパネル5及び窓パネル7を貼り合わせた接合体を乾燥炉に搬送し、乾燥炉で接着剤を完全に硬化させることにより、インナパネル3、アウタパネル5及び窓パネル7を互いに接合させる。
以上の手順を経て、バックドア1を組み立てることができる。こうしたバックドア1の組立てによれば、補強シート状物21をロア側剛性補強材27に取り付けて組立て補強部品29としてからインナパネル3に取り付けるため、インナパネル3への補強シート状物21の取付けを容易に行える。
− 実施形態の効果 −
図14に、バックドア1の後面衝突時における図5に相当する箇所の様子について一例を示す。
図14に、バックドア1の後面衝突時における図5に相当する箇所の様子について一例を示す。
この実施形態に係るバックドア1によれば、ロアアウタパネル87にインナパネル3よりも靱性の高いパネルを採用し、ロアアウタパネル87とインナパネル3との間の内部空間17に補強シート状物21を広げて設け、その補強シート状物21をロアアウタパネル87に対し線状に接着するようにしたから、補強シート状物21を相対的に飛散し難いロアアウタパネル87にて広げた状態に保持することができる。この補強シート状物21は、延伸性を有するので、ドア本体が大きく変形してもその変形に応じて延伸し、車両衝突時の衝撃にも耐え得る。
そして、当該バックドア1によれば、補強シート状物21をインナパネル3に対し間隔をあけた複数の箇所で固定するようにしたので、車両が後面衝突に見舞われたときに、図14に示すようにその衝突時に掛かる力Fによりインナパネル3が破断しても、補強シート状物21は、インナパネル3との固定箇所の間で延伸することが可能であり、延伸性を活かせて裂開し難い。したがって、車両の後面衝突時においてインナパネル3及びロアアウタパネル87が破断しても、補強シート状物21を広げた状態で残すことができるので、バックドア1に大きな穴が開くのを防止することができる。
また、当該バックドア1によれば、補強シート状物21をロア側剛性補強材27に張り渡し、ロア側剛性補強材27を含む剛性補強材19をヒンジ部48及びロック部49に連結するようにしたので、車両衝突時の衝撃でインナパネル3が大破し、インナパネル3のうち下縁の接着領域106bに沿う部分が破損しても、剛性補強材19はヒンジ部48及びロック部49に繋ぎ留められる。これにより、補強シート状物21をロア側剛性補強材27にて広げた状態に保持することができ、ロアアウタパネル87もろとも車外側へ離間しないようにして、ロア部13の内部空間17が補強シート状物21なしに車外に開放されるのを防止することができる。
以上のように、本開示の技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本開示の技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、インナパネル3の部品取付部65及び取付用補強部75に補強シート状物21を固定する手段としてリベットを用いるとしたが、これに限らない。それら部品取付部65及び取付用補強部75に補強シート状物を固定する手段としては、接着剤や両面テープ、溶着等の公知の接合手段を採用することが可能である。要は、補強シート状物21が、互いに間隔をあけた複数の箇所でインナパネル3と固定されていればよい。
また、上記実施形態では、補強シート状物21がロア側剛性補強材27と共に組立て補強部品29としてインナパネル3に取り付けられた構成を例示したが、これに限らない。補強シート状物21は、インナパネル3に対し、ロア側剛性補強材27を用いずにリベット等の留め具で直接固定されることにより広げた状態に保持されていてもよい。
また、上記実施形態では、補強シート状物21として、ポリエチレンシートを例に挙げたが、これに限らない。ポリエチレンシートは、補強シート状物21の一例に過ぎず、延伸性を有するシート状の物であれば、塩化ビニールシートやポリエステルシートなど、任意のシートやフィルム、カバー部材を補強シート状物21として採用することが可能である。
また、上記実施形態では、アウタパネル5がアッパアウタパネル85とロアアウタパネル87との2つの分割体で構成されている形態を例示したが、これに限らない。アウタパネル5は、一枚物のパネルで構成されていてもよい。この場合、アウタパネル5は、例えば、アッパアウタパネル85とロアアウタパネル87との間に窓用開口33が形成されたミドルパネルを設けた構成を有し、これら3者を一体的に成形することで製造される。
以上説明したように、本開示の技術は、樹脂製アウタパネルと樹脂製インナパネルとが互いに対向して接合された構造を有する車両用バックドアについて有用である。
1 バックドア
3 インナパネル
5 アウタパネル
9 ドア本体(接合体)
11 アッパ部
13 ロア部
15 窓部
17 内部空間
19 剛性補強材
21 補強シート状物
23 ラッチブラケット
49 ロック部
201 車体本体
3 インナパネル
5 アウタパネル
9 ドア本体(接合体)
11 アッパ部
13 ロア部
15 窓部
17 内部空間
19 剛性補強材
21 補強シート状物
23 ラッチブラケット
49 ロック部
201 車体本体
Claims (3)
- 樹脂製アウタパネル(5)と、該アウタパネル(5)よりも剛性が高く且つ靱性が低い樹脂製インナパネル(3)とを備え、これら両パネル(3,5)が互いに対向して接合され、当該両パネル(3,5)の間に内部空間(17)が設けられた車両用バックドアであって、
前記内部空間(17)には、延伸性を有する補強シート状物(21)が広げて設けられており、
前記補強シート状物(21)は、前記アウタパネル(5)とは線状に接着される一方、前記インナパネル(3)とは互いに間隔をあけた複数の箇所で固定されている
ことを特徴とする車両用バックドア。 - 請求項1に記載された車両用バックドアにおいて、
前記アウタパネル(5)と前記インナパネル(3)との接合体(9)は、窓部(15)が設けられた上半部分を構成するアッパ部(11)と、下半部分を構成するロア部(13)とを有し、
前記アッパ部(11)の上縁部には、車体本体(201)と回動可能に連結されるヒンジ部(48)が設けられ、
前記ロア部(13)の下縁部には、車体本体(201)と接離可能に連結されるロック部(49)が設けられ、
前記内部空間(17)には、前記ヒンジ部(48)と前記ロック部(49)とを連結し且つ前記インナパネル(3)の外周縁部に沿って固定された剛性補強材(19)が収容され、
前記補強シート状物(21)は、前記ロア部(13)に配置され、前記剛性補強材(19)に張り渡されている
ことを特徴とする車両用バックドア。 - 請求項2に記載された車両用バックドアにおいて、
前記補強シート状物(21)は、外周縁部に巻込み片(137)を有し、
前記巻込み片(137)は、前記補強シート状物(21)の内側へ折り返され、前記剛性補強材(19)を巻き込んだ状態で該剛性補強材(19)に固定されている
ことを特徴とする車両用バックドア。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2017050410A JP2018154155A (ja) | 2017-03-15 | 2017-03-15 | 車両用バックドア |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021084505A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | ダイキョーニシカワ株式会社 | 車両用バックドア |
EP3950394A1 (en) * | 2020-08-06 | 2022-02-09 | Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems Co., Ltd. | Plastic tailgate structure and automobile |
-
2017
- 2017-03-15 JP JP2017050410A patent/JP2018154155A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021084505A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | ダイキョーニシカワ株式会社 | 車両用バックドア |
JP7373373B2 (ja) | 2019-11-27 | 2023-11-02 | ダイキョーニシカワ株式会社 | 車両用バックドア |
EP3950394A1 (en) * | 2020-08-06 | 2022-02-09 | Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems Co., Ltd. | Plastic tailgate structure and automobile |
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