JP2015147950A - フラックスコートボール、はんだペースト、フォームはんだ及びはんだ継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】α線量が少なく真球度が高いNiボール、あるいは、このNiボールをはんだ層で被覆したNi核ボールをフラックスで被覆したフラックスコートボールを提供する。【解決手段】フラックスコートNiボール1Aは、Niで構成されるNiボール2と、Niボール2を被覆するフラックス層3とを備え、Niボール2は、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、真球度が0.90以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、Niボール、あるいはNiボールがはんだ合金で被覆されたNi核ボールがフラックスで被覆されたフラックスコートボール、フラックスコートボールを使用したはんだペースト、フラックスコートボールを使用したフォームはんだ、及び、フラックスコートボールを使用したはんだ継手に関する。
近年、小型情報機器の発達により、搭載される電子部品では急速な小型化が進行している。電子部品は、小型化の要求により接続端子の狭小化や実装面積の縮小化に対応するため、裏面に電極が設置されたボールグリッドアレイ(以下、「BGA」と称する)が適用されている。
BGAを適用した電子部品には、例えば半導体パッケージがある。半導体パッケージでは、電極を有する半導体チップが樹脂で封止されている。半導体チップの電極には、はんだバンプが形成されている。このはんだバンプは、はんだボールを半導体チップの電極に接合することによって形成されている。BGAを適用した半導体パッケージは、各はんだバンプがプリント基板の導電性ランドに接触するように、プリント基板上に置かれ、加熱により溶融したはんだバンプとランドとが接合することにより、プリント基板に搭載される。また、更なる高密度実装の要求に対応するため、半導体パッケージが高さ方向に積み重ねられた3次元高密度実装が検討されている。
しかし、3次元高密度実装がなされた半導体パッケージにBGAが適用されると、半導体パッケージの自重によりはんだボールが潰れてしまい、電極間で接続短絡が発生する。これは、高密度実装を行う上での支障となる。
そこで、Ni等、はんだよりも融点の高い金属で形成された微小径のボールを利用したはんだバンプが検討されている。Niボールなどを有するはんだバンプは、電子部品がプリント基板に実装される際、半導体パッケージの重量がはんだバンプに加わっても、はんだの融点では溶融しないNiボールにより半導体パッケージを支えることができる。従って、半導体パッケージの自重によりはんだバンプが潰れることがない。
Niボールの関連技術として例えば特許文献1が挙げられる。また、金属のボールをフラックスで被覆することで、リフロー工程において、金属酸化膜を除去できるようにしたフラックスコートボールの関連技術として例えば特許文献2が挙げられる。
特開2012−157870号公報 特開2007−115857号公報
電子部品の小型化は高密度実装を可能にするが、高密度実装はソフトエラーという問題を引き起こすことになった。ソフトエラーは半導体集積回路(以下、「IC」と称する)のメモリセル中にα線が進入することにより記憶内容が書き換えられる可能性があるというものである。
α線は、はんだ合金中に不純物として含まれるU、Th、Poなどの放射性元素がα崩壊することにより放射されると考えられている。そこで、低α線を実現できる組成のはんだ合金の開発が行われている。
Ni核ボールでは、Niボールがはんだ層で被覆されることで、はんだ層を構成するはんだ合金が低α線を実現できれば、Niボールから放射されるα線を遮蔽できると考えられる。
一方、はんだ層による被覆がないNiボールでは、α線をはんだ層で遮蔽することができないので、Niボールで低α線を実現できる組成が求められる。更に、フラックスで被覆したNi核ボールでは、はんだ層でα線を遮蔽できるが、フラックスで被覆したNiボールでは、Niボールから放射されるα線をフラックス層で遮蔽することはできないので、Niボールで低α線を実現できる組成が求められる。
また、Niボールは、真球にどの程度近いかを示す真球度が低いと、はんだバンプが形成される際、スタンドオフ高さを制御するというNiボール本来の機能が発揮されない。更に、Ni核ボールでも、Niボールがはんだ付けの温度で溶融しないため、はんだバンプの高さのバラツキを抑制できるようにするためには、Niボールの真球度のバラツキが少ない方が好ましく、Ni核ボールであっても、真球度の高いNiボールが求められる。
本発明の課題は、α線量が少なく真球度が高いNiボール、あるいは、このNiボールをはんだ層で被覆したNi核ボールをフラックスで被覆したフラックスコートボール、フラックスコートボールを使用したはんだペースト、フラックスコートボールを使用したフォームはんだ、及び、フラックスコートボールを使用したはんだ継手を提供することである。
本発明者らは、Niボールの真球度が高まるためには、Niボールの純度が99.995%以下、つまり、Niボールに含有するNi以外の元素(以下、適宜、「不純物元素」という)を合計で50ppm以上含有する必要がある一方、不純物元素の組成によって、α線量が抑えられることを知見して、本発明を完成した。
そこで、本発明は次の通りである。
(1)Niボールで構成される核層と、核層を被覆するフラックス層とを備え、核層は、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上であるフラックスコートボール。
(2)Niボールで構成される核層と、核層を被覆するはんだ層と、はんだ層を被覆するフラックス層とを備え、核層は、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上であるフラックスコートボール。
(3)Niボールで構成される核層と、核層を被覆するはんだ層と、はんだ層を被覆するフラックス層とを備え、核層は、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上であり、はんだ層は、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であるフラックスコートボール。
(4)フラックス層は、複数の化合物からなる複数の層で構成される、上記(1)〜(3)の何れか1つに記載のフラックスコートボール。
(5)核層は、Ni、CoおよびFeから選択される1元素以上からなる層で被覆される上記(1)〜(4)の何れか1つに記載のフラックスコートボール。
(6)放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下である、上記(1)〜(5)の何れか1つに記載のフラックスコートボール。
(7)上記(1)〜(6)の何れか1つに記載のフラックスコートボールを使用したはんだペースト。
(8)上記(1)〜(6)の何れか1つに記載のフラックスコートボールを使用したフォームはんだ。
(9)上記(1)〜(6)の何れか1つに記載のフラックスコートボールを使用したはんだ継手。
本発明では、核層を構成するNiボール、あるいは、Niボールをはんだ層で被覆したNi核ボールをフラックスで被覆したフラックスコートボールにおいて、放射されるα線量を抑え、かつ、Niボールの真球度を向上させることができる。また、放射されるα線量を抑え、かつ、真球度を向上させたNiボール、及び、このNiボールをはんだ層で被覆したNi核ボールの酸化を抑えることができると共に、はんだ接合性を向上させることができる。
本実施の形態のフラックスコートNiボールの模式的な構造を示す断面図である。 1次実装後のはんだ接合部を示す要部断面図である。 リフロー時の位置ずれ防止作用の一例を示す説明図である。 本実施の形態のフラックスコートNi核ボールの模式的な構造を示す断面図である。
本発明を以下により詳しく説明する。本明細書において、フラックスコートボールの組成に関する単位(ppm、ppb、及び%)は、特に指定しない限り質量に対する割合(質量ppm、質量ppb、及び質量%)を表す。
<フラックスコートNiボールの概要>
図1は、フラックスコートボールの第1の実施の形態としてのフラックスコートNiボールの模式的な構造を示す断面図である。フラックスコートNiボール1Aは、Niボール2と、Niボール2を被覆するフラックス層3とを備える。Niボール2は核層の一例で、Niで構成される。
フラックス層3は、金属表面の酸化防止及び金属酸化膜の除去を行う活性剤として作用する化合物を含む1種類あるいは複数種類の成分で構成される。フラックス層3を構成する成分は、固体の状態でNiボール2の表面に付着する。このため、フラックス層3は、Niボール2の表面に固体となって付着し、はんだ付け時に接合対象物の金属酸化膜を除去する活性剤として作用する成分で構成されていれば良い。例えば、フラックス層3は、活性剤として作用すると共にNiボール2に固着する化合物からなる単一の成分で構成されていても良い。
フラックス層3を構成する活性剤としては、本発明で要求される特性に応じてアミン、有機酸、ハロゲンのいずれか、複数のアミンの組み合わせ、複数の有機酸の組み合わせ、複数のハロゲンの組み合わせ、単一あるいは複数のアミン、有機酸、ハロゲンの組み合わせが添加される。
また、フラックス層3は、活性剤として作用する化合物と、活性補助剤として作用する化合物等からなる複数の成分で構成されていても良い。更に、フラックス層3を構成する化合物、例えば、活性剤として作用する化合物は、単一では固体とならないものであっても、他の混合物との混合で固体となるものであればよい。
フラックス層3を構成する活性補助剤としては、活性剤の特性に応じてエステル、アミド、アミノ酸のいずれか、複数のエステルの組み合わせ、複数のアミドの組み合わせ、複数のアミノ酸の組み合わせ、単一あるいは複数のエステル、アミド、アミノ酸の組み合わせが添加される。
また、フラックス層3は、活性剤として作用する化合物等を、リフロー時の熱から保護するため、ロジンや樹脂を含むものであっても良い。更に、フラックス層3は、活性剤として作用する化合物等を、Niボール2に固着させる樹脂を含むものであっても良い。
フラックス層3は、単一あるいは複数の化合物からなる単一の層で構成されても良い。また、フラックス層3は、複数の化合物からなる複数の層で構成されても良い。フラックス層3を構成する成分は、固体の状態でNiボール2の表面に付着するが、フラックスをNiボール2に付着させる工程では、フラックスが液状またはガス状となっている必要がある。
このため、フラックス層3を構成する成分は、溶液でコーティングするには溶剤に可溶である必要があるが、例えば、塩を形成すると、溶剤中で不溶となる成分が存在する。液状のフラックス中で不溶となる成分が存在することで、沈殿物が形成される等の難溶解性の成分を含むフラックスでは、均一な吸着が困難になる。このため、従来、塩を形成するような化合物を混合して、液状のフラックスを構成することはできない。
これに対し、本実施の形態のフラックスコートNiボール1Aでは、1層ずつフラックス層を形成して固体の状態とし、多層のフラックス層を形成することができる。これにより、塩を形成するような化合物を使用する場合であって、液状のフラックスでは混合できない成分であっても、フラックス層3を形成することができる。
フラックスコートNiボール1Aでは、Niボール2の表面が、活性剤として作用するフラックス層3で被覆されることで、はんだペーストを使用したリフロー時に濡れ性を向上させることができる。
フラックスコートNiボール1Aを使用して、半導体パッケージ基板(PKG)をプリント配線板(PCB)にはんだ接合する場合、Niボール2に対するはんだペーストの濡れ広がり性が求められる。
図2は、1次実装後のはんだ接合部を示す要部断面図である。半導体パッケージ基板10の電極11に、フラックスコートNiボール1Aをはんだ接合する工程では、はんだ合金の粉末とフラックスが混合されたはんだペーストが使用される。リフロー工程で、電極11の表面の金属酸化膜がはんだペースト中のフラックスの活性剤成分により除去され、溶融したはんだ合金が電極11に濡れ広がる。また、フラックスコートNiボール1Aのフラックス層3の活性剤成分により、電極11の表面の金属酸化膜が除去され、溶融したはんだ合金がNiボール2の表面とはんだ合金が電極11に濡れ広がる。
上述した1次実装時にフラックス層3の活性剤成分が揮発すると、半導体パッケージ基板をプリント配線板にはんだ接合する2次実装前にフラックスを塗布する1工程を要することになる。はんだ接合工程におけるリフロー条件での金属表面の酸化防止は、はんだとの濡れ広がり性と異なり、リフロー条件に依存して一般に極めて強い耐熱性が求められる。
そこで、フラックスコートNiボール1Aでは、活性剤に加えて、樹脂、例えば、ロジン等を添加することで、活性剤を保護して耐熱性を向上させることができる。これにより、1次実装時にははんだ接合部位以外ではフラックス層3を残留させて、2次実装時にはんだ合金の濡れ広がり性を向上させることができる。
図3は、リフロー時の位置ずれ防止作用の一例を示す説明図である。フラックスによる被覆がされていない従来のNiボール100を使用したはんだ接合では、リフロー時に、図3(b)に示すようにNiボール100の電極11に対する位置ずれが生じる。これは、電極11の表面に形成された金属酸化膜の除去が均一に行えないため、はんだ合金12の濡れ広がりに偏りが生じるためである。
これに対して、フラックスコートNiボール1Aでは、電極11の表面に形成された金属酸化膜を除去できるので、はんだ合金12の濡れ広がりに偏りが生じにくく、図3(a)に示すようにフラックスコートNiボール1Aの電極11に対する位置ずれが抑制される。また、濡れ性が向上するため、はんだ合金12中のボイドの発生も抑制される。
ここで、フラックスと金属の色は一般的に異なり、Niボール2とフラックス層3の色も異なることから、色彩度、例えば、明度、黄色度、赤色度でフラックスの吸着量を確認できる。なお、着色を目的に、フラックス層を構成する化合物に色素を混合しても良い。
<フラックス層の組成>
アミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、イミダゾール類に代表される化合物が添加され、アミノプロパン、アミノブタン、アミノペンタン、アミノヘキサン、アミノシクロヘキサン、アニリン、アミノヘプタン、メチルアニリン、アミノオクタン、ジメチルアニリン、エチルアニリン、アミノノナン、アミノデカン、アミノウンデカン、アミノドデカン、アミノトリデカン、アミノテトラデカン、アミノペンタデカン、アミノヘキサデカン、アミノヘプタデカン、アミノオクタデカン、アミノノナデカン、アミノイコサン、トリフェニルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、フェニルピリジン、メチルフェニルピリジン、エチルフェニルピリジン、フェニルプロピルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メチルベンジルピリジン、エチルベンジルピリジン、プロピルベンジルピリジン、フェニルベンジルピリジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノシクロヘキサン、フェニレンジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノウンデカン、ジアミノドデカン、ジアミノトリデカン、ジアミノテトラデカン、ジアミノペンタデカン、ジアミノヘキサデカン、ジアミノヘプタデカン、ジアミノオクタデカン、ジアミノノナデカン、ジアミノイコサン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ビピリジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロー1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリルイルオキシエチル−s−トリアジンのいずれか、あるいは、複数のアミンを組み合わせたものが添加される。
また、アミンハロゲン塩として、上述したアミンのHF塩、HBF4塩、HCl塩、HBr塩、HI塩の何れか、あるいは組み合わせたものが添加される。
有機酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸に代表される化合物が添加され、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フェニルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ジヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ジヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ジヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシエナント酸、ジヒドロキシエナント酸、ヒドロキシカプリル酸、ジヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシペラルゴン酸、ジヒドロキシペラルゴン酸、ヒドロキシカプリン酸、ジヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ジヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ジヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ジヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアラキン酸、ジヒドロキシアラキン酸、ヒドロキシベヘニン酸、ジヒドロキシベヘニン酸、ヒドロキシメチルプロピオン酸、ジヒドロキシメチルプロピオン酸、ヒドロキシメチル酪酸、ジヒドロキシメチル酪酸、ヒドロキシメチル吉草酸、ジヒドロキシメチル吉草酸、ヒドロキシメチルカプロン酸、ジヒドロキシメチルカプロン酸、ヒドロキシメチルエナント酸、ジヒドロキシメチルエナント酸、ヒドロキシメチルカプリル酸、ジヒドロキシメチルカプリル酸、ヒドロキシメチルペラルゴン酸、ジヒドロキシメチルペラルゴン酸、ヒドロキシメチルカプリン酸、ジヒドロキシメチルカプリン酸、ヒドロキシメチルラウリン酸、ジヒドロキシメチルラウリン酸、ヒドロキシメチルミリスチン酸、ジヒドロキシメチルミリスチン酸、ヒドロキシメチルパルミチン酸、ジヒドロキシメチルパルミチン酸、ヒドロキシメチルステアリン酸、ヒドロキシメチルアラキン酸、ジヒドロキシメチルアラキン酸、ヒドロキシメチルベヘニン酸、ジヒドロキシメチルベヘニン酸のいずれか、あるいは、複数の有機酸を組み合わせたものが添加される。
また、有機酸アミン塩として、上述した何れかの有機酸とアミンの塩、あるいは組み合わせたものが添加される。
ハロゲンとしては、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキルアルコール、ハロゲン化アリールアルコールに代表される化合物が添加され、クロロメタン、クロロエタン、クロロプロパン、クロロブタン、クロロペンタン、クロロヘキサン、クロロヘプタン、クロロオクタン、クロロノナン、クロロデカン、クロロウンデカン、クロロドデカン、クロロトリデカン、クロロテトラデカン、クロロペンタデカン、クロロヘキサデカン、クロロヘプタデカン、クロロオクタデカン、クロロノナデカン、クロロイコサン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデカン、ジクロロドデカン、ジクロロトリデカン、ジクロロテトラデカン、ジクロロペンタデカン、ジクロロヘキサデカン、ジクロロヘプタデカン、ジクロロオクタデカン、ジクロロノナデカン、ジクロロイコサン、ジクロロシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、ジクロロキシレン、トリクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロプロパン、トリクロロブタン、トリクロロペンタン、トリクロロヘキサン、トリクロロヘプタン、トリクロロオクタン、トリクロロノナン、トリクロロデカン、トリクロロウンデカン、トリクロロドデカン、トリクロロトリデカン、トリクロロテトラデカン、トリクロロペンタデカン、トリクロロヘキサデカン、トリクロロヘプタデカン、トリクロロオクタデカン、トリクロロノナデカン、トリクロロイコサン、トリクロロシクロヘキサン、トリクロロベンゼン、トリクロロメシチレン、ブロモメタン、ブロモエタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ブロモヘプタン、ブロモオクタン、ブロモノナン、ブロモデカン、ブロモウンデカン、ブロモドデカン、ブロモトリデカン、ブロモテトラデカン、ブロモペンタデカン、ブロモヘキサデカン、ブロモヘプタデカン、ブロモオクタデカン、ブロモノナデカン、ブロモイコサン、ブロモシクロヘキサン、ブロモベンゼン、ブロモトルエン、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン、ジブロモウンデカン、ジブロモドデカン、ジブロモトリデカン、ジブロモテトラデカン、ジブロモペンタデカン、ジブロモヘキサデカン、ジブロモヘプタデカン、ジブロモオクタデカン、ジブロモノナデカン、ジブロモイコサン、ジブロモシクロヘキサン、ジブロモベンゼン、ジブロモキシレン、トリブロモメタン、トリブロモエタン、トリブロモプロパン、トリブロモブタン、トリブロモペンタン、トリブロモヘキサン、トリブロモヘプタン、トリブロモオクタン、トリブロモノナン、トリブロモデカン、トリブロモウンデカン、トリブロモドデカン、トリブロモトリデカン、トリブロモテトラデカン、トリブロモペンタデカン、トリブロモヘキサデカン、トリブロモヘプタデカン、トリブロモオクタデカン、トリブロモノナデカン、トリブロモイコサン、トリブロモシクロヘキサン、トリブロモベンゼン、トリブロモメシチレン、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブタン、ヨードペンタン、ヨードヘキサン、ヨードヘプタン、ヨードオクタン、ヨードノナン、ヨードデカン、ヨードウンデカン、ヨードドデカン、ヨードトリデカン、ヨードテトラデカン、ヨードペンタデカン、ヨードヘキサデカン、ヨードヘプタデカン、ヨードオクタデカン、ヨードノナデカン、ヨードイコサン、ヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ヨードトルエン、ジヨードメタン、ジヨードエタン、ジヨードプロパン、ジヨードブタン、ジヨードペンタン、ジヨードヘキサン、ジヨードヘプタン、ジヨードオクタン、ジヨードノナン、ジヨードデカン、ジヨードウンデカン、ジヨードドデカン、ジヨードトリデカン、ジヨードテトラデカン、ジヨードペンタデカン、ジヨードヘキサデカン、ジヨードヘプタデカン、ジヨードオクタデカン、ジヨードノナデカン、ジヨードイコサン、ジヨードシクロヘキサン、ジヨードベンゼン、ジヨードキシレン、トリヨードメタン、トリヨードエタン、トリヨードプロパン、トリヨードブタン、トリヨードペンタン、トリヨードヘキサン、トリヨードヘプタン、トリヨードオクタン、トリヨードノナン、トリヨードデカン、トリヨードウンデカン、トリヨードドデカン、トリヨードトリデカン、トリヨードテトラデカン、トリヨードペンタデカン、トリヨードヘキサデカン、トリヨードヘプタデカン、トリヨードオクタデカン、トリヨードノナデカン、トリヨードイコサン、トリヨードシクロヘキサン、トリヨードベンゼン、トリヨードメシチレンのいずれか、あるいは、複数のハロゲンを組み合わせたものが添加される。
また、ハロゲン化アルコールとして、ブロモメタノール、ジブロモメタノール、トリブロモメタノール、ブロモエタノール、ジブロモエタノール、トリブロモエタノール、ブロモプロパノール、ジブロモプロパノール、トリブロモプロパノール、ブロモブタノール、ジブロモブタノール、トリブロモブタノール、ブロモペンタノール、ジブロモペンタノール、トリブロモペンタノール、ブロモヘキサノール、ジブロモヘキサノール、トリブロモヘキサノール、ブロモヘプタノール、ジブロモヘプタノール、トリブロモヘプタノール、ブロモオクタノール、ジブロモオクタノール、トリブロモオクタノール、ブロモノナノール、ジブロモノナノール、トリブロモノナノール、ブロモデカンオール、ジブロモデカンオール、トリブロモデカンオール、クロロメタノール、ジクロロメタノール、トリクロロメタノール、クロロエタノール、ジクロロエタノール、トリクロロエタノール、クロロプロパノール、ジクロロプロパノール、トリクロロプロパノール、クロロブタノール、ジクロロブタノール、トリクロロブタノール、クロロペンタノール、ジクロロペンタノール、トリクロロペンタノール、クロロヘキサノール、ジクロロヘキサノール、トリクロロヘキサノール、クロロヘプタノール、ジクロロヘプタノール、トリクロロヘプタノール、クロロオクタノール、ジクロロオクタノール、トリクロロオクタノール、クロロノナノール、ジクロロノナノール、トリクロロノナノール、クロロデカンオール、ジクロロデカンオール、トリクロロデカンオール、ヨードメタノール、ジヨードメタノール、トリヨードメタノール、ヨードエタノール、ジヨードエタノール、トリヨードエタノール、ヨードプロパノール、ジヨードプロパノール、トリヨードプロパノール、ヨードブタノール、ジヨードブタノール、トリヨードブタノール、ヨードペンタノール、ジヨードペンタノール、トリヨードペンタノール、ヨードヘキサノール、ジヨードヘキサノール、トリヨードヘキサノール、ヨードヘプタノール、ジヨードヘプタノール、トリヨードヘプタノール、ヨードオクタノール、ジヨードオクタノール、トリヨードオクタノール、ヨードノナノール、ジヨードノナノール、トリヨードノナノール、ヨードデカンオール、ジヨードデカンオール、トリヨードデカンオール、ブロモメタンジオール、ジブロモメタンジオール、ブロモエタンジオール、ジブロモエタンジオール、トリブロモエタンジオール、ブロモプロパンジオール、ジブロモプロパンジオール、トリブロモプロパンジオール、ブロモブタンジオール、ジブロモブタンジオール、トリブロモブタンジオール、ブロモペンタンジオール、ジブロモペンタンジオール、トリブロモペンタンジオール、ブロモヘキサンジオール、ジブロモヘキサンジオール、トリブロモヘキサンジオール、ブロモヘプタンジオール、ジブロモヘプタンジオール、トリブロモヘプタンジオール、ブロモオクタンジオール、ジブロモオクタンジオール、トリブロモオクタンジオール、ブロモノナンジオール、ジブロモノナンジオール、トリブロモノナンジオール、ブロモデカンジオール、ジブロモデカンジオール、トリブロモデカンジオール、クロロメタンジオール、ジクロロメタンジオール、クロロエタンジオール、ジクロロエタンジオール、トリクロロエタンジオール、クロロプロパンジオール、ジクロロプロパンジオール、トリクロロプロパンジオール、クロロブタンジオール、ジクロロブタンジオール、トリクロロブタンジオール、クロロペンタンジオール、ジクロロペンタンジオール、トリクロロペンタンジオール、クロロヘキサンジオール、ジクロロヘキサンジオール、トリクロロヘキサンジオール、クロロヘプタンジオール、ジクロロヘプタンジオール、トリクロロヘプタンジオール、クロロオクタンジオール、ジクロロオクタンジオール、トリクロロオクタンジオール、クロロノナンジオール、ジクロロノナンジオール、トリクロロノナンジオール、クロロデカンジオール、ジクロロデカンジオール、トリクロロデカンジオール、ヨードメタンジオール、ジヨードメタンジオール、ヨードエタンジオール、ジヨードエタンジオール、トリヨードエタンジオール、ヨードプロパンジオール、ジヨードプロパンジオール、トリヨードプロパンジオール、ヨードブタンジオール、ジヨードブタンジオール、トリヨードブタンジオール、ヨードペンタンジオール、ジヨードペンタンジオール、トリヨードペンタンジオール、ヨードヘキサンジオール、ジヨードヘキサンジオール、トリヨードヘキサンジオール、ヨードヘプタンジオール、ジヨードヘプタンジオール、トリヨードヘプタンジオール、ヨードオクタンジオール、ジヨードオクタンジオール、トリヨードオクタンジオール、ヨードノナンジオール、ジヨードノナンジオール、トリヨードノナンジオール、ヨードデカンジオール、ジヨードデカンジオール、トリヨードデカンジオール、ブロモメタントリオール、ジブロモメタントリオール、ブロモエタントリオール、ジブロモエタントリオール、ブロモプロパントリオール、ジブロモプロパントリオール、トリブロモプロパントリオール、ブロモブタントリオール、ジブロモブタントリオール、トリブロモブタントリオール、ブロモペンタントリオール、ジブロモペンタントリオール、トリブロモペンタントリオール、ブロモヘキサントリオール、ジブロモヘキサントリオール、トリブロモヘキサントリオール、ブロモヘプタントリオール、ジブロモヘプタントリオール、トリブロモヘプタントリオール、ブロモオクタントリオール、ジブロモオクタントリオール、トリブロモオクタントリオール、ブロモノナントリオール、ジブロモノナントリオール、トリブロモノナントリオール、ブロモデカントリオール、ジブロモデカントリオール、トリブロモデカントリオール、クロロメタントリオール、ジクロロメタントリオール、クロロエタントリオール、ジクロロエタントリオール、クロロプロパントリオール、ジクロロプロパントリオール、トリクロロプロパントリオール、クロロブタントリオール、ジクロロブタントリオール、トリクロロブタントリオール、クロロペンタントリオール、ジクロロペンタントリオール、トリクロロペンタントリオール、クロロヘキサントリオール、ジクロロヘキサントリオール、トリクロロヘキサントリオール、クロロヘプタントリオール、ジクロロヘプタントリオール、トリクロロヘプタントリオール、クロロオクタントリオール、ジクロロオクタントリオール、トリクロロオクタントリオール、クロロノナントリオール、ジクロロノナントリオール、トリクロロノナントリオール、クロロデカントリオール、ジクロロデカントリオール、トリクロロデカントリオール、ヨードメタントリオール、ジヨードメタントリオール、ヨードエタントリオール、ジヨードエタントリオール、ヨードプロパントリオール、ジヨードプロパントリオール、トリヨードプロパントリオール、ヨードブタントリオール、ジヨードブタントリオール、トリヨードブタントリオール、ヨードペンタントリオール、ジヨードペンタントリオール、トリヨードペンタントリオール、ヨードヘキサントリオール、ジヨードヘキサントリオール、トリヨードヘキサントリオール、ヨードヘプタントリオール、ジヨードヘプタントリオール、トリヨードヘプタントリオール、ヨードオクタントリオール、ジヨードオクタントリオール、トリヨードオクタントリオール、ヨードノナントリオール、ジヨードノナントリオール、トリヨードノナントリオール、ヨードデカントリオール、ジヨードデカントリオール、トリヨードデカントリオール、ブロモビニルアルコール、ジブロモビニルアルコール、ブロモアリルアルコール、ジブロモアリルアルコール、トリブロモアリルアルコール、ブロモブテンオール、ジブロモブテンオール、トリブロモブテンオール、ブロモペンテンオール、ジブロモペンテンオール、トリブロモペンテンオール、ブロモヘキセンオール、ジブロモヘキセンオール、トリブロモヘキセンオール、ブロモヘプテンオール、ジブロモヘプテンオール、トリブロモヘプテンオール、ブロモオクテンオール、ジブロモオクテンオール、トリブロモオクテンオール、ブロモノネンオール、ジブロモノネンオール、トリブロモノネンオール、ブロモデケンオール、ジブロモデケンオール、トリブロモデケンオール、クロロビニルアルコール、ジクロロビニルアルコール、クロロアリルアルコール、ジクロロアリルアルコール、トリクロロアリルアルコール、クロロブテンオール、ジクロロブテンオール、トリクロロブテンオール、クロロペンテンオール、ジクロロペンテンオール、トリクロロペンテンオール、クロロヘキセンオール、ジクロロヘキセンオール、トリクロロヘキセンオール、クロロヘプテンオール、ジクロロヘプテンオール、トリクロロヘプテンオール、クロロオクテンオール、ジクロロオクテンオール、トリクロロオクテンオール、クロロノネンオール、ジクロロノネンオール、トリクロロノネンオール、クロロデケンオール、ジクロロデケンオール、トリクロロデケンオール、ヨードビニルアルコール、ジヨードビニルアルコール、ヨードアリルアルコール、ジヨードアリルアルコール、トリヨードアリルアルコール、ヨードブテンオール、ジヨードブテンオール、トリヨードブテンオール、ヨードペンテンオール、ジヨードペンテンオール、トリヨードペンテンオール、ヨードヘキセンオール、ジヨードヘキセンオール、トリヨードヘキセンオール、ヨードヘプテンオール、ジヨードヘプテンオール、トリヨードヘプテンオール、ヨードオクテンオール、ジヨードオクテンオール、トリヨードオクテンオール、ヨードノネンオール、ジヨードノネンオール、トリヨードノネンオール、ヨードデケンオール、ジヨードデケンオール、トリヨードデケンオール、ブロモブテンジオール、ジブロモブテンジオール、トリブロモブテンジオール、ブロモペンテンジオール、ジブロモペンテンジオール、トリブロモペンテンジオール、ブロモヘキセンジオール、ジブロモヘキセンジオール、トリブロモヘキセンジオール、ブロモヘプテンジオール、ジブロモヘプテンジオール、トリブロモヘプテンジオール、ブロモオクテンジオール、ジブロモオクテンジオール、トリブロモオクテンジオール、ブロモノネンジオール、ジブロモノネンジオール、トリブロモノネンジオール、ブロモデケンジオール、ジブロモデケンジオール、トリブロモデケンジオール、クロロブテンジオール、ジクロロブテンジオール、トリクロロブテンジオール、クロロペンテンジオール、ジクロロペンテンジオール、トリクロロペンテンジオール、クロロヘキセンジオール、ジクロロヘキセンジオール、トリクロロヘキセンジオール、クロロヘプテンジオール、ジクロロヘプテンジオール、トリクロロヘプテンジオール、クロロオクテンジオール、ジクロロオクテンジオール、トリクロロオクテンジオール、クロロノネンジオール、ジクロロノネンジオール、トリクロロノネンジオール、クロロデケンジオール、ジクロロデケンジオール、トリクロロデケンジオール、ヨードブテンジオール、ジヨードブテンジオール、トリヨードブテンジオール、ヨードペンテンジオール、ジヨードペンテンジオール、トリヨードペンテンジオール、ヨードヘキセンジオール、ジヨードヘキセンジオール、トリヨードヘキセンジオール、ヨードヘプテンジオール、ジヨードヘプテンジオール、トリヨードヘプテンジオール、ヨードオクテンジオール、ジヨードオクテンジオール、トリヨードオクテンジオール、ヨードノネンジオール、ジヨードノネンジオール、トリヨードノネンジオール、ヨードデケンジオール、ジヨードデケンジオール、トリヨードデケンジオール、ブロモブテントリオール、ジブロモブテントリオール、トリブロモブテントリオール、ブロモペンテントリオール、ジブロモペンテントリオール、トリブロモペンテントリオール、ブロモヘキセントリオール、ジブロモヘキセントリオール、トリブロモヘキセントリオール、ブロモヘプテントリオール、ジブロモヘプテントリオール、トリブロモヘプテントリオール、ブロモオクテントリオール、ジブロモオクテントリオール、トリブロモオクテントリオール、ブロモノネントリオール、
ジブロモノネントリオール、トリブロモノネントリオール、ブロモデケントリオール、ジブロモデケントリオール、トリブロモデケントリオール、クロロブテントリオール、ジクロロブテントリオール、トリクロロブテントリオール、クロロペンテントリオール、ジクロロペンテントリオール、トリクロロペンテントリオール、クロロヘキセントリオール、ジクロロヘキセントリオール、トリクロロヘキセントリオール、クロロヘプテントリオール、ジクロロヘプテントリオール、トリクロロヘプテントリオール、クロロオクテントリオール、ジクロロオクテントリオール、トリクロロオクテントリオール、クロロノネントリオール、ジクロロノネントリオール、トリクロロノネントリオール、クロロデケントリオール、ジクロロデケントリオール、トリクロロデケントリオール、ヨードブテントリオール、ジヨードブテントリオール、トリヨードブテントリオール、ヨードペンテントリオール、ジヨードペンテントリオール、トリヨードペンテントリオール、ヨードヘキセントリオール、ジヨードヘキセントリオール、トリヨードヘキセントリオール、ヨードヘプテントリオール、ジヨードヘプテントリオール、トリヨードヘプテントリオール、ヨードオクテントリオール、ジヨードオクテントリオール、トリヨードオクテントリオール、ヨードノネントリオール、ジヨードノネントリオール、トリヨードノネントリオール、ヨードデケントリオール、ジヨードデケントリオール、トリヨードデケントリオールのいずれか、あるいは、複数のハロゲン化アルコールを組み合わせたものが添加される。
エステルとしては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族スルホン酸エステル、芳香族スルホン酸エステルに代表される化合物が添加され、パラトルエンスルホン酸−プロピル、パラトルエンスルホン酸−ブチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、サリチル酸プロピル、サリチル酸ブチル、4−ニトロ安息香酸プロピル、4−ニトロ安息香酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、マロン酸ブチルのいずれか、あるいは、複数のエステルを組み合わせたものが添加される。
アミドとしては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、エナント酸アミド、カプリル酸アミド、ペラルゴン酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、べへニン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミドのいずれか、あるいは、複数のアミドを組み合わせたものが添加される。
アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、チロキシン、O−ホスホセリン、デスモシン、β−アラニン、サルコシン、オルニチン、クレアチン、γアミノ酪酸、オパイン、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸、ドウモイ酸、イボテン酸、アクロメリン酸、トリメチルグリシンのいずれか、あるいは、複数のアミノ酸を組み合わせたものが添加される。
ロジンとしては、アクリル酸変性ロジン、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン等の変性ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、ロジンアミン、不均化ロジン、鹸化ロジンのいずれか、あるいは、複数のロジンを組み合わせたものが添加される。
樹脂としては、フェノール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナイロン樹脂、ポリエチレングリコール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂のいずれか、あるいは、複数の樹脂を組み合わせたものが添加される。
なお、前記アミン、ハロゲン、有機酸、エステル、アミド、アミノ酸、ロジン、樹脂はフラックスの材料としての一例であり、これらの化合物の構造異性体、1置換化合物、多置換化合物等を含めて、前記材料に限定されるものではない。
<Niボールの詳細>
フラックスコートNiボール1Aでは、Niボール2がフラックス層3で被覆されるが、フラックス層3はα線を遮蔽できるほどの厚さはなく、また、フラックス層3を形成する成分はリフローで揮発するため、Niボール2で低α線を実現できる組成が求められる。
また、フラックスコートNiボール1Aでは、真球にどの程度近いかを示す真球度が低いと、はんだバンプが形成される際、スタンドオフ高さを制御するというNiボール本来の機能が発揮されない。このため、高さが不均一なバンプが形成されて実装時に問題が生じる。以上の背景から真球度の高いNiボール2が望まれている。
以下に、本発明に係るフラックスコートNiボール1Aを構成するNiボール2について、所望の低α線量及び真球度を実現する好ましい態様を記載する。
・α線量:0.0200cph/cm2以下
Niボール2のα線量は0.0200cph/cm2以下である。これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。本発明では、Niボール2を製造するために通常行っている工程に加え再度加熱処理を施している。このため、Ni材にわずかに残存する210Poが揮発し、Ni材と比較してNiボール2の方がより一層低いα線量を示す。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.0020cph/cm2以下であり、より好ましくは0.0010cph/cm2以下である。
・U:5ppb以下、Th:5ppb以下
U及びThは放射性元素であり、ソフトエラーを抑制するにはこれらの含有量を抑える必要がある。U及びThの含有量は、Niボール2のα線量を0.0200cph/cm2以下とするため、各々5ppb以下にする必要がある。また、現在または将来の高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、U及びThの含有量は、好ましくは、各々2ppb以下である。
・PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの合計の含有量が1ppm以上
Niボール2に含まれる不純物元素としては、Sn、Sb、Bi、Zn、Fe、Al、As、Ag、In、Cd、Pb、Au、P、S、U、Thなどが考えられる。本発明に係るフラックスコートNiボール1Aを構成するNiボール2は、不純物元素の中でも特にPbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの合計の含有量が1ppm以上不純物元素として含有することが好ましい。本発明では、α線量を低減する上でPbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの含有量を極限まで低減する必要がない。これは以下の理由による。
210Pbはβ崩壊により210Biに変化し、210Biはβ崩壊により210Poに変化し、210Poはα崩壊により206Pbに変化する。このため、α線量を低減するためには、不純物元素であるPbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの含有量も極力低い方が好ましいとも思われる。
しかし、Pbに含まれている210Pb及びBiに含まれている210Biの含有比は低い。よって、PbやBiの含有量がある程度低減されれば、210Pbや210Biが、α線量を前述の範囲に低減できる程度にまで十分に除去されると考えられる。一方、Niボール2の真球度を高めるためには、後述するように、不純物元素の含有量が高い方がよい。PbとBiの何れも、Ni材に不純物元素として含有されることで、Niボール2の製造工程における溶融時に結晶核となり、Niボール2の真球度を高めることができる。このため、α線量を前述の範囲に低減できる程度にまで210Pb及び210Biが除去できる量で、PbまたはBiの何れか、あるいは、Pb及びBiが含有されることが好ましい。このような観点から、Niボール2は、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの合計の含有量が1ppm以上であることが好ましい。
PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの合計の含有量は、より好ましくは10ppm以上である。上限値はα線量を低減し得る範囲で限定されないが、Niボール2の電気伝導度の劣化を抑制する観点から、より好ましくはPbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、Pb及びBiの合計の含有量が1000ppm未満である。Pbの含有量は、より好ましくは10ppm〜50ppmであり、Biの含有量は、より好ましくは10ppm〜50ppmである。
・Niボールの純度:99.9%以上99.995%以下
Niボール2は純度が3N以上4N5以下である。つまり、Niボール2は不純物元素の含有量が50ppm以上である。ここで、Ni等の金属材料の純度は、99%を2N、99.9%を3N、99.99%を4N、99.999%を5Nとする。4N5とは、金属材料の純度が99.995%であることを示す。
Niボール2を構成するNiの純度がこの範囲であると、Niボール2の真球度が高まるための十分な量の結晶核を溶融Ni中に確保することができる。真球度が高まる理由は以下のように詳述される。
Niボールを製造する際、所定形状の小片に形成されたNi材は、加熱により溶融し、溶融Niが表面張力によって球形となり、これが凝固してNiボール2となる。溶融Niが液体状態から凝固する過程において、結晶粒が球形の溶融Ni中で成長する。この際、不純物元素が多いと、この不純物元素が結晶核となって結晶粒の成長が抑制される。したがって、球形の溶融Niは、成長が抑制された微細結晶粒によって真球度が高いNiボール2となる。
一方不純物元素が少ないと、相対的に結晶核となるものが少なく、粒成長が抑制されずにある方向性をもって成長する。この結果、球形の溶融Niは表面の一部分が突出して凝固してしまう。このようなNiボールは、真球度が低い。不純物元素としては、Sn、Sb、Bi、Zn、Fe、Al、As、Ag、In、Cd、Cu、Pb、Au、P、S、U、Thなどが考えられる。
純度の下限値は特に限定されないが、α線量を抑制し、純度の低下によるNiボール2の電気伝導や熱伝導率の劣化を抑制する観点から、好ましくは3N以上である。つまり、好ましくはNiを除くNiボール2の不純物元素の含有量は1000ppm未満である。
・Niボールの真球度:0.90以上
Niボール2の形状は、スタンドオフ高さを制御する観点から真球度は0.90以上であることが好ましい。Niボール2の真球度が0.90未満であると、Niボールが不定形状になるため、バンプ形成時に高さが不均一なバンプが形成され、接合不良が発生する可能性が高まる。真球度は、より好ましくは0.94以上である。本発明において、真球度とは真球からのずれを表す。真球度は、例えば、最小二乗中心法(LSC法)、最小領域中心法(MZC法)、最大内接中心法(MIC法)、最小外接中心法(MCC法)など種々の方法で求められる。
・Niボールの直径:1〜1000μm
Niボール2の直径は1〜1000μmであることが好ましい。この範囲にあると、球状のNiボール2を安定して製造でき、また、端子間が狭ピッチである場合の接続短絡を抑制することができる。
<フラックスコートNi核ボールの概要>
図4は、フラックスコートボールの第2の実施の形態としてのフラックスコートNi核ボールの模式的な構造を示す断面図である。フラックスコートNi核ボール1Bは、上述したNiボール2と、Niボール2を被覆するはんだ層4と、はんだ層4を被覆するフラックス層3とを備える。
フラックスコートNi核ボール1Bを利用したはんだバンプでは、半導体パッケージの重量がはんだバンプに加わっても、はんだ合金の融点では溶融しないNiボール2により半導体パッケージを支えることができる。従って、半導体パッケージの自重によりはんだバンプが潰れることがない。
Niボール2は、上述したように、Niで構成され、所望の低α線量及び真球度を実現する組成で構成される。フラックスコートNi核ボール1Bでも、Niボール2のα線量が低いことが好ましい。
また、フラックスコートNi核ボール1Bでは、Niボール2がはんだ付けの温度で溶融しないため、はんだバンプの高さのバラツキを抑制できるようにするためには、Niボール2の真球度のバラツキが少ない方が好ましい。
このため、フラックスコートNi核ボール1Bであっても、真球度の高いNiボール2が必要となる。
フラックス層3は、フラックスコートNi核ボール1Bでは、はんだ層4の表面に固体となって付着し、はんだ層4の表面の酸化を防止すると共に、はんだ付け時に接合対象物の金属酸化膜を除去する活性剤として作用する成分で構成されていれば良い。
例えば、フラックス層3は、活性剤として作用すると共にはんだ層4に固着する化合物からなる単一の成分で構成されていても良いし、活性剤として作用する化合物と、活性補助剤として作用する化合物等からなる複数の成分で構成されていても良い。
フラックス層3を構成する活性剤としては、本発明で要求される特性に応じて上述したアミン、有機酸、ハロゲンのいずれか、複数のアミンの組み合わせ、複数の有機酸の組み合わせ、複数のハロゲンの組み合わせ、単一あるいは複数のアミン、有機酸、ハロゲンの組み合わせが添加される。
フラックス層3を構成する活性補助剤としては、活性剤の特性に応じて上述したエステル、アミド、アミノ酸のいずれか、複数のエステルの組み合わせ、複数のアミドの組み合わせ、複数のアミノ酸の組み合わせ、単一あるいは複数のエステル、アミド、アミノ酸の組み合わせが添加される。
また、フラックス層3を構成する化合物、例えば、活性剤として作用する化合物は、単一では固体とならないものであっても、他の混合物との混合で固体となるものであればよい。更に、フラックス層3は、活性剤として作用する化合物等を、はんだ層4に固着させる樹脂を含むものであっても良い。
また、フラックス層3は、活性剤として作用する化合物等を、リフロー時の熱から保護するため、ロジンや樹脂を含むものであっても良い。更に、フラックス層3は、単一あるいは複数の化合物からなる単一の層で構成されても良い。また、フラックス層3は、複数の化合物からなる複数の層で構成されても良い。
フラックスコートNi核ボール1Bでは、主にはんだめっきとパッドとの濡れ性が求められる。そのため、フラックスコートNiボール程の耐熱性は要求されない。このため、ロジンを非添加としても良い。
また、フラックスコートNi核ボール1Bでは、フラックスを併用して濡れ性を向上させるための補助としてフラックス層3を使用したはんだ接合を行っても良いし、または、フラックスを使用せずにフラックス層3のフラックスのみではんだ接合を行っても良い。
フラックスコートNi核ボール1Bは、Niボール2とはんだ層4との間に中間層が形成されてもよい。中間層は、Ni、CoあるいはFe等から選択される1元素以上で構成され、Niボール2の表面の硬度を調整することができる。このような層を硬度調整層と称しても良い。なお、上述したフラックスコートNiボール1AのNiボール2の表面にNi、CoあるいはFe等から選択される1元素以上で構成される層を形成して、硬度調整層としても良い。
フラックスコートNi核ボール1Bでは、Niボール2がはんだ層4で被覆されることで、はんだ層4を構成するはんだ合金が低α線を実現できれば、Niボールから放射されるα線をはんだ層4で遮蔽でき、低α線を実現した上述のNiボール2を適用すれば、フラックスコートNi核ボール1Bから放射されるα線を遮蔽できると考えられる。
本発明に係るフラックスコートNi核ボール1Bのはんだ層4は、主にワークであるNiボールやめっき液を流動させて形成される。めっき液の流動によりめっき液中でPb、Bi、Poの元素が塩を形成して沈殿する。一旦塩である析出物が形成されるとめっき液中で安定に存在する。従って、フラックスコートNi核ボール1Bは析出物がはんだ層4に取り込まれることがなく、はんだ被膜に含まれる放射性元素の含有量を低減でき、フラックスコートNi核ボール1B自体のα線量を低減することが可能となる。
<はんだ層の詳細>
以下に、フラックスコートNi核ボール1Bの構成要素であるはんだ層4について詳述する。
・はんだ層の組成
はんだ層4の組成は、合金の場合、Snを主成分とする鉛フリーはんだ合金の合金組成であれば特に限定されない。また、はんだ層4としては、Snめっき被膜であってもよい。例えば、Sn、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−In合金、及びこれらに所定の合金元素を添加したものが挙げられる。いずれもSnの含有量が40質量%以上である。添加する合金元素としては、例えばAg、Cu、In、Ni、Co、Sb、Ge、P、Feなどがある。これらの中でも、はんだ層4の合金組成は、落下衝撃特性の観点から、好ましくはSn−3Ag−0.5Cu合金である。
はんだ層4の厚さは特に制限されないが、好ましくは100μm(片側)以下であれば十分である。一般には20〜50μmであればよい。
・U:5ppb以下、Th:5ppb以下
上述したように、U及びThは放射性元素であり、ソフトエラーを抑制するにはこれらの含有量を抑える必要がある。U及びThの含有量は、はんだ層4のα線量を0.0200cph/cm2以下とするため、各々5ppb以下にする必要がある。また、現在または将来の高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、U及びThの含有量は、好ましくは、各々2ppb以下である。
・α線量:0.0200cph/cm2以下
本発明に係るフラックスコートNi核ボール1Bのα線量は0.0200cph/cm2以下である。これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。フラックスコートNi核ボール1Bのα線量は、はんだ層4のα線量が0.0200cph/cm2以下であることにより達成される。また、フラックスコートNi核ボール1Bのα線量は、上述したように、Niボール2のα線量が0.0200cph/cm2以下であることによっても達成される。
本発明に係るフラックスコートNi核ボール1Bは高くとも100℃で形成されるため、U、Th、Poなどの放射性元素、210Biおよび210Pbなどの放射性同位体の気化により放射性元素の含有量が低減するとは考え難い。しかし、めっき液やNiボール2を流動しながらめっきを行うと、Po、PbおよびBiはめっき液中で塩を形成して沈殿する。沈殿した塩は電気的に中性であり、めっき液が流動していてもはんだめっき被膜中に混入することがない。
よって、はんだめっき被膜中のこれらの含有量は著しく低減する。従って、本発明に係るフラックスコートNi核ボール1Bは、このようなはんだ層4で被覆されているために低いα線量を示す。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.0020cph/cm2以下であり、より好ましくは0.0010cph/cm2以下である。
はんだ層4は純度が高いほど、すなわち、はんだ層4において不純物の含有量が少ないほど、放射性元素や放射性同位体の含有量が低減し、α線量が低減するため、不純物量の下限値は特に限定されない。一方、上限値は、α線量を低減する観点から、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下であり、特に好ましくは10ppm以下である。
なお、はんだ層4の総不純物量は、Snを主成分とするはんだ合金であれば、Snと、添加される他の合金元素以外の不純物の含有量の合計である。例えば、Sn100%のはんだであれば、はんだ層4中のSn以外の不純物の含有量の合計であり、Sn−Ag合金であれば、はんだ層4中のSn及びAg以外の不純物の含有量の合計であり、Sn−Cu合金であれば、はんだ層4中のSn及びCu以外の不純物の含有量の合計である。また、Sn−Ag−Cu合金であれば、はんだ層4中のSn、Ag及びCu以外の不純物の含有量の合計であり、Sn−In合金であれば、はんだ層4中のSn及びIn以外の不純物の含有量の合計である。また、Sn以外の合金元素を主成分とするはんだでは、主成分となる合金元素と、添加される他の合金元素以外の不純物の含有量の合計である。
はんだ層4に含まれる不純物中には、特にBiとPbの含有量が少ない方が好ましい。BiとPbには放射性同位体であるそれぞれ210Biと210Pbが微量に含まれている。従って、BiとPbの含有量を低減することにより、はんだ層4のα線量を著しく低減することができると考えられる。はんだ層4におけるBiとPbの含有量は、好ましくはそれぞれ15ppm以下であり、より好ましくはそれぞれ10ppm以下であり、特に好ましくはそれぞれ0ppmである。
<フラックスコートボールの適用例>
本発明に係るフラックスコートボールの適用例について説明すると、フラックスコートボールは、フラックスコートNiボール1AあるいはフラックスコートNi核ボール1Bと、はんだ粉末と、フラックスが混練されたはんだペーストに用いられる。ここで、本発明に係るフラックスコートボールがはんだペーストに用いられるような場合、「フラックスコートNiボール」、「フラックスコートNi核ボール」は「フラックスコートNiパウダ」、「フラックスコートNi核パウダ」と称されてもよい。
「フラックスコートNiパウダ」、「フラックスコートNi核パウダ」は、上述の特性を個々のフラックスコートボールが備えた、多数のフラックスコートNiボール1AあるいいはフラックスコートNi核ボールの集合体である。例えば、はんだペースト中の粉末として配合されるなど、単一のフラックスコートボールとは使用形態において区別される。「フラックスコートNiボール」、「フラックスコートNi核ボール」が「フラックスコートNiパウダ」、「フラックスコートNi核パウダ」と称される形態で使用されるような場合、一般的に、Niボールの直径は1〜300μmである。
また、本発明に係るフラックスコートボールは、フラックスコートNiボール1A及びフラックスコートNi核ボール1Bがはんだ中に分散しているフォームはんだに用いられる。はんだペースト及びフォームはんだでは、例えば、組成がSn−3Ag−0.5Cu(各数値は質量%)であるはんだ合金が使用される。尚、本発明はこのはんだ合金に限定するものではない。更に、本発明に係るフラックスコートボールは、電子部品のはんだ継手に用いられる。
フラックスコートNiパウダを使用したはんだペーストでは、フラックス層によってNiボールの表面の酸化が抑制されると共に、金属酸化膜の除去が確実に行えるので、はんだ合金の粉末が溶融する際に、Niボールに対するはんだ合金の濡れ不良が抑制される。これにより、ボイドの発生や、はんだ合金とNiボールとの接合不良の発生を抑制することができる。
<フラックスコートボールの製造方法>
(1)Niボールの製造方法
次に、本発明に係るフラックスコートボールの製造方法の一例を説明する。フラックスコートNiボール1A及びフラックスコートNi核ボール1Bを構成するNiボール2は、アトマイズ法で製造される。本発明でのアトマイズ法とは、Ni材が高温度で溶融され、液状の溶融Niがノズルから高速度で噴霧されることにより、霧状の溶融Niが冷却されてNiボールが造球される方法である。具体的には溶融Niをノズルから高速度で噴霧する際の媒体としてガスを用いる場合はガスアトマイズ法等がある。
また、別のアトマイズ法としては、オリフィスから溶融Niの液滴が滴下され、この液滴が冷却されてNiボールが造球される方法でもよい。各アトマイズ法で造球されたNiボールは、それぞれ800〜1000℃の温度で30〜60分間再加熱処理が施されても良い。
これらのNiボールの製造方法では、Niボールを造球する前にNi材を800〜1000℃で予備加熱処理してもよい。
Niボールの原料であるNi材としては、例えば板材、ペレット、ワイヤなどを用いることができる。Ni材の純度は、Niボールの純度を下げすぎないようにする観点から99.9%(3N)〜99.99%(4N)でよい。
このような高純度のNi材を用いる場合には、前述の加熱処理を行わず、溶融Niの保持温度を従来と同様に1000℃程度に下げてもよい。このように、前述の加熱処理はNi材の純度やα線量に応じて適宜省略や変更されてもよい。また、α線量の高いNiボールや異形のNiボールが製造された場合には、これらのNiボールが原料として再利用されることも可能であり、さらにα線量を低下させることができる。
(2)フラックスコートNi核ボールにおけるはんだ層の製造方法
また、上述のようにして作製されたNiボール2やめっき液を流動させてNiボール2にはんだ層4を形成する方法としては、公知のバレルめっき等の電解めっき法、めっき槽に接続されたポンプがめっき槽中にめっき液に高速乱流を発生させ、めっき液の乱流によりNiボール2にめっき被膜を形成する方法、めっき槽に振動板を設けて所定の周波数で振動させることによりめっき液が高速乱流攪拌され、めっき液の乱流によりNiボール2にめっき被膜を形成する方法等がある。
直径100μmのNiボールに膜厚(片側)20μmのSn−Ag−Cuはんだめっき被膜を形成し、直径約140μmのNi核ボールとすることを一例として説明する。
本発明の一実施の形態に係るSn−Ag−Cu含有めっき液は、水を主体とする媒体に、スルホン酸類及び金属成分としてSn、Ag及びCuを必須成分として含有している。
金属成分はめっき液中でSnイオン(Sn2+およびまたはSn4+),Agイオン(Ag+)及びCuイオン(Cu+およびまたはCu2+)として存在している。めっき液は、主として水とスルホン酸類からなるめっき母液と金属化合物を混合することにより得られ、金属イオンの安定性のために、好ましくは有機錯化剤を含有する。
めっき液中の金属化合物としては、例えば以下のものを例示することができる。Sn化合物の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の錫塩、硫酸錫、酸化錫、硝酸錫、塩化錫、臭化錫、ヨウ化錫、リン酸錫、ピロリン酸錫、酢酸錫、ギ酸錫、クエン酸錫、グルコン酸錫、酒石酸錫、乳酸錫、コハク酸錫、スルファミン酸錫、ホウフッ化錫、ケイフッ化錫などの第一Sn化合物が挙げられる。これらのSn化合物は、一種単独又は二種
以上混合して用いることができる。
Cu化合物としては、上述した有機スルホン酸の銅塩、硫酸銅、酸化銅、硝酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ピロリン酸銅、酢酸銅、ギ酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、乳酸銅、コハク酸銅、スルファミン酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅などが挙げられる。これらのCu化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
Ag化合物としては、上記有機スルホン酸の銀塩、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、硝酸銀、臭化銀、ヨウ化銀、リン酸銀、ピロリン酸銀、酢酸銀、ギ酸銀、クエン酸銀、グルコン酸銀、酒石酸銀、乳酸銀、コハク酸銀、スルファミン酸銀、ホウフッ化銀、ケイフッ化銀などが挙げられる。これらのAg化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
また、直径100μmのNiボールに膜厚(片側)20μmのSn−Ag−Cuはんだめっき被膜を形成する場合、約0.0108クーロンの電気量を要する。
めっき液中の各金属の配合量は、Sn2+として0.21〜2mol/L、好ましくは0.25〜1mol/L、Ag+として0.01〜0.1mol/L、好ましくは0.02〜0.05mol/L、Cu2+として0.002〜0.02mol/L、好ましくは0.003〜0.01mol/Lである。ここで、めっきに関与するのはSn2+であるので、本発明ではSn2+の量を調整すればよい。
また、Cuイオン濃度に対するAgイオン濃度(Ag/Cuモル比)は、4.5〜5.58の範囲となるものが好ましく、この範囲であれば、Sn−3Ag−0.5Cu合金のような融点の低いSn−Ag−Cuめっき被膜を形成することができる。なお、ファラディの電気分解の法則により下記式(1)により所望のはんだめっきの析出量を見積もり、電気量を算出して、算出した電気量となるように電流をめっき液に通電し、Niボールおよびめっき液を流動させながらめっき処理を行う。めっき槽の容量はNiボールおよびめっき液の総投入量に応じて決定することができる。
w(g)=(I×t×M)/(Z×F)・・・式(1)
式(1)中、wは電解析出量(g)、Iは電流(A)、tは通電時間(秒)、Mは析出する元素の原子量(Snの場合、118.71)、Zは原子価(Snの場合は2価)、Fはファラディ定数(96500クーロン)であり、電気量Q(A・秒)は(I×t)で表される。
本発明では、Niボールおよびめっき液を流動させながらめっきを行うが、流動させる方法については特に限定されない。例えば、バレル電解めっき法のようにバレルの回転よりNiボールおよびめっき液を流動させることができる。
めっき処理後、大気中やN2雰囲気中で乾燥してNi核ボールを得ることができ、Ni核ボールをフラックスで被覆することで、本発明に係るフラックスコートNi核ボール1Bを得ることができる。
以下に本発明のフラックスコートNiボール1A及びフラックスコートNi核ボール1Bの実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<Niボールの純度と真球度の関係>
まず、純度の異なるNiボールを作製して真球度とα線量を測定し、Niボールの純度と真球度の関係及びα線量を検証した。
(1)Niボールの作製
実施例1AのNiボールは、純度が99.9%(3N)のNiワイヤを使用して作製した。実施例1Aで使用したNiワイヤは、α線量が0.0034cph/cm2、Uの含有量が0.7ppb、Thの含有量が0.5ppbである。
実施例2AのNiボールは、純度が99.995%(4N5)以下のNiワイヤを使用して作製した。実施例2Aで使用したNiワイヤは、純度が99.99%(4N)で、α線量が0.0026cph/cm2、Uの含有量が0.5ppb未満、Thの含有量が0.5ppb未満である。
比較例1AのNiボールは、純度が99.995%(4N5)を超えるNi板を使用して作製した。比較例1Aで使用したNi板は、純度が99.997%(4N7)で、α線量が0.0010cph/cm2未満、Uの含有量が0.5ppb未満、Thの含有量が0.5ppb未満である。
上述した原料をるつぼの中に投入した後、るつぼの温度を1000℃の温度条件で45分間予備加熱を行った。その後、吐出温度を1600℃、好ましくは1700℃として、ガスアトマイズ法により、液状の溶融Niをノズルから高速度で噴霧し、霧状の溶融Niを冷却してNiボールを造球した。これにより平均粒径が50μmのNiボールを作製した。
(2)真球度の測定方法
真球度の測定方法は以下の通りである。真球度はCNC画像測定システムで測定する。本実施例では、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PRO測定装置によって、Niボールの長径の長さと直径の長さを測定し、500個の各Niボールの直径を長径で割った値の算術平均値を算出して真球度を求めた。値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
(3)α線量の測定方法
α線量の測定方法は以下の通りである。α線量の測定にはガスフロー比例計数器のα線測定装置を用いた。測定サンプルは300mm×300mmの平面浅底容器にNiボールを容器の底が見えなくなるまで敷き詰めたものである。この測定サンプルをα線測定装置内に入れ、PR−10ガスフローにて24時間放置した後、α線量を測定した。
尚、測定に使用したPR−10ガス(アルゴン90%−メタン10%)は、PR−10ガスをガスボンベに充填してから3週間以上経過したものである。3週間以上経過したボンベを使用したのは、ガスボンベに侵入する大気中のラドンによりα線が発生しないように、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)で定められたJEDEC STANDARD−Alpha Radiation Measurement in Electronic Materials JESD221従ったためである。
作製したNiボールの元素分析結果、真球度及びα線量を表1に示す。元素分析は、UおよびThについては誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS分析)、その他の元素については誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES分析)により行われた。表1において、単位は、UおよびThについては質量ppb、その他の元素は質量ppmである。
Figure 2015147950
表1に示すように、実施例1AのNiボールは、純度が3N(99.9%)、実施例2AのNiボールは、純度が4N5(99.995%)以下であり、BiおよびPbの含有量が10ppm以上であるにもかかわらず、α線量が0.0010cph/cm2未満であり、要求される0.0200cph/cm2を下回った。比較例1AのNiボールは、純度が4N5より高いため、当然のことながらα線量が0.0010cph/cm2未満であった。また、実施例1Aおよび実施例2AのNiボールは、少なくとも2年間はα線量が0.0010cph/cm2未満であった。したがって、実施例1Aおよび実施例2AのNiボールは、経時変化によりα線量が増加するという近年の問題点も解消した。
また、表1に示すように、実施例1Aおよび実施例2AのNiボールは、純度が4N5以下でNiを除く元素の含有量が50ppm以上であるため、いずれも真球度が0.94以上を示した。一方、比較例1AのNiボールは、純度が4N5より高く、Niを除く元素の含有量が50ppm未満のため真球度が0.90未満であった。
<Ni核ボールのα線量と真球度>
以上の検証結果から、純度が99.9%のNiペレットで作製した実施例1AのNiボールは、所望の真球度及びα線量が得られた。次に、実施例1AのNiボールを用いて以下に示す実施例と比較例のNi核ボールを作製し、α線量と真球度を測定した。
<実施例1BのNi核ボール>
純度99.9%のNiペレットで作製したNiボールについて、以下の条件でSnはんだめっき被膜ではんだ層を形成してNi核ボールを作製した。
実施例1BのNi核ボールは、直径50μmのNiボールに膜厚(片側)が20μmのはんだめっきが被覆されるように、電気量を約0.038クーロンとして以下のめっき液を用いてめっき処理を行った。はんだめっき被膜で被覆されたNi核ボールの断面をSEM写真により観察したところ、膜厚は約40μmであった。処理後、大気中で乾燥し、実施例1BのNi核ボールを得た。
はんだめっき液は、次のように作成した。撹拌容器にめっき液調整に必要な水の1/3に、54%のメタンスルホン酸水溶液の全容を入れ敷水とした。次に、錯化剤であるメルカプタン化合物の一例であるアセチルシステインを入れ溶解確認後、他の錯化剤である芳香族アミノ化合物の一例である2,2’−ジチオジアニリンを入れた。薄水色のゲル状の液体になったら速やかにメタンスルホン酸第一錫を入れた。次にめっき液に必要な水の2/3を加え、最後に界面活性剤の一例であるα−ナフトールポリエトキシレート(EO10モル)3g/Lを入れ、めっき液の調整は終了した。めっき液中のメタンスルホン酸の濃度が2.64mol/L、錫イオン濃度が0.337mol/L、であるめっき液を作成した。本例で使用したメタンスルホン酸第一錫は、下記Snシート材を原料として調製したものである。
実施例1BのNi核ボールの表面に形成されたはんだめっき被膜の元素分析と、参考までに、はんだめっき液の原料であるSnシート材の元素分析は、UおよびThについては高周波誘導結合質量分析(ICP−MS分析)、その他の元素については高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES分析)により行った。Snシート材のα線量は、300mm×300mmの平面浅底容器にSnシート材を敷いたこと以外Niボールと同様に測定した。Ni核ボールのα線量は、上述のNiボールと同様に測定した。またNi核ボールの真球度についてもNiボールと同じ条件で測定を行った。これらの測定結果を表2に示す。表2において、単位は、UおよびThについては質量ppb、その他の元素は質量ppmである。
Figure 2015147950
表2によれば、Snシート材の段階ではα線量は0.2cph/cm2を超えているが、当該Snシート材を使用して、Niボールへはんだめっきを行った実施例1Bでは、α線量は0.0010cph/cm2未満を示した。実施例1BのNi核ボールは、めっき法によりはんだめっき被膜を形成することによりα線量が低減することが立証された。また実施例1BのNi核ボールは作成後2年を経過してもα線量の上昇は見られなかった。
<フラックスコートNi核ボールのはんだ接合性>
所望の真球度及びα線量が得られた実施例1BのNi核ボールを用いてフラックスコートNi核ボールを作製し、はんだ接合性を検証した。
(1)フラックスの組成
以下の表3に示す組成でフラックスを作製した。フラックス(1C)は、活性剤として有機酸であるステアリン酸を5質量%含み、ロジンとしてロジンエステルを5質量%含み、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。
フラックス(2C)は、活性剤としてアミンである2−フェニルイミダゾールを5質量%含み、ロジンとして水添ロジンを5質量%含み、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。
フラックス(3C)は、活性剤として有機酸であるセバシン酸を10質量%含み、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。フラックス(4C)は、活性剤としてハロゲンであるジブロモブテンジオールの1種であるtrans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを10質量%含み、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。
Figure 2015147950
(2)フラックスコートNi核ボールの作製
所望の真球度及びα線量が得られた実施例1BのNi核ボールと、上述した表3に示すフラックスを使用して、以下に示す実施例のフラックスコートNi核ボールを作製した。実施例1DのフラックスコートNi核ボールは、実施例1BのNi核ボールを表3に示すフラックス(1C)に浸漬し、その後、金属バットにNiボールを散布し、温風乾燥を行った。
実施例2DのフラックスコートNi核ボールは、実施例1BのNi核ボールを表3に示すフラックス(2C)に浸漬し、その後、金属バットにNiボールを散布し、温風乾燥を行った。実施例3DのフラックスコートNi核ボールは、実施例1BのNi核ボールを表3に示すフラックス(3C)に浸漬し、その後、金属バットにNiボールを散布し、温風乾燥を行った。実施例4DのフラックスコートNi核ボールは、実施例1BのNi核ボールを表3に示すフラックス(4C)に浸漬し、その後、金属バットにNiボールを散布し、温風乾燥を行った。比較例1Dは、フラックスで被覆しないNi核ボールとした。
(3)はんだ接合性の検証
フラックスで被覆した各実施例のフラックスコートNi核ボールと、フラックスで被覆しないNi核ボールを、それぞれCu板に散布し、250℃で30秒、ホットプレート上で大気リフローを行った。
Cu板上で得られた接合物ではんだ接合が形成されているかを確認した。はんだ接合性の検証は、各実施例のフラックスコートNi核ボール及び比較例のNi核ボールがリフローされたCu板を机上で垂直に配置し、5cm程度の高さから基板を持ったまま机に落とす。
この際、接合物がはんだ接合されてCu板から外れない状態をOKとし、接合物がCu板上から外れた場合はNGと判定した。なお、はんだ接合性の検証は、接合物を指で擦ったり、Cu板を洗浄液(IPA等)で洗浄することによって擦っている際、または洗浄中に接合物が外れるかどうかでも確認できる。ここで、接合確認用の接合対象物としてのCu基板には、OSP(Organic Solderability Preservative)処理と称されるプリフラックス処理を施しても良く、本例では、Cu−OSP基板を使用した。
接合対象物として、NiめっきCu基板でもはんだ接合性を検証した。サンプルの作製方法はNiめっきを施したCu基板を使用すること以外は、Cu基板を使用した検証例と同じであり、判定基準もCu板と同様である。Cu板及びNiめっきCu板を使用したはんだ接合性の検証結果を以下の表4に示す。
Figure 2015147950
表4に示すように、フラックスで被覆した実施例1D、実施例2D、実施例3D及び実施例4DのフラックスコートNi核ボールでは、接合対象物がCu−OSP基板であってもNiめっきCu基板であっても、リフローで得られた接合物が接合対象物から外れなかった。これは、フラックスにより酸化膜を除去できたことで、合金層の形成、所謂はんだ接合ができたためであると考えられる。
これに対し、フラックスで被覆していない比較例1DのNi核ボールでは、リフローで得られた接合物が接合対象物から外れた。これは、酸化膜が除去できないため、はんだ接合ができていないためであると考えられる。以上のことから、フラックスコートNi核ボールでは、Ni核ボールと比較してはんだ接合性が向上していることが判る。
なお、作成後のフラックスコートNiボールおよびNi核ボールについて、ふるい等で分級工程を行うことにより、フラックスの被覆量ごとにフラックスコートNiボールおよびNi核ボールを選別することができ。これにより、Niボールについては、電極との接合に使われるはんだペーストとの濡れ性とフラックスコートNiボールの流動性を、Ni核ボールについては、電極へのはんだの濡れ性、及び、フラックスコートNi核ボールの流動性を両立することができる。
さらに、本発明のフラックスコートボールの全ての実施例において、α線量を計測したところ、全てのα線量は、0.0010cph/cm2以下であり、要求される0.0200cph/cm2を下回った。
(2)Niボールで構成される核層と、核層を被覆するはんだ層と、はんだ層を被覆するフラックス層とを備えたフラックスコートボールであって、核層は、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上であり、フラックスコートボールから放射されるα線量が0.0200cph/cm 2 以下であるフラックスコートボール。
(3)Niボールで構成される核層と、核層を被覆するはんだ層と、はんだ層を被覆するフラックス層とを備えたフラックスコートボールであって、核層は、Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上であり、はんだ層は、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、フラックスコートボールから放射されるα線量が0.0200cph/cm 2 以下であるフラックスコートボール。
(6)放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下である、上記(1)〜(5)の何れか1つに記載のフラックスコートボール。

Claims (9)

  1. Niボールで構成される核層と、
    前記核層を被覆するフラックス層とを備え、
    前記核層は、
    放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、
    Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、
    Uの含有量が5ppb以下であり、
    Thの含有量が5ppb以下であり、
    PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上である
    ことを特徴とするフラックスコートボール。
  2. Niボールで構成される核層と、
    前記核層を被覆するはんだ層と、
    前記はんだ層を被覆するフラックス層とを備え、
    前記核層は、
    放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下であり、
    Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、
    Uの含有量が5ppb以下であり、
    Thの含有量が5ppb以下であり、
    PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、真球度が0.90以上である
    ことを特徴とするフラックスコートボール。
  3. Niボールで構成される核層と、
    前記核層を被覆するはんだ層と、
    前記はんだ層を被覆するフラックス層とを備え、
    前記核層は、
    Niの純度が99.9%以上99.995%以下であり、
    PbまたはBiのいずれかの含有量、あるいは、PbおよびBiの合計の含有量が1ppm以上であり、
    真球度が0.90以上であり、
    前記はんだ層は、
    Uの含有量が5ppb以下であり、
    Thの含有量が5ppb以下であり、
    放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下である、
    ことを特徴とするフラックスコートボール。
  4. 前記フラックス層は、複数の化合物からなる複数の層で構成される
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のフラックスコートボール。
  5. 前記核層は、Ni、CoおよびFeから選択される1元素以上からなる層で被覆される
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のフラックスコートボール。
  6. 放射されるα線量が0.0200cph/cm2以下である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のフラックスコートボール。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のフラックスコートボールを使用した
    ことを特徴とするはんだペースト。
  8. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のフラックスコートボールを使用した
    ことを特徴とするフォームはんだ。
  9. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のフラックスコートボールを使用した
    ことを特徴とするはんだ継手。
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