JP2015147946A - 樹脂組成物 - Google Patents

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庸祐 ▲高▼橋
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田中 正和
Masakazu Tanaka
正和 田中
希美 神谷
Kimi Kamiya
希美 神谷
俊幸 伊藤
Toshiyuki Ito
俊幸 伊藤
一樹 三田
Kazuki Mita
一樹 三田
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Abstract

【課題】TPS等において、各種物性バランスに優れたコンパウンド材料を与えうる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物(a)100質量部に対して、160℃における溶融粘度が10〜150,000mP・sであり、スチレン構造単位含有率が10〜70質量%であるスチレン含有オリゴマー(b)を1〜20質量部、MFRが0.1〜500g/10分であるポリオレフィン系樹脂(c)を0〜100質量部含む樹脂組成物を用いること。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の樹脂組成物およびそれから得られるシーリング材等に関する。
ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に代表される汎用プラスチックと同様の溶融成形加工性と、架橋ゴムに近い柔軟性・ゴム弾性とを兼ね備えた熱可塑性エラストマー(TPE)は、自動車、家電、食品、医療、さらには日用品等の幅広い分野に適用されている。TPEにはオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、塩ビ(PVC)系エラストマーなど様々な種類があるが、中でもスチレン系エラストマーは最も使用量の多いTPEの一つである。
スチレン系TPEは一般にSBC(スチレンブロックコポリマー)の略称で呼ばれ、拘束相としてのハードセグメントがポリスチレンからなるブロック共重合体の総称である。ソフトセグメントはブタジエン等の共役ジエンポリマーまたはその水素添加(水添)物である。SBCでは、このソフトセグメントとハードセグメントとが常温でミクロ相分離構造をとっているため、ハードセグメントが物理的架橋点となり、化学的な架橋なしにエラストマーとしての性能(柔軟性、ゴム弾性)が発現する。水添されたSBC(HSBC)は分子内に二重結合を持たないため非水添SBCよりも優れた耐熱性、耐候性を示す。HSBCはコンパウンド原料として幅広く使用され、このようなHSBCを用いたコンパウンド材料は一般にTPSと総称される。
TPSでは、HSBCに不足した性能を補うために各種材料が配合(ポリマーアロイ化)される。このような材料としては、例えば成形加工性を向上させるための石油樹脂が挙げられる。
特許文献1には、石油樹脂を用いて、成形加工性に加え制振性を改良した例が開示されている。しかし、TPSにおいて成形加工性を最適化するためには、石油樹脂の配合量が制限される。より成形加工性を向上させるために、石油樹脂を多量に配合した場合、柔軟性や流動性の向上(成形加工性の改善)が得られる代わりに剛性が低下し、その結果、引張強さが大きく低下するなどの課題があった。
特開2004−196896号公報
本発明は、上述したTPS等において、各種物性バランスに優れたコンパウンド材料を与えうる樹脂組成物を提供することを課題としている。
本発明は、次の[1]〜[11]に関する。
[1] ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物(a)100質量部に対して、
以下の(A1)および(A2)の特徴を有するスチレン含有オリゴマー(b)を1〜20質量部、ASTM D1238に準拠して測定した230℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.1〜500g/10分であるポリオレフィン系樹脂(c)を0〜100質量部含む樹脂組成物:
(A1)160℃における溶融粘度が10〜150,000mP・sである;
(A2)スチレン構造単位含有率が10〜70質量%である。
[2] 前記スチレン含有オリゴマー(b)が、さらに、以下の(A3)〜(A6)の特徴のうち一つ以上を有する、[1]に記載の樹脂組成物:
(A3)α−メチルスチレン由来の構造単位を50〜70質量部、スチレン由来の構造単位を30〜50質量部含有する(ただし、α−メチルスチレン由来の構造単位とスチレン由来の構造単位の合計を100質量部とする);
(A4)軟化点が80〜150℃の範囲にある;
(A5)示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0〜100℃の範囲にある;
(A6)ヨウ素価が100g_I2/100g以下の範囲にある。
[3] 前記スチレン含有オリゴマー(b)が、エチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体をスチレン変性した物である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]さらに、以下の(B1)の特徴を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物:
(B1)小角X線散乱の1次元散乱曲線(横軸に散乱ベクトルの大きさq(なおq=(4π/λ)sin(θ/2)、但しX線の波長をλ、θを散乱角とする)、縦軸に散乱強度I(q)の対数をとり表現される)において、一次ピークのq値をq1、二次ピークのq値をq2としたとき、
前記のブロック共重合体又はその水素添加物(a)のq1とq2の比(q2/q1)が1.6〜1.8の範囲にあり、かつ、樹脂組成物におけるq1とq2の比(q2/q1)が1.9〜2.1の範囲にある。
[5] 前記ポリオレフィン系樹脂(c)が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して、さらに、オイルを5〜300質量部含有する[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して、さらに、フィラーを5〜20質量部含有する[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成された射出成形体。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成されたシーリング材。
[10][1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成されたパッキン材。
[11][1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成されたキャップライナー。
本発明によれば、TPS等において、各種物性バランスに優れたコンパウンド材料ならびにそれから得られるシーリング材等を提供することができる。
実施例1、比較例1および比較例2における小角X線散乱(SAXS)の1次元散乱曲線を示す。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を示す「〜」は、特に断りがなければ以上から以下を表す。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物(a)100質量部に対して、(A1)および(A2)の特徴を有するスチレン含有オリゴマー(b)を1〜20質量部、230℃、2.16kg荷重下のMFRが0.1〜500g/10分であるポリオレフィン系樹脂(c)を0〜100質量部含む。
(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物
本発明に係る樹脂組成物の(a)成分であるブロック共重合体またはその水素添加物において、ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(以下「重合体ブロック(A)」ともいう)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(以下「重合体ブロック(B)」ともいう)を有するものであって、以下「(A)/(B)ブロック共重合体」ともいう。
重合体ブロック(A)を構成するビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン、アセナフチレンなどを挙げることができ、これらのビニル芳香族化合物の1種類または2種以上を使用することができる。そのうちでもスチレンが最も好ましい。
重合体ブロック(B)を構成する共役ジエン化合物としては、炭素数4〜20の共役ジエンが好ましく、具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエンなどを挙げることができ、これらの共役ジエン化合物の1種類または2種以上を使用することができる。そのうちでもブタジエン、イソプレンが最も好ましい。
また、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を含む(A)/(B)ブロック共重合体は、GPCで測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が30,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であるのがより好ましい。(A)/(B)ブロック共重合体の質量平均分子量が30,000以上であると樹脂組成物から得られる成形品の機械的特性が向上し、一方500,000以下であると成形性や加工性が良好である。
(A)/(B)ブロック共重合体における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の割合は、(A)/(B)ブロック共重合体の数平均分子量、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の数平均分子量などに依存するが、一般に(A)/(B)ブロック共重合体の質量に基づいて、重合体ブロック(A)の割合が5〜80質量%で重合体ブロック(B)の割合が95〜20質量%であるのが好ましく、重合体ブロック(A)が10〜75質量%で重合体ブロック(B)が90〜25質量%であるのがより好ましく、重合体ブロック(A)が20〜40質量%で重合体ブロック(B)が60〜80質量%であるのがさらに好ましい。(A)/(B)ブロック共重合体中において、重合体ブロック(A)の割合が5質量%以上であると(すなわち重合体ブロック(B)の割合が95質量%以下であると)、(A)/(B)ブロック共重合体を含む樹脂組成物およびそれより得られる成形品などの機械的性質が良好であり、一方、重合体ブロック(A)の割合が80質量%以下であると(すなわち重合体ブロック(B)の割合が20質量%以上であると)溶融粘度が高くなりすぎず成形性や加工性が良好である。
(A)/(B)ブロック共重合体は、直鎖状または2つ以上に枝別れした分枝状のいずれであってもよく、また分子中に少なくとも1個の重合体ブロック(A)と少なくとも1個の重合体ブロック(B)を有していればよく、その構造は特に制限されない。機械特性、耐熱性、加工性のバランスからA−B−A型のトリブロック構造が特に好ましい。
具体的には、たとえば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンブロック共重合体などを挙げることができる。なお、たとえばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とは、ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロックの形態のブロック共重合体を意味する。
(A)/(B)ブロック共重合体の製法は特に限定されないが、例えば適当な重合開始剤系を用いて、不活性溶媒中でスチレンなどのビニル芳香族化合物と、ブタジエンなどの共役ジエン化合物とを順次重合することにより製造することができる。その場合の重合開始剤系の例としては、ルイス酸とルイス酸によってカチオン重合活性種を生成する有機化合物との混合系が挙げられる。ルイス酸としては四塩化チタン、四塩化スズ、三塩化ホウ素、塩化アルミニウムなどが、また該有機化合物としてはアルコキシ基、アシロキシ基またはハロゲンなどの官能基を有する有機化合物、例えばビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−アセトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンなどが挙げられる。更に上記のルイス酸および有機化合物と共に、必要に応じて例えばN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、酢酸エチルなどのエステル類を第3成分として使用してもよい。また、重合用の不活性溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、塩化メチル、塩化メチレンなどを使用することができる。
直鎖状の(A)/(B)ブロック共重合体は、例えば、(1)重合開始剤系としてルイス酸およびカチオン重合活性種を生成する官能基を1個有する化合物を使用して、ビニル芳香族化合物を重合させて重合体ブロック(A)を形成した後、共役ジエン化合物を反応系に添加して重合させて重合体ブロック(B)を形成させ、必要に応じて更にビニル芳香族化合物を添加して重合を行って重合体ブロック(A)を形成させる方法、(2)重合開始剤系としてルイス酸およびカチオン重合活性種を生成する官能基を2個有する化合物を使用して、まず共役ジエン化合物を重合させて重合体ブロック(B)を形成した後、反応系にビニル芳香族化合物を添加して重合を行って重合体ブロック(A)を形成させる方法などにより製造することができる。
また、分枝状の(A)/(B)ブロック共重合体は、例えばルイス酸およびカチオン重合活性種を生成する官能基を3個以上有する化合物を重合開始剤系として使用して、まず共役ジエン化合物を重合させて重合体ブロック(B)を形成した後、次いでビニル芳香族化合物を添加して重合を行って重合体ブロック(A)を形成させる方法などにより製造することができる。
本発明の樹脂組成物において(a)成分としては、前記の(A)/(B)ブロック共重合体の水素添加物を用いることもできる。水素添加物を用いた場合には、水素添加によりA/Bブロック共重合体中の脂肪族二重結合が減少することにより、耐熱性や耐候性が向上する点で好ましい。
本発明において、(a)成分として用いられる(A)/(B)ブロック共重合体の水素添加物としては、(A)/(B)ブロック共重合体の90%〜100%の脂肪族二重結合が水素添加され、0%〜10%の芳香族二重結合が水素化されたものが好適であり、とくに99〜100%の脂肪族二重結合が水素添加され、0%〜5%の芳香族二重結合が水素化されたものが好ましい。このような(A)/(B)ブロック共重合体の水素添加物において、脂肪族二重結合が水素添加された重合体ブロック(B)は、実質的にポリオレフィン構造のブロックとなる。
(A)/(B)ブロック共重合体の水素添加には公知の方法を採用することができる。水素添加触媒としては、ニッケル、多孔質ケイソウ土、ラネーニッケル、重クロム酸銅、硫化モリブデン等や、カーボン等の担体に白金、パラジウム等を担持したものを挙げることができる。
水素添加は任意の圧力(例えば大気圧から300気圧、好ましくは5から200気圧)、任意の温度(例えば20℃から350℃)、任意の時間(例えば0.2時間から10時間)で行うことができる。
本発明に係る(a)(A)/(B)ブロック共重合体は、分子量、スチレン含量等の性状が異なる2種以上の(A)/(B)ブロック共重合体を併用してもよい。
かかる(a)(A)/(B)ブロック共重合体は市販されており、これら市販品を用いることができる。非水添品では例えばクレイトン社「Dシリーズ」、JSR社「TRシリーズ」、旭化成社製「タフプレン」「アサプレン」などがある。水添品では例えばクラレ社製「セプトン」「ハイブラー」、旭化成社製「タフテック」、JSR社製「ダイナロン」、クレイトンポリマー社製「Gシリーズ」などがある。
(b)スチレン含有オリゴマー
本発明に係る樹脂組成物の(b)成分であるスチレン含有オリゴマーは、次の(A1)および(A2)の特徴を有し、より好ましくは、次の(A3)〜(A6)のうち少なくとも1つをさらに満たす。
(A1)160℃における溶融粘度が10〜150,000mP・sである。好ましくは20〜145,000、より好ましくは30〜140,000。下限値以上であると樹脂組成物をコンパウンドする際の混練性の点で好ましく、上限値以下であると樹脂組成物の流動性改善の点で好ましい。
(A2)スチレン構造単位含有率が10〜70質量%である。スチレン以外の成分としては、ビニル芳香族、不飽和脂肪族、エチレン・α−オレフィン共重合体などを挙げることができる。スチレン構造単位含有率は好ましくは15〜65質量%、より好ましくは20〜60質量%。下限値以上であるとスチレン含有オリゴマーの耐熱安定性の点で好ましく、上限値以下であるとスチレン含有オリゴマーの分子量を抑制でき、(a)成分との相容性の点で好ましい。スチレン構造単位含有率の算出方法については実施例の項に記載のとおりである。
(A3)α−メチルスチレン由来の構造単位および/またはスチレン由来の構造単位を含む。好ましくは、α−メチルスチレン由来の構造単位を50〜70質量部、スチレン由来の構造単位を30〜50質量部含有する(ただし、α−メチルスチレン由来の構造単位とスチレン由来の構造単位の合計を100質量部とする)。α−メチルスチレン由来の構造単位はより好ましくは53〜67質量部、特に好ましくは55〜65質量部である。下限値以上であるとスチレン含有オリゴマーの分子量を抑制でき、(a)成分との相容性の点で好ましく、上限値以下であるとスチレン含有オリゴマーの耐熱安定性の点で好ましい。
(b)成分に占めるα−メチルスチレン由来の構造単位とスチレン由来の構造単位の合計は好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。
(A4)軟化点が80〜150℃の範囲にある。好ましくは100〜148℃、より好ましくは120〜145℃の範囲にある。下限値以上であると樹脂組成物のスチレンドメイン相の(物理架橋点の)補強による機械物性向上(スチレン相の補強効果)の点で好ましく、上限値以下であると樹脂組成物をコンパウンドする際の加工性の点で好ましい。
(A5)示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0〜100℃の範囲にある。DSCの測定方法については実施例の項に詳述する。Tgは好ましくは10〜95℃、より好ましくは20〜90℃の範囲にある。下限値以上であると樹脂組成物の耐熱性向上の点で好ましく、上限値以下であると樹脂組成物をコンパウンドする際の加工性の点で好ましい。
(A6)ヨウ素価が100g_I2/100g以下の範囲にある。好ましくは90g_I2/100g以下、より好ましくは80g_I2/100gの範囲にある。上記範囲にあるとスチレン含有オリゴマーの耐熱安定性の点で好ましい。
[スチレン含有オリゴマー(b)の製造方法]
本発明におけるスチレン含有オリゴマー(b)の製造方法は、次の(1)および(2)の方法を例示できる。
(1)原料である不飽和アルキル芳香族化合物を重合させることにより、または原料である不飽和アルキル芳香族化合物と不飽和脂肪族化合物とを共重合させて得る方法。
(2)オレフィン系ワックスをスチレン系モノマーによりグラフト変性することにより得る方法。
以下に、(1)および(2)それぞれの製法について説明する。
(1)原料である不飽和アルキル芳香族化合物を重合させることにより、または原料である不飽和アルキル芳香族化合物と不飽和脂肪族化合物とを共重合させて得る方法では、不飽和アルキル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
適宜使用される不飽和脂肪族化合物としては、炭素数4ないし5の不飽和炭化水素等を具体的な例として挙げることができる。炭素数4ないし5の不飽和炭化水素としては、石油精製、分解時に副生する炭素数4ないし5の不飽和炭化水素を主成分として含む留分から選ばれる任意の留分が使用できる。これらの成分を併用することで、軟化点等の各物性を用途等に応じて調整することが可能である。
石油生成、分解時に副生する炭素数4ないし5の不飽和炭化水素を含む留分(以下、C4,C5留分という)は、常圧下における沸点範囲が通常−15ないし+45℃の留分であって、1−ブテン、イソブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−ペンテン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン等の重合性単量体を含んでいる。これらのC4,C5留分から選ばれる重合性単量体を含む任意の留分を制限なく用いることが出来る。好ましくは、ブタジエン、イソプレン、シクロヘンタジエンなどの共役二重結合を有する化合物を除くもしくはその含有率が低い成分用いることが好ましい。
上記のような石油留分は、例えば、製油所等における原油等の常圧蒸留(トッピング)に際して副生するガス留分を含む軽質油留分、石油のクラッキング、リフォーミング処理工程において副生する同様な軽質油留分、又は、石油化学工場における石油ナフサ分解等において得られるガスを含む軽質油留分等の石油留分からそのまま、又は、場合によっては蒸留、抽出、その他の処理を加えて所望の留分として得ることができる。
上記のような炭素数4ないし5の不飽和炭化水素留分を不飽和脂肪族化合物として用いる場合、不飽和アルキル芳香族化合物100質量部に対して不飽和炭化水素留分5ないし100質量部の割合で組み合わせ使用することが好ましい。
不飽和アルキル芳香族化合物の重合反応、または不飽和アルキル芳香族化合物と不飽和脂肪族化合物の共重合反応は、主としてカチオン重合、より具体的にはフリ−デル−クラフツ触媒の存在下に行われる。フリ−デル−クラフツ触媒としては、公知のフリ−デル−クラフツ触媒が使用でき、具体的には塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ジクロロモノエチルアルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、三弗化ホウ素、三弗化ホウ素のエーテル錯体やフェノール錯体などの各種錯体等を挙げることができる。この中でも、弗化ホウ素フェノール錯体を用いることが好ましい。フリ−デル−クラフツ触媒の使用量は、原料の合計100質量部に対して通常0.05ないし5質量部、好ましくは0.1ないし2質量部の範囲が好ましい。
重合反応は、重合反応の反応熱の除去及び反応液粘度の抑制、分子量の調整のため、重合性単量体の濃度が10ないし60質量%程度になるように溶媒を用いて行うのが好ましい。適当な溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。勿論、これらを組み合わせて用いてもよい。
重合工程では、反応器内において上記原料である不飽和アルキル芳香族化合物や不飽和脂肪族化合物を、上記触媒の存在下、上記溶媒中で重合反応させる。重合工程は1段で行うこともできるが、複数段に分けて行うのが好ましい。重合温度は原料組成や目的とする分子量領域等によって異なるが、通常−50ないし+50℃の範囲が好ましい。また反応時間は、通常10分ないし10時間の範囲が好ましい。重合終了後は、例えば塩基性水溶液またはメタノ−ル等のアルコールの様な塩基性化合物を用いて触媒を分解した後、水洗し、未反応の原料及び溶媒等をストリッピングすることによって除き、目的の芳香族石油樹脂を得ることが出来る。
(2)オレフィン系ワックスをスチレン系モノマーによりグラフト変性することにより得る方法では、オレフィン系ワックスとスチレン系モノマーとを反応させることにより得られる。
オレフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスを挙げることができ、オレフィンを重合して得られるものであってもよく、また高分子量のポリエチレンやポリプロピレンを熱分解して得られるものであってもよい。
オレフィンを重合して得られるものの製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。オレフィン系ワックスは、特にエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が望ましい。α−オレフィンは、直鎖状であっても分岐していてもよく、また置換されていても非置換であってもよい。
α−オレフィンとしては、より好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンが、さらにより好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
上記のようなオレフィン系ワックスの形態は、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、立体構造としてはアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造ともにいずれであっても使用可能であり、立体規則性について特段の制限はない。市販のオレフィン系ワックスをそのまま利用することも可能である。
スチレン系モノマーとして具体的には、たとえば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン等を挙げることができる。なかでも未反応物除去の観点からスチレンが好ましい。
グラフト変性の方法は特に限定されず、従来公知の種々の方法にしたがって行うことができる。例えば、オレフィン系ワックスとスチレン系モノマー、有機過酸化物を同時に、または逐次的に、たとえば、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリ−ミキサ−などで溶融混練することによって得られる。これらのうちでも、オートクレーブなどのバッチ式溶融混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散・反応したスチレン含有オリゴマー(b)を得ることができる。連続式に比べ、バッチ式は滞留時間の調整がしやすく、また滞留時間を長く取れるため変性率及び変性効率を高めることが比較的容易である。
また、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤等を配合することができる。
(c)ポリオレフィン系樹脂
本発明の樹脂組成物は、所望によりASTM D1238に準拠して測定した230℃、2.16kg荷重下のMFR(メルトフローレート)が0.1〜500g/10分のポリオレフィン系樹脂(c)を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれていてもよい(c)成分のポリオレフィン系樹脂は、少なくとも一種のオレフィン系モノマーの重合体または共重合体である。
本発明に係る(c)ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを主体とする重合体であって、かつ、MFRが0.1〜500g/10分を満たすものであれば、特に限定はされず、種々公知のオレフィン系重合体を用い得る。たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などの、炭素数2〜20のα−オレフィンの単独もしくは共重合体が挙げられる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体などのオレフィン重合体を単独若しくは2種以上含む組成物、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体あるいはその金属塩、エチレン−環状オレフィン共重合体などが挙げられる。
また、(c)ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンの共重合成分として、非共役ジエンを含んでいてもよい。非共役ジエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、1,4,9-デカトリエン等のトリエンが挙げられる。中でも、1,4-ヘキサジエンおよび環状非共役ジエン、特にジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンが好ましく用いられる。さらに、これらのポリオレフィン系樹脂がマレイン酸やシラン化合物などの極性化合物でグラフト変性された重合体であっても構わない。これらの中でも、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィンの重合体あるいは共重合体が望ましい。
このような(c)ポリオレフィン系樹脂は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が特に限定されるものではないが、好ましくは0.5dl/g以上5dl/g以下である。135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が小さくなると、樹脂組成物の機械強度が低下する。極限粘度[η]が大きくなると成形性が悪化する。
このような(c)ポリオレフィン系樹脂の好適な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、中でも特に、プロピレンを主体とする重合体あるいは共重合体であるポリプロピレン系樹脂が、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度の向上、固化速度の向上の点で好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂が共重合体である場合、プロピレン由来の構成単位は90モル%以上であることが好ましく、93〜99モル%であることがより好ましい。
本発明において、(c)ポリオレフィン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、ASTM D1238に準拠して測定した値であり、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した値を意味する。
本発明に係る(c)ポリオレフィン系樹脂は、種類や、MFR等の性状が異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂を併用したものであってもよい。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上述した(a)成分(ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物(a))、および上述した(b)成分(160℃における溶融粘度が10〜150,000mP・sであり、スチレン構造単位含有率が10〜70質量%であるスチレン含有オリゴマー(b))を必須成分として含有する組成物であって、必要に応じて上述の(c)成分(MFRが0.1〜500g/10分であるポリオレフィン系樹脂(c))を含有する。
このような本発明の樹脂組成物は、(a)成分100質量部に対して、(b)成分を1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部の割合で含有する。また、(a)成分100質量部に対して、(c)成分を0〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、より好ましくは10〜60質量部の割合で含有する。
(a)成分100質量部に対しての(b)成分の含有量が、1質量部以上であると、(b)成分による機械物性や成形性の改善の作用が十分に発揮され、また、20質量部以下であると樹脂組成物のブリードアウトが生じにくいので好ましい。また、(c)成分を含有する場合には、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度、固化速度が向上し、好ましい。
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(a)、(b)、(c)以外の成分を含有していてもよい。本発明の樹脂組成物に含まれてもよい成分としては、上記(a)、(b)、(c)以外の樹脂成分、オイル、各種耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機または有機の充填剤、有機系または無機系発泡剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等が挙げられる。
オイルとしては、例えば石油を精製して得られる鉱物油、エチレンやα−オレフィンなどのモノマーを重合して得られる合成炭化水素油などの従来公知のオイルが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。鉱物油は一般に精製の仕方により幾つかの等級があるが、API分類のグループ(I)〜(III)の何れを用いても良い。一般に0.5〜10%のワックス分を含む鉱物油が使用される。例えば、水素分解精製法で製造された流動点が低く、粘度指数の高い、イソパラフィンを主体とした組成の高度精製油を用いることができる。その中でも一般にプロセスオイルとして販売されている鉱物油製品群は、特に低揮発分が少なく、(a)成分であるブロック共重合体またはその水素添加物の軟化剤として好適である。プロセスオイルとしては、具体的には、パラフィン系プロセスオイル、アロマティック系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどが挙げられる。中でも、芳香族成分等の不飽和成分の含有量が少ないパラフィン系プロセスオイルが耐熱性、耐侯性に優れ、好ましく用いられる。また、天然ガスをフィッシャートロプス反応により重合し、水素分解精製を行った合成油(GTL)を用いることもできる。
これらの中でも、入手容易性、低揮発性の観点からプロセスオイルが好ましく、耐熱性、耐侯性の観点からパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
合成炭化水素油としては例えばエチレン・α−オレフィン共重合体、α−オレフィン共重合体(PAO)、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる合成炭化水素油は、(a)成分との相溶性がよく、本発明に係る(d)オイルとして特に好適である。
合成炭化水素油として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンの直鎖状のα−オレフィンや、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、8−メチル−1−ノネン、7−メチル−1−デセン、6−メチル−1−ウンデセン、6,8−ジメチル−1−デセンなどの分岐を有するα−オレフィンを挙げることができるが、好ましくは直鎖状のα−オレフィンであり、これらの一種類あるいは2種類以上が必要に応じて用いられる。これらのα−オレフィンの内では、重合体組成物に良好な柔軟性、制振性、耐候性を与える点で、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。等を例示できる。本発明の樹脂組成物中における充填剤の含有量は、上記(a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して500質量部以下、好ましくは5〜300質量部であることが望ましい。
充填剤(フィラー)としては、無機充填材が好ましく、マイカ、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、グラファイト、ステンレス、アルミニウムなどの粉末充填剤;ガラス繊維や金属繊維などの繊維状充填剤などを挙げることができる。なかでもマイカは減衰性を向上させる効果があるので好ましい。本発明の樹脂組成物中における充填剤の含有量は、上記(a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して50質量部以下、好ましくは5〜20質量部であることが望ましい。
[その他の特徴]
本発明の樹脂組成物は、さらに、下記(B1)の特徴を有することが好ましい。
(B1)小角X線散乱の1次元散乱曲線(横軸に散乱ベクトルの大きさq(なおq=(4π/λ)sin(θ/2)、但しX線の波長をλ、θを散乱角とする)、縦軸に散乱強度I(q)の対数をとり表現される)において、一次ピークのq値をq1、二次ピークのq値をq2としたとき、前記のブロック共重合体又はその水素添加物(a)のq1とq2の比(q2/q1)が1.6〜1.8の範囲にあり、かつ、樹脂組成物におけるq1とq2の比(q2/q1)が1.9〜2.1の範囲にある。
一般的に、本発明における(a)成分である、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物においては、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック鎖と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック鎖とが相溶せず、それぞれのブロック鎖が凝集することによりミクロドメインを形成し、体心立方格子や六方充填などに配列することにより高次構造をなし、いわゆる球、シリンダー、ジャイロイド、ラメラといったミクロ相分離構造を形成することが知られている。
小角X線散乱の1次元散乱曲線は、通常、そのミクロ相分離構造に対応して、1次ピークを基準として特定の比q2/q1だけずれた散乱ベクトル値に2次ピークを持つ。例えば、六方充填したシリンダー構造の場合は、1次ピークから(q2/q1)=√3の位置に2次ピークを持ち、ラメラでは比(q2/q1)=2の位置にそれぞれ2次ピークを持つことが知られている。
上記(B1)の特徴を持つとき、ブロック共重合体又はその水素添加物(a)は、小角X線散乱にて観測されるミクロ相分離構造が六方充填したシリンダー状ミクロ相分離構造(以下、hex-cylとも称す)を形成しているのに対し、スチレン含有オリゴマー(b)を含む本発明の樹脂組成物はラメラ状ミクロ相分離構造(以下、lamellaとも称す)を形成していることを意味する。本発明の実施例1においてこのような相構造が観測されている。
これはすなわち当該実施例において、ブロック共重合体又はその水素添加物(a)のミクロ相分離構造においてシリンダー相を形成するのがポリスチレンブロック鎖(ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック鎖)からなるミクロドメイン(以下、ポリスチレンドメインとも称す)であり、スチレン含有オリゴマー(b)がポリスチレンドメインに選択的に相溶し、存在比が増大することで構造相転移が引き起こされ、得られた樹脂組成物においてはミクロ相分離構造がlamellaを形成したものと推察される。さらに推察すれば、そのミクロ相分離構造がlamellaになることにより弾性率などの機械物性の向上に寄与したと推測される。
また、ポリスチレンドメインの存在比によってはブロック共重合体又はその水素添加物(a)のミクロ相分離構造がhex-cylとならない、あるいは、樹脂組成物がlamellaとならないことも考えられるが、樹脂組成物のミクロ相分離構造がlamellaとは異なる場合であっても、スチレン含有オリゴマー(b)が、(a)成分のハードセグメントである、ポリスチレンドメインと相溶することにより、物理架橋点の補強効果を発揮し、得られる樹脂組成物の機械物性が優れるという効果が期待される。
なお、ミクロ相分離構造は小角X線散乱法(Small Angle X−ray Scattering;以下、「SAXS」とも称する)により測定できる。SAXS測定は一般的な小角X線散乱測定装置を用いて実施することができるが、例えば株式会社リガク製NANO-Viewerを用いて測定することができる。また、大型放射光施設SPring−8(兵庫県)に設置されている高分子専用ビームラインBL03XUなどの放射光施設を用いても同様の測定が可能である。
樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、各成分を従来公知の方法により混練することにより製造することができる。混練は、混合工程を行った後、あるいは混合工程無しで実施される。混合工程は、組成物の各成分を同時に混合することにより行っても、逐次に行ってもよく、たとえば、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、ニーダー、ニーダールーダー等で混合することができる。混練は、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダー、ニーダールーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒、成形あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。混練は、組成物の各成分を同時に混練部に投入しても、逐次に投入してもよく、前述の混合工程を経た混合物を一括で投入することもできる。
<樹脂組成物の用途>
上述した本発明の樹脂組成物は、従来公知の方法により適宜成形して、成形体として用いることができる。成形方法としては、たとえば、射出成形、各種押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、真空成形などが挙げられる。また、成形時に公知の化学発泡剤、または、炭酸ガス、窒素ガス、水などの公知の物理発泡剤を使用して、公知の方法で発泡させ、発泡状の成形体とすることもできる。
樹脂組成物は、硬質樹脂、或いは金属からなる支持体と組み合わせて使用することができる。硬質樹脂としては、特に制限はなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。金属としては、特に制限はなく、例えば冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板などの中から、適宜選択して用いることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。
樹脂組成物を支持体と組み合わせる方法としては、射出成形や押出成形など、従来公知の成形方法を採用することができる。特に制限されるものではないが、例えば支持体となる硬質樹脂を金型内に溶融射出成形し、次いでその上に本発明の樹脂組成物を溶融射出成形して硬質樹脂成形物の表面に、該樹脂組成物を積層して一体化させる射出二色成形法を採用することができる。あるいは、まず、硬質樹脂を金型内に溶融射出成形したのち、その成形物を他の金型にインサートし、その表面に、本発明の樹脂組成物を溶融射出成形して、プラスチック成形物の表面に、該樹脂組成物を積層して一体化させるインサート成形法を採用することができる。あるいは、金属製の支持体を金型にインサートし、その表面に、本発明の樹脂組成物を溶融射出成形して、プラスチック成形物の表面に、該樹脂組成物を積層することができる。あるいは、複数の押出機を有する成形機で支持体と本発明の樹脂組成物を多層状に同時に押出す押出二色成形を採用することができる。あるいは、樹脂組成物から得られる成形体を、各種接着剤を用いて支持体の表面に固定することもできる。
本発明の樹脂組成物の用途としては、自動車、医療・食品、工業、雑貨・日用品などがある。自動車用途では、ドアクッションゴム、トリム、ドアトリム表皮、グラスチャンネル、エッジ類、ドアスイッチカバー、バンパーモール、ドア下モール、ベルトモール、ウインドモール、ルーフモール、ルーフアンテナカバー、カウルルーパープロテクター、サイドモール、フェンダーライナー、ベルトモール、マッドガード、ウエザーシール、エアーインテークホース、Bピラーシール、QWモール、シールフェンダーエプロン、ヘッドランプシール呼吸キャップ、ガスケット類、チューブ、グロメット、ワイヤーハーネス、オープニングトリム、エアバックカバー、チェンジレバーブーツ、エアバッグカバー、エアフィルタパッキン、サイドブレーキグリップ、シフトノブ、アームレスト、フロントエンドグリル、インパネ表皮、アシストグリップ、コントロールパネルスイッチ、エアバックカバー、カップホルダーグリップ、シフトグリップ、アームレストカバー、シートバックボード、コンソールBOX中敷、キーシリンダーベゼル、Bピラーロア表皮、センターコンソール表皮材、ランプ周辺部品等。
医療・食品用途では、医療チューブ、キャップ、注射器ガスケット、歯固め、耳栓、薬栓、各種医療用途栓類、防塵マスク、食品チューブ、シート、容器類ゴム栓、食品容器等のパッキン、ボトルキャップライナー、ほ乳瓶用乳首、製氷皿等。
工業用途では、防水シート、建材用シート、ホース、グリップ、自動車や電気製品のパッキン部品、鉄芯保護部材、絶縁カバー、建築用など各種ガスケット等。
雑貨・日用品用途では、歯ブラシグリップ、剃刀グリップ、自転車グリップ、風呂蓋、ナイフグリップ、ハンガー部材、ショルダーパット、ガーデンホース、流し台ホース、シャンプーブラシ、モップ、パッキン、健康グッズ、吸盤、双眼鏡、玩具、日用品、靴底、ペングリップ、ゴルフグリップ、電気シェーバーグリップ、電動工具グリップ、ゴルフボール表皮、スイミングゴーグル、跳び縄、スキーストック、ダイビング用品、プールマット、防振ゴム、脚ゴム、家具・建築部品等。
その他の用途では、スピーカーエッジ、家電パッキン、電動工具、ダンパー、インクジェットプリンターのトナー部、プリンターローラー部、ICホルダー用パッキン、給排水パッキン、排水管ジョイント等。
上述した用途の中でも射出成形体、シーリング材、パッキン材、キャップライナーに好ましく用いられる。シーリング材、パッキン材、キャップライナーは、上述した本発明の重合体組成物を用いて形成される。本発明に係る射出成形体、シーリング材、パッキン材、キャップライナーは、本発明の重合体組成物のみから形成されていてもよく、また、本発明の重合体組成物と他素材とを組み合わせて形成されていてもよい。
本発明に係る重合体組成物および該重合体組成物から形成される射出成形体、シーリング材、パッキン材、キャップライナーは、食品容器用材料、医療用材料、乳児・幼児用品、電気電子部品、粘接着剤、日用品、自動車内装材など幅広い用途へ適用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
<スチレン含有オリゴマー(b)の分析>
[160℃における溶融粘度]
ブルックフィールド社製デジタル粘度計を使用し、サンプル量約8g、測定温度160℃で測定した。
[スチレン構造単位含有率]
スチレン含有オリゴマー(b)の製造方法で記述したように、本発明におけるスチレン含有オリゴマー(b)の製造方法は、次の(1)および(2)の方法が例示される。
(1)原料である不飽和アルキル芳香族化合物を重合させることにより、または原料である不飽和アルキル芳香族化合物と不飽和脂肪族化合物とを共重合させて得る方法。
(2)オレフィン系ワックスをスチレン系モノマーによりグラフト変性することにより得る方法。
以下に、(1)および(2)それぞれのスチレン構造単位含有率の定義を記述する。
(1)重合時の総モノマーフィード量に対するスチレンモノマーフィード量の割合
(2)オレフィン系ワックスと、スチレンモノマーの合計量に対する、スチレンモノマーの割合
[軟化点]
JIS K2207に規定された環球法により測定した。
[ガラス転移温度]
200℃まで昇温した試料を10℃/分の速度で−20℃まで冷却結晶化させ、10℃/分で再び昇温した際のDSC曲線をJIS K7121を参考に解析した。
[ヨウ素価]
滴定法により求めた。
<樹脂組成物の分析・評価>
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM 1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定した。
[弾性率]
JIS K−7113−2−1/2に基づき、測定温度23℃、試験速度50mm/minの条件で引張強度を測定した。
[小角X線散乱]
(測定装置)
SAXS測定は、株式会社リガク製NANO-Viewerを用いて測定した。
(測定条件)
試料を試料ホルダーに固定し、次の条件にてSAXS測定を行った。
・入射X線:CuKα線
・出力:40kV、30mA
・検出器:PILATUS 100K
・測定温度:室温
[製造例1]α−メチルスチレン・スチレン共重合体(b−1)の製造
α−メチルスチレン・スチレン共重合体の調製攪拌翼を備えた実容量1270mlのオートクレーブに、α−メチルスチレン、スチレンおよび脱水精製したトルエンの混合物(容量比:モノマーの合計/トルエン=1/1)と、脱水精製したトルエンで10倍希釈したボロントリフロライドフェノラート錯体(フェノール1.7倍当量)とを連続的に供給し、反応温度を5℃で重合反応させた。α−メチルスチレンとスチレンとの質量比は63/37の割合とし、モノマーおよびトルエンの混合物の供給量は1.0リットル/時間、希釈した触媒の供給量は75ミリリットル/時間とした。引き続き、この反応混合物を2段目のオートクレーブに移送し、5℃で重合反応を続けさせた後、1段目と2段目のオートクレーブ中での合計滞留時間が2時間になった所で、連続的に反応混合物を排出し、滞留時間の3倍となった所で1リットルの反応混合物を採取し、重合反応を終了させた。重合終了後、採取した反応混合物に1規定のNaOH水溶液を添加し、触媒残さを脱灰した。更に得られた反応混合物を多量の水で5回洗浄した後、エバポレーターで溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、α−メチルスチレン・スチレン共重合体(b−1)を得た。得られたα−メチルスチレン・スチレン共重合体(b−1)は軟化点137℃であった。その他の分析結果を表1に示す。
[製造例2]スチレン系モノマーによりグラフト変性したオレフィン系ワックス(b−3)の製造
エチレン・αオレフィン共重合体(三井化学社製ハイワックス(商標)110P)240gをガラス製反応器に仕込み、窒素雰囲気下160℃にて溶解した。次いで、スチレン360.0g、及びジ−t−ブチルペルオキシド(以下DTBPOと略す)30.2gとを上記反応系(温度160℃)に5時間かけて連続供給した。その後、さらに1時間加熱反応させた後、溶融状態のまま10mmHg真空中で0.5時間脱気処理して揮発分を除去し、その後冷却し、スチレン変性オレフィン系ワックスを得た。
[実施例および比較例において用いた各成分]
実施例および比較例において、用いた各成分は以下の通りである。
a−1: ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)(セプトン(商標)8007、(株)クラレ製、スチレン含有量:30質量%、Mw=90,000)
b−1:製造例1で得られたα−メチルスチレン・スチレン共重合体
b−2:水素化石油樹脂(荒川化学工業社製アルコン(商標)P125)
b−3:製造例2で得られたスチレン変性オレフィン系ワックス
b−4:エチレン・αオレフィン共重合体(三井化学社製ハイワックス(商標)110P)
c−1: ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ(商標) E111G、MFR230℃=0.5g/10分)
[実施例1]
ブロック共重合体またはその水素添加物(a)として、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)(a−1)100質量部を用い、また、スチレン含有オリゴマー(b)として、α−メチルスチレン・スチレン共重合体(b−1)10質量部を用いた。これらを配合し、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混繊装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量50g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した。得られた樹脂組成物を、予熱200℃、5分間、加圧200℃、3分間、冷却20℃、5分間の条件でプレス成形し、シート状の重合体組成物を得た。これを用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。また、小角X線散乱の1次元散乱曲線を図1に示す。小角X線散乱測定結果から、ラメラ状ミクロ相分離構造を形成していることがわかった。
[比較例1〜2]
配合する成分の種類、量比を表2の通りに変更した以外は実施例1と同様に溶融混練し、プレス成形して、シート状の重合体組成物を得た。これを用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。また、小角X線散乱の1次元散乱曲線を図1に示す。小角X線散乱測定結果から、六方充填したシリンダー状ミクロ相分離構造を形成していることがわかった。
[実施例2]
ブロック共重合体またはその水素添加物(a)として、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)(a−1)70質量部、スチレン含有オリゴマー(b)として、(b−3)3質量部を用い、また、ポリオレフィン系樹脂(c)として、ホモポリプロピレン(c−1)30質量部を用いた。これらを配合し、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混繊装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量50g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、7分間(混練2分後に(b−3)を投入)の条件下で溶融混練した。得られた樹脂組成物を、予熱200℃、7分間、加圧200℃、3分間、冷却20℃、5分間の条件でプレス成形し、シート状の重合体組成物を得た。これを用いて各種物性を測定した。結果を表3に示す。
[比較例3〜4]
配合する成分の種類、量比を表2の通りに変更した以外は実施例2と同様に溶融混練し、プレス成形して、シート状の重合体組成物を得た。これを用いて各種物性を測定した。結果を表3に示す。

Claims (11)

  1. ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物(a)100質量部に対して、
    以下の(A1)および(A2)の特徴を有するスチレン含有オリゴマー(b)を1〜20質量部、ASTM D1238に準拠して測定した230℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.1〜500g/10分であるポリオレフィン系樹脂(c)を0〜100質量部含む樹脂組成物:
    (A1)160℃における溶融粘度が10〜150,000mP・sである;
    (A2)スチレン構造単位含有率が10〜70質量%である。
  2. 前記スチレン含有オリゴマー(b)が、さらに、以下の(A3)〜(A6)の特徴のうち一つ以上を有する、請求項1に記載の樹脂組成物:
    (A3)α−メチルスチレン由来の構造単位を50〜70質量部、スチレン由来の構造単位を30〜50質量部含有する(ただし、α−メチルスチレン由来の構造単位とスチレン由来の構造単位の合計を100質量部とする);
    (A4)軟化点が80〜150℃の範囲にある;
    (A5)示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0〜100℃の範囲にある;
    (A6)ヨウ素価が100g_I2/100g以下の範囲にある。
  3. 前記スチレン含有オリゴマー(b)が、エチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体をスチレン変性した物である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、以下の(B1)の特徴を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物:
    (B1)小角X線散乱の1次元散乱曲線(横軸に散乱ベクトルの大きさq(なおq=(4π/λ)sin(θ/2)、但しX線の波長をλ、θを散乱角とする)、縦軸に散乱強度I(q)の対数をとり表現される)において、一次ピークのq値をq1、二次ピークのq値をq2としたとき、
    前記のブロック共重合体又はその水素添加物(a)のq1とq2の比(q2/q1)が1.6〜1.8の範囲にあり、かつ、樹脂組成物におけるq1とq2の比(q2/q1)が1.9〜2.1の範囲にある。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂(c)が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. (a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して、さらに、オイルを5〜300質量部含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. (a)、(b)、(c)成分の合計100質量部に対して、さらに、フィラーを5〜20質量部含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成された射出成形体。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成されたシーリング材。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成されたパッキン材。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成されたキャップライナー。
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