JP2015143394A - 炉壁の溶射補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶射材料の付着率が高く、かつ、溶射距離が大きくても高強度の溶射体を得ることができ、ノズル閉塞を起こし難い炉壁の溶射補修方法を提案する。【解決手段】金属粉末の酸化反応熱で溶融した耐火性粉末を補修面に溶着させるテルミット反応方式の溶射を用いた炉壁の補修方法において、内管と外管からなる二重構造のノズル、好ましくは、外管の内径と内管の外径との間の距離が2mm以上のノズルを用いて、内管から金属粉末を含む耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスを、上記内管の酸素ガス流速に対する外管の酸素ガス流速の比を0.80以上として噴出させることを特徴とする炉壁の溶射補修方法。【選択図】図1

Description

本発明は、コークス炉の炭化室のような工業窯炉等の炉壁の溶射補修方法に関し、具体的には、溶射材料に含まれる金属粉末の酸化反応熱で耐火性粉末を溶融して補修面に溶着させるテルミット反応を利用した溶射を用いた炉壁の溶射補修方法に関するものである。
工業窯炉や溶融金属用容器等は、その使用に伴って、内張りされた耐火物等に損傷が生ずる。このような損傷に対しては、適宜、補修が施される。例えば、製鉄所のコークス炉は、建設してから20年以上のものが多く、特に、炭化室の内壁は補修を繰り返しながら操業を継続している。
操業を継続しながら補修を施す技術の一つとして、溶射補修法がある。この溶射補修法としては、プラズマ溶射法やレーザー溶射法、プロパンガス等の可燃性ガスを燃焼させる火炎溶射法等があるが、これらの溶射方法には、大掛かりな設備装置が必要となるという問題がある。そのため、近年では、比較的簡易な装置で実施可能な、金属粉末の酸化発熱反応を利用した溶射方法が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記溶射方法は、金属粉末(燃焼剤)と、耐火性粉末の混合物を酸素ガスで搬送して高熱の補修面に吹き付けることによって、混合物中の金属粉末が補修面からの受熱により酸化発熱反応(テルミット反応)を起こして耐火性粉末が溶融し、補修面に付着することを利用した技術であり、プロパンガス等の可燃性ガスやコークス等の炭素質固体燃料を必要としないことが特徴である。
この溶射方法で使用するノズルの構造については、現在のところ、明瞭に開示されているものがないが、特許文献3に開示された図1から推定されるように、単管構造のものが一般的であると考えられる。一方、燃料ガスを使用する火炎溶射では、特許文献4に開示されるような、火炎孔・材料孔の噴射方向を変えることで、単位時間当りの溶射能力を向上させるバーナーや、特許文献5に開示されるような3重以上の噴射管をもつ多重管構造のノズルが多く用いられている。
特開2006−098029号公報 特開2006−151771号公報 特開2009−120406号公報 特開平06−299316号公報 特開平09−248497号公報
ところで、テルミット反応方式の溶射に用いられる従来の単管ノズルでは、ノズルから噴出された材料が溶融して補修面に付着する割合である付着率が低いため、補修効率が悪いという問題がある。特に、溝を埋めるような溶射面積が狭い範囲の溶射ではなく、溶射面積が広い平面を、例えば20mm以上の厚さに均一に盛り付けるような補修における効率の低さは顕著である。また、燃料ガスを使用する火炎溶射で用いられるバーナーやノズルは、テルミット反応方式の溶射とは、溶射のメカニズムが本質的に異なるため、流用しても却って補修効率が悪くなる。
さらに、補修面の温度が低い条件での溶射の場合、単管ノズルでは緻密でかつ圧縮強度が15MPa程度以上の高強度の溶射体が形成され難いことから、ノズル先端と補修面である炉壁までの間の距離を小さくして炉壁面近傍の酸素濃度を高くし、金属粉末の酸化反応を高める必要があった。そのため、溶射した材料が被施工体表面から反発して跳ね返り、ノズル先端に付着してノズル閉塞を起こし易くなるという問題もある。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶射材料の付着率が高く、かつ、溶射距離が大きくても高強度の溶射体を得ることができ、ノズル閉塞を起こし難い炉壁の溶射補修方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向け、補修面である炉壁に到達した固体粒子(溶射材料)の跳ね返りや、金属粉末の酸化反応に関与する酸素の濃度分布に及ぼす、各種溶射条件の影響に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、テルミット反応方式の溶射に用いるノズルを、従来のような単管ノズルに代えて、二重構造のノズルを用いることが有効であることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、金属粉末の酸化反応熱で溶融した耐火性粉末を補修面に溶着させるテルミット反応方式の溶射を用いた炉壁の補修方法において、内管と外管からなる二重構造のノズルを用い、内管から金属粉末を含む耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスを噴出させるとともに、内管の酸素ガス流速に対する外管の酸素ガス流速の比を0.80以上とすることを特徴とする炉壁の溶射補修方法を提案する。
本発明の炉壁の溶射補修方法は、上記外管の内径と内管の外径との間の距離が2mm以上のノズルを用いることが好ましい。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法は、上記内管の内径が10〜20mmφで、内管の厚さが1mm以上のノズルを用いることが好ましい。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法は、上記内管の長さに対する外管の長さが、(−内管内径の0.5倍〜+内管内径の2倍)であるノズルを用いることが好ましい。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法は、ノズル先端と被施工体との間の距離を50mm以上とすることが好ましい。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法は、内管の酸素ガス流速を40m/s以上とすることが好ましい。
本発明によれば、ノズルを二重構造とすることにより、ノズルから噴出した溶射材料が溶融して補修面に付着する割合である付着率を向上させることができる他、補修面の温度が低い条件においても、ノズル先端と補修面である炉壁までの距離を大きくすることができるので、溶射材料の跳ね返りに起因するノズル閉塞を効果的に防止することができ、炉壁の溶射補修を効率的に実施することが可能となる。
単管ノズルと二重管ノズルから噴出した固体粒子の飛散状況を流動解析した結果を示す図である。 単管ノズルと二重管ノズルの炉壁近傍における酸素濃度分布の解析結果を示す図である。 本発明に適合する二重構造のノズルを説明する図である。 二重管ノズルの内管と外管の長さを変えた変形例を説明する図である。 実施例に用いた二重管ノズルを説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
テルミット反応方式の炉壁面への溶射では、ノズルから噴出した材料は、炉壁に到達してから溶融する。すなわち、火炎溶射とは異なり、飛行中には溶融していないことが赤外線サーモグラフィーを使用した温度測定により明らかとなっている。したがって、炉壁面における溶射材料中の固体粒子の反発(跳ね返り)が付着率に影響を及ぼすこととなる。また、金属粉末の酸化反応には、炉壁面近傍における酸素濃度が大きく影響する。そこで、発明者らは、固体粒子の反発と、炉壁面近傍の酸素濃度分布に着目し、解析を行った。
図1は、単管ノズルと、二重管からなるノズル(以降、「二重管ノズル」とも称する)から噴射した固体粒子の飛散状況についての流動解析結果を示したものである。なお、上記解析では、単管ノズルの場合は、単管から耐火性粉末と酸素ガスを噴出させ、二重管ノズルの場合は、内管から耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスのみを噴出させる条件とし、噴出する酸素ガスの流速は、単管ノズル、二重管ノズルの内管、外管ともに同じ、したがって、酸素ガス流量は二重管ノズルの方が多い条件とした。
図1から、二重管ノズルを用いることにより、単管ノズルよりも炉壁に到達した固体粒子の跳ね返りが抑制されていることがわかる。この理由は、二重管ノズルでは、外管から噴出される酸素ガスが内管から噴出した固体粒子を閉じ込める役割を果たしているためと考えられる。
また、図2は、単管ノズルと二重管ノズルから噴射した酸素ガスの炉壁近傍における濃度分布についての解析結果を示したものである。なお、上記解析は、単管ノズルの場合は、単管から耐火性粉末と酸素ガスを噴出させ、二重管ノズルの場合は、内管から耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスのみを噴出させる条件とし、噴出する酸素ガスの総流量は単管ノズルと二重管ノズルとで同じ、したがって、酸素ガスの流速は、単管の方が二重管ノズルよりも速くなる条件とした。
図2から、二重管ノズルとすることにより、単管ノズルよりも炉壁近傍の酸素濃度を高くすることができること、したがって、金属粉末粒子の酸化反応を促進させることができることが期待される。なお、酸素ガスの流速を、図1と同様、単管ノズルと二重管ノズル(内管、外管)とで同じとした条件でも解析を行ったが、同様の結果が得られている。
以上の解析結果からわかるように、金属粉末の酸化反応熱により溶融した耐火性粉末を炉壁の補修面に溶着させるテルミット反応方式の溶射においては、二重管ノズルを用い、内管から金属粉末を含む耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスを噴出させることによって、炉壁に到達した粒子の反発が抑制され、かつ、炉壁面近傍の酸素濃度が高くなり、金属粉末の酸化反応が効率的に進行するので、溶射材料の付着率を向上することができる。さらに、炉壁面近傍の酸素濃度が高くなることによって、炉壁の補修面の温度が低いときでも、ノズル先端と補修面である炉壁までの距離を単管ノズルほど小さくせずに高強度の溶射体を形成することができるので、溶射材料の跳ね返りにより生じるノズル閉塞の危険性を大きく低減することができる。
ここで、本発明の二重構造のノズルとは、図3(a)に示すような二重管ノズルに限定されない。例えば、図3(b)に示すように、内管の外周部に、小さな単管ノズルを複数配設したプラネタリー状構造のノズルでも、図3(a)の二重管ノズルと同様の効果を得ることができる。ただし、ノズルの構造を単純化し、設備コストを低減するには、図3(a)に示すような二重管ノズルを用いるのが好ましい。
ここで、二重構造のノズルを採用する場合には、ノズル先端における内管の長さと、外管あるいは内管の周囲に配設された複数の小径管(以降、外管および内管の周囲に配設された複数の小径管を、まとめて「外管」ともいう)の長さは、図4(a)に示すように同じでもよいが、例えば、図4(b)に示すように内管の長さを外管より短くしたり、あるいは、図4(c)に示すように外管の長さを内管より短くしたりしてもよい。図4(b)のように内管側を短くすることによって、炉壁面近傍の酸素濃度を高くすることができる。その効果を得るためには、内管側を短くする長さを、内管内径の2倍以下とするのが好ましい。より好ましくは内管内径の1倍以下である。一方、図4(c)のように外管側を短くすると、炉壁面近傍の酸素濃度を高める効果は、外管側を短くするほど低減し、その影響は内管内径の1/2を超えると顕著となる。したがって、外管側を短くする長さは、内管内径の1/2以下とするのが好ましい。なお、炉壁面近傍の酸素濃度を高くする効果と、ノズル製作上の観点からは、内管と外管の長さが等しい図4(a)のタイプが最も好ましい。
また、二重管ノズルを採用する場合には、外管の内径と内管の外径との差を2mm(外管の内径と内管の外径との間の距離が1mm)以上とすることが好ましい。2mm未満では、外管から噴射される酸素ガスの層厚が薄いため、溶射材料の跳ね返りを抑制する効果が小さく、また、炉壁近傍の酸素濃度を高める効果も低くなるからである。なお、外管の内径と内管の外径との差を6mm(外管の内径と内管の外径との間の距離が3mm)を超えて大きくしても、粒子の跳ね返りを抑制する効果は飽和してしまうので、上限は6mm程度とするのが好ましい。
また、二重構造のノズルの内管の内径は、材料の供給速度(単位時間当たりの供給量)に応じて適宜、最適な管径を選定すればよく、特に制限しないが、10〜20mmφの範囲とするのが好ましい。具体的な目安としては、材料供給速度が80〜100kg/hrでは13〜14mmφ前後が、150kg/hr前後では16〜18mmφ前後が好ましい。また、内管の厚さについても特に制限はないが、1mm以上かつ薄い程好ましく、具体的には、1〜3mmの範囲とするのがより好ましい。1mm未満では、磨耗によって管が破れて、内管と外管がつながってしまうおそれが増し、一方、2mmを超えると、外管を設けた効果が低減してしまうからである。
なお、本発明の二重管ノズルを製作するに当たっては、特別な仕様の素管(パイプ)を用いる必要はなく、例えば、一般に市販されているステンレス製のパイプの中から、上記の条件に合うものを適宜組み合わせることによって作製すればよい。
また、二重構造のノズルを採用する場合には、内管の酸素ガス流速に対する外管の酸素ガス流速の比を0.80以上とする必要がある。0.80未満では、内管から噴射された粒子の跳ね返りを抑制する効果が低くなるためである。上記効果を確実に得るには、また外管として複数の小径管を用いるプレネタリー状構造のノズルの場合には、上記比を1.0以上とするのがより好ましい。ただし、内管の酸素ガス流速に対する外管の酸素ガス流速の比を2.0超えとしても、上記効果は飽和してしまうので、上記比の上限は2.0程度とするのが好ましい。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法においては、上記二重構造のノズルを用いる際のノズル先端と被施工体との間の距離は、50mm以上とするのが好ましい。50mm未満では、本発明の二重構造のノズルを用いても、溶射材料の跳ね返りによるノズル閉塞を完全に防止することが難しくなるからである。より好ましくは75mm以上である。
また、本発明の炉壁の溶射補修方法においては、内管の酸素ガス流速を40m/s以上とするのが好ましい。内管の酸素ガス流速を40m/s以上とすることで、溶射材の種類にもよるが、溶射体に求められる強度として十分な、20MPa以上の圧縮強度が得られやすくなる。より好ましくは45m/s以上である。
また、本発明の溶射補修に用いる溶射材料については、特に制限しないが、例えば、コークス炉の炉壁補修に用いる溶射材料としては、金属粉末として金属Siや鉄粉を、また、耐火性粉末として主にSiOを含有するものが好適である。また、耐火性粉末としてMgOやAlを含有してもよい。さらに、溶融性を高めるため、CaOやLiO等を添加してもよい。なお、溶射材料の粒径は、1mm以下であることが好ましい。
金属粉末として金属シリコンを15mass%含有し、ならびに、耐火性粉末として、珪石れんが粉を82.5mass%、その他の成分として、硫酸リチウムをLiO換算値で0.5mass%およびFeを1mass%、CaOを1mass%含有する溶射材料を、テルミット反応を利用した溶射方法で、幅400mm×高さ400mmのシャモット質の平板パネルと、その平板パネルに幅30mm×深さ30mm×長さ300mmの溝を形成した溝付パネルに対して溶射実験を行った。
上記溶射実験では、寸法が異なる内管と外管とから構成される、図5および表1に示したA〜N(14種類)の二重管ノズル(発明例)と、表1に示したO〜Q(3種類)の単管ノズル(比較例)とを用いて、上記2種類のパネルを750〜800℃の温度に加熱した後、平板パネルに対しては、300mm×100mmの範囲にノズルを繰り返して走査し、厚さが50mmに達するまで重ねて盛り付けた、また、溝付パネルに対しては、溝が埋まり、表面がほぼ平坦になるまで盛り付けた。
また、内管および外管から供給する溶射材料の供給速度、酸素ガスの流速および流量は表1に示したように変化させた。ただし、酸素ガスの流速および流量は、溶射体の圧縮強度が15MPa以上となる条件とした。また、ノズルの駆動速度は、材料供給速度に比例させ、80kg/hrのときは80mm/s、100kg/hrのときは100mm/s、120kg/hrのときは120mm/s、150kg/hrのときは150mm/sとした。また、パネルとノズル先端との間の距離は、溶射体の盛り厚さに合わせてノズル先端位置を変化させ、常に75mmの一定距離に保持した。
Figure 2015143394
Figure 2015143394
次いで、上記溶射後のパネルについて、溶射試験前後の質量変化から、施工対象であるパネルに付着した溶射材料の質量を求め、下記式から付着率を求めた。
溶射材料の付着率(%)=(パネルに付着した溶射体の質量(g)/溶射材料の供給量(g))×100
また、平板パネル上に付着した溶射体から、幅30mm×厚さ30mm×長さ30mmの試験片を採取し、JIS R2206に準拠して圧縮強度を測定した。
上記測定の結果を表1に併記した。表1から、溶射材料の付着率は、二重管ノズルを用いた全ての発明例において、単管ノズルを用いた比較例や、二重管ノズルを用いた、外管と内管の酸素ガス流速比が0.80未満である比較例(No.3、19)よりも高くなっていることがわかる。特に、No.18、20の発明例では、平板への付着率が63%以上、溝への付着率が90%以上と高く、圧縮強度も41.0MPa以上の高強度の溶射体が得られている。また、内管の酸素ガス流速が40m/s以上である発明例(No.18,20〜22)においては、良好な付着率に加えて、圧縮強度が37MPa以上の溶射体が得られている。
なお、二重管ノズル、単管ノズルともに、付着率は平板パネルよりも溝付パネルの方が高くなっている。これは溝付パネルの方が、溶射材料が反発し難いことと、金属粉末の酸化熱が放散し難いためであると考えられる。
実施例1に用いた二重管ノズルA,C(発明例)および単管ノズルO,Q(比較例)を用いて、実施例1と同じ溶射材料を平板パネルに対して溶射する実験を行った。
溶射実験は、平板パネルを実施例1よりも低い450〜500℃の温度に加熱した後、表2に示した条件で、300mm×100mmの範囲にノズルを繰り返して走査し、厚さが50mmに達するまで重ねて盛り付けた。この際、パネルとノズル先端との間の距離を75mmと35mmの2水準に変化させた。
Figure 2015143394
次いで、上記溶射後の平板パネルについて、実施例1と同様の方法で溶射材料の付着率を測定した後、平板パネル上に付着した溶射体から、幅30mm×厚さ30mm×長さ30mmの試験片を採取し、JIS R2206に準拠して圧縮強度を測定し、それらの結果を表2に併記した。
表2から、二重管ノズルを用いた本発明例では、加熱温度を低くしたにもかかわらず、被施工材である平板パネルとノズル先端との間の距離が75mmでも、溶射体の圧縮強度15MPa以上を確保できている。特に、No.2の発明例では、付着率が60%と高く、圧縮強度も34.5MPaと高強度の溶射体が得られている。
これに対して、単管ノズルを用いた比較例では、平板ノズル先端とパネルとの間の距離を35mmに近づけないと圧縮強度15MPa以上の強度を確保できていない。また、二重管ノズルの場合でも、内管と外管の酸素ガスの流速比が0.77のNo.3の発明例では付着率が41%で、付着率の向上効果は得られない。
なお、ノズル先端と平板パネルとの間の距離を35mmに近づけた例では、平板パネルからの溶射材料の跳ね返りによる付着率の低下やノズル閉塞が発生し、作業能率が大幅に低下した。
本発明の技術は、コークス炉等の工業窯炉の炉壁の補修に適用できる他、その他の耐火物炉壁、例えば、製銑分野における溶銑樋、製鋼分野における転炉や取鍋、脱ガス処理炉、連続鋳造設備のタンディッシュ等の耐火物補修にも好適に用いることができる。
1:内管
2:外管

Claims (6)

  1. 金属粉末の酸化反応熱で溶融した耐火性粉末を補修面に溶着させるテルミット反応方式の溶射を用いた炉壁の補修方法において、
    内管と外管からなる二重構造のノズルを用い、内管から金属粉末を含む耐火性粉末と酸素ガスを、外管から酸素ガスを噴出させるとともに、
    内管の酸素ガス流速に対する外管の酸素ガス流速の比を0.80以上とすることを特徴とする炉壁の溶射補修方法。
  2. 外管の内径と内管の外径との間の距離が2mm以上のノズルを用いることを特徴とする請求項1に記載の炉壁の溶射補修方法。
  3. 内管の内径が10〜20mmφで、内管の厚さが1mm以上のノズルを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炉壁の溶射補修方法。
  4. 内管の長さに対する外管の長さが、(−内管内径の0.5倍〜+内管内径の2倍)であるノズルを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炉壁の溶射補修方法。
  5. ノズル先端と被施工体との間の距離を50mm以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炉壁の溶射補修方法。
  6. 内管の酸素ガス流速を40m/s以上とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の炉壁の溶射補修方法。
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