JP3716536B2 - 火炎溶射補修方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用炉の内壁を熱間状態で補修する火炎溶射補修方法に関し、更に詳しくは、コークス炉、高炉、製鋼窯炉等の熱間状態内の内壁損傷部に粉末の耐火物と金属の混合物を噴射ノズルを用い火炎により溶融しあるいは溶融・酸化し、溶射補修する火炎溶射補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業窯炉、特に鉄鋼設備としてのコークス炉、高炉、製鋼窯炉等築炉構造物は、乾留石炭、溶銑、溶鋼、スラグ等の溶融物質を内部に保持し、内壁に使用される耐火物は通常1,000℃以上の温度にさらされ、特にコークスの押し出し、溶銑・溶鋼の注湯、貯留、排出等を行う際には、それら内壁の温度は著しく変化する。従って、それら内壁は、単に溶融物が浸潤して溶損するだけでなく、熱スポーリングによる亀裂や剥離等の損傷が発生する。
【0003】
このため、種々の損傷要因に対処するため、設計あるいは築炉段階においては、適切なれんが材質を選択する必要があり、一方では、一炉代の延命を図る目的から、稼働期間の中間段階で補修することが重要になっている。この補修技術としては、耐火物損傷部に熱間で補修材料を吹き付ける火炎溶射補修が盛んに試みられている。
【0004】
火炎溶射補修は、修復すべき炉壁耐火物材質とほぼ同様な組成を有する補修用耐火性粉体、あるいは補修用耐火物粉体と金属粉体の混合物を火炎溶射補修材料とするもので、耐火性粉体は可燃ガスの燃焼熱により溶融し、また、金属粉体はそれ自身の燃焼により発熱すると共に酸化物となり耐火性粉体と共に溶射補修層を形成する。特に、コークス炉は、改修時以外は炉温を下げることが出来ず、熱間状態での補修が必須なことから、火炎溶射補修方法が有効である。このような火炎溶射補修方法は、例えば、特公平2−45110号公報に示されるように、粉末状の耐火性粉体と金属粉体を、可燃性物質及び可燃性ガスに混合し、支燃性ガス中に供給し、燃焼火炎の熱によりその耐火性粉体を溶融し、また金属粉体を溶融、酸化して、瞬時に炉の内壁の損傷部に吹き付けて炉壁耐火物表面で凝固させ溶射補修層を形成する乾式方法である。
【0005】
上記公報によれば、金属粉体の燃焼性を良好にするために、支燃性ガスである酸素ガスを、可燃性ガスの理論燃焼当量分の他に、金属粉体の理論酸化反応当量の3倍以上供給することにより、可燃性ガスの完全燃焼促進と、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進するものであった。更に、この方法では可燃性ガス供給量を耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の発熱とすることにより、溶射ノズル先端への耐火材の溶着を抑制し、フレームを安定化することによって、緻密な溶射層を形成することができた。
【0006】
ところで、近年、補修面積が拡大しつつある状況下で効率良く補修を行う1つの方法として、その吐出速度を増加することがある。吐出速度を増加することは金属粉体の絶対量が増加することになる。この目的のため、金属粉体の理論酸化反応当量の3倍以上の酸素ガスを供給すると、可燃性ガスの完全燃焼を促進し、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進するが、その残りの過剰酸素により火炎温度が低下する。その結果、可燃性ガス供給量を耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の発熱では充分に溶射材料を溶融することができず、緻密な溶射層を形成できない結果を招くこともあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の技術を更に発展させたものであり、溶射火炎を形成する中で、過剰酸素量を規定することにより、可燃性ガスの完全燃焼促進、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進することはもちろん、全発熱量を確保することによって、溶射材料を充分溶融させ、健全な溶射層を形成する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために様々な溶射補修の施工方法について、検討、試験を重ねた結果、下記の手段に想到した。
すなわち、燃焼して耐火性酸化物を形成する金属粉体と耐火性粉体とからなる混合耐火材料を、不活性ガス及び可燃ガスの混合ガスまたは可燃性ガスと共に支燃性ガス気流中に噴射し溶射して、耐火物を補修する火炎溶射補修方法において、前記供給支燃性ガス量から、前記供給可燃性ガスの理論当量及び前記供給金属粉体の理論酸化反応量の合計支燃性ガス量を引いた、1時間当りの過剰支燃性ガス量X(Nm3 /h)と、前記供給可燃性ガスの前記混合耐火材料の耐火性粉体1kg当りの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)との関係が、
Y ≧ 10000 − 100・X
の関係を満足する火炎溶射補修方法である。また、供給可燃性ガスとして、前記混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000以上5000(kcal/kg粉体/h)以下の発熱量を有するガスを供給する火炎溶射補修方法である。
【0009】
本発明において、金属粉体は、Si,Al,Mg,Mn,FeMn,SiMn,CaSi,FeSi,FeCr,CaC2 CaAl,MgAl等のうちの一種類もしくは数種類含むことでよい。また、耐火性粉体については、けい石、アルミナ、ムライト、シャモット系、ジルコン、ジルコニア、スピネル、マグネシア及びマグクロ等のうちのいずれか一種類以上含むことによって、溶射層の目標組成に合わせて金属粉体を配合することにより目的を達成することができる。
【0010】
上記のほかに、金属粒子の性状について特に規定はないが、好ましくは金属粒子の最大粒子径を0.3mm以下にすることによって、溶射層の緻密性、基体への接着性の向上を図ることが可能になる。また、耐火性粒子の性状についても特に規定はないが、好ましくは耐火性粒子の最大粒子径を0.5mm以下にすることによって、溶射層の緻密性、基体への接着性の一層の向上を図ることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、混合耐火材料を可燃性ガスと共に支燃性ガス気流中に噴射して耐火物を補修する場合に、過剰支燃性ガス量X(Nm3 /h)と、耐火性粉体1kg当りの可燃性ガスの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)との関係が、
Y ≧ 10000−100・X ……(2)
の関係を満足する火炎溶射補修を行うことにより、溶射材料を充分溶融することが出来る。その理由は以下による。
【0012】
発明者等は、種々の実験の結果、可燃性ガスの完全燃焼促進、金属粉体との接触を増加する酸化反応の促進となる過剰支燃性ガスの規定の仕方を、現行の金属粉体の吐出速度に応じて変化させる規定方法から、吐出速度とは無関係に、過剰酸素量と可燃性ガスの発熱量の関係のみで規定することにより、可燃性ガスの完全燃焼を促進し、金属粉体との接触を増加する酸化反応を促進することができた。この場合、可燃性ガスの発熱が大きければ、火炎からの発熱だけにより耐火物粒子、金属粒子を溶融することができるので、過剰酸素量は少量でも溶射材料は溶融し、緻密な溶射層を形成することができる。一方、可燃性ガスの発熱が小さければ、火炎からの発熱だけでは耐火物粒子、金属粒子を溶融することができないため、過剰酸素量を多量にして金属粉体との接触を増加させ、酸化反応を促進し発熱させることにより、溶射材料は溶融し、緻密な溶射量を形成することができる。
【0013】
また、耐火性粉体に対する可燃性ガスの供給量を混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り5000kcalを超える量に増加すると、溶射材料の溶融も容易とはなるが、溶射ノズル先端での耐火材料の溶着によるフレームの乱れが生じやすく、緻密な溶射層が形成できない場合がある。また可燃性ガスの増加は溶射補修におけるコスト上昇に直接つながるため、混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の可燃性ガスの使用が好ましい。
【0014】
さらに可燃性ガスの供給量を混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000kcalよりも低減させてしまうと、フレーム温度が低下するため、混合耐火材料内部での伝熱が律速となって溶融が不十分となりやすくなる。これを回避するためには、材料粉体の粒径を50μm以下(平均10μm)程度に小さくして伝熱を促進する必要があるが、金属粉体の粒径を小さくすることは、金属粉体の表面積が増加して活性となり、取り扱うにあたり爆発防止など様々な処置を取る必要が生じるため好ましくない。
【0015】
このような理由により、耐火性粉体に対する可燃性ガスの供給量は、混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000〜5000kcalの範囲とすることが好ましい。
【0016】
【実施例】
けい石80%、金属シリコン20%の混合溶射材料を溶射速度50〜150kg/h、可燃ガスとしてプロパン流量5〜20Nm3 /h、支燃性ガスとして酸素流量50〜300Nm3 /hの溶射条件に従って、炉壁温度750℃のけい石れんがに溶射し溶射層を形成し、溶射層の圧縮強度を測定した。
【0017】
図1に単位時間当りの過剰酸素量X(Nm3 /h)と耐火性粉末1kg当りのプロパンガスの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)の関係を種々変化させたときの生成溶射層物の圧縮強度が200kgf/cm2 以上と未満に分けてそれぞれ白丸及び黒丸で示した。図1に示すように、
Y ≧ 10000−100・X
となる領域では、溶射層物の圧縮強度が200kgf/cm2 を越え、溶射材料が充分溶融し、優れていることが明らかになった。
【0018】
またプロパンガスの発熱量Yが5000(kcal/kg粉体/h)を超えた範囲では、火炎の乱れに起因して溶射層の緻密でない部分が見られ、圧縮強度の200kgf/cm2 未満となった場合もあった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、溶射ガス中の可燃性ガスの完全燃焼を図ることができ、金属粉体の酸化を促進し、溶射材料を充分に溶融させて健全な溶射層を効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】過剰酸素量と、耐火性粉末1kg当りのプロパンガスの発熱量の関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用炉の内壁を熱間状態で補修する火炎溶射補修方法に関し、更に詳しくは、コークス炉、高炉、製鋼窯炉等の熱間状態内の内壁損傷部に粉末の耐火物と金属の混合物を噴射ノズルを用い火炎により溶融しあるいは溶融・酸化し、溶射補修する火炎溶射補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業窯炉、特に鉄鋼設備としてのコークス炉、高炉、製鋼窯炉等築炉構造物は、乾留石炭、溶銑、溶鋼、スラグ等の溶融物質を内部に保持し、内壁に使用される耐火物は通常1,000℃以上の温度にさらされ、特にコークスの押し出し、溶銑・溶鋼の注湯、貯留、排出等を行う際には、それら内壁の温度は著しく変化する。従って、それら内壁は、単に溶融物が浸潤して溶損するだけでなく、熱スポーリングによる亀裂や剥離等の損傷が発生する。
【0003】
このため、種々の損傷要因に対処するため、設計あるいは築炉段階においては、適切なれんが材質を選択する必要があり、一方では、一炉代の延命を図る目的から、稼働期間の中間段階で補修することが重要になっている。この補修技術としては、耐火物損傷部に熱間で補修材料を吹き付ける火炎溶射補修が盛んに試みられている。
【0004】
火炎溶射補修は、修復すべき炉壁耐火物材質とほぼ同様な組成を有する補修用耐火性粉体、あるいは補修用耐火物粉体と金属粉体の混合物を火炎溶射補修材料とするもので、耐火性粉体は可燃ガスの燃焼熱により溶融し、また、金属粉体はそれ自身の燃焼により発熱すると共に酸化物となり耐火性粉体と共に溶射補修層を形成する。特に、コークス炉は、改修時以外は炉温を下げることが出来ず、熱間状態での補修が必須なことから、火炎溶射補修方法が有効である。このような火炎溶射補修方法は、例えば、特公平2−45110号公報に示されるように、粉末状の耐火性粉体と金属粉体を、可燃性物質及び可燃性ガスに混合し、支燃性ガス中に供給し、燃焼火炎の熱によりその耐火性粉体を溶融し、また金属粉体を溶融、酸化して、瞬時に炉の内壁の損傷部に吹き付けて炉壁耐火物表面で凝固させ溶射補修層を形成する乾式方法である。
【0005】
上記公報によれば、金属粉体の燃焼性を良好にするために、支燃性ガスである酸素ガスを、可燃性ガスの理論燃焼当量分の他に、金属粉体の理論酸化反応当量の3倍以上供給することにより、可燃性ガスの完全燃焼促進と、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進するものであった。更に、この方法では可燃性ガス供給量を耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の発熱とすることにより、溶射ノズル先端への耐火材の溶着を抑制し、フレームを安定化することによって、緻密な溶射層を形成することができた。
【0006】
ところで、近年、補修面積が拡大しつつある状況下で効率良く補修を行う1つの方法として、その吐出速度を増加することがある。吐出速度を増加することは金属粉体の絶対量が増加することになる。この目的のため、金属粉体の理論酸化反応当量の3倍以上の酸素ガスを供給すると、可燃性ガスの完全燃焼を促進し、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進するが、その残りの過剰酸素により火炎温度が低下する。その結果、可燃性ガス供給量を耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の発熱では充分に溶射材料を溶融することができず、緻密な溶射層を形成できない結果を招くこともあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の技術を更に発展させたものであり、溶射火炎を形成する中で、過剰酸素量を規定することにより、可燃性ガスの完全燃焼促進、金属粉体との接触を増加して酸化反応を促進することはもちろん、全発熱量を確保することによって、溶射材料を充分溶融させ、健全な溶射層を形成する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために様々な溶射補修の施工方法について、検討、試験を重ねた結果、下記の手段に想到した。
すなわち、燃焼して耐火性酸化物を形成する金属粉体と耐火性粉体とからなる混合耐火材料を、不活性ガス及び可燃ガスの混合ガスまたは可燃性ガスと共に支燃性ガス気流中に噴射し溶射して、耐火物を補修する火炎溶射補修方法において、前記供給支燃性ガス量から、前記供給可燃性ガスの理論当量及び前記供給金属粉体の理論酸化反応量の合計支燃性ガス量を引いた、1時間当りの過剰支燃性ガス量X(Nm3 /h)と、前記供給可燃性ガスの前記混合耐火材料の耐火性粉体1kg当りの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)との関係が、
Y ≧ 10000 − 100・X
の関係を満足する火炎溶射補修方法である。また、供給可燃性ガスとして、前記混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000以上5000(kcal/kg粉体/h)以下の発熱量を有するガスを供給する火炎溶射補修方法である。
【0009】
本発明において、金属粉体は、Si,Al,Mg,Mn,FeMn,SiMn,CaSi,FeSi,FeCr,CaC2 CaAl,MgAl等のうちの一種類もしくは数種類含むことでよい。また、耐火性粉体については、けい石、アルミナ、ムライト、シャモット系、ジルコン、ジルコニア、スピネル、マグネシア及びマグクロ等のうちのいずれか一種類以上含むことによって、溶射層の目標組成に合わせて金属粉体を配合することにより目的を達成することができる。
【0010】
上記のほかに、金属粒子の性状について特に規定はないが、好ましくは金属粒子の最大粒子径を0.3mm以下にすることによって、溶射層の緻密性、基体への接着性の向上を図ることが可能になる。また、耐火性粒子の性状についても特に規定はないが、好ましくは耐火性粒子の最大粒子径を0.5mm以下にすることによって、溶射層の緻密性、基体への接着性の一層の向上を図ることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、混合耐火材料を可燃性ガスと共に支燃性ガス気流中に噴射して耐火物を補修する場合に、過剰支燃性ガス量X(Nm3 /h)と、耐火性粉体1kg当りの可燃性ガスの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)との関係が、
Y ≧ 10000−100・X ……(2)
の関係を満足する火炎溶射補修を行うことにより、溶射材料を充分溶融することが出来る。その理由は以下による。
【0012】
発明者等は、種々の実験の結果、可燃性ガスの完全燃焼促進、金属粉体との接触を増加する酸化反応の促進となる過剰支燃性ガスの規定の仕方を、現行の金属粉体の吐出速度に応じて変化させる規定方法から、吐出速度とは無関係に、過剰酸素量と可燃性ガスの発熱量の関係のみで規定することにより、可燃性ガスの完全燃焼を促進し、金属粉体との接触を増加する酸化反応を促進することができた。この場合、可燃性ガスの発熱が大きければ、火炎からの発熱だけにより耐火物粒子、金属粒子を溶融することができるので、過剰酸素量は少量でも溶射材料は溶融し、緻密な溶射層を形成することができる。一方、可燃性ガスの発熱が小さければ、火炎からの発熱だけでは耐火物粒子、金属粒子を溶融することができないため、過剰酸素量を多量にして金属粉体との接触を増加させ、酸化反応を促進し発熱させることにより、溶射材料は溶融し、緻密な溶射量を形成することができる。
【0013】
また、耐火性粉体に対する可燃性ガスの供給量を混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り5000kcalを超える量に増加すると、溶射材料の溶融も容易とはなるが、溶射ノズル先端での耐火材料の溶着によるフレームの乱れが生じやすく、緻密な溶射層が形成できない場合がある。また可燃性ガスの増加は溶射補修におけるコスト上昇に直接つながるため、混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り5000kcal以下の可燃性ガスの使用が好ましい。
【0014】
さらに可燃性ガスの供給量を混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000kcalよりも低減させてしまうと、フレーム温度が低下するため、混合耐火材料内部での伝熱が律速となって溶融が不十分となりやすくなる。これを回避するためには、材料粉体の粒径を50μm以下(平均10μm)程度に小さくして伝熱を促進する必要があるが、金属粉体の粒径を小さくすることは、金属粉体の表面積が増加して活性となり、取り扱うにあたり爆発防止など様々な処置を取る必要が生じるため好ましくない。
【0015】
このような理由により、耐火性粉体に対する可燃性ガスの供給量は、混合耐火材料の耐火性粉体1kg当り1000〜5000kcalの範囲とすることが好ましい。
【0016】
【実施例】
けい石80%、金属シリコン20%の混合溶射材料を溶射速度50〜150kg/h、可燃ガスとしてプロパン流量5〜20Nm3 /h、支燃性ガスとして酸素流量50〜300Nm3 /hの溶射条件に従って、炉壁温度750℃のけい石れんがに溶射し溶射層を形成し、溶射層の圧縮強度を測定した。
【0017】
図1に単位時間当りの過剰酸素量X(Nm3 /h)と耐火性粉末1kg当りのプロパンガスの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)の関係を種々変化させたときの生成溶射層物の圧縮強度が200kgf/cm2 以上と未満に分けてそれぞれ白丸及び黒丸で示した。図1に示すように、
Y ≧ 10000−100・X
となる領域では、溶射層物の圧縮強度が200kgf/cm2 を越え、溶射材料が充分溶融し、優れていることが明らかになった。
【0018】
またプロパンガスの発熱量Yが5000(kcal/kg粉体/h)を超えた範囲では、火炎の乱れに起因して溶射層の緻密でない部分が見られ、圧縮強度の200kgf/cm2 未満となった場合もあった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、溶射ガス中の可燃性ガスの完全燃焼を図ることができ、金属粉体の酸化を促進し、溶射材料を充分に溶融させて健全な溶射層を効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】過剰酸素量と、耐火性粉末1kg当りのプロパンガスの発熱量の関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 耐火性粉体および燃焼酸化後に耐火性酸化物を形成する金属粉体からなる混合耐火材料を、不活性ガス及び可燃性ガスの混合ガスまたは可燃性ガスと共に支燃性ガス気流中に噴射し、耐火物を補修する火炎溶射補修方法において、前記可燃性ガスの燃焼反応理論当量及び前記金属粉体の酸化反応理論当量の合計に相当する支燃性ガス量を前記供給支燃性ガス量から差し引いた1時間当りの過剰支燃性ガス量X(Nm3 /h)と、前記混合耐火材料中の耐火性粉体1kg当りに投入する、前記供給可燃性ガスの発熱量Y(kcal/kg粉体/h)とが、下記(1)式の関係を満足することを特徴とする火炎溶射補修方法。
Y ≧ 10000 − 100・X ……(1) - 前記発熱量Yが1000以上、5000以下である供給可燃性ガスを使用することを特徴とする請求項1記載の火炎溶射補修方法。
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---|---|---|---|
JP05197697A JP3716536B2 (ja) | 1997-03-06 | 1997-03-06 | 火炎溶射補修方法 |
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JP05197697A JP3716536B2 (ja) | 1997-03-06 | 1997-03-06 | 火炎溶射補修方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10246580A JPH10246580A (ja) | 1998-09-14 |
JP3716536B2 true JP3716536B2 (ja) | 2005-11-16 |
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JPH10246580A (ja) | 1998-09-14 |
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