JP2015139982A - 圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電アクチュエータ Download PDF

Info

Publication number
JP2015139982A
JP2015139982A JP2014015657A JP2014015657A JP2015139982A JP 2015139982 A JP2015139982 A JP 2015139982A JP 2014015657 A JP2014015657 A JP 2014015657A JP 2014015657 A JP2014015657 A JP 2014015657A JP 2015139982 A JP2015139982 A JP 2015139982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric layer
electrode
piezoelectric
low dielectric
constant potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014015657A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6127993B2 (ja
Inventor
恭兵 内藤
Kyohei Naito
恭兵 内藤
瑞代 竹林
Mizuyo Takebayashi
瑞代 竹林
圭司 蔵
Keiji Kura
圭司 蔵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2014015657A priority Critical patent/JP6127993B2/ja
Publication of JP2015139982A publication Critical patent/JP2015139982A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6127993B2 publication Critical patent/JP6127993B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】圧電アクチュエータの駆動時の変形量を大きくする。【解決手段】圧電層41と圧電層42との間に配置され、グランド電位保持される下部電極の対向部44aは、圧力室10の搬送方向の両端部と重なっている。圧電層42と圧電層43との間に配置され、駆動電位に保持される中間電極の対向部45aは、圧力室10の搬送方向の中央部と重なっている。圧電層43の上面に配置された上部電極46は、圧力室10のほぼ全域と重なっている。圧電層42の上面の対向部45aと重なる部分には、圧電層41〜43を構成する圧電材料よりも誘電率の低い低誘電部47が配置され、対向部45aは、低誘電部47が配置された圧電層42の上面に配置されている。【選択図】図5

Description

本発明は、圧電アクチュエータに関する。
特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、圧電アクチュエータが、3つの圧電層と、個別電極と、第1共通電極と、第2共通電極とを備えている。3つの圧電層は、互いに積層され、圧力室を覆うように配置されている。個別電極は、最も上側の圧電層の上面に配置され、圧力室のほぼ全域と重なっている。第1共通電極は、上側の圧電層と中央の圧電層との間に配置され、圧力室の中央部と重なっている。第1共通電極は、駆動電位に保持されている。第2共通電極は、中央の圧電層と下側の圧電層との間に配置され、紙送り方向における圧力室の両端部と重なっている。第2共通電極は、グランド電位に保持されている。また、上側の圧電層の個別電極と第1共通電極とに挟まれた部分、及び、上側及び中央の圧電層の、個別電極と第2共通電極とに挟まれ、且つ、第1共通電極とは重ならない部分は、3つの圧電層の厚み方向に分極されている。そして、この圧電アクチュエータでは、個別電極の電位をグランド電位と駆動電位との間で切り換えることにより、3つの圧電層の圧力室と重なる部分を圧力室側及び圧力室と反対側に撓ませることができる。
特開2013−124195号公報
ここで、特許文献1に記載されているようなインクジェットヘッドでは、第1共通電極が駆動電位に保持され、第2共通電極がグランド電位に保持されているため、第1共通電極と第2共通電極との間の電位差により、中央の圧電層の、個別電極と第2共通電極とに挟まれて分極された部分が含まれている。そして、圧電層のこの部分は、上記電界により常に収縮した状態となる。そのため、圧電層のこの部分は、個別電極の電位をグランド電位と駆動電位との間で切り換えて圧電アクチュエータを駆動したときに伸縮せず、圧電アクチュエータの駆動時における圧電層の変形量を低下させる要因となる。
本発明の目的は、駆動時の変形量を大きくすることが可能な圧電アクチュエータを提供することである。
第1の発明に係る圧電アクチュエータは、第1圧電層と、前記第1圧電層と積層された第2圧電層とを含む積層体と、前記第2圧電層の前記第1圧電層と反対側の面に配置された駆動電極と、前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に、前記駆動電極との間で前記第2圧電層を挟むように配置され、所定の第1電位に保持可能に構成された第1定電位電極と、前記駆動電極との間で、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の、前記第1定電位電極と重ならない部分を挟むように配置され、前記第1電位と異なる第2電位に保持可能に構成された第2定電位電極と、を備え、前記第2圧電層の前記駆動電極と前記第1定電位電極とに挟まれた部分は、前記第2圧電層の厚み方向に分極された第1活性部となっており、前記第1圧電層及び2圧電層の、前記駆動電極と前記第2定電位電極とに挟まれ、且つ、前記第1定電位電極と重ならない部分は、第1活性部と反対向きに分極された第2活性部となっており、前記積層体の、前記第1定電位電極と前記第2定電位電極との電位差によって電界が発生する部分に、前記第1圧電層よりも誘電率が小さい低誘電部が設けられている。
低誘電部がないとすると、第1定電位電極が第1電位に保持され、第2定電位電極が第2電位に保持されたときに、第1定電位電極と第2定電位電極との間の電位差により、第2活性部の一部分に常に大きな電界が発生し、第2活性部のこの部分が常に第1、第2圧電層の面方向に収縮した状態となる。すなわち、第2活性部の一部分が、駆動時と待機時とに関わらず常に第1、第2圧電層の面方向に収縮したままとなり、駆動時に第2活性部全体が伸縮する場合と比べて、圧電アクチュエータの駆動時の変形量が大きく低下する虞がある。本発明では、積層体の、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差によって電界が生じる部分に、第1圧電層よりも誘電率の低い低誘電部が設けられている。これにより、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差により発生する電界は、低誘電部において大きくなり、第2活性部において小さくなる。その結果、駆動時の圧電アクチュエータの変形量を大きくすることができる。
第2の発明に係る圧電アクチュエータは、第1の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記低誘電部が、前記第1定電位電極の前記第2圧電層と反対側に、前記第1定電位電極と重なるように配置されている。
本発明によると、低誘電部を、第1定電位電極の第2圧電層と反対側に、第1定電位電極と重なるように配置すれば、第1定電位電極の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線が低誘電部を通る。これにより、低誘電部がない場合と比較して、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部を形成する部分に発生する電界を小さくすることができる。
第3の発明に係る圧電アクチュエータは、第2の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記低誘電部が、前記第1圧電層の前記第2圧電層側の面に配置され、前記第1定電位電極が、前記低誘電部が配置された前記第1圧電層の前記第2圧電層側の面に配置されている。
本発明によると、低誘電部を、第1圧電層の第2圧電層側の面に配置し、低誘電部が配置された第1圧電層の第2圧電層側の面に第1定電位電極を配置すれば、第1定電位電極の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線が低誘電部を通る。これにより、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部を形成する電界を特に小さくすることができる。
第4の発明に係る圧電アクチュエータは、第3の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記低誘電部は、前記第1活性部の全域と重なっている。
本発明によると、低誘電部が第1活性部の全域と重なるように配置すれば、第1定電位電極の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線が必ず低誘電部を通る。これにより、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部に発生する電界を確実に小さくすることができる。
第5の発明に係る圧電アクチュエータは、第4の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、複数の前記駆動電極が、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向に沿った所定の第1方向に配列され、前記第1定電位電極は、前記第1方向に沿って配列され、複数の前記駆動電極と対向する複数の第1対向部と、前記第1方向に延びて、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向と平行で且つ前記第1方向と直交する第2方向における、前記複数の第1対向部の片側の端部同士を導通させる第1導通部と、を備え、前記第2定電位電極は、前記第1方向に沿って配列され、複数の前記駆動電極と対向する複数の第2対向部と、前記第1方向に延びて、前記第2方向における前記複数の第2対向部の片側の端部同士を導通させる第2導通部と、を備え、前記低誘電部は、前記複数の第1対向部に対して個別に設けられ、各第1対向部の全域と重なっており、前記第1導通部とは重なっていない。
本発明によると、第1定電位電極が複数の第1対向部とこれらを導通させる第1導通部とを備えている場合に、低誘電部を、各第1対向部と重なり、第1導通部とは重ならないように配置することで、低誘電部を第1活性部の全域と重なるように配置することができる。
第6の発明に係る圧電アクチュエータは、第3〜第5のいずれかの発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記第1定電位電極と前記第2定電位電極とが、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向と平行な所定の一方向に離れて配置され、前記一方向において、前記低誘電部が前記第1定電位電極からはみ出している。
低誘電部が、第1圧電層の第2圧電層側の面に配置されている場合、圧電アクチュエータの製造において、第1圧電層の第2圧電層側となる面に低誘電部を形成し、さらに、低誘電部が形成された第1圧電層の第2圧電層側となる面に第1定電位電極を形成することがある。このとき、低誘電部と第1定電位電極とに一方向の位置ずれが生じて、第1定電位電極が低誘電部からはみ出してしまうと、第1定電位電極の低誘電部からはみ出した部分の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線が低誘電部を通らなくなり、第1定電位電極が低誘電部からはみ出していない場合と比較して、第2活性部に大きな電界が発生する虞がある。本発明では、一方向において、低誘電部が、第1定電位電極からはみ出しているため、第1圧電層の第2圧電層側となる面に、上記のようにして第1定電位電極と低誘電部とを形成する場合に、低誘電部と第1定電位電極とに一方向の位置ずれが生じても、第1定電位電極が低誘電部からはみ出すことがない。
第7の発明に係る圧電アクチュエータは、第6の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記積層体が、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側に積層された絶縁層をさらに含み、前記一方向における前記低誘電部の前記第1定電位電極からのはみ出し量が、前記一方向における前記第1定電位電極と前記第2定電位電極との間隔よりも短い。
低誘電部が、第1圧電層の第2圧電層側の面に配置され、第1圧電層の第2圧電層と反対側の面に絶縁層が設けられている場合、第1圧電層側となる面に第2定電位電極が形成された絶縁層と、第2圧電層側となる面に第1定電位電極及び低誘電部が形成された第1圧電層と、第1圧電層と反対側となる面に駆動電極が形成された第2圧電層とを積層させることによって、圧電アクチュエータを形成することがある。このとき、絶縁層と第1圧電層との位置ずれによって低誘電部が第2定電位電極と重なると、低誘電部が第2定電位電極と重なっていない場合と比較して、駆動電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部に生じる、圧電アクチュエータを駆動させるための電界が小さくなり、圧電アクチュエータの変形量が低下する虞がある。
これに対して、本発明では、一方向における低誘電部の第1定電位電極からのはみ出し量が、一方向における第1定電位電極と第2定電位電極との間隔よりも短いため、絶縁層と第1圧電層とが一方向の多少位置ずれしても低誘電部が、第2定電位電極と重なることがない。
第8の発明に係る圧電アクチュエータは、第2の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記積層体が、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側に積層された絶縁層をさらに含み、前記低誘電部が、前記第1圧電層と前記絶縁層との間に配置されている。
本発明によると、低誘電部が、第1圧電層と絶縁層との間に配置されている場合、第1圧電層側となる面に第2定電位電極及び低誘電部が形成された絶縁層と、第2圧電層側となる面に第1定電位電極が形成された第1圧電層と、第1圧電層と反対側となる面に駆動電極が形成された第2圧電層とを積層させて圧電アクチュエータを形成することがある。このとき、絶縁層と第1圧電層との位置ずれによって低誘電部が第2定電位電極と重なると、低誘電部が第2定電位電極とが重なっていない場合と比較して、駆動電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部に生じる、圧電アクチュエータを駆動させるための電界が小さくなり、圧電アクチュエータの変形量が低下する虞がある。
これに対して、本発明では、低誘電部を、第2定電位電極が形成されているのと同じ、絶縁層の第1圧電層側となる面に形成するため、絶縁層と第1圧電層とが一方向に位置ずれしても、第2定電位電極と低誘電部とがずれて、低誘電部が第2定電位電極と重なることがない。
第9の発明に係る圧電アクチュエータは、第1〜第8のいずれかの発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記低誘電部が、第1圧電層の前記第1定電位電極と重なる部分と、前記第1圧電層の記第2活性部を形成する部分との間に設けられている。
本発明によると、第1圧電層の第1定電位電極と重なる部分と、第1圧電層の第2活性部を形成する部分との間に低誘電部を設ければ、第1定電位電極の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線が低誘電部を通る。これにより、低誘電部がない場合と比較して、第1定電位電極と第2定電位電極との間の電位差によって第2活性部に発生する電界を小さくすることができる。
第10の発明に係る圧電アクチュエータは、第9の発明に係る圧電アクチュエータにおいて、前記低誘電部が、前記第1圧電層の厚み方向の全体にわたって延びている。
本発明によると、第1圧電層の第1定電位電極と重なる部分と、第1圧電層の第2活性部を形成する部分との間に低誘電部を設ける場合に、第1圧電層の厚み方向の全体にわたって延びた低誘電部を設ければ、第1定電位電極の第1圧電層側を通って第2定電位電極に至る電気力線がより確実に低誘電部を通る。これにより、第1定電位電極と第2定電位電極との間の電位差によって第2活性部に発生する電界を特に小さくすることができる。
本発明によれば、低誘電部がない場合と比較して、第1定電位電極と第2定電位電極との電位差によって第2活性部に発生する電界を小さくして、圧電アクチュエータの駆動時の変形量を大きくすることができる。
本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。 図1のインクジェットヘッドの平面図である。 図2の圧電アクチュエータの各層の上面の平面図であり、(a)がインク分離層の上面、(b)が下側の圧電層の上面、(c)が上側の圧電層の上面を示している。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 インクジェットヘッドの製造方法を説明するための図面であり、(a)がグリーンシートに電極及び低誘電部材を形成する工程、(b)がグリーンシートを積層させる工程、(c)が圧電アクチュエータと流路ユニットとを接合する工程を示している。 変形例1の図5相当の図である。 (a)が変形例1の図6(a)相当の図であり、(b)が変形例1の図6(b)相当の図である。 (a)が変形例2の図5相当の図であり、(b)が変形例3の図5相当の図である。 (a)が変形例4の図5相当の図であり、(b)が変形例5の図5相当の図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、搬送ローラ4などを備えている。キャリッジ2は走査方向に延びた2本のガイドレール5に支持され、ガイドレール5に沿って走査方向に移動可能となっている。なお、以下では、図1に示すように走査方向に右側及び左側を定義して説明を行う。
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面に形成された複数のノズル15からインクを吐出させる。搬送ローラ4は、走査方向と直交する搬送方向におけるキャリッジ2の両側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
そして、プリンタ1では、搬送ローラ4により記録用紙Pを搬送方向に搬送させつつ、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出させることによって、記録用紙Pに印刷を行う。
次に、インクジェットヘッド3について説明する。インクジェットヘッド3は、図2〜図5に示すように、ノズル15や後述の圧力室10等のインク流路が形成された流路ユニット21と、圧力室10内のインクに圧力を付与するための圧電アクチュエータ22とを備えている。なお、図面を分かりやすくするため、図2、図3では、流路ユニット21の圧力室10及びノズル15以外のインク流路、後述の下部電極44及び中間電極45の図示を省略している。また、図5では、流路ユニット21のうち後述のプレート31のみを図示している。
流路ユニット21は、4枚のプレート31〜34が互いに積層されることによって形成されている。これら4枚のプレート31〜34のうち、3枚のプレート31〜33は、ステンレスなどの金属材料からなる。プレート34は、ポリイミドなどの合成樹脂材料からなる。あるいは、プレート34もプレート31〜33と同様、金属材料からなるものであってもよい。
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。圧力室10は、走査方向を長手方向とする略矩形の平面形状を有している。また、複数の圧力室10は、搬送方向に配列されることによって圧力室列9を形成し、プレート31には、4つの圧力室列9が走査方向に配列されている。
プレート32には、複数の圧力室10の左端部と重なる部分に、略円形の平面形状を有する複数の貫通孔12が形成されている。また、プレート32には、複数の圧力室10の走査方向における右端部と重なる部分に、略円形の平面形状を有する複数の貫通孔13が形成されている。
プレート33には、4本のマニホールド流路11が形成されている。4本のマニホールド流路11は、4つの圧力室列9に対応しており、各圧力室列9を形成する複数の圧力室10にまたがって搬送方向に延び、各圧力室列9を形成する複数の圧力室10の、走査方向における貫通孔13側の端部以外の部分と重なっている。
また、各マニホールド流路11には、搬送方向下流側の端部に設けられたインク供給口8からインクが供給される。また、プレート33には、複数の貫通孔13と重なる部分に、略円形の複数の貫通孔14が形成されている。プレート34には、複数の貫通孔13と重なる部分に複数のノズル15が形成されている。
そして、流路ユニット21においては、マニホールド流路11が貫通孔12を介して圧力室10と連通し、圧力室10が貫通孔13、14を介してノズル15と連通している。このように、流路ユニット21には、マニホールド流路11の出口から圧力室10を経てノズルに至る複数の個別インク流路が形成されている。
圧電アクチュエータ22は、インク分離層40と、圧電層41〜43と、下部電極44、中間電極45と、複数の上部電極46と、低誘電部47とを備えている。インク分離層40は、ステンレスなどの金属材料などからなり、流路ユニット21の上面に、複数の圧力室10を覆うように配置されている。インク分離層40は、圧力室10内のインクが圧電層41に接触してしまうのを防止するためのものである。
圧電層41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、流路ユニット21の上面に、複数の圧力室10を覆うように配置されている。圧電層41は、インク分離層40と下部電極44とを絶縁させるためのものである。なお、圧電層41は、次に説明する圧電層42、43とは異なり、圧電材料からなるものであることには限られず、合成樹脂材料などの絶縁性を有する別の材料からなるものであってもよい。
圧電層42は、圧電層41と同様の圧電材料からなり、圧電層41の上面に配置されている。圧電層43は、圧電層41、42と同様の圧電材料からなり、圧電層42の上面に配置されている。
下部電極44は、圧電層41と圧電層42との間に配置されている。下部電極44は、複数の対向部44a、4つの導通部44b、接続部44c及び引出部44dを有している。複数の対向部44aは、略矩形の平面形状を有し、各圧力室10の搬送方向における両端部と重なっている。より詳細に説明すると、最も搬送方向の上流側に配置された対向部44aは、最も搬送方向の上流側に配置された圧力室10の搬送方向の上流側の端部と重なっている。また、最も搬送方向の下流側に配置された対向部44aは、最も搬送方向の下流側に配置された圧力室10の搬送方向の下流側の端部と重なっている。また、これら2つの対向部44a以外の対向部44aは、搬送方向に隣接する2つの圧力室10にまたがっている。そして、これらの対向部44aは、搬送方向の上流側の端部が、2つの圧力室10のうち搬送方向の上流側の圧力室10の下流側の端部と重なり、搬送方向の下流側の端部が、2つの圧力室10のうち搬送方向の下流側の圧力室10の上流側の端部と重なっている。
4つの導通部44bは、4つの圧力室列9に対応して設けられ、搬送方向に延びて各圧力室列9に対応する複数の対向部44aの左端部同士を接続している。接続部44cは、走査方向に延びて、4つの導通部44bの搬送方向における上流側の端部同士を接続している。引出部44dは、接続部44cの左端部から搬送方向の下流側に引き出されている。また、引出部44dは、圧電層42、43に形成されたスルーホール39aを介して、圧電層43の上面に引き出され、圧電層43の上面の引出部44dと重なる部分に配置された表面電極48と接続されている。表面電極48は、圧電アクチュエータ22の上方に配置された図示しないCOF(Chip On Film)上に実装されたドライバICに接続されている。下部電極44は、ドライバICにより常にグランド電位に保持されている。
中間電極45は、圧電層42と圧電層43との間に配置されている。中間電極45は、複数の対向部45a、4つの導通部45b、接続部45c及び引出部45dを有している。複数の対向部45aは、略矩形の平面形状を有し、各圧力室10の略中央部と重なっている。また、対向部44aと対向部45aとは、搬送方向に間隔L1だけ離れて配置されており、複数の対向部44aと複数の対向部45aとは重なっていない。4つの導通部45bは、4つの圧力室列9に対応して設けられ、搬送方向に延びて各圧力室列9に対応する複数の重なり部の右端部同士を接続している。接続部45cは、走査方向に延びて、4つの導通部45bの搬送方向における下流側の端部同士を接続している。引出部45dは、接続部45cの左端部から搬送方向の上流側に引き出されている。また、引出部45dは、圧電層43に形成されたスルーホール39bを介して、圧電層43の上面に引き出され、圧電層43の上面の引出部45dと重なる部分に配置された表面電極49と接続されている。表面電極49は、圧電アクチュエータ22の上方に配置された図示しないCOF上に実装されたドライバICに接続されている。これにより、中間電極45は、ドライバICにより、常に、例えば20Vなど、グランド電位とは異なる所定の駆動電位に保持している。
複数の上部電極46は、複数の圧力室10に対して個別に設けられている。上部電極46は、略矩形の平面形状を有し、対応する圧力室10の全域と重なるように配置されている。これにより、上部電極46は、搬送方向における略中央部において、中間電極45の対向部45aと重なり、搬送方向における両端部において、下部電極44の対向部44aと重なっている。また、上部電極46の右端部は、走査方向に圧力室10と重ならない部分まで引き出され、その先端部が接続端子46aとなっている。接続端子46aは、圧電アクチュエータ22の上方に配置された図示しないCOF上に実装されたドライバICに接続されている。これにより、複数の上部電極46は、個別に、グランド電位及び上記駆動電位のいずれかの電位が選択的に付与される。あるいは、上部電極46は、例えば2Vなどグランド電位よりも少し高い電位、及び、例えば18Vなど上記駆動電位よりも少し低い電位のいずれかが選択的に付与されるようになっていてもよい。
また、電極44〜46がこのように配置されているのに対応して、圧電層43の、中間電極45と上部電極46とに挟まれた第1活性部61が上向きに分極され、圧電層42、43の下部電極44と上部電極46とに挟まれた第2活性部62部分が下向きに分極されている。
低誘電部47は、例えば、アルミナ、酸化チタンなど、圧電層41〜43を構成する圧電材料よりも誘電率の小さい材料からなる。低誘電部47は、圧電層42の上面の、中間電極45の対向部45aと重なる部分に配置され、対向部45aの全域にわたって延びている。そして、対向部45aは、低誘電部47が形成された圧電層42の上面に配置されている。また、低誘電部47は、平面視で、走査方向の左側、及び、搬送方向の両側に対向部45aからはみ出している。そして、搬送方向における低誘電部47からのはみ出し量L2は、上述の、搬送方向における対向部44aと対向部45aとの間隔L1よりも小さくなっている。
また、このような構造の圧電アクチュエータ22の中立面は、圧電層42の厚み方向における中央部よりも下方に位置している。ここで、中立面とは、流路ユニット21に固定されていない状態の圧電アクチュエータ22に曲げモーメントが加えられたときに、伸縮しない面のことである。
次に、圧電アクチュエータ22を駆動してノズル15からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ22では、予め、全ての上部電極46がグランド電位に保持されている。この状態では、中間電極45と上部電極46と電位差により第1活性部61に厚み方向と平行な上向きの電界が生じ、この電界の向きは第1活性部61の分極方向と同じであるため、圧電層43の中間電極45と上部電極46とに挟まれた部分が、面方向に収縮している。これにより、インク分離層40及び圧電層41〜43の圧力室10と重なる部分が全体として圧力室10側に凸となるように撓んでいる。
あるノズル15からインクを吐出させるためには、当該ノズル15に対応する上部電極46の電位を一旦駆動電位に切り換え、所定時間経過後、上部電極46の電位をグランド電位に戻す。上部電極46の電位を駆動電位に切り換えると、中間電極45と上部電極46とが同電位となることで、上述の第1活性部61が変形前の状態に戻る。さらに、下部電極44と上部電極46との電位差によって第2活性部62に厚み方向と平行な下向きの電界が発生する。この電界の向きは第2活性部62の分極の向きと同じであるため、第2活性部62が搬送方向に収縮する。これにより、インク分離層40及び圧電層41〜43の圧力室10と重なる部分が全体として、圧力室10と反対側に凸となるように撓む。その結果、圧力室10の容積が増加して圧力室10内のインクが低下することとなり、マニホールド流路11側から圧力室10にインクが供給される。
そして、上部電極46の電位をグランド電位に戻すと、第2活性部62が収縮前の状態に戻るとともに、上述したのと同様、インク分離層40及び圧電層41〜43の圧力室10と重なる部分が全体として圧力室10側に凸となるように撓む。これにより、圧力室10の容積が低下して圧力室10内のインクの圧力が上昇し、圧力室10に連通するノズル15からインクが吐出される。
ここで、本実施の形態では、上述の通り、下部電極44がグランド電位に保持され、中間電極45が駆動電位に保持されている。そのため、下部電極44と中間電極45との電位差により、圧電層41〜43の部分63に電界が発生する。部分63は、圧電層42の対向部44aと対向部45aとの間に位置する部分と、圧電層41及び圧電層43の上記部分に連なる部分とを合わせたものである。また、部分63には、第2活性部62の一部分が含まれる。下部電極44と中間電極45との距離は、下部電極44と上部電極46との距離よりも小さい。そのため、下部電極44と中間電極45との電位差によって部分63に発生する電界は、上部電極46を駆動電位にしたときに第2活性部62に発生する電界よりも大きい。
このとき、本実施の形態とは異なり、低誘電部47が設けられていないとすると、部分63のうち、第2活性部62を形成する部分にも、比較的大きな電界が発生することになる。そして、第2活性部62の上記一部分は、この電界によって常に収縮した状態となる。そのため、上述したように上部電極46の電位を切り換えて圧電アクチュエータ22を駆動したときに、第2活性部62の上記一部分は圧電層42、43の面方向に伸縮しない。すなわち、第2活性部62の一部分は、駆動時と待機時とに関わらず常に、圧電層42、43の面方向に収縮したままとなる。その結果、駆動時に第2活性部62全体が圧電層42、43の面方向に伸縮する場合と比較して、圧電アクチュエータ22を駆動したときのインク分離層40及び圧電層41〜43の変形量が小さくなってしまう虞がある。
これに対して、本実施の形態では、圧電層42の上面の中間電極45の対向部45aと重なる部分に、低誘電部47が配置され、低誘電部47が配置された圧電層42の上面に対向部45aが配置されている。そのため、低誘電部47が配置されていない場合と比較して、部分63に発生する電界は、低誘電部47によって形成される部分において大きくなり、それ以外の部分において小さくなる。これにより、低誘電部47がない場合と比較して、下部電極44と中間電極45との電位差によって、第2活性部62に発生する電界を小さくすることができる。また、低誘電部47が圧電材料である場合には、低誘電部47に高い電界が発生することで、低誘電部47が常に変形した状態となるが、低誘電部47は、第1、第2活性部61、62に含まれる部分ではないため、低誘電部47が常に変形した状態となっていても、圧電アクチュエータ22の変形特性に影響を与えない。その結果、圧電アクチュエータ22を駆動したときのインク分離層40及び圧電層41〜43の変形量が大きくすることができる。
また、本実施の形態では、下部電極44と中間電極45との電位差によって部分63に電界が発生しているときの、対向部44aと対向部45aとの間の電気力線の大部分は、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る。これに対して、本実施の形態では、圧電層42の上面の中間電極45の対向部45aと重なる部分に、低誘電部47が配置され、低誘電部47が配置された圧電層42の上面に対向部45aが配置されている。すなわち、対向部45aの下方に低誘電部47が配置されている。これにより、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る電気力線は、低誘電部47を通る。したがって、下部電極44と中間電極45との電位差によって第2活性部62に発生する電界を確実に小さくすることができる。
さらに、このとき、本実施の形態の場合には、低誘電部47が対向部45a全体と重なっているため、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る電気力線が、必ず低誘電部47を通る。したがって、下部電極44と中間電極45との電位差によって第2活性部62に発生する電界を確実に小さくすることができる。
次に、圧電アクチュエータ22を備えたインクジェットヘッド3の製造方法について説明する。
インクジェットヘッド3を製造するためには、まず、図6(a)に示すように、圧電層41となる圧電材料のグリーシートの上面に下部電極44を印刷する。また、圧電層42となる圧電材料のグリーンシートの上面に低誘電部47を形成する低誘電材料を印刷し、さらにその上に中間電極45を印刷する。また、圧電層43となる圧電材料のグリーシートの上面に上部電極46を印刷する。
ここで、圧電層42となるグリーンシートに、低誘電部47及び中間電極45を形成するときには、印刷の精度のばらつきなどにより、低誘電部47と中間電極45とが位置ずれすることがある。このとき、仮に、低誘電部47と中間電極45とが位置ずれして、対向部45aが低誘電部47からはみ出してしまうと、対向部45aの低誘電部47からはみ出した部分の下方を通って対向部44aに至る電気力線が低誘電部47を通らないことになり、対向部45aが低誘電部47からはみ出していない場合と比較して、下部電極44と中間電極45との電位差によって第2活性部62に発生する電界が大きくなってしまう虞がある。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、低誘電部47が走査方向及び搬送方向に中間電極45の対向部45aからはみ出ているため、低誘電部47と中間電極45とが多少搬送方向に位置ずれしても、対向部45aが低誘電部47からはみ出すことがない。
次に、図6(b)に示すように、インク分離層40と圧電層41〜43となる3つのグリーンシートを互いに積層させた上で焼成する。これにより、分極前の状態の圧電アクチュエータ22が作製される。
ここで、圧電層41〜43となるグリーンシートを互いに積層させるときには、これらのグリーンシートが互いに位置ずれすることがある。そして、圧電層41となるグリーンシートと圧電層42となるグリーンシートとが、搬送方向に位置ずれした場合には、圧電層41に形成された下部電極44と、圧電層42に形成された低誘電部47とが位置ずれする。このとき、仮に、この位置ずれによって、低誘電部47が対向部44aと重なってしまうと、上部電極46を駆動電位にしたときに、低誘電部47が対向部44aと重なっていない場合と比較して、上部電極46と下部電極44との電位差によって生じる電界が、低誘電部47において大きくなり、第2活性部62において小さくなる。その結果、低誘電部47が対向部44aと重なっていない場合と比較して、第2活性部62に発生する、圧電アクチュエータ22を駆動するための電界が小さくなり、圧電アクチュエータ22の駆動時の変形量が小さくなってしまう。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、搬送方向における低誘電部47の対向部45aからのはみ出し量L2が、搬送方向における対向部44aと対向部45aとの間隔L1よりも小さくなっている。したがって、圧電層41、42となるグリーンシートの位置ずれによって、下部電極44と低誘電部47とが搬送方向に多少位置ずれしても、低誘電部47が対向部44aと重なることはない。
次に、図6(c)に示すように、上記のようにして作成された圧電アクチュエータ22と、予めプレート31〜34を積層させて作製した流路ユニット21とを接着剤によって接合する。これにより、インクジェットヘッド3が作製される。なお、第1活性部61及び第2活性部62の分極は、図6(b)の工程の後、図6(c)の工程の前あるいは、図6(c)の工程の後に行う。
なお、本実施の形態では、圧電層42が本発明の第1圧電層に相当し、圧電層43が本発明の第2圧電層に相当する。また、圧電層41が本発明の絶縁層に相当する。そして、圧電層41と圧電層42、43との積層体が、本発明の積層体に相当する。また、上部電極46が本発明の駆動電極に相当し、中間電極45が本発明の第1定電位電極に相当し、下部電極44が本発明の第2定電位電極に相当する。また、対向部45aが本発明の第1対向部に相当し、導通部45bが本発明の第1導通部に相当する。また、対向部44aが本発明の第2対向部に相当し、導通部44bが本発明の第2導通部に相当する。また、駆動電位が本発明の第1電位に相当し、グランド電位が本発明の第2電位に相当する。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
上述の実施の形態では、低誘電部47が搬送方向において対向部45aからはみ出しており、搬送方向における低誘電部47の対向部45aからのはみ出し量L2が、搬送方向における対向部44aと対向部45aとの間隔L1よりも小さくなっていたが、これには限られない。
例えば、搬送方向における、低誘電部47の対向部45aからのはみ出し量L2は、搬送方向における対向部44aと対向部45aとの間隔L1と同じであってもよい。さらには、搬送方向における低誘電部47の長さと対向部45aの長さとが同じであり、且つ、搬送方向における低誘電部47の両端の位置と、搬送方向における対向部45aの両端の位置とが同じであるなど、低誘電部47は、搬送方向に対向部45aからはみ出していなくてもよい。
上述の実施の形態では、低誘電部47が、圧電層42の上面に配置されていたがこれには限られない。
例えば、変形例1では、図7に示すように、低誘電部47が、圧電層41と圧電層42との間に、対向部45aと重なるように配置されている。この場合でも、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る電気力線の多くは、低誘電部47を通るため、低誘電部47がない場合と比較して、下部電極44と中間電極45との電位差によって第2活性部62に発生する電界を小さくすることができる。
変形例1の場合には、圧電アクチュエータ22を作製するために、まず、図8(a)に示すように、圧電層41となる圧電材料のグリーシートの上面に下部電極44を印刷する。さらにその上に低誘電部47を印刷する。また、圧電層42となる圧電材料のグリーンシートの上面に中間電極45を印刷する。また、圧電層43となる圧電材料のグリーシートの上面に上部電極46を印刷する。次に、図8(b)に示すように、インク分離層40と圧電層41〜43となる3つのグリーンシートを互いに積層させた上で焼成する。
このとき、上述したように、圧電層41となるグリーシートと圧電層42となるグリーンシートとが搬送方向に位置ずれすることがある。しかしながら、変形例1では、上述したように、下部電極44と低誘電部47の両方を圧電層41となるグリーンシートに形成しているため、圧電層41となるグリーシートと、圧電層42となるグリーンシートとに位置ずれが生じても、下部電極44と低誘電部47とが位置ずれして、低誘電部47が対向部44aと重なってしまうことはない。
また、上述の実施の形態では、低誘電部47が対向部45aの全体と重なっていたが、これには限られない。低誘電部47は、対向部45aの一部分のみと重なっていてもよい。この場合でも、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る電気力線の一部は、低誘電部47を通るため、低誘電部47がない場合と比較して、下部電極44と中間電極45との間の電位差によって第2活性部62に発生する電界を小さくすることができる。
また、低誘電部47は、中間電極45の対向部45aと重なるように配置されていることにも限られない。変形例2、3では、図9(a)、図9(b)に示すように、低誘電部47が、搬送方向における、圧電層42の対向部45aと重なる部分と、第1圧電層42の第2活性部62を形成する部分との間に配置されている。また、変形例2では、低誘電部47の高さが、圧電層42の厚みとほぼ同じとなっている。一方、変形例3では、低誘電部47の高さが、圧電層42の厚みの半分程度となっている。
変形例2、3の場合にも、対向部45aの下方を通って対向部44aに至る電気力線の多くが低誘電部47を通るので、誘電部47がない場合と比較して、下部電極44と中間電極45との電位差によって第2活性部62に発生する電界を小さくすることができる。
なお、変形例2のような圧電アクチュエータ22を製造するためには、例えば、まず、圧電層41となる圧電材料のグリーシートの上面に下部電極44を印刷する。また、圧電層42となる圧電材料のグリーンシートの上面に中間電極45を印刷する。圧電層43となる圧電材料のグリーシートの上面に上部電極46を印刷する。次に、インク分離層40と、圧電層41、42となるグリーンシートとを積層させてから、圧電層42となるグリーンシートの低誘電部47が配置される部分にレーザ等によって貫通孔を形成し、この貫通孔に、インクジェット法などにより低誘電部47を構成する材料を滴下する。次に、インク分離層40と圧電層41、42となるグリーンシートとの積層体に、圧電層43となるグリーンシートを積層させ、インク分離層40と圧電層41〜43となるグリーンシートとの積層体を焼成する。
また、変形例3のような圧電アクチュエータ22を製造するためには、例えば、まず、圧電層41となる圧電材料のグリーシートの上面に下部電極44及び低誘電部47を印刷する。また、圧電層42となる圧電材料のグリーンシートの上面に中間電極45を印刷する。また、圧電層43となる圧電材料のグリーシートの上面に上部電極46を印刷する。次に、インク分離層40と圧電層41〜43となる3つのグリーンシートを互いに積層させた上で焼成する。
また、低誘電部47は、上記部分63のうち、中間電極45よりも上側の部分、あるいは、下部電極44よりも下側の部分を含む部分に配置されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、対向部44aと対向部45aとが搬送方向に互いに離れていたが、これには限られない。例えば、変形例4では、図10(a)に示すように、搬送方向における対向部44aの端と、対向部45aの端とが上下に重なっている。また、変形例5では、図10(b)に示すように、下部電極44が、圧電層41と圧電層42との間のほぼ全域にわたって延びており、下部電極44が中間電極45の対向部45aと重なっている。
なお、変形例5の場合には、第1活性部61及び第2活性部62の分極を行う際に、どうしても、圧電層42の下部電極44と対向部45aとに挟まれた部分が分極されてしまう。一方で、変形例5の場合には、下部電極44と中間電極45との電位差により、圧電層42、43の図10(b)に示す部分64に電界が発生する。部分64には、圧電層42の下部電極44と対向部45aとに挟まれた部分が含まれている。そのため、変形例5の場合には、低誘電部47がないとすると、下部電極44と中間電極45との電位差によって部分64に発生した電界により、圧電層42の下部電極44と対向部45aとに挟まれた部分も常に収縮した状態となる。したがって、上述の実施の形態の場合よりも、低誘電部47がないとした場合に、圧電アクチュエータ22を駆動したときのインク分離層40及び圧電層41〜43の変形が大きく阻害される。したがって、変形例5のように、下部電極44と対向部45aとが重なっている場合には、低誘電部47を設けることにより、圧電アクチュエータ22を駆動したときのインク分離層40及び圧電層41〜43の変形量を大きく増大させることができる。
また、以上では、ノズルからインクを噴射するインクジェットヘッドを構成する圧電アクチュエータに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを構成する圧電アクチュエータや、液体噴射ヘッド以外の装置を構成する圧電アクチュエータに本発明を適用することも可能である。
22 圧電アクチュエータ
41、42、43 圧電層
44 下部電極
45 中間電極
44a、45a 重なり部
44b、45b 接続部
46 上部電極
47 低誘電部材
61 第1活性部
62 第2活性部
63 部分

Claims (10)

  1. 第1圧電層と、前記第1圧電層と積層された第2圧電層とを含む積層体と、
    前記第2圧電層の前記第1圧電層と反対側の面に配置された駆動電極と、
    前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に、前記駆動電極との間で前記第2圧電層を挟むように配置され、所定の第1電位に保持可能に構成された第1定電位電極と、
    前記駆動電極との間で、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の、前記第1定電位電極と重ならない部分を挟むように配置され、前記第1電位と異なる第2電位に保持可能に構成された第2定電位電極と、を備え、
    前記第2圧電層の前記駆動電極と前記第1定電位電極とに挟まれた部分は、前記第2圧電層の厚み方向に分極された第1活性部となっており、
    前記第1圧電層及び2圧電層の、前記駆動電極と前記第2定電位電極とに挟まれ、且つ、前記第1定電位電極と重ならない部分は、第1活性部と反対向きに分極された第2活性部となっており、
    前記積層体の、前記第1定電位電極と前記第2定電位電極との電位差によって電界が発生する部分に、前記第1圧電層よりも誘電率が小さい低誘電部が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記低誘電部が、前記第1定電位電極の前記第2圧電層と反対側に、前記第1定電位電極と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記低誘電部が、前記第1圧電層の前記第2圧電層側の面に配置され、
    前記第1定電位電極が、前記低誘電部が配置された前記第1圧電層の前記第2圧電層側の面に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記低誘電部は、前記第1活性部の全域と重なっていることを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 複数の前記駆動電極が、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向に沿った所定の第1方向に配列され、
    前記第1定電位電極は、
    前記第1方向に沿って配列され、複数の前記駆動電極と対向する複数の第1対向部と、
    前記第1方向に延びて、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向と平行で且つ前記第1方向と直交する第2方向における、前記複数の第1対向部の片側の端部同士を導通させる第1導通部と、を備え、
    前記第2定電位電極は、
    前記第1方向に沿って配列され、複数の前記駆動電極と対向する複数の第2対向部と、
    前記第1方向に延びて、前記第2方向における前記複数の第2対向部の片側の端部同士を導通させる第2導通部と、を備え、
    前記低誘電部は、前記複数の第1対向部に対して個別に設けられ、各第1対向部の全域と重なっており、前記第1導通部とは重なっていないことを特徴とする請求項4に記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記第1定電位電極と前記第2定電位電極とが、前記第1圧電層及び前記第2圧電層の面方向と平行な所定の一方向に離れて配置され、
    前記一方向において、前記低誘電部が前記第1定電位電極からはみ出していることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記積層体が、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側に積層された絶縁層をさらに含み、
    前記一方向における前記低誘電部の前記第1定電位電極からのはみ出し量が、前記一方向における前記第1定電位電極と前記第2定電位電極との間隔よりも短いことを特徴とする請求項6に記載の圧電アクチュエータ。
  8. 前記積層体が、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側に積層された絶縁層をさらに含み、
    前記低誘電部が、前記第1圧電層と前記絶縁層との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  9. 前記低誘電部が、第1圧電層の前記第1定電位電極と重なる部分と、前記第1圧電層の記第2活性部を形成する部分との間に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  10. 前記低誘電部が、前記第1圧電層の厚み方向の全体にわたって延びていることを特徴とする請求項9に記載の圧電アクチュエータ。
JP2014015657A 2014-01-30 2014-01-30 圧電アクチュエータ Active JP6127993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014015657A JP6127993B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 圧電アクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014015657A JP6127993B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 圧電アクチュエータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015139982A true JP2015139982A (ja) 2015-08-03
JP6127993B2 JP6127993B2 (ja) 2017-05-17

Family

ID=53770668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014015657A Active JP6127993B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 圧電アクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6127993B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019177559A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 液体吐出ヘッド

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006076164A (ja) * 2004-09-10 2006-03-23 Kyocera Corp 液体噴出装置及びインクジェットヘッド
JP2010232604A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体移送装置
JP2011054593A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Brother Industries Ltd 圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法
JP2011167875A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Brother Industries Ltd 圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータの製造方法
JP2012124195A (ja) * 2010-12-06 2012-06-28 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ
JP2013208835A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd 液滴噴射装置及び圧電アクチュエータ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006076164A (ja) * 2004-09-10 2006-03-23 Kyocera Corp 液体噴出装置及びインクジェットヘッド
JP2010232604A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体移送装置
JP2011054593A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Brother Industries Ltd 圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法
JP2011167875A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Brother Industries Ltd 圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータの製造方法
JP2012124195A (ja) * 2010-12-06 2012-06-28 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ
JP2013208835A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd 液滴噴射装置及び圧電アクチュエータ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019177559A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 液体吐出ヘッド
JP7106938B2 (ja) 2018-03-30 2022-07-27 ブラザー工業株式会社 液体吐出ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP6127993B2 (ja) 2017-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6291744B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータの製造方法
JP5578126B2 (ja) 液体吐出装置、液体吐出装置の製造方法、及び、アクチュエータ装置の製造方法
US8955942B2 (en) Liquid droplet jetting apparatus and piezoelectric actuator
JP6107520B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
JP6676981B2 (ja) 液体吐出装置
JP6127993B2 (ja) 圧電アクチュエータ
JP2009178893A (ja) 液体移送装置及び液体移送装置の製造方法
JP6217448B2 (ja) 液体吐出装置及び圧電アクチュエータ
US7679269B2 (en) Liquid transporting apparatus and piezoelectric actuator
JP5803529B2 (ja) 圧電アクチュエータ、液体噴射装置、圧電アクチュエータの製造方法及び液体噴射装置の製造方法
JP7106940B2 (ja) 液体吐出ヘッド
JP6264801B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータの製造方法
JP6187104B2 (ja) 液体吐出装置
JP6131864B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法
JP4687083B2 (ja) 液体移送装置
JP2014195929A (ja) 液体吐出装置の製造方法及び圧電アクチュエータの製造方法
JP4831186B2 (ja) 液体移送装置の製造方法
JP6191983B2 (ja) 圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体吐出装置
JP7404996B2 (ja) 圧電アクチュエータ、及び、その製造方法
JP5444606B2 (ja) 圧電アクチュエータ用積層体、その製造方法、及び圧電アクチュエータ
JP5423252B2 (ja) 圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法
JP6357968B2 (ja) 液体噴射装置及び電極位置決定方法
JP6201784B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法
JP5729024B2 (ja) 液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法
JP2011011348A (ja) 液体吐出ヘッド、プレート部品組及び液体吐出ヘッドの製造方法。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170327

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6127993

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150