JP2015137332A - タイヤ用加硫ゴム組成物 - Google Patents

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【課題】熱膨張性マイクロカプセルを含む加硫ゴム組成物において、氷上摩擦性能を従来レベルよりも向上するようにしたタイヤ用加硫ゴム組成物を提供する。【解決手段】天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、加硫成形時の前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張により形成された中空粒子を含み、該中空粒子の中で粒径50μm以下のものが1〜15%、粒径140μm以上のものが10%以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、熱膨張性マイクロカプセルを含む加硫ゴム組成物において、氷上摩擦性能を従来レベルよりも向上するようにしたタイヤ用加硫ゴム組成物に関する。
氷雪路用空気入りタイヤ(スタッドレスタイヤ)の構成として、トレッドゴム中に多数の気泡を形成し、トレッドが氷面に踏み込むときにこれら気泡が氷表面の水膜を吸収除去し、トレッドが氷面から離れるときに吸収した水を遠心力で離脱させることを繰り返して氷上性能を向上することが知られている。
特許文献1は、このような気泡の形成手段として、タイヤトレッド用ゴム組成物に熱膨張性マイクロカプセルを配合することを提案している。この熱膨張性マイクロカプセルは空気入りタイヤの加硫工程での加熱によって膨張し、加硫したタイヤのトレッドゴム中に膨張したマイクロカプセルの殻に被覆された気泡(中空粒子)が多数形成される。このようなスタッドレスタイヤでは、中空粒子の大きさ及び数が、その氷上性能を左右する。
特許文献2は、ゴム組成物の加硫時に熱膨張性マイクロカプセルを安定的に膨張させるため、膨張前の粒子径が20〜60μmである熱膨張性マイクロカプセルの割合を80%以上にすることを提案している。一方、需要者がスタッドレスタイヤの氷上性能に求めるレベルはより高く、氷上摩擦性能をより一層高くすることが要求されている。
特許第4046678号公報 特開2004−91745号公報
本発明の目的は、熱膨張性マイクロカプセルを含む加硫ゴム組成物において、氷上摩擦性能を従来レベルよりも向上するようにしたタイヤ用加硫ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物は、天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、加硫成形時の前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張により形成された中空粒子を含み、該中空粒子の中で粒径50μm以下のものが1〜15%、粒径140μm以上のものが10%以上であることを特徴とする。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物は、加硫成形したとき熱膨張性マイクロカプセルの膨張により形成された中空粒子の粒径分布を、粒径50μm以下が1〜15%、粒径140μm以上が10%以上にしたことにより、意外にも氷上摩擦性能をより一層向上することができる。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物は、天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、前記熱膨張性マイクロカプセルが、粒径40μm以下のマイクロカプセルを20〜60%と、粒径60μm以上のマイクロカプセルを10%以上とからなるように配合し、これを加硫成形することにより製造することができる。
この製造方法において、前記熱膨張性マイクロカプセルとして、粒径分布が互いに異なる少なくとも2種類の熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせて配合することが好ましい。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物をトレッド部に使用した空気入りタイヤは、スタッドレスタイヤとして優れた性能を有し、とりわけ氷上摩擦性能を一層向上することができる。
本発明において、使用するジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含む。天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むことにより、空気入りタイヤにしたとき氷上摩擦性能を高くすることができる。本発明では、天然ゴム、ブタジエンゴム以外の他のジエン系ゴムを配合することができる。他のジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、各種のスチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等が挙げられる。本発明の空気入りタイヤ、とりわけ氷雪路用空気入りタイヤ(スタッドレスタイヤ)のトレッド部を構成するジエン系ゴムとして、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましい。
本発明において、上述したジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は−50℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−60〜−100℃であると良い。ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度を−50℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くするので、冬用タイヤのトッレド部に好適に使用することができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、ジエン系ゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるジエン系ゴムのガラス転移温度とする。また、平均ガラス転移温度とは、各ジエン系ゴムのガラス転移温度に各ジエン系ゴムの重量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の重量平均値)である。なお、すべてのジエン系ゴムの重量分率の合計を1とする。
本発明の加硫ゴム組成物は、上述したジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部配合する。熱膨張性マイクロカプセルの配合量が1重量部未満であると加硫時に熱膨張性マイクロカプセルが膨張した中空粒子(マイクロカプセルの殻)の容積が不足し、氷上摩擦性能を十分に改良することができない。また表面処理熱膨張性マイクロカプセルの配合量が15重量部を超えると、トレッドゴムの耐摩耗性能が悪化する虞がある。
熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成からなる。このため未加硫タイヤを加硫成形するとき、ゴム組成物中に分散したマイクロカプセルが加熱されると、殻材に内包された熱膨張性物質が膨張して殻材の粒径を大きくし、トレッドゴム中に多数の中空粒子を形成する。これにより、氷の表面に発生する水膜を効率的に吸収除去すると共に、ミクロなエッジ効果が得られるため、氷上性能を向上させる。また、マイクロカプセルの殻材は、トレッドゴムより硬いためトレッド部の耐摩耗性を高くすることができる。熱膨張性マイクロカプセルの殻材はニトリル系重合体により形成することができる。
またマイクロカプセルの殻材中に内包する熱膨張性物質は、熱によって気化又は膨張する特性をもち、例えば、イソアルカン、ノルマルアルカン等の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種が例示される。イソアルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン等を挙げることができ、ノルマルアルカンとしては、n−ブタン、n−プロパン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、それぞれ単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。熱膨張性物質の好ましい形態としては、常温で液体の炭化水素に、常温で気体の炭化水素を溶解させたものがよい。このような炭化水素の混合物を使用することにより、未加硫タイヤの加硫成形温度領域(150〜190℃)において、低温領域から高温領域にかけて十分な膨張力を得ることができる。
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、ゴム組成物を加硫成形したとき、熱膨張性マイクロカプセルの膨張により形成された中空粒子の粒径分布が、粒径50μm以下の中空粒子が1〜15%、粒径140μm以上の中空粒子が10%以上である。加硫成形後の中空粒子の粒径分布を、このような範囲内にすることにより、氷上摩擦性能を一層向上することができる。
一般に、熱膨張性マイクロカプセルからなる中空粒子を含む加硫ゴム組成物は、中空粒子の平均粒子径が大きいほど氷上摩擦性能が高く、中空粒子の平均粒子径が小さいほど氷上摩擦性能が低くなる。これに対し本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物は、粒径が大きい中空粒子と粒径が小さい中空粒子とを組み合わせて配合することにより、意外にも粒径が大きい中空粒子だけを配合した加硫ゴム組成物よりも、氷上摩擦性能を優れたものにすることができる。
中空粒子の粒径分布としては、中空粒子の中で粒径140μm以上のものが10%以上、好ましくは粒径が140〜200μmのものが10〜40%、より好ましくは粒径が140〜180μmのものが10〜30%であるとよい。また中空粒子の中で粒径50μm以下のものが1〜15%、好ましくは粒径が20〜50μmのものが1〜5%、より好ましくは粒径が30〜50μmのものが2〜5%であるとよい。
本明細書において、加硫成形により得られた加硫ゴム組成物における中空粒子の粒径分布は、加硫ゴム組成物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、50個以上の中空粒子の粒径を測定し、数平均粒子径及び粒径分布(個数に基づく割合[%])を求めるものとする。加硫ゴム組成物として、加硫した空気入りタイヤのトレッド部から切り出したゴム組成物を用いることができる。また観察時に中空粒子の端部を切断した断面と判別できるときは、その粒子の粒径を除外することができる。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物の製造方法は、天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、その熱膨張性マイクロカプセルが、粒径40μm以下のマイクロカプセルを20〜60%と、粒径60μm以上のマイクロカプセルを10%以上とからなるように未加硫のゴム組成物を調製し、これを加硫成形することにより製造することができる。
本発明の製造方法において、膨張前の粒径が40μm以下の熱膨張性マイクロカプセルを20〜60%、膨張前の粒径が60μm以上の熱膨張性マイクロカプセルを10%以上になるように、1種類以上の熱膨張性マイクロカプセルを配合し、ジエン系ゴムに混合するようにする。熱膨張性マイクロカプセルを配合・混合するのは、ジエン系ゴムに充填剤や各種配合剤を配合し混練した後、冷却し硫黄や加硫促進剤などの加硫系配合剤と共に配合・混合するとよい。得られた未加硫のゴム組成物をグリーン成形し、これを加硫成形することにより、上述した粒径分布を有する中空粒子を含む加硫ゴム組成物を製造することができる。
膨張前の熱膨張性マイクロカプセルは、粒径が40μm以下のものが20〜60%、好ましくは粒径が20〜40μmのものが20〜60%、より好ましくは30〜40μmのものが20〜60%になるように配合する。また膨張前の粒径が60μm以上の熱膨張性マイクロカプセルが10%以上、好ましくは粒径が60〜80μmのものが10〜50%、より好ましくは粒径が60〜80μmのものが10〜40%になるように配合する。
このように熱膨張性マイクロカプセルの粒径を調節するため、粒径分布が互いに異なる少なくとも2種類の熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせて配合することができる。2種類の熱膨張性マイクロカプセルを選択するとき、それぞれの平均粒子径の差が、好ましくは25μm以上、より好ましくは25〜50μmであるとよい。このような平均粒子径の差を有する2種類の熱膨張性マイクロカプセルを用いることにより、膨張前の熱膨張性マイクロカプセルの粒径の調節を容易にすることができる。
2種類の熱膨張性マイクロカプセルの配合割合は、平均粒子径が大きい熱膨張性マイクロカプセルを好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、平均粒子径が小さい熱膨張性マイクロカプセルを好ましくは70〜5重量%、より好ましくは60〜10重量%にするとよい。2種類の熱膨張性マイクロカプセルの配合割合をこのような範囲内にすることにより、氷上摩擦性能を従来レベル以上に向上することができる。
本発明において、タイヤ用加硫ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック等の充填剤を配合することができる。充填剤を配合することによりゴムの強度を高くし耐摩耗性能を良好にすることができる。充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部にするとよい。充填剤の配合量が10重量部より小さいとゴム強度を高くして耐摩耗性能を向上することができない。充填剤の配合量が80重量部より大きいとタイヤ用加硫ゴム組成物の転がり抵抗が悪化する。
シリカ、カーボンブラック以外の充填剤としては、空気入りタイヤに使用することができる任意の充填剤を用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物は、シリカを配合することが好ましく、例えば湿式シリカ、乾式シリカなどの任意のシリカを単独又は組合せて用いることができる。
本発明の加硫ゴム組成物にシリカを配合するとき、シランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上しゴムとの補強性を高めることができる。同時に熱膨張性マイクロカプセルに担持したシリカのジエン系ゴムとの親和性を改良し、加硫後のゴムとマイクロカプセルの殻との界面を強化する効果が十分に得られない。
シランカップリング剤の配合量は、加硫ゴム組成物中のシリカの配合量に対し好ましくは3〜15重量%を配合すると良く、より好ましくは5〜10重量%を配合すると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3重量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15重量部を超えると所望の硬度、強度や、耐摩耗性を得ることができない。
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
タイヤ用加硫ゴム組成物には、上述した充填剤以外にも、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤は一般的な方法で混練して未加硫のゴム組成物とし、これを加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。このようなゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明のタイヤ用加硫ゴム組成物はスタッドレスタイヤのトレッド部を構成するのに好適である。このように構成されたトレッド部は、氷上性能を従来レベル以上に向上することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表3に示すジエン系ゴム、充填材及び配合剤を共通配合とし、表1、2に示す配合からなる8種類のゴム組成物(実施例1〜4、標準例1〜2、比較例1〜2)を、硫黄、加硫促進剤、熱膨張性マイクロカプセルを除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出・冷却し、これに硫黄、加硫促進剤、熱膨張性マイクロカプセルを加えてオープンロールで混合することにより未加硫のゴム組成物を調製した。なお表1、2に記載した熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、表3に記載したジエン系ゴム100重量部に対する重量部で示した。
表1,2において、膨張前の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径及び粒径の分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製HEROS&RODOS)を使用して、乾式分散ユニットの分散圧5.0bar、真空度5.0mbarの条件で乾式測定により求めた。
また、ゴム組成物の加硫に伴い、熱膨張性マイクロカプセルが膨張して形成された中空粒子の粒径の分布は、得られた加硫ゴム組成物からなる加硫ゴム試験片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、50個以上の中空粒子の粒径を測定し、数平均粒径、粒径の数分布を求めた。
得られた8種類のゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫してタイヤ用加硫ゴム組成物からなる試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片の氷上摩擦性能を下記に示す方法により評価した。
氷上摩擦性能
得られた加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用いて、測定温度−1.5℃、荷重5.5kg/cm3、ドラム回転速度25km/hの条件で氷上摩擦係数を測定した。得られた氷上摩擦係数を、表1では標準例1の値を100、表2では標準例2の値を100とする指数にして、それぞれの「氷上摩擦性能」の欄に示した。この指数値が大きいほど氷上摩擦力が大きく氷上性能が優れることを意味する。
Figure 2015137332
Figure 2015137332
表1、2において、マイクロカプセル−1およびマイクロカプセル−2は、いずれも松本油脂製薬社で調製した熱膨張性マイクロカプセルである。
マイクロカプセル−1の製造方法
熱膨張性マイクロカプセルを以下の工程により調製し、マイクロカプセル−2とした。水系成分として、固形分40%のコロイダルシリカ25g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム150g及びイオン交換水500gを混合後、pH3.5に調整して水系分散媒体を製造した。次いで、油系成分として、アクリロニトリル70g、メタクリロニトリル70g、メタクリル酸70g、エチレングリコールジメタクリレート3g及びアゾビス(2,4−ジメチリルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物を調製した。この単量体混合物に、イソペンタン30gおよび2−メチルペンタン30gを加え、オートクレーブに仕込み、水系分散媒体を更に仕込んだ。5分間700rpmで仕込み物を撹拌後、オートクレーブ内を窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。なお、反応圧力は0.5MPa、撹拌は350rpmで行った。最終工程では、熱膨張性マイクロカプセルの水分を除去するために、ミキサードライヤーを用いて70℃で乾燥した。
マイクロカプセル−1は、膨張前の平均粒径が57μm、粒径40μm以下のマイクロカプセルが8%、粒径60μm以上のマイクロカプセルが36%であった。またマイクロカプセル−1が膨張した後の中空粒子は、中空粒子の中で粒径50μm以下のものが0%、粒径140μm以上のものが40%であった。
マイクロカプセル−2の製造方法
熱膨張性マイクロカプセルを以下の工程により調製し、マイクロカプセル−2とした。水系成分として、固形分40%のコロイダルシリカ45g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム150g及びイオン交換水500gを混合後、pH3.5に調整して水系分散媒体を製造した。次いで、油系成分として、アクリロニトリル70g、メタクリロニトリル70g、メタクリル酸70g、エチレングリコールジメタクリレート3g及びアゾビス(2,4−ジメチリルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物を調製した。この単量体混合物に、イソペンタン30gおよび2−メチルペンタン30gを加え、オートクレーブに仕込み、水系分散媒体を更に仕込んだ。5分間700rpmで仕込み物を撹拌後、オートクレーブ内を窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。なお、反応圧力は0.5MPa、撹拌は350rpmで行った。最終工程では、熱膨張性マイクロカプセルの水分を除去するために、ミキサードライヤーを用いて70℃で乾燥した。
マイクロカプセル−2は、膨張前の平均粒径が25μm、粒径40μm以下のマイクロカプセルが94%、粒径60μm以上のマイクロカプセルが0%であった。またマイクロカプセル−2が膨張した後の中空粒子は、中空粒子の中で粒径50μm以下のものが20%、粒径140μm以上のものが0%であった。
Figure 2015137332
なお、表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・カーボンブラック:東海カーボン社製シースト6
・シリカ:東ソーシリカ社製Nipsil AQ
・シランカップリング剤:硫黄含有シランカップリング剤、エボニクデグサ社製Si69
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤−1:精工化学社製オゾノン6C
・老化防止剤−2:精工化学社製ノンフレックスRD
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
表1、2から明らかなように実施例1〜4のタイヤ用加硫ゴム組成物は、氷上摩擦性能を従来レベル(標準例1及び2、比較例1及び2)以上に向上することが確認された。
比較例1の加硫ゴム組成物は配合したマイクロカプセル−2が膨張して形成された中空粒子の粒径が、標準例1に配合したマイクロカプセル−1が膨張した中空粒子と比べ小さいため、氷上摩擦性能が低下した。
比較例2の加硫ゴム組成物は配合したマイクロカプセル−2が膨張して形成された中空粒子の粒径が、標準例2に配合したマイクロカプセル−1が膨張した中空粒子と比べ小さいため、氷上摩擦性能が低下した。

Claims (4)

  1. 天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、加硫成形時の前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張により形成された中空粒子を含み、該中空粒子の中で粒径50μm以下のものが1〜15%、粒径140μm以上のものが10%以上であることを特徴とするタイヤ用加硫ゴム組成物。
  2. 天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、熱膨張性マイクロカプセルを1〜15重量部配合し、かつ前記熱膨張性マイクロカプセルが、粒径40μm以下のマイクロカプセルを20〜60%と、粒径60μm以上のマイクロカプセルを10%以上とからなるように配合し、これを加硫成形することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用加硫ゴム組成物の製造方法。
  3. 前記熱膨張性マイクロカプセルとして、粒径分布が互いに異なる少なくとも2種類の熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせて配合することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用加硫ゴム組成物の製造方法。
  4. 請求項1に記載のタイヤ用加硫ゴム組成物でトレッド部を形成した空気入りタイヤ。
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