JP2004359758A - ゴム組成物 - Google Patents

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JP2004359758A
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Yoshihiko Suzuki
好彦 鈴木
Tetsuo Ochiai
哲夫 落合
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた氷上制動性能及び耐摩耗性を有するタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴム50〜80重量部並びにポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴム50〜20重量部からなるゴム成分100重量部に対して、20〜80μm の初期平均粒径、10%以上のガス封入率、及びゴム組成物の加硫温度+10℃以上の膨張開始温度を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を1〜10重量部配合してなるゴム組成物であって、
前記加硫温度における加硫後の前記ゴム組成物中の前記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の前記初期平均粒径に対する比が1.3以下であることを特徴とするゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物に関する。詳細には、優れた氷上制動性能及び耐摩耗性を有するタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。より詳細には、優れた氷上制動性能及び耐摩耗性を有する重荷重用タイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ、特に氷雪路、湿潤路、乾燥路等における走行を目的とする全天候タイヤ及び/又はスタッドレスタイヤにおいて、例えば、氷上での制動性能の向上を目的として、タイヤトレッド用ゴム組成物に熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を配合することが従来から提案されている。
【0003】
上記の如き提案の例としては、例えば、特開平11−35736号公報、特開2000−38480号公報、特開2000−158907号公報、及び特開2000−288306号公報の各明細書に記載されている発明を挙げることができる。
【0004】
上記各公報に記載されている発明を初めとする従来技術に係るゴム組成物は、いずれも、熱によって気化、分解、又は化学反応して気体を発生する液体又は固体が封入されている熱膨張性熱可塑性樹脂粒子をゴム組成物に配合し、当該ゴム組成物の成型過程(例えば、加硫前、加硫時、又は加硫後)において、当該ゴム組成物を当該粒子の膨張開始温度以上の温度に加熱することによって、当該粒子を膨張させて中空状とするものであり、かかるゴム組成物をタイヤトレッド部に使用することによって、タイヤトレッド部の摩耗に従って、上記の如く中空状となった熱膨張性熱可塑性樹脂粒子をタイヤトレッド部表面に露出させることにより、タイヤの接地面における排水効果を高め、接地性を向上させ、氷上制動性能を改良しようとするものである。
【0005】
しかしながら、上記の如き従来技術のゴム組成物においては、例えば、ゴム組成物を構成する各種成分の混練及び予備成形等のゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子に剪断力がかかり、当該粒子が潰れて、上記の如き所望の効果を得ることができない場合が認められる。特に、一般的な乗用車用タイヤのためのタイヤトレッド用ゴム組成物と比較して、各種オイル成分の配合量が少なく、粘度が高い傾向がある重荷重用タイヤトレッド用ゴム組成物においては、調製工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子にかかる剪断力が大きくなりがちであり、結果として当該粒子が潰れ易い。
【0006】
また、重荷重用タイヤトレッド用ゴム組成物においては、一般に、乗用車用タイヤのためのタイヤトレッド用ゴム組成物と比較して加硫温度が低く、これに対応して熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張開始温度を低下させた場合には、例えば、ゴム組成物を構成する各種成分の混練及び予備成形等のゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の一部が膨張を開始し易くなり、その結果、上記の如くゴム組成物を構成する各種成分の混練及び予備成形等のゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子にかかる剪断力によって当該粒子が潰れる傾向が更に顕著となる。
【0007】
上記の如くゴム組成物中に配合された熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が潰れると、当該粒子の配合による氷上制動性能の改良効果が小さくなり、所望の氷上制動性能を得るためには、当該粒子の配合量を増大させる必要があるが、当該粒子の配合量を増大させると、それに伴い、ゴム組成物の耐摩耗性が低下するという悪影響が生ずる。
【0008】
以上の如く、当該技術分野においては、タイヤ加工工程における熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の潰れを防止して、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の改良効果を高め、耐摩耗性の低下を抑制することが求められている。
【0009】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−35736号公報
【特許文献2】
特開2000−38480号公報
【特許文献3】
特開2000−158907号公報
【特許文献4】
特開2000−288306号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた氷上制動性能及び耐摩耗性を有するタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、天然ゴム50〜80重量部並びにポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴム50〜20重量部からなるゴム成分100重量部に対して、20〜80μm の初期平均粒径、10%以上のガス封入率、及びゴム組成物の加硫温度+10℃以上の膨張開始温度を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を1〜10重量部配合してなるゴム組成物であって、前記加硫温度における加硫後の前記ゴム組成物中の前記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の前記初期平均粒径に対する比が1.3以下であることを特徴とするゴム組成物によって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係るゴム組成物は、天然ゴム50〜80重量部並びにポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴム50〜20重量部からなるゴム成分100重量部に対して、20〜80μm の初期平均粒径、10%以上のガス封入率、及びゴム組成物の加硫温度+10℃以上の膨張開始温度を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を1〜10重量部配合してなるゴム組成物であって、前記加硫温度における加硫後の前記ゴム組成物中の前記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の前記初期平均粒径に対する比が1.3以下であることを特徴とするゴム組成物である。
【0013】
本発明に係るゴム組成物において使用されるゴム成分は、ゴム成分100重量部のうち、50〜80重量部、好ましくは55〜75重量部を天然ゴムが、50〜20重量部、好ましくは45〜25重量部をポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴムが占めているのが望ましい。
【0014】
上記ゴム成分のうち、天然ゴムが50重量部未満である場合(すなわち、ポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴムが50重量部を超える場合)には、機械的強度が低下し、耐チッピング性及び耐カット性が低下するので好ましくない。逆に、天然ゴムが80重量部を超える場合(すなわち、ポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴムが80重量部未満である場合)には、加硫後のゴム組成物の耐摩耗性が不十分となるので好ましくない。
【0015】
また、本発明に係るゴム組成物において使用される熱膨張性熱可塑性樹脂粒子は、熱によって膨張する気体が封入されている熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であるのが望ましい。尚、本明細書においては、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を単に「熱膨張性粒子」と略称する場合がある。
【0016】
上記熱によって膨張する気体の例としては、例えば、ネオペンタン、ブタン、イソブタンの如き炭化水素類を挙げることができるけれども、これらに限定されるものではない。
【0017】
また、上記熱によって膨張する気体が封入される熱可塑性樹脂の例としては、例えば、アクリロニトリル若しくはメタクリロニトリルの重合体、又はアクリロニトリル若しくはメタクリロニトリルと他のコモノマーとの共重合体を挙げることができるけれども、これらに限定されるものではない。上記コモノマーの例としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、アクリレート系モノマー又はメタクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーを挙げることができるけれども、これらに限定されるものではない。
【0018】
尚、上記熱可塑性樹脂は架橋されていないものが好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質が損なわれない限度において、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等のコモノマーを上記熱可塑性樹脂に導入して、上記熱可塑性樹脂を部分的に架橋していてもよい。
【0019】
上記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子は、20〜80μm 、好ましくは30〜70μm の初期平均粒径を有するものが望ましい。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径が20μm 未満である場合には、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の向上効果が不十分となるので好ましくない。逆に、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径が80μm を超える場合には、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が潰れ易くなり、氷上制動性能の向上効果が不十分となるので好ましくない。
【0020】
尚、本明細書に記載されている熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径は、日本レーザー株式会社製レーザー回折式粒度分布測定器「HELOS&RODOS」を使用して、エアー圧=2.0bar 及びインジェクターディスプレッション=50mbarの条件下で、測定された値である。
【0021】
また、上記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子は、10%以上、好ましくは12〜25%のガス封入率を有するものが望ましい。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子のガス封入率が10%未満である場合には、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が潰れ易くなり、氷上制動性能の向上効果が不十分となるので好ましくない。
【0022】
尚、本明細書に記載されている熱膨張性熱可塑性樹脂粒子のガス封入率は、20℃において1時間にわたって乾燥させた熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を145メッシュの篩に通したものを1g精秤し、これを30mLのアセトンで湿潤させて5分間静置した後、株式会社山崎精機研究所製連続赤外線水分計を用いて規定時間にわたって乾燥した際の揮発分(重量%)を測定し、これとは別に、上述の如く乾燥させ、145メッシュの篩に通した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の水分(重量%)をカールフィッシャー水分測定装置を用いて測定し、上記揮発分(重量%)から上記水分(重量%)を差し引いて求めた値である。
【0023】
更に、上記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子は、ゴム組成物の加硫温度+10℃以上、好ましくはゴム組成物の加硫温度+15℃〜ゴム組成物の加硫温度+60℃の膨張開始温度を有するものが望ましい。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張開始温度がゴム組成物の加硫温度+10℃未満である場合には、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の少なくとも一部が膨張を開始し、その結果、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子にかかる剪断力によって当該粒子が潰れ易くなり、氷上制動性能の向上効果が不十分となるので好ましくない。
【0024】
尚、本明細書に記載されている熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張開始温度は、熱機械的試験機(TMA)によって、一定量の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を一対のピストンシリンダー内に充填し、10℃/分の速度で昇温して、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張によるピストンの移動が開始した時点の温度を意味する。
【0025】
更に、本発明に係るゴム組成物においては、所定の加硫温度においてゴム組成物を加硫した後のゴム組成物中の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の初期平均粒径に対する比が1.3以下、好ましくは1.25〜1.0であるのが望ましい。この比が1.3を超える場合には、ゴム組成物の加工工程における熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張が過大であることを意味し、結果的に、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子にかかる剪断力によって当該粒子が潰れ易くなり、氷上制動性能の向上効果が不十分となるので好ましくない。
【0026】
尚、本明細書に記載されている、加硫後のゴム組成物中の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、加硫後のゴム組成物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察して、観察される熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の粒径を測定し、大きいものから順に5番目までの粒径の平均値を算出することによって得られる値である。
【0027】
本発明に係るゴム組成物には、カーボンブラック、充填材(例えば、シリカ)、オイル、可塑剤、軟化剤、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫活性化剤、老化防止剤等、及び/又はゴム配合技術分野において一般的に使用される他の各種添加剤を更に配合することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0028】
また、本発明に係るゴム組成物に、例えば、短繊維、粉砕ゴム、及び硬質多孔性粒子等の、昨今のスタッドレスタイヤのタイヤトレッド用ゴム組成物において使用されている種々の添加剤を更に配合してもよい。
【0029】
本発明に係るゴム組成物は、良好な耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷上制動性能を発揮することが求められるタイヤ(例えば、氷雪路、湿潤路、乾燥路等における走行を目的とする全天候タイヤ及び/又はスタッドレスタイヤ)におけるタイヤトレッド用ゴム組成物として有用である。特に、本発明に係るゴム組成物は、前述の如く、粘度が高く、加硫温度が低いゴム組成物がタイヤトレッド部において使用されることが多い重荷重用タイヤ(例えば、トラック及び/又はバス用タイヤ)におけるタイヤトレッド用ゴム組成物として有用である。
【0030】
上記の如く、本発明に係るゴム組成物を重荷重用タイヤのタイヤトレッド部において使用しようとする場合には、ゴム組成物におけるオイルの配合量が、ゴム成分100重量部に対して12重量部以下、好ましくは10〜0重量部であるのが望ましい。ゴム組成物におけるオイルの配合量がゴム成分100重量部に対して12重量部を超える場合には、耐摩耗性及び発熱耐久性が低下するので、当該ゴム組成物がタイヤトレッド部において使用されているタイヤが重荷重用途に不適格なものとなるので好ましくない。
【0031】
本発明に係るゴム組成物は、公知のゴム用混練機械(例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等)を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0032】
以下に記載する標準例、比較例、及び実施例によって本発明を更に詳しく説明するけれども、本発明の技術的範囲は、これらの例に限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
標準例、比較例1〜8、並びに実施例1及び2
配合成分
後述する各種試験片の調製において使用される各種配合成分を、以下に列記する。
【0034】
天然ゴム(NR):STR−20
ポリブタジエンゴム(BR):日本ゼオン株式会社製「Nipol 1220」
カーボンブラック(CB):昭和キャボット株式会社製「ショウブラックN220」(ISAF)
アロマオイル:富士興産株式会社製「フレックスM」
亜鉛華:正同化学工業株式会社製「酸化亜鉛 3種」
ステアリン酸:日本油脂株式会社製「ビーズステアリン酸」
老化防止剤(6PPD):Flexsys社製「SANTOFLEX 6PPD」(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:株式会社軽井沢精錬所製「油処理硫黄」(5%油処理粉末硫黄) 加硫促進剤(TBBS):大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー NS−F」(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェンアミド)
熱膨張性熱可塑性樹脂粒子:松本油脂製薬株式会社製「マツモトマイクロスフェアー」(アクリロニトリル系樹脂製熱膨張性粒子)の各種銘柄(各々の例において使用した銘柄の初期平均粒径、ガス封入率、及び膨張開始温度については、配合量と共に、以下の表Iに示す)
【0035】
各種ゴム組成物の調製
以下の表Iに示す、硫黄、加硫促進剤、及び熱膨張性熱可塑性樹脂粒子以外の成分を、以下の表Iに示す配合量で、密閉式バンバリー型ミキサーを用いて、170℃において5分間にわたって混合混練してマスターバッチを調製した。このマスターバッチを室温まで冷却した後、以下の表Iに示す配合量の硫黄、加硫促進剤、及び熱膨張性熱可塑性樹脂粒子(標準例及び比較例1を除く)を添加し、再びバンバリー型ミキサーを用いて混合混練し、120℃の温度に到達した時点で放出することによって、標準例、比較例1〜8、並びに実施例1及び2のゴム組成物を得た。
【0036】
各種試験片の調製
上記の如く得られた各種ゴム組成物を、ウォーミングロールを備えた、開口部のサイズが25.4cm(10インチ)の押出機を使用して、120℃の押出温度において押出し、この押出物を7mmの厚みにスライスした。次に、この7mmの厚みにスライスされた押出物を所定の金型中で160℃において20分間プレス加硫して、5mmの厚みを有するシートとした。更に、この加硫されたシートを2mmの厚みにスライスして、各種試験片を調製した。
【0037】
【表1】
Figure 2004359758
【0038】
各種試験片の加硫物性の測定
上記の如く得られた標準例、比較例1〜8、並びに実施例1及び2のゴム組成物からなる上記各種試験片の各種加硫物性を以下の試験方法に従って測定した。
【0039】
1)粒子の潰れ:
上記の如く得られた各種試験片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の潰れの有無を確認した。粒子の潰れが観察される試験片については、当該粒子の配合による氷上制動性能の改良効果が小さい傾向がある。
【0040】
2)粒子の膨張比:
前述の如く測定される、所定の加硫温度においてゴム組成物を加硫した後のゴム組成物中の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の初期平均粒径に対する比(加硫後のゴム組成物中での平均粒径/初期平均粒径)である。この比が大きいものほど、ゴム組成物の加工工程における熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張が大きいことを意味し、このような試験片については、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子にかかる剪断力によって当該粒子が潰れ易くなり、氷上制動性能の向上効果が不十分となる傾向がある。
【0041】
3)氷上摩擦指数:
上記各種試験片を、接地圧=3kg/cm及び速度=25km/hの条件下で、−3℃の恒温室中に設置された氷盤上で滑らせた際の動摩擦係数を測定し、標準例における測定値を100とした指数によって表示した。この指数が大きいほど、氷上摩擦係数が大きく、氷上制動性能が良好であることを意味する。
【0042】
4)耐摩耗性指数:
上記各種試験片について、JIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所株式会社製)を使用して、荷重5kg、スリップ率25%、時間4分、室温において、ランボーン摩耗指数を測定し、標準例の測定値を100とした指数にて表示した。この指数が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを意味する。
【0043】
各種試験片の加硫物性の評価
上記各種試験片についての、上記1)〜4)の各加硫物性の測定結果は、上記表Iに示されている。
【0044】
標準例の試験片は、ゴム成分が天然ゴムのみからなり、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が全く配合されていない、対照標準となるゴム組成物を使用して調製された試験片である。
【0045】
比較例1の試験片は、ゴム成分100重量部のうち、70重量部を天然ゴム(NR)、30重量部をポリブタジエンゴム(BR)としたことを除き、標準例のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。本発明の規定範囲内でBRを配合したことにより、耐摩耗性指数が大幅に増大したが、氷上摩擦指数は僅かな増大に留まった。
【0046】
実施例1の試験片は、50μm の初期平均粒径、15%のガス封入率、及びゴム組成物の加硫温度よりも20℃高い膨張開始温度(具体的には180℃)を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を、ゴム成分100重量部に対して2.00重量部配合したことを除き、比較例1のゴム組成物と同じ組成を有する、本発明に係るゴム組成物を使用して調製された試験片である。本発明の規定を満足する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を配合したことにより、粒子の潰れも観察されず、また粒子の膨張比も本発明の規定を満足することができた。その結果、耐摩耗性指数の低下を抑制しつつ、氷上摩擦指数を効果的に増大させることができた。
【0047】
実施例2の試験片は、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合量を、ゴム成分100重量部に対して5.00重量部に増やしたことを除き、実施例1のゴム組成物と同じ組成を有する、本発明に係るゴム組成物を使用して調製された試験片である。本発明の規定を満足する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合量を増やしたことにより、耐摩耗性指数は若干低下したものの、氷上摩擦指数を更に大幅に増大させることができた。
【0048】
比較例2の試験片は、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合量を、ゴム成分100重量部に対して0.50重量部に減らしたことを除き、実施例1のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。本発明の規定を満足する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であっても、その配合量が本発明の規定範囲を下回っているため、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上摩擦指数の増大効果は認められず、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が全く配合されていない比較例1の試験片とほぼ同等の氷上摩擦指数及び耐摩耗性指数を呈した。
【0049】
比較例3の試験片は、上記比較例2の試験片とは逆に、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合量を、ゴム成分100重量部に対して11.00重量部に大幅に増やしたことを除き、実施例1のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。本発明の規定を満足する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であっても、その配合量が本発明の規定範囲を上回っているため、氷上摩擦指数は著しく増大したものの、耐摩耗性指数が大幅に低下し、標準例の試験片をも下回る結果となった。
【0050】
以上の結果から、本発明の規定を満足する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であっても、加硫後のゴム組成物において所望の氷上摩擦指数及び耐摩耗性指数を両立させるためには、その配合量もまた本発明の規定を満足する必要が有ることが明らかとなった。
【0051】
一方、比較例4の試験片は、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張開始温度がゴム組成物の加硫温度と等しい(具体的には160℃)ことを除き、実施例2のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張開始温度が本発明の規定範囲(ゴム組成物の加硫温度+10℃以上)を下回っているため、ゴム組成物の加工工程における熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の膨張が過大となり、粒子の潰れが観察され、また粒子の膨張比も本発明の規定範囲を大幅に上回る1.7となった。その結果、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の向上効果が不十分となり、耐摩耗性指数も大幅に低下し、標準例の試験片と大差ない結果となった。
【0052】
比較例5の試験片は、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子のガス封入率が7%であることを除き、実施例2のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子のガス封入率が本発明の規定範囲(10%以上)を下回っているため、ゴム組成物の加工工程における剪断力に熱膨張性熱可塑性樹脂粒子が耐えられなくなり、粒子がことごとく潰れてしまい、加硫後のゴム組成物中の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径を測定することができない程であった。その結果、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の向上効果が不十分となり、耐摩耗性指数も大幅に低下し、標準例の試験片と大差ない結果となった。
【0053】
比較例6の試験片は、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径が10μm であることを除き、実施例2のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径が本発明の規定範囲(20〜80μm )を下回っているため、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上摩擦指数の増大効果は認められず、一方では、耐摩耗性指数が大幅に低下し、結果的に、標準例の試験片と大差ない結果となった。
【0054】
比較例7の試験片は、上記比較例6の試験片とは逆に、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径を90μm と大きくしたことを除き、実施例2のゴム組成物と同じ組成を有する、比較用のゴム組成物を使用して調製された試験片である。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径が本発明の規定範囲(20〜80μm )を上回っているため、ゴム組成物の加工工程において熱膨張性熱可塑性樹脂粒子がより大きな剪断力を受けることとなり、結果的に粒子がことごとく潰れてしまい、加硫後のゴム組成物中の熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径を測定することができなかった。この試験片においても、上記比較例5の試験片と同様に、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の向上効果が不十分となり、耐摩耗性指数も大幅に低下し、標準例の試験片と大差ない結果となった。
【0055】
そこで、比較例8の試験片においては、上記比較例7の試験片における熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合による氷上制動性能の向上効果の不足を補うべく、90μm という大きい初期平均粒径を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の配合量を11.00重量部に増やした。その結果、氷上制動性能は実施例1と同等レベルまで向上したが、その一方で耐摩耗性指数が大幅に低下した。
【0056】
以上の結果から、加硫後のゴム組成物において所望の氷上摩擦指数及び耐摩耗性指数を両立させるためには、熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の初期平均粒径、ガス封入率、及び膨張開始温度のすべてにおいて、本発明の規定を満足することが必要であることが明らかとなった。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、良好な耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷上制動性能を発揮することが求められるタイヤ(例えば、氷雪路、湿潤路、乾燥路等における走行を目的とする全天候タイヤ及び/又はスタッドレスタイヤ)におけるタイヤトレッド用ゴム組成物として有用なゴム組成物が提供される。本発明に係るゴム組成物は、特に、粘度が高く、加硫温度が低いゴム組成物がタイヤトレッド部において使用されることが多い重荷重用タイヤ(例えば、トラック及び/又はバス用タイヤ)におけるタイヤトレッド用ゴム組成物として有用である。

Claims (1)

  1. 天然ゴム50〜80重量部並びにポリイソプレンゴム及び/又はポリブタジエンゴム50〜20重量部からなるゴム成分100重量部に対して、20〜80μm の初期平均粒径、10%以上のガス封入率、及びゴム組成物の加硫温度+10℃以上の膨張開始温度を有する熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を1〜10重量部配合してなるゴム組成物であって、
    前記加硫温度における加硫後の前記ゴム組成物中の前記熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径の前記初期平均粒径に対する比が1.3以下であることを特徴とするゴム組成物。
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