JP2015124687A - エンジンの吸気装置 - Google Patents
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Abstract
Description
インタークーラが搭載された吸気装置では、スロットル開度が小さいとき、インタークーラを通過する吸気の流速が遅くなる。それ故、吸気によるインタークーラの通過時間が長期化し、吸気中に含まれる水蒸気等の水分がインタークーラ(フィン)と熱交換を行うため、水分が凝縮して水滴になり、インタークーラのフィンに付着する。その結果、スロットル開度が急に大きくなったとき、インタークーラのフィンに付着した凝縮水が大量に燃焼室に吸い込まれてエンジンが失火する虞があった。
吸気導入量が少ない低負荷運転のとき、主に上流側空間部までしか吸気が進行しないため、吸気は進行した領域からのみインタークーラ側へ流れ、また、吸気導入量が多い高負荷運転のとき、上流側空間部を通過して下流側空間部まで吸気が進行するため、吸気は低負荷運転のときよりも大きな領域からインタークーラ側へ流れる。
これにより、各種連携機構や特段の配置調整等を必要とすることなく、インタークーラに対して吸気が流通する通路面積を吸気導入量と進行距離との関連特性を利用してエンジン負荷に応じた通路面積に調整することができ、インタークーラを流通する吸気流速を調整することができる。
以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
図1に、エンジン1と、これに付設されている吸気装置2及び排気装置4の各構成を示す。エンジン1は、自動車に搭載される直列4気筒のディーゼルエンジンであり、その内部に、燃料と吸気との混合気を燃焼させて動力を取り出す4つのシリンダ1aが列状に配置されている。尚、燃料の供給系統については図示を省略している。
吸気装置2の吸気通路における最上流部位には、エアクリーナ10が配置されている。エアクリーナ10は、外気から塵や埃を除去して、清浄にした空気(吸気)を吸気通路に導入する。エアクリーナ10の下流側は第1吸気配管2aを介して過給機11に接続されており、吸気は、過給機11に備えられたコンプレッサ11aで過給される。
インタークーラ40は、チャンバ20に収容されており、チャンバ20に流入する吸気を冷却する。このインタークーラ40は、水冷式であり、ウォータポンプ41から冷却配管42を介してインタークーラ40に冷却水が循環供給されている。
排気装置4には、各排気ポート1cに連結された第1排気配管4aが備えられており、各シリンダ1aで発生する排気は、第1排気配管4aに導入される。第1排気配管4aの下流側は、過給機11に接続されている。過給機11には、排気を利用して作動するタービン11bが備えられており、コンプレッサ11aは、このタービン11bによって駆動されている。
高圧EGR装置15は、吸気に高圧EGRガスを導入する装置である。排気が、過給機11、酸化触媒12、及びDPF13を通過して減圧及び清浄化される前に、高圧EGR装置15は、これら過給機11等の上流側から、吸気通路2の下流側の高圧部位に排気を還流させる。
高圧EGR装置15は、高圧EGR配管15a、高圧EGRクーラ15b、高圧EGRバルブ15cなどで構成されている。
低圧EGR装置16は、低圧EGR配管16a、低圧EGRクーラ16b、低圧EGRバルブ16cなどで構成されている。
図2〜図9,図11に示すように、吸気装置本体5は、チャンバ20、バルブユニット50、インタークーラ40等を備えている。尚、図中、矢印Fは前方を示し、矢印Lは左方を示し、矢印Tは上方を示している。
吸気導入室22は、バッフルプレート24により、エンジン1が低負荷運転のとき、主にインタークーラ40側に吸気を流通させる上流側空間部22aと、エンジン1が高負荷運転のとき、上流側空間部22aと協働してインタークーラ40側に吸気を流通させる下流側空間部22bとに区分されている。
バッフルプレート24は、チャンバ20の後壁部20bの左端から右端近傍に亙って連続して形成され、チャンバ20の後壁部20bからインタークーラ40の後端近傍まで前方へ延びるように形成されている。このバッフルプレート24は、チャンバ20の後壁部20bと射出成形によって一体形成されている。
それに伴い、吸気導入室22の下端部も吸気導出室23の下端部よりも下方に位置するため、吸気導入室22の下端部、所謂チャンバ20の底壁部20cの後端部分が、チャンバ20の内部空間Sの最も低い部分になっている。この低位なチャンバ20の下部に、吸気が持ち込む水や油及びインタークーラ40に結露して滴下した凝結水等の液滴(包括的に残留液という)が溜まる傾向がある。特に、吸気に低圧EGRガスやブローバイガスが混合されている場合、一層、残留液が溜まり易くなる。
図2,図3,図5,図6,図8に示すように、接続部25は、チャンバ20の上部に沿って湾曲しながら上方に延びるチャンバ20よりも通路面積を絞る絞り吸気通路26に接続されている。
絞り吸気通路26の前側部分は、チャンバ20から前方へ凸となる凸部26aを形成している。
インタークーラ40の前端部分に対向する凸部26aの内壁部には、バッフルプレート28が一体的に設けられている。バッフルプレート28の取付部の吸気の流れ方向上流側には、絞り吸気通路26の軸心Cに対して径方向外側へ膨出したボリューム室29が形成されている。尚、ボリューム室29の深さは、凸部26aの外壁部に形成されたリブの高さよりも小さく設定されている。
このバッフルプレート28は、吸気の流れ方向下流側程絞り吸気通路26の軸心Cから離隔するように下方へ延びる傾斜状に形成されている。バッフルプレート28は、平面視にて略三日月状に形成され、絞り吸気通路26の軸心C側の端部に略部分円形の切欠部28aが設けられている。
しかも、慣性力で軸心Cに対して径方向外側を進行する液滴をバッフルプレート28及びボリューム室29でトラップしつつ、切欠部28aで絞り吸気通路26の軸心Cに対して径方向内側を進行する吸気の主流の流通を許容している。
図4,図5に示すように、チャンバ20の下部に溜まる残留液を吸い出すために、吸気装置本体5に、細管状の吸出し手段6が設けられている。吸出し手段6は、主通路60及び副通路70を有している。主通路60は、チャンバ20を迂回して、チャンバ20の上流側及び下流側の各吸気通路に連通し、副通路70は、下流側空間部22bの下部と、主通路60とに連通している。
主流部63aの左側の端部は、先端が開口した管形状に形成されており、ホース62に挿入して締結固定されている。主流部63aの右側の端部には、管状の流路の右端の開口を栓で封止する封止部63cと、封止部63cから分岐して上方に湾曲する湾曲端部63dとが形成されている。
図3,図5,図6に示すように、絞り吸気通路26の下流側におけるチャンバ20側の隆起した内壁面に、左右対向状に2つの小さな液導入口65が形成されている。内部通路64の下流側は、これら液導入口65を通じて絞り吸気通路26に連通している。
主通路60と副通路70とが連通するT字状の合流部位には、ベンチュリ効果によって減圧状態が形成されるように、流路を絞った(流路断面積を小さくした)アスピレータ構造ASが設けられている。
しかも、バッフルプレート24が、連通路24aを除いてチャンバ20の後壁部20bからインタークーラ40の後端部近傍まで前方へ延びて下流側空間部22bの下部に滞留した残留液の上側を覆うため、エンジン1が低負荷運転のとき、吸気導入室22へ導入された吸気は下流側空間部22bの下部に滞留した残留液に殆ど作用せず、また、エンジン1が高負荷運転のとき、吸気導入室22へ導入された吸気のうち下流側空間部22bに進行した吸気のみが残留液に作用する。それ故、吸気の流通に伴う残留液の前方移動を抑制できるため、吸出し口71の開放を回避でき、吸出し機能を確保することができる。
図4,図11,図12に示すように、エアパイプ61は、バルブユニット50に取り付けられており、バルブユニット50の外側に突出したエアパイプ61の円筒状の基端部61aに、アスピレータ63が接続されたホース62の他端が締結固定されている。
バルブユニット50には、連結通路51に通じる差込孔54が形成されており、その差込孔54にエアパイプ61が差し込まれ、気密された状態で固定されている。エアパイプ61が固定された部位は、弁体52よりも上流側に位置している。
これにより、動圧によって吸気を効率よく開口61bに取り込むことができると共に、連結通路51の内壁面51aを沿って油が流れても、開口61bに油が流入するのを効果的に抑制することができる。
このエンジン1の吸気装置2によれば、上流側空間部22aと下流側空間部22bとを区分するバッフルプレート24の設置によって、導入部21とインタークーラ40との間の吸気導入室22を上流側空間部22aと下流側空間部22bとが直列状に連なった吸気通路に形成できるため、導入部21から導入した吸気を上流側空間部22aから下流側空間部22bに亙って導入量に応じた距離を進行させることができる。
吸気導入量が少ない低負荷運転のとき、主に上流側空間部22aまでしか吸気が進行しないため、吸気は進行した領域からのみインタークーラ40側へ流れ、また、吸気導入量が多い高負荷運転のとき、上流側空間部22aを通過して下流側空間部22bまで吸気が進行するため、吸気は低負荷運転のときよりも大きな領域からインタークーラ40側へ流れる。これにより、各種連携機構や特段の配置調整等を必要とすることなく、インタークーラ40に対して吸気が流通する通路面積を吸気導入量と進行距離との関連特性を利用してエンジン負荷に応じた通路面積に調整することができ、インタークーラ40を流通する吸気流速を調整できる。それ故、構造の簡単化を図りつつ、低負荷運転時の凝縮水発生の抑制と高負荷運転時の出力確保とを両立することができる
これにより、高負荷運転のとき、吸気が上流側空間部22aの流れ方向下流側端部から下流側空間部22bの流れ方向上流側端に円滑に移行できるため、簡単な構造で、エンジン負荷に応じた通路面積の調整を適切に行うことができる。
これにより、バッフルプレート24と吸気導入室22とを同一工程で製作することができ、バッフルプレート24を容易に形成することができる。
これにより、低負荷運転のとき、吸気が流れる流路を最短化することができるため、弁体52の操作に対する吸気供給の応答性を高くすることができる。
これにより、バッフルプレート24によって吸気による残留液の持ち去り作用を防止できるため、吸出し手段6の吸出し口71からの残留液の離隔移動を抑制でき、エンジン負荷に拘らず、吸出し手段6の吸出し機能を確保することができる。
前記吸気装置本体5では、絞り吸気通路26に単一のバッフルプレート28を設けた例を説明したが、本吸気装置本体5Aでは、バッフルプレート28に加えて第2バッフルプレート31を設けている。
図13に示すように、インタークーラ40の前端部分に対向する凸部26aの内壁部には、第2バッフルプレート31が一体的に設けられている。
第2バッフルプレート31は、バッフルプレート28と略同じ構造に構成され、バッフルプレート28の下流側近傍部に設けられている。この第2バッフルプレート31は、吸気の流れ方向下流側程絞り吸気通路26Aの軸心Cから離隔するように下方へ延びる傾斜状に形成されている。
第2バッフルプレート31の取付部とバッフルプレート28の取付部との間には、絞り吸気通路26Aの軸心Cに対して径方向外側へ膨出した第2ボリューム室32が形成されている。
インタークーラ40によって発生した凝縮水やチャンバ20の下部に滞留した残留液のうち吸気によって持ち去られた液滴をバッフルプレート28がトラップし、バッフルプレート28によってトラップされなかった液滴を流れ方向下流側の第2バッフルプレート31がトラップするため、更にトラップ量を増加することができる。特に、インタークーラ40の上側部分に付着した凝縮水のトラップに有効である。
図14に示すように、インタークーラ40の前端部分に対向するチャンバ20の前壁部20aには、第3バッフルプレート33が一体的に設けられている。
第3バッフルプレート33は、チャンバ20の前壁部20aの左端から右端に亙って連続して形成され、チャンバ20の前壁部20aからインタークーラ40の前端に向かって後方へ延びるように形成されている。
インタークーラ40によって発生した凝縮水やチャンバ20の下部に滞留した残留液のうち吸気によって持ち去られた液滴を第3バッフルプレート33がトラップし、第3バッフルプレート33によってトラップされなかった液滴を流れ方向下流側のバッフルプレート28がトラップするため、更にトラップ量を増加することができる。特に、チャンバ20の下部に滞留した残留液のトラップに有効である。
1〕前記実施形態においては、チャンバ20が5つの分割パーツを連結して構成された樹脂成型品の例を説明したが、分割数は、5分割に限らず組立手順や仕様に応じて任意に設定しても良く、横長通路等を省略して分割数を減少しても良い。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
2 吸気装置
6 吸出し手段
20 チャンバ
20b 後壁部
22 吸気導入室
22a 上流側空間部
22b 下流側空間部
22w 縦壁部
24 バッフルプレート
24a 連通路40 インタークーラ
S 内部空間
Claims (6)
- 吸気通路の途中部に設けられたチャンバと、このチャンバ内に配設されたインタークーラとを備えたエンジンの吸気装置において、
前記チャンバのうちの前記インタークーラ上流側部分に形成された吸気導入室と、
前記吸気導入室に吸気を導入する導入部と、
前記吸気導入室を前記導入部に連なる上流側空間部と導入部に前記上流側空間部を介して連なる下流側空間部とに区分するバッフルプレートとを備え、
前記バッフルプレートを介して、エンジンが低負荷運転のとき、主に前記上流側空間部からインタークーラ側へ吸気を流通させると共に、エンジンが高負荷運転のとき、前記上流側空間部及び下流側空間部からインタークーラ側へ吸気を流通させるように構成したことを特徴とするエンジンの吸気装置。 - 前記バッフルプレートが前記吸気導入室を上下に区分することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気装置。
- 前記上流側空間部の吸気の流れ方向下流側端部と前記下流側空間部の吸気の流れ方向上流側端部とを連通する連通路を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの吸気装置。
- 前記バッフルプレートが前記チャンバの壁部と一体形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの吸気装置。
- 前記導入部はインタークーラ内部を流れる吸気の流れ方向に平行な前記上流側空間部の縦壁部に形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンの吸気装置。
- 前記上流側空間部が下流側空間部よりも上側に配設され、
前記下流側空間部に滞留した液滴をチャンバ外部へ吸出す吸出し手段を設け、
前記バッフルプレートが前記連通路を除いて前記下流側空間部の上側を覆うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの吸気装置。
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