JP7413918B2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気通路の途中にインタークーラーを備えると共に、排気ガスの一部がEGR通路から吸気通路へ還流されるように構成されたエンジンの吸気装置に関する。
エンジン本体に供給する吸気を冷却するインタークーラーと、排気ガスの一部を還流させるEGR装置とを備えたエンジンの吸気装置が知られている。例えば特許文献1には、吸気通路の途中にインタークーラーコアを収容したチャンバを配置すると共に、前記チャンバよりも下流側の吸気通路に排気ガスの一部をEGRガスとして還流させるEGR通路が接続されてなる吸気装置が開示されている。
特開2015-124687号公報
特許文献1の吸気装置では、前記チャンバから吸気を下流側の吸気通路に送出するチャンバ出口が大きく開口している(特許文献1の図6)。このため、インタークーラーコアを通過した吸気は、ランダムに下流側吸気通路へ向かうことになり、規則的な吸気流が形成され難い傾向が出る。具体的には、チャンバの上方側を通過した吸気と下方側を通過した吸気とが干渉し、企図する吸気流が形成されない場合が生じ得る。この場合、EGRガスと吸気とのミキシングが不十分となり、複数の気筒に均等にEGRガスを分配できない不具合が生じる。
本発明の目的は、インタークーラーを通過した吸気とEGRガスとを良好にミキシングすることができるエンジンの吸気装置を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの吸気装置は、チャンバと、前記チャンバの内部に収容されたインタークーラーコアと、を含むインタークーラーと、前記チャンバよりも下流に位置する下流側吸気通路を含み、前記チャンバを通して吸気をエンジン本体へ導く吸気通路と、前記エンジン本体から排出される排気ガスの一部を、EGRガスとして前記下流側吸気通路に還流させるEGR通路と、を備え、前記チャンバは、前記インタークーラーコアの下流側面の面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を有する側壁を含み、前記下流側吸気通路は、前記吸気送出開口に接続される上流端と、前記上流端から前記チャンバの前記側壁に沿って上方へ延びる延出通路部と、を含み、前記延出通路部は、前記チャンバ側に位置する内側壁部と、この内側壁部と対向する外側壁部とを含む壁で区画され、前記吸気送出開口を区画する開口縁は、吸気が前記チャンバから前記延出通路部へ流入するに際して吸気流を前記内側壁部から離間させると共に、前記吸気の流動主流を前記延出通路部内に形成させる形状を備えた上縁部を含み、前記延出通路部の前記外側壁部は、前記EGR通路を前記下流側吸気通路に合流させるためのEGR導入口を含み、前記EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けて前記EGRガスを吹き出し可能な位置に配置されている。
この吸気装置によれば、チャンバが、インタークーラーコアの下流側面の開口面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を備えるので、吸気を概ね集約した状態で、当該吸気送出開口から排出することができる。従って、インタークーラーコアを通過した吸気が、無秩序に下流側吸気通路へ流入することが防止される。また、上記の上縁部を備える開口縁で区画される吸気送出開口を通して吸気が下流側吸気通路に導入されることで、延出通路部の外側壁部寄りを通る吸気の流動主流が形成される。ここで、前記延出通路部は、チャンバの側壁の前記吸気送出開口に接続される前記上流端から当該チャンバに沿って上方へ延びているので、前記吸気の流動主流は、渦を巻く二次流れを伴って前記外側壁部に沿って上昇する流動となる。そして、EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けてEGRガスを吹き出し可能なように、前記外側壁部に設けられている。従って、EGR導入口から吐出されるEGRガスは渦を巻いて上昇する前記流動主流に吹き当たり、これにより吸気とEGRガスとを良好にミキシングさせることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記吸気送出開口の前記開口縁は、前記上縁部に対応する直線状縁部と、当該直線状縁部の下側に位置する半円状縁部とを備えた、断面視で半円形状を有していることが望ましい。
この吸気装置によれば、前記上縁部が直線状縁部とされているので、前記吸気流を、より一層前記内側壁面から離間させ易くすることができる。また、前記半円状縁部を備えることで、渦を巻いて上昇する吸気の流動主流をより形成させ易くすることができる。
この場合、前記延出通路部における前記上流端に連なる上流部分は、上方に向かうように湾曲した通路であり、当該上流部分は断面視で前記吸気送出開口と同様の半円形状を有していることが望ましい。
この吸気装置によれば、渦を巻いて上昇する前記吸気の流動主流(二次流れ)を維持し易い構造とすることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記吸気送出開口は、前記チャンバの下端領域に配置されていることが望ましい。
この吸気装置によれば、吸気送出開口がチャンバの下端領域に配置されるので、チャンバに沿って上方へ延びる延出通路部の距離を長くすることができる。従って、EGRガスと吸気とがミキシングされる時間を長くし、EGRガスを吸気に均等分散させ易くすることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記EGR導入口は、前記延出通路部の下端領域に配置されていることが望ましい。
この吸気装置によれば、EGR導入口よりも下流の延出通路部の距離を長くすることができる。従って、EGRガスと吸気とがミキシングされる時間を長くし、EGRガスを吸気に均等分散させ易くすることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記EGR導入口は、前記外側壁部の幅方向の中心線及びその近傍領域を除く領域に配置されていることが望ましい。
二次流れ(渦流)を伴う吸気の流動主流は、専ら延出通路部内において幅方向に2つに分かれて発生する。上記の吸気装置によれば、前記EGR導入口を確実に前記流動主流に配向させることができる。
この場合、前記EGR通路は、前記外側壁部に沿って上下方向に延び、その下端部に二叉に分岐された二叉下流端を備え、前記EGR導入口は、前記二叉下流端の各々に対応して配置されていることが望ましい。
この吸気装置によれば、前記二叉下流端の各々に対応して配置された2つのEGR導入口から、前記延出通路部内で発生する2つの流動主流に対して、それぞれ確実にEGRガスを吹き当てさせることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記EGR通路の断面積は、前記延出通路部の断面積よりも小さく設定されていることが望ましい。
この吸気装置によれば、EGRガスの流動を規則化し易くなる。従って、前記延出通路部内で発生する2つの流動主流に対して、EGRガスを吹き当て易くすることができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記EGR通路は、前記下流側吸気通路に連結される連結通路部分と、前記下流側吸気通路に対して離間した位置に配設される離間通路部分とを含み、前記離間通路部分は、前記インタークーラーコアが発する熱を受ける受熱部を備えることが望ましい。
この吸気装置によれば、前記受熱部がインタークーラーコアの発する熱を受けることで、EGR通路を通過するEGRガスを加温させることができる。EGRガスがEGRクーラ等で冷却され過ぎた状態で下流側吸気通路に導入されると、多量の凝縮水が発生し得る。そこで、前記受熱部を通してEGRガスを昇温させた上で前記下流側吸気通路に導入させることで、前記凝縮水の発生を抑制することができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記受熱部は、前記離間通路部分の一部を、前記インタークーラーコアに接近するように湾曲した湾曲部によって形成されていることが望ましい。
この吸気装置によれば、前記湾曲部を形成することにより、前記インタークーラーコアに近接する部分、つまり前記インタークーラーコアから熱を受け取り易い受熱部を容易に構築することができる。
上記のエンジンの吸気装置において、前記インタークーラーコアにおける吸気の流通方向の上流側が前記離間通路部分に接近するように、前記インタークーラーコアが配設され、前記受熱部は、前記離間通路部分における前記インタークーラーコアの前記上流側に対向する部分であることが望ましい。
インタークーラーコアにおける吸気の流通方向の上流側は、高熱の吸気が導入される部分であることから、比較的高温化する。このようなインタークーラーコアの上流側部分に前記受熱部を接近させることにより、大きい熱量を当該受熱部へ与えることができる。
本発明の他の局面に係るエンジンの吸気装置は、インタークーラーコアを含むインタークーラーと、前記インタークーラーよりも下流に位置する下流側吸気通路を含み、前記インタークーラーを通して吸気をエンジン本体へ導く吸気通路と、前記エンジン本体から排出される排気ガスの一部を、EGRガスとして前記下流側吸気通路に還流させるEGR通路と、前記インタークーラーコアの下流側面の面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を有するハウジングと、を備え、前記下流側吸気通路は、前記吸気送出開口に接続される上流端と、前記上流端から前記インタークーラーに沿って上方へ延びる延出通路部と、を含み、前記延出通路部は、前記インタークーラー側に位置する内側壁部と、この内側壁部と対向する外側壁部とを含む壁で区画され、前記吸気送出開口を区画する開口縁は、吸気が前記インタークーラーコアから前記延出通路部へ流入するに際して吸気流を前記内側壁部から離間させると共に、前記吸気の流動主流を前記延出通路部内に形成させる形状を備えた上縁部を含み、前記延出通路部の前記外側壁部は、前記EGR通路を前記下流側吸気通路に合流させるためのEGR導入口を含み、前記EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けて前記EGRガスを吹き出し可能な位置に配置されている。
この吸気装置によれば、インタークーラーコアの下流側面の開口面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を有するハウジングを備えるので、吸気を概ね集約した状態で、当該吸気送出開口から排出することができる。従って、インタークーラーコアを通過した吸気が、無秩序に下流側吸気通路へ流入することが防止される。また、上記の上縁部を備える開口縁で区画される吸気送出開口を通して吸気が下流側吸気通路に導入されることで、延出通路部の外側壁部寄りを通る吸気の流動主流が形成される。ここで、前記延出通路部は、前記ハウジングの前記吸気送出開口に接続される前記上流端からインタークーラーに沿って上方へ延びているので、前記吸気の流動主流は、渦を巻く二次流れを伴って前記外側壁部に沿って上昇する流動となる。そして、EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けてEGRガスを吹き出し可能なように、前記外側壁部に設けられている。従って、EGR導入口から吐出されるEGRガスは渦を巻いて上昇する前記流動主流に吹き当たり、これにより吸気とEGRガスとを良好にミキシングさせることができる。
本発明によれば、インタークーラーを通過した吸気とEGRガスとを、吸気通路内において良好にミキシングさせることができる。従って、エンジン本体が複数の気筒を備える場合に、これら気筒に均等にEGRガスを分配できるエンジンの吸気装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る吸気装置が適用されるエンジンのエンジンシステム図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る吸気装置が適用されたエンジンの外観を示す概略的な斜視図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係る吸気装置の正面図である。 図4は、図3のIV-IV線断面図である。 図5は、図3のV-V線断面図である。 図6は、図5の要部拡大図である。 図7は、チャンバの底蓋部材の斜視図である。 図8は、図5のVIII-VIII線断面図である。 図9は、吸気ハウジングの外側ハウジングを取り外した状態の、吸気装置の正面図である。 図10は、図3のX-X線断面図である。 図11は、仕切り板の斜視図である。 図12は、図5の要部拡大図であって、インタークーラーを通過する吸気流を示す図である。 図13は、吸気の流動主流を説明するための模式図である。 図14は、吸気の流動主流を説明するための模式図である。 図15は、図10の要部拡大図であって、吸気の流動主流へのEGRガスの吹き出しを説明するための図である。 図16は、吸気送出開口の変形例を示す図である。 図17は、EGR導入口の配置の変形例を示す図である。 図18は、本発明の第2実施形態に係る吸気装置が適用されたエンジンの外観を示す概略的な斜視図である。 図19は、第2実施形態の吸気装置の斜視図である。 図20は、第2実施形態の吸気装置の斜視図であって、合流ハウジングユニットのカバー部材を取り除いた状態を示す図である。 図21は、合流ハウジングユニットの斜視図である。 図22は、合流ハウジングユニットの、ユニット本体の斜視図である。 図23は、前記ユニット本体の背面側の平面図である。 図24は、第2実施形態の吸気装置の底面図である。 図25は、図18のXXV-XXV線断面図である。
[エンジンの全体構成]
以下、図面を参照して、本発明に係るエンジンの吸気装置について詳細に説明する。まず、図1に示すシステム図を参照して、本発明に係るエンジンの吸気装置が適用されるエンジンシステムSの全体構成を説明する。図1に示されるエンジンシステムSは、走行用の動力源として車両に搭載される、4サイクル多気筒のターボ付ガソリンエンジンである。エンジンの駆動方式はFF又はFRとすることができる。
エンジンシステムSは、エンジン本体1と、外気(吸気)をエンジン本体1へ導く吸気通路20と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路30と、排気通路30を流れる排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路20に還流するEGR装置36と、吸気通路20に配置されるインタークーラー23と、ブローバイガスを吸気通路20に還流するブローバイ還流装置16とを備えている。本実施形態では、上掲の吸気通路20、インタークーラー23及びEGR装置36が、本発明に係る吸気装置を構成する。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2内に収容されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、例えば4つの気筒を有する多気筒型のものであるが、図1では簡略化のため、1つの気筒2のみを図示している。ピストン5は、所定のストロークで往復摺動可能に気筒2内に収容されている。ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動に応じて中心軸回りに回転駆動される。
ピストン5の上方には燃焼室6が区画されている。燃焼室6は、シリンダヘッド4の下面、気筒2及びピストン5の冠面によって形成されている。シリンダヘッド4には、燃焼室6に燃料(主にガソリン)を噴射するインジェクタ13と、インジェクタ13から燃焼室6に噴射された燃料と燃焼室6に導入された空気とが混合された混合気に点火する点火プラグ14とが設けられている。前記混合気が燃焼室6で燃焼され、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の下面には、吸気ポート9の下流端である吸気側開口と、排気ポート10の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド4には、前記吸気側開口を開閉する吸気弁11と、前記排気側開口を開閉する排気弁12とが組み付けられている。
吸気通路20は、吸気ポート9と連通し、インタークーラー23を通して各気筒2に吸気を供給する経路である。吸気通路20の上流端から取り込まれた空気は、吸気通路20及び吸気ポート9を通して燃焼室6に導入される。吸気通路20には、その上流側から順に、エアクリーナ21、ターボ過給機15、バルブユニット26及びインタークーラー23が配置されている。
エアクリーナ21は、吸気中の異物を除去して吸気を清浄化する。バルブユニット26はスロットルバルブ261を含む。スロットルバルブ261は、図略のアクセルの踏み込み動作と連動して吸気通路20を開閉し、吸気通路20における吸気の流量を調整する。ターボ過給機15は、吸気を圧縮しつつ吸気通路20の下流側へ当該吸気を送り出す。
インタークーラー23は、ターボ過給機15により圧縮された吸気を冷却する。インタークーラー23は、水冷式であって、吸気通路20に割り入れられるチャンバ51と、このチャンバ51の内部に収容されたインタークーラーコア52とを含む。吸気通路20は、チャンバ51よりも上流に位置する上流側吸気通路22と、チャンバ51よりも下流に位置する下流側吸気通路24とを備えている。下流側吸気通路24の下流端は、吸気マニホールドに備えられている独立吸気通路25に接続されている。独立吸気通路25の直上流には、複数の気筒2に吸気を均等に配分するための空間を提供するサージタンク251が配置されている。
排気通路30は、排気ポート10と連通し、燃焼室6で生成された既燃ガス(排気ガス)を車両の外部に排出する。排気通路30は、上流側排気通路31と下流側排気通路34とを含み、両通路31、34の間には、上流触媒コンバータ32及び下流触媒コンバータ33が設けられている。上流触媒コンバータ32には、排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒と、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)とが内蔵されている。下流触媒コンバータ33は、三元触媒やNOx触媒等の適宜の触媒を内蔵している。下流側排気通路34の下流端には、消音器35が取り付けられている。
ターボ過給機15は、吸気通路20側に配置されたコンプレッサ151と、排気通路30に配置されたタービン152とを含む。タービン152は、排気通路30を流れる排気ガスのエネルギーを受けて回転する。これに連動してコンプレッサ151が回転することにより、吸気通路20を流通する空気が圧縮(過給)される。
ブローバイ還流装置16は、ブローバイ取入口161、ブローバイ配管162及びブローバイ導入口163を含む。ブローバイ取入口161は、エンジン本体1の作動時に気筒2から周囲に流出する未燃焼の混合気であるブローバイガスを取り込む。ブローバイ配管162は、ブローバイ取入口161とブローバイ導入口163とを接続する配管である。ブローバイ導入口163は、下流側吸気通路24の適所に連通するように配置され、ブローバイガスを下流側吸気通路24に還流させるための開口である。
EGR装置36は、いわゆる高圧EGRを実現する装置であって、EGR通路361、EGRクーラ362及びEGR弁363を含む。EGR通路361は、排気通路30と吸気通路20とを接続する。詳しくは、ターボ過給機15の上流側に位置する上流側排気通路31と、インタークーラー23の下流側に位置する下流側吸気通路24とを接続している。EGRクーラ362は、排気通路30から吸気通路20に還流される排気ガス(EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁363は、EGR通路361を流れる排気ガスの流量を調整する。なお、このEGR装置36が還流させるEGRガス、及び上述のブローバイガスは、凝縮水を発生させ易いガスである。
本実施形態では、吸気系統の一部とインタークーラー23とが一体化された吸気ユニット40(エンジンの吸気装置)とされ、当該吸気ユニット40がエンジン本体1に装着されている。吸気ユニット40に含まれる部分は、上流側吸気通路22におけるバルブユニット26より下流の通路、インタークーラー23、下流側吸気通路24、サージタンク251、吸気マニホールドとしての独立吸気通路25、EGR通路361の下流部分及びブローバイ導入口163である。
[エンジンの外観構造]
図2は、第1実施形態に係る吸気ユニット40が装着されたエンジン本体1の外観を示す概略的な斜視図、図3は、吸気ユニット40の単体の正面図である。なお、図2、図3及び他の図において、前後、左右、上下の方向表示が付されている。これらの方向表示は説明の便宜上のものであって、必ずしも実際の方向とは合致せず、また本発明を限定的にするものではない。
吸気ユニット40は、エンジン本体1の前側面に組み付けられている。吸気ユニット40は、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気経路の一部を形成する吸気ハウジング41を含む。吸気ハウジング41のうち、図2及び図3には、上述した吸気通路20の下流側吸気通路24を区画する上下通路部431と、独立吸気通路25を区画する吸気マニホールド部432と、EGR通路361の下流部分を区画する膨出部433とが示されている。
インタークーラー23は、上下通路部431と吸気マニホールド部432とによって、その前面と上面とが包まれるように配置されている。上述したインタークーラー23のチャンバ51は、吸気ハウジング41の一部を構成している。インタークーラーコア52は、吸気ハウジング41に対して左方向への挿入並びに右方向への引き出しが可能である。吸気ユニット40への吸気導入口となるバルブユニット26は、インタークーラー23の右横に配置されている。吸気マニホールド部432の上部には、EGR装置36のEGRクーラ362及びEGR弁363が組み付けられている。
[吸気ユニットの内部構造]
続いて、吸気ユニット40の内部構造について説明する。図4は、図3のIV-IV線断面図、図5は、図3のV-V線断面図、図6は、図5の要部拡大図である。吸気ハウジング41は、後方側の内側ハウジング42と、前方側の外側ハウジング43との結合体からなる。両ハウジング42、43は、溶着又はネジ止め等によって結合される、図6には、吸気ハウジング41の下端付近において互いに突き合わせ結合される、内側ハウジング42のフランジ部42Fと外側ハウジング43のフランジ部43Fとが示されている。
内側ハウジング42には、インタークーラー23のチャンバ51が形成されている。チャンバ51は、インタークーラーコア52を収容する略直方体の空間を区画している。チャンバ51は、大略的に上流側壁511、底壁512、上壁513、下流側壁514、右壁515及び左壁516によって構成され、これらの壁511~516は、インタークーラーコア52の上面、底面、後側面、前側面、右側面及び左側面と各々対向する。
上流側壁511は、チャンバ51の後面側の側壁であって、吸気通路20を流れる吸気流の上流側、つまりチャンバ51の入口側に位置する側壁である。下流側壁514は、チャンバ51の前面側(下流側)の側壁であって、チャンバ51の出口側に位置する側壁である。底壁512及び上壁513は、それぞれチャンバ51の下面及び上面を区画する壁である。右壁515及び左壁516は、それぞれチャンバ51の右側面及び左側面を区画する壁である。なお、上流側壁511は、チャンバ51の本体部分に対して後付けされる壁である。また、下流側壁514の一部は、後付けされる底蓋部材53によって構成されている。
チャンバ51内には直方体状のインタークーラーコア52が収容されると共に、上流室51A及び下流室51Bの空間が形成されている。インタークーラーコア52は、水冷のプレートタイプであり、冷却水が流通する蛇行状の冷却水流通路が内部に形成された複数枚のプレートと、これらプレート間に挟まれた冷却フィンとから構成される積層コア構造体である。インタークーラーコア52には、図略のウォーターポンプ及びラジエータを含む冷却水の循環系統が付設される。
図示は省いているが、インタークーラーコア52の上端側及び下端側には、当該インタークーラーコア52の本体部分の上面及び底面を各々保持するコア保持部が一定的に備えられている。また、インタークーラーコア52の上面側及び底面側には、吸気流の漏れを防止するシール部材52Sが取り付けられている。シール部材52Sは、チャンバ51の底壁512とインタークーラーコア52の底面との間の隙間、及び、上壁513とインタークーラーコア52の上面との間の隙間を各々シールする。シール部材52Sはリップシールである。図5及び図6では、シール部材52Sのリップ部が伸長している状態が示されているが、実際には前記リップ部は圧潰されて前記隙間を塞ぐことになる。すなわち、前記底面側では、インタークーラーコア52は、シール部材52Sを介して底壁512に支持されることになる。シール部材52Sの介在によって、吸気流がインタークーラーコア52を通過せずに下流に流れることが防止される。
上流室51Aは、インタークーラーコア52の上流側面52Aに隣接する空間であって、上流側吸気通路22と連通している。上流側壁511は、上流側面52Aと所定間隔を置いて対向し、上流室51Aの空間を区画している。下流室51Bは、インタークーラーコア52の下流側面52Bに隣接する空間であって、下流側吸気通路24と連通している。下流側壁514は、下流側面52Bと所定間隔を置いて対向し、下流室51Bの空間を区画している。吸気は、上流側吸気通路22から上流室51Aに流入し、インタークーラーコア52を通過して下流室51Bに入り、しかる後、下流側吸気通路24へ送り出される。
図4を参照して、吸気ユニット40には、バルブユニット26よりも下流側の上流側吸気通路22が備えられている。バルブユニット26の右面開口が、吸気ユニット40への吸気導入口である。この吸気導入口から吸気は左方に向かう方向に取り入れられる。すなわち、上面視において、吸気がインタークーラーコア52を通過する方向と直交(交差)する方向から、吸気が吸気ユニット40に取り入れられる。その後、吸気は、後方及び左方に順次曲がるクランク状に形成された上流側吸気通路22の下流端部分を経て、上流室51Aに流入する。
下流側壁514(側壁)には、チャンバ51から吸気を下流側へ送り出す吸気送出開口54が設けられている。吸気送出開口54は、チャンバ51の下端領域に相当する位置(下流側壁514の下端部)に配置されている。吸気送出開口54は、チャンバ51に導入されインタークーラーコア52を通過した吸気を、集約して下流側吸気通路24へ送出する開口である。ここで「集約」した送出とは、特許文献1のようにチャンバ51の下流側(出口側)を全体的に開口し、ランダムに吸気を送出する態様ではないことを意味する。
具体的には、吸気送出開口54は、インタークーラーコア52の下流側面52Bの面積に対して絞られた開口面積で開口する。下流側面52Bの面積は、上述のコア保持部を除いたインタークーラーコア52の本体部分の前側面の面積であり、吸気が通過可能な領域の面積である。吸気送出開口54は、下流側面52Bの面積よりも小さい開口面積(絞られた開口面積)に設定されている。すなわち、吸気送出開口54は、インタークーラーコア52の出口よりも絞られた出口を形成する開口である。下流側面52Bの面積に対して、吸気送出開口54の開口面積は、1/2~1/10程度の範囲、好ましくは1/3~1/8程度の範囲に設定することができる。後記で詳述するが、本実施形態では、チャンバ51からの吸気の出口開口を、下流側壁514の下端付近に形成された断面略半円形状の吸気送出開口54(図8)の範囲に限定し、その限られた開口範囲から吸気をまとまった流れとして送出する。
チャンバ51の下面側には、下面開口55が備えられている。具体的には下面開口55は、下流室51Bの下方において底壁512に開口している。図6に示すように、下面開口55は、チャンバ51におけるインタークーラーコア52の配置箇所の下流付近(前方付近)から吸気送出開口54の配置位置に至る領域と上下方向に重複する位置に配置されている。なお、下面開口55は、チャンバ51の成形時に、スライド金型を挿脱する開口として利用される。
下面開口55は、底蓋部材53によって塞がれている。本実施形態では、この底蓋部材53が、吸気通路20(下流側吸気通路24)において発生する凝縮水を貯留部としての役目を果たす。すなわち、底蓋部材53は、前記凝縮水を貯留する貯留凹部531を備えている。貯留凹部531は、上面が開口したキャビティである。上述の通り、下流側吸気通路24には凝縮水を発生させ易いEGRガス及びブローバイガスが導入される。貯留凹部531のキャビティは、所定量の凝縮水を貯留可能な容積に設定される。なお、貯留された凝縮水は、逐次、吸気流によって下流側吸気通路24に運び出される。
底蓋部材53は、吸気送出開口54の下方後側であって、インタークーラーコア52と上下方向に一部重複する重複領域OLを有する位置関係で配置されている。本実施形態では、貯留凹部531の前後幅の1/3程度が、重複領域OLとされている。重複領域OLは、貯留凹部531の前後幅の1/2~1/5程度の範囲から選定することができる。また、本実施形態では、貯留凹部531の底面は、前方側から後方側に向けて下降する傾斜面とされている。つまり、貯留凹部531のキャビティ深さが、後方の重複領域OLにおいて前方側より深くなるように設定されている。
図7は、底蓋部材53の斜視図である。図7に示すVI-VI線が、図6(及び図5)の断面ラインに相当する。また、図7に示す矢印aは、チャンバ51から下流側吸気通路24へ向かう吸気流の流れ方向を示している。底蓋部材53は、上述の貯留凹部531のほか、第1リブ532、第2リブ533、連通溝534、一対の側面リブ535、536、上流壁537及び下流壁538を有している。
第1リブ532及び第2リブ533は、共に貯留凹部531のキャビティの底面から上方に突出するリブである。第1リブ532は、吸気流の方向に沿って前後に延びるリブである。第2リブ533は、吸気流の方向と直交(交差)する方向に延在している。連通溝534は、凝縮水の水位の一定化のため、複数の第1リブ532の並設によって前記キャビティ内に生じる小区画の相互間で、貯留された凝縮水の移動を可能とする溝である。一方の側面リブ535は底蓋部材53の左端側において、他方の側面リブ536は右端側において、貯留凹部531の周縁から上方へ各々立設されたリブである。
上流壁537は、貯留凹部531のキャビティの後面を区画している。下流壁538は、前記キャビティの前面を区画すると共に、貯留凹部531の周縁から上方へ延出する部分を備える壁である。下流壁538の上方延出部分には、吸気送出開口54の下縁部に対応した半円形状の切り欠き縁53Aが設けられている。貯留凹部531の周縁にはフランジ部539が設けられている。このフランジ部539が、底壁512における下面開口55の周縁部分に当接されると共に、溶着等によって固着されている。
図5に戻って、外側ハウジング43は、上下通路部431、吸気マニホールド部432及び膨出部433を含む。上下通路部431は、上下方向に直進的に延び、断面が半円形状の通路を区画している。上下通路部431の下端部434は、吸気送出開口54と対向する位置に配置されている。上下通路部431の上端は、後方へ湾曲する態様で、吸気マニホールド部432に連通している。
吸気マニホールド部432は、エンジン本体1が備える複数の気筒2に吸気を分配する経路を形成する部分であり、内部には図1に示した独立吸気通路25が複数備えられている。膨出部433は、上下通路部431の前方側壁部(外側壁部244)において、上下通路部431に沿って上下方向に膨出する部分である。図3を参照して、膨出部433は、上下通路部431の左右方向の中央付近に配置されている。膨出部433は、その下端部に左右に二叉に分岐する二叉下流端433Eを備える、二叉下流端433Eからは、断面半円形状の外側壁部244の外周に沿うように、左側流路部433L及び右側流路部433Rが各々左方向及び右方向に延びている。
図5に示すように、下流側吸気通路24は、吸気送出開口54に接続される上流端241と、この上流端241から上方へ延びる延出通路部242を備えている。上流端241は、内側ハウジング42の前方下端付近の部材によって区画される、吸気送出開口54の直下流部分である。延出通路部242は、上流端241からチャンバ51の下流側壁514に沿って上方に延び、サージタンク251に連なっている。延出通路部242における上流端241に連なる上流部分は、前方上方に向かうように90度程度湾曲した通路である。また、延出通路部242のサージタンク251に連なる下流部分は、後方斜め上方に湾曲した通路である。
上記の上下通路部431は、内側ハウジング42の一部と共に延出通路部242を区画している。延出通路部242は、チャンバ51側に位置する内側壁部243と、内側壁部243と対向する外側壁部244とで区画されている。膨出部433は、延出通路部242の前方側で上下に延びる、EGR通路361の下流部分(EGR弁363より下流部分)を区画している。上下通路部431の下端領域には、EGR通路361を下流側吸気通路24に合流させるためのEGR導入口45が、左右一対で開口している。これらのEGR導入口45へEGRガスを導く通路を形成しているのが、上記の左側流路部433L及び右側流路部433Rである。さらに、上下通路部431の下端領域であってEGR導入口45よりやや上方には、ブローバイガスを下流側吸気通路24に還流させるブローバイ導入口163が開口している。これらの構成については、後記で詳述する。
[吸気送出開口の詳細]
以下、要部の詳細構造について説明する。先ず、吸気送出開口54について説明する。図8は、図5のVIII-VIII線断面図であって、吸気送出開口54の形状を示す図である。吸気送出開口54は、断面視で半円形状を備える開口である。吸気送出開口54を区画する開口縁は、上縁部541及び半円状縁部542である。上縁部541は、左右方向へ直線状に延びる直線状縁部である。半円状縁部542は、上縁部541の下側に位置し、上縁部541の左右両端から各々下方内側へ湾曲しながら延びる縁部である。なお、半円状縁部542の下端部分は、左右方向へ直線状に延びる縁部とされている。
吸気送出開口54の上縁部541は、吸気がチャンバ51の内部から上流端241を通って延出通路部242へ流入するに際して、吸気流を内側壁部243から離間させると共に、吸気の流動主流を延出通路部242内に形成させる機能を発現する形状とされる。上記の直線状縁部からなる上縁部541は、前記機能を発現できる一実施形態である。この機能については、図13に基づき詳述する。
図8から明らかな通り、吸気送出開口54は、チャンバ51の下端領域に配置されている。上述の通り、吸気送出開口54は、インタークーラーコア52の出口よりも絞られた出口を形成する開口であり、吸気を集約して下流側吸気通路24へ送出する開口である。本発明では、上記の「絞られた出口」を形成する限りにおいて、吸気送出開口54の配置位置に限定はない。しかし、本実施形態の通り、吸気送出開口54をチャンバ51の下端領域に配置すれば、チャンバ51に沿って上方へ延びる延出通路部242の距離を長くすることができる。
すなわち、コンパクト化のため、チャンバ51の上方に吸気マニホールド部432が配置される構造を備えた吸気ユニット40において、吸気送出開口54をチャンバ51の下端付近に配置するほど、長い距離の延出通路部242を設定することができる。このことは、延出通路部242に導入されるEGRガス及びブローバイガスと吸気とがミキシングされる時間を長く確保できることを意味する。従って、吸気にEGRガス及びブローバイガスを十分に均等分散させた上で、各々の気筒2へ吸気を導入することができる。
[下流側排気通路及びその付近の詳細]
次に、下流側吸気通路24及びその付近の詳細構造について、図9及び図10をさらに参照して説明する。図9は、吸気ハウジング41から外側ハウジング43を取り外した状態の、吸気ユニット40の正面図、図10は、図3のX-X線断面図である。
下流側吸気通路24の延出通路部242は、互いに対向する内側壁部243と外側壁部244とによって区画されている。内側壁部243は、内側ハウジング42が備えるチャンバ51の下流側壁514の前側面の一部である(図5、図8参照)。外側壁部244は、図10に示されているように、外側ハウジング43に備えられ、断面形状が左右に広幅のU字型を有する壁部である。内側ハウジング42と外側ハウジング43とがフランジ部42F、43F他で結合されることにより、内側壁部243と外側壁部244とは断面半円形状の延出通路部242を形成する。
延出通路部242の断面形状は、吸気送出開口54の開口形状と略同一に設定されている。延出通路部242における上流端241に連なる上流部分は、上方に向かうように湾曲した通路である。この上流部分を区画しているのが、上下通路部431の下端部434である。当該下端部434もまた、吸気送出開口54の開口形状と略同一に設定されている。つまり、吸気送出開口54から上流端241及び延出通路部242に至る通路は、断面視で吸気送出開口54と同様の半円形状を有している。
図4、図5、図9を参照して、外側壁部244の左右幅方向の中央領域は、仕切り板44によって構成されている。EGR通路361を区画する膨出部433は、左右方向の断面(図4)において前方へU字型に突出する形状を有する。仕切り板44は、膨出部433の立ち上がり基部の開口を塞ぎように、上下通路部431の内面に取り付けられている。この仕切り板44の介在によって、上下通路部431の内部が、後方側の下流側吸気通路24(延出通路部242)と、前方側のEGR通路361とに仕切られている。なお、EGR通路361の断面積は、延出通路部242の断面積よりも小さく設定されている。これは、EGR通路361の断面積を広くすると、EGRガスの流動が不規則になりがちであり、吸気に吹き当て難くなるからである。
図11は、仕切り板44の斜視図である。仕切り板44は、上下に延びる帯状片441と、帯状片441の下端に連設された一対の湾曲片442とを含む。帯状片441は、平坦なプレート部材であり、下流側吸気通路24が上端付近での後方湾曲形状に合わせて湾曲している。一対の湾曲片442は、帯状片441の下端から左右方向に延在している。湾曲片442は、延出通路部242の断面形状(図10)における外側壁部244の湾曲形状に沿った曲面を有している。湾曲片442の背面(前面)には、溝状の凹部からなる分岐通路壁443が備えられている。分岐通路壁443は、上述の二叉下流端433Eの左側流路部433L及び右側流路部433Rと共にEGRガスの流路を区画する。
一対の湾曲片442には、それぞれEGR導入口45が形成されている。つまり、EGR導入口45は、二叉下流端433Eから二叉に分岐している湾曲片442の各々に対応して配置されている。EGR導入口45は正方形の開口であり、分岐通路壁443に連なる位置に開口されている。図10に示すように、EGR導入口45によって、延出通路部242の空間と、左側流路部433L及び右側流路部433Rの流路空間とが連通している。EGR導入口45は、後述する吸気の流動主流に向けてEGRガスを吹き出し可能な位置に配置されている。
EGR導入口45は、延出通路部242の下端領域に配置されている。本実施形態では、図5、図6に示すように、仕切り板44の湾曲片442と吸気送出開口54の上縁部541とが、上下方向に重複する高さ位置に配置されている。そして、上縁部541とEGR導入口45の下端縁部とが略同一高さとなる位置に、EGR導入口45が配置されている。また、前方に向いて開口する吸気送出開口54から上流端241を経て上方へ湾曲する延出通路部242の、前記上方への湾曲が完了して直ぐの領域に、EGR導入口45が配置されている。このような配置により、EGR導入口45よりも下流に位置する延出通路部242の距離を長くすることができる。従って、EGRガスと吸気とがミキシングされる時間を長くし、EGRガスを吸気に均等分散させ易くすることができる。
ブローバイ導入口163は、EGR導入口45よりもやや上方の位置に配置されている。ブローバイ導入口163は、EGR導入口45を備える湾曲片442に隣接する領域において、外側壁部244に開口している。
[吸気の挙動]
図12は、図5の要部拡大図であって、インタークーラー23を通過する吸気流Fwを示す図である。吸気ユニット40に取り入れられた吸気は、上流側吸気通路22からチャンバ51の上流室51Aに入る(図4も参照)。上流室51Aは、インタークーラーコア52の上下幅及び左右幅の全長に亘って延びる空間である。このため、吸気流Fwは、インタークーラーコア52の上下及び左右の全域を通過し、下流室51Bに至る。この通過の際、吸気流Fwは、インタークーラーコア52の上記冷却フィンと熱交換し、冷却されることになる。
下流室51Bから下流側吸気通路24へ向かう経路は、吸気送出開口54を通る経路に限定されている。そして、吸気送出開口54は、チャンバ51の下端領域に配置されている。このため、インタークーラーコア52から下流室51Bに進入した吸気流Fwは、吸気送出開口54へ向かうよう集約され、まとまった流れとなる。これにより、インタークーラーコア52を通過した吸気流が無秩序に下流側吸気通路24へ流入することが防止される。吸気送出開口54を通過した後、吸気流Fwは下流側吸気通路24に入る。すなわち、吸気流Fwは、吸気送出開口54に接続される上流端241から、上方へ湾曲して延びる延出通路部242に入る。なお、このような吸気流Fwは、気筒2での燃焼動作の実行により当該気筒2が負圧化されることに伴って専ら形成される。
図13及び図14は、吸気送出開口54を出た後の吸気流Fwの流れを示す図であって、流動主流R1、R2を説明するための模式図である。吸気送出開口54は、断面視で半円形状を備える開口であって、左右方向へ直線状に延びる上縁部541を有する。このような開口縁、上方に向けて大きく湾曲せず、配置位置がチャンバ51の下方領域である上縁部541を通して吸気が下流側吸気通路24に導入されることで、延出通路部242の外側壁部244寄りを通る吸気の流動主流R1、R2が形成される。すなわち、吸気流Fwは、内側壁部243の壁面に沿う領域ではなく、内側壁部243から前方へ離間した経路を通過するような流動主流R1、R2となる。
また、延出通路部242は、吸気送出開口54に接続される上流端241から当該チャンバに沿って上方湾曲して延びている。このため、吸気流Fwの流動主流R1、R2は、その流動主流R1、R2の軸回りに渦を巻く二次流れrを伴って外側壁部244に沿って上昇する流動となる。特に本実施形態では、吸気送出開口54から上流端241を経て延出通路部242へ向かう上方湾曲経路の断面形状は、開口縁として上縁部541及び半円状縁部542を備えた吸気送出開口54の開口形状と同様のサイズ及び形状を有する半円形状とされている。このため、左右に二つに分離し、上方へ向けて平行に流れる一対の流動主流R1、R2が形成されるようになる。また、上方に向けて湾曲する曲り管に類する延出通路部242を吸気流Fwが通過する際に、より二次流れrが形成され易く、維持され易くなる。
上記のような二次流れrを伴う流動主流R1、R2の通過経路に対応する位置に、左右一対のEGR導入口45が配置されている。つまり、EGR導入口45は、吸気の流動主流R1、R2に向けて各々EGRガスを吹き出し可能なように、外側壁部244に設けられている。ブローバイ導入口163もまた、流動主流R2に向けてブローバイガスを吹き出し可能な位置に配置されている。
図15は、図10の要部拡大図であって、吸気の流動主流R1、R2へのEGRガスF1、F2の吹き出しを説明するための図である。EGR導入口45は、内側壁部243よりも外側壁部244に近い位置において、上下通路部431の左右側面にそれぞれ開口している。吸気の流動主流R1、R2もまた、吸気送出開口54の上縁部541の作用によって、内側壁部243よりも外側壁部244に近い位置を通過する。
このようなEGR導入口45からEGRガスF1、F2が延出通路部242へ導入されると、EGRガスF1は流動主流R1に、EGRガスF2は流動主流R2に、各々吹き当たることになる。既述の通り、流動主流R1、R2は二次流れrの渦流を伴っている。このため、流動主流R1、R2に吹き当てられたEGRガスF1、F2は、二次流れrを伴う流動主流R1、R2を形成している吸気流と良好に混ざり合うようになる。つまり、EGRガスF1、F2は渦を巻いて上昇する流動主流R1、R2に吹き当たり、これにより吸気とEGRガスF1、F2とが良好にミキシングされる。従って、EGRガスF1、F2が均等に分散された状態で、吸気を複数の気筒2へ分配することができ、燃焼安定性を確保することができる。
ブローバイ導入口163から延出通路部242へ導入されるブローバイガスについても同様である。ブローバイ導入口163も、流動主流R1、R2の通過経路に対向する位置に配置されている。従って、ブローバイガスも、吸気と良好にミキシングさせることができる。
[第2実施形態]
図18は、本発明の第2実施形態に係る吸気ユニット40A(エンジンの吸気装置)が適用されたエンジン本体1Aの外観を示す概略的な斜視図である。図19及び図20は、エンジン本体1Aの斜視図である。エンジン本体1Aは、例えば6気筒のターボ付エンジンである。第1実施形態の吸気ユニット40では、密閉型のチャンバ51にインタークーラーコア52が挿脱されるタイプのインタークーラー23を例示した。これに代えて、第2実施形態では、開放型チャンバにインタークーラーコア52が収容されるインタークーラー23Aが適用された吸気ユニット40Aを例示する。また、第2実施形態では、EGR通路361の下流側吸気通路24及びインタークーラー23Aに対する配置態様が第1実施形態とは異なる例を示す。
インタークーラー23Aは、水冷式であって、インタークーラーコア52と、第1実施形態におけるチャンバ51に相当する上流ハウジング231及び下流ハウジング232(ハウジング)と、を含む。なお、図19及び図20では、吸気マニホールド部432の上方に配置されたサブタンク233が示されている。サブタンク233は、インタークーラーコア52へ供給する冷却水を貯留するタンクである。
インタークーラーコア52は、水冷プレートと冷却フィンとによって構成される積層コア構造体と、この積層コア構造体を収容する直方体のケースからなる外側カバー52Cとを含む。第2実施形態では、インタークーラーコア52は、外側カバー52Cが露出した状態で、エンジン本体1Aに組付けられている。
上流ハウジング231は、インタークーラーコア52の上流側に装着され、第1実施形態における上流室51A(図4、図5参照)に相当する内部空間を形成するハウジングである。上流ハウジング231には、上流側吸気通路22の下流端が接続されている。外側カバー52Cの上流端には、上流ハウジング231を取り付けるための係合部が備えられている。
下流ハウジング232は、インタークーラーコア52の下流側に装着され、第1実施形態における下流室51Bに相当する内部空間を形成するハウジングである。外側カバー52Cの下流端には、下流ハウジング232を取り付けるための係合部が備えられている。下流ハウジング232の内部空間は、下流側吸気通路24の上下通路部431と連通している。下流ハウジング232は、その下端側に、上下通路部431の上流端(下端)と前記内部空間とを接続する接続ハウジング232Aを備えている。第2実施形態では断面図を省略するが、接続ハウジング232Aは、第1実施形態の吸気送出開口54と同様な吸気送出開口を形成するハウジングである。当該吸気送出開口は、インタークーラーコア52の下流側面の面積に対して絞られた開口面積で開口している。接続ハウジング232Aが備える前記吸気送出開口の作用効果は、先述の第1実施形態と同様であるので、ここでは説明を省く。
下流側吸気通路24の上下通路部431は、前記吸気送出開口を有する接続ハウジング232Aに接続される前記上流端(下端)から、インタークーラー23Aに沿って上方に延びている。上下通路部431は、第1実施形態ではチャンバ51と一体化された例を示したが、第2実施形態では、インタークーラー23A(インタークーラーコア52)に対して前後方向に離間する態様で配置されている。上下通路部431の下流端(上端)には、吸気マニホールド部432が接続されている。
EGR装置36Aは、第1実施形態と同様に、EGR通路361、EGRクーラ362及びEGR弁363を備えている。EGR弁363より下流側のEGR通路361は、第1実施形態では、下流側吸気通路24の上下通路部431の前側に重なるように配置される例を示した。この第2実施形態では、EGR通路361の下流部分である下流EGR通路46は、上下通路部431に対して右側にシフトした位置において、上下方向に延びるように配設されている例を示している。
下流EGR通路46は、連結通路部分47と離間通路部分48とを含む。連結通路部分47は、下流側吸気通路24に連結される部分であり、下流EGR通路46を流れるEGRガスを、下流側吸気通路24を流れる吸気に合流させる部分である。連結通路部分47は、上下通路部431の下端付近に、当該上下通路部431の前方側に重なるように取り付けられている。離間通路部分48は、下流側吸気通路24に対して右方に離間した位置に、上下方向に延びるように配設される通路部分である。離間通路部分48は、連結通路部分47に連通する下端部分と、吸気マニホールド部432を超える高さまで伸びてEGR弁363に連なる上端部分とを有している。
本実施形態では、下流側吸気通路24の上下通路部431及び下流EGR通路46が、一体化された部品で構成されている例を示す。すなわち、図19に示すように、上下通路部431及び下流EGR通路46は、合流ハウジングユニット60によって形成されている。合流ハウジングユニット60は、ユニット本体61、カバー部材62及び内側ハウジング63にて構成されている。図20は、合流ハウジングユニット60のうち、カバー部材62が取り外された状態を示している。
ユニット本体61と内側ハウジング63とは別体の部材である。内側ハウジング63は、上下通路部431におけるインタークーラー23A側に位置する壁面を構成している。すなわち、内側ハウジング63は、第1実施形態の内側ハウジング42における内側壁部243に相当する部材である。内側ハウジング63に対してユニット本体61が装着されることで、上下通路部431の内部空間が形成される。内側ハウジング63は、吸気マニホールド部432の下部側のハウジングと一体の部材である。
図21は、内側ハウジング63を除いた合流ハウジングユニット60の斜視図である。図22は、カバー部材62を取り外したユニット本体61の斜視図、図23は、ユニット本体61の背面側の平面図である。ユニット本体61は、外側壁部611、合流枠部612、上方延出部613及び連絡部614を含む。
外側壁部611は、上下方向に延びる半筒状の部分であって、内側壁部243と対向する部分である。外側壁部611と内側壁部243とによって、上下通路部431内の延出通路部242(図5参照)が区画される。外側壁部611の上端付近には、ブローバイ導入口163が設けられている。
合流枠部612は、外側壁部611の前方下部付近において、前方側に突設された直方体状の枠体である。合流枠部612の開口がカバー部材62の下端部で塞がれることにより、上述の連結通路部分47が形成される。合流枠部612によって囲われる領域において外側壁部611には、EGRガスを上下通路部431内に導入するEGR導入口45が設けられている。本実施形態では、三つのEGR導入口45が外側壁部611の周方向に穿孔されている例を示している。もちろん、EGR導入口45は、第1実施形態と同様な配置としても良い。
上方延出部613は、上述の離間通路部分48を形成する部分であって、EGEガスをEGR導入口45へ向かわせる通路である。上方延出部613は、外側壁部611に対してY分岐する態様で、合流枠部612から斜め右上方に延出している。すなわち、上方延出部613は、インタークーラーコア52と直接対峙し、両者間で空間を介して熱交換が可能な配置とされている。上方延出部613は、下方から上方に向かう順に、第1部分613A、第2部分613B、第3部分613C(湾曲部)及び第4部分613Dを含む(図22、図23)。
第1部分613Aは、合流枠部612の右側壁から斜め右上に延び出す部分である。第2部分613Bは、第1部分613Aの上端から上方に延び出す部分である。第2部分613Bと外側壁部611とは、略平行に上下方向に延びている。第3部分613Cは、第2部分613Bの上端から斜め前方に延びるように湾曲した部分である。第4部分613Dは、第3部分613Cの上端から上方に延び出し、連絡部614に至る部分である。第4部分613Dは、前方に突出している吸気マニホールド部432(図19参照)を迂回するよう、前方に突出して配設されている。連絡部614は、吸気マニホールド部432の上側に配置され、EGR弁363の出口側と上方延出部613とを繋ぐ部分である。
EGRガスの流通方向で見ると、第3部分613Cは、吸気マニホールド部432を迂回する第4部分613Dから、インタークーラーコア52に接近するように後方へ湾曲した湾曲部であると言える。そして、第3部分613Cの下端に連なる第2部分613Bは、前記湾曲部によって形成された、インタークーラーコア52に近接して上下方向に延びる部分となる。つまり、第2部分613Bは、インタークーラーコア52に対峙する高さ位置に有ると共に、第2部分613Bの後面が上方延出部613の中で最もインタークーラーコア52に接近した部分である。本実施形態では、この第2部分613Bの後面が、インタークーラーコア52が発する熱を受け取る受熱部49となる。
図24及び図25に基づき、インタークーラーコア52と離間通路部分48との位置関係について説明を加える。図24は、第2実施形態の吸気ユニット40Aの底面図である。図25は、図18のXXV-XXV線断面図である。図24に示す通り、インタークーラーコア52は、エンジン本体1Aの左右方向に対して傾いて配置されている。具体的には、吸気の流通方向の上流側である上流ハウジング231側が前側に、吸気の流通方向の下流側である下流ハウジング232側が後側を向くように、インタークーラーコア52はエンジン本体1Aに対して配設されている。
下流EGR通路46の離間通路部分48は、インタークーラーコア52の前側面521に対して、短い間隔を置いて前方側に配設されている。離間通路部分48が前側面521と対峙する位置は、インタークーラーコア52の吸気流通方向の上流側である。一方、連結通路部分47及び上下通路部431は、インタークーラーコア52の下流側と対峙している。上述の受熱部49は、離間通路部分48における前側面521の上流側と対向する対向面である。言い換えると、インタークーラーコア52の吸気流通方向の上流側が離間通路部分48に接近するように、インタークーラーコア52が配設されている。受熱部49と前側面521との間隔は、前側面521から発せられる熱(輻射熱)が受熱部49で受け取られ、離間通路部分48を流れるEGRガスを加温可能な距離に設定される。例えば、前記間隔は、2mm~40mm程度の範囲から選択することができる。
図25の断面(上下方向の断面)で見ると、受熱部49は、離間通路部分48の一部を、インタークーラーコア52に接近するように湾曲した湾曲部481によって形成されている。湾曲部481は、図22及び図23に示す第3部分613Cに相当する部分である。湾曲部481が形成されない場合、つまり離間通路部分48を、吸気マニホールド部432との干渉を避ける部分(第4部分613D)から鉛直下方に延在させると、インタークーラーコア52の前側面521に対して、受熱部49は比較的長い距離で離間してしまう。しかし、湾曲部481の形成によって、受熱部49を前側面521に接近して配置することができる。
以上説明した第2実施形態の吸気ユニット40Aは、第1実施形態において詳述した吸気送出開口54に基づく利点を備える。これに加えて吸気ユニット40Aは、受熱部49がインタークーラーコア52の発する熱を受けることで、離間通路部分48(EGR通路361)を通過するEGRガスを加温させることができる。
EGRガスがEGRクーラ362で冷却され過ぎた状態で下流側吸気通路24に導入されると、多量の凝縮水が発生することがある。EGRクーラ362は、高負荷運転時においてEGRガスを十分に冷却可能な冷却能力を具備させる必要がある。このため、中・軽負荷時等においては、凝縮水を多く発生させる程度(例えば100℃程度)にEGRガスが冷却され得る。一方、上流側吸気通路22からインタークーラーコア52に流入する吸気は、ターボ過給機15(図1)で加給されていることもあり、冷却されたEGRガスに比べてかなりの高温となる。つまり、インタークーラーコア52、とりわけ吸気の冷却が未済の状態であるインタークーラーコア52の上流側は、離間通路部分48に対して相当の高温を有している。
第2実施形態では、受熱部49がインタークーラーコア52の発する熱を受けるので、当該受熱部49を通してEGRガスを昇温させることができる。そして、昇温させたEGRガスを下流側吸気通路24に導入させるので、吸気とEGRガスとの温度差が小さくなり、凝縮水の発生を抑制することができる。
また、受熱部49は、離間通路部分48の一部を、インタークーラーコア52に接近するように湾曲した湾曲部481によって形成されている。このような湾曲部481を形成することにより、離間通路部分48においてインタークーラーコア52に近接する部分、つまりインタークーラーコア52から熱を受け取り易い受熱部49を容易に構築することができる。
さらに、インタークーラーコア52における吸気の流通方向の上流側が離間通路部分48に接近するように、インタークーラーコア52が配設されている。そして、受熱部49は、インタークーラーコア52の前記上流側に対向する部分とされている。インタークーラーコア52の前記上流側は、高熱の吸気が導入される部分であることから、比較的高温化する。このようなインタークーラーコア52の上流側部分に受熱部49を接近させることにより、大きい熱量を当該受熱部49へ与えることができる。従って、EGRガスを効率良く加温させることができる。
[変形例]
以上、本発明の第1及び第2実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
(1)上記実施形態では、断面半円形状であって、上縁部541が直線状縁部である吸気送出開口54を示した。上縁部541は、吸気流を延出通路部242の内側壁部243から離間させると共に、吸気の流動主流R1、R2を延出通路部242内に形成させる形状である限りにおいて、各種の変形実施形態を取ることができる。
図16(A)~(D)は、吸気送出開口54の変形例を示す図である。図16(A)に示す吸気送出開口54Aは、角部が曲線とされた四角形状であって、上縁部541Aは、両端部が曲線である他は直線状である。図16(B)の吸気送出開口54Bは、短軸(上下軸)と長軸(左右軸)との比が比較的小さい楕円形状であって、上縁部541Bは、上方に凸の曲線である。図16(C)の吸気送出開口54Cは、短軸と長軸との比が比較的大きい楕円形状であって、上縁部541Cは、上方に緩やかに凸の曲線である。図16(D)の吸気送出開口54Dは、断面形状が三角形状であって、上縁部541Dは直線状である。このような吸気送出開口54A~54Dであっても、吸気流の内側壁部243からの離間、並びに吸気の流動主流R1、R2の形成を実現することができる。
(2)EGR導入口45は、吸気の流動主流R1、R2に向けてEGRガスF1、F2を吹き出し可能な位置である限りにおいて、その配置位置に制限はない。図17は、延出通路部242の模式的な断面図であって、EGR導入口45の各種配置例を示す図である。図17に示す矢印D1、D2及びD3は、延出通路部242へのEGRガスの導入方向、すなわちEGR導入口45の配置位置を示している。
矢印D1の導入方向は、図15他に示した上記実施形態におけるEGR導入口45の配置位置である。既述の通り、矢印D1の位置にEGR導入口45を配置すれば、二次流れrを伴う吸気の流動主流R1、R2にEGRガスを吹き当てることができる。矢印D2の導入方向は、矢印D1に比べて、より延出通路部242(外側壁部244)の幅方向(左右方向)の中心線Lに近い位置である。矢印D3の導入方向は、矢印D2よりもさらに中心線Lに近い位置である。これら矢印D2、D3の位置にEGR導入口45を配置した場合でも、吸気の流動主流R1、R2にEGRガスを吹き当て、吸気と良好にミキシングさせることができる。
換言すると、EGR導入口45の配置位置は、外側壁部244の幅方向の中心線L及びその近傍領域を除く領域に配置されていれば良い。但し、内側壁部243に近い領域では、流動主流R1、R2に対向しにくい傾向があるで、当該領域は回避することが望ましい。二次流れrを伴う吸気の流動主流R1、R2は、専ら延出通路部242内において幅方向に2つに分かれて発生する。従って、EGR導入口45を、中心線L及びその近傍領域を除く領域に配置することで、EGRガスを確実に流動主流R1、R2に吹き当てることができる。
(3)上記実施形態では、多気筒のターボ付ガソリンエンジンに本発明に係る吸気装置を適用した例を示した。本発明に係る吸気装置は、ディーゼルエンジンにも適用することができ、また、ターボ過給機15を備えていないエンジンにも適用することができる。
(4)第2実施形態では、インタークーラーコア52を収容するチャンバとして、上流ハウジング231及び下流ハウジング232が、インタークーラーコア52の上流側及び下流側に各々取り付けられる例を示した。これに代えて、第1実施形態で例示したチャンバ51のように、インタークーラーコア52を挿脱可能な密閉型のチャンバを、第2実施形態においても適用しても良い。
1、1A エンジン本体
20 吸気通路
23、23A インタークーラー
231 上流ハウジング
232 下流ハウジング(ハウジング)
24 下流側吸気通路
241 上流端
242 延出通路部
243 内側壁部
244 外側壁部
361 EGR通路
433E 二叉下流端
45 EGR導入口
47 連結通路部分
48 離間通路部分
481 湾曲部
49 受熱部
51 チャンバ
514 下流側壁(側壁)
52 インタークーラーコア
54 吸気送出開口
541 上縁部(直線状縁部/開口縁)
542 半円状縁部
R1、R2 流動主流
F1、F2 EGRガス
L 中心線

Claims (15)

  1. チャンバと、前記チャンバの内部に収容されたインタークーラーコアと、を含むインタークーラーと、
    前記チャンバよりも下流に位置する下流側吸気通路を含み、前記チャンバを通して吸気をエンジン本体へ導く吸気通路と、
    前記エンジン本体から排出される排気ガスの一部を、EGRガスとして前記下流側吸気通路に還流させるEGR通路と、を備え、
    前記チャンバは、前記インタークーラーコアの下流側面の面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を有する側壁を含み、
    前記下流側吸気通路は、前記吸気送出開口に接続される上流端と、前記上流端から前記チャンバの前記側壁に沿って上方へ延びる延出通路部と、を含み、前記延出通路部は、前記チャンバ側に位置する内側壁部と、この内側壁部と対向する外側壁部とを含む壁で区画され、
    前記吸気送出開口を区画する開口縁は、吸気が前記チャンバから前記延出通路部へ流入するに際して吸気流を前記内側壁部から離間させると共に、前記吸気の流動主流を前記延出通路部内に形成させる形状を備えた上縁部を含み、
    前記延出通路部の前記外側壁部は、前記EGR通路を前記下流側吸気通路に合流させるためのEGR導入口を含み、前記EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けて前記EGRガスを吹き出し可能な位置に配置されている、エンジンの吸気装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記吸気送出開口の前記開口縁は、前記上縁部に対応する直線状縁部と、当該直線状縁部の下側に位置する半円状縁部とを備えた、断面視で半円形状を有している、エンジンの吸気装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記延出通路部における前記上流端に連なる上流部分は、上方に向かうように湾曲した通路であり、当該上流部分は断面視で前記吸気送出開口と同様の半円形状を有している、エンジンの吸気装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記吸気送出開口は、前記チャンバの下端領域に配置されている、エンジンの吸気装置。
  5. 請求項4に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR導入口は、前記延出通路部の下端領域に配置されている、エンジンの吸気装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR導入口は、前記外側壁部の幅方向の中心線及びその近傍領域を除く領域に配置されている、エンジンの吸気装置。
  7. 請求項6に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR通路は、前記外側壁部に沿って上下方向に延び、その下端部に二叉に分岐された二叉下流端を備え、
    前記EGR導入口は、前記二叉下流端の各々に対応して配置されている、エンジンの吸気装置。
  8. 請求項6に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR通路の断面積は、前記延出通路部の断面積よりも小さく設定されている、エンジンの吸気装置。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR通路は、前記下流側吸気通路に連結される連結通路部分と、前記下流側吸気通路に対して離間した位置に配設される離間通路部分とを含み、
    前記離間通路部分は、前記インタークーラーコアが発する熱を受ける受熱部を備える、エンジンの吸気装置。
  10. 請求項9に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記受熱部は、前記離間通路部分の一部を、前記インタークーラーコアに接近するように湾曲した湾曲部によって形成されている、エンジンの吸気装置。
  11. 請求項9に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記インタークーラーコアにおける吸気の流通方向の上流側が前記離間通路部分に接近するように、前記インタークーラーコアが配設され、
    前記受熱部は、前記離間通路部分における前記インタークーラーコアの前記上流側に対向する部分である、エンジンの吸気装置。
  12. インタークーラーコアを含むインタークーラーと、
    前記インタークーラーよりも下流に位置する下流側吸気通路を含み、前記インタークーラーを通して吸気をエンジン本体へ導く吸気通路と、
    前記エンジン本体から排出される排気ガスの一部を、EGRガスとして前記下流側吸気通路に還流させるEGR通路と、
    前記インタークーラーコアの下流側面の面積に対して絞られた開口面積で開口する吸気送出開口を有するハウジングと、を備え、
    前記下流側吸気通路は、前記吸気送出開口に接続される上流端と、前記上流端から前記インタークーラーに沿って上方へ延びる延出通路部と、を含み、前記延出通路部は、前記インタークーラー側に位置する内側壁部と、この内側壁部と対向する外側壁部とを含む壁で区画され、
    前記吸気送出開口を区画する開口縁は、吸気が前記インタークーラーコアから前記延出通路部へ流入するに際して吸気流を前記内側壁部から離間させると共に、前記吸気の流動主流を前記延出通路部内に形成させる形状を備えた上縁部を含み、
    前記延出通路部の前記外側壁部は、前記EGR通路を前記下流側吸気通路に合流させるためのEGR導入口を含み、前記EGR導入口は、前記吸気の流動主流に向けて前記EGRガスを吹き出し可能な位置に配置されている、エンジンの吸気装置。
  13. 請求項12に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記EGR通路は、前記下流側吸気通路に連結される連結通路部分と、前記下流側吸気通路に対して離間した位置に配設される離間通路部分とを含み、
    前記離間通路部分は、前記インタークーラーコアが発する熱を受ける受熱部を備える、エンジンの吸気装置。
  14. 請求項13に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記受熱部は、前記離間通路部分の一部を、前記インタークーラーコアに接近するように湾曲した湾曲部によって形成されている、エンジンの吸気装置。
  15. 請求項13に記載のエンジンの吸気装置において、
    前記インタークーラーコアにおける吸気の流通方向の上流側が前記離間通路部分に接近するように、前記インタークーラーコアが配設され、
    前記受熱部は、前記離間通路部分における前記インタークーラーコアの前記上流側に対向する部分である、エンジンの吸気装置。
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