JP2015114454A - 有機感光体、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機感光層上に保護層が形成されてなる有機感光体において、保護層が、ラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、金属酸化物微粒子と、電荷輸送物質として一般式(1)で表わされる化合物とを含有し、保護層中の金属酸化物微粒子の体積比率(体積%)をAとし、保護層中の一般式(1)で表される化合物の体積比率(体積%)をBとしたとき、関係式(1):80/A≦B≦160/Aおよび関係式(2):12≦A≦25を満たす。
【選択図】なし
Description
しかしながら、金属酸化物微粒子を含む硬化樹脂による保護層は、電界強度が小さいものとなり、ホール移動時に拡散が生じるため、ドット再現性が低下するという問題がある。また、金属酸化物微粒子を含む硬化樹脂による保護層は耐摩耗性に優れるので長寿命化が可能な半面、感光体の使用寿命の後半では、感光体表面に放電生成物が付着し、高温高湿環境下において表面抵抗が低下すること等により、転写メモリーの発生やドットの再現性の低下という問題がある。
保護層が、下記一般式(2)で表わされるラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、金属酸化物微粒子と、電荷輸送物質として下記一般式(1)で表わされる化合物とを含有し、
前記保護層中の前記金属酸化物微粒子の体積比率(体積%)をAとし、前記保護層中の前記一般式(1)で表される化合物の体積比率(体積%)をBとしたとき、下記関係式(1)および下記関係式(2)を満たすことを特徴とする。
関係式(1):80/A≦B≦160/A
関係式(2):12≦A≦25
前記有機感光体が上記の有機感光体であることを特徴とする。
本発明の感光体は、導電性支持体上に、電荷発生層および電荷輸送層よりなる有機感光層と、保護層とが順次積層された層構成を有するものである。また、本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層との間に中間層を有する構成とすることもできる。さらに、電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層の有機感光層としてもよい。
本発明の感光体を構成する保護層は、有機感光層上に表面層として形成されるものである。この保護層は、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、金属酸化物微粒子と、特定の電荷輸送物質とが含有されてなるものであり、当該金属酸化物微粒子と当該特定の電荷輸送物質との混合比率(体積比)が関係式(1)および関係式(2)を満たす。
従来、金属酸化物微粒子を含有する保護層は、保護層の電界強度が小さいものとなり、ホール移動時に拡散が生じるため、ドット再現性が低下していた。そして、電界強度が低下した保護層において電荷輸送物質の添加量を増量すると、ホールの拡散がさらに大きくなり、ドット再現性の低下が顕著となっていた。従って、要求される電界強度に応じた適正量の電荷輸送物質を添加する必要がある。また、電界強度は金属酸化物微粒子の添加量に依存し、増量すると電界強度が小さくなる傾向にある。すなわち、本発明において規定する関係式(1)および関係式(2)は、金属酸化物微粒子の適正量で決定される電界強度における電荷輸送物質の適正量を経験的に求めたものである。さらに、金属酸化物微粒子はフィラー効果により膜強度(耐傷性)を向上させる機能も有する。従って、本発明においては、金属酸化物微粒子および特定の電荷輸送物質の体積比率の関係を規定することにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、メモリー耐性およびドット再現性に優れたものとなる。
また、金属酸化物微粒子を含有する保護層は、放電生成物等の付着により表面抵抗が小さくなるため、転写メモリーの発生やドット再現性が低下しやすく、感光体表面を常にリフレッシュすることが必要となる。硬化樹脂成分よりなる保護層表面をリフレッシュするためには、適度な膜強度(耐摩耗性)を有する保護層を形成する必要があり、これにより減耗量を制御することができる。また、線速やトナー外添剤等が異なる場合であっても、精度よく減耗量を制御することで、高画質および長寿命が達成できる。そこで、本発明においては、重合性化合物の重合反応において、特定のラジカル捕捉剤を用いることにより、架橋反応を効率よく停止できるので、重合体の架橋密度(硬化膜の膜強度)を制御することができ、精度よく減耗量を調整することができるものとなる。
保護層を構成する硬化樹脂成分は、特定のラジカル捕捉剤の存在下において、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性化合物を重合させ、硬化されることにより得られるものである。重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するモノマー(多官能重合性化合物)を用い、重合性官能基を1個有するモノマー(単官能重合性化合物)を併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
保護層を構成する金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化錫、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどを用いることができるが、なかでも、電気特性の観点から、酸化錫が好ましい。
反応性有機基含有表面処理剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するものが好ましく、このような反応性有機基含有表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、反応性有機基含有表面処理剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤が好ましい。ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、本発明に係る重合性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
保護層を構成する特定の電荷輸送物質は、上記一般式(1)で表わされる化合物である。
上記一般式(1)で表わされる化合物は、保護層中の電荷キャリアを輸送する電荷輸送性を有するものであり、短波長領域での吸収を示さず、かつ、分子量も450以下(好ましくは、320以上420以下)のものが多く、保護層の硬化樹脂成分の空隙に入り込むことが可能である。このため、保護層の耐傷性を低下させることなく、電荷輸送層からのスムーズな電荷キャリアの注入を可能とし、かつ、転写メモリーの発生を起こすことなく、保護層表面に電荷を輸送することができる。
関係式(1):80/A≦B≦160/A
関係式(2):12≦A≦25
保護層において、金属酸化物微粒子および特定の電荷輸送物質の体積比率が上記関係式を満たすことにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、転写メモリーの発生が抑制され、ドット再現性に優れた画像を形成することができる。具体的には、金属酸化物微粒子の体積比率Aが12体積%以上25体積%以下の範囲において、特定の電荷輸送物質の体積比率Bが80/A体積%以上であることにより、保護層の耐傷性を有しながら、転写メモリーの発生を抑制し、ドットの再現性を得ることができる。また、金属酸化物微粒子の体積比率Aが12体積%以上25体積%以下の範囲において、特定の電荷輸送物質の体積比率Bが160/A体積%以下であることにより、特定の電荷輸送物質が可塑剤としての機能を発現せず保護層の耐傷性を保持しながら、ドットの再現性を得ることができる。
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
本発明の感光体においては、導電性支持体と有機感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けるのが好ましい。
このような金属酸化物粒子の数一次平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体の製造方法は、具体的には、下記工程を有する。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布し、重合し、硬化させることにより保護層を形成する工程。
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
保護層は、重合性化合物、特定のラジカル捕捉剤、金属酸化物微粒子、特定の電荷輸送物質、重合開始剤および必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合させ、硬化されることにより保護層を形成することができる。
特定のラジカル捕捉剤の添加割合が、上記範囲内であることにより、形成される保護層が適度な膜強度を有するものとなり、ブレードなどのクリーニング手段によって感光体表面が適度に減耗されるものとなる。
以下、円形スライドホッパー塗布装置を用いて保護層形成用塗布液を塗布する方法について具体的に説明する。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
本発明の画像形成装置は、有機感光体と、有機感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該有機感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材にトナー像を転写した後に有機感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、有機感光体として本発明の有機感光体が用いられてなるものである。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21および定着手段24とからなる。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の有機感光体を備えることに加え、除電手段が設けられていることにより、転写メモリーの発生を確実に抑制することができる。
また、当接角θは感光体1の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレードとのなす角を表す。
クリーニングブレード66Aの自由長Lとは、図4に示すように、支持部材66Bの端部Bの位置から変形前のクリーニングブレード66Aの先端点の長さをいう。
ここで、クリーニングブレード66Aの厚さtとは、図4に示すように、支持部材66Bの接着面に対して垂直な方向の長さをいう。
スクレーパ66Dは、リン青銅板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板などの弾性板が用いられ、先端がフリッカ66Iの回転方向に対し鋭角を形成するカウンター方式で当接させることが好ましい。
「デニール」とは、ブラシローラー66Cを構成するブラシ毛(繊維)の長さ9000mの質量をg(グラム)単位で測定した数値である。
ブラシ毛密度が4.5×102 /cm2 未満であると、剛直度が低く擦過力が弱い上に、擦過にムラができ、付着物を均一に除去することができない。2.0×104 /cm2 より大きいと、剛直になって擦過力が強くなるために感光体1を過度に摩耗させ、感度低下によるカブリや傷による黒スジなどの不良画像が発生する。
この食い込み量は、感光体1ドラムとブラシローラー66Cの相対運動によって発生するブラシローラー66Cにかかる負荷を意味する。この負荷は、感光体1ドラムから見れば、ブラシローラー66Cから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、感光体1が適度な力で擦過されることが必要であることを意味する。
また、食い込み量とは、ブラシローラー66Cを感光体1に当接させたとき、ブラシ毛が感光体1表面で曲がらずに、直線的に内部に進入したと仮定した時の内部への食い込み長さをいう。
感光体1とブラシローラー66Cとが、同方向に移動する場合に、両者の表面速度比は1対1.1〜1対2の範囲内の値であることが好ましい。
本発明の画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤が含有されるトナー粒子よりなり、当該トナー粒子には、所望により離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmであることが好ましい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて画像形成を行う。本発明の画像形成方法によれば、本発明の画像形成装置を用いて画像形成を行うことにより、長期間の使用にわたっても、転写メモリーの発生を確実に抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができる。
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
(1)表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕の作製
数平均一次粒径が35nmのシリカ処理およびアルミナ処理済みのルチル型酸化チタン粒子「MT−500SA」(テイカ社製)500部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)「KF−99」(信越化学工業社製)25部と、トルエン1500部とを混合撹拌した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間25分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持してMHPSの焼き付けを行った。その後、粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕を得た。
数平均一次粒径が15nmのルチル型酸化チタン粒子「MT−150A」(テイカ社製)500部と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン粒子「KBM−503」(信越化学工業社製)60部と、トルエン2000部とを混合撹拌した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間40分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持して「KBM−503」の焼き付けを行った。その後、粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕を得た。
バインダー樹脂として下記ポリアミド樹脂(N−1)100部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比60/20/20)の混合溶媒1700部に加えて撹拌混合して溶解させた。この溶液に、表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕120部および表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕160部添加し、セラミックビーズミルにより、ミル滞留時間3時間として分散させた。この溶液を一昼夜静置した後、濾過することにより、中間層形成用塗布液を調製した。濾過は、濾過フィルターとして、公称濾過精度が10μmのポリプロピレン製フィルター(ロキテクノ社製)を用い行った。得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で乾燥して、乾燥膜厚1.5μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)20部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10部、溶媒:酢酸t−ブチル700部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2部をo−ジクロロベンゼン200部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8部(収率86%)を得た。
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)200部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3部を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m2 /gであった。
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(1)金属酸化物微粒子の作製
未処理金属酸化物微粒子として下記酸化錫〔1〕を用い、表面処理剤として上記例示化合物(S−15)を用い、以下に示すように表面処理を行い、金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。
酸化錫〔1〕は、CIKナノテック社製の数平均一次粒子径が20nmのものである。
金属酸化物微粒子:酸化錫微粒子〔1〕110部、重合性化合物:上記例示化合物(M1)100部、電荷輸送物質:上記例示化合物(CTM−13)15部、重合開始剤:上記例示化合物(P2)5部、ラジカル捕捉剤:「スミライザーGS(一般式(2)においてR5 がtert−ペンチル基、R6 がtert−ペンチル基、R7 がメチル基)」(住友化学工業社製)5部、溶媒:2−ブタノール320部、溶媒:テトラヒドロフラン80部を混合撹拌し、十分に溶解、分散し、保護層形成用塗布液〔3〕を調製した。この保護層形成用塗布液〔3〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの保護層を形成し、感光体〔1〕を作製した。
感光体の作製例1における保護層の形成において、用いる重合性化合物、ラジカル捕捉剤、金属酸化物微粒子および電荷輸送物質の添加量を表1に従って変更したことの他は同様にして、感光体〔2〕〜〔15〕を作製した。
なお、有機物の比重は1.1、金属酸化物微粒子(酸化錫)の比重は6.9で換算した。また、表2に示す値は、小数点以下を四捨五入している。
評価機として、基本的に図3に示す構成を有するコニカミノルタ社製「bizhub PRESS C8000」を用い、当該評価機に感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載して評価を行った。
画像比率6%の文字画像をA4横送りにおいて各300,000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施した。耐久試験後に、感光体の画像特性の評価を行った。
耐久試験後に、温度10℃、湿度20%RHの環境下で、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット上に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m2 )」(王子製紙社製)に濃度指示値100で印刷し、感光体表面傷によるハーフトーン画像上の白スジの発生状況を目視にて観察した。
−評価基準−
A:白スジ発生なし(OK)
B:軽微に白スジ発生(NG)
C:白スジ発生(NG)
耐久試験後に、温度30℃、湿度80%RHの環境下で、感光体1回転目にベタ画像、感光体2回転目にハーフトーン画像が存在する画像をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m2 )」(王子製紙社製)に印刷し、2回転目のハーフトーン画像に1回転目のベタ画像パターンがメモリーとして現れるかを目視にて観察した。また、メモリーの評価は、「bizhub PRESS C8000」に搭載される第2帯電手段(除電手段)を作動させる場合と、作動させない場合とで行った。
−評価基準−
A:メモリー発生なし(OK)
B:軽微なメモリーが確認される(OK)
C:メモリーが確認される(NG)
D:はっきりしたメモリーが確認される(NG)
耐久試験後に、温度30℃、湿度80%RHの環境下で、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット上に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m2 )」(王子製紙社製)に濃度指示値100で印刷し、ドットの形成状態を目視にて拡大観察した。
−評価基準−
A:正常にドットが形成されている(OK)
B:ドットが細っている(NG)
C:ドットが形成されていない(NG)
一方、比較例1〜3では、金属酸化物微粒子の体積比率Aが過小である(関係式(2)を満たさない)ため、保護層に十分な耐傷性が得られないことが確認された。
比較例4では、金属酸化物微粒子の体積比率Aが過大である(関係式(2)を満たさない)ため、ドット再現性が低下することが確認された。これは、過剰な量の金属酸化物微粒子により保護層の電界強度が低下したからであると考えられる。また、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できないことが確認された。
比較例5では、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できず、ドット再現性が低下することが確認された。
比較例6および7では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大である(関係式(1)を満たさない)ため、ドット再現性が低下し、耐傷性が十分に得られないことが確認された。なお、比較例6および7では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大であるため、電荷輸送物質が可塑剤としての機能を発現してしまい、保護層の膜強度が十分に得られず、耐傷性が低下したものと考えられる。
比較例8では、ラジカル捕捉剤が添加されていないため、ドット再現性が低下したことが確認された。比較例8では、ラジカル捕捉剤が添加されていないため、保護層が過度に耐摩耗性を有するものとなり、クリーニング手段によって適度に減耗されず、放電生成物などの付着により、ドット再現性が低下したものと考えられる。
比較例9では、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できず、ドット再現性が低下することが確認された。
比較例10では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大である(関係式(1)を満たさない)ため、ドット再現性が低下し、耐傷性が十分に得られないことが確認された。
2Y、2M、2C、2Bk 第1帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ(一次転写手段)
5b 二次転写ローラ(二次転写手段)
6,6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
9Y、9M、9C、9Bk 第2帯電手段(除電手段)
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
21 給紙手段
20 給紙カセット
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
66A クリーニングブレード
66B 支持部材
66C ブラシローラー
66D スクレーパ
66E 回転軸
66G 荷重バネ
66I フリッカ
66J 搬送スクリュー
66S バネ荷重
66K 固形材料
70 中間転写体
71、72、73、74 ローラ
82L、82R 支持レール
P 転写材
251 基材
254 貯留タンク
255 圧送ポンプ
260 塗布ヘッド
261 塗布液流出口
262 塗布液分配スリット
263 塗布液分配室
264 供給管
265 スライド面
266 唇状部
267 排出口
L 塗布液
F 塗布膜
Claims (4)
- 導電性支持体上に有機感光層が形成され、この有機感光層上に保護層が形成されてなる有機感光体において、
保護層が、下記一般式(2)で表わされるラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、金属酸化物微粒子と、電荷輸送物質として下記一般式(1)で表わされる化合物とを含有し、
前記保護層中の前記金属酸化物微粒子の体積比率(体積%)をAとし、前記保護層中の前記一般式(1)で表される化合物の体積比率(体積%)をBとしたとき、下記関係式(1)および下記関係式(2)を満たすことを特徴とする有機感光体。
関係式(1):80/A≦B≦160/A
関係式(2):12≦A≦25
〔一般式(1)中、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、各々、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。k,lおよびnは、各々、1〜5の整数を示し、mは、1〜4の整数を示す。ただし、k,l,nまたはmが2以上である場合においては、複数存在するR1 ,R2 ,R3 またはR4 は、互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。〕
〔一般式(2)中、R5 およびR6 は、各々、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R7 は、水素原子またはメチル基を示す。〕 - 前記一般式(1)において、R1 およびR2 が、それぞれ水素原子またはメチル基であり、R3 が水素原子であり、R4 が炭素数1〜5のアルキル基であり、k,l,mおよびnがそれぞれ1であることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 有機感光体と、前記有機感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該有機感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材にトナー像を転写した後に前記有機感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、前記有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、
前記有機感光体が請求項1または請求項2に記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3に記載の画像形成装置を用いて画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
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