JP2003292531A - ビニル系重合体の製造方法、ビニル系重合体及び硬化性組成物 - Google Patents

ビニル系重合体の製造方法、ビニル系重合体及び硬化性組成物

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JP2003292531A JP2003012565A JP2003012565A JP2003292531A JP 2003292531 A JP2003292531 A JP 2003292531A JP 2003012565 A JP2003012565 A JP 2003012565A JP 2003012565 A JP2003012565 A JP 2003012565A JP 2003292531 A JP2003292531 A JP 2003292531A
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直樹 古川
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Sunao Fujita
直 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的かつ効率的に、原子移動ラジカル重合
を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体を脱
ハロゲン化して、ハロゲン量を低減したビニル系重合体
を製造する方法、及び、それによって製造されるビニル
系重合体を提供する。 【解決手段】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体を
140℃以上250℃以下の温度で加熱することで脱ハ
ロゲン化を行う、1kg中のハロゲン原子の量が1,0
00mg以下であるビニル系重合体を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビニル系重合体の製
造方法、ビニル系重合体及び硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】精密重合の一つであるリビング重合は分
子量・分子量分布の制御等が可能であり、末端官能性ポ
リマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等の様々
な機能性材料を製造するために利用される。リビング重
合の一つである原子移動ラジカル重合はビニル系モノマ
ーの選択性が広くかつ温和な条件で重合可能であること
から特に利用価値が高い。例えば原子移動ラジカル重合
の一例として、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホ
ニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、
または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒とす
る重合系が挙げられる(例えば、非特許文献1〜4参
照)。これらの重合法により製造されるビニル系重合体
は重合体末端にハロゲンを有することを特徴とする。
【0003】ハロゲン含有ビニル系重合体は様々な機能
性材料の製造中間体等として利用されるが、重合体に残
存するハロゲンが問題となる場合がある。例えば、
(1)ハロゲンに由来する遊離酸による製品の品質、製
造設備等へ悪影響、(2)炭素−ハロゲン結合の熱的な
解離によるラジカル発生を起因とする分子量・分子量分
布の増大、等が起こる。従って原子移動ラジカル重合を
利用して製造されるビニル系重合体のハロゲンを何らか
の方法でビニル系重合体中から除去することが必要であ
る。
【0004】一方、反応性官能基を分子内に複数個有す
るビニル系重合体は適当な架橋剤を用いて架橋させるこ
とにより硬化物を与える。特に末端に選択的に反応性官
能基を有するビニル系重合体は架橋点間分子量が大き
く、ゴム弾性に優れた硬化物を与えるため、各種材料に
使用される。原子移動ラジカル重合により末端にハロゲ
ンを有するビニル系重合体を製造し、末端ハロゲンの反
応性を利用して反応性官能基をビニル系重合体の末端に
導入することができる(特許文献1〜6参照)。
【0005】反応性官能基を有する処理剤によりハロゲ
ンを置換して官能基導入を行う方法(特許文献1〜4及
び6参照)は、官能基導入とハロゲン処理を同時に実施
することができるが、処理剤が限定されるとともに処理
剤の除去工程が新たに必要である。
【0006】反応性官能基を併せ持つエチレン性不飽和
基含有化合物をハロゲン末端に反応させる方法(特許文
献5参照)は簡便に官能基を導入することができるとい
う利点はあるものの、重合体中にハロゲンが残存する。
本発明者らはハロゲンの処理方法としてオキシアニオン
化合物による処理法(特許文献7参照)を開発した。該
発明によれば、ビニル系重合体末端のハロゲンを容易に
処理することができる。しかし、該発明を利用して製造
されるシリル基を有するビニル系重合体は長期貯蔵安定
性が悪く、長期貯蔵安定性を改善するためにはハロゲン
処理後に大量の吸着剤で精製する必要があることが判明
した。
【0007】原子移動ラジカル重合により製造されるビ
ニル系重合体のハロゲン処理法として特定の処理剤によ
る重合系中での付加・脱離反応を利用した方法(特許文
献8参照)が開示されているが、処理剤が限定されるた
め、官能基導入が容易でない。また、脱離により遊離酸
が発生する。
【特許文献1】特開平11−080250号公報
【特許文献2】特開平11−005815号公報
【特許文献3】特開平09−272715号公報
【特許文献4】特開2000−38404号公報
【特許文献5】特開2000−44626号公報
【特許文献6】特開2000−128924号公報
【特許文献7】特開2000−344831号公報
【特許文献8】国際公開第99/54365号パンフレ
ット
【非特許文献1】Matyjaszewskiら、J.
Am.Chem.Soc.1995,117,5614
【非特許文献2】Macromolecules 19
95,28,7901
【非特許文献3】Science 1996,272,
866
【非特許文献4】Sawamotoら、Macromo
lecules 1995,28,1721
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明はこれら
の課題を解決し、経済的かつ効率的に、原子移動ラジカ
ル重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合
体を脱ハロゲン化して、ハロゲン量を低減したビニル系
重合体を製造する方法、及び、それによって製造される
ビニル系重合体を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ビニル系モノ
マーの原子移動ラジカル重合を利用して製造されるハロ
ゲン含有ビニル系重合体を140℃以上250℃以下の
温度で加熱することで脱ハロゲン化を行うことを特徴と
する、1kg中のハロゲン原子の量が1,000mg以
下であるビニル系重合体を製造する方法に関する。また
本発明は、当該製造方法により得られるビニル系重合体
にも関する。
【0010】また本発明は、当該ビニル系重合体を含有
するヒドロシリル化反応性硬化性組成物にも関する。ま
た本発明は、上記製造方法により得られ、エチレン性不
飽和基を有するビニル系重合体にヒドロシリル基含有化
合物を反応させることにより得られる、分子内にシリル
基を有するビニル系重合体にも関する。また本発明は、
当該分子内にシリル基を有するビニル系重合体を含有す
る硬化性組成物にも関する。
【0011】さらに本発明は、原子移動ラジカル重合に
より得られるビニル系重合体中の一般式(C)で表され
る基のハロゲンを、分析機器で検出可能な基を有するカ
ルボン酸塩により置換した後、上記検出可能な基を分析
機器で定量することを特徴とする、上記ビニル系重合体
1分子当たりに存在する一般式(C)で表される基の個
数の定量方法。 −C(R50)(CO51)−X (C)
【0012】(式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示
す。R50は水素原子又は炭素数1〜10の有機基を示
す。R51は水素原子、炭素数1〜20の有機基又はア
ルカリ金属原子を示す。)にも関する。さらに本発明
は、原子移動ラジカル重合により得られるビニル系重合
体中の一般式(C)で表される基のハロゲンを、分析機
器で検出可能な基を有するカルボン酸塩により置換した
後、上記検出可能な基を分析機器で定量することを特徴
とする、上記ビニル系重合体単位重量当たりに存在する
一般式(C)で表される基の量の定量方法にも関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳述する。本発明
は原子移動ラジカル重合を利用して製造されるハロゲン
含有ビニル系重合体(以下、ハロゲン含有ビニル系重合
体ともいう)を脱ハロゲン化して、ハロゲン量を低減し
たビニル系重合体を製造する方法である。まず始めに原
子移動ラジカル重合について詳述する。
【0014】本発明における原子移動ラジカル重合と
は、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン
化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金
属を中心金属とする金属錯体を触媒としてビニル系モノ
マーをラジカル重合する方法である。原子移動ラジカル
重合法は分子量・分子量分布の制御が可能であり、重合
末端にハロゲンを導入することも可能であることから、
ハロゲン含有ビニル系重合体の製造方法に最も適してい
る。原子移動ラジカル重合について具体的に説明する。
【0015】原子移動ラジカル重合は例えば、Maty
jaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン
・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報、WO98
/01480号公報,WO98/40415号公報、あ
るいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(M
acromolecules)1995年、28巻、1
721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−
41117号公報などが挙げられる。
【0016】この原子移動ラジカル重合では、有機ハロ
ゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有す
る有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有する
カルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化
合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始
剤として用いられる。具体的に例示するならば、 C−CHX、C−C(H)(X)C
、C−C(X)(CH (各式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、ま
たはヨウ素) R−C(H)(X)−CO、 R−C(CH)(X)−CO、 R−C(H)(X)−C(O)R、 R−C(CH)(X)−C(O)R、 (各式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20
のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは
塩素、臭素、またはヨウ素) R−C−SOX (式中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭
素、またはヨウ素)等が挙げられる。
【0017】有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニ
ル化合物を開始剤としてビニル系モノマーの原子移動ラ
ジカル重合を行うことにより、一般式(A)で表される
基を末端に有するビニル系重合体が得られる。 −C(R)(R)(X) (A) (式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性
不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ
素を示す。)
【0018】原子移動ラジカル重合の開始剤として、重
合を開始する官能基とともに重合を開始しない特定の反
応性官能基を併せ持つ有機ハロゲン化物又はハロゲン化
スルホニル化合物を用いることもできる。このような場
合、一方の主鎖末端に特定の反応性官能基を、他方の主
鎖末端に一般式(A)で表される基を有するビニル系重
合体が得られる。このような特定の反応性官能基として
は、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、
エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。これ
らの反応性官能基の反応性を利用して一段階又は数段階
の反応を経ることによりビニル系重合体に他の適当な官
能基を導入することができる。
【0019】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては限定されず、例えば、一般式(2)に示す構造を
有するものが例示される。 RC(X)−R−R−C(R)=CH (2) (式中、Rは水素、またはメチル基、R、Rは水
素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリ
ール基、またはアラルキル基、または他端において相互
に連結したもの、Rは、−C(O)O−(エステル
基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p
−フェニレン基、Rは直接結合、または炭素数1〜2
0の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでい
ても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
【0020】置換基R、Rの具体例としては、水
素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ
る。RとRは他端において連結して環状骨格を形成
していてもよい。一般式(2)で示される、アルケニル
基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、 XCHC(O)O(CHCH=CH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHCH=C
、 (HC)C(X)C(O)O(CHCH=C
、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
H=CH
【0021】
【化1】
【0022】(上記の各式において、Xは塩素、臭素、
またはヨウ素、nは0〜20の整数) XCHC(O)O(CHO(CHCH=
CH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
CH=CH、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
CH=CH、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CHCH=CH
【0023】
【化2】
【0024】(上記の各式において、Xは塩素、臭素、
またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整
数) o,m,p−XCH−C−(CH−CH
=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−(CH−O−
(CH−CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−O−(CH −CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−O−(CHCH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−O−(CH
CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−CH=CH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−O−(CH
O−(CH−CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−O−(CH −CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−O−(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
【0025】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
してはさらに一般式(3)で示される化合物が挙げられ
る。 HC=C(R)−R−C(R)(X)−R10−R (3) (式中、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R
10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−
C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェ
ニレン基を表す)
【0026】Rは直接結合、または炭素数1〜20の
2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても
良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結
合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化
アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって
炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10
してC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ず
しもなく、直接結合であってもよい。Rが直接結合で
ない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、
10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン
基が好ましい。
【0027】一般式(3)の化合物を具体的に例示する
ならば、 CH=CHCHX、 CH=C(CH)CHX、 CH=CHC(H)(X)CH、CH=C(CH
)C(H)(X)CH 、 CH=CHC(X)(CH、CH=CHC
(H)(X)C、 CH=CHC(H)(X)CH(CH、 CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC
(H)(X)CH、 CH=CHCHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CHCHC(H)(X)−C、 CH=CH(CHC(H)(X)−C、 CH=CH(CHC(H)(X)−C、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等を挙げることができる。
【0028】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物の具体例を挙げるならば、 o−,m−,p−CH=CH−(CH−C
−SOX、 o−,m−,p−CH=CH−(CH−O−C
−SOX、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数)等である。
【0029】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としては特に限定されず、例えば一般式(4)に示
す構造を有するものが例示される。 RC(X)−R−R−C(H)(R)CH−[Si(R11 −b (Y)O]−Si(R123−a(Y) (4) (式中、R、R、R、R、R、Xは上記に同
じ。R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)
SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基で
あって、3個のR’は同一であってもよく、異なってい
てもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、
11またはR12が2個以上存在するとき、それらは
同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基
または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき
それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。a
は0,1,2,または3を、また、bは0,1,または
2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+m
b≧1であることを満足するものとする)
【0030】一般式(4)の化合物を具体的に例示する
ならば、 XCHC(O)O(CHSi(OCH、 CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(O
CH、 (CHC(X)C(O)O(CHSi(O
CH、 XCHC(O)O(CHSi(CH)(OC
、 CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(C
)(OCH、 (CHC(X)C(O)O(CHSi(C
)(OCH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
0〜20の整数) XCHC(O)O(CHO(CHSi
(OCH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
Si(OCH 、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
Si(OCH 、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CHSi(OCH、 XCHC(O)O(CHO(CHSi
(CH)(OCH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
−Si(CH)(OCH、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
−Si(CH)(OCH、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CH−Si(CH)(OCH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−(CHSi
(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
Si(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−(CHSi
(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
Si(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−(CH−O−
(CHSi(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−O−(CH Si(OCH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−O−(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−O−(CH
i(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CHSi(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−Si(OCH、 o,m,p−XCH−C−O−(CH
O−(CH−Si(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−O−(CH Si(OCH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−O−(CHSi(OCH
、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素)等が挙げられる。
【0031】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としてはさらに、一般式(5)で示される構造を有
するものが例示される。 (R123−a(Y)Si−[OSi(R112−b(Y)−CH −C(H)(R)−R−C(R)(X)−R10−R (5) (式中、R、R、R、R、R10、R11、R
12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
【0032】このような化合物を具体的に例示するなら
ば、 (CHO)SiCHCHC(H)(X)C
、 (CHO)(CH)SiCHCHC(H)
(X)C、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−C
、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−C、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−C
、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−C、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等が挙げられる。
【0033】上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限
定されず、下記のようなものが例示される。 HO−(CH−OC(O)C(H)(R)(X) (上記の式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、
Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリ
ール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
【0034】上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、ま
たはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定され
ず、下記のようなものが例示される。 HN−(CH−OC(O)C(H)(R)
(X) (上記の式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、
Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリ
ール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)上記エポ
キシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スル
ホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなも
のが例示される。
【0035】
【化3】
【0036】(上記の式において、Xは塩素、臭素、ま
たはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整
数)ハロゲンを1分子内に2つ以上有する重合体を得る
ためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用い
るのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】等があげられる。重合触媒として用いられ
る遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましく
は周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族
元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいも
のとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2
価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかで
も、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例
示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一
銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等で
ある。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために
2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−
フェナントロリン若しくはその誘導体、又はテトラメチ
ルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ
ン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)ア
ミン等のポリアミン等が配位子として添加される。ま
た、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフ
ィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好
適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合
は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加
される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン
錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルの
ビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh
)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホス
フィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒とし
て好適である。
【0040】原子移動ラジカル重合において用いられる
ビニル系モノマーとしては特に制約はなく、例えば(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリ
ル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アク
リル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アク
リル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエ
チル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メ
タ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アク
リル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)
アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオ
キシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル
酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸ト
リフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリ
フルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフ
ルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフル
オロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)
アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル
酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフル
オロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオ
ロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)ア
クリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)ア
クリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アク
リル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メ
タ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンス
ルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフル
オロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリ
デン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビ
ニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイ
ン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;
フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアル
キルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチル
マレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、
ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマ
レイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミ
ド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマ
ー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリ
ル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリ
ルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸
ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレ
ン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレ
ン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩
化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これら
は、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わ
ない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノ
マー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。よ
り好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタク
リル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリ
ル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリ
ル酸ブチルである。本発明においては、これらの好まし
いモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共
重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモ
ノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。
なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、ア
クリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
【0041】原子移動ラジカル重合は、無溶媒でも可能
であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種
類としては特に限定されず、例えば、ベンジエン、トル
エン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメト
キシベンジエン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、ク
ロロホルム、クロロベンジエン等のハロゲン化炭化水素
系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系
溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニト
リル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の
エステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカ
ーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミ
ド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独でもよく、2
種以上を併用してもよい。また、エマルション系もしく
は超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行
うことができる。限定はされないが、重合は、0〜20
0℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜15
0℃、より好ましくは50〜120℃の範囲である。
【0042】本発明における「原子移動ラジカル重合を
利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体」は、
ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合で「直接的に
製造される」ハロゲン含有ビニル系重合体に限定される
ものではない。原子移動ラジカル重合により製造される
ビニル系重合体を介して「間接的に製造される」ハロゲ
ン含有ビニル系重合体も本発明の脱ハロゲン化処理の対
象である。
【0043】ここで「直接的」に製造するとは、ハロゲ
ン含有ビニル系重合体を原子移動ラジカル重合の反応系
を利用して製造することを言う。例えば、重合活性を示
さないハロゲンを有する開始剤を利用することによりビ
ニル系重合体の重合開始末端にハロゲンが導入されるケ
ース(ケース1)、ハロゲン含有ビニル系モノマーを重
合することにより重合体側鎖にハロゲンが導入されるケ
ース(ケース2)、ビニル系モノマーの原子移動ラジカ
ル重合を行うことにより一般式(A)で表される基に示
すハロゲン末端構造が製造されるケース(ケース3)等
が例示される。ケース3においては使用されるビニル系
モノマーは特に限定されず、ビニル系重合体を構成する
ビニル系モノマーだけでなく、より好ましいハロゲン含
有構造に変換することを目的として使用される特定のビ
ニル系モノマーも含まれる。
【0044】一方、「間接的」に製造するとは、ビニル
系モノマーの原子移動ラジカル重合により製造されるビ
ニル系重合体を介してハロゲン含有ビニル系重合体を製
造することを言う。すなわち原子移動ラジカル重合で製
造されるビニル系重合体に特定の化合物を原子移動ラジ
カル重合の反応系以外の化学反応系で反応させることに
より製造されるビニル系重合体がハロゲンを含有するも
のであればよい。また、原子移動ラジカル重合の後に複
数の化学反応を経て製造されるハロゲン含有ビニル系重
合体であってもよい。「特定の化合物」とは、各種目的
に応じて使用される化合物であって特に限定されない。
例えば、好ましいハロゲン含有構造に変換することを目
的として使用される化合物、官能基導入の目的に使用さ
れる化合物等が例示される。原子移動ラジカル重合で例
示されたビニル系モノマーも好適に使用される。また、
後述のエチレン性不飽和基含有化合物等も使用されてよ
い。ビニル系重合体中のハロゲンとしては特に限定され
ず、原子移動ラジカル重合により直接的に製造されるビ
ニル系重合体中のハロゲン、該ハロゲンに由来するも
の、若しくは特定の化合物との反応により新たにビニル
系重合体に導入されたハロゲンであってもよい。
【0045】ハロゲン含有ビニル系重合体の分子量は特
に限定されないが、数平均分子量として1,000以上
100,000以下が好ましい。下限は5,000以上
がより好ましい。上限は50,000以下がより好まし
い。ハロゲン含有ビニル系重合体の分子量分布(重量平
均分子量/数平均分子量)は特に限定されないが1.0
5以上1.50以下が好ましい。下限は1.10以上が
より好ましい。上限は1.40以下がより好ましい。重
合体の分子量及び分子量分布はゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン
換算法により算出することができる(以下同様)。
【0046】また、分子内に官能基を有するハロゲン含
有ビニル系重合体に対しても好適に脱ハロゲン化でき
る。官能基としては特に限定されないが、例えば、エチ
レン性不飽和基、水酸基、シリル基、アミノ基、カルボ
ン酸基、カルボン酸塩基、エポシキ基等が例示される。
なかでもエチレン性不飽和基、水酸基が好ましい。重合
体1分子あたりの官能基の数については特に限定はない
が、下限は0.5以上が好ましく、0.8以上がより好
ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2以上がより
更に好ましく、1.5以上が特に好ましい。上限は5.
0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0
以下が更に好ましく、2.5以下が特に好ましい。官能
基の位置は特に限定されないが官能基を架橋性反応基と
して利用する場合には分子鎖末端に近い方が好ましく、
分子鎖末端に存在することがより好ましい。
【0047】官能基の導入方法としては特に限定され
ず、様々な方法が利用される。例えば、 (1)官能基を有するビニル系モノマーを原子移動ラジ
カル重合条件下で所定のビニル系モノマーと共重合させ
る方法、 (2)官能基を有するラジカル重合性の低いオレフィン
化合物をビニル系重合体の末端ハロゲン基に原子移動ラ
ジカル重合条件下で反応させる方法、 (3)官能基を有する特定の化合物によりビニル系重合
体の末端ハロゲン基を置換する方法、等が例示される。
ビニル系重合体の分子量、分子量分布、官能基数等の制
御が可能で目的に応じたビニル系重合体の分子設計が可
能であるという点で特に(2)の方法が好ましい。
【0048】次に官能基導入方法(2)について詳述す
る。原子移動ラジカル重合の最中又は終点において、官
能基を有する重合性の低いオレフィン化合物を添加する
と、末端にほぼ1つづつ付加し、その結果として、この
オレフィン化合物の有する官能基が重合体の末端に導入
される。重合の終点とは、単量体の好ましくは80%以
上が反応した時点、さらに好ましくは90%以上、特に
好ましくは95%以上、特別に好ましくは99%以上が
反応した時点である。官能基を有する重合性の低いオレ
フィン化合物としては一般式6に示される化合物から選
ばれる。
【0049】
【化6】
【0050】{上の式中、R15は、水酸基、アミノ
基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル
基、アミド基、シリル基、又は、一般式7:
【0051】
【化7】
【0052】(R16は水素原子あるいはメチル基を表
す)で表される基であり、R13は炭素数1〜20の2
価の炭化水素基あるいは一般式8:
【0053】
【化8】
【0054】(上の式中、R17は酸素原子、窒素原子
あるいは炭素数1〜20の有機基であり、R18は水素
原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよ
い)の構造を持つ基であり、且つ、R14は水素原子あ
るいはメチル基である}一般式6において、R13の具
体例としては、 −(CH−(nは1〜20の整数)、 −CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C
(CH−、−C(CH)(CHCH)−、
−C(CHCH−、−CHCH(CH
−、 −(CH−O−CH−(nは1〜19の整
数)、 −CH(CH)−O−CH−、−CH(CHCH
)−O−CH−、−C(CH−O−CH
−、−C(CH)(CHCH)−O−CH
−、−C(CHCH−O−CH−、 −(CH−O−(CH−(m、nは1〜1
9の整数、ただし2≦m+n≦20)、 −(CH−C(O)O−(CH−(m、n
は1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、 −(CH−OC(O)−(CH−C(O)
O−(CH−(lは0〜18の整数、m、nは1
〜17の整数、ただし2≦l+m+n≦18)、 −(CH−o−,m−,p−C−、 −(CH−o−,m−,p−C−(C
−(mは0〜13の整数、nは1〜14の整
数、ただし1≦m+n≦14)、 −(CH−o−,m−,p−C−O−(C
−(mは0〜13の整数、nは1〜14の整
数、ただし1≦m+n≦14)、 −(CH−o−,m−,p−C−O−CH
(CH)−(nは1〜12の整数)、 −(CH−o−,m−,p−C−O−CH
(CH−(nは1〜11の整数)、 −(CH−o−,m−,p−C−C(O)
O−(CH−(m、nは1〜12の整数、ただし
2≦m+n≦13)、 −(CH−OC(O)−o−,m−,p−C
−C(O)O−(CH −(m、nは1〜11の
整数、ただし2≦m+n≦12)、 −(CH−o−,m−,p−C−OC
(O)−(CH−(m、nは1〜12の整数、た
だし2≦m+n≦13)、 −(CH−C(O)O−o−,m−,p−C
−(CH−(m、nは1〜11の整数、ただし
2≦m+n≦12)、 等が挙げられる。一般式6において、R14については
水素原子あるいはメチル基であるが、水素原子が好まし
い。一般式6において、R15としては、以下のような
基が例示される。
【0055】
【化9】
【0056】−[Si(R212−b(Y)O]
−Si(R223−a(Y) 〔式中、R19、R20は炭素数1〜20の炭化水素基
であって、同一又は異なっていてもよい。R21、R
22は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル
基、または(R′)SiO−(R′は炭素数1〜20
の1価の炭化水素基であって、3個のR′は同一であっ
てもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガ
ノシロキシ基を示し、R21またはR22が2個以上存
在するとき、それらは同一であってもよく、異なってい
てもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが
2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異
なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、ま
た、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数
である。ただし、a+mb≧1であることを満足するも
のとする。〕
【0057】R19としては、具体的には以下のような
基が例示される。 −(CH−CH、 −CH(CH)−(CH−CH、 −CH(CHCH)−(CH−CH、 −CH(CHCH、 −C(CH−(CH−CH、 −C(CH)(CHCH)−(CH−CH
、 −C、 −C(CH)、 −C(CH、 −(CH−C、 −(CH−C(CH)、 −(CH−C(CH (nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
【0058】また、Yで示される加水分解性基として
は、特に限定されず、従来公知のものを用いることがで
き、具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、
アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド
基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アル
ケニルオキシ基等が挙げられ、加水分解性がマイルドで
取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ま
しい。該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1
〜3個の範囲で結合することができ、a+mb、すなわ
ち、加水分解性基の総和は、1〜5の範囲が好ましい。
加水分解性基や水酸基がこのシリル基中に2個以上結合
するときは、それらは同一であっても、異なっていても
よい。このシリル基を構成するケイ素原子は、1個でも
よく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合によ
り連結されたケイ素原子の場合には20個程度まであっ
てもよい。その内、アルケニル基を導入するために用い
られる、重合性の低いアルケニル基を2つ持つ化合物と
しては一般式9に示される化合物から選ばれる。
【0059】
【化10】
【0060】(上の式中、R13は上述と同じ基であ
り、R14及びR16は水素原子あるいはメチル基であ
り同じでも異なっていてもよい) 一般式9の化合物に特に制約はないが、なかでも、R
13が炭素数1〜20の2価の炭化水素基である場合、
好ましいものとして、以下のものが例示される。
【0061】
【化11】
【0062】nは1〜20の整数であるが、原料入手の
容易さから、nは2、4、6のものが好ましい。すなわ
ち、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、
1,9−デカジエンが好ましい。この他に、官能基を有
する重合性の低いオレフィン化合物としては、アルケニ
ルアルコール又はアルケニルアミンが好ましい。重合性
の低いオレフィン化合物が有するシリル基としては特に
限定されないが、上記式においてm=0のものが好まし
い。
【0063】アミノ基、水酸基あるいはカルボン酸基を
持つ重合性の低いオレフィン化合物を重合末端に反応さ
せる場合には、そのまま反応させても構わないが、それ
らの基が、重合末端あるいは触媒に影響を与える場合が
あるので、その場合には保護基をつけた化合物を用いて
も構わない。保護基としては、アセチル基、シリル基、
アルコキシ基などが挙げられる。
【0064】これらの官能基を導入するために用いられ
る重合性の低いオレフィン化合物を添加する量は、特に
限定されない。これらの化合物はアルケニル基の反応性
があまり高くないため、反応速度を高めるためには添加
量を増やすことが好ましく、一方、コストを低減するた
めには添加量は成長末端に対して等量に近い方が好まし
く、状況により適正化する必要がある。
【0065】また、末端にアルケニル基を導入する場
合、重合性の低いアルケニル基を2つ以上持つ化合物を
添加する量は、重合成長末端に対して過剰量であること
が好ましい。等量あるいは末端より少量の場合、2つの
アルケニル基の両方ともが反応し、重合末端をカップリ
ングしてしまう可能性がある。2つのアルケニル基の反
応性が等しい化合物の場合、カップリングの起こる確率
は、過剰に添加する量に応じて統計的に決まってくる。
よって、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは3
倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
【0066】[脱ハロゲン化方法について]原子移動ラ
ジカル重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系
重合体は以下の方法により脱ハロゲン化される。ハロゲ
ン含有ビニル系重合体は加熱により脱ハロゲン化が可能
である。処理時間の短縮のためにはより高温の方が好ま
しいが、高温にしすぎるとビニル系重合体の分解又は熱
的劣化が起こるため、ビニル系重合体の分解又は熱的劣
化が顕著に起こらない温度領域でビニル系重合体を加熱
処理することが好ましい。具体的には140℃以上25
0℃以下で加熱処理を行う。150℃以上250℃以下
が好ましく、170℃以上250℃以下がより好まし
く、190℃以上250℃以下が更に好ましい。
【0067】処理時間は特に限定されず、数分から数十
時間の範囲で加熱処理が可能であるが、高温状態で長時
間加熱処理するとビニル系重合体の分割又は熱的劣化が
起こるため、必要以上の加熱処理は避けることが好まし
い。(メタ)アクリル系重合体は耐熱性が高く、分解開
始温度が高いので高温での処理が可能である。上記加熱
工程での溶剤の有無は特に限定されないが、無溶媒での
加熱処理が好ましい。
【0068】本発明において、脱ハロゲン化は、重合体
の分解等を抑制するために、ハロゲン含有ビニル系重合
体において分子内環化反応を進行させることで行うのが
好ましい。特に、分子内環化反応により、ビニル系重合
体においてラクトン環を形成させることが好ましい。ま
た、脱ハロゲン化は、遊離酸の発生を抑制するために、
ハロゲン含有ビニル系重合体から有機ハロゲン化物を脱
離させることで行うのが好ましい。
【0069】本発明の特に好ましい態様においては、脱
ハロゲン化は、ハロゲン含有ビニル系重合体において分
子内環化反応によるラクトン環を形成させて、それに伴
い、有機ハロゲン化物を脱離させることによって行う。
ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合で製造される
末端に一般式(A)で表される基を有するビニル系重合
体は上述の加熱処理で脱ハロゲン化される。 −C(R)(R)(X) (A) (式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性
不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ
素を示す。)
【0070】ここでR及びRはビニル系モノマーの
エチレン性不飽和基に結合した基であるが、(メタ)ア
クリル酸系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基
であることが好ましい。高温加熱処理による酸の遊離、
分子量ジャンプ等のポリマー劣化、ビニル系重合体の官
能基への影響が問題となる場合には、あらかじめ、特定
のハロゲン含有構造に変換しておくことが好ましい。例
えば、一般式(A)で表される基を下記の一般式(B)
で表される基に変換したハロゲン含有ビニル系重合体を
用いると、重合体同士のカップリングを抑制しつつ、速
やかに脱ハロゲン化を進行させることができる。 −C(R)(R)−CH−CH(X)− (B) (式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性
不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ
素を示す。)
【0071】ここでR及びRはビニル系モノマーの
エチレン性不飽和基に結合した基であるが、(メタ)ア
クリル酸系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基
であることが好ましい。また、ハロゲン含有構造がγ−
ハロカルボン酸構造、γ−ハロカルボン酸塩構造もしく
はγ−ハロエステル構造(以下、γ−ハロカルボン酸構
造等という)である場合には加熱処理により容易に脱ハ
ロゲン化が可能であるため、脱ハロゲン化工程において
より好ましいハロゲン含有構造である。
【0072】γ−ハロカルボン酸構造等を有するビニル
系重合体は、ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合
により製造される末端にハロゲンを有するビニル系重合
体と、分子内に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する
化合物を反応させることにより製造することができる。
γ−ハロカルボン酸構造等としては特に限定されない
が、下記一般式(D)で表される基がより好ましい。 −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R50は水素
原子または炭素数1〜10の有機基、R51は水素原
子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子、R
52は水素原子、水酸基又は有機基、R53は水素原
子、水酸基又は有機基)
【0073】R50は水素原子または炭素数1〜10の
有機基であって、好ましくは水素原子または炭素数1〜
5の炭化水素基、さらに好ましくは水素原子またはメチ
ル基、最も好ましくは水素原子である。R51は水素原
子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子であ
る。炭素数1〜20の有機基としては炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜
20のアラルキル基等が例示されるが、1個以上のエー
テル結合を有するものであってもよく、炭素数2〜20
のアルコキシアルキル基等が例示される。R51は、水
素原子、アルカリ金属原子、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基が好まし
く、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシア
ルキル基がより好ましく、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基が特に好ま
しい。
【0074】R52、R53は水素原子、水酸基、1価
若しくは2価の有機基であってR52及びR53は同一
又は異なる基であってよい。R52、R53が有機基で
ある場合には1個以上のエーテル結合又は1個以上のエ
ステル結合を含んでいてもよい。また、R52、R53
は他端において連結して環状骨格を形成していてもよ
い。またビニル系重合体等の重合体に結合する2価の有
機基であってもよい。またエチレン性不飽和基、水酸
基、アミノ基、シリル基等の官能基に結合する2価の有
機基であってもよい。R52は水素原子又は炭素数1〜
20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は
メチル基が特に好ましい。R53が1価の有機基である
場合には炭素数1〜20の有機基であることが好まし
く、炭素数1〜20の炭化水素基が特に好ましい。R
53が官能基又は重合体に結合する2価の有機基である
場合には炭素数1〜20の有機基であることが好まし
く、炭素数1〜20の炭化水素基が特に好ましい。官能
基としてはエチレン性不飽和基又は水酸基が好ましい。
【0075】一般式(D)で表される基を有するビニル
系重合体は、加熱工程によってハロゲンXが脱離し、ラ
クトン環形成を経て脱ハロゲン化する。一般式(D)に
おけるR51が炭素数1〜20の有機基である場合、ハ
ロゲンXが有機ハロゲン化物として脱離するため、遊離
酸の発生を抑制することができる。
【0076】
【化12】
【0077】一般式(A)で表される基、一般式(B)
で表される基、一般式(D)で表される基を有するビニ
ル系重合体の製造方法は特に限定されないが、原子移動
ラジカル重合を利用して直接的若しくは間接的に製造す
ることができる。以下に具体的な製造例を示す。
【0078】一般式(A)で表される基を有するビニル
系重合体は、例えばビニル系モノマーを上述の原子移動
ラジカル重合法により重合することで製造される。特に
ビニル系モノマーが(メタ)アクリル酸系モノマーであ
る場合には末端に一般式(C)で表される基を有するビ
ニル系重合体が製造される。この場合には一般式(C)
で表される基の置換基であるR50、CO51
(メタ)アクリル酸系モノマーのエチレン性不飽和基に
結合する基に由来する基となる。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R50は水素
原子または炭素数1〜10の有機基、R51は水素原
子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子)
【0079】一般式(B)で表される基を有するビニル
系重合体は一般式(A)で表される基を有するビニル系
重合体を製造し、末端ハロゲンにエチレン性不飽和基含
有化合物を反応させることにより製造される。一般式
(D)で表される基を有するビニル系重合体はビニル系
モノマーの原子移動ラジカル重合で製造される一般式
(A)で表される基を有するビニル系重合体の末端ハロ
ゲンにペンテン酸又はその誘導体等のエチレン性不飽和
基含有化合物を反応させる方法により製造される。
【0080】また、一般式(D)で表される基を有する
ビニル系重合体は以下の方法によっても製造される。ビ
ニル系モノマーの原子移動ラジカル重合を利用して一般
式(C)で表される基を末端に有するビニル系重合体を
製造し、ビニル系重合体の末端ハロゲンに、下記一般式
(E)で表される、分子内に1つ以上のエチレン性不飽
和基を有する化合物を反応させることにより一般式
(D)で表される基に変換することができる。 CH=CH−CH(R52)−R53 (E) (式中、R52、R53は上記に同じ)
【0081】一般式(C)で表される基を末端に有する
ビニル系重合体の製造方法は特に限定されないが、(メ
タ)アクリル酸系モノマーの原子移動ラジカル重合を利
用した製造方法が簡便であるため好ましい。一般式
(E)で表されるエチレン性不飽和基含有化合物として
は特に限定されないが、ラジカル重合活性の低い化合物
が好ましい。このような化合物としては炭化水素系化合
物が好ましく、例えばCH=CH−(CH−C
(nは0〜20の整数)等のエチレン性不飽和基含
有脂肪族炭化水素系化合物、CH=CH−(CH
−C(nは1〜20の整数)等のエチレン性不飽
和基含有芳香族炭化水素系化合物が例示される。
【0082】分子内に複数個のエチレン性不飽和基を有
する化合物も好適に使用される。分子内に複数個のエチ
レン性不飽和基を有する化合物を使用する場合はエチレ
ン性不飽和基と分子鎖末端のモル比を調節することによ
り、重合体同士のカップリングもしくは重合体へのエチ
レン性不飽和基の導入が可能となる。このような化合物
としては例えば1,7−オクタジエン等の非共役ジエン
(具体的には上記一般式9で表される化合物(ただし式
9中、R14及びR16のいずれか一方若しくは両方が
水素原子である))が挙げられる。
【0083】分子内に水酸基、アミノ基等の官能基を有
するエチレン性不飽和基含有化合物も好適に使用され
る。この場合には重合体への水酸基、アミノ基等の官能
基の導入が可能となる。
【0084】一般式(C)で表される基を末端に有する
ビニル系重合体の末端ハロゲンと一般式(E)で表され
るエチレン性不飽和基含有化合物との反応方法は特に限
定されないが、「原子移動ラジカル重合の反応系」を利
用した方法が好ましい。「原子移動ラジカル重合の反応
系」とは、原子移動ラジカル重合で使用される反応系と
いう意味である。すなわち一般式(C)で表される基を
有するビニル系重合体を原子移動ラジカル重合における
開始剤である有機ハロゲン化物に相当するものとして使
用し、原子移動ラジカル重合で好適に使用される遷移金
属錯体、配位子、活性化剤、溶媒等を使用し、原子移動
ラジカル重合での好適な条件でビニル系重合体のハロゲ
ンにエチレン性不飽和基含有化合物を反応させることを
いう。従ってビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合
途中若しくは重合終了時に重合系中にエチレン性不飽和
基含有化合物を添加し、ビニル系モノマーの重合工程及
びビニル系重合体とエチレン性不飽和基含有化合物との
反応工程をワンポットで完結させる方法に限定されず、
ビニル系モノマーの重合工程とは別の工程において、原
子移動ラジカル重合の反応条件下でビニル系重合体にエ
チレン性不飽和基含有化合物を反応させる方法であって
もよい。また、ビニル系モノマーの重合条件及びビニル
系重合体にエチレン性不飽和化合物(1)を反応させる
条件が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0085】一般式(C)で表される基は脱ハロゲン化
処理によりビニル系重合体の分子量ジャンプを引き起こ
す要因となるので、分子量ジャンプが問題となる場合に
はできる限り完全に一般式(D)で表される基に変換す
ることが好ましい。しかしながら一般式(C)で表され
る基が完全に変換されずに、一般式(C)で表される基
を有するビニル系重合体と一般式(D)で表される基を
有するビニル系重合体の混合物となる場合には、当該混
合物中一般式(C)で表される基と一般式(D)で表さ
れる基の比〔一般式(C)で表される基のモル数〕/
〔一般式(D)で表される基のモル数〕が0.01以上
0.2以下とするのが好ましい。0.01以上0.1以
下がより好ましく、0.01以上0.05以下が更に好
ましい。また、一般式(C)で表される基が当該混合物
1kgに対して0.1mmol以上10mmol以下で
あることが好ましく、0.1mmol以上5.0mmo
l以下であることがより好ましく、0.1mmol以上
3.0mmol以下であることが特に好ましい。
【0086】ビニル系重合体1分子当たりに存在する一
般式(C)で表される基の個数を定量するには、ビニル
系重合体中の一般式(C)で表される基のハロゲンを、
分析機器で検出可能な基を有するカルボン酸塩により置
換した後、上記検出可能な基を分析機器で定量すればよ
い。
【0087】ビニル系重合体単位重量当たりに存在する
一般式(C)で表される基の量(モル数)を定量するに
は、ビニル系重合体中の一般式(C)で表される基のハ
ロゲンを、分析機器で検出可能な基を有するカルボン酸
塩により置換した後、上記検出可能な基を分析機器で定
量すればよい。
【0088】分析機器としては特に限定されず、例え
ば、核磁気共鳴分光装置、紫外可視分光光度計、赤外分
光光度計、原子吸光分光光度計、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー装置等等が挙げられる。分析機器で
検出可能な基を有するカルボン酸塩としては特に限定さ
れず、例えば、(メタ)アクリル酸塩等の炭素−炭素二
重結合を有するカルボン酸塩、安息香酸塩等のベンゼン
環を有するカルボン酸塩等が挙げられる。
【0089】定量にあたっては、2種以上の分析機器を
併用することが好ましい。特に、核磁気共鳴分光法(N
MR法)とゲルパーミエーションクロマトグラフィー法
(GPC法)を併用することが好ましい。
【0090】脱ハロゲン化工程は原子移動ラジカル重合
の反応混合物の状態で行ってもよいし、精製処理工程、
官能基変換処理工程等の工程を経た後、若しくは、当該
処理工程中に行ってもよい。脱ハロゲン化の際に重合体
から遊離するハロゲン化合物が製品の品質、製造設備等
に悪影響を与える場合には、減圧下でハロゲン化合物を
除去しながら脱ハロゲン化工程を行うのが好ましい。好
ましくは減圧度が100torr以下、より好ましくは
20torr以下、更に好ましくは10torr以下で
ある。減圧加熱しながら処理を行う場合には表面更新の
影響を受けやすいので、攪拌等による良好な表面更新状
態で処理を行うことが好ましい。
【0091】従来の脱ハロゲン化においては塩基性化合
物が添加されてきた。本発明においても脱ハロゲン化工
程で塩基性化合物が添加されてよいが、塩基性化合物の
一つであるオキシアニオン化合物は求核置換剤として作
用するとともに処理剤であるオキシアニオン化合物のビ
ニル系重合体からの除去が困難であるため、本発明にお
いては好ましくない添加剤である。特にカルボン酸塩を
添加剤として使用するとカルボン酸もしくはカルボン酸
塩としてビニル系重合体中に残存するため、臭気、貯蔵
安定性の低下等の問題が発生する。一方、無機塩基は比
較的除去が容易であることから本発明においても好適に
使用される。無機塩基としては特に限定されないがアル
カリ金属の水酸化物、アルカリ金属の水酸化物が好まし
い。
【0092】本発明において、脱ハロゲン化工程を、合
成ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、酸化マグネ
シウムのような無機系吸着剤の存在下で行うことによ
り、重合体中の残存重合触媒の低減、副生する酸性物質
の除去等が可能になる。無機系吸着剤は、不溶化した遷
移金属錯体の凝集核として作用するだけでなく、物理
的、化学的な吸着作用が期待できる。
【0093】無機系吸着剤の代表的なものとして、アル
ミニウム、マグネシウム、ケイ素等を主成分とする単独
もしくはこれらを組み合わせたものがある。例えば二酸
化珪素;酸化マグネシウム;シリカゲル;シリカ・アル
ミナ、アルミニウムシリケート;活性アルミナ;酸性白
土、活性白土等の粘土系吸着剤;珪酸アルミニウムナト
リウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオ
ライト系吸着剤;ドーソナイト類化合物;ハイドロタル
サイト類化合物が例示される。これらの中でも特にアル
ミニウムシリケート、ハイドロタルサイト類化合物が好
ましい。
【0094】アルミニウムシリケートとはケイ酸のケイ
素の一部がアルミニウムに置換されたもので、軽石、フ
ライアッシュ、カオリン、ベントナイト、活性白土、珪
藻土等が知られている。この中でも、合成のアルミニウ
ムシリケートは比表面積も大きく吸着能力が高い。合成
アルミニウムシリケートとしてはキョーワード700シ
リーズ(協和化学製)などが挙げられるが、これらに限
定されるわけではない。
【0095】ハイドロタルサイト類化合物は2価の金属
(Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2
+,Cu2+,Zn2+等)と3価の金属(Al3+,
Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等)の含水水
酸化物又は前記水酸化物の水酸基の一部をハロゲンイオ
ン,NO3−,CO32−,SO42−,Fe(CN)
63−,CH3CO2−,シュウ酸イオン、サリチル酸
イオン等の陰イオンに交換したものである。これらのう
ち2価の金属がMg2+、3価の金属がAl3+であっ
て水酸基の一部をCO32−に交換したハイドロタルサ
イトものが好ましく、例えば合成品としてはキョーワー
ド500シリーズ、キョーワード1000シリーズ(い
ずれも協和化学(株)製)が挙げられるが、これらに限
定されるわけではない。また、上記ハイドロタルサイト
類を焼成して得られる吸着剤も好適に使用される。その
なかでも2価の金属がMg2+、3価の金属がAl3+
であるハイドロタルサイト類を焼成して得られるMgO
−AlO3系固溶体が好ましく、例えばキョーワード2
000(協和化学(株)製)が挙げられるが、これらに
限定されるわけではない。本発明においてはハイドロタ
ルサイト類の焼成品についてもハイドロタルサイト類と
して分類する。以上に例示した吸着剤は単体で用いて
も、また複数を混合して用いてもよい。また、吸着剤の
使用量は、通常、重合体100重量部に対して0.1〜
10重量部であるが、経済性と操作面から0.1〜5重
量部であることが好ましい。
【0096】脱ハロゲン化工程での高温加熱処理による
ポリマー劣化が問題となる場合には、ラジカル捕捉剤の
存在下で脱ハロゲン化工程を行ってもよい。ラジカル捕
捉剤として酸素ラジカル捕捉剤又は炭素ラジカル捕捉剤
が挙げられる。酸素ラジカル捕捉剤としては従来公知な
酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤等が使用されてよ
い。
【0097】酸化防止剤は各種のものが知られており、
例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シー
エムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(2
35〜242)等に記載された種々のものが挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。
【0098】例えば、MARK PEP−36、MAR
K AO−23等のチオエーテル系(以上いずれもアデ
カア−ガス化学製)、Irgafos38、Irgaf
os168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも
日本チバガイギー製)等のようなリン系酸化防止剤等が
挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダード
フェノール系化合物が好ましい。
【0099】ヒンダードフェノール系化合物としては、
具体的には以下のものが例示できる。2,6−ジ−te
rt−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t
ert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ
又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’
−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェ
ノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−t
ert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイド
ロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノ
ン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチ
オ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
アニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリ
チル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チ
オ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレン
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステ
ル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチル
チオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−
2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベ
ンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル
−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオ
ネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)と
の縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導
体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ
−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0100】商品名で言えば、ノクラック200、ノク
ラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−
N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラ
ックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−
7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業
製)、MARK AO−30、MARK AO−40、
MARK AO−50、MARK AO−60、MAR
K AO−616、MARK AO−635、MARK
AO−658、MARK AO−80、MARKAO
−15、MARK AO−18、MARK 328、M
ARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化学
製)、IRGANOX−245、IRGANOX−25
9、IRGANOX−565、IRGANOX−101
0、IRGANOX−1024、IRGANOX−10
35、IRGANOX−1076、IRGANOX−1
081、IRGANOX−1098、IRGANOX−
1222、IRGANOX−1330、IRGANOX
−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー製)、
SumilizerGA−80(以上いずれも住友化学
製)等が例示できるがこれらに限定されるものではな
い。
【0101】酸化防止剤は光安定剤と併用してもよく、
併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐熱性
が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止
剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビ
ンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)などを使
用しても良い。
【0102】従来公知な上述のラジカル捕捉剤は一般的
に酸素存在下で効果を発揮するものであるから、酸素存
在下での脱ハロゲン化処理に使用するのが好ましい。減
圧下、窒素下等、低酸素濃度で脱ハロゲン化処理を行う
場合には炭素ラジカル捕捉剤の使用が好ましい。
【0103】炭素ラジカル捕捉剤としてはアクリレート
基とフェノール基を併せ持つモノアクリレートフェノー
ル系酸化防止剤、ニトロキシド化合物等が挙げられる。
モノアクリレートフェノール系酸化防止剤としては例え
ば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒド
ロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルア
クリレート(商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−
t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート
(商品名スミライザーGS)などが例示される。ニトロ
キシド化合物としては、限定はされないが、2,2,
6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,
2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル
等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジ
カルが例示される。置換基としてはメチル基やエチル基
等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的な
ニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされ
ないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−
テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,
2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジ
ニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−
1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テ
トラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、
N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げ
られる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビ
ノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の
安定なフリーラジカルを用いても構わない。これらの炭
素ラジカル捕捉剤のうちモノアクリレートフェノール系
酸化防止剤が特に好ましい。
【0104】[不溶成分の分離除去工程について]本発
明の製造方法においては、脱ハロゲン化工程を行った
後、ビニル系重合体に含まれる不溶成分を分離除去する
ことが好ましい。不溶成分の分離除去工程をさらに行う
ことにより精製度のアップ、シリル化活性のより一層の
向上がなされるため、重合体の精製工程で使用される吸
着剤の減量、精製工程の簡略化等を実現することができ
る。
【0105】ここで「不溶成分」とは、重合反応、官能
基導入反応、脱ハロゲン化反応等で生じる、ビニル系重
合体に溶解せずビニル系重合体と不均一な相を構成して
いる固体成分をいう。
【0106】不溶成分の分離除去工程は脱ハロゲン化工
程の後に実施されればよく、脱ハロゲン化工程と不溶成
分の分離除去工程の間に別の処理がなされてもよいが、
脱ハロゲン化工程に引き続いて不溶成分の分離除去工程
が実施されることが好ましい。不溶成分の分離除去工程
は、ビニル系重合体中に存在する不溶成分を固液分離法
により分離除去することによって行うのが好ましい。固
液分離方法としては特に限定されず、濾過法、沈降法等
の一般的な分離方法が利用される。
【0107】濾過法としては例えばヌッチェ等による減
圧濾過方法、フィルタープレス方式等の加圧濾過方法等
が例示される。不溶成分の量が少なく、濾過性がよい場
合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等に
よる簡易濾過、砂濾過等が簡便である。
【0108】沈降法としては静置分離法、デカンター、
分離盤型遠心沈降機等による遠心沈降法等が例示され
る。濾過と沈降を組み合わせた方法としては例えば、バ
スケット型遠心濾過機等による遠心濾過法、水平盤式濾
過機等の沈降濾過法等が例示される。濾過法において
は、不溶成分の粒子系、量に応じて濾過助剤を使用して
もよい。濾過助剤としては特に限定されないが、珪藻土
等の一般的なものが使用されてよい。
【0109】ビニル系重合体の粘度が高く、固液分離の
操作性が悪くなる場合には溶剤で希釈してもよい。希釈
溶剤としては特に限定されないが一般的な溶剤が使用さ
れてよいが、ビニル系重合体よりも極性の高い溶剤を使
用すると重合触媒等の溶解性を高めるのでビニル系重合
体よりも極性の低い溶剤を使用することが好ましい。極
性が低すぎるとビニル系重合体の溶解が困難となるので
ビニル系重合体に応じて適切な溶剤を選択することが好
ましい。溶剤の極性を調整するために2種以上の溶剤を
混合して使用してもよい。ビニル系重合体が(メタ)ア
クリル酸エステル系重合体である場合にはトルエン、キ
シレン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素
系化合物が好ましい。ビニル系重合体若しくはその混合
物を加温して固液分離処理を行ってもよい。
【0110】ビニル系重合体の品質として、より高い精
製度若しくはより高いシリル化活性が要求される場合に
は必要に応じて吸着剤による精製工程を組み合わせても
よい。吸着剤としては特に限定されないが、上述した無
機系吸着剤が挙げられる。
【0111】無機系吸着剤とビニル系重合体又は重合体
溶液の固液接触には様々な実施態様が可能であるが、撹
拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式のほか、吸着
剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸
着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動
化して吸着を行う流動層式等も利用できる。さらに必要
に応じて撹拌による混合分散に加えて、容器の振とう、
超音波の利用など、分散効率を向上させる諸操作を取り
入れることができる。重合体又は重合体溶液を吸着剤に
接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸
着剤を除去し、必要に応じて希釈、水洗を加え、目的と
する清澄な重合体溶液を得る。
【0112】吸着処理工程はビニル系重合体の後処理工
程においていずれの段階で行ってもよい。例えば、 (1)脱ハロゲン化工程よりも以前の段階で吸着処理を
行う方法 (2)吸着剤存在下で脱ハロゲン化工程の加熱処理を行
う方法 (3)脱ハロゲン化工程の加熱処理の後に吸着処理を行
い、吸着剤の分離回収操作を兼ねて不溶成分の分離除去
工程を行う方法 (4)不溶成分の分離除去工程よりも以後の段階で吸着
処理を行う方法 等が例示される。吸着処理は必要に応じて溶剤希釈及び
/又は加熱をして行ってもよい。
【0113】原子移動ラジカル重合を利用して製造され
るビニル系重合体は、本発明の工程を経ることによって
ヒドロシリル化活性が高くなるので、ヒドロシリル化反
応性組成物の構成成分のうちの1成分として極めて好適
に利用することができる。特に分子内にエチレン性不飽
和基を有するビニル系重合体はヒドロシリル化反応性組
成物の反応性成分として利用できる。
【0114】[脱ハロゲン化されたビニル系重合体につ
いて]脱ハロゲン化されたビニル系重合体は各種用途に
使用される。脱ハロゲン化されたビニル系重合体の分子
量は特に限定されないが、数平均分子量として1,00
0以上10,0000以下が好ましい。下限は5,00
0以上がより好ましい。上限は50,000以下がより
好ましい。脱ハロゲン化されたビニル系重合体の分子量
分布は特に限定されないが1.05以上1.50以下が
好ましい。下限は1.10以上がより好ましい。上限は
1.40以下がより好ましい。
【0115】本発明の脱ハロゲン化工程によりハロゲン
化量が低減されることから、酸に対して不安定な加水分
解性基(例えばアルコキシシリル基等)のビニル系重合
体への導入が容易となる。また酸の発生による製造設備
や金属性基材の腐食の危険性も低減される。本発明の製
造方法によって脱ハロゲン化された後のビニル系重合体
の残ハロゲン量としては、ビニル系重合体1kgに対し
て1,000mg以下とすることができる。好ましくは
500mg以下、より好ましくは100mg以下であ
る。残ハロゲン量は元素分析によって測定できる。
【0116】分子内にエチレン性不飽和基を有するビニ
ル系重合体は適当な架橋剤を用いて架橋させることによ
り硬化物を与える。また、分子内にエチレン性不飽和基
を有するビニル系重合体にアルコキシシリル基含有ヒド
ロシラン化合物等をヒドロシリル化反応させることによ
り、アルコキシシリル基含有ビニル系重合体等が得られ
る。アルコキシシリル基含有ビニル系重合体等も硬化物
を与える。エチレン性不飽和基としては特に限定されな
いが、好ましくはCH=CH−、CH=C(C
)−であり、より好ましくはCH=CH−であ
る。重合体1分子あたりの官能基の個数については特に
限定はないが、下限は0.5以上が好ましく、0.8以
上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2
以上がより更に好ましく、1.5以上が特に好ましい。
上限は5.0以下が好ましく、4.0以下がより好まし
く、3.0以下が更に好ましく、2.5以下が特に好ま
しい。官能基の位置は特に限定されないが官能基を架橋
性反応基として利用する場合には分子鎖末端に近い方が
好ましく、分子鎖末端に存在することがより好ましい。
【0117】分子内にエチレン性不飽和基を有するビニ
ル系重合体の製造方法としては例えば、ビニル系モノマ
ーの重合の原子移動ラジカル重合の際にエチレン性不飽
和基を併せ持つビニル系モノマーを共重合させる方法や
一般式(C)で表される基から一般式(D)で表される
基に変換する際に複数個のエチレン性不飽和基を有する
エチレン性不飽和基含有化合物を使用する方法等が挙げ
られる。前者は分子内にエチレン性不飽和基を導入する
簡便な方法であるが、エチレン性不飽和基の数や導入位
置の制御が困難である。後者は分子鎖末端に選択的にエ
チレン性不飽和基の導入が可能であるとともにハロゲン
構造の変換剤兼エチレン性不飽和基の導入剤として使用
できるため、より好ましい方法である。
【0118】[ヒドロシリル化反応性組成物について]
ヒドロシリル化反応性組成物としては例えば、(A)分
子内にエチレン性不飽和基を有するビニル系重合体、及
び、(B)ヒドロシリル基含有化合物を含有するヒドロ
シリル化反応性組成物が挙げられる。A成分のビニル系
重合体は上述の方法により得られる分子内にエチレン性
不飽和基(CH=CH−)を有するビニル系重合体で
あって脱ハロゲン化されたものが使用されてよい。B成
分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はな
く、各種のものを用いることができる。例えば、分子内
に少なくとも1.1個のヒドロシリル基を有する化合
物、架橋性シリル基を併せ持つヒドロシラン化合物等が
挙げられる。以下に具体的なヒドロシリル化反応性組成
物を示す。
【0119】<ヒドロシリル化反応性組成物(1)>B
成分が分子内に少なくとも1.1個のヒドロシリル基を
有する化合物である場合には、組成物はヒドロシリル化
反応により硬化物を与える。すなわち、ヒドロシリル化
反応性組成物は硬化性組成物(硬化性組成物(1))で
ある。このような分子内に少なくとも1.1個のヒドロ
シリル基を有する化合物としては特に限定されないが、
例えば、一般式(22)または(23)で表される鎖状
ポリシロキサン; R23 SiO−[Si(R23O]−[Si(H)(R24)O]− [Si(R24)(R25)O]−SiR23 (22) HR23 SiO−[Si(R23O]−[Si(H)(R24)O] −[Si(R24)(R25)O]−SiR23 H (23) (式中、R23およびR24は炭素数1〜6のアルキル
基、または、フェニル基、R25は炭素数1〜10のア
ルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦10
0、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす
整数を示す。)一般式(24)で表される環状シロキサ
ン;
【0120】
【化13】
【0121】(式中、R26およびR27は炭素数1〜
6のアルキル基、または、フェニル基、R28は炭素数
1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは
0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数
を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)等の化
合物を用いることができる。
【0122】これらは単独で用いても2種以上を混合し
て用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でもビ
ニル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有す
る下記一般式(25)、(26)で表される鎖状シロキ
サンや、一般式(27)、(28)で表される環状シロ
キサンが好ましい。 (CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CO ]−Si(CH (25) (CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CH){CH C(H)(R24)C}O]−Si(CH (26) (式中、R24は水素またはメチル基を示す。gは2≦
g≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。C
はフェニル基を示す。)
【0123】
【化14】
【0124】(式中、R29は水素、またはメチル基を
示す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i
+j≦10を満たす整数を示す。Cはフェニル基
を示す。) B成分の少なくとも1.1個のヒドロシリル基を有する
化合物としてはさらに、分子中に2個以上のエチレン性
不飽和基(CH=CH−)を有する低分子化合物に対
し、一般式(22)から(28)に表されるヒドロシリ
ル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が
残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いる
こともできる。分子中に2個以上のエチレン性不飽和基
(CH=CH−)を有する化合物としては、各種のも
のを用いることができる。例示するならば、1,4−ペ
ンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジ
エン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、
1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−
ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフ
ェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタレー
ト、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテー
ト、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化合
物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のカ
ーボネート系化合物が挙げられる。
【0125】上記一般式(22)から(28)に示した
過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリ
ル化触媒の存在下、上に挙げたエチレン性不飽和基含有
化合物をゆっくり滴下することにより該化合物を得るこ
とができる。このような化合物のうち、原料の入手容易
性、過剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらに
はビニル系重合体への相溶性を考慮して、下記のものが
好ましい。
【0126】
【化15】
【0127】A成分のビニル系重合体とB成分のヒドロ
シリル基含有化合物は任意の割合で混合することができ
るが、硬化性の面から、エチレン性不飽和基(CH
CH−)とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲
にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.4である
ことが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化が不
十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られ
ず、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活
性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイ
ドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0128】A成分のビニル系重合体とB成分のヒドロ
シリル基含有化合物との硬化反応は、2成分を混合して
加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進め
るために、ヒドロシリル化触媒を添加することができ
る。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定さ
れず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル
開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0129】ラジカル開始剤としては特に限定されず、
例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチ
ルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシドのようなアシルペルオキシド、過安息
香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイ
ソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのような
ペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの
ようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0130】遷移金属触媒としても特に限定されず、例
えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック
等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩
化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯
体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテト
ラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以
外の触媒の例としては、RhCl(PPh,Rh
Cl,RuCl,IrCl,FeCl,AlC
,PdCl・HO,NiCl,TiCl
が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2
種類以上を併用してもかまわない。
【0131】触媒量としては特に制限はないが、(A)
成分のエチレン性不飽和基(CH=CH−)1mol
に対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが
良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用
いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分
に進行しない。またヒドロシリル化触媒は一般に高価で
腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物
が発泡してしまう場合があるので10−1mol以上用
いないのが好ましい。硬化温度については特に制限はな
いが、一般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜15
0℃、さらに好ましくは80℃〜150℃で硬化させる
のがよい。これにより短時間で硬化性組成物を得ること
ができる。
【0132】<ヒドロシリル化反応性組成物(2)>B
成分のヒドロシリル基含有化合物として架橋性シリル基
を併せ持つヒドロシラン化合物を用いてもよい。架橋性
シリル基を併せ持つヒドロシラン化合物としては特に制
限はないが、代表的なものを示すと、一般式29で示さ
れる化合物が例示される。 H−[Si(R112−b(Y)O]−Si(R123−a(Y) (29) {式中、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜
20のアラルキル基、または(R’)SiO−(R’
は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個の
R’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示
されるトリオルガノシロキシ基を示し、R 11またはR
12が2個以上存在するとき、それらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解
性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,
または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは
0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であるこ
とを満足するものとする。}
【0133】加水分解性基としては、たとえば、水素原
子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト
基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基
があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミ
ド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイ
ルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとく
に好ましい。
【0134】加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原
子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σ
b)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸
基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、そ
れらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性
シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シ
ロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合に
は、20個以下であることが好ましい。
【0135】これらヒドロシラン化合物の中でも、特に
一般式30 H−Si(R123−a(Y) (30) (式中、R12、Y、aは前記に同じ)で示される架橋
性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。B成
分として上述のヒドロシラン化合物を用いたヒドロシリ
ル化反応性組成物をヒドロシリル化することにより分子
内に架橋性シリル基を有するビニル系重合体が得られ
る。該ビニル系重合体も及び該ビニル系重合体を含有す
る硬化性組成物(硬化性組成物(2))も本発明の一つ
である。
【0136】ビニル系重合体の分子内に存在する架橋性
シリル基の数は特に限定はないが、該ビニル系重合体を
硬化性組成物のベースポリマーとして使用する場合には
分子内に平均して1.1個以上の架橋性シリル基を有す
ることが好ましい。架橋性シリル基を有するビニル系重
合体の分子量は特に限定されないが、数平均分子量とし
て1,000以上10,0000以下が好ましい。下限
は5,000以上がより好ましい。上限は50,000
以下がより好ましい。架橋性シリル基を有するビニル系
重合体の分子量分布は特に限定されないが1.05以上
1.50以下が好ましい。下限は1.10以上がより好
ましい。上限は1.40以下がより好ましい。
【0137】本発明の架橋性シリル基としては、一般式
31; −[Si(R112−b(Y)O]−Si(R123−a(Y) ( 31) {式中、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜
20のアラルキル基、または(R’)SiO−(R’
は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個の
R’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示
されるトリオルガノシロキシ基を示し、R 11またはR
12が2個以上存在するとき、それらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解
性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,
または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは
0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であるこ
とを満足するものとする。}で表される基があげられ
る。
【0138】加水分解性基としては、たとえば、水素原
子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト
基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基
があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミ
ド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイ
ルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとく
に好ましい。
【0139】加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原
子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σ
b)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸
基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、そ
れらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性
シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シ
ロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合に
は、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式
32 −Si(R123−a(Y) (32) (式中、R10、Y、aは前記と同じ。)で表される架
橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
【0140】本発明の架橋性シリル基を有するビニル系
重合体を硬化させて成る硬化物にゴム的な性質が特に要
求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋
点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少な
くとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より
好ましくは、全ての官能基を分子鎖末端に有するもので
ある。A成分のビニル系重合体とB成分の架橋性シリル
基を併せ持つヒドロシラン化合物の割合は特に限定され
ないが、ヒドロシリル基がエチレン性不飽和基(CH
=CH−)基に対して当量以上であることが好ましい。
【0141】ヒドロシリル化反応をより迅速に進めるた
めに、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。こ
のようなヒドロシリル化触媒としては既に例示したもの
が使用されてよい。反応温度については特に制限はない
が、一般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150
℃、さらに好ましくは80℃〜150℃である。
【0142】硬化性組成物(2)を硬化させるにあたっ
ては縮合触媒を使用してもしなくてもよい。縮合触媒と
してはテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネ
ート等のチタン酸エステル;ジブチル錫ジラウレート、
ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫マレエ
ート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシ
ド、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の有機錫化合物;オ
クチル酸鉛、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチル
アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、
シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレン
ジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,
4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、
モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビ
シクロ(5,4,6)ウンデセン−7等のアミン系化合
物あるいはそれらのカルボン酸塩;ラウリルアミンとオ
クチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化
合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポ
リアミンと多塩基酸から得られる低分子量ポリアミド樹
脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物;
アミノ基を有するシランカップリング剤、例えば、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノ
エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の公
知のシラノール触媒1種または2種以上を必要に応じて
用いればよい。使用量は末端に架橋性シリル基を有する
ビニル系重合体に対し、0〜10重量%で使用するのが
好ましい。加水分解性基Yとしてアルコキシ基が使用さ
れる場合は、この重合体のみでは硬化速度が遅いので、
硬化触媒を使用することが好ましい。
【0143】<硬化性組成物>上記硬化性組成物
(1)、硬化性組成物(2)には、物性を調整するため
に各種の添加剤、例えば、難燃剤、老化防止材、充填
材、可塑剤、物性調整剤、反応希釈剤、接着性付与剤、
貯蔵安定性改良剤、溶剤、ラジカル禁止剤、金属不活性
化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑
剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂などを必要に応じて適
宜配合してもよい。これらの各種添加剤は単独で用いて
もよく、2種類以上を併用してもよい。また、ビニル系
重合体は本来、耐久性に優れた重合体であるので、老化
防止剤は必ずしも必要ではないが、従来公知の酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜用いることができ
る。
【0144】<充填材>配合できる充填材としては、特
に限定されないが、強度などの物性を付与するために例
えば、微粉末シリカ、炭酸カルシウム、タルク、酸化チ
タン、珪藻土、硫酸バリウム、カーボンブラック、表面
処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレーおよび活
性亜鉛華等の補強性充填材などが挙げられる。補強性充
填材は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。これらの中でもシリカ微粉末が好ましく、湿式製造
法等から得られる含水シリカ、および乾式製造法等から
得られる乾式シリカなどが用いることができる。これら
のうちで組成物に水分が多く含まれると硬化反応時に副
反応等が起こる可能性があるため、無水シリカが特に好
ましい。更に無水シリカの表面を疎水処理したものが成
形に適した流動性を発現しやすいため特に好ましい。ま
た他に、増量あるいは物性調整のために補強性のあまり
強くない充填材も用いることができる。
【0145】<可塑剤>配合できる可塑剤としては特に
限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的によ
り、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレー
ト、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベン
ジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルア
ジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケー
ト、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル
類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等
の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエ
ート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタ
エリスリトールエステル等のポリアルキレングリコール
のエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチル
ホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エ
ステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等
のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリ
イソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリク
ロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニ
ル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセ
スオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエ
ーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水
酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等
のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステア
リン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリ
コール等の2価アルコールから得られるポリエステル系
可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノ
マーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類
等を単独、または2種以上混合して使用することができ
るが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可
塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
【0146】<貯蔵安定性改良剤>配合できる貯蔵安定
性改良剤は、本組成物の貯蔵時の増粘および貯蔵後の硬
化速度の著しい変化を抑えることができるものであれば
特に限定されず、例えば、ベンゾチアゾール、ジメチル
マレート等が挙げられる。
【0147】<溶剤>配合できる溶剤としては、例えば
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエ
ステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げ
られる。それらの溶剤は重合体の製造時に用いてもよ
い。
【0148】<接着性付与剤>配合できる接着性付与剤
としては硬化物に接着性を付与するものであれば特に限
定されないが、架橋性シリル基含有化合物が好ましく、
更にはシランカップリング剤が好ましい。これらを具体
的に例示すると、メチルトリメトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラ
ン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリ
イソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシ
シラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等
のビニル型不飽和基含有シラン類;シリコーンワニス
類;ポリシロキサン類等が挙げられる。
【0149】それらの中でも分子中にエポキシ基、(メ
タ)アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート
基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボ
キシル基等の炭素原子および水素原子以外の原子を有す
る有機基と架橋性シリル基を併せ持つシランカップリン
グ剤が好ましい。これらを具体的に例示すると、イソシ
アネート基を有するアルコキシシラン類としては、γ−
イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソ
シアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシア
ネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシア
ネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネ
ート基含有シラン類、;イソシアヌレート基を有するア
ルコキシシラン類としては、トリス(トリメトキシシリ
ル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;
アミノ基を有するアルコキシシラン類としては、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシ
シラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;メルカ
プト基を有するアルコキシシラン類としては、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;カル
ボキシル基を有するアルコキシシラン類としては、β−
カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシ
エチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、
N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン
類;ハロゲンを有するアルコキシシラン類としては、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有
シラン類等が挙げられる。
【0150】また、これらを変性した誘導体である、ア
ミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不
飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシ
ラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステ
ル等もシランカップリング剤として用いることができ
る。
【0151】更にこれらの中でも、硬化性及び接着性の
点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル
基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。これら
を更に具体的に例示すると、エポキシ基を有するアルコ
キシシラン類としては、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等が、(メ
タ)アクリル基を有するアルコキシシラン類としては、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチル
トリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキ
シシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ア
クリロキシメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、また2種以上を併用して
もよい。
【0152】また、接着性を更に向上させるために、架
橋性シリル基縮合触媒を上記接着性付与剤とともに併用
することができる。架橋性シリル基縮合触媒としては、
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセト
ナート、ジブチル錫ジメトキシド、オクチル酸錫等の有
機錫化合物、アルミニウムアセチルアセトナート等の有
機アルミニウム化合物、テトライソプロポキシチタン、
テトラブトキシチタン等の有機チタン化合物などが挙げ
られる。シランカップリング剤以外の具体例としては、
特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソ
シアネート等が挙げられる。
【0153】上記接着性付与剤は、ビニル系重合体10
0重量部に対して、0.01〜20重量部配合するのが
好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が
小さく、20重量部を越えると硬化物物性に悪影響を与
える。好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ま
しくは0.5〜5重量部である。上記接着性付与剤は1
種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用して
も良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着
体に対する接着性を改善することができる。
【0154】<成形方法>本発明の硬化性組成物を成形
体として用いる場合の成形方法としては、特に限定され
ず、一般に使用されている各種の成形方法を用いること
ができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランフファ
ー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成
形、熱成形などが挙げられる。特に自動化、連続化が可
能で、生産性に優れるという観点から射出成形によるも
のが好ましい。また、ガスケットとして用いる場合等に
は、フランジ面等に塗布した硬化性組成物を未硬化状態
で両面から挟み付けた後、硬化させるウエットタイプ
と、硬化させてから挟み付けるドライタイプの両者が可
能である。
【0155】<用途>本発明の硬化性組成物は、限定は
されないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シ
ーリング材等におけるシーリング材、太陽電池裏面封止
材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被
覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着
剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電
子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、注型材
料、人工大理石、各種成形材料、および、網入りガラス
や合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等
の様々な用途に利用可能である。
【0156】更に、本発明の硬化性組成物から得られた
ゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中
心に広く使用することができる。例えば自動車分野では
ボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラス
の振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシール
ガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することが
できる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジン
およびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバ
ーに使用することができる。エンジン部品としては、冷
却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジ
ンオイル用シール材などに使用することができる。ま
た、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用でき
る。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに
使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パ
ッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の
防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバ
ー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキ
ン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水
パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー
炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バ
ルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒー
タ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用の
オイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チ
ューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、
給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラ
ム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケッ
ト、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベル
ト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガ
スケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、
防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティ
ングブロック、摺動材等に使用できる。スポ―ツ分野で
は、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、ス
ポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボール
としてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野で
は、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用
防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野で
は、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、
防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護
体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴム
スカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタル
ストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エア
ホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環
境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防
汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキ
マー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォー
ム板等にも使用できる。
【0157】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定さ
れない。下記実施例および比較例中「部」および「%」
は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0158】下記実施例中、臭素基の量は、酸素フラス
コ燃焼法により試料を調製した後、イオンクロマトグラ
フ法による元素分析で定量した。下記実施例中、「数平
均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平
均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法に
より算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレ
ン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K
−804及びGPCK−802.5;昭和電工(株)
製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0159】下記実施例中、重合体1分子当たりに導入
された反応性官能基(反応性官能基:「エチレン性不飽
和基の数」または「シリル基の数」)はH−NMRに
よる濃度分析を行い、GPCにより求まる数平均分子量
により算出した。下記実施例中、ビニル系重合体中の一
般式(C)で表される基の量は、一般式(C)で表され
る基を有するビニル系重合体のハロゲンをメタクリル酸
カリで置換し、ビニル系重合体中に存在するメタクリロ
イル基の濃度をH−NMRで算出することにより間接
的に求めた。
【0160】下記実施例中、ビニル系重合体中の一般式
(D)で表される基と一般式(C)で表される基の比は
以下の式により算出した。 ビニル系重合体中の一般式(D)で表される基と一般式
(C)で表される基の比=(反応後のビニル系重合体中
に残存する一般式(C)で表される基の量)/[(反応
前のビニル系重合体中に存在する一般式(C)で表され
る基の量)−(反応後のビニル系重合体中に残存する一
般式(C)で表される基の量)] ここで、反応前のビニル系重合体中に存在する一般式
(C)で表される基の量および反応後のビニル系重合体
中に残存する一般式(C)で表される基の量とは、エチ
レン性不飽和基含有化合物と一般式(C)で表される基
を有するビニル系重合体との反応工程前後におけるビニ
ル系重合体中に存在する一般式(C)で表される基の量
であって、ともに上記方法により定量した。
【0161】下記実施例中、メトキシシリル基含有重合
体の貯蔵安定性を以下の促進試験により評価した。重合
体を硝子製容器に入れ、密閉して80℃で加熱保管し
た。7日経過後、重合体入り容器を室温まで放冷し、粘
度測定を行った。80℃加熱保管前と7日間加熱保管後
の重合体の粘度変化率(%)により貯蔵安定性を評価し
た。粘度変化率が小さいものほど貯蔵安定性は良い。
【0162】下記実施例中、ヒドロシリル化活性を以下
の方法により求めた『白金触媒使用量』により評価し
た。所定量の重合体、分子内に平均10個のヒドロシリ
ル基を有する鎖状シロキサンのヒドロシリル基の一部を
α−メチルスチレンと反応させて変性された分子内に平
均5個のヒドロシリル基を有する鎖状シロキサン(Si
−H基量3.70mmol/g)、白金触媒[ビス
(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサン)白金錯体触媒のキシレン溶液:以下白金触
媒という]を添加し、均一混合して組成物を得た。組成
物を130℃に加熱してゲル化させた。ゲル化時間が3
0秒であるときに要する白金換算での白金触媒量によっ
てヒドロシリル化活性を評価した。要する白金触媒量が
少ないほうがヒドロシリル化活性は高いと評価できる。
【0163】(製造例1)1,7−オクタジエンによる
γ−ブロモエステル構造への変換1 (アクリル酸n−ブチルの重合)還流管および攪拌機付
きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr(8.4
g、58.5mmol)を仕込み、反応容器内を窒素置
換した。アセトニトリル(112mL)を加え、オイル
バス中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸n
−ブチル(200g)、2、5−ジブロモアジピン酸ジ
エチル(17.6g、48.8mmol)、ペンタメチ
ルジエチレントリアミン(0.407mL、0.338
g、2.0mmol)(これ以降トリアミンと表す)を
加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、ア
クリル酸n−ブチル(800g)を連続的に滴下した。
アクリル酸n−ブチルの滴下途中にトリアミンを追加し
た。(1,7−オクタジエンとの反応:ビニル系重合体
中の一般式(C)で表される基の一般式(D)で表され
る基への変換反応及びビニル系重合体へのエチレン性不
飽和基導入反応)
【0164】モノマー反応率が96%に達した時点で残
モノマー、アセトニトリルを70℃で脱揮し、エチレン
性不飽和基含有化合物として1,7−オクタジエン(1
44mL、107g、975mmol)を添加し、更に
アセトニトリル(336mL)を加え、トリアミンを追
加し、引き続き70℃で加熱攪拌した。
【0165】1,7−オクタジエン添加直前におけるビ
ニル系重合体1kg当たりに存在する一般式(C)で表
される基の量は74mmolであった。前記の一般式
(C)で表される基の量の値及びGPCで求められる数
平均分子量値22200を用いて重合体1分子当たりに
存在する一般式(C)で表される基の平均の数を算出す
ると1.7個であった。1,7−オクタジエン添加後、
反応終了時における一般式(C)で表される基の残量は
重合体1kgに対して2.0mmolであった。前記の
一般式(C)で表される基の残量の値及びGPCで求め
られる数平均分子量値24000を用いて重合体1分子
当たりに存在する一般式(C)で表される基の平均の数
を算出すると0.05個であった。1,7−オクタジエ
ンとの反応により得られるビニル系重合体は一般式
(C)で表される基を有するビニル系重合体と一般式
(D)で表される基を有するビニル系重合体との混合物
であった。一般式(C)で表される基と一般式(D)で
表される基の比を算出式に従い求めたところ0.03で
あった。
【0166】(重合触媒の除去)反応混合物を加熱脱揮
し、トルエンに希釈し、混合物を活性アルミナのカラム
に通すことで重合触媒を除去した。重合体溶液を濃縮
し、重合体に対して100部のメチルシクロヘキサンに
溶解させ、吸着剤4部(キョーワード500SH 2部
/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)
製)を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌し
た。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで目的
とする重合体(重合体[1])を得た。
【0167】(重合体の物性値)重合体[1]の数平均
分子量は23800、分子量分布は1.23であった。
重合体[1]中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重
合体1kgに対し4900mgであった。
【0168】(比較例1)ポリアクリル酸n−ブチルの
脱ハロゲン化処理1:130℃での処理 製造例1で得られた重合体[1]を130℃で6時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素量は元素分
析の結果、重合体1kgに対し3800mgであった。
数平均分子量は24300、分子量分布は1.23であ
った。
【0169】(実施例1)ポリアクリル酸n−ブチルの
脱ハロゲン化処理2:150℃での処理 製造例1で得られた重合体[1]を150℃で6時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素量は元素分
析の結果、重合体1kgに対し870mgであった。数
平均分子量は24300、分子量分布は1.23であっ
た。
【0170】(実施例2)ポリアクリル酸n−ブチルの
脱ハロゲン化処理3:180℃での処理 製造例1で得られた重合体[1]を180℃で6時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素量は元素分
析の結果、重合体1kgに対し370mgであった。数
平均分子量は24100、分子量分布は1.25であっ
た。
【0171】(製造例2)1,7−オクタジエンによる
γ−ブロモエステル構造への変換1−2 製造例1と同様の操作(アクリル酸n−ブチルの重合、
1,7−オクタジエンとの反応、重合触媒の除去)を行
い、目的とする重合体(重合体[2])を得た。
【0172】(重合体の物性値)重合体[2]の数平均
分子量は24700、分子量分布は1.32であった。
重合体[2]中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重
合体1kgに対し3400mgであった。重合体1分子
当たりに導入されたエチレン性不飽和基の数は1.7個
であった。
【0173】(実施例3)ポリアクリル酸n−ブチルの
脱ハロゲン化処理4:200℃での処理 製造例2で得られた重合体[2]を200℃で3時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素量は元素分
析の結果、重合体1kgに対し280mgであった。数
平均分子量は25900、分子量分布は1.34であっ
た。
【0174】(実施例4)ポリアクリル酸n−ブチルの
脱ハロゲン化処理5:235℃での処理 製造例2で得られた重合体[2]を235℃で3時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素量は元素分
析の結果、重合体1kgに対し100mg以下であっ
た。数平均分子量は26500、分子量分布は1.36
であった。
【0175】(製造例3)1,7−オクタジエンによる
γ−ブロモエステル構造への変換2 (アクリル酸エステルの重合:共重合)還流管および攪
拌機付きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr
(9.0g、62.8mmol)を仕込み、反応容器内
を窒素置換した。アセトニトリル(103mL)を加
え、オイルバス中70℃で30分間攪拌した。これにア
クリル酸n−ブチル(54g)、アクリル酸エチル(7
7g)、アクリル酸2−メトキシエチル(63g)、
2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(17.6g、4
8.8mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン
(0.44mL、0.36g、2.1mmol)(これ
以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70
℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(215
g)、アクリル酸エチル(308g)、アクリル酸2−
メトキシエチル(253g)の混合物を連続的に滴下し
た。モノマーの滴下途中にトリアミンを追加した。
【0176】(1,7−オクタジエンとの反応)モノマ
ー反応率が97%に達した時点で残モノマー、アセトニ
トリルを70℃で脱揮し、1,7−オクタジエン(30
9mL、230g、2.09mol)、アセトニトリル
(309mL)を加え、トリアミンを追加し、引き続き
70℃で加熱攪拌した。
【0177】1,7−オクタジエン添加直前におけるビ
ニル系重合体1kg当たりに存在する一般式(C)で表
される基の量は101mmolであった。前記の一般式
(C)で表される基の量の値及びGPCで求められる数
平均分子量値16200を用いて重合体1分子当たりに
存在する一般式(C)で表される基の平均の数を算出す
ると1.6個であった。1,7−オクタジエン添加後、
反応終了時における一般式(C)で表される基の残量は
重合体1kgに対して3.0mmol以下であった。前
記の一般式(C)で表される基の残量の値及びGPCで
求められる数平均分子量値17100を用いて重合体1
分子当たりに存在する一般式(C)で表される基の平均
の数を算出すると0.06個以下であった。1,7−オ
クタジエンとの反応により得られるビニル系重合体は一
般式(C)で表される基を有するビニル系重合体と一般
式(D)で表される基を有するビニル系重合体との混合
物であった。一般式(C)で表される基と一般式(D)
で表される基の比を算出式に従い求めたところ0.03
以下であった。
【0178】(重合触媒の除去)反応混合物を加熱脱揮
し、トルエンに希釈し、混合物を活性アルミナのカラム
に通すことで重合触媒を除去した。重合体溶液を濃縮
し、重合体に対して100部のトルエンに溶解させ、吸
着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワー
ド700SL 2部:共に協和化学(株)製)を加え、
酸素存在下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶
液を濃縮することで目的とする重合体(重合体[3])
を得た。
【0179】(重合体の物性値)重合体[3]の数平均
分子量は17500、分子量分布は1.15であった。
重合体[3]中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重
合体1kgに対し4800mgであった。
【0180】(比較例2)共重合体の脱ハロゲン化処理
1:130℃での処理 製造例3で得られた重合体[3]を130℃で6時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
エステル共重合体を得た。重合体中に含まれる臭素量は
元素分析の結果、重合体1kgに対し3500mgであ
った。数平均分子量は17500、分子量分布は1.1
5であった。
【0181】(実施例5)共重合体の脱ハロゲン化処理
3:180℃での処理 実施例3で得られた重合体[3]を180℃で6時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
エステル共重合体を得た。重合体中に含まれる臭素量は
元素分析の結果、重合体1kgに対し470mgであっ
た。数平均分子量は17600、分子量分布は1.15
であった。
【0182】(製造例4)1,7−オクタジエンによる
γ−ブロモエステル構造への変換2−2 製造例3と同様の操作(アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルの重合、
1,7−オクタジエンとの反応、重合触媒の除去)を行
い、目的とする重合体(重合体[4])を得た。
【0183】(重合体の物性値)重合体[4]の数平均
分子量は17400、分子量分布は1.16であった。
重合体[4]中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重
合体1kgに対し3100mgであった。重合体1分子
当たりに導入されたエチレン性不飽和基の数は1.8個
であった。
【0184】(実施例6)共重合体の脱ハロゲン化処理
4:200℃での処理 製造例4で得られた重合体[4]を200℃で3時間加
熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリアクリル酸
エステル共重合体を得た。重合体中に含まれる臭素量は
元素分析の結果、重合体1kgに対し190mgであっ
た。数平均分子量は17700、分子量分布は1.19
であった。
【0185】(実施例7)180℃、密閉下での脱ハロ
ゲン化処理 製造例1で得られた重合体[1]を180℃で12時間
加熱(密閉系)した。重合体を120℃で2時間加熱脱
揮し、遊離した臭素化合物を留去することにより臭素量
が低減されたエチレン性不飽和基含有重合体を得た。重
合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1k
gに対し820mgであった。
【0186】(実施例8)180℃、減圧度100To
rrでの脱ハロゲン化処理 製造例4で得られた重合体[4]を180℃で12時間
加熱脱揮(減圧度100Torr)することにより臭素
量が低減されたエチレン性不飽和基含有共重合体を得
た。重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合
体1kgに対し540mgであった。
【0187】(実施例9)吸着剤存在下での脱ハロゲン
化処理 製造例2で得られた重合体[2](100部)、吸着剤
13部(キョーワード500SH 3部/キョーワード
700SL 10部:共に協和化学(株)製)を混合
し、空気雰囲気下150℃で5時間加熱した。重合体を
トルエンで希釈し、固形分を除去した後、濃縮すること
により臭素量が低減されたエチレン性不飽和基含有ポリ
アクリル酸n−ブチルを得た。重合体中に含まれる臭素
量は元素分析の結果、重合体1kgに対し800mgで
あった。
【0188】(実施例10)重合体への加水分解性シリ
ル基の導入1(235℃処理品) 実施例4で得られた重合体、ジメトキシメチルシラン
(エチレン性不飽和基に対して3モル当量)、オルトギ
酸メチル(エチレン性不飽和基に対して3モル当量)、
白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−
テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のキシレン溶
液:以下白金触媒という](白金として重合体1kgに
対して10mg)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で1
時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消失したこと
を確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシ
リル基含有重合体を得た。数平均分子量は26600、
分子量分布は1.41であった。メトキシシリル基含有
重合体の貯蔵安定性試験の結果、粘度変化率は10%で
あり、良好な貯蔵安定性を示した。
【0189】(実施例11)ビニル系重合体への加水分
解性シリル基の導入2(180℃処理品) (脱ハロゲン化処理)製造例2で得られた重合体[2]
を180℃で12時間加熱脱揮(減圧度10torr以
下)することにより臭素量が低減されたエチレン性不飽
和基含有重合体を得た。
【0190】(重合体の精製)上記重合体100部、吸
着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワー
ド700SL 3部:共に協和化学(株)製)、キシレ
ン100部を混合し、空気雰囲気下、130℃で5時間
加熱攪拌した。トルエンで希釈し、固形分を除去した
後、溶液を濃縮して重合体を得た。
【0191】(ヒドロシリル化)上記重合体、ジメトキ
シメチルシラン(エチレン性不飽和基に対して3モル当
量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽和基に対して
3モル当量)、白金触媒(白金として重合体1kgに対
して10mg)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で3時
間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消失したことを
確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリ
ル基含有重合体を得た。数平均分子量は27000、分
子量分布は1.40であった。重合体1分子当たりに導
入されたシリル基の数は1.8個であった。メトキシシ
リル基含有重合体の貯蔵安定性試験の結果、80℃、7
日間での粘度変化率は10%であり、良好な貯蔵安定性
を示した。
【0192】(比較例3) (脱ハロゲン化処理:酢酸Kによる置換反応)製造例2
で得られた重合体[2](100部)、酢酸カリウム
(1.7部)、N,N−ジメチル酢酸アミド(100
部)を仕込み、窒素気流下100℃で8時間加熱攪拌し
た。減圧留去によりN,N−ジメチル酢酸アミドを除去
し、混合物を得た。重合体中に残存するBr基はBr量
として重合体1kgに対して100mg以下であった。
【0193】(重合体精製)上記混合物、吸着剤10部
(重合体100部に対してキョーワード500SH5
部、キョーワード700SL 5部:共に協和化学
(株)製)を混合し、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、1
50℃で5時間加熱攪拌した。不溶な固体分(KBrお
よび余剰な酢酸カリウム)を除去し、濃縮して重合体を
得た。
【0194】(ヒドロシリル化)精製された重合体、ジ
メトキシメチルシラン(エチレン性不飽和基に対して3
モル当量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽和基に
対して3モル当量)、白金触媒(白金として重合体1k
gに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、80℃
で1時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消失した
ことを確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキ
シシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は2860
0、分子量分布は1.45であった。メトキシシリル基
含有重合体の貯蔵安定性試験の結果、3日間80℃加熱
保管によりゲル化した。非常に貯蔵安定性の悪い重合体
であった。
【0195】(比較例4) (重合体再精製)比較例3で精製された重合体(100
部)、吸着剤30部(キョーワード500SH 20
部、キョーワード700SL 10部:共に協和化学
(株)製)を混合し、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、1
50℃で5時間加熱攪拌した。不溶な固体分(KBrお
よび余剰な酢酸カリウム)を除去し、濃縮して重合体を
得た。
【0196】(ヒドロシリル化)再精製された重合体、
ジメトキシメチルシラン(エチレン性不飽和基に対して
3モル当量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽和基
に対して3モル当量)、白金触媒(白金として重合体1
kgに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、80
℃で1時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消失し
たことを確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメト
キシシリル基含有重合体を得た。メトキシシリル基含有
重合体の貯蔵安定性試験の結果、80℃、7日間におけ
る粘度変化率は11%であった。貯蔵安定性を改善する
ためには大量の吸着剤での精製が必要であった。
【0197】(実施例12)ビニル系重合体への加水分
解性シリル基の導入3(共重合、180℃) (脱ハロゲン化処理)製造例4で得られた重合体[4]
を180℃で12時間加熱脱揮(減圧度20torr以
下)した。脱ハロゲン化処理後の重合体に残存する臭素
量は重合体1kgに対して390mgであった。
【0198】(重合体精製)重合体(100部)をトル
エン(100部)に溶解させ、吸着剤6部(キョーワー
ド500SH 3部/キョーワード700SL 3部:
共に協和化学(株)製)、ヒンダードフェノール系酸化
防止剤(Irganox1010;チバスペシャリティ
ケミカルズ0.1部)を加えて、酸素・窒素混合ガス雰
囲気下、130℃で5時間加熱攪拌した。不溶分を除去
後、溶液を濃縮することによりエチレン性不飽和基含有
重合体を得た。
【0199】(ヒドロシリル化)上記の精製された重合
体、ジメトキシメチルシラン(エチレン性不飽和基に対
して3モル当量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽
和基に対して3モル当量)、白金触媒(白金として重合
体1kgに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、
80℃で1時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消
失したことを確認し、反応混合物を濃縮して目的とする
メトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は1
8600、分子量分布は1.22であった。重合体1分
子当たりに導入されたシリル基の数は1.7個であっ
た。メトキシシリル基含有重合体の貯蔵安定性試験の結
果、80℃、7日間における粘度変化率は18%であっ
て良好な貯蔵安定性を示した。
【0200】(実施例13)ビニル系重合体への加水分
解性シリル基の導入4(共重合、180℃) (重合体精製)実施例8で脱ハロゲン化されたエチレン
性不飽和基含有共重合体(100部)にヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤(Irganox1010;チバス
ペシャリティケミカルズ0.1部)、吸着剤6部(キョ
ーワード500SH 3部/キョーワード700SL
3部:共に協和化学(株)製)を加えて、空気雰囲気
下、130℃で5時間加熱攪拌した。トルエンで希釈
し、不溶分を除去後、溶液を濃縮することによりエチレ
ン性不飽和基含有重合体を得た。
【0201】(ヒドロシリル化)上記の精製された重合
体、ジメトキシメチルシラン(エチレン性不飽和基に対
して3モル当量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽
和基に対して3モル当量)、白金触媒(白金として重合
体1kgに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、
80℃で1時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消
失したことを確認し、反応混合物を濃縮して目的とする
メトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は1
9000、分子量分布は1.23であった。
【0202】(実施例14) (エチレン性不飽和基含有重合体合成:重合、ハロゲン
変換、脱ハロゲン化反応) 製造例1と同様の操作(アクリル酸n−ブチルの重合、
1,7−オクタジエンとの反応)を行い、反応混合物を
得た。反応混合物を加熱脱揮した。重合体100部に対
して100部のメチルシクロヘキサンで希釈し、重合体
100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH
2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学
(株)製)を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、15
0℃で加熱攪拌した。不溶分を除去し、溶液を濃縮後、
180℃で12時間加熱脱揮(減圧度20Torr以
下)することによりエチレン性不飽和基含有重合体を得
た。
【0203】(重合体精製)エチレン性不飽和基含有重
合体(100部)にヒンダードフェノール系酸化防止剤
(Irganox1010;チバスペシャリティケミカ
ルズ0.05部)、吸着剤6部(キョーワード500S
H 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化
学(株)製)を加えて、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、
130℃で5時間加熱攪拌した。不溶分を除去後、溶液
を濃縮して重合体を得た。
【0204】(ヒドロシリル化)精製された重合体、ジ
メトキシメチルシラン(エチレン性不飽和基に対して3
モル当量)、オルトギ酸メチル(エチレン性不飽和基に
対して3モル当量)、白金触媒(白金として重合体1k
gに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、80℃
で1時間加熱攪拌した。エチレン性不飽和基が消失した
ことを確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキ
シシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は2560
0、分子量分布は1.35であった。メトキシシリル基
含有重合体の貯蔵安定性試験の結果、80℃、7日間で
の粘度変化率は7%であって良好な貯蔵安定性を示し
た。
【0205】(実施例15)硬化性組成物1 実施例4で脱ハロゲン化処理された重合体100部、鎖
状シロキサン(分子中に平均5個のヒドロシリル基と平
均5個の置換基[−CH−CH(CH)−C
]を含有し、Si−H基量は3.70mmol/
gである)3.3部を混合した。この混合物に対し、白
金触媒(白金としてエチレン性不飽和基に対して10
−4〜10−3モル当量)を加え、均一混合し、130
℃に加熱すると、速やかに硬化して、ゴム状の硬化物が
得られた。
【0206】(実施例16)硬化性組成物1−2 実施例11で精製された重合体100部、鎖状シロキサ
ン(分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個の置
換基[−CH−CH(CH)−C]を含有
し、Si−H基量は3.70mmol/gである)3.
3部を混合した。この混合物に対し、白金触媒(白金と
してエチレン性不飽和基に対して10−4〜10−3
ル当量)を加え、均一混合し、130℃に加熱すると、
速やかに硬化して、ゴム状の硬化物が得られた。
【0207】(実施例17)硬化性組成物2 実施例10で得られたメトキシシリル基含有重合体10
0部、炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業製)1
50部とDOP(ジオクチルフタレート:協和醗酵製)
50部を混合し、更に3本ペイントロールを用いて充分
混合した後、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセ
トナート)を用いて、室内で2日、その後50℃で3日
硬化養生させ、シート状の硬化物を得た。硬化物の引張
物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引
張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベ
ル試験片)を評価した。破断強度は0.92MPa、破
断伸びは450%であった。
【0208】(実施例18)硬化性組成物2−2 実施例14で得られたメトキシシリル基含有重合体10
0部、炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業製)1
50部とDOP(ジオクチルフタレート:協和醗酵製)
50部を混合し、更に3本ペイントロールを用いて充分
混合した後、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセ
トナート)を用いて、室内で2日、その後50℃で3日
硬化養生させ、シート状の硬化物を得た。硬化物の引張
物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引
張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベ
ル試験片)を評価した。破断強度は0.96MPa、破
断伸びは420%であった。
【0209】(実施例19)硬化性組成物2−3 実施例12で得られたメトキシシリル基含有重合体10
0部、炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業製)1
50部とDOP(ジオクチルフタレート:協和醗酵製)
50部を混合し、更に3本ペイントロールを用いて充分
混合した後、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセ
トナート)を用いて、室内で2日、その後50℃で3日
硬化養生させ、シート状の硬化物を得た。硬化物の引張
物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引
張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベ
ル試験片)を評価した。破断強度は0.96MPa、破
断伸びは256%であった。
【0210】(製造例5) (アクリル酸n−ブチルの重合)攪拌機付き反応槽にC
uBr(4.2部)、アセトニトリル(27.3部)を
加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これ
にアクリル酸n−ブチル(100部)、2、5−ジブロ
モアジピン酸ジエチル(8.8部)、アセトニトリル
(16.6部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメ
チルジエチレントリアミン(0.17部)を添加し、重
合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル
酸n−ブチル(400部)を連続的に滴下した。アクリ
ル酸n−ブチルの滴下途中にトリアミン(0.68部)
を分割添加した。
【0211】(ビニル系重合体へのアルケニル基導入反
応)モノマー反応率が96%に達した時点で残モノマ
ー、アセトニトリルを80℃で脱揮した後、1,7−オ
クタジエン(53.7部)、アセトニトリル(132
部)、トリアミン(1.69部)を添加し、引き続き7
0℃で加熱攪拌し、アルケニル基を有する重合体を含有
する混合物を得た。
【0212】(重合触媒の粗取り除去)混合物中のアセ
トニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮
し、メチルシクロヘキサンで希釈した。不溶な重合触媒
を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体100部に対
して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョ
ーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を
重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素
混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重
合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体
(重合体[5])を得た。
【0213】重合体[5]の数平均分子量は2470
0、分子量分布は1.32であった。重合体[5]中に
含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し
3400mgであった。重合体1分子当たりに導入され
たアルケニル基の数は1.7個であった。
【0214】(比較例5) (ヒドロシリル化活性の評価)製造例5で得られた重合
体[5]100部、分子内に平均10個のヒドロシリル
基を有する鎖状シロキサンのヒドロシリル基の一部をα
−メチルスチレンと反応させて変性された分子内に平均
5個のヒドロシリル基を有する鎖状シロキサン(Si−
H基量3.70mmol/g)3.3部を混合した。こ
の混合物に対し、白金触媒を添加し、均一混合して13
0℃に加熱した。ゲル化時間が30秒である白金触媒量
は白金換算でアルケニル基に対して5×10−3当量で
あった。結果を表1に示す。
【0215】(比較例6) (不溶成分の除去工程のみ)製造例5で得られた重合体
[5]100部をトルエン400部で希釈した。溶液を
セライト層に通して不溶成分を濾過した。濾液を濃縮し
て重合体を得た。(ヒドロシリル化活性の評価)得られ
た重合体に対して比較例5と同様にしてヒドロシリル化
活性の評価を行った。
【0216】(実施例20) (脱ハロゲン化工程)製造例5で得られた重合体[5]
を180℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度1
0torr以下)した。重合体中に含まれる臭素量は元
素分析の結果、重合体1kgに対し260mgであっ
た。
【0217】(不溶成分の分離除去工程)上記工程で得
られた重合体100部をトルエン400部で希釈した。
溶液をセライト層に通して不溶成分を濾過した。濾液を
濃縮して重合体を得た。
【0218】(ヒドロシリル化活性の評価)得られた重
合体に対して比較例5と同様にしてヒドロシリル化活性
の評価を行った。脱ハロゲン化工程の処理を行って得ら
れた重合体においては、ゲル化時間が30秒になるとき
の白金触媒量は白金換算でアルケニル基に対して9×1
−4当量であった。さらに不溶成分の分離除去工程の
処理を行って得られた重合体においては、ゲル化時間が
30秒になるときの白金触媒量は白金換算でアルケニル
基に対して2×10−4当量であった。結果を表1に示
す。
【0219】(実施例21) (脱ハロゲン化工程)製造例5で得られた重合体[5]
を200℃で3時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10
torr以下)した。重合体中に含まれる臭素量は元素
分析の結果、重合体1kgに対し280mgであった。 (不溶成分の分離除去工程)上記工程で得られた重合体
100部をトルエン400部で希釈した。溶液をセライ
ト層に通して不溶成分を濾過した。濾液を濃縮して重合
体を得た。
【0220】(ヒドロシリル化活性の評価)脱ハロゲン
化工程及び不溶成分の分離除去工程の処理を行って得ら
れた重合体に対して比較例5と同様にしてヒドロシリル
化活性の評価を行った。脱ハロゲン化工程の処理を行っ
て得られた重合体においては、ゲル化時間が30秒にな
るときの白金触媒量は白金換算でアルケニル基に対して
9×10−4当量であった。さらに不溶成分の分離除去
工程の処理を行って得られた重合体においては、ゲル化
時間が30秒になるときの白金触媒量は白金換算でアル
ケニル基に対して1×10−4当量であった。結果を表
1に示す。
【0221】(実施例22) (脱ハロゲン化工程)製造例5で得られた重合体[5]
を235℃で3時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10
torr以下)した。重合体中に含まれる臭素量は元素
分析の結果、重合体1kgに対し100mg以下であっ
た。 (不溶成分の分離除去工程)上記工程で得られた重合体
100部をトルエン400部で希釈した。溶液をセライ
ト層に通して不溶成分を濾過した。濾液を濃縮して重合
体を得た。
【0222】(ヒドロシリル化活性の評価)脱ハロゲン
化工程及び不溶成分の分離除去工程の処理を行って得ら
れた重合体に対して比較例5と同様にしてヒドロシリル
化活性の評価を行った。脱ハロゲン化工程の処理を行っ
て得られた重合体においては、ゲル化時間が30秒にな
るときの白金触媒量は白金換算でアルケニル基に対して
2×10−4当量であった。さらに不溶成分の分離除去
工程の処理を行って得られた重合体においては、ゲル化
時間が30秒になるときの白金触媒量は白金換算でアル
ケニル基に対して1×10−4当量であった。結果を表
1に示す。
【0223】
【表1】
【0224】表1中の白金量は、ゲル化時間が30秒に
なるときの白金換算でのアルケニル基に対しての白金触
媒量であり、例えば表中の『5.0E−03』は『5.
0×10−3当量』を意味する。
【0225】(実施例23) (ヒドロシリル化:メトキシシリル基を有する重合体の
合成)実施例20の後処理(工程1及び工程2の処理)
を行って得られた重合体、ジメトキシメチルシラン(ア
ルケニル基に対して3モル当量)、オルトギ酸メチル
(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金
として重合体1kgに対して10mg)を混合し、窒素
雰囲気下、80℃で0.5時間加熱攪拌した。アルケニ
ル基が反応により消失したことをH−NMRで確認
し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基
含有重合体を得た。数平均分子量は28600、分子量
分布は1.45であった。重合体1分子当たりに導入さ
れたシリル基の数は1.9個であった。
【0226】(製造例6)製造例1と同様の操作(アク
リル酸n−ブチルの重合、1,7−オクタジエンとの反
応)を行い、反応混合物を得た。反応混合物を加熱脱揮
した。重合体100部に対して100部のメチルシクロ
ヘキサンで希釈し、重合体100部に対して吸着剤1部
(キョーワード500SH 0.5部/キョーワード7
00SL 0.5部:共に協和化学(株)製)、ろ過助
剤1部を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、100℃
で加熱攪拌した。不溶分を除去し、溶液を100℃で濃
縮し、重合体[6]を得た。重合体[6]の数平均分子
量は26000、分子量分布は1.28であった。
【0227】(実施例24)製造例6で得られた重合体
[6]を180℃で減圧下、12時間加熱し、脱ハロゲ
ン化処理を行ったところ、分子量の増大が観測され、分
子量分布が広くなった(分子量分布1.44)。得られ
た重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体
1kgに対し950mgであった。
【0228】(実施例25)製造例6で得られた重合体
[6]を、炭素ラジカル捕捉剤として重合体100部に
対してスミライザーGS(住友化学(株)製)0.1部
存在下で180℃で減圧下、12時間加熱し、脱ハロゲ
ン化処理を行ったところ、数平均分子量26100、分
子量分布1.32の重合体が得られた。炭素ラジカル捕
捉剤なし(実施例24)では脱ハロゲン化処理時に分子
量が増大し、分子量分布が広くなったが、ラジカル捕捉
剤存在下で脱ハロゲン化処理を行うと分子量の増大を抑
制することができた。得られた重合体中に含まれる臭素
量は元素分析の結果、重合体1kgに対し190mgで
あった。
【0229】(製造例7)製造例3と同様の操作(アク
リル酸エステルの重合、1,7−オクタジエンとの反
応)を行い、反応混合物を得た。反応混合物を加熱脱揮
した。重合体100部に対して100部のメチルシクロ
ヘキサンで希釈し、重合体100部に対して吸着剤1部
(キョーワード500SH 0.5部/キョーワード7
00SL 0.5部:共に協和化学(株)製)、ろ過助
剤1部を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、100℃
で加熱攪拌した。不溶分を除去し、溶液を100℃で濃
縮し、重合体[7]を得た。重合体[7]の数平均分子
量は17400、分子量分布は1.13であった。
【0230】(実施例26)製造例7で得られた重合体
[7]を、重合体100部に対して吸着剤2部(キョー
ワード500SH 1部/キョーワード700SL 1
部:共に協和化学(株)製)存在下で180℃で減圧
下、12時間加熱し、脱ハロゲン化処理を行ったとこ
ろ、分子量の増大が観測され、分子量分布が広くなった
(数平均分子量19000、分子量分布1.36)。得
られた重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重
合体1kgに対し410mgであった。
【0231】(実施例27)製造例7で得られた重合体
[7]を、炭素ラジカル捕捉剤として重合体100部に
対してスミライザーGS(住友化学(株)製)0.1部
添加し、重合体100部に対して吸着剤2部(キョーワ
ード500SH 1部/キョーワード700SL 1
部:共に協和化学(株)製)存在下で180℃で減圧
下、12時間加熱し、脱ハロゲン化処理を行ったとこ
ろ、数平均分子量17600、分子量分布1.14の重
合体が得られた。炭素ラジカル捕捉剤なし(実施例2
6)では脱ハロゲン化処理時に分子量が増大し、分子量
分布が広くなったが、ラジカル捕捉剤存在下で脱ハロゲ
ン化処理を行うと分子量の増大を抑制することができ
た。得られた重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結
果、重合体1kgに対し360mgであった。
【0232】
【発明の効果】本発明によれば、原子移動ラジカル重合
を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体のハ
ロゲン含量を、簡便な操作で経済的に低減することがで
きる。これにより、重合体自身、あるいは、該重合体を
含有する硬化性組成物の貯蔵安定性を改善したり、反応
装置や該重合体と接触する各種材料の腐食を防止するこ
とができる。特に、架橋性シリル基を有する重合体の貯
蔵安定性が大きく改善できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/88 G01N 24/00 C (72)発明者 竹田 正直 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 田中 航介 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 中川 佳樹 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 萩森 茂 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 古川 直樹 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 大野 重樹 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 藤田 直 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪工場内 Fターム(参考) 4J100 AL03P BA71H CA01 CA04 CA31 DA01 FA04 HA17 HA25 HA35 HA61 HC01 HC79 HE14

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
    合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体を
    140℃以上250℃以下の温度で加熱することで脱ハ
    ロゲン化を行うことを特徴とする、1kg中のハロゲン
    原子の量が1,000mg以下であるビニル系重合体を
    製造する方法。
  2. 【請求項2】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
    合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体に
    おいて分子内環化反応を進行させることで脱ハロゲン化
    を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子内環化反応によりラクトン環を形成
    させることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
    合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体か
    ら有機ハロゲン化物を脱離させることで脱ハロゲン化を
    行うことを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱を、無機系吸着剤の存在下で行うこ
    とを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 加熱を、減圧下で行うことを特徴とする
    請求項1から5いずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱を、酸素ラジカル捕捉剤及び/又は
    炭素ラジカル捕捉剤の存在下で行うことを特徴とする請
    求項1から6いずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
    合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が、一般式(B)で表される基を有するものである請求
    項1から7いずれかに記載の製造方法。 −C(R)(R)−CH−CH(X)− (B) (式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性
    不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ
    素を示す。)
  9. 【請求項9】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重
    合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が、一般式(D)で表される基を有するものである請求
    項1から8いずれかに記載の製造方法。 −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。R52は水素原子、水酸基又は有機基を示す。
    53は水素原子、水酸基又は有機基を示す。)
  10. 【請求項10】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が、一般式(C)で表される基を有するビニル系重合体
    と一般式(D)で表される基を有するビニル系重合体の
    混合物であり、当該混合物中の〔一般式(C)で表され
    る基のモル数〕/〔一般式(D)で表される基のモル
    数〕が、0.01以上0.2以下であることを特徴とす
    る請求項1から9いずれかに記載の製造方法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。) −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。R52は水素原子、水酸基又は有機基を示す。
    53は水素原子、水酸基又は有機基を示す。)
  11. 【請求項11】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が、一般式(C)で表される基を有するビニル系重合体
    と一般式(D)で表される基を有するビニル系重合体の
    混合物であり、当該混合物1kg中の一般式(C)で表
    される基の含有量が0.1mmol以上10mmol以
    下であることを特徴とする請求項1から10いずれかに
    記載の製造方法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。) −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。R52は水素原子、水酸基又は有機基を示す。
    53は水素原子、水酸基又は有機基を示す。)
  12. 【請求項12】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    は、ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合により製
    造される末端にハロゲンを有するビニル系重合体と、分
    子内に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を
    反応させることにより、ビニル系重合体の末端の構造を
    γ−ハロカルボン酸構造、γ−ハロカルボン酸塩構造又
    はγ−ハロエステル構造に変換したものであることを特
    徴とする請求項1から11いずれかに記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    は、ビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合により製
    造される末端に一般式(C)で表される基を有するビニ
    ル系重合体と、分子内に1つ以上のエチレン性不飽和基
    を有する化合物を反応させることにより、ビニル系重合
    体の末端の構造を一般式(D)で表される基に変換した
    ものであることを特徴とする請求項1から12いずれか
    に記載の製造方法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。) −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。R52は水素原子、水酸基又は有機基を示す。
    53は水素原子、水酸基又は有機基を示す。)
  14. 【請求項14】 分子内に1つ以上のエチレン性不飽和
    基を有する化合物が非共役ジエンであることを特徴とす
    る請求項12又は13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請
    求項1から14いずれかに記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    が、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基又は1個以
    上の水酸基を有するものであることを特徴とする請求項
    1から15いずれかに記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    の数平均分子量が1,000以上100,000以下で
    あることを特徴とする請求項1から16いずれかに記載
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 ビニル系モノマーの原子移動ラジカル
    重合を利用して製造されるハロゲン含有ビニル系重合体
    の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.
    05以上1.50以下であることを特徴とする請求項1
    から17いずれかに記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 脱ハロゲン化工程を行って得られたビ
    ニル系重合体に含まれる不溶成分を分離除去する工程を
    さらに含む請求項1から18いずれかに記載の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 不溶成分の分離除去を、濾過法及び/
    又は沈降法による固液分離法によって行うことを特徴と
    する請求項19記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 不溶成分の分離除去を、濾過助剤を使
    用する濾過法による固液分離法によって行うことを特徴
    とする請求項19又は20記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1から21いずれかに記載の製
    造方法により得られるビニル系重合体。
  23. 【請求項23】 数平均分子量が1,000以上10
    0,000以下であることを特徴とする請求項22記載
    のビニル系重合体。
  24. 【請求項24】 分子量分布(重量平均分子量/数平均
    分子量)が1.05以上1.50以下であることを特徴
    とする請求項22又は23記載のビニル系重合体。
  25. 【請求項25】 分子内にエチレン性不飽和基を有する
    ことを特徴とする請求項22から24いずれかに記載の
    ビニル系重合体。
  26. 【請求項26】 請求項22から25いずれかに記載の
    ビニル系重合体を含有するヒドロシリル化反応性硬化性
    組成物。
  27. 【請求項27】 請求項25記載のビニル系重合体のエ
    チレン性不飽和基にヒドロシリル基含有化合物を反応さ
    せることにより得られる、分子内にシリル基を有するビ
    ニル系重合体。
  28. 【請求項28】 数平均分子量が1,000以上10
    0,000以下であることを特徴とする請求項27に記
    載の分子内にシリル基を有するビニル系重合体。
  29. 【請求項29】 分子量分布(重量平均分子量/数平均
    分子量)が1.05以上1.50以下であることを特徴
    とする請求項27又は28記載の分子内にシリル基を有
    するビニル系重合体。
  30. 【請求項30】 貯蔵安定性が改善された請求項27か
    ら29いずれかに記載の分子内にシリル基を有するビニ
    ル系重合体。
  31. 【請求項31】 請求項27から30いずれかに記載の
    分子内にシリル基を有するビニル系重合体を含有する硬
    化性組成物。
  32. 【請求項32】 原子移動ラジカル重合により得られる
    ビニル系重合体中の一般式(C)で表される基のハロゲ
    ンを、分析機器で検出可能な基を有するカルボン酸塩に
    より置換した後、上記検出可能な基を分析機器で定量す
    ることを特徴とする、上記ビニル系重合体1分子当たり
    に存在する一般式(C)で表される基の個数の定量方
    法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。)
  33. 【請求項33】 原子移動ラジカル重合により得られる
    ビニル系重合体中の一般式(C)で表される基のハロゲ
    ンを、分析機器で検出可能な基を有するカルボン酸塩に
    より置換した後、上記検出可能な基を分析機器で定量す
    ることを特徴とする、上記ビニル系重合体単位重量当た
    りに存在する一般式(C)で表される基の量の定量方
    法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。)
  34. 【請求項34】 一般式(C)で表される基を有するビ
    ニル系重合体と一般式(D)で表される基を有するビニ
    ル系重合体の混合物中の一般式(C)で表される基を定
    量することを特徴とする請求項32又は33記載の定量
    方法。 −C(R50)(CO51)−X (C) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。) −C(R50)(CO51)−CH−CH(X)−CH(R52)−R (D) (式中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。R50は水
    素原子又は炭素数1〜10の有機基を示す。R51は水
    素原子、炭素数1〜20の有機基又はアルカリ金属原子
    を示す。R52は水素原子、水酸基又は有機基を示す。
    53は水素原子、水酸基又は有機基を示す。)
  35. 【請求項35】 2種以上の分析機器を併用することを
    特徴とする請求項32から34いずれかに記載の定量方
    法。
  36. 【請求項36】 核磁気共鳴分光法(NMR法)とゲル
    パーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)を
    併用することを特徴とする請求項32から35いずれか
    に記載の定量方法。
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