JP2015110688A - 多孔性フィルム、蓄電デバイス用セパレータおよび蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 孔構造の均一性に優れ、生産安定性および電池特性に優れる多孔性フィルムを提供すること。【解決手段】 ポリプロピレン樹脂および結晶化核剤を含む多孔性フィルムであって、多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃以上であり、かつ、多孔性フィルム中の結晶化核剤の最大サイズ(L1a)が8μm未満である多孔性フィルムとする。【選択図】 なし
Description
本発明は、孔構造の均一性に優れ、また生産安定性および電池特性に優れる多孔性フィルム、及び該多孔性フィルムを用いた蓄電デバイス用セパレータ、および該蓄電デバイス用セパレータを用いた蓄電デバイスに関する。
熱可塑性樹脂を用いた多孔性フィルムは、蓄電デバイスや電解コンデンサーのセパレータや各種分離膜、衣料、医療用途における透湿防水膜、フラットパネルディスプレイの反射板や感熱転写記録シートなど多岐に亘る用途への展開が検討されている。なかでも、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話、デジタルカメラなどのモバイル機器や、電気自動車、ハイブリッド車などに広く使用されているリチウムイオン電池用のセパレータとして、オレフィン系樹脂を用いた多孔性フィルムは好適である。
セパレータ用の多孔性フィルムにおいては、生産性に優れ低コストであることに加え、セパレータ抵抗が低く出力特性が高いこと、フィルムの剛性が高く、耐熱保護層などの機能層の塗工性および電池組立工程適性に優れていること、さらには、多孔性フィルムの耐熱性が高く、異常時に電池の温度が上昇しても安全性が確保されることなどの特性が求められる。しかし、機械特性や耐熱性を高くするためには、多孔性フィルムの厚みあたりの樹脂量を増やすことが必要となるが、厚みあたりの樹脂量が増加すると、多孔性フィルムの空孔率が低くなり、セパレータ抵抗が高くなるため、安全性、生産性、工程適性と出力特性とを同時に満たすことは困難であった。
オレフィン系樹脂からなるフィルムを多孔化する手法としては、さまざまな提案がなされており、大別すると湿式法と乾式法に分類することができる。湿式法とは、ポリエチレンやポリプロピレンをマトリックス樹脂とし、溶質として被抽出物を添加、混合してシート化し、その後被抽出物の良溶媒を用いて添加剤のみ抽出することでマトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法である(例えば、特許文献1参照)。該方法を用いると、溶媒を含有させることにより押出時の樹脂粘度を低下させることができ、高分子量の原料を使用することができることから、機械特性が向上するが、溶質の抽出工程や溶出溶媒の洗浄工程を含むため、生産性の向上が困難であった。
一方、乾式法としては、たとえば、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法)が提案されている(特許文献2)。該方法は、抽出、洗浄工程を必要としないため湿式法に比べ生産性に優れるが、一軸延伸であるため製品を広幅化しにくいことや、延伸速度を低くする必要があるため、更なる生産性向上が困難であった。また、一軸延伸であるため長手方向と幅方向との機械物性が大きく異なるため、幅方向の強度に劣るほか、長手方向に裂けやすいなどの問題があった。
他の乾式法としてはオレフィン系樹脂の結晶性を利用して二軸延伸によりフィルム中に空隙を形成させる方法も提案されている。例えば、結晶多形を示すポリプロピレンでは、α型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、所謂β晶法と呼ばれる方法が挙げられる。該手法を用いた多孔性フィルムについて、空孔率を低くし機械物性を改良する手法や(特許文献3)、空孔率を高めセパレータとした際の出力特性を改良する手法(特許文献4、5)が提案されているが、機械物性と出力特性の両立は困難であった。
また上記β晶法においては、延伸後のフィルムに多量の孔を形成させるため、延伸前の未延伸シートに選択的多量のβ晶を生成させる必要がある。このため、β晶法では特許文献3〜8に示されるような高活性の結晶化核剤(β晶核剤)が用いられている。しかし、このようなβ晶核剤は製膜時の押出工程で形状が変化してしまう場合があり、その結果、孔構造の均一性に劣り、製膜時の生産安定性が低下してしまったり、電池特性が悪化してしまうことがあった。
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、孔構造の均一性に優れ、生産安定性および電池特性に優れる多孔性フィルムを提供することにある。
上記した課題は、ポリプロプレン樹脂および結晶化核剤を含む多孔性フィルムであって、多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃以上であり、かつ、多孔性フィルム中の結晶化核剤の最大サイズ(以下、L1aという)が8μm未満である多孔性フィルムによって達成可能である。
本発明の多孔性フィルムは、孔構造の均一性にすぐれ、生産安定性および電池特性に優れるため、蓄電デバイス用のセパレータとして好適に使用することができる。
本発明の多孔性フィルムはポリプロピレン樹脂と結晶化核剤とを含んでいる。特に本発明の多孔性フィルムはポリプロピレン樹脂を主成分とすることが好ましい。ポリプロピレン樹脂を主成分とすることにより、蓄電デバイス用セパレータとして使用する際に電池の短絡を防ぐために必要な耐熱性を満足させやすくなる。ここで、ポリプロピレン樹脂を主成分とするとは、多孔性フィルム中のポリプロピレン樹脂の割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
本発明の多孔性フィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する孔(以下、貫通孔という)を有している。この貫通孔は、例えば二軸延伸によりフィルム中に形成することが好ましい。具体的な方法としては、β晶法を挙げることができ、これにより、均一物性、薄膜化を達成することができる。
ここで、β晶法とは、結晶構造としてβ晶を有するポリプロピレン樹脂のキャストシートを用い、該キャストシートを縦延伸することにより、β晶の結晶構造をα晶に転移させるとともに、製膜方向に配向したα晶のフィブリル状物を形成させ、そのフィブリル状物を横延伸工程において開裂させて網目構造を形成させることにより、貫通孔を有するフィルムを得る手法である。また、キャストシートとは、溶融したポリプロピレン樹脂をキャストドラム上でシート状に成型した、未延伸のシートを意味する。β晶法においては、多孔性フィルムの物性を向上させるために、ポリプロピレン樹脂に結晶化核剤を添加しβ晶形成能を高めることが好ましい。β晶形成能が高いことにより、α晶への結晶転移を起こす結晶構造の部分が多くなり、フィルム中に形成される空隙の数を増加させることができる。また、結晶化核剤を含む原料制御により、ポリプロピレン結晶の配向性、緻密性を向上させ、孔を均一かつ緻密に開孔させることにより、多孔性フィルムを蓄電デバイス用セパレータとして用いた際の電池抵抗の低減を達成することができる。また、開孔状態の均一性を向上させることにより、粗大孔を減少させ、弾性率や引張伸度などの機械物性を向上させることができる。これらのβ晶法における電池抵抗の低減と機械特性の向上は、後述する原料を用い、特定の製膜条件で製膜を行うことにより達成することができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成せしめるためには、多孔性フィルムのβ晶形成能が60%より大きいことが好ましい。65%より大きいことがより好ましく、70%より大きいことが特に好ましい。β晶形成能が60%以下の場合はβ晶量が少ないためα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、セパレータ抵抗に劣る場合がある。β晶形成能を60%より大きくする方法としては、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用する方法やβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤(β晶核剤)を用いる方法などが好ましい。
β晶形成能は、示差走査熱量測定により評価することができる。多孔性フィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計にて、窒素雰囲気下で室温から220℃まで40℃/分で昇温し、5分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度40℃/分で昇温した際に観測される融解ピークにについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能する。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行う。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
ただし、上記方法において、140〜160℃に頂点を有する融解ピークが存在するが、β晶の融解に起因するものか不明確な場合は、広角X線回折法で得られる回折ピークにおいてβ晶に起因する回折ピークの有無を確認し、上記融解ピークがβ晶に起因する回折ピークかどうかを判断する。
ただし、上記方法において、140〜160℃に頂点を有する融解ピークが存在するが、β晶の融解に起因するものか不明確な場合は、広角X線回折法で得られる回折ピークにおいてβ晶に起因する回折ピークの有無を確認し、上記融解ピークがβ晶に起因する回折ピークかどうかを判断する。
本発明で用いる結晶化核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、キナクリドン系顔料を挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を用いることが好ましい。また、結晶化核剤の含有量は使用する結晶化核剤によって異なるが、上記アミド系化合物を使用する場合には、ポリプロピレン組成物全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましく、0.22〜0.3質量%であれば特に好ましい。0.05質量%未満では、結晶化核剤としての能力が不十分となり、結晶化温度が低下したり、β晶の形成が不十分となる場合がある。その結果、多孔性フィルムの透気抵抗が悪化したり、表面開孔率や空孔率が低下し、電池抵抗が増大する場合がある。また、0.5質量%を超えると、結晶化核剤の凝集などによりフィルムに粗大ボイドが形成され、弾性率、突刺強度、引張強度などの機械強度が低下する場合がある。
本発明の多孔性フィルムにおいては、多孔性フィルム中に含まれる結晶化核剤の最大サイズ(以下、L1aと表記)が8μm未満である。ここで、本発明において結晶化核剤のサイズとは、結晶化核剤の最小包含円(外接円)の直径のことを意味し、結晶化核剤の最大サイズ(L1a)は、後述するように、多孔性フィルムを180℃のホットプレート上で2分間放置して溶融した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化したサンプルを、170〜180℃の加熱下で偏光顕微鏡で倍率500倍で観察することで得ることができる。170〜180℃に加熱した状態で偏光下で観察することで、ポリプロピレン結晶が溶融し、結晶化核剤をより鮮明に観察することができる。
多孔性フィルム中に最大サイズが8μm以上の結晶化核剤を含むと、多孔性フィルムが緻密な孔構造を形成できていない場合や、製膜の際に押出機での高精度濾過が困難となり多孔性フィルム中に異物が混入してしまう場合などがある。また最大サイズが8μm以上の大きな結晶化核剤や混入した異物の影響で製膜中にフィルムが破れてしまう場合もある。L1aの値は製膜安定性および均一な孔構造の観点から、5μm未満が好ましく、3μm未満がさらに好ましい。
多孔性フィルム中の結晶化核剤の最大サイズを8μm未満に制御する方法としては、多孔性フィルムを構成するための原料に結晶化核剤の成長抑制剤を添加する方法や、多孔性フィルムを構成するための原料の製造条件(以下、原料の製造条件と表記)を調整する方法などが挙げられるが、これら以外の方法を用いてもよい。具体的な方法の一つとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂と結晶化核剤を含むポリプロピレン原料(溶融混練によりポリプロプレン樹脂に結晶化核剤を練り込んだ原料)を二軸押出機にて200〜250℃の樹脂温度で再度溶融混練してチップ化し、得られたチップを用いて多孔性フィルムを製造する方法が挙げられる。再度溶融混練する際の樹脂温度は、より好ましくは210〜240℃、さらに好ましくは215〜245℃の範囲である。樹脂温度が250℃を超えると結晶化核剤が粗大化してしまう場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下したり、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。
本発明の多孔性フィルム中の結晶化核剤の最小サイズ(以下、L2aと表記)とL1aとは下記式(1)を満たすことが好ましい。
1.0 ≦ L1a/L2a < 5.0 ・・・(1)
ここで結晶化核剤の最小サイズ(L2a)は、実施例に詳細記載の通り、多孔性フィルムを180℃のホットプレート上で2分間放置して溶融した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化したサンプルを、170〜180℃の加熱下で偏光顕微鏡で倍率500倍で観察することで得ることができる。170〜180℃に加熱した状態で偏光下で観察することで、ポリプロピレン結晶が溶融し、結晶化核剤をより鮮明に観察することができる。
ここで結晶化核剤の最小サイズ(L2a)は、実施例に詳細記載の通り、多孔性フィルムを180℃のホットプレート上で2分間放置して溶融した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化したサンプルを、170〜180℃の加熱下で偏光顕微鏡で倍率500倍で観察することで得ることができる。170〜180℃に加熱した状態で偏光下で観察することで、ポリプロピレン結晶が溶融し、結晶化核剤をより鮮明に観察することができる。
結晶化核剤の最大サイズと最小サイズの比(L1a/L2a)が5.0以上であると、多孔性フィルム中の孔構造が不均一となり、製膜中にフィルムが破れてしまったり、機械特性の低下や電池特性の低下を招いてしまう場合がある。均一な孔構造形成の観点から、L1a/L2aの値はより好ましくは1.0以上3.0未満、さらに好ましくは1.0以上2.0未満である。L1a/L2aの値を1.0以上5.0未満に制御する方法としては、多孔性フィルムを構成するための原料に結晶化核剤の成長抑制剤を添加する方法や、原料の製造条件を調整する方法などが挙げられるが、これら以外の方法を用いてもよい。具体的な方法の一つとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂と結晶化核剤を含むポリプロピレン原料(溶融混練によりポリプロプレン樹脂に結晶化核剤を練り込んだ原料)を二軸押出機にて200〜250℃の樹脂温度で再度溶融混練してチップ化し、得られたチップを用いて多孔性フィルムを製造する方法が挙げられる。再度溶融混練する際のより好ましい樹脂温度は210〜240℃、さらに好ましい樹脂温度は215〜245℃である。樹脂温度が250℃を超えると結晶化核剤が粗大化してしまい、L1a/L2aが上記の好ましい範囲を満たさない場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下したり、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。
また、本発明の多孔性フィルムを230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(以下、L1bと表記)とL1aとは下記式(2)を満たすことが好ましい。
1.0 ≦ L1b/L1a < 2.0 ・・・(2)
本発明において、多孔性フィルムを230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(L1b)は、実施例に詳細記載の通り、多孔性フィルムを230℃のホットプレート上で1時間溶融加熱した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化したサンプルを、170〜180℃の加熱下で偏光顕微鏡で倍率500倍で観察することで得ることができる。170〜180℃に加熱した状態で偏光下で観察することで、ポリプロピレン結晶が溶融し、結晶化核剤をより鮮明に観察することができる。
本発明において、多孔性フィルムを230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(L1b)は、実施例に詳細記載の通り、多孔性フィルムを230℃のホットプレート上で1時間溶融加熱した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化したサンプルを、170〜180℃の加熱下で偏光顕微鏡で倍率500倍で観察することで得ることができる。170〜180℃に加熱した状態で偏光下で観察することで、ポリプロピレン結晶が溶融し、結晶化核剤をより鮮明に観察することができる。
L1b/L1aが2.0以上であるということは、多孔性フィルムの製膜時に原料チップ中の結晶化核剤が押出機内で粗大化している可能性を示唆している。すなわち原料チップ中の結晶化核剤に比べて多孔性フィルム中の結晶化核剤が粗大化していることを示唆する。多孔性フィルムを製膜する際に押出機の中で結晶化核剤が粗大化すると、異物濾過のためのフィルターで結晶化核剤が捕捉されて経時で押出機内の樹脂圧が上昇してしまい、生産中のフィルター交換サイクルが短くなってしまう場合がある。また、大きくなった結晶化核剤がフィルターを通過して製品フィルム中に混入してしまうと、孔構造の不均一性やフィルム破れなどを招いてしまう場合がある。このような観点から、前述の通り、L1bとL1aは上記式(2)を満たすことが好ましい。
L1bとL1aとが上記式(2)を満たすためには、多孔性フィルムを構成するための原料に結晶化核剤の成長抑制剤を添加する方法や、原料の製造条件を後述の範囲で調整する方法などが挙げられるが、これら以外の方法を用いてもよい。具体的な方法の一つとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂と結晶化核剤を含むポリプロピレン原料(溶融混練によりポリプロプレン樹脂に結晶化核剤を練り込んだ原料)を二軸押出機にて200〜250℃の樹脂温度で再度溶融混練してチップ化し、得られたチップを用いて多孔性フィルムを製造する方法が挙げられる。再度溶融混練する際のより好ましい樹脂温度は210〜240℃、さらに好ましい樹脂温度は215〜245℃である。樹脂温度が250℃を超えると原料チップ中の結晶化核剤が粗大化しやすい状態となり、L1bとL1aとが上記式(2)を満たさない場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下したり、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。
本発明の多孔性フィルムに用いるポリプロピレン樹脂は、主としてプロピレンの単独重合体を用いることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲でポリプロピレンと他の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体であってもよいし、プロピレンとプロピレン以外の単量体成分が共重合された重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン、(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、アクリル酸およびそれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
本発明の多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂には、押出成形性及び孔の均一形成の観点から、メルトフローレート(以下、MFRと表記する)が2〜30g/10分のアイソタクチックポリプロピレンを用いることが好ましい。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値である。本発明においては230℃、2.16kgで測定した値を指す。また、本発明の多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%であることが好ましく、95〜99%であることがより好ましい。アイソタクチクインデックスが90%未満の場合はポリプロピレン樹脂の結晶性が低くなり、多孔性フィルムの剛性などが低下する場合がある。
本発明の多孔性フィルムを構成するための原料は、二軸延伸時の空隙形成効率の向上や、孔の均一な開孔、孔径が拡大することによる透気性向上の観点から、ポリプロピレン樹脂を80〜99質量部とエチレン・α−オレフィン共重合体を20〜1質量部の質量比率とした混合物としてもよい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンを挙げることができ、中でも、オクテン−1を共重合した、融点が60〜90℃の共重合ポリエチレン樹脂(共重合PE樹脂)を好ましく用いることができる。この共重合ポリエチレンは市販されている樹脂、たとえば、ダウ・ケミカル製“Engage(エンゲージ)(登録商標)”(タイプ名:8411、8452、8100など)を挙げることができる。
上記共重合ポリエチレン樹脂は、多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%未満含有することが以下に記載する空孔率を好ましい範囲に制御することが容易となるので好ましい。フィルムの機械特性の観点からは0.1〜7質量%であればより好ましく、電池抵抗の観点からより好ましくは1〜7質量%である。
本発明の多孔性フィルムを構成するための原料は、孔構造を均一化し、フィブリルを微細化し、フィルム面内の熱収縮量のムラを低減する観点から、上述したエチレン・α−オレフィン共重合体に加え、分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体のポリプロピレン樹脂への分散性を高めることができるものであればよいが、国際公報第2007/046225号に記載の通り、ポリプロピレン樹脂とエチレン・α−オレフィン系共重合体の相溶性は良好であり、例えば一般にポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の相溶化剤として用いられるエチレン・プロピレンランダム共重合体は本実施の形態において孔構造均一化のための分散剤として機能しない。本実施の形態に好ましく用いられる分散剤としては、ポリプロピレンとの相溶性が高いセグメント(例えばポリプロピレンセグメント、エチレンブチレンセグメント)とポリエチレンとの相溶性が高いセグメント(ポリエチレンセグメントなど)を各々有するブロック共重合体が好ましい。このような構造を有する樹脂として、市販されている樹脂、例えばJSR社製オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(以下、CEBCと表記する)“DYNARON(ダイナロン)(登録商標)”(タイプ名:6100P、6200Pなど)や、ダウ・ケミカル社製オレフィンブロック共重合体“INFUSE OBC(登録商標)”を挙げることができる。分散剤の添加量としてはエチレン・α−オレフィン系共重合体100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜33質量部であることがより好ましい。また、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)のポリプロピレン樹脂(A)への分散性向上の観点および孔形成の均一性向上の観点から、分散剤(C)の融点は、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の融点より、0〜60℃高いことが好ましく、15〜30℃高いことがより好ましい。
本発明の多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、経済性などの観点から、本発明の特性を損なわない範囲で、本発明の多孔性フィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルム、その他の樹脂をブレンドしてもかまわない。
また、本発明の多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。
本発明の多孔性フィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、無機あるいは有機粒子からなる孔形成助剤を含有させることができる。孔形成助剤を使用する場合、含有量はポリプロピレン樹脂100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。5質量部を超えると、蓄電デバイス用セパレータとして使用した際に、脱落した粒子が電池性能の低下の原因となる場合があるほか、原料コストが高くなり、生産性が低下する場合がある。
本発明の多孔性フィルムの結晶化温度は129.0℃以上である。好ましくは129.5℃以上、より好ましくは130.0℃以上、さらに好ましくは130.5℃以上である。結晶化温度が129.0℃未満の場合は、製膜時に得られたキャストフィルム(延伸前のフィルム)中のβ晶分率が低くなり、透気抵抗が低下する場合がある。結晶化温度の上限は特に設けないが、工業的に実用化されているポリプロピレン樹脂において結晶化温度を140℃超にすることは実質的に困難であり、実質的な上限値は140℃である。多孔性フィルムの結晶化温度を129.0℃以上に制御する方法としては、アイソタクチクインデックスの高いポリプロピレン樹脂を用いる方法、結晶化核剤の添加濃度を前述の好ましい範囲とする方法、結晶化核剤の成長抑制剤を添加する方法、原料の製造条件を制御する方法などが挙げられるが、これら以外の方法を用いてもよい。具体的な方法の一つとしては、例えば、ポリプロプレン樹脂に結晶化核剤を練り込む際に280〜310℃の樹脂温度で溶融混練し、この際に得られたチップの製造時の流れ方向に対して直交する断面積(以下、チップの断面積という)を0.1〜3.0mm2とする方法が挙げられる。より好ましくは0.2〜2.5mm2、さらに好ましくは0.5〜2.0mm2、特に好ましくは0.5〜1.5mm2である。チップの断面積が3.0mm2を超えると多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃未満になってしまう場合がある。また、チップの断面積が0.1mm2より小さい場合、チップ製造時にストランドが切れやすくなったり、溶融混練時の吐出量を低くする必要があり、生産性が低下することがある。また、他の方法としては、ポリプロピレン樹脂と結晶化核剤を含むポリプロピレン原料(溶融混練によりポリプロプレン樹脂に結晶化核剤を練り込んだ原料)を二軸押出機にて200〜250℃の樹脂温度で再度溶融混練してチップ化し、得られたチップを用いて多孔性フィルムを製造する方法が挙げられる。再度溶融混練する際のより好ましい樹脂温度は210〜240℃、さらに好ましい樹脂温度は215〜245℃である。樹脂温度が250℃を超えると多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃未満となってしまう場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下したり、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。
本発明の多孔性フィルムは、表面開孔率(以下、Sと表記)と空孔率(以下、Pと表記)の関係が下記式(3)を満足し、S(%)の範囲が45%以上であることが好ましい。
0.30 < P/S < 1.00 ・・・(3)
P/Sの値は、0.40<P/S<1.00がより好ましく、さらに好ましくは0.50<P/S<1.00の範囲であり、0.60<P/S<0.90の範囲であることが特に好ましい。P/Sの値が0.30未満の場合は、表面リチウムイオン透過部の面積が過剰に大きくなり、電池抵抗が低くなるが、もれ電流が大きくなり、長期信頼性に関わる自己放電特性が低下する場合がある。また、1.00を超えるとリチウムイオン不透過部の割合が多く、もれ電流が小さくなり、長期信頼性に関わる自己放電特性が良化するが、電池のセパレータとして用いた際に電気抵抗が高くなり特に電気自動車、ハイブリッド車などの高出力を必要とする用途において課題となる場合がある。また、セパレータと電極との界面の面内抵抗が不均一となり、電析が起こり、電池寿命が低下する場合がある。これらの特性バランスを両立する範囲として、上記した0.30<P/S<1.00が好ましい。
P/Sの値は、0.40<P/S<1.00がより好ましく、さらに好ましくは0.50<P/S<1.00の範囲であり、0.60<P/S<0.90の範囲であることが特に好ましい。P/Sの値が0.30未満の場合は、表面リチウムイオン透過部の面積が過剰に大きくなり、電池抵抗が低くなるが、もれ電流が大きくなり、長期信頼性に関わる自己放電特性が低下する場合がある。また、1.00を超えるとリチウムイオン不透過部の割合が多く、もれ電流が小さくなり、長期信頼性に関わる自己放電特性が良化するが、電池のセパレータとして用いた際に電気抵抗が高くなり特に電気自動車、ハイブリッド車などの高出力を必要とする用途において課題となる場合がある。また、セパレータと電極との界面の面内抵抗が不均一となり、電析が起こり、電池寿命が低下する場合がある。これらの特性バランスを両立する範囲として、上記した0.30<P/S<1.00が好ましい。
式(3)を満足するフィルムを得る方法としては、原料中の結晶化核剤の添加量、結晶化温度を調整すること、エチレン・α−オレフィン系共重合体や分散剤を添加すること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御することができる。
S(%)の値は45%以上が好ましく、62%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。Sが45%未満では表面開孔性が不均一であり、セパレータと電極との界面の面内抵抗が不均一となり、電析が起こり、電池寿命が低下する場合がある。Sを45%以上にする方法としては原料中の結晶化核剤の添加量、結晶化温度を調整すること、エチレン・α−オレフィン系共重合体や分散剤を添加すること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御することができる。
なお、表面開孔率とは、充放電時の多孔性フィルム表面のリチウムイオン透過領域が全表面領域に占める割合を示し、倍率1,000倍の表面SEMを2値化処理することによって算出する。
本発明の多孔性フィルムは、電池特性と強度を両立させる観点から、Pの値は30〜75%であることが好ましく、40〜60%がより好ましい。空孔率Pが30%未満では、特に高出力蓄電デバイス用のセパレータとして使用したときに電池抵抗が大きくなる場合がある。一方、空孔率Pが75%を超えると、弾性率や引張強度や突刺強度などの機械強度が低下する場合がある。空孔率Pは、原料中の結晶化核剤の添加量および結晶化温度を調整すること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明の多孔性フィルムは、JIS Z 1707(1997)に準じて測定(針進入速度は5mm/分)した、厚み1mmあたりの突刺強度が100〜500N/mmであることが好ましく、より好ましくは150〜450N/mmである。上記突刺強度が100N/mm未満の場合には蓄電デバイス用セパレータとして用いたときの加工性や安全性に劣る場合がある。安全性の観点からは、突刺強度は高いほうが好ましいが、本発明の多孔性フィルムおいて上記の突刺強度を500N/mmより大きくするためには空孔率を低くしたり、透気抵抗を大きくする必要があり、その場合電池特性が低下してしまう場合がある。
本発明の多孔性フィルムは、透気抵抗が10〜1,000秒/100mlであることが好ましく、50〜500秒/100mlであることがより好ましく、80〜300秒/100mlであることが特に好ましい。透気抵抗が10秒/100ml未満であると、工程適性の指標となる弾性率などの機械強度が低下する場合がある。透気抵抗が1,000秒/100mlを超えると、特に高出力蓄電デバイス用のセパレータとして用いた際に出力特性が低下する場合がある。透気抵抗は、原料中の結晶化核剤の添加量および結晶化温度を調整すること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明の多孔性フィルムは、フィルム厚みが5〜30μmであることが好ましい。厚みが5μm未満では使用時にフィルムが破断する場合があり、30μmを超えると、電池抵抗が増大してセパレータとして用いた際に出力特性が低下する場合があるほか、蓄電デバイス内に占める多孔性フィルムの体積割合が高くなり、高いエネルギー密度を得ることができなくなる場合がある。フィルム厚みは10〜25μmであればより好ましい。
尚、本願においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向、長手方向、MD方向あるいは単にMDと称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向、TD方向あるいは単にTDと称することがある。
本発明の多孔性フィルムは、様々な効果を付与する目的で積層構成をとっても構わない。積層数としては、2層積層でも3層積層でも、また、それ以上の積層数でもよく、本発明の多孔性フィルムを少なくとも一方の表層とする積層形態、本発明の多孔性フィルムの両表面に同一もしくは異なる表層を形成する積層形態のいずれを採用してもよい。積層の方法としては、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、ラミネートにより多孔性フィルム同士を貼り合わせる方法などがあるが、積層する樹脂などの物性に応じて、積層方法を選択すればよい。積層構成としては、例えば、低温でのシャットダウン性を付与する目的でポリエチレンを含む層を積層したり、強度や耐熱性を付与する目的で粒子を含む層を積層したりすることができる。
以下に本発明の多孔性フィルムの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂99.45質量部、結晶化核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.30質量部、酸化防止剤としてIrganox1010、Irgafos168を各々0.10質量部、滑剤としてベヘン酸カルシウム0.05質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランドをダイから吐出して、0〜25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(a)を準備する。溶融混練時の樹脂温度は280〜310℃とすることが好ましく、チップの断面形状は、円、楕円、長方形のいずれでもかまわないが、チップの断面積が0.1〜3.0mm2の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.2〜2.5mm2、さらに好ましくは0.5〜2.0mm2、特に好ましくは0.5〜1.5mm2である。チップの断面積が3.0mm2を超えると多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃未満になってしまう場合がある。また、チップの断面積が0.1mm2より小さい場合、チップ製造時にストランドが切れやすくなったり、溶融混練時の吐出量を低くする必要があり、生産性が低下することがある。
上記のポリプロピレン原料(a)を99.9質量部、酸化防止剤としてIrganox1010を0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランドをダイから吐出して、0〜25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(b)を準備する。チップの断面形状は、円、楕円、長方形のいずれでもかまわないが、チップの断面積が2.0〜20.0mm2の範囲であることが好ましい。より好ましくは3.0〜12.0mm2、さらに好ましくは4.0〜10.0mm2である。断面積が2.0mm2より小さいと多孔性フィルムの製膜時に押出機でのチップのかみ込み不良が生じて吐出量が不安定になったり、また断面積が20.0mm2を超えるとチップ製造時にダイから出てきた隣同士のストランドが融着してしまう可能性がある。また、溶融混練時の樹脂温度は200〜250℃とすることが好ましく、より好ましくは210〜240℃、さらに好ましくは215〜235℃である。樹脂温度が250℃を超えるとポリプロピレン原料(a)中の結晶化核剤が粗大化してしまう場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下したり、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。上記温度範囲でポリプロピレン原料(a)を再混練して得られたポリプロピレン原料(b)は、粗大化した結晶化核剤が少なく、チップ中の核剤サイズの均一性に優れる。また、再混練することでポリプロピレン原料(b)中の結晶化核剤が安定化するため、製膜時の押出機中での結晶化核剤の成長を抑制でき、生産安定性が向上するとともに、均一性に優れた多孔性フィルムが得られる。本発明の多孔性フィルムにおいて、二種類以上のポリプロピレン樹脂を用いる場合やポリプロピレン樹脂以外の樹脂をブレンドする場合は、上記したポリプロピレン原料(a)の再混練時にあわせて溶融混練によりブレンドしてもよい。
続いて、上記のポリプロピレン原料(b)を単軸押出機に供給し、200〜240℃の樹脂温度にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。ここで、共押出しによりフィルムを積層構造とする場合には、複数の押出機を用い、フィードブロック方式やマルチマニホールド方式により積層構造とした後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、積層未延伸シートとすることができる。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、電池抵抗制御の観点から好ましく、110〜130℃がさらに好ましい。この際、特にシートの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。キャストドラムの表面温度が105℃未満の場合はキャストシート中にβ晶が十分に形成できず、透気抵抗が悪化したり、表面開孔率や空孔率が低くなり、電池抵抗の悪化を招いてしまう場合がある。
次に、得られたキャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、電池抵抗と機械強度のバランスの取れたフィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストシートの温度を制御しながら長手方向に延伸する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、電池抵抗と機械強度の両立の観点から、90〜140℃であることが好ましく、より好ましくは100〜130℃、特に好ましくは115〜125℃である。90℃未満では、フィルムが破断する場合がある。また、140℃を超えると、透気抵抗が悪化したり、表面開孔率や空孔率が低くなり、電池抵抗が増大する場合がある。電池抵抗と機械強度の両立の観点から、延伸倍率としては、3〜10倍であることが好ましい。より好ましくは4.5〜6倍である。延伸倍率を高くするほど電池抵抗は低下するが、10倍を超えて延伸すると、次の横延伸工程でフィルム破れが起きやすくするほか、空孔率が高くなりすぎて機械強度が低下する場合がある。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。横延伸温度は、電池抵抗と機械強度の両立の観点から、130〜155℃であることが好ましく、より好ましくは145〜155℃である。130℃未満ではフィルムが破断する場合があり、155℃を超えると電池抵抗が増大する場合がある。幅方向の延伸倍率は、引張強度向上の観点から2〜12倍であることが好ましい。より好ましくは7〜11倍、更に好ましくは7〜10倍である。2倍未満であると、透気抵抗が悪化したり、表面開孔率や空孔率が低くなり、電池抵抗が増大したり、幅方向の引張強度が低下する場合がある。12倍を超えるとフィルムが破断する場合がある。なお、このときの横延伸速度としては、500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。電池抵抗を低減させながら弾性率を向上させる観点から、面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は、高倍とするほうが好ましく、具体的には20倍以上が好ましく、30倍以上がより好ましく、45倍以上が特に好ましい。面積倍率が低倍の場合、具体的には20倍未満の場合、電池抵抗低減と弾性率向上が困難となる。面積倍率の上限は特に設けないが、60倍を超えると製膜性が悪くなり破れやすくなる場合がある。
横延伸に続いて、テンター内で熱処理工程を行う。ここで熱処理工程は、横延伸後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS1ゾーンと記す)、テンターの幅を狭めてフィルムを弛緩させながら熱処理を行うリラックスゾーン(以後、Rxゾーンと記す)、リラックス後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS2ゾーンと記す)の3ゾーンに分かれていることが、電池抵抗と機械強度の両立、さらには低熱収の観点から好ましい。
HS1ゾーンの温度は、電池抵抗と機械強度の両立の観点から140〜170℃であることが好ましく、150〜167℃であることがより好ましい。140℃未満であると、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。170℃を超えると、フィルムの配向緩和が大きすぎるために、続くRxゾーンにおいて弛緩率を高くできず、電池抵抗と機械強度の両立が困難となる場合があるほか、高温により孔周辺のポリマーが溶けて透気抵抗が大きくなる場合がある。
HS1ゾーンでの熱処理時間は、幅方向の熱収縮率と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましい。
本発明におけるRxゾーンでの弛緩率は、電池抵抗低下と面弾性率低減に加えて熱収縮率低減の観点から、5〜35%であることが好ましく、5〜30%であるとより好ましい。弛緩率が5%未満であると面弾性率および熱収縮率が小さくなる場合がある。35%を超えると電池抵抗が増大する場合があるほか、幅方向の厚み斑や平面性が低下する場合がある。
Rxゾーンの温度は、電池抵抗低下と熱収縮率低減の観点から、155〜170℃であることが好ましく、160〜167℃であるとより好ましい。Rxゾーンの温度が155℃未満であると、弛緩の為の収縮応力が低くなり、上述した高い弛緩率を達成できない場合があるほか、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて電池抵抗が増大する場合がある。
Rxゾーンでの弛緩速度は、100〜1,000%/分であることが好ましく、150〜500%/分であることがより好ましい。弛緩速度が100%/分未満であると、製膜速度を遅くしたり、テンター長さを長くする必要があり、生産性に劣る場合がある。1,000%/分を超えると、テンターのレール幅が縮む速度よりフィルムが収縮する速度が遅くなり、テンター内でフィルムがばたついて破れたり、幅方向の物性ムラや平面性の低下を生じる場合がある。
HS2ゾーンの温度は、電池抵抗と機械強度の両立の観点から、155〜167℃であることが好ましく、160〜167℃であることがより好ましい。155℃未満であると、熱弛緩後のフィルムの緊張が不十分となり、幅方向の物性ムラや平面性の低下を生じたり、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。また、HS2の温度が高い方が、機械強度が高くなる傾向があり、155℃未満では機械強度に劣る場合がある。167℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて電池抵抗が増大する場合がある。
本発明におけるHS2ゾーンでの熱処理時間は、幅方向の物性ムラや平面性と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましい。熱固定工程後のフィルムは、テンターのクリップで把持した耳部をスリットして除去し、ワインダーでコアに巻き取って製品とする。
本発明の多孔性フィルムは、電池特性、生産性に優れるだけでなく、機械強度、耐熱性、押出安定性に優れることから、包装用品、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シート用途で用いることができるが、特に蓄電デバイス用のセパレータとして好ましく用いることができる。ここで、蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタなどの電気二重層キャパシタなどを挙げることができる。このような蓄電デバイスは充放電することで繰り返し使用することができるので、産業装置や生活機器、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの電源装置として使用することができる。本発明の多孔性フィルム上に機能層を積層してなる蓄電デバイス用セパレータは、電池抵抗、生産性に優れるだけでなく、耐熱性、耐短絡性に優れることから、産業装置や生活機器、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの電源装置用の蓄電デバイスセパレータとして好ましく用いることができる。本発明の多孔性フィルムを用いたセパレータと、正極と、負極と、電解液を備えた蓄電デバイスは、セパレータの優れた特性から産業機器や自動車の電源装置に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。ポリエチレン樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件D(190℃、2.16kg)に準拠して測定した。
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。ポリエチレン樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件D(190℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(2)厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性フィルムの厚みとした。
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性フィルムの厚みとした。
(3)原料チップおよび多孔性フィルムの結晶化温度
原料チップまたは多孔性フィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から220℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)し、5分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却(ファーストラン)し、冷却の際に得られたピーク温度を原料チップの結晶化温度とした。
原料チップまたは多孔性フィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から220℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)し、5分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却(ファーストラン)し、冷却の際に得られたピーク温度を原料チップの結晶化温度とした。
(4)結晶化核剤の最大サイズ(L1a)および最小サイズ(L2a)
多孔性フィルムを溶融後の厚みが30μmとなるように所定枚数を重ねてカバーガラスではさみ、180℃のホットプレート(IKA社製C−mag HP7)上で2分間放置して溶融した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化し、厚み30μmの観察用サンプルを作製した。その後、180℃に加熱したホットステージ(メトラー・トレド製FP90)上に作製したサンプルをカバーガラスにはさんだ状態で載せ、偏光顕微鏡(オリンパス製BX50)を用いて無作為に選んだ10視野中の結晶化核剤を偏光子と検光子を直交させた状態で500倍の倍率で撮影した。つづいて、その写真から画像解析ソフトウェア((株)マウンテック製、MacView ver4.0)を用いて、各視野ごとの結晶化核剤の最大サイズ(L1ax)と最小サイズ(L2ax)を求め(ここで、結晶化核剤のサイズとは、各結晶化核剤の最小包含円(外接円)の直径のことをいう)、それぞれの10視野の平均値を結晶化核剤の最大サイズ(L1a)と結晶化核剤の最小サイズ(L2a)とした。なお、本手法では光学顕微鏡の分解能の観点から1μm未満の結晶化核剤の観察が困難な場合があるため、本発明においては2μm以上のサイズの結晶化核剤を測定対象とした。
多孔性フィルムを溶融後の厚みが30μmとなるように所定枚数を重ねてカバーガラスではさみ、180℃のホットプレート(IKA社製C−mag HP7)上で2分間放置して溶融した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化し、厚み30μmの観察用サンプルを作製した。その後、180℃に加熱したホットステージ(メトラー・トレド製FP90)上に作製したサンプルをカバーガラスにはさんだ状態で載せ、偏光顕微鏡(オリンパス製BX50)を用いて無作為に選んだ10視野中の結晶化核剤を偏光子と検光子を直交させた状態で500倍の倍率で撮影した。つづいて、その写真から画像解析ソフトウェア((株)マウンテック製、MacView ver4.0)を用いて、各視野ごとの結晶化核剤の最大サイズ(L1ax)と最小サイズ(L2ax)を求め(ここで、結晶化核剤のサイズとは、各結晶化核剤の最小包含円(外接円)の直径のことをいう)、それぞれの10視野の平均値を結晶化核剤の最大サイズ(L1a)と結晶化核剤の最小サイズ(L2a)とした。なお、本手法では光学顕微鏡の分解能の観点から1μm未満の結晶化核剤の観察が困難な場合があるため、本発明においては2μm以上のサイズの結晶化核剤を測定対象とした。
(5)230℃加熱後の結晶化核剤の最大サイズ(L1b)
多孔性フィルムを溶融後の厚みが30μmとなるように所定枚数を重ねてカバーガラスではさみ、230℃のホットプレート(IKA社製C−mag HP7)上で1時間溶融加熱した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化し、厚み30μmの観察用サンプルを作製した。その後、180℃に加熱したホットステージ(メトラー・トレド製FP90)上に作製したサンプルをカバーガラスにはさんだ状態で載せ、偏光顕微鏡(オリンパス製BX50)を用いて無作為に選んだ10視野中の結晶化核剤を偏光子と検光子を直交させた状態で500倍の倍率で撮影した。つづいて、その写真から画像解析ソフトウェア((株)マウンテック製、MacView ver4.0)を用いて、各視野ごとの結晶化核剤の最大サイズ(L1bx)を求め、10視野の平均値を230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(L1b)とした。なお、本手法では光学顕微鏡の分解能の観点から1μm未満の結晶化核剤の観察が困難な場合があるため、本発明においては2μm以上のサイズの結晶化核剤を測定対象とした。
多孔性フィルムを溶融後の厚みが30μmとなるように所定枚数を重ねてカバーガラスではさみ、230℃のホットプレート(IKA社製C−mag HP7)上で1時間溶融加熱した後、0℃の氷水中で5分間冷却して固化し、厚み30μmの観察用サンプルを作製した。その後、180℃に加熱したホットステージ(メトラー・トレド製FP90)上に作製したサンプルをカバーガラスにはさんだ状態で載せ、偏光顕微鏡(オリンパス製BX50)を用いて無作為に選んだ10視野中の結晶化核剤を偏光子と検光子を直交させた状態で500倍の倍率で撮影した。つづいて、その写真から画像解析ソフトウェア((株)マウンテック製、MacView ver4.0)を用いて、各視野ごとの結晶化核剤の最大サイズ(L1bx)を求め、10視野の平均値を230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(L1b)とした。なお、本手法では光学顕微鏡の分解能の観点から1μm未満の結晶化核剤の観察が困難な場合があるため、本発明においては2μm以上のサイズの結晶化核剤を測定対象とした。
(6)透気抵抗
多孔性フィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料を替えて3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの透気抵抗とした。
多孔性フィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料を替えて3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの透気抵抗とした。
(7)表面開孔率(S)
多孔性フィルムにエイコーエンジニアリング社製IB−5型イオンコーターを用いてイオンコートを行い、日本電子社製電界放射走査顕微鏡(JSM−6700F)を用いてフィルム表面を撮影倍率1,000倍で観察した。得られた画像データ(スケールバーなどの表示がない、観察部のみの画像)をMVTec社製HALCON Ver.10.0を用いて画像解析を行い、表面開孔率(%)を算出した。画像解析方法としては、まず256階調モノクロ画像に対して、11画素平均画像Aと3画素平均画像Bをそれぞれ生成し、画像B全体の面積(Area_all)を算出した。
多孔性フィルムにエイコーエンジニアリング社製IB−5型イオンコーターを用いてイオンコートを行い、日本電子社製電界放射走査顕微鏡(JSM−6700F)を用いてフィルム表面を撮影倍率1,000倍で観察した。得られた画像データ(スケールバーなどの表示がない、観察部のみの画像)をMVTec社製HALCON Ver.10.0を用いて画像解析を行い、表面開孔率(%)を算出した。画像解析方法としては、まず256階調モノクロ画像に対して、11画素平均画像Aと3画素平均画像Bをそれぞれ生成し、画像B全体の面積(Area_all)を算出した。
次に画像Bから画像Aを差として除去し、画像Cを生成し、輝度≧10となる領域Dを抽出した。抽出した領域Dを塊ごとに分割し、面積≧100となる領域Eを抽出した。その領域Eに対して、半径2.5画素の円形要素でクロージング処理した領域Fを生成し、横1×縦5画素の矩形要素でオープニング処理した領域Gを生成することで、縦サイズ<5の画素部を除去した。そして、領域Gを塊ごとに分割し、面積≧500となる領域Hを抽出することで、フィブリル領域を抽出した。
さらに画像Cにて画像≧5となる領域Iを抽出し、領域Iを塊ごとに分割し、面積≧300となる領域Jを抽出した。領域Jに対して、半径1.5画素の円形要素でオープニング処理した後、半径8.5画素の円形要素でクロージング処理した領域Kを生成し、領域Kに対して、面積≧200となる領域Lを抽出した。領域Lにおいて、面積≧4,000画素の暗部を明部で埋めた領域Mを生成することでフィブリル以外の未開孔部の領域を抽出した。
最後に、領域Hと領域Mの和領域Nを生成し、和領域Nの面積(Area_closed)を算出することで、未開孔部の面積を求めた。なお、表面開孔率の計算は、以下の式により算出した。
表面開孔率(%)=(Area_all − Area_closed) / Area_all
上記の方法にて、同じ多孔性フィルムの両面において10ヶ所ずつ測定し、その平均値の値を当該サンプルの表面空孔率(%)とした。
上記の方法にて、同じ多孔性フィルムの両面において10ヶ所ずつ測定し、その平均値の値を当該サンプルの表面空孔率(%)とした。
(8)空孔率(P)
多孔性フィルムを100mm×100mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重の測定を行った。測定を3回行い、平均値をフィルムの比重ρとした。
多孔性フィルムを100mm×100mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重の測定を行った。測定を3回行い、平均値をフィルムの比重ρとした。
次に、測定したフィルムを280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して、空孔を完全に消去したシートを作成した。このシートの比重を上記した方法で同様に測定し、平均値を樹脂の比重(d)とした。なお、後述する実施例においては、いずれの場合も樹脂の比重dは、0.91であった。フィルムの比重と樹脂の比重から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=〔( d − ρ ) / d 〕 × 100
(9)突刺強度
万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いて、針進入速度を5mm/分とし、それ以外はJIS Z 1707(1997)に準じて23℃で測定した。サンプルが破膜したときにフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の厚みで除した値を突刺強度(N/mm)とした。測定は各サンプル5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(9)突刺強度
万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いて、針進入速度を5mm/分とし、それ以外はJIS Z 1707(1997)に準じて23℃で測定した。サンプルが破膜したときにフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の厚みで除した値を突刺強度(N/mm)とした。測定は各サンプル5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(10)電池抵抗
宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)厚みが40μmの正極を直径15.9mmの円形に打ち抜いた。また、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を直径16.2mmの円形に打ち抜いた。次に、多孔質フィルムまたは多孔フィルムを直径24mmに打ち抜いた。正極活物質と負極活物質面が対向するように、下から負極、多孔質フィルムまたは多孔フィルム、正極の順に重ね、蓋付ステンレス金属製小容器(宝泉(株)製、HSセル、ばね圧1kgf)に収納した。容器と蓋とは絶縁され、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内にエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1モル/リットルとなるように溶解させた電解液を注入して密閉し、電池を作製した。
宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)厚みが40μmの正極を直径15.9mmの円形に打ち抜いた。また、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を直径16.2mmの円形に打ち抜いた。次に、多孔質フィルムまたは多孔フィルムを直径24mmに打ち抜いた。正極活物質と負極活物質面が対向するように、下から負極、多孔質フィルムまたは多孔フィルム、正極の順に重ね、蓋付ステンレス金属製小容器(宝泉(株)製、HSセル、ばね圧1kgf)に収納した。容器と蓋とは絶縁され、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内にエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1モル/リットルとなるように溶解させた電解液を注入して密閉し、電池を作製した。
作製した二次電池について、25℃の雰囲気下で測定を行った。1.5mAの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行い、4.2Vの電圧で電流値が50μAになるまで定電圧充電を行った。続いて、3mAの電流値で2.7Vの電圧まで定電流放電を行った。上記充放電操作を4回行った。次に、1.5mAの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行い、4.2Vの電圧で電流値が50μAになるまで定電圧充電を行った。続いて、3、6、9、12、15mAの電流値で10秒間定電流放電を行い、その電池電圧を測定した。なお、各放電前に1.5mAの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行い、4.2Vの電圧で電流値が50μAになるまで定電圧充電を実施した。
放電電流値と10秒間低電流放電後の電池電圧との関係(傾き)から抵抗(R1)を算出した。測定は試料を替えて5回行い、平均値を抵抗R0とした。
厚みの異なるサンプルを規格化するために、サンプルの厚みを(t(μm))とし、厚み20μmあたりの電池抵抗値として、以下の式で算出される値を電池抵抗(R)とした。
電池抵抗(R)=(R0/t)×20
○:R≦8.0
△:8.0<R≦9.0
×:9.0<R
(11)生産安定性
単軸押出機(スクリュー径25mm、L/D=28、シングルフライト型スクリュー)とダイとの間の樹脂流路に樹脂圧計および25μmカットの焼結フィルターを順に設置した押出装置を用いて、回転数100rpm、吐出2kg/時間、シリンダー温度230℃で溶融樹脂の押出および濾過を24時間実施する。試験開始直後の樹脂圧と試験終了後の樹脂圧を下記式に当てはめ、樹脂圧変動量ΔPを求めてその値を生産安定性の目安として下記基準で評価した。
○:R≦8.0
△:8.0<R≦9.0
×:9.0<R
(11)生産安定性
単軸押出機(スクリュー径25mm、L/D=28、シングルフライト型スクリュー)とダイとの間の樹脂流路に樹脂圧計および25μmカットの焼結フィルターを順に設置した押出装置を用いて、回転数100rpm、吐出2kg/時間、シリンダー温度230℃で溶融樹脂の押出および濾過を24時間実施する。試験開始直後の樹脂圧と試験終了後の樹脂圧を下記式に当てはめ、樹脂圧変動量ΔPを求めてその値を生産安定性の目安として下記基準で評価した。
樹脂圧変動量(ΔP)=試験終了時の樹脂圧[MPa]−試験開始直後の樹脂圧[MPa]
○:ΔPが0.5MPa以下
△:ΔPが0.5MPaよりも大きく1.5MPa以下
×:ΔPが1.5MPaよりも大きい
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、融点165℃、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を99.45質量部、結晶化核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.30質量部、ベヘン酸カルシウムを0.05質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010およびIRGAFOS168各々0.10質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、305℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(あ)を得た。ポリプロピレン組成物(あ)のチップの断面積は3.0mm2で、結晶化温度は129.7℃であった。
○:ΔPが0.5MPa以下
△:ΔPが0.5MPaよりも大きく1.5MPa以下
×:ΔPが1.5MPaよりも大きい
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、融点165℃、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を99.45質量部、結晶化核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.30質量部、ベヘン酸カルシウムを0.05質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010およびIRGAFOS168各々0.10質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、305℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(あ)を得た。ポリプロピレン組成物(あ)のチップの断面積は3.0mm2で、結晶化温度は129.7℃であった。
続いて、得られたポリプロピレン組成物(あ)を99.9質量部とチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010を0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、230℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(い)を得た。得られたポリプロピレン組成物(い)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は130.4℃であった。
得られたポリプロピレン組成物(い)を単軸の溶融押出機に供給し、温度220℃(設定温度)で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて116℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、120℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.3倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して150℃で幅方向に7.5倍延伸した。
続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に160℃で弛緩率10%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま160℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)。
その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例2)
ポリプロピレン組成物(あ)を59.8質量部、共重合PE樹脂としてエチレン−オクテン−1共重合体(ダウ・ケミカル製 Engage8411、メルトインデックス:18g/10分)を30質量部と、分散剤としてCEBC(JSR(株)製 DYNARON6200P)を10質量部と、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010およびIRGAFOS168を各々0.1質量部とがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、230℃の樹脂温度で溶融混練を行った。そして、溶融混練された樹脂をストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(う)を得た。得られたポリプロピレン組成物(う)のチップの断面積は3.0mm2で、結晶化温度は129.4℃であった。
ポリプロピレン組成物(あ)を59.8質量部、共重合PE樹脂としてエチレン−オクテン−1共重合体(ダウ・ケミカル製 Engage8411、メルトインデックス:18g/10分)を30質量部と、分散剤としてCEBC(JSR(株)製 DYNARON6200P)を10質量部と、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010およびIRGAFOS168を各々0.1質量部とがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、230℃の樹脂温度で溶融混練を行った。そして、溶融混練された樹脂をストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(う)を得た。得られたポリプロピレン組成物(う)のチップの断面積は3.0mm2で、結晶化温度は129.4℃であった。
続いて、ポリプロピレン組成物(あ)を89.9質量部、ポリプロピレン組成物(う)を10質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010を0.1質量部が、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、230℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(え)を得た。得られたポリプロピレン組成物(え)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は130.6℃であった。
つづいて、得られたポリプロピレン組成物(え)を実施例1と同様に製膜し、厚さ22μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例3)
実施例2の熱処理工程において、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に166℃で弛緩率20%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま166℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)以外は、実施例2と同様に厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
実施例2の熱処理工程において、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に166℃で弛緩率20%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま166℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)以外は、実施例2と同様に厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例4)
チップの断面積がポリプロピレン組成物(あ)の4分の1になるようにストランドの引取り速度を調整し、その他はポリプロピレン組成物(あ)と同様にしてポリプロピレン組成物(お)を得た。得られたポリプロピレン組成物(お)のチップの断面積は0.75mm2で、結晶化温度は130.9℃であった。続いて、ポリプロピレン組成物(あ)の代わりにポリプロピレン組成物(お)を用いた以外はポリプロピレン組成物(え)と同様にしてポリプロピレン組成物(か)を得た。ポリプロピレン組成物(か)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は131.0℃であった。得られたポリプロピレン組成物(か)を用いて実施例3と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
チップの断面積がポリプロピレン組成物(あ)の4分の1になるようにストランドの引取り速度を調整し、その他はポリプロピレン組成物(あ)と同様にしてポリプロピレン組成物(お)を得た。得られたポリプロピレン組成物(お)のチップの断面積は0.75mm2で、結晶化温度は130.9℃であった。続いて、ポリプロピレン組成物(あ)の代わりにポリプロピレン組成物(お)を用いた以外はポリプロピレン組成物(え)と同様にしてポリプロピレン組成物(か)を得た。ポリプロピレン組成物(か)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は131.0℃であった。得られたポリプロピレン組成物(か)を用いて実施例3と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
(比較例1)
ポリプロピレン組成物(あ)を用いて実施例1と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
ポリプロピレン組成物(あ)を用いて実施例1と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
(比較例2)
ポリプロピレン組成物(あ)を99.9質量部とチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010を0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、255℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(き)を得た。得られたポリプロピレン組成物(き)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は129.6℃であった。ポリプロピレン組成物(き)を用いて実施例1と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
ポリプロピレン組成物(あ)を99.9質量部とチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010を0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機(L/D=41)に原料供給し、255℃の樹脂温度で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(き)を得た。得られたポリプロピレン組成物(き)のチップの断面積は4.8mm2で、結晶化温度は129.6℃であった。ポリプロピレン組成物(き)を用いて実施例1と同様の製膜条件で厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
(比較例3)
ポリプロピレン組成物(あ)を用いて実施例3と同様の方法で厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
ポリプロピレン組成物(あ)を用いて実施例3と同様の方法で厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
本発明の要件を満足する実施例では、多孔性フィルム中の結晶化核剤のサイズが小さく、均一に分散しており、電池抵抗と突刺強度のバランスに優れ、また生産安定性に優れる。一方、比較例では多孔性フィルム中の核剤サイズが大きく、電池抵抗と突刺強度のバランスに劣り、また生産安定性に劣る。
本発明の多孔性フィルムは、孔構造の均一性に優れ、生産安定性および電池特性に優れるため、蓄電デバイス用のセパレータとして好適に使用することができる。
Claims (9)
- ポリプロピレン樹脂および結晶化核剤を含む多孔性フィルムであって、多孔性フィルムの結晶化温度が129.0℃以上であり、かつ、多孔性フィルム中の結晶化核剤の最大サイズ(以下、L1aという)が8μm未満である、多孔性フィルム。
- 多孔性フィルム中の結晶化核剤の最小サイズ(以下、L2aという)とL1aとが下記式(1)を満たす、請求項1に記載の多孔性フィルム。
1.0 ≦ L1a/L2a < 5.0 ・・・(1) - 多孔性フィルムを230℃で1時間加熱した後の結晶化核剤の最大サイズ(以下、L1bという)とL1aとが下記式(2)を満たす、請求項1または2に記載の多孔性フィルム。
1.0 ≦ L1b/L1a < 2.0 ・・・(2) - 表面開孔率(以下、Sと表記する)と空孔率(以下、Pと表記する)の関係が下記式(3)を満足し、S(%)が45%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性フィルム。
0.30 < P/S < 1.00 ・・・(3) - 厚み1mmあたりの突刺強度が100〜500N/mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性フィルム。
- 多孔性フィルム中のポリプロピレン樹脂の含有量が90質量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔性フィルムを用いてなる蓄電デバイス用セパレータ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔性フィルム上に機能層を積層してなる蓄電デバイス用セパレータ。
- 請求項7または8に記載の蓄電デバイス用セパレータと、正極と、負極と、電解液とを備えた蓄電デバイス。
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